JP5106492B2 - 冷却剤供給アタッチメントおよびこれを備えた穿孔装置 - Google Patents

冷却剤供給アタッチメントおよびこれを備えた穿孔装置 Download PDF

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Description

本発明は、電動ドリルとこれに着脱自在に装着されたドリルビットとの間に介設され、ドリルビットの先端を穿孔対象物に押し付けることで、穿孔中のドリルビットの先端に冷却剤を供給する冷却剤供給アタッチメントおよびこれを備えた穿孔装置に関する。
従来、電動ドリルの主軸に連結される入力軸と、入力軸に一体回転自在且つスライド自在に接合する出力軸と、入力軸に対して出力軸を前方に付勢するコイルばねと、出力軸の外周面に係合した一対のOリングから成る弁体と、出力軸を回転自在に収容するアタッチメントハウジングと、を有する冷却剤供給アタッチメントが知られている(特許文献1参照)。
この冷却剤供給アタッチメントでは、冷却剤が流れる縦貫通孔(ビット内流路)を軸心に形成したドリルビットが出力軸の先端に装着され、そのドリルビットを穿孔対象物(コンクリート)に押し付けると、出力軸がコイルばねに抗して入力軸に深く挿入され、一対のOリングの間の出力軸の周面に開口した連通孔が、アタッチメントハウジングに形成された接続孔および入力軸の小孔に連通し、外部の冷却剤タンクから冷却剤が流入してくる(開弁)。その冷却剤は、上記の連通孔を介して出力軸の軸心に形成された冷却剤流路を通り、ドリルビットのビット内流路へと導かれるようになっている。
特開2002−361626号公報
しかし、上記のような冷却剤供給アタッチメントでは、穿孔作業の終了後、穿孔対象物に対するドリルビットの押し付けを解除すると、コイルばねの働きで出力軸が前方に付勢され、冷却剤の供給が瞬時に停止する(閉弁)。このため、穿孔作業後の孔内部には、粉塵が混じった冷却剤が洗い流せずに残ってしまい、ドリルビットを引き抜いた後に、孔内部を、吸引クリーナー等を用いて清掃する必要があった。このため、清掃のための手間と時間が掛かり、その後の工程(例えばアンカー埋設等)に円滑に移行することができないという問題があった。
本発明は、穿孔作業終了後に、手間を掛けずに穿孔した孔内部の粉塵を洗い流すことのできる冷却剤供給アタッチメントおよびこれを備えた穿孔装置を提供することを課題とする。
本発明の冷却剤供給アタッチメントは、冷却剤が流れるビット内流路を形成したドリルビットとドリルビットが装着される電動ドリルとの間に介設され、ドリルビットの先端を穿孔対象物に押し付けることで、穿孔中のドリルビットの先端に冷却剤を供給する冷却剤供給アタッチメントにおいて、電動ドリルの主軸側に固定されると共に、冷却剤を導入する冷却剤導入口を形成したアタッチメントケースと、電動ドリルの主軸に連結され、アタッチメントケースに回転自在に軸支された入力軸と、先端部にドリルビットが装着され、入力軸に対し一体回転自在に且つ軸方向に摺動自在に保持されると共に、ビット内流路に連通する出力軸内流路を形成した出力軸と、入力軸と出力軸との間隙に構成され、冷却剤導入口に連通する加圧流路と、加圧流路に臨む出力軸に形成され、加圧流路に導入した冷却剤により前進方向の圧力を受ける受圧部と、入力軸と出力軸との間に構成され、出力軸の後退に伴って出力軸内流路に連なる径方向流路と加圧流路とを連通すると共に、出力軸の前進に伴って径方向流路と加圧流路とを遮蔽する弁機構と、を備え、出力軸は、後側の細径部と前側の太径部とを有し、入力軸は、細径部を支持する第1摺動支持部と、太径部を摺動自在に支持する第2摺動支持部と、を有し、受圧部は、細径部の後端面で構成した第1受圧部と、太径部と細径部と間の段部で構成した第2受圧部と、を有し、加圧流路は、第1受圧部が臨む第1加圧流路と、第2受圧部が臨む第2加圧流路と、を有し、第1加圧流路と第2加圧流路とは、細径部に形成された出力軸内流路を介して連通していることを特徴とする。
この構成によれば、穿孔作業時にドリルビットの先端を穿孔対象物に押し付けることで出力軸が入力軸に対して相対的に後退すると、弁機構により(径方向流路を介して)出力軸内流路と加圧流路とが連通し(開弁)、冷却剤がビット内流路を通ってドリルビットの先端に供給される。一方、穿孔作業終了後または穿孔作業前には、加圧流路に導入された冷却剤による圧力が受圧部に作用することで、出力軸が入力軸に対して相対的に前進させられるため、弁機構により出力軸内流路と加圧流路とが遮蔽され(閉弁)、ビット内流路への冷却剤の流れが停止する。
上記した出力軸の前進方向への移動は、受圧部に作用する冷却剤の圧力によるため、例えば、コイルばね等で強制的に前進方向に付勢する場合に比べて、ゆっくりと移動する。このため、穿孔作業が終了して、ドリルビットの穿孔対象物に対する押し付けを解除した後にも、すぐには閉弁されず、ドリルビットへの冷却剤の供給が僅かな時間継続される。これにより、穿孔した孔内部の粉塵を冷却剤と共に洗い流すことができ、ドリルビットを引き抜いた後、孔内部の清掃を別途行う必要がなく、その後の工程(アンカー埋設等)に円滑に移行することができる。なお、作業者は、穿孔作業終了(電動ドリルの駆動の停止)後、弁機構が閉弁するまで、ドリルビットを引き抜かないようにする。
また、入力軸の前後2箇所で出力軸の摺動をガイドすることができるため、出力軸は、安定した直進性をもって摺動することができる。これにより、電動ドリルによる穿孔を円滑にガイドすることができる。
さらに、前後2箇所に受圧部を有しているため、出力軸を前後2箇所で支持した状態で、前後出力軸全体に前進方向の圧力を作用させることができる。また、出力軸内流路を細径とすれば、第1加圧流路と第2加圧流路との圧力は、それぞれ時間差をもって個別に高まって行くため、出力軸は、入力軸に対して、よりゆっくりと前進方向へ移動する。これにより、穿孔対象物に対するドリルビットの押し付けを解除した後の閉弁を、より遅らせることができ、孔内部の洗浄を、より的確に行うことができる。
