JP5106072B2 - 電磁石の巻型の中央に成形端コイルを配置して保持する方法 - Google Patents

電磁石の巻型の中央に成形端コイルを配置して保持する方法 Download PDF

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Description

本発明は電磁石コイル、特に電磁石用の端コイルの取り付け方法に関する。望ましい実施形態では、本発明は、核磁気共鳴(NMR)又は磁気共鳴画像法(MRI)等の画像処理システムに用いられる超伝導電磁石用の端コイルの取り付け法に関する。
機械加工した巻型に形成したスロットに線材を「現場で」巻き付けることで、核磁気共鳴(NMR)又は磁気共鳴画像法(MRI)等の画像処理システムに用いる電磁石コイルを製造するのが一般的である。また、ソレノイド構成の中心の方に配置するコイルの直径よりも直径の小さい端コイルを製作することで、必要とされる磁界の均質性を一層容易に実現できることも公知である。
こうした構成は、コイルを配置して保持するのに適した位置及び直径のスロットを備えた巻型を設けることで実現されてきた。しかし、特に核磁気共鳴(NMR)又は磁気共鳴画像法(MRI)等の画像処理システム用の超伝導電磁石用の分野では、人間の患者や病気の動物又は画像化すべき他の対象に接近し易くし、画像処理システム内に収容された際の患者の閉所恐怖感を軽減し、更に当該技術において周知の極低温容器及び外部真空容器等の他のシステム部品のコストを低下させるべく、できるだけ電磁石の全長を短くすることが必要となる。更に、コイルの巻き付けに用いる線長をできるだけ短くすることも必要となる。これは、主として超伝導体線の単位長当たりの値段が高いためであるが、システム全体の軽量化にも役立ち、その結果、更に緩衝部品の機械的強度要件が緩和される故、それを利用して、緩衝部品のサイズを縮小することも可能になり、電磁石及びその冷却システムに対する熱流束が減少する。
これら要件に対する既知の解決法は、個別に成形した端コイルの利用を含む。こうした構成では、長さを短縮した内部巻型を用い、端コイルは巻き付けていない。内部巻型は、通常外部表面に形成したスロットにコイルを巻き付けたアルミニウム管である。コイルには、一般に現場で樹脂含浸を施す。端コイルは独立した型内で巻く。こうして巻いた端コイルを、硬化可能な熱硬化性樹脂で含浸する。成形コイルを、次に型から取り外し、独立部品として内部巻型の端部に取り付ける。一般に、端巻型を設け得る。これらは、内部電磁石の端コイル及び外部遮蔽コイルを支持すべく、正確に機械加工した機械的装置とできる。それらを、任意の適当に正確な機械的加工により、一般には巻型部品をボルトで留めることで、組立て中に内部巻型に取り付ける。端部コイルは、一般に、クランプリングによって端巻型に保持する。こうした構成の利点に、巻型材料を端コイルの内部表面又は端面に設けないという事実が含まれる。半径方向の内部表面に巻型材料が存在しないので、端コイルの内径を内部巻型の内径迄縮小でき、長さを短縮し、従って全てのコイルを一体巻型の外部表面に巻き付ける構成に比べて、必要な超伝導線のコストも低下する効果がある。端コイルの軸方向端面に巻型材料が存在しない故、従来、端コイルの各軸方向端を越えて設けていた巻型材料の長さ寸法だけ、電磁石の全長を短縮できる。
図1は、例えばガラス繊維又はガラス玉を含む熱硬化性樹脂を含浸させた外側外皮層2を装着したコイル20を備えた、既知構成の四分の一断面図である。これは、熱拡散障壁の働きをする。この外皮は、段差形状部分3も形成する。構造ウェブ4は、巻型に機械的に連結される。通常アルミニウム合金からなるスラストリング5が、ウェブ4に溶接される(6)。スラストリング5は、端コイルを直径方向所定位置に保持する外被を備える。端コイル20は、スラストリング内に収められる。コイルの軸方向位置を調整し、電磁石の両端間における非対称性を補償すべく、バランスシム9を設け得る。コイルクランプリング7を、外皮2の段差3に押し当て、スラストリング5に逆らってコイルを所定位置に保持している。ボルト8等の締結装置によって、クランプリングが段差3に押し付けられる。ソレノイド構成の軸は、線A−Aに対して平行である。
