JP5105173B2 - ボールジョイント - Google Patents
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Description
樹脂シートは、ボールジョイントに組み込まれて与圧された状態で、その底部側に、ボールスタッドの球頭部を収容室の底に押し付ける方向に力が働いたときに前記力を受ける第一受圧領域を含んでいると共に、開口側に、前記球頭部を収容室の外へ抜き出す方向に力が働いたときに前記力を受ける第二受圧領域を含んでいる。
またハウジングの底を構成し、かつ第一受圧領域に対向するテーパー面にのみ選択的に凹部を設けることで樹脂シートの前記第一受圧領域底部との間に形成した空隙によって、樹脂シートの底部側の剛性を低下できる。そのため、樹脂シートの全体を相対的に硬い樹脂でワンピース形成しているにも拘らず、従来の2つ割構造のものよりも、収容室の入口をかしめて小径とする際の加工寸法のバラツキを、弾性変形によって良好に吸収して与圧のバラツキを小さくでき、例えばステアリング装置のトルクをこれまでよりも安定化できる。
本発明によれば、凹部を収容室の中心軸線と同心の環状に形成できる(請求項2)。
この場合、例えば旋削によってハウジングを製作する工程内で凹部を形成できるため、凹部形成のための新たな工程を追加する必要がなく、ハウジングの生産性を向上できる。
なお本発明によれば、凹部を内底面から径方向外方へ向けて放射状に延びる複数の直線状に形成することもできる(請求項3)。
図1は、本発明の一実施形態に係るボールジョイントを備えるステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。ステアリング装置1は、操舵部材としてのステアリングホイール2と、転舵輪(図示せず)を転舵する転舵機構としてのラックアンドピニオン機構3とを備えている。
ラックアンドピニオン機構3は、ピニオン軸6およびラック軸7を備えている。ピニオン軸6は、中間軸5に連結された軸部8と、この軸部8の先端に連結されたピニオン9とを含む。ステアリングホイール2の回転は、ステアリングシャフト4および中間軸5を介してピニオン軸6に伝達される。
ラック軸7は筒状のハウジング11に挿通されている。ラック軸7の両端部は、それぞれハウジング11から突出している。ラック軸7の各端部には、インナーボールジョイント12を介して、タイロッド14の一端が連結されている。また、タイロッド14の他端(いわゆるタイロッドエンド)には、アウターボールジョイント13が設けられている。図示はしないが、転舵輪は、ナックルアームを介してアウターボールジョイント13に連結されている。
インナーボールジョイント12は、ラック軸7の端部に連結されるハウジング16と、このハウジング16に保持された樹脂シート17およびボールスタッド18とを備えている。ハウジング16は、樹脂シート17およびボールスタッド18を収容する収容室19と、ラック軸7の端部に連結される連結部20とを含む。収容室19は、底が封止された筒状であり、入口を有している。また、樹脂シート17は、カップ状であり、周壁部21と底部22とを含む。樹脂シート17は、底部22が収容室19の底に対向するように配置されている。
ロッド24の先端部(図2では右端部)には、雄ねじ部26が形成されている。雄ねじ部26は、連結軸25に形成された雌ねじ孔27に螺合されている。雄ねじ部26が雌ねじ孔27に螺合されることにより、連結軸25がボールスタッド18に同軸的に連結されている。
図3は、本発明の一実施の形態にかかるインナーボールジョイント12の概略構成を示す一部断面図である。図4は、インナーボールジョイント12の組み立て中の状態を示す一部断面図である。図5は、ハウジングの外観を示す一部切欠斜視図である。
