JP5102635B2 - エンベロープウイルスの構成成分に親和性を有するポリペプチドと細胞内物質導入への使用 - Google Patents

エンベロープウイルスの構成成分に親和性を有するポリペプチドと細胞内物質導入への使用 Download PDF

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Description

本発明は、エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスのエンベロープ中に外来物質を包含させるためのタンパク質、該タンパク質を用いて外来物質を包含させたエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを用いる該外来物質の細胞内への導入方法に関する。
遺伝子の細胞内導入では、個々の細胞でのタンパク質発現量を調整することが難しく、また、siRNA、アンチセンス法を代表とする機能阻害方法では既に発現されたタンパク質の機能を抑えることができず、特に半減期の長いタンパク質においては阻害効果が期待できない。そこで、タンパク質や抗体を細胞へ導入する様々な試みがなされてきた。
タンパク質の細胞内導入方法としてはカチオン性リポソーム、細胞膜透過ペプチドを利用した方法が知られている。カチオン性リポソームは、電荷を利用して細胞内導入を行うので、それぞれのタンパク質で電荷が異なることから調製が困難であることや、タンパク質の電荷によっては導入が困難な場合がある。細胞膜透過ペプチドを利用する方法として、HIV由来の塩基性に富むTATペプチドを利用した方法が知られており、抗体の細胞内導入方法としては、細胞膜透過ペプチドとして機能するTATとプロテインA等の抗体結合領域との融合タンパク質を利用するものも報告されている(特許文献1)。しかしながら、塩基性に富んだ細胞膜透過ペプチドを用いたタンパク質導入では、塩基性に富むペプチドは核移行能を有し、またTATペプチドも核移行することが知られていることから、細胞質内局在が要求される場面では、課題を抱えている。
マイクロインジェクション法によるタンパク質や抗体の細胞内導入方法は、特殊な機器が必要であること、また非常に煩雑な操作が必要である。
不活性化エンベロープウイルスを用いた細胞への物質導入では、遺伝子などの核酸の導入(特許文献2)、RNaseT1、β-Galactosidase等のタンパク質の導入(非特許文献1、2)が可能であることが知られているが、抗体の細胞内導入については、充分な効率が得られているとは言えない(非特許文献3、4)。
特開2005-052083 米国公開2003/0013195A European Journal Biochmistry vol. 271, No. 17, 3567-3572, 2004 Neurosci. Lett., 378(1), 18-21, 2005 Apr. 11. 2005 Medical Science Digest vol. 29 (3), 38-41, 2003 Current Gene Therapy, vol. 4, 183-194, 2004
本発明は、タンパク質、抗体またはその他の外来物質を、その機能・構造を損なうことなく、細胞内に導入するためのタンパク質、及び該タンパク質とエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスとを用いて、時間的・量的に制御でき、かつ効率的に外来物質を細胞内へ導入する方法を提供する。
本発明者らは、エンベロープウイルスのエンベロープ中に外来物質を包含させる方法について鋭意検討した結果、エンベロープウイルスの構成成分に親和性のあるポリペプチドを含むタンパク質が、エンベロープ中に外来物質を効率よく包含させることを見出した。さらに該タンパク質を用いて外来物質を包含させたエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスにより、外来物質が細胞内に該物質の生理学的機能を失うことなく効率的に導入されることを見出し、本発明を完成した。
より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
〔1〕(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質。
〔2〕(a)のポリペプチドと(b)のポリペプチドとを含むタンパク質が融合タンパク質である〔1〕に記載のタンパク質。
〔3〕(a)のポリペプチドが、エンベロープ内側に存在する構成成分と親和性のあるポリペプチドである〔1〕または〔2〕に記載のタンパク質。
〔4〕(a)のポリペプチドが、
(1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
(2)該アミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
(3)それらの一部(部分ペプチド)
である〔1〕または〔2〕に記載のタンパク質。
〔5〕(b)のポリペプチドが、抗体と結合能のあるポリペプチドである〔1〕または〔2〕に記載のタンパク質。
〔6〕抗体と結合能のあるポリペプチドが、抗体のFc領域またはκ軽鎖と結合するポリペプチドである〔5〕に記載のタンパク質。
〔7〕抗体と結合能のあるポリペプチドが
(1)配列番号:4、49及び51からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
(2)該アミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
(3)それらの一部
である〔5〕に記載のタンパク質。
〔8〕エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと、抗体と結合能のあるポリペプチドとの融合タンパク質である以下(1)から(3)のいずれかのポリペプチドをコードするDNA。
(1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと実質的に同等なポリペプチドまたはそれらの一部と、配列番号:4、49及び51からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと実質的に同等なポリペプチドまたはそれらの一部との融合ポリペプチド、
(2)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
(3)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと実質的に同等なポリペプチド
〔9〕(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質を含有するエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
〔10〕エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと、抗体と結合能のあるポリペプチドとの融合タンパク質である以下(1)から(3)のいずれかのポリペプチドを含有する〔9〕に記載のエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
(1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと実質的に同等なポリペプチドまたはそれらの一部と、配列番号:4、49及び51からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと実質的に同等なポリペプチドまたはそれらの一部との融合ポリペプチド、