既知の成形端コイルは、特にコイルの内側半径に近い巻き部分がクエンチを被る可能性がある。磁界強度は、半径内側で特に高く、コイルの半径外側に生じる磁界強度の2倍になり得る。
成形コイルが比較的不正確であることは周知である。これは、硬化中の含浸材料の収縮が異なることで生じる。巻型に取り付けた成形コイルを利用すると、コイルと巻型との接触にむらを生じがちになる。動作時、電磁石コイルは、極めて強い力に曝される。接触にむらがあると、これらの力に伴い、コイル又は巻型の局部応力の強い箇所が変形する可能性がある。この降伏によってクエンチを生じる危険がある。強い力とむらのある接触の組み合わせは、コイルの若干の周方向移動を生じさせる可能性もあり、そのためクエンチ即ち磁界特性の最適状況からの逸脱を生じさせ得る。従って、巻型に対して成形コイルをぴったりと、堅く、正確に装着すべく、シムを用いるのが通例である。
外部コイルの軸方向位置を調整するためのバランス用シムは、従来の電磁石構成で既知である。一般に、樹脂含浸成形コイルは端コイルとして用いられる。それらの軸方向位置は、組み立て中、設計仕様を目指して裸電磁石の均質性を向上させるべく変化させ得る。商品名Mylarポリエステルシート等の電気絶縁性で非磁性の材料によるシムが、端コイルと巻型の間に配置される。シートの数及び厚さを、コイル位置を調整して、裸電磁石の均質性を最適化すべく選択する。軸方向シムの主目的は、成形コイルの使用によって導入されるエラーを補正することにある。
コイル及びその巻型の隣接する半径方向表面が、円形でない場合もある。成形コイルの内径がその外部表面と同心ではない場合もある。
クエンチトレーニング挙動を改善すべく、半径方向の外側表面A2にコイルをしっかりと把持するアルミニウム製巻型外被を設けることは公知である。
しかしこうした構成には幾つかの欠点があり、次にその幾つかを簡単に説明する。
電磁石組立体を、僅か4Kと言う様な動作温度迄冷却すると、一般にアルミニウム又はアルミニウム合金製の巻型は、通常主に銅からなる端コイルに対し直径が収縮する。このため、コイルを所定位置に確実に保持することを目的とした、巻型によるコイルの強固な把持が施される。しかし端コイルが動作中に移動する場合、所謂スティックスリップ事象の際、このしっかりとした把持が、事実上クエンチ現象の原因になる危険がある。動作に対するスティックスリップ事象の影響は、トレーニング、即ち電磁石内で電流が一定比率で増減を繰返し、コイルが安定位置に落ち着くことで軽減される可能性がある。
成形端コイルは、電磁石の残りの部分とは別個に巻回せねばならず、このため、機械の設定時間が長くなり、巻きバランシングがより困難になる。巻きバランシングは、製造される電磁石の設計からの偏差を補償し、なおかつ、設計磁界をほぼ実現すべく、電磁石の組立て中に実施される一連の工程に対して与えられた名称である。電磁石は、高い精度で組み立てねばならず、しかも、個々の部品の製造公差を考慮せねばならない。一般に、アルミニウム製巻型には、銅ベースの超伝導線材を巻き付けるスロットが機械加工される。
一連の巻きバランシングにおいて、下記の工程が実施される。スロットの形成寸法及び線材の実際の断面が相俟って、層当たりの所望の巻数に対応できないか、又は、スロットの軸方向距離を完全に埋めるには、より多くの巻数及び/軸方向シムが必要になる可能性がある。如何なる範囲の移動でも、動作中の電磁石にクエンチを生じさせる危険があるので、軸方向に沿って各スロットを完全に埋めることが重要である。巻型に形成したスロットの寸法を、正確に測定し、用いる超伝導線材の断面の正確な測定値と比較する。コイルを少なくとも部分的に巻き付け、その後、寸法及び巻数を測定する。これらの測定値が分かると、完成した電磁石のシミュレーションを実施し、予測均質性を得られる。スロットを完全に埋めるには、設計仕様から層当たりの巻数を変更せねばならないことが分かる場合もある。これに関し、線材の断面が長さに沿って一定でない可能性があるので、これに注意を払わなければならず、層が異なれば巻数を変えることになる場合もある。予測磁界をその設計の裸電磁石の均質性に戻すため、電磁石コイルの任意のものについて、巻数を増やし又は減らす。完全な巻きだけを増やすか又は減らすことが望ましく、裸電磁石の設計均質性を実現すべく、部分巻きによることなく、2つ以上のコイルの巻数を調整することが必要になる場合もある。設計磁界を実現すべく、電磁石のコイルの巻数に対するこの調整は、巻きバランシングとして既知である。
