JP5104696B2 - 燃料電池用の電解質膜の製造方法および電解質膜 - Google Patents

燃料電池用の電解質膜の製造方法および電解質膜 Download PDF

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Description

本発明は、水素透過性金属層を備えた燃料電池用の電解質膜に関する。
近年、水素と空気の電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギ源として注目されている。燃料電池のうち、固体の電解質膜を用いたものとして、固体酸化物型などの高温型の燃料電池が存在する。
固体酸化物型の燃料電池は、電極間に挟まれる電解質膜にジルコニアその他の無機質の薄膜を用いるものである。かかる電解質膜の膜抵抗は、低温になるほど増加する傾向にあるため、膜抵抗を実用的な範囲に抑えるために、比較的高温での運転が必要とされる。
特開平7−185277号公報
固体酸化物型の燃料電池では、電解質膜の膜厚を薄くすることにより膜抵抗を低減することも可能ではあるが、多孔質体で形成される電極上に緻密な薄膜を形成することは非常に困難であり、十分な薄膜化は図られていない。現状では、固体酸化物型の燃料電池は、一般に約700℃以上の温度で運転されていた。
電解質膜の薄膜化による膜抵抗の低減は、固体酸化物型のみならず、種々の形式の燃料電池に共通の課題であった。本発明では、こうした課題に鑑み、電解質膜の薄膜化を実現する技術を提供することを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第1の態様は、燃料電池用の電解質膜の製造方法を提供する。本発明の第1の態様における製造方法は、(a) 水素透過性金属により基材を形成する工程と、(b) 前記基材の一方の面に、プロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体と前記セラミックスの結晶体からなる混合層を形成する工程と、(c) 前記混合層の上に前記セラミックスの結晶体からなる結晶層を形成する工程と、を備える。なお、前記工程(c)は、(c) 前記混合層の上にプロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体からなるアモルファス層を形成し、レーザ照射して前記アモルファス層の前記アモルファス構造体を結晶化するための結晶化エネルギを前記形成されたアモルファス層に対して局所的に供給して、前記セラミックスの結晶体からなる結晶層を形成する工程であってもよく、あるいは、(c) 前記混合層の上にプロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体からなるアモルファス層を蒸着しながらレーザで表面を照射して前記セラミックスの結晶体からなる結晶層を形成する工程であってもよい。また、本発明の第2の態様は、燃料電池用の電解質膜の製造方法を提供する。本発明の第2の態様における製造方法は、(a) 水素透過性金属により基材を形成する工程と、(b) 前記基材の一方の面に、プロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体からなるアモルファス層を形成する工程と、(c)前記アモルファス構造体を結晶化するための結晶化エネルギを、前記形成されたアモルファス層に対して局所的に供給して、前記形成されたアモルファス層を全て結晶層にする工程と、を備える。つまり、本発明の電解質膜は、かかる製造工程により、基材とセラミックス層の積層構造を含む複合材を成すこととなる。
本発明において、水素透過性金属としては、パラジウム、パラジウム合金などの貴金属、並びにVA族元素、例えば、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)などを用いることができる。電解質層としては固体酸化物、例えば、BaCeO3、SrCeO3系のセラミックス、ペロブスカイト、パイロクロアなどを用いることができる。