(2)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
(3)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと実質的に同等なポリペプチド
〔11〕(a)のポリペプチドと(b)のポリペプチドとを含むタンパク質と、外来物質との複合体を含有するエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
〔12〕外来物質が抗体である〔11〕に記載のエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
〔13〕エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと、抗体と結合能のあるポリペプチドとの融合タンパク質である以下(1)から(3)のいずれかのポリペプチドと、抗体との複合体を含む〔12〕に記載のエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
(1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと実質的に同等なポリペプチドまたはそれらの一部と、配列番号:4、49及び51からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと実質的に同等なポリペプチドまたはそれらの一部との融合ポリペプチド、
(2)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
(3)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと実質的に同等なポリペプチド
〔14〕エンベロープ中に外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを調製する方法であって、
(1)エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと、(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質とを混合する工程、
(2)前記工程(1)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程、
(3)前記工程(2)で得られるものと外来物質を混合する工程を含む方法。
〔15〕エンベロープ中に外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを調製する方法であって、
(1)(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質と、該外来物質とを混合し複合体を形成する工程、
(2)前記工程(1)の混合物にエンベロープウイルスを混合する工程、
(3)前記工程(2)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程とを含む方法。
〔16〕(a)のポリペプチドと(b)のポリペプチドとを含むタンパク質が融合タンパク質である〔14〕または〔15〕に記載の方法。
〔17〕外来物質が抗体である〔14〕または〔15〕に記載の方法。
〔18〕エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを用いて細胞内へ外来物質を導入する方法であって、
(1)エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと、(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質とを混合する工程、
(2)前記工程(1)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程、
(3)前記工程(2)で得られるものと外来物質を混合する工程、
(4)前記工程(3)で得られる外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと細胞とを接触させる工程とを含む方法。
〔19〕エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを用いて細胞内へ外来物質を導入する方法であって、
(1)(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質と、該外来物質とを混合し複合体を形成する工程、
(2)前記工程(1)の複合体にエンベロープウイルスを混合する工程、
(3)前記工程(2)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程、
(4)前記工程(3)で得られる外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと細胞とを接触させる工程とを含む方法。
〔20〕(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質が融合タンパク質である〔18〕または〔19〕に記載の方法。
〔21〕外来物質が抗体である〔18〕または〔19〕に記載の方法。
〔22〕(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質と、細胞内へ導入される外来物質との複合体。
本発明によれば、簡単な操作で、タンパク質、抗体またはその他の外来物質を、その機能・構造を損なうことなく、細胞内に導入することができる。外来物質が抗体である場合、抗体に結合させた様々な物質を細胞内に導入することができる。また細胞内の様々な物質に対する抗体を導入することができ、該物質の機能を制御することができる。更には、細胞外から投与する物質またはその代謝物に対する抗体なども導入することが可能であり、該物質の細胞内での生理活性を特異的に制御することも可能である。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
ZZ-NPを含む不活性化HVJエンベロープのSDS-PAGE(lane 2)。不活性化HVJエンベロープ(lane 1)。ZZ-NPのみ(lane 3)。分子量マーカー(lane 4)。 MouseIgG抗体を含む不活性化HVJエンベロープのウエスタンブロッティング。ZZ-NPを含む不活性化HVJエンベロープに取込まれたMouseIgG抗体(lane 4〜6)。Lane 1〜3はMouseIgG抗体のみ、それぞれ1/3μg、1μg、3μg。 不活性化HVJエンベロープを用いてHeLa S3細胞に導入されたAnti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体のAlexa488標識goat Anti-Mouse IgG F(ab')2フラグメントによる検出。蛍光像(1)。明視野像(2)。 Mouse IgG抗体を含む不活性化HVJエンベロープのウエスタンブロッティング。不活性化HVJエンベロープに取込まれたMouse IgG抗体(lane 1,2)。本発明のタンパク質を含む不活性化HVJエンベロープに取込まれたMouse IgG抗体(ZZ-NP:lane 3,4、ZZ-NPK1:lane 5,6、ZZ-NPK2:lane 7,8、ZZ-NPK3:lane 9,10、ZZ-NPK4:lane 11,12)。Lane 13〜17はMouse IgG抗体のみ、それぞれ1/16μg、1/8μg、1/4μg、1/2μg、1μg。 不活性化HVJエンベロープを用いてHeLa S3細胞に導入されたAnti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体のAlexa488標識goat Anti-Mouse IgG F(ab')2フラグメントによる検出。