成形端コイルを用いる場合、巻きバランシングを調整することはできず、電磁石の他のコイルを調整して、成形端コイルにおける誤差を補償することが必要になる。
端コイル用の典型的な数個割り型の複数部分に対する積重ね公差及び端コイルのゲル化と硬化及び冷却中の樹脂含浸剤の不均一な収縮のため、完成した端コイルの外部円筒状表面は、一般に、真円でもなく、端コイルの巻線の内部円筒状表面と同心でもない。
端コイル表面の寸法と仕上げは正確に制御できない故、比較的高くつくシム入れ工程を利用し、端コイルと電磁石の残りのコイルを保持する巻型との所望のぴったりした嵌め合いを実現する必要がある。これは、制御が困難な時間のかかる工程である。端コイルと巻型の嵌め合いが十分に良好でないと、クエンチ現象を起こす危険がある。例えば弱い摩擦接合の破綻に伴うコイルの既知のスティックスリップ移動と動作中のコイルの突然の移動が、コイルの移動中の摩擦に伴う熱によりクエンチを起こす危険がある。同様に、巻型に対する端コイルの接触にむらがあると、強い局部接触応力を生じ、コイルと巻型の一方又は両方を変形させる危険がある。これら効果は、クエンチ現象を助長する可能性がある。
こうした欠陥が累積すると、端コイルが電磁石コイルの残りと同心をなすことは稀になり、横断均質性の制御が不全になる。
更に、端コイルの形成に一般に用いられる数個割り型は頻繁な再塗布を必要とする剥離材料でコーティングされ、このため、生産時間及びコストが増すことになる。
本発明の目的は、別個に成形した端コイルの利点の大部分を保有し、同時に、上述の欠点に少なくとも部分的に対処した、成形端コイルを電磁石巻型の中央に配置し、保持するための新規の方法を提供することにある。
従って、本発明は、請求項に規定した方法及び装置を提供する。
次に、添付の図面に関連し、例示のためだけに示す本発明の幾つかの実施形態を参照しつつ、本発明の以上の及びその他の目的、特性及び利点について説明する。
図2に例示の如く、成形端コイル20には一般に外側外皮22が設けられている。型に線材が巻きつけられ、次に、線材の外側表面に外皮層が被せられる。線材は、一般には熱硬化性樹脂である適合する材料が含浸される。外皮22の材料にも、熱硬化性樹脂又は同様の硬化材料が含まれる。外皮用に選択される材料次第では、線材と外皮の含浸が同時に行われる場合もある。外皮22用の一般的な材料には、樹脂含浸ガラス繊維クロス又はガラス玉を充填した樹脂が含まれる。外皮層は、線材が含まれておらず、保護及び機械的締結のために設けられている。
従来技術で用いている成形端コイルに関する問題は、コイル外皮の外径と巻線の内径との関係が正確に分からない点である。この結果、巻線と電磁石の残りの部分が同心をなすように、端コイルを位置決めするのが困難になる。それは、端コイルは半径方向の外側表面に保持されているが、巻線自体の位置は、コイルの半径方向の内側表面に対して定められるからである。この問題に対する既知解決法の1つは、過剰な厚さの外皮22を設け、硬化後、機械加工を施して外皮を円筒形とし、巻線と同心をなし、直径がコイル巻型と正確に一致するようにすることである。こうしてシム入れを行わずに、端コイルを端巻型に正確に配置することが可能になる。しかし、この方法では、時間を要し、コイル巻線とリード線に機械的損傷を生ずる危険がある。本発明は、端コイルの機械加工を行わず、個別成形の端コイルを巻型に対し同心をなすように取り付ける方法を提供する。
慣例的に、下記のように、矩形ソレノイドコイルの表面について言及する。半径方向の内側表面と外側表面及び内側半径と外側半径は、各々A1及びA2と呼ばれる。軸方向の内側及び外側表面と、内側位置及び外側位置とは、各々B1及びB2と呼ばれる。これらの表示を、図2の端コイル20の対応する面に記してある。