ハウジング16は、球頭部23を収容し、かつボールスタッド18を、樹脂シート17を介して、上記球頭部23を支点として揺動可能に支持するものである。ハウジング16は、例えば鋼等の金属製の単一の部材を用いた一体成形品であり、収容室19と連結部20とを含んでいる。収容室19は、球頭部23を取り囲む筒状の周壁42と、周壁42の軸方向の一端に連なって筒の一端を封止して底を構成する底壁43とを含んでいる。
図4を参照して、樹脂シート17は、外周が収容室19の内周面44に沿う筒状とされた周壁部21の一端に、収容室19の底に対向する底部22が設けられ、他端が、ロッド24が挿通される開口部51とされたカップ状にワンピース形成されている。底部22は、収容室19の底のうちテーパー面46に沿うテーパー状に形成されている。
図3を参照して、収容室19の収容空間47に樹脂シート17と球頭部23とを収容した状態で周壁42の開口部48側の他端(先端)をかしめて周縁部49を小径とすることにより、カップ状の樹脂シート17が、収容室19と球頭部23との隙間を充填するように弾性変形されると共に与圧される。
第一受圧領域55は、ロッド24を介して球頭部23を収容室19の底に押し付ける方向(例えば、樹脂シート17の中心軸線L2に沿う方向の一方U1)に力F1が働いたときに、この力F1を受ける領域である。
第二受圧領域56は、ロッド24を介して球頭部23を開口部48から抜く方向(例えば、樹脂シート17の中心軸線L2に沿う方向の他方U2)に力F2が働いたときに、この力F2を受ける領域である。第二受圧領域56は、収容室19の内周面44に密接されている。
しかし、第二受圧領域56を含む樹脂シート17の全体を、相対的に硬い樹脂によって構成することによって、この第二受圧領域56においてヘタリが生じたり、樹脂シート17の全体が摩耗したりするのを抑制して、ガタによる異音の発生を長期に亘って防止できる。
さらに実施の形態では大小2本の環状の凹部50を、収容室19の中心軸線L2と同心に形成している。この場合、例えば旋削によってハウジング16を製作する工程内で凹部50を形成できるため、凹部形成のための新たな工程を追加する必要がなく、ハウジング16の生産性を向上できる。
例えば図4に二点鎖線で示すようにハウジング16の内底面45に凹部57を設けてもよい。この凹部57にはグリース等の潤滑剤が充填される。また図6に示すように、凹部50を環状ではなく、内底面45から径方向外方へ向けて放射状に延びる複数(図の場合は6本)の直線状に形成してもよい。
Claims (3)
- 一端に球頭部を有するボールスタッドと、
前記球頭部を覆う樹脂シートと、
前記樹脂シートと球頭部とを収容する収容室を有し、収容室の底は封止され、入口は樹脂シートで覆われた球頭部を収容した後にかしめられて小径とされたハウジングとを備え、
前記樹脂シートは、収容室の底に対向する底部を有し、その反対側が開口されたカップ状にワンピース形成され、
前記樹脂シートは、前記底部側に、ボールスタッドの球頭部を収容室の底に押し付ける方向に力が働いたときに前記力を受ける第一受圧領域、前記開口側に、前記球頭部を収容室の外へ抜き出す方向に力が働いたときに前記力を受ける第二受圧領域を有し、
前記収容室は、前記球頭部を取り囲む筒状の周壁と、前記周壁の軸方向の一端に連なって筒の一端を封止して底を構成する底壁とを含み、前記収容室の底は、前記底壁の一側面である内底面と、前記内底面側から前記周壁の他端側へ向けて開口径が大きくなる略円錐状とされて、前記内底面および周壁の内周面と連なり、かつ前記第一受圧領域に対向するテーパー面とを含み、前記内底面、テーパー面、および内周面のうち前記テーパー面にのみ、前記第一受圧領域との間に空隙を作る凹部が形成されているとともに、
前記第二受圧領域は、前記収容室の内周面に密接されていることを特徴とするボールジョイント。 - 請求項1において、前記凹部は、収容室の中心軸線と同心の環状に形成されているボールジョイント。
- 請求項1において、前記凹部は、前記内底面から径方向外方へ向けて放射状に延びる複数の直線状に形成されているボールジョイント。
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