ZZ-NPK1を含む不活化HVJエンベロープによるAnti-NPC抗体の導入処理を行なった細胞(1) 。Anti-NPC抗体のみによる導入処理を行なった細胞(2)。 G-NPK1あるいはGG-NPK1を用いてRat IgG2b抗体を封入させた不活性化HVJエンベロープのSDS−PAGE。本発明のタンパク質を含む不活性化HVJエンベロープに取り込まれたRat IgG2b抗体(G-NPK1:6、GG-NPK1:9)。分子量マーカー(lane 1)。Rat IgG2b抗体のみ(lane 2)。不活性化HVJエンベロープのみ(lane 3)。G-NPK1のみ(lane 4)。GG-NPK1のみ(lane 7)。本発明のタンパク質を含む不活性化HVJエンベロープ(G-NPK1:lane 5、GG-NPK1:lane 8)。 L-NPK1あるいはLL-NPK1を用いてRat IgG2b抗体を封入させた不活性化HVJエンベロープのSDS−PAGE。本発明のタンパク質を含む不活性化HVJエンベロープに取り込まれたRat IgG2b抗体(L-NPK1:6、LL-NPK1:9)。分子量マーカー(lane 1)。Rat IgG2b抗体のみ(lane 2)。不活性化HVJエンベロープのみ(lane 3)。L-NPK1のみ(lane 4)。LL-NPK1のみ(lane 7)。本発明のタンパク質を含む不活性化HVJエンベロープ(L-NPK1:lane 5、LL-NPK1:lane 8)。 不活性化HVJエンベロープを用いてHeLa S3細胞に導入されたRat IgG2b抗体のAlexa488標識Chicken Anti-Rat IgGによる検出。本発明のタンパク質を含む不活性化HVJエンベロープによるRat IgG2b抗体の導入処理を行なった細胞〔G-NPK1:(1)、GG-NPK1:(2)、L-NPK1:(3)、LL-NPK1:(4)〕。Rat IgG2b抗体のみによる導入処理を行なった細胞(5)。 不活性化HVJエンベロープを用いてHeLa S3細胞に導入されたAnti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体のAlexa488標識Goat Anti-Mouse IgG F(ab')2フラグメントによる検出。G-NPK1あるいはGG-NPK1を含む不活化HVJエンベロープによるAnti-NPC抗体の導入処理を行なった細胞〔G-NPK1:(1)、GG-NPK1:(2)〕。Anti-NPC抗体のみによる導入処理を行なった細胞(3)。
本発明において使用するエンベロープウイルスとしては、エンベロープを有するウイルスであれば種々のウイルスを挙げることができる。エンベロープウイルスはそのエンベロープ中に含まれる核酸、ヌクレオキャプシドタンパンク質などを宿主細胞内へ送達することが知られている。そのようなウイルスとしては、レトロウイルス科、トガウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス科及びヘパドナウイルス科に属するウイルスが挙げられる。好ましくはパラミクソウイルス科またはオルトミクソウイルス科に属するウイルスであり、より好ましくはパラミクソウイルス科に属するウイルスである。さらにより好ましくはパラミクソウイルス亜科に属するウイルスである。パラミクソウイルス亜科に属するウイルスとしてはレスピロウイルス属、ルブラウイルス属、モービリウイルス属がある。これらの中ではレスピロウイルス属のウイルスが好ましく、センダイウイルスがより好ましい。本明細書において「センダイウイルス」または「HVJ」(Hemagglutinating virus of Japan)とは、互換的に用いられる。
本発明において「不活性化」とは、ウイルスについて言及されるとき、ゲノムが不活性化されることをいう。不活性化されたウイルスは、複製欠損である。ゲノムの不活性化は例えばUV処理またはアルキル化剤処理によりなされる。本発明において、エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスのいずれのものも使用できるが、不活性化エンベロープウイルスがより望ましい。本明細書において不活性化エンベロープウイルスまたは不活性化ウイルスエンベロープとは、互換的に用いられる。
本発明のタンパク質は(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質である。(a)のポリペプチドは、(b)のポリペプチドと結合することにより、該外来物質を「エンベロープ中に含まれる」状態にすることを助けるポリペプチドであり、エンベロープ中に含まれる該外来物質の濃度を上昇させるポリペプチドであればよい。前記(a)のポリペプチドと(b)のポリペプチドは、それぞれのペプチドがサブユニットを形成する複合体であっても、一つの融合タンパク質であってもよいが、融合タンパク質がより望ましい。
本発明において「エンベロープ」とは、エンベロープウイルスに存在するヌクレオキャプシドの周囲を取り囲む脂質二重層を基本とする膜構造をいう。本発明において、特定の物質が「エンベロープ中に含まれる」とは上記脂質二重層を基本とする膜構造で囲まれた内部を満たす水性層の中及び/または膜構造の脂質中に存在することを意味し、細胞に導入されるタンパク質または外来物質の表面の性質、例えば、親水性または疎水性等に依存すると考えられる。該物質が不活性化ウイルスのエンベロープ内側の水性層に主に存在することが望ましい。また、本発明において「エンベロープ中に含ませる」とは物質を前記「エンベロープ中に含まれる」状態にすることを意味する。
前記エンベロープウイルスの構成成分としては、エンベロープ表面に存在するタンパク質、リン酸化タンパク質、マトリックスタンパク質、核酸、核酸に結合しているタンパク質などが挙げられる。前記(a)のポリペプチドは、より具体的には、エンベロープ表面に存在するタンパク質、リン酸化タンパク質、マトリックスタンパク質、核酸及び核酸に結合しているタンパク質からなる群より選択される一つまたは二つ以上と親和性のあるタンパク質またはその部分ペプチドである。好ましくは、前記(a)のポリペプチドは、エンベロープ内側に存在するウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドであり、より好ましくは、リン酸化タンパク質、マトリックスタンパク質、核酸及び核酸に結合しているタンパク質からなる群より選択される一つまたは二つ以上と親和性のあるタンパク質またはその部分ペプチドである。前記(a)のポリペプチドとして、エンベロープウイルスのヌクレオキャプシドタンパク質またはその部分ペプチドがさらにより好ましい。
エンベロープウイルスとして好ましい一例であるセンダイウイルス由来のヌクレオキャプシドタンパク質(NPと略称される)は、該ウイルスのエンベロープ内側に存在するタンパク質、該ウイルスの核酸(RNA)と親和性があり、またヌクレオキャプシドタンパク質相互間に親和性があり、該ウイルス内では核酸と緊密な複合体の形成を可能にしている。センダイウイルスのヌクレオキャプシドタンパク質としては、配列番号:2 (SEQ ID NO: 2)に記載されるアミノ酸配列若しくは該アミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列で表されるポリペプチド、またはその部分ペプチドが好ましい。部分ペプチドとしては、配列番号:27、29、31、33に記載されるアミノ酸配列などが挙げられる。