図2は、本発明方法の1つに従い巻型12に取り付ける工程における端コイル20の軸方向4分の1断面図を示す。電磁石の軸は線A-Aと平行である。上述の如く、巻型は端コイル20の半径方向の内側(A1)及び軸方向の外側(B2)表面には存在しない。巻型12は、端コイルを所定位置に保持する外被24を含んでいる。一般に、巻型はアルミニウム又はアルミニウム合金製である。コイル20は一般に主として銅製である。電磁石を動作温度迄冷却すると、巻型がコイルよりも大きく収縮する故、外被24は端コイルの半径方向の外側表面(A2)を締め付ける。この外被構成それ自体は公知である。端コイル20の軸方向の内側表面(B1)と巻型の隣接表面との間に、商品名MYLARポリエステルシート又はポリテトラフルオロエチレンPTFE等の低摩擦接合面剥離材料の層26を配置するのが望ましい。この層は、巻型への端コイルの接着結合を阻止し、クエンチを生じるスティックスリップ事象の可能性を低下させるか、又はなくす。
図2に例示の如く、成形端コイル20の、裸電磁石の磁気均質性を最適化するのに望ましい位置に、端コイルを正確に位置決めすべく軸方向シム21を設けている。このシムは、製造公差を補償し、電磁石構造の非対称性を補償すべく利用する。成形端コイルは、端コイルの孔を通って巻型12の孔の端部に嵌る栓28により、巻型12の半径方向の中央に配置される。栓28は、端コイル20を巻き付けた型の中央バレルとできる。或いは、栓28は型と独立して、この機能のために設けてもよい。
本発明の一態様によれば、端コイル20の軸方向の外側表面(A2)、即ち外皮22の表面は、外被24の内側表面より直径が小さい。従って、外皮22と外被24との間に空隙30が存在する。本発明の一態様では、この空隙により、端コイルを外被24にはめ込むのに、外皮22が真円の表面を備える必要もないし、外皮表面が巻線と完全な同心をなす必要もない。空隙30の半径方向の寸法は、端コイルの軸長にわたり及びその周囲において変動することになる。
勿論、端コイル20を巻型12にしっかりと正確に保持するためには、空隙30を埋めることが必要になる。
図2に示すように、端コイル20の巻線を栓28によって巻型12と正確に同心をなすように保持している。端コイルに対して巻型の方向に軸方向の力を加え、低摩擦接合面剥離材料の層26及び巻型12に対し端コイルを軸方向に強固に保持すべく、一時的な軸方向クランプ32を設けている。軸方向クランプ32は、締め付けられると、端コイル20に締め付力を加える、ボルト34等の保持手段によって端コイル20に押し付けて保持される。軸方向クランプは、巻線に損傷を生じさせる危険を減らすため、コイル20の巻線ではなく、外皮22の材料に押し当てるのが望ましい。従って端コイルは、その設計位置に正確に保持し、栓28によって巻型12と同心をなすように保持し、クランプ32によって巻型に軸方向に押し付けて保持する必要がある。
本発明の一態様によれば、コイルは、その軸長の少なくとも一部に沿い、粘稠液体又は半流動体の形態で硬化材料を空隙30に入れることで、この理想的位置に保持できる。このため、外被の周囲に適正な間隔をおいて、幾つかの開口を巻型外被の材料に設ける。このため空隙30への接近が可能になる。従来構造の流入ニップル40、例えばネジ付きニップルをネジ付き開口38にねじ込むことで、各開口38に固定する。粘稠液体又は半流動体が望ましいが、自由に流れる液体でもよい硬化材料42を、ニップル40に取り付けたパイプ(不図示)を介して空隙30に入れる。これは、蠕動ポンプを用いるか、重力や真空を利用するか、圧力容器を用いるか或いは注入器を用いる等の、任意の適当な方法で実現できる。オーバシール24の空洞46内にOリング44等の適合するシールを設け、コイルの軸方向の内側面(B1)と巻型又は低摩擦接合面剥離材料の層26の隣接表面との間に硬化材料42が進入するのを阻止できる。或いは一時的軸方向クランプ32により端コイルに対し巻型の方向に加えられる軸方向の力で、こうした進入を充分に阻止にできる場合もある。硬化材料42は、動作温度での温度特性及び機械的特性に基づき選択する。適合する材料は、Emerson & Cuming Speciality Polymersによって商品名STYCASTで販売されているエポキシ樹脂である。適切な量の硬化材料42(その量は、試行錯誤、計算又は注入中のオペレータの観測によって決定できる)を、空隙30に注入し、ある特定のあふれ面48迄空隙を充填する。このあふれ面は、空隙の軸方向の外側端部から硬化材料が漏出する恐れがあまりないようにして、その軸長の少なくとも一部に沿って空隙30を充填するのに十分な硬化材料を供給するように決定する。
