JP5102935B2 - 洗浄組成物及び該洗浄組成物を含浸させた拭き取り材 - Google Patents
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一方、溶剤及び研磨剤を含む洗浄剤を使用すると、被塗装物と研磨剤との摺り合わせによって被塗装物が傷ついてしまうという問題がある。また、溶剤及び研磨剤を含む洗浄剤を長期間の使用することにより研磨剤が排水管や下水管に堆積して排水効率が悪くなるという点も指摘されている。
まず、第1の発明は、二塩基酸エステル、水溶性溶剤、界面活性剤および水を含有する洗浄組成物である。
この第1の発明によれば、水との共存状態においても汚れへの溶解力が低下しない洗浄組成物を得ることができる。また、洗浄した後においても被塗装物に拭き伸びは生じないし、被塗装物に傷をつけることなく汚れを落とすことができる。なお、汚れを効率よく落とすためには可溶化した洗浄組成物を用いることが好ましい。
また、本発明に係る洗浄組成物には、上記のような成分以外に香料、消臭剤、除菌剤、手荒れ防護剤及び防腐剤などの各種の添加剤を配合することもできる。
この第2の発明によれば、広範囲のポリマーに対して高い溶解力を発揮し得るため洗浄組成物としての汎用性が広がるというメリットがある。また、使用してもオゾン層への影響が少ないので環境問題にも貢献できる。さらには、人体への危険性も少ないので使用環境の改善を図ることもできる。
この第3の発明によれば、洗浄組成物を構成する他の化合物を混合する際に最適な溶剤を選択することができる。
また、前記エーテルとしては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。
また、前記エステルとしては、酢酸イソアミル、酢酸アミル、酪酸エチル、酢酸オクチル等が挙げられる。
これらの水溶性溶剤は、塗料等の原材料として使用される樹脂に対して高い溶解力があると洗浄組成物自体の洗浄能力が向上する。
この第4の発明によれば、被塗装物に付着した汚れを落とす手段が簡便となる。すなわち、洗浄組成物を液剤として使用しなくても塗料等の汚れを簡単に落とすことができる。また、拭き取り材に洗浄組成物を含浸させれば使用時の洗浄組成物の量がほぼ一定となるので、洗浄組成物の消費量を抑えることができる。例えば、箱型形状の入れ物に予め洗浄組成物を含浸させたシート状の拭き取り材を何枚か入れておき、使用時に必要な分だけ取り出して使用することができる。加えて、持ち運びの面においても携帯性がよくなり大変便利である。さらに、本発明に係る洗浄組成物は水への溶解性が高いため、拭き取り時に若干手に洗浄組成物が残っていたとしても簡単に水で洗い流すことができる。
この第5の発明によれば、被塗装物の表面が粗くザラザラしているような場合には、拭き取る際に表面に入り込んだ汚れと拭き取り材とが接触しやすくなるため洗浄能力が向上する。また、洗浄組成物自体の洗浄能力も高いので、軽く拭き取る程度の力量で難なく汚れを落とすことができる。すなわち、付着物の拭き取り時に被塗装物の表面を傷つけることを極力抑えることができる。さらに、拭き取り材を不織布で構成すると、使用済みの拭き取り材を洗浄して再利用ができるという利点もある。
この第6の発明によれば、前記ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン及びパルプには親油性部分が存在し、拭き取りの際に汚れ部分がこの親油性部分に付着するため拭き取り材としての洗浄能力がさらに向上する。また、拭き取りに要する力量もさらに軽減される。そして、拭き取ることによって汚れが周囲に広がる拭き伸びや汚れの再付着の発生を防止することもできる。加えて、これらの素材は加工が容易で不織布を構成する素材として入手しやすいため、拭き取り材を大量生産できるというメリットがある。なお、前記パルプとして天然パルプを用いると柔らかくかつ耐久性の強い拭き取り材を得ることができる。
まず、第1の発明においては、水との共存状態においても溶解力が急激に低下することがない洗浄組成物を得ることができる。つまり、被塗装物に付着した塗料等の汚れを水とともに洗浄しても拭き伸びを起こさないでしかも付着した汚れを再付着することなくきれいに落とすことができる。また、研磨材を積極的に用いていないので、被塗装物の表面が傷つくことがなく、洗い流しても下水管や配水管が詰まるという問題が生じない。
次に第2の発明によれば、洗浄組成物として汎用性が向上し、しかも安全性の高い洗浄組成物を得ることができる。
次に第3の発明によれば、洗浄組成物を構成する他の化合物の組成に応じて最適な溶剤を選択することができる。例えば、配合する二塩基酸エステルの性質に応じてアルコールの配合比を多くしたり、アルコール、エーテル及びエステルの配合比を適宜選択したりして調製することができる。
次に第4の発明によれば、被塗装物に付着した汚れを落とす手段が簡便となる。例えば、手についた塗料などの汚れを拭き取り材で軽く拭き取るだけで汚れを落とすことができる。また、壁等にされた落書きに対してはその落書き部分を軽く拭き取るだけで簡単に落書きを落とすことができる。
次に第5の発明によれば、被塗装物に付着した汚れと拭き取り材が接触しやすくなるので、拭き取り材としての洗浄能力を向上する効果がある。
次に第6の発明によれば、拭き取り材としての洗浄力がさらに向上し、加えて拭き取り材を大量生産できるという利点がある。また、汚れが拭き取り材に充分に付着されるので被塗装物への再付着も防止され得る。
二塩基酸エステル 35g
ジエチレングリコールブチルエーテル 15g
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミド 25g