本発明において前記(b)の外来物質と結合能のあるポリペプチドとは、外来物質と結合能を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであれば良く、取り扱う外来物質に応じて適宜選択することが可能である。細胞に導入される外来物質としては、核酸、タンパク質、多糖類、脂質が挙げられ、好ましくはタンパク質、より好ましくは抗体が挙げられる。例えば、外来物質が核酸であれば、塩基性アミノ酸に富んだポリペプチド、遺伝子の特異的な配列に結合するポリペプチドなども挙げられ、その具体例としては、GAL4等のDNA結合配列が挙げられる。また、外来物質がイミダゾリン環を有するビオチン関連物質で標識された物質であれば、卵白由来のアビジン、菌体由来のストレプトアビジンなどのアビジン類が挙げられる。外来物質が抗体であれば、前記(b)のポリペプチドとして、抗体と結合能のあるポリペプチドまたはその部分ペプチドが挙げられる。抗体と結合能のあるポリペプチドとしては免疫グロブリン結合型タンパク質またはその部分ペプチドが望ましく、Fc領域またはκ軽鎖と結合するタンパク質またはその部分ペプチドがより望ましい。これらのタンパク質またはその部分ペプチドは、結合させる抗体により適宜選択することができる。抗体が、一本鎖抗体または軽鎖および重鎖の可変ドメインがフレキシブルペプチドリンカーで結合しているような抗体の場合、κ軽鎖と結合するものが選択される。より具体的には、Fc領域と結合するプロテインA、プロテインG、プロテインA/G、κ軽鎖と結合するプロテインL、それらと実質的に同一なアミノ酸配列またはそれらの部分ペプチドが挙げられる。これらの免疫グロブリン結合型タンパク質はタンパク質全体を使用してもよいし、これらのタンパク質の免疫グロブリン結合配列を使用してもよい。前記結合配列としては、Fc領域またはκ軽鎖と結合するアミノ酸配列が望ましい。Fc領域結合配列としては、プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域のアミノ酸配列及びそれらと実質的に同一なアミノ酸配列が挙げられ、それからなる群より選択される一つまたは二以上の配列を組合せて使用することが可能である。より望ましくは配列番号:4で表されるアミノ酸配列を有するZ領域、配列番号:49で表されるアミノ酸配列を有するプロテインGのC1領域、配列番号:51で表されるアミノ酸配列を有するプロテインLのB1領域、またはそれらのアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列である。
前述のように、前記(a)のポリペプチドと(b)のポリペプチドとは一つの融合タンパク質であっても良く、それぞれのペプチドがサブユニットを形成する複合体であってもよいが、より望ましくは融合タンパク質である。そのような融合タンパクとしては、前記(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)外来物質と結合能を有するポリペプチドとを含んでいる融合タンパク質であり、(a)のポリペプチドのN末端側(アミノ末端側)またはC末端側(カルボキシル末端側)のいずれに(b)のポリペプチドが位置していてもよい。より望ましくは、(a)のポリペプチドのN末端側に(b)のポリペプチドが位置している融合タンパクである。融合タンパク質は、(a)のポリペプチドと(b)のポリペプチドの間に、立体障害干渉を避けるためのスペーサー領域を含んでいてもよい。該スペーサー領域はグリシンまたはグリシン及びセリンにより構成されていてもよい。
前記融合タンパク質としては、より具体的には以下のものが挙げられる。
(1)配列番号:2で表されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列のN末端側に塩基性アミノ酸に富んだポリペプチドを有するもの。
(2)配列番号:2で表されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列のN末端側にGAL4等のDNA結合配列を有するもの。
(3)配列番号:2で表されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列のN末端側にアビジン類のアミノ酸配列を有するもの。
(4)配列番号:2で表されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列のN末端側に抗体結合タンパク質またはその部分ペプチドを有するもの。
前記(4)の融合タンパク質の好ましい例として、配列番号:6、13、15、17、19、53、55、57、59で表されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列を含んでいるタンパク質が挙げられ、更に好ましくは、配列番号:6、13、55、59で表されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列を含んでいるタンパク質である。
本発明において「実質的に同一のアミノ酸配列」としては、アミノ酸配列中、アミノ酸番号1以降のアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、特に好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。ここで「相同性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つのアミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメント(好ましくは、該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである)における、オーバーラップする全アミノ酸残基に対する同一アミノ酸および類似アミノ酸残基の割合(%)を意味する。「類似アミノ酸」とは物理化学的性質において類似したアミノ酸を意味し、例えば、芳香族アミノ酸(Phe、Trp、Tyr)、脂肪族アミノ酸(Ala、Leu、Ile、Val)、極性アミノ酸(Gln、Asn)、塩基性アミノ酸(Lys、Arg、His)、酸性アミノ酸(Glu、Asp)、水酸基を有するアミノ酸(Ser、Thr)、側鎖の小さいアミノ酸(Gly、Ala、Ser、Thr、Met)などの同じグループに分類されるアミノ酸が挙げられる。このような類似アミノ酸による置換はタンパク質の表現型に変化をもたらさない(即ち、保存的アミノ酸置換である)ことが予測される。保存的アミノ酸置換の具体例は当該技術分野で周知であり、種々の文献に記載されている(例えば、Bowieら,Science, 247: 1306-1310 (1990)を参照)。
アミノ酸配列の相同性を決定するためのアルゴリズムとしては、例えば、Karlinら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877 (1993)に記載のアルゴリズムなどが挙げられるが、それらに限定されない。
本発明において「実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質」とは、例えば、実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。
本発明のタンパク質としては、例えば、(1)アミノ酸配列中アミノ酸番号1以降のアミノ酸配列のうち1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(2)アミノ酸配列中アミノ酸番号1以降のアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(3)アミノ酸配列中アミノ酸番号1以降のアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、(4)アミノ酸配列中アミノ酸番号1以降のアミノ酸配列のうち1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(5)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆるムテイン(mutein)も含まれる。上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または置換されている場合、その挿入、欠失または置換の位置は、タンパク質の活性が保持される限り特に限定されない。