本発明の方法の望ましい一構成によれば、電磁石とコイルは、図2に示す如く、硬化材料の注入と硬化中、軸が垂直方向になるように(A−Aと平行に)配置する。このため、重力を利用し、硬化する迄空隙内に硬化材料を保持する。この構成の場合、硬化材料は、勿論、上端部の空隙にだけ注入し、硬化後、構造全体を逆にすることができ、更にもう一方の端部に硬化材料を注入して、硬化させることができる。
他の構成では、硬化材料の粘性が、硬化前に空隙から漏出するのを阻止するのに十分な場合もある。こうした構成の場合、軸(A−Aに平行)は、手順全体を通じて水平のままであってよく、硬化材料は両端の空隙に同時に注入できる。
空隙30を所望の高さ迄充填後、硬化材料42の注入を停止し、パイプを締め付るか又は別様に密封し、硬化材料を、時間の経過、冷却、加熱又は用いた硬化材料に適した他の処理によって硬化させることができる。
硬化材料42が十分に硬化した後、端コイル20を、今や固体になった硬化材料によって、巻型12と同心をなして、要求される軸方向位置に強固に正確に保持する。ニップル40、栓28及び一時的軸方向クランプ32は、全て除去できる。
端コイルは、硬化材料によって半径方向と軸方向の両方の所定位置に保持される。硬化材料は、端コイルの外皮22の外側表面の如何なる凹凸にも完全に形状一致し、外被24の半径方向の内側表面との接着結合で端コイルを保持する。端コイルは、外被24と硬化材料42で半径方向に保持され、端コイル20の外皮22と外被24の半径方向の内側表面との間の硬化材料42により施される接着結合によって軸方向に保持される。
実施形態の幾つかでは、外皮層22は不要である。コイル20に一時的半径方向クランプ32を取り付けることができ、その後、硬化材料42を用いて、コイルと適切な寸法の外被24との間の空隙が充填される。
図3Aと3Bは、本発明のもう1つの実施形態に従って電磁石の巻型の中央に成形端コイルを配置して、保持する方法を例示する。
図3A−3Bに例示の実施形態は、図2の実施形態と多くの特徴を共有しており、対応する箇所には対応する符号を付している。手順の大部分は図2に関連して説明した通りなので、ここでは、図2の方法と図3Aと3Bの方法との相違点のみを説明する。
図3Aから明らかな如く、外皮22の軸方向の外側端部近くに窪んだ段差形状部分50を設けるとよい。該段差形状部分の目的は以下に説明するが、この部分は、図2に関連した既述の方法で中央に配置し、保持された端コイルの外皮に組み込み得る。
本発明のこの実施形態では、コイル外皮22を巻型外被24に接着しておらず、硬化材料を充填した膨張可能なブラダ52により加える圧力で、加圧下に把持している。
図2の硬化材料は、粘稠液体又は半流動体が望ましい。図3A−3Bの硬化材料は、ブラダ52内に保持されている故、粘性ではなく、容易に自由に流動する液体でもよい。
ブラダ52は、空隙30の軸方向の長さの少なくとも一部に沿って、外被24の半径方向の内側表面の周りに延び、軸方向の内側及び外側縁に固定されて、ニップル40及び開口38を介して接近可能な環状の膨張可能空洞を形成する、薄いアルミニウム製ストリップから構成できる。アルミニウム製ストリップは、巻型12の材料にそのために設けたチャネル54に挿入することで、軸方向の内側縁に固定できる。ストリップは、溶接、接着結合又は機械的締付け等の適合する手段でチャネル54に保持できる。アルミニウム製ストリップは、巻型12の外被24の軸方向の外側端に設けたチャネル56に挿入することで、軸方向の外側縁に固定できる。代替実施形態では、ブラダが空隙30の軸方向の全長を越えることはない。この構成の場合、外被の半径方向の内側表面にチャネルを形成し、ストリップの内側縁及び外側縁を保持できる。ストリップは、溶接、接着結合又は機械的締付け等の適当な手段によってチャネル56に保持できる。
図3Bに例示の如く、次に液体又は半流動体硬化材料42を、ニップル40に取り付けたパイプ(不図示)を介してブラダ52に送り込み、所定の圧力になる迄ブラダを充填する。この圧力は比較的低くて足り、重力下、真空下、圧力容器又は注入器の利用等の任意の適当な方法で実現できる。硬化材料42は、動作温度での温度特性及び機械的特性に応じ選択される。Emerson & Cuming Speciality Polymersから商品名STYCASTで販売されているエポキシ樹脂が、適合する材料である。所定の圧力は、少なくとも段差形状部分50への適正な形状一致を含む、端コイルの外皮22の表面への形状一致に十分な程、ブラダ52を膨張させるに十分な硬化材料を供給すべく決定する。段差形状部分の直角内角を完全に充填する圧力になる迄、ブラダを膨張させる必要はないと考えられる。