また、この場合、弁機構は、太径部の外周面に係合する弁体と、第2加圧流路の下流端部の内周壁で構成した弁座と、を有していることが好ましい。
この場合、弁体は、太径部に嵌合した一対のOリングであり、一対のOリングの間には、径方向から径方向流路が形成されていることが好ましい。
これらの構成によれば、径方向流路(出力軸内流路)と加圧流路との連通および遮蔽(開弁・閉弁)を簡単な構造で確実に行うことができる。
また、Oリングを2重に設けることで加圧流路からの冷却剤の漏れを適切に防止することができる。
本発明の穿孔装置は、上記した冷却剤供給アタッチメントと、電動ドリルと、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、手間を掛けずに穿孔した孔内部の粉塵を洗い流すことができるため、効率良く穿孔作業を行うことができる。
本実施形態に係る穿孔装置を模式的に示した外観図である。 冷却剤供給アタッチメントにおける閉弁状態(a)および開弁状態(b)を示した断面図である。 電動ドリルおよびガイドアタッチメントの三面図である。 ノーズブロックの正面図および側面図である。 変形例に係るノーズブロックの正面図・側面図(a)および他の変形例に係るノーズブロックの正面図(b)である。 ダストシールの斜視図(a)およびノーズブロックを穿孔対象物に押し付けた際のダストシールの断面図(b)である。 ガイドアタッチメントの後退端位置(a)、前進端位置(b)を示す平面図および度当り部材の断面図(c)である。 変形例(3つの形態)に係るガイドアタッチメントの部分平面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る穿孔装置ついて説明する。この穿孔装置は、電動ドリルに、穿孔をガイドするガイドアタッチメントを装着し、コンクリート、タイル、石材等に穿孔作業を行うものである。
図1に示すように、穿孔装置1は、コンクリート等の穿孔対象物Cに湿式で穿孔を行うドリルビット2と、ドリルビット2を回転させる電動ドリル3と、ドリルビット2と電動ドリル3との間に介設した冷却剤供給アタッチメント4と、穿孔対象物Cに突き当てられ、電動ドリル3の穿孔をガイドするガイドアタッチメント5と、冷却剤供給アタッチメント4を介してドリルビット2に冷却剤を供給する冷却剤供給手段6と、ドリルビット2に供給された冷却剤を、ガイドアタッチメント5を介して吸引回収する冷却剤回収手段7と、を備えている。
冷却剤供給手段6は、冷却剤を貯留した供給タンク6bから冷却剤をドリルビット2へと送り出す圧送装置6aを備えている。また、冷却剤回収手段7は、ドリルビット2に供給された冷却剤を穿孔対象物Cの研削粉(粉塵)と共に吸引する吸引ポンプ7aと、粉塵混じりの冷却剤を廃棄貯留する回収タンク7bと、を備えている。なお、冷却剤は、作業後の乾燥(気化)を促進すべくアルコールが混合したものを用いることが、好ましい。
冷却剤供給アタッチメント4の基部側には、冷却剤供給手段6に連なる供給チューブ6cが接続され、ドリルビット2による穿孔が開始されると、冷却剤供給手段6から供給チューブ6cおよび冷却剤供給アタッチメント4を経て、ドリルビット2に冷却剤が供給される。また、ガイドアタッチメント5の先端側には、冷却剤回収手段7に連なる回収チューブ7cが接続され、冷却剤回収手段7は、回収チューブ7cを介して、ドリルビット2に供給した冷却剤を穿孔対象物Cの研削粉(粉塵)と共に吸引回収する。
穿孔作業は、ガイドアタッチメント5を介してドリルビット2の先端(切刃11)を穿孔対象物Cの要穿孔箇所にあてがうようにして作業者が電動ドリル3を手持ちにより支持し、ドリル本体15によりドリルビット2を回転させ、穿孔対象物Cに所定の深さの孔を形成する。この際、冷却剤供給手段6から冷却剤供給アタッチメント4に加圧供給された冷却剤は、切刃11を穿孔対象物Cに突き当てる動作に連動して、冷却剤供給アタッチメント4からドリルビット2を通って切刃11に供給される。また、切刃11に供給された冷却剤は、穿孔対象物Cの研削粉と混合した状態で、ガイドアタッチメント5の先端部から冷却剤回収手段7に回収される。
ドリルビット2は、コア部を残すようにして穿孔対象物Cを断面リング状に研削するダイヤモンドコアビットであって、穿孔対象物Cを穿孔する切刃11(ダイヤモンド切刃)と、先端部に切刃11を保持すると共に基端部で冷却剤供給アタッチメント4に装着されるシャンク12と、を備えている。ドリルビット2の軸心部分には、穿孔された穿孔対象物Cのコア片を呼び込むと共に、冷却剤の流路となるビット内流路13が形成されている。冷却剤は、ビット内流路13を通って切刃11の先端に導かれ、他方、研削された穿孔対象物Cのコア片は、相対的に切刃11からビット内流路13に導かれる。なお、以降の説明では、穿孔対象物Cに対する穿孔方向を前方(前側)と規定し、その反対方向を後方(後側)と規定して説明する。
切刃11は、コア部を残すようにして穿孔対象物Cを研削すべく円筒状に形成されると共に、シャンク12に比べて幾分太径に形成されている。シャンク12は、前端部に切刃11が固定され、後端部に筒状の接合凹部14が形成されている。接合凹部14の内周面には、雌ねじが形成され、外周面に雄ねじを形成した後述する出力軸22の接合凸部47(図2(a)参照)に螺合する。これにより、冷却剤供給アタッチメント4にドリルビット2が着脱自在に装着されるようになっている。また、接合凹部14の底面に相当する部分には、図示しないがシール部材(Oリング)が装着されており、接合凹部14を接合凸部47に螺合すると、ビット内流路13と、後述する出力軸22の出力軸内流路48と、が液密に連通する。