セラミックス層の形成方法では、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、ゾルゲル法などを採ることができる。いずれの方法においても、アモルファス材料を加熱、焼結などの方法で結晶化させる工程を含んでおり、この工程では基材も含めた状態で加熱されるのが通常である。この温度は、蒸着させる材料によって異なるが、例えば、ペロブスカイト膜を成膜する場合には700℃にも至る。このように高温に基材を加熱した場合には、金属表面に微少な凹凸が生じることが知られている。この凹凸は、セラミックス層の凹凸化や膜厚の不均一化を招き、ひいては運用時に不均一な応力の発生、ひび割れを招く原因となり得る。また、ひび割れから電極ペーストがしみ込むと、短絡の原因ともなり得る。
これに対し、本発明の第2の態様では、結晶化させる工程においては、アモルファス材料の結晶化に要する結晶化エネルギを、アモルファス材料に局所的に供給する。こうすることにより、基材の加熱を抑制することができ、上述の凹凸化を抑制することができる。従って、均質なセラミックス層を成膜することができる。
結晶化エネルギの供給は、例えば、アモルファス材料を成膜する側からヒータ等により加熱する方法、アモルファス材料にレーザ照射を行う方法など、種々の方法を適用することができる。後者の方法によれば、結晶化エネルギの供給場所、供給量を精度良く制御することができる利点がある。
第1のエネルギ供給態様として、蒸着によってセラミックス層を成膜する場合、結晶化エネルギの供給は蒸着と並行して行ってもよい。つまり、蒸着用の蒸気が充満する雰囲気中で結晶化エネルギを供給するようにしてもよい。こうすることで、基材上に新たに堆積するアモルファス材料を、順次、結晶化させることができる。この方法では、蒸着によるアモルファス層の成長に追随可能な速度で結晶化を実現することが好ましい。レーザ照射によってエネルギ供給をする場合には、かかる目的から、レーザの強度および照射面積を十分に大きくすることが好ましい。
蒸着過程で結晶化を行う場合、結晶化エネルギの供給は、基材へのエネルギ供給を回避するため、基材の全表面がアモルファス材料で覆われた後に開始することが好ましい。例えば、蒸着開始から基材がアモルファス材料で覆われるまでの所要時間を予め求めておき、この時間を経過した後に結晶化エネルギの供給を開始するようにしてもよい。また、基材の表面の光沢、基材の重量などの変化に基づき、アモルファス材料の堆積状況を検知し、この検知結果に基づいて基材がアモルファス材料で覆われていると判断される場合に、結晶化エネルギの供給を開始するようにしてもよい。
第2のエネルギ供給態様として、結晶化エネルギは、アモルファス材料によりアモルファス層を基材表面に形成した後、そのアモルファス層の少なくとも一部を結晶化させるように供給してもよい。この供給方法は、蒸着による成膜、ゾルゲル法による成膜を問わずに適用可能である。この方法では、結晶化に要求される速度は、蒸着などによるアモルファス層の成長とは無関係となる。従って、エネルギ供給を開始するタイミングの制御、エネルギ供給量の制御などが比較的簡易で済む。結晶化に要求される速度が比較的低くても許容されるため、レーザ照射によってエネルギ供給を行う場合、レーザの照射面積を十分に絞り込むことができ、比較的低出力のレーザを結晶化に利用することができる利点もある。
本発明では、アモルファス材料が全て結晶化する供給状態で、結晶化エネルギを供給してもよい。また、基材とセラミックス層の間に、アモルファス材料を少なくとも一部、残存させることができる供給状態で、結晶化エネルギを供給してもよい。アモルファス材料は、一部に散在するようにしてもよい。アモルファス材料は、基材表面の金属結晶と、セラミックス層との格子を整合させる作用を奏するため、アモルファス材料を残存させることにより、基材とセラミックス層の界面強度を増加させることができる。水素透過性金属層とセラミックス層は、水素透過時の体積膨張率が相違するため、水素透過時に両者間で剥離が生じる可能性があるが、上記構成によれば、界面強度を増加させることにより、かかる剥離を抑制することができる。
先に説明した第1のエネルギ供給態様を採る場合、即ち、蒸着過程と並行して結晶化を行う場合には、結晶化エネルギの供給開始を十分に遅らせることにより、アモルファス材料を界面に残すことが可能となる。第2のエネルギ供給態様を採る場合には、結晶化エネルギの強度および供給時間の制御によって、アモルファス材料を界面に残すことが可能となる。また、基材表面に、アモルファス材料とセラミックスの混合層を形成した後、その表面に第1または第2の態様によってセラミックス層を形成するようにしてもよい。混合層は、例えば、基材およびアモルファス材料に応じて、アモルファス材料を基材上に蒸着させる際の温度条件を調節することで、形成可能である。