図3Bの場合、端コイル20とその外皮22は、説明図を明瞭にすべく、膨張したブラダから僅かに変位させ、コイル20の半径方向寸法を実際より小さく示している。実際には、膨張したブラダ52は、主として所定の圧力によって決まる力で外皮22に押し付けられる。
ブラダ52が要求される圧力迄充填されると、硬化材料の注入が停止され、パイプが締め付けられるか、別の方法で密封され、まだ圧力がかかっている間に、ブラダ52内における硬化材料の硬化が可能になる。
硬化材料42が完全に硬化すると、端コイル20は、硬化材料を充填されて硬くなったブラダにより、巻型12と同心をなすように、要求される軸方向位置にしっかりと正確に保持される。この実施形態の場合、ブラダは、膨張可能なアルミニウム製ストリップと、外被24の半径方向の内側表面からなる。この構成の場合、硬化材料は、外被20に対する接着結合を形成し、ブラダは、階段形状部分50を含む外皮22の表面の凹凸に対する圧力及び形状一致により端コイルを保持する。ニップル40、栓28及び一時的軸方向クランプ32は、全て取り除き得る。端コイルは、ブラダによって半径方向と軸方向の両方で所定位置に保持される。端コイル20は、外被と硬化材料により半径方向に保持され、段差形状部分50を含む端コイルの外皮22の外側表面の如何なる凹凸にも少なくともほぼ形状一致する、膨張した硬くなったブラダの形状と、外被24の半径方向の内側表面に対する硬化材料の接着性結合によって軸方向に保持される。
段差形状部分50は、外皮22の外側表面の機械加工で設け得る。しかし先行技術に関連して既述の如く、端コイル組立体の機械加工は回避するのが望ましい。代替的に、コイルにクロス層を巻きつけて外皮を形成してもよく、最終層は、必要な段差形状部分を設けるため、端コイル自体より軸方向において幅が狭くなるように巻き付け得る。こうして形成した段差形状部分は、直角段差にならず、湾曲するか又は鈍角をなす可能性がある。こうした段差形状は、ブラダの形状一致に一層適している可能性がある。
実施形態に応じ、外皮層22は不要のこともある。コイル20にクランプを取り付けることができ、膨張したブラダ52を、端コイル20の半径方向の外側表面(A2)に押し付ける。外被24は、適切な寸法にできる。この実施形態の場合、段差形状部分50は存在しなくなる。中間的な実施形態では、段差形状部分を形成すべく、端コイルの軸方向寸法の一部だけに外皮22を設ける。
膨張可能なブラダを利用すると、硬化中にブラダ内の硬化材料の圧力を増すことで、端コイルの外側表面にある特定量の圧縮予加重力を加えることが可能になる。
本発明を、限られた数の特定の実施形態に関して説明したが、当該技術者には様々な修正と変更が明らかであろう。例えば硬化材料は、エポキシ樹脂、他の熱硬化性材料、パラフィンワックスのような熱可塑性材料、ポリマ、水又は窒素のような材料でもよい。適合する材料は、必要な動作温度に応じ選択できる。超伝導電磁石は、僅か4Kの低い温度で動作するが、この温度では、物理的及び機械的特性が室温におけるそれらの特性と大幅に異なる可能性がある。
本発明の幾つかの実施形態で用いるブラダは、既述のものとは異なる形態を取り得る。巻型に結合した単純なストリップではなく、ブラダは、タイヤのインナチューブと類似した独立のユニットとして形成し、ブラダに硬化剤を入れるべく少なくとも1つの材料注入口を設け得る。同様に、ブラダはアルミニウムから形成するものとして説明したが、銅又は他の金属等の他の延性材料から形成することもできる。
空隙やブラダに硬化材料を注入する代替手段が使用できる。例えば外被とコイルの間の空隙に、建設業界での使用と同様に、強度を増したエアゾル膨張性発泡剤を噴射できる。
硬化材料を入れて、硬化させる間、端コイルを所定位置に保持する代替手段を使用できる。例えば端クランプを栓28に取り付けたり、端クランプで栓28の一部を形成したりできる。巻型に押し付けて機械的に保持するのではなく、2つの端クランプを巻型の各端部に1つずつ設け、互いに機械的に押し合うようにしたり、巻型の各端部に1つずつ設けて、互いに機械的に押し合う各栓28に、それらの端クランプ押し付けたりすることもできる。当該技術者には明らかなように、端コイルを巻型の隣接表面に押し付けて保持する他の手段も利用可能である。