電動ドリル3は、常用電源で駆動するモーターおよびモーターの回転を減速して出力する減速機(いずれも図示省略)をモーターハウジング16に収容したドリル本体15と、ドリル本体15から後方に延びるグリップ部17と、を有している。また、ドリル本体15の前部には、ガイドアタッチメント5の後端部が固定されるガイドホルダー51(詳細は後述する。)が突出形成されている。さらに、ドリル本体15の前部には、電動ドリル3を手持ちで支持するための一文字グリップGが取り付けられている。グリップ部17には、作業者が駆動の開始・停止を制御するトリガースイッチSWが設けられている。減速機から延びる主軸18は、ドリル本体15の前端部において、後述する冷却剤供給アタッチメント4の入力軸21に連結している(図2参照)。
図2に示すように、冷却剤供給アタッチメント4は、円筒形の外観を有し、ドリル本体15(モーターハウジング16)に固定されるアタッチメントケース20と、アタッチメントケース20に回転自在に支持され、ドリル本体15の主軸18が接続される入力軸21と、入力軸21と一体回転自在に且つ軸方向にスライド自在に保持されると共に、上記したビット内流路13に連通する出力軸内流路48を形成した出力軸22と、を備えている。入力軸21と出力軸22との間隙には、加圧流路23が構成されており、冷却剤供給アタッチメント4は、この加圧流路23と出力軸内流路48との連通または遮蔽を行う弁機構24を、更に備えている。
アタッチメントケース20は、後端部にモーターハウジング16に装着するための鍔状の環状凸部を有し、全体として略円筒形状を為している。アタッチメントケース20の前後中間部には、アタッチメントケース20を径方向に貫通する冷却剤導入口25が形成され、冷却剤導入口25には、継手を介して供給チューブ6cが接続(ネジ接合)されている。
アタッチメントケース20の前後には、入力軸21を回転自在に支持する前方軸受26および後方軸受27(いずれもボールベアリング)が、それぞれ抜け止め状態で嵌合している。前方軸受26の後側および後方軸受27の前側には、軸支した入力軸21の外周面に接するシールパッキン28が配設されている。この一対のシールパッキン28により、アタッチメントケース20の内周面と入力軸21の外周面との間には、環状の冷却剤溜り29が液密に形成されている。そして、この冷却剤溜り29には、冷却剤導入口25が連通しており、冷却剤導入口25から導入した冷却剤で満たされるようになっている。
入力軸21は、ドリル本体15の主軸18に連結されたギヤ付の主軸連結部31と、主軸連結部31の前方に連なり、有底円筒状に形成された入力軸本体32と、で一体に形成されている。入力軸21は、上記した、前方軸受26と後方軸受27とにより、アタッチメントケース20に両持ちで回転自在に支持されている。また、入力軸本体32の前方側面には、前方軸受26の抜け止めとして機能する環状の抜止めフランジ部33が突設されている。
入力軸本体32の外周面の前方端部には、出力軸22を一体回転自在に且つ軸方向に摺動自在に保持するための連結キャップ44が螺合する連結雄ねじ部34が形成されている。この連結雄ねじ部34には、後述する出力軸22に嵌合したキー45が係合する切欠き部35が、前方から切れ込むように形成されている。
入力軸本体32の軸心には、出力軸22を一体回転自在に且つ軸方向にスライド自在に保持する摺動支持部36が形成されている。摺動支持部36は、アタッチメントケース20に開口した冷却剤導入口25に連通する細径の第1摺動支持部36aと、第1摺動支持部36aの前方に連なり、その前端を開放した太径の第2摺動支持部36cと、を有している。なお、第1摺動支持部36aと第2摺動支持部36cとは、同軸上に設けられている。
第1摺動支持部36aは、円柱状の空間を形成しており、出力軸22の後方端部を摺動自在に支持している。第1摺動支持部36aの後端部には、上記した冷却剤溜り29に連通する導入流路36bが径方向に貫通形成されている。
第2摺動支持部36cは、全体として第1摺動支持部36aよりも太径の円柱状の空間を形成しており、出力軸22の中間部を摺動自在に支持している。すなわち、第2摺動支持部36cは、第1摺動支持部36aの前方に連通する通液部位36dと、通液部位36dよりも細径に形成され、前端を開放した摺接部位36eと、通液部位36dと摺接部位36eとの間に形成されたテーパー部位36fと、を有している。
出力軸22は、第1摺動支持部36aに摺動自在に支持する細径部41と、第2摺動支持部36cに摺動自在に支持する太径部42と、太径部42の前端に連なるビット装着部43と、が同軸上に且つ一体の段付軸として構成されている。細径部41は、第1摺動支持部36aに対し、太径部42は、第2摺動支持部36cの摺接部位36eに対し、それぞれ摺動可能な寸法公差をもって挿入されている。このように、出力軸22の前後方向への摺動は、入力軸21の前後2箇所(第1摺動支持部36aおよび第2摺動支持部36c)でガイドされるため、出力軸22は、安定した直進性をもって摺動させることができる。
この出力軸22は、連結キャップ44により、太径部42の部分で入力軸21に抜止め状態に係止されている。連結キャップ44は、底部に出力軸22が貫通した状態で、上記した入力軸本体32の連結雄ねじ部34に螺合している。太径部42の外周面の軸方向略中央には、キー45が嵌合するキー溝45aが形成されている。そして、このキー溝45aおよびキー45により、出力軸22は、入力軸21(入力軸本体32)に対し、一体回転自在に且つ軸方向に摺動自在に装着される。
ビット装着部43は、太径部42の前側に連なり、出力軸22の後方への移動を規制する出力フランジ部46と、出力フランジ部46の背面に添設され、連結キャップ44への突き当たりの衝撃を和らげるための緩衝OリングBと、出力フランジ部46の前方に連なる接合凸部47と、を有している。接合凸部47には、外周面に雄ねじが形成されており、ドリルビット2のシャンク12(接合凹部14)が螺合する。なお、ドリルビット2を出力軸22に固定するために、接合凹部14および出力フランジ部46にそれぞれ工具掛け部(図示省略)が形成されている。