本明細書において、タンパク質およびペプチドは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端、右端がC末端で記載される。本発明のタンパク質は、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO-)、アミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)のいずれであってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルのようなC1-6アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシルのようなC3-8シクロアルキル基;フェニル、α−ナフチルのようなC6-12アリール基;ベンジル、フェネチルのようなフェニル−C1-2アルキル基;α−ナフチルメチルのようなα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基;ピバロイルオキシメチル基などが用いられる。本発明のタンパク質がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のタンパク質に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。さらに、本発明のタンパク質には、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成し得るN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。
本発明のタンパク質をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:5、12、14、16、18、48、50、52、54、56、58で表される塩基配列を有するDNA、または該塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、実質的に同質の活性を有するタンパク質をコードするDNAなどが挙げられる。該塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、該塩基配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、特に好ましくは約80%以上、最も好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)第2版(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、ハイブリダイゼーションは、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。ハイブリダイゼーションは、好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。ハイストリンジェントな条件としては、例えば、ナトリウム塩濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件等が挙げられる。特に、ナトリウム塩濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が好ましい。
DNAの塩基配列は、公知のキット、例えば、MutanTM-super Express Km(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝酒造(株))等を用いて、ODA-LA PCR法、Gapped duplex法、Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って変換することができる。
クローン化されたDNAは、目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化するか、リンカーを付加した後に、使用することができる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3'末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することができる。
本発明のタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターは、例えば、本発明のタンパク質をコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13、pET28a);枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110、pTP5、pC194);酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH15);昆虫細胞発現プラスミド(例:pFast-Bac);動物細胞発現プラスミド(例:pA1-11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neo);λファージなどのバクテリオファージ;バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクター(例:BmNPV、AcNPV);レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなどの動物ウイルスベクターなどが用いられる。
プロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、宿主が動物細胞である場合、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられる。なかでも、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合、trpプロモーター、lacプロモーター、rec Aプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーターなどが好ましい。宿主がバチルス属菌である場合、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。宿主が酵母である場合、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターとしては、上記の他に、所望によりエンハンサー、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製起点(以下、SV40 oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(以下、dhfrと略称する場合がある、メソトレキセート(MTX)耐性)、アンピシリン耐性遺伝子(以下、amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、neorと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を用い、dhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によって目的遺伝子を選択することもできる。また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列をコードする塩基配列(シグナルコドン)を、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNAの5'末端側に付加(またはネイティブなシグナルコドンと置換)してもよい。例えば、宿主がエシェリヒア属菌である場合、Pho A・シグナル配列、Omp A・シグナル配列などが;宿主がバチルス属菌である場合、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが;宿主が酵母である場合、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列などが;宿主が動物細胞である場合、インスリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ用いられる。