本発明は、上述した電解質膜の製造方法としての態様のみならず、電解質膜を製造する製造装置、かかる製造装置の制御方法として構成してもよい。いずれの態様で構成するかにかかわらず、本発明においては、上述した種々の特徴点を適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
また、本発明は、燃料電池用の電解質膜として構成してもよい。例えば、水素透過性金属からなる基材と、プロトン伝導性のセラミックスの結晶体からなるプロトン伝導層と、該基材およびプロトン伝導層との界面に介在する、前記セラミックスのアモルファス構造体と前記セラミックスの結晶体との混合物からなる層と、を備える電解質膜とすることができる。かかる電解質膜によれば、先に説明した通り、アモルファス層の作用により、基材とプロトン伝導層との界面強度を強化することができ、両者の相間剥離を抑制することができる。アモルファス層は、部分的に散在するよう構成してもよい。かかる電解質膜は、先に説明した種々の製造方法により、製造することが可能である。
本発明の実施の形態について、以下の順序で説明する。
A.全体構成
B.電解質膜の製造方法
C.実験結果
D.第1変形例
E.第2変形例
A.全体構成:
図1は第1実施例としての燃料電池の全体構成を示す模式図である。燃料電池を構成するセルの断面を示した。このセルは、酸素極10(以下、カソードとも称する)、水素極20(以下、アノードとも称する)で電解質膜100を挟んだ構造となっている。酸素極10、水素極20の構造および材質は、カーボンなど種々の材料で形成可能である。
電解質膜100は、バナジウム(V)などの水素透過性金属120で形成された緻密な水素透過性金属層120(以下、「基材」と称することもある)の表面に固体酸化物からなる電解質層110の薄膜が成膜されている。電解質層110は、SrZr0.9Yb0.13などのペロブスカイト、パイロクロア、BaCeO3、SrCeO3系のセラミックスプロトン伝導体などを用いることができる。電解質層110と水素透過性金属層120の間には、アモルファス性の固体酸化物からなるアモルファス層115が設けられている。これらの各層に加えて、電解質層110の外面に、パラジウム(Pd)の被膜を設けてもよい。本実施例では、電解質層110の厚さは1μm、水素透過性金属層120の厚さは40μmとした。各層の厚さは任意に設定可能である。
発電過程における水素極および酸素極での反応を促進するために、セル中には白金(Pt)等の触媒層を設けるのが通常である。図示を省略したが、触媒層は、例えば、電解質膜100と酸素極10、水素極20との間に設けることができる。その他、パラジウムの被膜がある場合には、パラジウム被膜と電解質層110との間などに設けてもよい。
図示する通り、酸素極10には、酸素を含有したガスとして圧縮空気が供給される。水素極20には、水素リッチな燃料ガスが供給される。燃料ガス中の水素は、水素透過性金属層120で分離され、電解質層110を経て酸素極側に移動する。酸素極10、水素極20に供給されるガスの圧力は、任意に設定可能であるが、本実施例では、水素極20の全圧Phが酸素極10の全圧Poよりも高くなる設定とした。この圧力差は、水素透過時の水素透過性金属層120の膨張に起因して電解質膜100に生じる曲げモーメントを相殺する曲げモーメントを作用させ、電解質膜の変形を抑制することができる。
B.電解質膜の製造方法
図2は電解質膜の生成工程を示す工程図である。まず、水素透過性金属による基材120を生成する(ステップS10)。基材の材質は、バナジウム(V)の他には、パラジウム、パラジウム合金などの貴金属、並びにVA族元素、例えば、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)などを用いることができる。