上記したように、入力軸21と出力軸22との間隙には、冷却剤が流通する加圧流路23が形成されている。詳細には、加圧流路23は、第1摺動支持部36aと細径部41とで囲まれた第1加圧流路23aと、第2摺動支持部36cと太径部42および細径部41との間隙からなる第2加圧流路23bと、を有している。詳細は後述するが、第1加圧流路23aに流入した冷却剤により、細径部41が加圧され、第2加圧流路23bに流入した冷却剤により、太径部42と細径部41との間の段部が加圧される。
出力軸22の軸心には、加圧流路23とビット内流路13とを連通させる出力軸内流路48が形成されている。詳細には、出力軸内流路48は、細径部41の軸心に形成された第1出力軸内流路48aと、太径部42の軸心に形成された第2出力軸内流路48cと、を有している。第1出力軸内流路48aは、後端を開放して第1加圧流路23aに連通すると共に、前端部で径方向に貫通形成された第1径方向流路48bを介して第2加圧流路23bに連通している。他方、第2出力軸内流路48cは、後端部で径方向に貫通形成された第2径方向流路48dを介して第2加圧流路23bに連通すると共に、前端を開放して装着されたドリルビット2のビット内流路13に連通している。
つまり、冷却剤供給手段6から供給チューブ6cを介して供給された冷却剤は、上流側(後方)から、冷却剤導入口25、冷却剤溜り29、導入流路36b、第1加圧流路23a、第1出力軸内流路48a、第1径方向流路48b、第2加圧流路23b、第2径方向流路48d、第2出力軸内流路48c、そしてビット内流路13へと流れ、下流端(前方端)の切刃11に供給される(図2(b)参照)。
また、出力軸22は、加圧流路23に臨み、加圧流路23に導入した冷却剤により前進方向の圧力を受ける受圧部49を有している。詳細には、受圧部49は、細径部41の後端面に開口した第1出力軸内流路48aの開口縁部で構成した第1受圧部49aと、太径部42と細径部41と間の段部で構成した第2受圧部49bと、を有している。第1受圧部49aは、第1加圧流路23a内に導入された冷却剤の圧力を受け、他方、第2受圧部49bは、第2加圧流路23b内に導入された冷却剤の圧力を受けることで、出力軸22に前進させる力を作用させている(図2(a)参照)。
弁機構24は、太径部42の後端部の外周面に軸方向に並んで形成された一対の環状溝Dに嵌合した一対のOリング24a(弁体)と、第2摺動支持部36cの摺接部位36e(第2加圧流路23bの下流端部の内周壁)で構成した弁座24bと、を有している。各Oリング24aは、ゴム等の弾性部材からなり、一対のOリング24aが嵌合した太径部42は、弁座24b(摺接部位36e)に対し摺動自在に且つ液密に密着している。このように、Oリング24aを2重に設けることで第2加圧流路23bからの冷却剤の漏れを適切に防止することができる。また、一対のOリング24aの間には、上記した第2径方向流路48dが開口している。
穿孔作業の際、ドリルビット2の先端(切刃11)を穿孔対象物Cに押し付けると、出力軸22が入力軸21に対して相対的に後退する。すると、後側のOリング24aおよび第2径方向流路48dは、通液部位36d(またはテーパー部位36f)に臨む位置にずれ、第2径方向流路48dと第2加圧流路23bとが連通(開弁)する(図2(b)参照)。そして、第2加圧流路23b内の冷却剤は、第2径方向流路48dを通って第2出力軸内流路48cへと流れ込み、ビット内流路13に供給される。このとき、前側のOリング24aは、弁座24b(摺接部位36e)に密接しているため、第2加圧流路23bは液密に保たれている。
一方、穿孔作業終了後または穿孔作業前には、第1加圧流路23aおよび第2加圧流路23bに導入された冷却剤による圧力が、第1受圧部49aおよび第2受圧部49bに作用することで、出力軸22が入力軸21に対して相対的に前進する。すると、後方のOリング24aおよび第2径方向流路48dは、弁座24bに密接する位置に臨み、第2径方向流路48dと第2加圧流路23bとが遮蔽(閉弁)され、ビット内流路13への冷却剤の供給が停止する(図2(a)参照)。このとき、後方のOリング24aは、テーパー部位36fにガイドされて円滑に摺接部位36eに入り込み、適切な閉弁状態となる。
上記した出力軸22の前進方向への移動は、受圧部49(第1受圧部49aおよび第2受圧部49b)に作用する冷却剤の圧力によるため、例えば、ばね等で強制的に前進方向に付勢する場合に比べて、ゆっくりと移動する。このため、穿孔作業が終了して、ドリルビット2の穿孔対象物Cに対する押し付けを解除した後にも、すぐには閉弁されず、ドリルビット2への冷却剤の供給が僅かな時間継続される。これにより、穿孔した孔内部の粉塵を冷却剤と共に洗い流すことができ、ドリルビット2を引き抜いた後、孔内部の清掃を別途行う必要がなく、その後の工程(アンカー埋設等)に円滑に移行することができる。
なお、第1加圧流路23aまたは(および)第2加圧流路23bに、出力軸22の前方への移動を補助するためのばね(図示省略)を配設してもよい。この場合でも、出力軸22を前方に移動させるのは受圧部49に作用する圧力であり、ばねは、あくまで、補助的に設けるものである。また、作業者は、穿孔作業終了(電動ドリル3の駆動の停止)後、弁機構24が閉弁するまで、ドリルビット2を引き抜かないようにすることが好ましい。
また、第1出力軸内流路48aは、細径部41の径に対して十分に細径とすることが好ましい。このようにすることで、第1加圧流路23aと第2加圧流路23bとの圧力は、それぞれ時間差をもって個別に高まって行くため、出力軸22は、入力軸21に対して、よりゆっくりと前進する。これにより、穿孔対象物Cに対するドリルビット2の押し付けを解除した後の閉弁を、より遅らせることができ、孔内部の洗浄を、より的確に行うことができる。