本発明によって提供される方法によれば、下記の利点が得られる。
コイル20の外皮22、即ち半径方向の外側表面は、外被24に均等に接触する。このため、先行技術の構成で問題あったむらのある接触を回避し、コイルが動作中に移動する傾向を抑制できる。これは、クエンチの減少を可能とし、このため顧客への出荷前に行う電磁石のトレーニングに必要な電流の一定比率の増減サイクル数を減少できる。
端コイルを保持すべく軸方向の永久締付け部品に関する従来の要件は排除され、コスト節減が可能になる。本発明の方法は、僅かな修正によって既存のコイル及び巻型設計に適用することができ、例えばブラダを用いるか、用いないかに係らず、凹凸のある外皮表面及び硬化材料に対応すべく、外被の内径を多少拡大する等である。
例示の栓は円筒状部材であったが、連続した表面を有している必要はない。栓は、端コイルの孔を通って巻型の孔に入り込み、半径方向と軸方向の両方において端コイルを所定位置にしっかりと保持するのに十分な長さを持ち、適切に配置された複数のロッド又はペグから簡単に構成できる。
端コイルの巻型と同心をなす位置決めと、その軸方向位置における位置決めの両方の精度が高くなるので、裸電磁石の横断均質性が向上することになる。更に、その外被内において各端コイルを位置決めした、従来必要とされた半径方向の外側(A2)シム入れ作業が排除され、より制御された工程に置き換えられる。
従来技術による電磁石の巻型に取り付けられた成形端コイル。 本発明の一実施例による電磁石の巻型に取り付けられた成形端コイル。 本発明の他の実施例による電磁石の巻型に取り付けられた成形端コイル。 本発明の他の実施例による電磁石の巻型に取り付けられた成形端コイル。
符号の説明
12 巻型、20 成形端コイル、21 軸方向シム、22 クラフト、24 外被、26 低摩擦接合面剥離材料、28 栓、30 空隙、32 軸方向クランプ、38 開口、40 ニップル、42 硬化材料、44 Oリング、46 空洞、50 段差形状部分、52 ブラダ、54、56 チャネル

Claims (21)

  1. 半径方向の外側表面(A2)の直径が外被(24)の半径方向の内側表面より小さい成形端コイル(20)を所定の位置に保持するための前記外被を含む電磁石巻型(12)の半径方向の中央に前記成形端コイルを配置して同心をなすように保持するための方法であって、
    (a)栓(28)を前記端コイルの孔に通して、前記巻型の孔の端部に送り込み、前記外被内に前記端コイルを配置して、前記端コイルの半径方向の外側表面と前記外被の間に空隙(30)を残すことによって、前記巻型(12)の中央に前記端コイル(20)を配置する工程と、
    (b)前記端コイルに対して前記巻型の方向に軸方向の力を加えることにより、前記端コイルを前記巻型の軸方向の隣接表面に押し付けて所定位置に保持する工程と、
    (c)前記空隙を、その全長の少なくとも一部に沿って硬化材料(42)で充填する工程と、
    (d)前記硬化材料を硬化させるか、硬化可能にし、それによって、前記端コイルを前記巻型に強固にかつ正確に保持する工程と、
    (e)前記栓を取り除く工程と
    を含む方法。
  2. 工程(b)の前記軸方向の力が、締め付け時、前記端コイルに前記軸方向の力を加える保持手段(34)によって前記端コイルに押し付けて保持された、一時的軸方向クランプ(32)によって加えられることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 粘稠液体又は半流動体の状態で硬化材料を空隙30に入れることができるようにするため、複数の開口(38)が前記外被の周囲に適正な間隔をおいて、前記巻型外被の材料に設けられることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 適切な量の硬化材料が前記空隙に注入されて、前記空隙がある特定のあふれ面(48)迄充填されることと、前記あふれ面が、前記空隙の軸方向の外側端部から前記硬化材料が漏出する恐れがあまりないようにして、前記空隙をほぼ充填するのに十分な硬化材料を供給するように決定されることを特徴とする請求項1から3の1つに記載の方法。