次に、基材表面にPVD、CVDなどによってアモルファス性のセラミックスからなるアモルファス層115を成膜させる(ステップS12)。プロトン伝導層をペロブスカイトで形成する場合、この工程は、400℃程度までの温度で行うことが好ましく、100〜200℃程度で行うことがより好ましい。この工程は、蒸着以外に、いわゆるゾルゲル法で行うこともできる。この場合には、例えば、プロトン伝導層を形成する材料を含むアルコキシド溶液を、基材表面に塗布することで、アモルファス層115を形成することができる。
次に、アモルファス層115の表面をレーザで照射加熱することで、結晶化させる(ステップS14)。この際、レーザの強度および照射時間は、アモルファス層115の厚さ、アモルファス層115を形成する材質などに応じて、加熱の影響が基材120に到達しない範囲で、設定することができる。図中に、照射後の電解質膜の状態を模式的に示した。レーザの強度および照射時間によって定まる供給エネルギが大きい場合には、左側に示すように、アモルファス層115は全て結晶化し、プロトン伝導層110Aを形成する。この場合、電解質膜は、基材120とプロトン伝導層110Aが直接、密着した断面構造となる。
一般に、固体酸化物のプロトン伝導性は、アモルファスよりも結晶化した状態の方が高い。従って、電解質膜を燃料電池に使用した場合の内部抵抗を低減するという観点からは、供給エネルギを大きくすることで、アモルファス層の厚さを十分に薄くさせることが好ましい。
供給エネルギが小さい場合には、右側に示すように、アモルファス層115の表面近傍が結晶化し、プロトン伝導層110を形成する。この場合、電解質膜は、基材120、アモルファス層115、プロトン伝導層110が積層された断面構造となる。
アモルファス層115を介在させた構造では、プロトン伝導層110と基材120との界面強度を増大させることができる利点がある。プロトン伝導層110と基材120を直接接触させた構造では、両者の界面での格子の不整合が一因となって低下する場合がある。これに対し、アモルファス層115を介在させた構造では、非結晶というアモルファス層115の性質により、プロトン伝導層110と基材120の格子を比較的容易に整合させることにより、界面強度を増大させることができる。
C.実験結果
図3は実施例における製造方法による電解質膜の表面を示す説明図である。図2に示した製造工程で製造した電解質膜の表面を撮影した顕微鏡写真を図の下方に示した。図の上方には、撮影状況を模式的に示した。図示する通り、試験片TPの両端を支持部SPで支持し、支持部SPの端を含む領域Aを撮影した。
試験片は、100μm厚のパラジウム基材上に、ペロブスカイト(SrZr0.9Yb0.13)を成膜したものである。この成膜は、約1.3Paの酸素雰囲気中で、約400℃の基板表面温度において、図2に示すようにレーザ照射することで、実施した。
図4は比較例としての電解質膜の表面を示す説明図である。実施例とは異なり、約1.3Paの酸素雰囲気中で、レーザ照射に代えて、基板表面温度が約600℃になるよう基板を加熱することで成膜した。
本実施例の製造方法による電解質膜(図3)は、比較例の電解質膜(図4)のようなひび割れは見られず、ペロブスカイトの薄膜が均一に形成されていることが分かる。実施例では、レーザ照射によって、基材にはエネルギを供給せず、アモルファス層にのみエネルギを供給している。このように局所的にエネルギを供給することにより、加熱に伴う基材表面の凹凸化を抑制することができ、図3に示すような均一な成膜が実現される。かかる効果は、図2に示した2種類の構造、即ちアモルファス層を全て結晶化させプロトン伝導層110Aを形成した構造、アモルファス層115を残した状態でプロトン伝導層110を形成する構造のいずれにおいても同様に得られる。
本実施例によれば、上述の通り、均質なプロトン伝導層を形成することができ、ひび割れに伴う短絡などの弊害を抑制することができる。また、界面の均質化により、プロトン伝導層と基材との界面強度を強化することもできる。従って、水素透過に伴う膨張率は基材の方がプロトン伝導層よりも大きいことにより生じる層間剥離を抑制することができる。
更に、本実施例において、成膜の過程でアモルファス層に供給するエネルギ量を大きくした場合には、アモルファス層が残存しない断面構造を実現することができ、プロトン伝導性を向上させることができる。一方、エネルギ量を抑制した場合には、アモルファス層が残存する断面構造を実演することができ、プロトン伝導層110と基材120との界面強度を、より強化することができる。