続いて、図3ないし図8を参照して、ガイドアタッチメント5について説明する。ガイドアタッチメント5は、ドリル本体15の前端部に突出形成された一対のガイドホルダー51と、穿孔対象物Cに突き当てられるノーズブロック52と、ガイドホルダー51とノーズブロック52との間に渡した一対のスライドガイド53と、を有している。なお、一対のスライドガイド53とドリルビット2とは、左右のスライドガイド53の中間にドリルビット2を位置させて、相互に平行に前方に延在している。
各ガイドホルダー51は、図3において、ドリル本体15の前端部の上側に一体形成されたブロック状の部材であり、アルミダイキャストで構成されている。また、一対のガイドホルダー51は、図3において、ドリル本体15の左右両端に配設されている。各ガイドホルダー51には、前後方向に軸貫通孔54が貫通形成されており、各軸貫通孔54には、ガイドナット55が嵌合し、径方向から留めねじ56により固定されている。そして、このガイドナット55に各スライドガイド53の後端部が螺合するようにして、支持されている。なお、本実施形態では、各ガイドホルダー51をドリル本体15と一体に形成しているが、各ガイドホルダー51を別部材としてドリル本体15に取り付けるようにしてもよい。
図3および図4に示すように、ノーズブロック52は、中心部にドリルビット2の先端部が臨む挿通開口61が貫通形成された突当てガイド部57と、一対のスライドガイド53の前端部が固定される一対のガイド固定部58と、挿通開口61に装着したダストシール59と、で構成されている。なお、突当てガイド部57および一対のガイド固定部58は、アルミダイキャスト等で一体に形成され、ダストシール59は、ゴム等の弾性材で形成されている。
突当てガイド部57は、穿孔対象物Cに突き当てる板状に形成された板部62と、板部62の幅中心から後方にブロック状に突出したブロック部63と、で一体に形状されている。板部62は、平面視、横長の矩形(4つの角が直角)を為しており、板部62の穿孔対象物Cに突き当てる面(当接面S)には、ゴム等(フッ素ゴムであることが好ましい。)の弾性材で形成された当接シート64が貼着されている。当接面Sとドリルビット2の軸方向とは、直交しており、突当てガイド部57を穿孔対象物Cに突き当てると、ドリルビット2は、穿孔対象物Cに対して直角に対峙する(図1参照)。
穿孔作業を行う際に、作業者は、ノーズブロック52を穿孔対象物Cに突き当て、突当てガイド部57の当接面Sを穿孔対象物Cの表面(穿孔面)に面接触させる。このとき、穿孔面と当接面Sとが面接触しているため、穿孔面とドリルビット2との直交状態を安定保持することができる。この状態で、電動ドリル3による穿孔作業を行うことで、穿孔面と直交する方向に孔を形成することができる。さらに、当接シート64(当接面S)は、弾性材から成るため、ノーズブロック52を穿孔対象物Cに突き当てた際に、穿孔対象物Cを傷つけてしてしまうことがない。なお、当接シート64は、滑り止め機能を有するものであることが好ましい。これにより、穿孔作業開始時のドリルビット2の軸ぶれや穿孔作業中の位置ずれを有効に防止することができる。
また、板部62の平面寸法は、外装タイルとして頻繁に用いられる「ニュー小口」の寸法(94mm×54mm)に対応して、90mm×40mmとなっている。さらに、図3において、突当てガイド部57の上側、幅方向の中央には、ドリルビット2の軸中心を指標する照準部材65が設けられている。これらの構成により、穿孔対象物Cの要穿孔箇所に対して正確な位置合せが可能となり、所望の位置に適正な穿孔を行うことができる。なお、板部62の平面寸法は、上記の寸法に限られたものではなく、穿孔対象物C等、使用状況に合わせて任意に変更することが好ましい。
図3において、ブロック部63の下側には、ドリルビット2の先端部が臨む挿通開口61の内周面から斜め後方に向かって排出口66が貫通形成されている。排出口66には、接続部材67(継手)の一端が螺合固定され、接続部材67の他端には、回収チューブ7cが接続される。これにより、挿通開口61には、排出口66、接続部材67および回収チューブ7cを介して冷却剤回収手段7が接続され、ドリルビット2に供給された冷却剤は、冷却剤回収手段7により吸引回収される(図1参照)。
なお、本実施形態では、穿孔対象物Cに対して突当てガイド部57が面接触するように構成されていたが、図5(a)に示すように、突当てガイド部57の穿孔対象物Cに向き合う面の四隅に凸部68を設けてもよい。この場合でも、上記と同様に、穿孔面とドリルビット2との直交状態を安定保持することができる。なお、凸部68の形状、配設数および配設位置は任意である。
また、図5(b)に示すように、板部62の下側の角部(2箇所)を切り欠いて、正面視「T」字状に形成してもよいし、図5(a)に示したものと同様に、「T」字状の板部62に凸部68を3箇所に設けてもよい。他にも、図示は省略するが、板部62の角部を除いた部分に、切欠き部や開口部を形成してもよい。つまり、穿孔対象物Cに対してドリルビット2が直角に対峙するように、突当てガイド部57が構成されていればよい。これにより、要穿孔箇所への位置合せを容易に行うことができる。
各ガイド固定部58は、図3において、突当てガイド部57の上側に突出したブロック状の部材である。また、一対のガイド固定部58は、図3において、突当てガイド部57の左右両端に配設されている。各ガイド固定部58には、前後方向に固定雌ねじ孔69が貫通形成されており、各固定雌ねじ孔69には、各スライドガイド53の前端部が螺合している。これにより、ノーズブロック52は、一対のガイドホルダー51から平行に延在した一対のスライドガイド53に支持される。