エシェリヒア属菌としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 60巻, 160(1968)〕,エシェリヒア・コリJM103〔ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research), 9巻, 309(1981)〕,エシェリヒア・コリJA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology), 120巻,517(1978)〕,エシェリヒア・コリHB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー, 41巻, 459(1969)〕,エシェリヒア・コリC600〔ジェネティックス(Genetics), 39巻,440(1954)〕,エシェリヒア・コリ ロゼッタ(DE3)〔ノバジェン(Novagen社)〕などが用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン, 24巻, 255(1983)〕,バチルス・サブチルス207-21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry), 95巻, 87(1984)〕などが用いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA87-11A,KDK-5D,20B-12、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913, NCYC2036、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)KM71などが用いられる。昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞、Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合、昆虫細胞としては、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N 細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In Vivo), 13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature), 315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サルCOS-7細胞、サルVero細胞、チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記)、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記)、マウスL細胞,マウスAtT−20細胞、マウスミエローマ細胞,ラットGH3細胞、ヒトFL細胞などが用いられる。
形質転換は、宿主の種類に応じ、公知の方法に従って実施することができる。エシェリヒア属菌は、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 69巻, 2110(1972)やジーン(Gene), 17巻, 107(1982)などに記載の方法に従って形質転換することができる。バチルス属菌は、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics), 168巻, 111(1979)などに記載の方法に従って形質転換することができる。酵母は、例えば、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology), 194巻, 182-187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 75巻, 1929(1978)などに記載の方法に従って形質転換することができる。昆虫細胞および昆虫は、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology), 6巻, 47-55(1988)などに記載の方法に従って形質転換することができる。動物細胞は、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール, 263-267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology), 52巻, 456(1973)に記載の方法に従って形質転換することができる。
形質転換体の培養は、宿主の種類に応じ、公知の方法に従って実施することができる。例えば、宿主がエシェリヒア属菌またはバチルス属菌である形質転換体を培養する場合、培養に使用される培地としては液体培地が好ましい。また、培地は、形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物などを含有することが好ましい。ここで、炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖などが;窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質が;無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがそれぞれ挙げられる。また、培地には、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは、好ましくは約5〜8である。
宿主がエシェリヒア属菌である形質転換体を培養する場合の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics), 431-433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。必要により、プロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を培地に添加してもよい。宿主がエシェリヒア属菌である形質転換体の培養は、通常約15〜43℃で、約3〜24時間行なわれる。必要により、通気や撹拌を行ってもよい。