水 25g
二塩基酸エステル 35g
プロパノール 20g
脂肪酸ジエタノールアミド 25g
水 20g
図1は、本実施例の効果を示す洗浄比較試験に用いた試験用塗板1の斜視図である。この試験用塗板1は、長方形状の鉄板に白色のアクリルウレタン塗料2を塗装し完全にその塗料を硬化させた塗装面にアクリル変性の青色ラッカースプレー(塗装物)3を塗装し、72時間自然乾燥させたものを用いた。図1で見て手前から順に比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2となるように試験箇所を設定した。
(1)初期溶解力確認試験
比較例1及び比較例2を布に含浸させ、実施例1及び実施例2をポリエステル製の不織布に含浸させて、試験用塗板1の各試験箇所の塗装物を軽く1回拭き取り塗装物に対する溶解力を確認した。評価方法は、溶解が良好に行われた場合には「○」、あまり良好でない場合には「△」、溶解が不完全な場合には「×」として評価した。
(2)拭き取り試験
比較例1及び比較例2を布に含浸させ、実施例1及び実施例2をポリエステル製の不織布に含浸させて、試験用塗板1の各試験箇所において下地の白色のアクリルウレタン塗料2が見えてくる程度までの塗装物3を拭き取る試験を行った。評価方法は、塗装物が良好に落ちた場合には「○」、やや拭き伸びや再付着が見られた場合には「△」、拭き伸びや再付着が目立つ場合には「×」として評価した。
(3)水洗い試験
上記拭き取り試験と同じ方法で、数回の拭き取りと塗装物への水洗いを交互に繰り返し塗装物を洗浄する試験を行った。評価方法は、水洗いとの併用で塗装物が良好に落ちた場合には「○」、水洗いとの併用であまり効果が見られない場合には「△」、水洗いとの併用で全く効果が見られない場合には「×」として評価した。
(4)表面確認試験
上記拭き取り試験後に試験用塗板1の各試験箇所の表面を確認する試験を行った。評価方法は、表面に拭き取りによるキズがほとんど認められない場合には「○」、表面に拭き取りによるキズが若干認められる場合には「△」、表面に拭き取りによるキズが著しく認められる場合には「×」として評価した。
これらの各試験結果を以下の表1に示す。
(2)拭き取り試験では、表1に示すように、各実施例では塗装物が良好に洗浄されたのに対し、シンナーを用いた比較例1は表面上に拭き伸びや再付着が顕著に見られた。これはシンナーにより溶解した塗装物が布に充分に付着されないからであると思われる。また、市販の塗料用研磨材入り洗浄剤を用いた比較例2ではシンナーを用いた比較例1に比べて拭き伸びや再付着はさほど見られなかったが、表面に研磨剤が若干残存じていた。
(3)水洗い試験では、表1に示すように、各実施例では水洗いとの併用でも塗装物が良好に落ちたのに対し、シンナーを用いた比較例1では水洗いとの併用で全く効果が見られなかった。つまり、本実施例に係る洗浄組成物は、水との共存状態においても汚れへの溶解力が低下しないことが確認された。一方、シンナーは水と共存した場合に急激に溶解力が低下する性質があるため水洗いとの併用による洗浄はほとんど効果がないことが確認された。
(4)表面確認試験では、表1に示すように、各実施例では表面に拭き取りによるキズがほとんど認められなかったのに対し、市販の塗料用研磨材入り洗浄剤を用いた比較例2では、表面に拭き取りによるキズが著しく認められた。これは、上述した表面に残存した研磨剤が試験用塗板1と布との間で摺り合わされて拭き取り時にキズとなって発生したものと考えられる。
以上の結果から、各実施例は全ての試験において良好な結果が得られた。つまり、各実施例に係る洗浄組成物を用いると、塗装物へいわゆる拭き伸びや再付着を起こすことなく、しかも被塗装物に傷をつけないで塗装物を効率よく洗浄できることが確認された。
2 アクリルウレタン塗料
3 塗装物(青色ラッカースプレー)
4 洗浄組成物
5 噴霧器
6 塗料
7 拭き取り材
8 収容容器
Claims (4)
- 二塩基酸エステル、水溶性溶剤、界面活性剤および水を含有する洗浄組成物であって、
前記二塩基酸エステルは、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル 、アジピン酸ジメチルのいずれか1種の化合物あるいは2種類以上含む混合物であり、
前記水溶性溶剤は、アルコール、エーテル及びエステルのいずれか1種の化合物あるいは2種類以上の混合物であり、
ピロリドン誘導体を含有せず、
当該洗浄組成物の全重量に対して、前記二塩基酸エステルは30〜40重量部、前記水溶性溶剤は15〜20重量部、前記水は20〜25重量部配合されて可溶化していることを特徴とする塗料汚れ用洗浄組成物。 - 請求項1に記載された塗料汚れ用洗浄組成物を含浸させたことを特徴とする拭き取り材。
- 請求項2記載の拭き取り材であって、
前記拭き取り材は不織布で構成されており、該不織布は凹凸又は研磨性を有することを特徴とする拭き取り材。 - 請求項3記載の拭き取り材であって、
前記不織布の素材は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン及びパルプのいずれか1種の化合物あるいは2種類以上の混合物を配合したことを特徴とする拭き取り材。
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JP2004198121A JP5102935B2 (ja) | 2004-07-05 | 2004-07-05 | 洗浄組成物及び該洗浄組成物を含浸させた拭き取り材 |
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