図6(a)に示すように、ダストシール59は、突当てガイド部57の挿通開口61に挿入装着される円筒部59aと、穿孔対象物Cに密着する内外2重の環状シール片の形態を有するホーン部59bと、円筒部59aとホーン部59bとの間に介設されるシールフランジ部59cと、で一体に形成されている。円筒部59aは、有底円筒状に形成されており、底部には、上記した挿通開口61に連通する挿通孔(図示省略)が形成されている。また、円筒部59aの内周面には、上記した排出口66に連通する長円形の排出孔59dが形成されている。
なお、図4に示すように、突当てガイド部57に開口した挿通開口61は、後方において円筒部59aの直径と略同一径で開口した細径開口61aと、前方においてホーン部59bが押し付けられて拡がったときの直径と略同一径で開口した太径開口61bと、から構成されている。また、太径開口61bは、ダストシール59を挿通開口61に前方から挿入装着した際に、シールフランジ部59cが当接面Sより僅かに入り込む程度の深さを有している。すなわち、ダストシール59を挿通開口61に装着した状態では、ホーン部59bが当接面Sから僅かに突出している。
ノーズブロック52が最前進端位置にある状態において、ドリルビット2の切刃11は、所定の間隙を存してダストシール59内に収容されている。穿孔作業に伴い、ノーズブロック52が穿孔対象物Cに押し付けられると、切刃11は、密接したダストシール59から相対的に突出しながら穿孔対象物Cに切り込んで行く。この際、シールフランジ部59cが細径開口61aの縁部に押し付けられるため、ダストシール59は、挿通開口61(細径開口61a)に潜り込んでしまうことがない。
また、図6(b)に示すように、ダストシール59の穿孔対象物Cへの押し付けに伴って、ホーン部59bの内外2重の環状シール片は、径方向外側に撓んで拡がり、穿孔対象物Cに密着する。このとき、撓んだホーン部59bは、相対的に後退しながら太径開口61b内で拡がるため、ホーン部59bと当接面Sとは、面一となる。これにより、ホーン部59bと共に当接面S(当接シート64)も穿孔対象物Cに密着する。このように、ダストシール59により穿孔縁部を2重にシールすると共に、当接シート64が、ダストシール59の周りを更に囲むように密着しているため、穿孔面とドリルビット2との直交状態を安定保持しつつ、粉塵混じりの冷却剤の飛散および漏れを有効に防止することができる。
一方、穿孔した孔から流出した粉塵混じり冷却剤は、ダストシール59の排出孔59dおよび排出口66等を通って冷却剤回収手段7により吸引回収される。なお、回収した冷却剤は、濾過して再使用することが好ましい。
図3および図7に示すように、一対のスライドガイド53は、電動ドリル3(ガイドホルダー51)に対するノーズブロック52の前後方向の摺動をガイドするものであり、穿孔深さを調整する機能を有する第1スライドガイド53aと(図3、図7において右側)、ノーズブロック52が前進端位置を規制する第2スライドガイド53bと(図3、図7において左側)、第1スライドガイド53aおよび第2スライドガイド53bにそれぞれ巻回するように設けた一対のコイルスプリング90と、から構成されている。
第1スライドガイド53aは、前端部で上記したノーズブロック52を支持する第1ガイド筒70と、後端部で上記したガイドホルダー51に支持された第1ガイドロッド71と、を有し、第1ガイド筒70に対しで第1ガイドロッド71が入れ子式で摺動自在に連結されている。
第1ガイド筒70は、いわゆるストレート孔が軸心に貫通形成された筒状の部材であり、その前端部の外周面には、上記したノーズブロック52のガイド固定部58に螺合固定する第1筒雄ねじ部72と、第1筒雄ねじ部72の後方に配設され、工具掛け部を有する第1筒フランジ部73と、で一体に形成されている。第1筒雄ねじ部72は、ガイド固定部58の固定雌ねじ孔69に螺合し、固定される。第1筒フランジ部73は、固定雌ねじ孔69の周縁部に当接し、第1筒雄ねじ部72のねじ込みが規制される。これにより、ガイド固定部58の先端から第1筒雄ねじ部72が突出しないようになっている。
第1ガイドロッド71は、前方から、先端がガイド固定部58を貫通して露出する接触部74と、第1ガイド筒70に摺動自在に係合する第1摺接部75と、ガイドホルダー51(図3、図7において右側)に嵌合固定されたガイドナット55に螺合する調整雄ねじ部76と、穿孔深さを指標するスケールプレート79(後述する。)に対するポインターとなる指示部77と、で一体に形成されている。なお、接触部74、第1摺接部75および調整雄ねじ部76は、断面が円形に形成された円柱状を為し、一方、工具掛け部を兼ねる指示部77は、断面が正方形に形成された四角柱状を為している。
接触部74は、第1ガイド筒70の内径よりも細径に、且つ先端部分がテーパー状に形成され、第1ガイド筒70の内周面に摺接しないようになっている(図7(a)参照)。第1摺接部75は、第1ガイド筒70の内周面に摺動可能な寸法公差を存して摺接している(図7(a)参照)。また、ガイド固定部58の固定雌ねじ孔69には、前方から、第1ガイドロッド71(第1ガイド筒70)の前方端が度当りする度当り部材71aが螺合して固定している(図7(a)参照)。度当り部材71aの軸心には、前側において接触部74が挿通可能に、一方、後側において第1摺接部75が挿通可能に形成された段付孔71bが貫通開口している(図7(c)参照)。