宿主がバチルス属菌である形質転換体の培養は、通常約30〜40℃で、約6〜24時間行なわれる。必要により、通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が酵母である形質転換体を培養する場合の培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K.L.ら,プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 77巻, 4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G.A.ら,プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 81巻, 5330(1984)〕などが挙げられる。培地のpHは、好ましくは約5〜約8である。培養は、通常約20℃〜35℃で、約24〜72時間行なわれる。必要に応じて、通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する場合の培地としては、例えばGrace's Insect Medium〔Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature), 195巻, 788(1962)〕に非働化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは、好ましくは約6.2〜6.4である。培養は、通常約27℃で、約3〜5日間行なわれる。必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する場合の培地としては、例えば、約5〜20%の胎児ウシ血清を含む最小必須培地(MEM)〔サイエンス(Science), 122巻, 501(1952)〕,ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)〔ヴィロロジー(Virology), 8巻, 396(1959)〕, RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association), 199巻, 519(1967)〕, 199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine), 73巻, 1(1950)〕などが用いられる。培地のpHは、好ましくは約6〜8である。培養は、通常約30℃〜40℃で、約15〜60時間行なわれる。必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
前記形質転換体を培養して得られる培養物から本発明のタンパク質を自体公知の方法に従って分離精製することができる。例えば、本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞の細胞質から抽出する場合、培養物から公知の方法で集めた菌体あるいは細胞を適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊した後、遠心分離やろ過により可溶性タンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。該緩衝液は、尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク質変性剤や、TritonX-100などの界面活性剤を含んでいてもよい。一方、膜画分から本発明のタンパク質を抽出する場合は、上記と同様に菌体あるいは細胞を破壊した後、低速遠心で細胞デブリスを沈澱除去し、上清を高速遠心して細胞膜含有画分を沈澱させる(必要に応じて密度勾配遠心などにより細胞膜画分を精製する)などの方法が用いられる。また、本発明タンパク質が菌体(細胞)外に分泌される場合には、培養物から遠心分離またはろ過等により培養上清を分取するなどの方法が用いられる。
このようにして得られた可溶性画分、膜画分あるいは培養上清中に含まれる本発明タンパク質の単離精製は、自体公知の方法に従って行うことができる。このような方法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法;透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法;イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法;アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法;逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法;等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法;などが用いられる。これらの方法は、適宜組み合わせることもできる。
タンパク質またはペプチドが遊離体である場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって、該遊離体を塩に変換することができ、タンパク質またはペプチドが塩として得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、該塩を遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、形質転換体が産生する本発明のタンパク質を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。該蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。かくして得られる本発明のタンパク質の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイやウエスタンブロッティングなどにより確認することができる。
さらに、本発明のタンパク質をコードするDNAに対応するRNAを鋳型として、ウサギ網状赤血球ライセート、コムギ胚芽ライセート、大腸菌ライセートなどからなる無細胞タンパク質翻訳系を用いてインビトロ合成することができる。あるいは、さらにRNAポリメラーゼを含む無細胞転写/翻訳系を用いて、本発明のタンパク質をコードするDNAを鋳型としても合成することができる。
また、本発明で用いられるタンパク質またはその部分ペプチド、抗体などは、必要に応じて標識することができる。標識方法としては、一般的な公知の方法であれば特に限定されないが、蛍光標識、オートラジオグラフィ、高電子密度物質、色素不溶化酵素であることが好ましい。好ましくは、蛍光標識を共有結合により標識することである。
蛍光標識に用いる蛍光物質としては、特に限定されないが、例えばピレン、アントラニロイル基、ダンシル基、フルオレセイン、ローダミン、ニトロベンゾキサジアゾール基等の蛍光団を有する化合物が挙げられる。上記の蛍光団を有する化合物は公知であり(例えば、平塚寿章、「蛋白質 核酸 酵素」、Vol.42,No.7(1997)等参照)、常法により蛋白質分子またはペプチド等に導入することができる。
本発明のタンパク質を用いて、エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスのエンベロープ中に外来物質を含ませる方法としては、本発明のタンパク質をエンベロープ中に含ませた後、外来物質と前記ウイルスまたは不活性化ウイルスを接触させる方法、本発明のタンパク質と外来物質との複合体を形成させた後、エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスのエンベロープ中に該複合体を含ませる方法が挙げられる。
1.本発明のタンパク質をエンベロープウイルス中に導入した後、外来物質と前記ウイルスを接触させる場合、
(1)エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと、(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質とを混合する工程、