  5. 前記端コイルの軸方向の内側面(B1)と前記巻型の軸方向の隣接表面との間への前記硬化材料の進入をシール(44)により阻止することを特徴とする請求項1から4の1つに記載の方法。
  6. 前記硬化材料が前記端コイルの外側表面と完全に形状一致し、前記外被の半径方向の内側表面との接着結合によって前記コイルを保持することを特徴とする請求項1から5の1つに記載の方法。
  7. 工程(c)の前に、前記空隙内に、膨張可能なブラダ(52)が設けられることと、工程(c)が、前記膨張可能なブラダに液体又は半流動体の形態で前記硬化剤を注入して、前記端コイルの前記外側表面に少なくともほぼ形状一致する迄ブラダを膨張させる工程から構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  8. 前記硬化材料が前記ブラダに注入されて、ある所定の圧力になる迄前記ブラダを充填することを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 前記ブラダが、前記外被の半径方向の内側表面の周りに延び、その軸方向の内側縁及び外側縁に固定された変形可能材料のストリップから構成されることと、前記巻型外被の材料に開口(38)を設けて、前記開口を介して接近可能な環状の膨張可能な空洞が形成されるようになっていることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
  10. 前記変形可能材料のストリップが、前記巻型材料のチャネル(54)に挿入することによってその軸方向の内側縁に固定され、前記外被の軸方向の外側端部にあるチャネル56に挿入することによってその軸方向の外側縁に固定されることを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 前記変形可能材料に、アルミニウム、銅、ポリマ、ガラス繊維フェルトの1つが含まれることを特徴とする請求項9又は10記載の方法。
  12. 前記硬化材料が前記外被に対する接着結合することと、前記ブラダが、前記端コイル表面の凹凸に対する圧力及び形状一致によって前記端コイルを保持することを特徴とする請求項7から11の1つに記載の方法。
  13. 前記端コイルに、その半径方向の外側表面(A2)上の外皮層が含まれることと、前記硬化材料が、前記外皮層の半径方向の外側表面と前記外被の半径方向の内側表面の間に注入されることを特徴とする請求項1から12の1つに記載の方法。
  14. 前記軸方向への力が前記外皮層の軸方向の外側表面(B2)に加えられることを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 前記外皮層に窪んだ段差形状部分(50)が設けられることを特徴とする請求項13又は14記載の方法。
  16. 前記外皮が、前記段差形状部分を形成するため、前記端コイルの軸方向寸法の一部についてのみ設けられることを特徴とする請求項15記載の方法。
  17. 前記窪んだ段差形状部分(50)が前記外皮層の軸方向の外側端部近くに設けられることを特徴とする請求項15又は16記載の方法。
  18. 前記窪んだ段差形状部分(50)が、前記端コイルにクロス層を巻き付けて、前記外皮層を形成することによって設けられることと、最終クロス層が、必要な段差形状部分を設けるため、前記端コイル自体より軸方向において幅が狭くなるように巻き付けられることを特徴とする請求項15記載の方法。
  19. 更に、前記端コイルの軸方向の内側表面(B1)と前記巻型の軸方向の隣接表面との間に低摩擦接合面剥離材料の層(26)を配置する工程が含まれることを特徴とする請求項1から18の1つに記載の方法。
  20. 前記低摩擦接合面剥離材料に、ポリエステルシート又はポリテトラフルオロエチレンが含まれることを特徴とする請求項19記載の方法。
  21. 前記硬化材料に、エポキシ樹脂、他の熱硬化性材料、熱可塑性材料、パラフィンワックス、ポリマ、水及び窒素の1つが含まれることを特徴とする請求項1から20の1つに記載の方法。

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