D.第1変形例
図5は第1変形例としての電解質膜生成方法を示す工程図である。実施例では、アモルファス層を蒸着等により形成した後、その少なくとも一部を結晶化させてプロトン伝導層を形成する方法を例示した。第1変形例では、蒸着と並行して結晶化を行う製造方法を例示する。
この製造方法では、実施例と同様、まず、水素透過性金属により基材120を形成する(ステップS20)。その後、実施例と同程度の低温下で、基材表面にセラミックスの蒸着を開始する(ステップS22)。かかる低温状態では、アモルファス層115が形成され始める。
基材120の表面が一通り、アモルファス層115で覆われた状態になった時点で、蒸着とともにレーザの照射を行う(ステップS24)。図中では、基材120のほぼ全面をレーザ照射している状態を例示したが、照射面積を十分に絞ったレーザで基材120の表面を走査させてもよい。
レーザ照射を開始するタイミングは、種々の方法で制御することができる。例えば、蒸着開始から基材120の表面をアモルファス層115が一通り覆うまでの所要時間を予め計測しておき、この所要時間を経過した時点でレーザ照射を開始するようにしてもよい。基材表面での光の反射率などに基づいて、アモルファス層115の形成状況を検知し、レーザ照射の開始可否を判断するようにしてもよい。レーザの強度は、蒸着による膜の成長速度と、新たに蒸着された膜の結晶化速度をバランスさせることができる範囲に調整することが好ましい。
第1変形例では、レーザ照射の開始タイミングおよびレーザ強度に応じて、アモルファス層115の厚さを制御することができる。例えば、開始タイミングを遅らせれば、アモルファス層115は厚くなり、電解質膜は図中の右側に示すように、アモルファス層115Bの上にプロトン伝導層110Bが形成された断面構造となる。開始タイミングを早めれば、アモルファス層115は薄くなり、図中の左側に示すように、基材120とプロトン伝導層110Cが直接接触した状態の断面構造を実現することも可能となる。いずれの場合においても、レーザ照射は、供給されたエネルギによる影響が基材120に伝達しない強度および照射時間で行うことが好ましい。
E.第2変形例
図6は第2変形例としての電解質膜生成方法を示す工程図である。第2変形例では、基材とプロトン伝導層の間に、アモルファス状態のセラミックスと結晶化したセラミックスが混在する混合層が介在した電解質膜の製造方法を例示する。
この製造工程では、実施例と同様、水素透過性金属による基材120を生成し(ステップS30)、その上に、セラミックスの蒸着を行う(ステップS32)。この蒸着を約400〜500℃程度の環境下で実施することにより、セラミックスの一部のみを結晶化させることができ、アモルファス部115Dと結晶化部110Dが混在する混合層が形成される。図中では、両者が規則的に並んだ状態を例示したが、不規則であっても構わない。
次に、混合層の上に、プロトン伝導層を形成する(ステップS34)。プロトン伝導層の形成には、先に説明した実施例および第1変形例のいずれの方法を適用してもよい。図中では、実施例の方法を適用した場合を例示した。この場合には、混合層の上に、蒸着またはゾルゲル法によってアモルファス層を形成した後、レーザ照射して結晶化させることになる。第1変形例の方法を適用する場合には、蒸着しながらレーザで表面を照射することになる。
いずれの方法においても、レーザ照射によって供給すべきエネルギは、実施例および第1変形例と同様にして設定すればよい。第2変形例では、アモルファス層の下面は、基材ではなく混合層であるため、エネルギ量を大きめに設定しても、基材表面の凹凸化を招く恐れが少ないという利点がある。
F.その他の変形例
本発明は、その他、種々の変形例で構成可能である。例えば、結晶化エネルギの供給は、レーザ照射に限らず、ヒータ等による加熱によってもよい。この場合、基材へのエネルギ供給を抑制するよう、プロトン伝導層が形成される面からのみ加熱を行うことが好ましい。