穿孔作業では、ノーズブロック52を穿孔対象物Cに突き当てて電動ドリル3による穿孔が進むと、ノーズブロック52のガイド固定部58に固定された第1ガイド筒70が後退し、第1ガイドロッド71および電動ドリル3が相対的に前進する。すると、接触部74は、第1ガイド筒70およびガイド固定部58から突出すると共に、第1摺接部75の前方端面(接触部74と第1摺接部75との段部)が、段付孔71bの段部に接触(度当り)する(図7(b)参照)。これにより、第1ガイドロッド71および電動ドリル3の前進が規制される。また、第1摺接部75が度当り部材71aに度当りし、所定の穿孔深さの孔が形成された状態で、接触部74は、ガイド固定部58から前方に突出(露出)する。突出した接触部74は、度当りした状態で約5mmの間隙を有し、穿孔対象物Cに接触することはない。これにより、穿孔対象物Cを傷つけてしまうことがない。なお、接触部74の先端と穿孔対象物Cとの間隙の大きさ(距離)は任意である。また、露出した接触部74を、作業者が認識することにより、所定の深さの穿孔が終了したと認識することができる。これにより、穿孔終了を作業者の勘や経験に頼ることなく、目視で確認でき、誰でも簡単に且つ確実に穿孔作業を行うことができる。
調整雄ねじ部76は、ガイドホルダー51(ガイドナット55)を貫通して後方に延在しており、この延在した調整雄ねじ部76には、後方からガイドナット55の後端部に添接するロックナット78(六角ナット)が螺合している。また、この延在した調整雄ねじ部76に沿うように、モーターハウジング16(ドリル本体15)には、穿孔深さを指標する目盛りが刻まれたスケールプレート79が貼着されている。
上記のように、ガイドナット55(ガイドホルダー51)と調整雄ねじ部76とから構成された調整ねじ機構ASでは、第1ガイドロッド71を、正逆回転させて進退させることにより、接触部74の先端とノーズブロック52の当接面Sとの離間距離(穿孔深さ)が無段階に調整される。この際、指示部77の後端を、スケールプレート79に合わせながら調整することで、所望の穿孔深さに設定することができる。このため、作業者が、物差し等を別途用意せずとも、穿孔深さの調整を迅速かつ精度良く行うことができる。
そして、穿孔深さを調整した後に、ロックナット78を、後側からガイドホルダー51に添接させて締め付けることで、弛み止め状態で固定される。これにより、調整した第1ガイドロッド71の位置が、穿孔作業に伴う振動等により、弛むことがない。なお、ロックナット78を締め付ける場合には、連れ回りを防止すべく指示部77にも工具を掛けて回り止めとする。
また、このような調整ねじ機構ASは、単純な構造であり、しかも、ノーズブロック52を支持する第1スライドガイド53a(第1ガイドロッド71)が、穿孔深さを調整する機能を兼ねているため、穿孔作業の邪魔になるような突出部分等がない。さらに、調整ねじ機構ASは、第1ガイドロッド71がガイドナット55(ガイドホルダー51)に直接螺合するため、一定の締め込み長さを有し、且つ第1ガイドロッド71は、第1ガイド筒70から回転抵抗を受けるため、比較的弛み難い構成とすることができる。このため、穿孔作業中の振動等により調整した第1ガイドロッド71の摺動端位置(穿孔深さ)のずれを有効に防止することができる。
なお、本実施形態では、第1摺接部75が度当り部材71aに度当りすることで、第1ガイドロッド71および電動ドリル3の前進を規制していたが、図8(a)に示すように、第1ガイド筒70の前端部を塞ぐことで、その塞いだ部分に接触部74を接触させてもよい。また、同様に、ガイド固定部58の前端部を塞ぐようにしてもよい(図8(b))。他にも、接触部74が穿孔対象物Cに接触することで、第1ガイドロッド71および電動ドリル3の前進を規制してもよい(図8(c)参照)。これらの場合でも、所望の穿孔深さの穿孔を行うことができる。なお、接触部74を穿孔対象物Cに接触させる場合には、穿孔対象物Cに傷をつけないように接触部74の先端を弾性材等で覆う(または弾性材で形成する)ことが好ましい。
続いて、第2スライドガイド53bは、後端部で上記したガイドホルダー51に支持された第2ガイド筒80と、前端部で上記したノーズブロック52を支持する第2ガイドロッド81と、を有し、第2ガイド筒80に対しで第2ガイドロッド81が入れ子式で摺動自在に連結されている。なお、第2スライドガイド53bは、第1スライドガイド53aと点対称に配設されているが、第1スライドガイド53aと左右対称に配設してもよい。
第2ガイド筒80は、後端部の外周面には、ガイドホルダー51(図3、図7において左側)に嵌合固定されたガイドナット55を介して螺合する第2筒雄ねじ部82が形成されている。第2筒雄ねじ部82は、ガイドホルダー51(ガイドナット55)を貫通して後方に延在しており、この延在した第2筒雄ねじ部82には、Uナット83が螺合している。このUナット83を後方からガイドナット55の後端部に添接させて締め付けることで、第2ガイド筒80は、ガイドホルダー51に弛み止め状態で固定される。
また、第2ガイド筒80の軸心には、いわゆるストレート孔が形成されているが、前端部のみ環状の段部を存して幾分細径に形成され、この部分に第2ガイドロッド81の抜け止めとして機能する抜止め部84が形成されている。
第2ガイドロッド81は、前端部の外周面に上記したガイド固定部58の固定雌ねじ孔69に螺合する第2ロッド雄ねじ部85と、第2ロッド雄ねじ部85の後方に配設され、工具掛け部を有する第2ロッドフランジ部86と、第2ロッドフランジ部86に連なるロッド本体87と、ロッド本体87の後端部に形成された第2摺接部88と、で一体に形成されている。
第2ロッド雄ねじ部85は、固定雌ねじ孔69に螺合することで、第2ガイドロッド81がノーズブロック52のガイド固定部58に固定される。第2ロッドフランジ部86は、固定雌ねじ孔69の周縁部に当接し、第2ロッド雄ねじ部85のねじ込みが規制される。これにより、ガイド固定部58の先端から第2ロッド雄ねじ部85が突出しないようになっている。
第2摺接部88は、ロッド本体87より太径に形成されており、第2ガイド筒80に対して抜け止め状態で係合している。すなわち、上記した抜止め部84に、第2摺接部88が突き当たることで、第2スライドガイド53b(ノーズブロック52)の最前進端位置が位置規制される(図7(a)参照)。同様に、ノーズブロック52が、第2ガイド筒80の先端に突き当たることで、第2スライドガイド53b(ノーズブロック52)の最後退端位置が位置規制される。また、ロッド本体87は、第2ガイド筒80の抜止め部84の内周面に摺接し、第2摺接部88はストレート孔の内周面に摺接する。これにより、第2ガイドロッド81は、第2ガイド筒80に対し、常に2箇所で摺接し、直進性を維持しつつ円滑に摺動するようになっている。
各コイルスプリング90は、後方端をガイドナット55に当接すると共に前方端を第1筒フランジ部73または第2ロッドフランジ部86に当接して、圧縮ばねとして機能している。すなわち、各コイルスプリング90は、ガイドナット55(ガイドホルダー51)を受けとしてノーズブロック52を前方に付勢している。なお、コイルスプリング90は、第1スライドガイド53aまたは第2スライドガイド53bのどちらか一方のみに設けてもよい。
穿孔作業は、作業者が電動ドリル3を手で持った状態で行われ、穿孔に伴ってドリルビット2が徐々に前進してゆくと、一対のスライドガイド53は一対のコイルスプリング90に抗して収縮して行き、その際、一対のコイルスプリング90に付勢されたノーズブロック52は、穿孔対象物Cに、常に突き当てられた状態を維持する。穿孔が調整した穿孔深さに達すると、第1ガイドロッド71の先端部が度当り部材71aに突き当たって穿孔が規制される(図7(b)参照)。このようにして穿孔作業が完了したら、作業者は力を抜くようにする。すると、一対のコイルスプリング90のばね力が作用し、一対のスライドガイド53に案内されつつドリルビット2を孔から真っ直ぐに引き抜かれる。
以上の構成によれば、手間を掛けずに穿孔した孔内部の粉塵を洗い流すことができるため、効率良く穿孔作業を行うことができる。
また、電動ドリル3による穿孔面と直角をなす方向への穿孔作業が、経験や勘に頼ることなく誰でも簡単に行うことができる。
さらに、穿孔対象物Cに対しての穿孔をガイドすることができると共に、調整した穿孔深さが狂うこと無く、電動ドリル3による穿孔作業を行うことができる。
1:穿孔装置、2:ドリルビット、3:電動ドリル、4:冷却剤供給アタッチメント、5:ガイドアタッチメント、13:ビット内流路、20:アタッチメントケース、21:入力軸、22:出力軸、23:加圧流路、23a:第1加圧流路、23b:第2加圧流路、24:弁機構、24a:Oリング、24b:弁座、25:冷却剤導入口、36a:第1摺動支持部、36c:第2摺動支持部、41:細径部、42:太径部、48:出力軸内流路、48b:第1径方向流路、48d:第2径方向流路、49:受圧部、49a:第1受圧部、49b:第2受圧部、51:ガイドホルダー、52:ノーズブロック、53:スライドガイド、53a:第1スライドガイド、53b:第2スライドガイド、57:突当てガイド部、59:ダストシール、61:挿通開口、64:当接シート、70:第1ガイド筒、71:第1ガイドロッド、78:ロックナット、79:スケールプレート、80:第2ガイド筒、81:第2ガイドロッド、90:コイルスプリング、C:穿孔対象物、AS:調整ねじ機構、S:当接面

Claims (4)

  1. 冷却剤が流れるビット内流路を形成したドリルビットと前記ドリルビットが装着される電動ドリルとの間に介設され、前記ドリルビットの先端を穿孔対象物に押し付けることで、穿孔中の前記ドリルビットの先端に冷却剤を供給する冷却剤供給アタッチメントにおいて、
    前記電動ドリルの主軸側に固定されると共に、冷却剤を導入する冷却剤導入口を形成したアタッチメントケースと、
    前記電動ドリルの主軸に連結され、前記アタッチメントケースに回転自在に軸支された入力軸と、
    先端部に前記ドリルビットが装着され、前記入力軸に対し一体回転自在に且つ軸方向に摺動自在に保持されると共に、前記ビット内流路に連通する出力軸内流路を形成した出力軸と、
    前記入力軸と前記出力軸との間隙に構成され、前記冷却剤導入口に連通する加圧流路と、
    前記加圧流路に臨む前記出力軸に形成され、前記加圧流路に導入した冷却剤により前進方向の圧力を受ける受圧部と、
    前記入力軸と前記出力軸との間に構成され、前記出力軸の後退に伴って前記出力軸内流路に連なる径方向流路と前記加圧流路とを連通すると共に、前記出力軸の前進に伴って前記径方向流路と前記加圧流路とを遮蔽する弁機構と、を備え、
    前記出力軸は、後側の細径部と前側の太径部とを有し、
    前記入力軸は、前記細径部を支持する第1摺動支持部と、前記太径部を摺動自在に支持する第2摺動支持部と、を有し、
    前記受圧部は、前記細径部の後端面で構成した第1受圧部と、前記太径部と前記細径部と間の段部で構成した第2受圧部と、を有し、
    前記加圧流路は、前記第1受圧部が臨む第1加圧流路と、前記第2受圧部が臨む第2加圧流路と、を有し、
    前記第1加圧流路と前記第2加圧流路とは、前記細径部に形成された前記出力軸内流路を介して連通していることを特徴とする冷却剤供給アタッチメント。
  2. 前記弁機構は、
    前記太径部の外周面に係合する弁体と、
    前記第2加圧流路の下流端部の内周壁で構成した弁座と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の冷却剤供給アタッチメント。
  3. 前記弁体は、前記太径部に嵌合した一対のOリングであり、
    前記一対のOリングの間には、径方向から前記径方向流路が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の冷却剤供給アタッチメント。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の冷却剤供給アタッチメントと、
    前記電動ドリルと、を備えたことを特徴とする穿孔装置。
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