本発明は、上述の製造工程を実現するための製造装置として構成してもよい。図7は電解質膜の製造装置の概略構成を示す説明図である。この製造装置は、真空チャンバ210の内部に、基材120を載置するための載置台212、およびセラミックスを蒸着させるためのプラズマを発生させる発生装置211を備えている。また、蒸着の過程で、基材表面に堆積したアモルファス層115を照射するためのレーザ213も備えている。レーザ213は、アモルファス層115の全域を走査可能な支持機構で支持することが好ましい。この製造装置の動作は、マイクロコンピュータとして構成された制御ユニット220によって制御される。制御ユニット220は、発生装置211による蒸着を制御したり、レーザ213によるエネルギの供給を制御したりすることで、先に説明した製造工程を実現する。
電解質膜の製造装置は、ここに例示した他にも、基材表面に形成されたアモルファス層に局所的にエネルギを供給可能な種々の構成を適用可能である。
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。
第1実施例としての燃料電池の全体構成を示す模式図である。 電解質膜の生成工程を示す工程図である。 実施例における製造方法による電解質膜の表面を示す説明図である。 比較例としての電解質膜の表面を示す説明図である。 第1変形例としての電解質膜生成方法を示す工程図である。 第2変形例としての電解質膜生成方法を示す工程図である。 電解質膜の製造装置の概略構成を示す説明図である。
符号の説明
10...酸素極
20...水素極
100...電解質膜
110、110A、110B、110C...プロトン伝導層
110D...結晶化部
110...電解質層
115、115B...アモルファス層
115D...アモルファス部
120...水素透過性金属層(基材)
210...真空チャンバ
211...発生装置
212...載置台
213...レーザ
220...制御ユニット

Claims (4)

  1. 燃料電池用の電解質膜の製造方法であって、
    (a) 水素透過性金属により基材を形成する工程と、
    (b) 前記基材の一方の面に、プロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体と前記セラミックスの結晶体からなる混合層を形成する工程と、
    (c) 前記混合層の上にプロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体からなるアモルファス層を形成し、レーザ照射して前記アモルファス層の前記アモルファス構造体を結晶化するための結晶化エネルギを前記形成されたアモルファス層に対して局所的に供給して、前記セラミックスの結晶体からなる結晶層を形成する工程と、
    を備える製造方法。
  2. 燃料電池用の電解質膜の製造方法であって、
    (a) 水素透過性金属により基材を形成する工程と、
    (b) 前記基材の一方の面に、プロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体と前記セラミックスの結晶体からなる混合層を形成する工程と、
    (c) 前記混合層の上にプロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体からなるアモルファス層を蒸着しながらレーザで表面を照射して前記セラミックスの結晶体からなる結晶層を形成する工程と、
    を備える製造方法。
  3. 燃料電池用の電解質膜の製造方法であって、
    (a) 水素透過性金属により基材を形成する工程と、
    (b) 前記基材の一方の面に、プロトン伝導性を有するセラミックスのプロトン伝導性を有するアモルファス構造体からなるアモルファス層を形成する工程と、
    (c)前記アモルファス構造体を結晶化するための結晶化エネルギを、前記形成されたアモルファス層に対して局所的に供給して、前記形成されたアモルファス層を全て結晶層にする工程と、
    を備える、製造方法。
  4. 燃料電池用の電解質膜であって、
    水素透過性金属からなる基材と、
    プロトン伝導性のセラミックスの結晶体からなるプロトン伝導層と、
    該基材およびプロトン伝導層との界面に介在する、前記セラミックスのアモルファス構造体と前記セラミックスの結晶体との混合物からなる層と、
    を備える電解質膜。
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