(2)前記工程(1)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程、
(3)前記工程(2)で得られるものと外来物質を混合する工程により、外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを得ることができる。
2.本発明のタンパク質と外来物質との複合体を形成させた後、エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス中に該複合体を導入する場合、
(1)(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質と、該外来物質とを混合し複合体を形成する工程、
(2)前記工程(1)の混合物にエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを混合する工程、
(3)前記工程(2)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程により、外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを得ることができる。
前記1または2の方法において、エンベロープの透過性に影響を与える処理としては、凍結融解、超音波処理、界面活性剤の添加などが挙げられるが、界面活性剤の添加がより望ましい。使用する界面活性剤としては、オクチルグルコシド、Triton-X100、CHAPS、NP-40などが挙げられ、それらを単独で使用してもよいし、二つ以上の界面活性剤を組合せて使用することもできる。エンベロープの透過性に影響を与える処理として、前記界面活性剤の添加を行う場合の界面活性剤の最終濃度は、界面活性剤により異なるが、0.002〜20%であり、望ましくは0.02〜2%である。また、界面活性剤を使用した場合、1分〜1時間後に界面活性剤を除去することが望ましい。前記1の方法であれば、(3)の外来物質を混合する工程の前に界面活性剤を除去することが望ましい。前記2の方法であれば、(3)の工程の後、界面活性剤を除去することが望ましい。界面活性剤の除去の方法としては、混合液を遠心し、上清を除去する方法が挙げられる。界面活性剤による処理は、低温下で行うことが望ましく、氷冷下で行うことがより望ましい。
本発明のタンパク質を用いて得られる、エンベロープ中に外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを使用して、細胞内へ該外来物質を導入することが可能である。エンベロープ中に外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと導入の対象となる細胞とを接触させることにより、該外来物質は細胞内に導入される。
本発明において外来物質が導入される細胞としては、培養細胞、組織を形成する細胞のいずれであってもよいが、好ましくは培養細胞である。細胞としてより具体的には、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、サル、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、ハムスターなど)のあらゆる細胞、例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など、もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、脂肪組織(例、褐色脂肪組織、白色脂肪組織)、骨格筋などが挙げられる。
以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
抗体との結合能を有するZZタンパク質(合成ペプチドZZ領域)を発現するベクターの構築
抗体結合能を有するZ領域を利用するため、該領域が2つ連続したZZ領域をコードするDNA断片を、誘導発現型であるpET28a(Novagen社)のT7プロモーター下流に挿入した。前記ZZ領域DNA断片は、pEZZ18(Amersham Biosciences社)を鋳型にPCRを行うことにより調製した。
プライマーとしてprimer 1 (5'-GCAAATGCCATGGAACACGATGAAGCCGTAGACAA-3';配列番号:7)とprimer 2 (5'-GGATCACCAAGCTTTTAGCTCGAATTCGCGTCTAC-3';配列番号:8)を使用し、得られるDNA断片において、ZZ領域の前後に制限酵素NcoI、Hind IIIの切断部位が生じるようにした。前記PCRは、Ex TaqTM (Takara社)を使用し、約1ngのpEZZ18を反応液50μl(付属の反応バッファー、各200μMのdATP、dTTP、dCTP、dGTP、前記各プライマー400nM)加えて行った。GeneAmp PCR system 9700(PE Applied Biosystems社)を使用し、94℃を30秒、60℃を30秒、72℃を30秒のステップを30サイクル繰り返した。得られたDNA断片を制限酵素NcoI、Hind IIIで切断し、同じくNcoI、Hind IIIでpET28a(Novagen社)切断して生成される部位に挿入することにより誘導発現型のpETZZを得た。
HVJヌクレオキャプシドタンパク質をコードするDNAの調製
HVJのヌクレオキャプシドタンパク質をコードするDNAは、HVJのZ株(大阪大学金田教授より分譲)のゲノムRNAを逆転写し、得られたcDNAを鋳型としてPCRを行うことにより得た。前記ウイルスとしては、米国公開2004/253272Aの実施例1に記載の方法と同様にして得られるHVJ接種鶏卵の漿尿液中のHVJウイルスを使用することができる。
総RNAをウイルス感染鶏卵漿尿液中から、Viral RNA Mini(Viogene社)を用いて精製した。精製した総RNAとウイルスゲノムRNA特異的プライマーであるprimer 3 (5'-ACCAAACAAGAGAAAAAACATGTAT-3';配列番号:9)とを使用し、Ready-To-GoTM You-Prime First-Strand Beads(Amersham Biosciences社)により逆転写反応を行った。該反応では、16ng/μlの総RNA溶液10μlにRnase free水20μlを加え、65℃10分、氷上2分置いた。これをFirst-Strand Reaction Mix Beadsに加え、さらに10μMのprimer 3を3μl加え1時間37℃で静置し、これをウイルスゲノムcDNA溶液とした。
前記反応で得られたウイルスゲノムcDNAを鋳型として、プライマーprimer 4 (5'-TGCCAAAGGATCCGATGGCCGGGTTGTTGAGCACC-3';配列番号:10)、primer 5 (5'-GCCTCGTCTCGAGCTAGATTCCTCCTACCCCAGCT-3';配列番号:11)を用いてPCRを行い、得られるDNA断片において、ヌクレオキャプシドタンパク質をコードするDNA領域の前後に制限酵素BamH I、Xho Iの切断部位がそれぞれ生じるようにした。PCR反応は、Ex TaqTM(Takara社)を使用し、ウイルスゲノムcDNA溶液1μlを反応液49μl(付属反応バッファー、各200μMのdATP、dTTP、dCTP、dGTP、各400nMの前記プライマー)に加えて行った。GeneAmp PCR system 9700(PE Applied Biosystems社)を用いて94℃30秒、60℃30秒、72℃2分 のステップを30サイクル繰り返すPCR反応を行って、ヌクレオキャプシドタンパク質をコードするDNAを含む1μgのDNAが得られた。
ZZタンパク質とHVJヌクレオキャプシッドタンパク質との融合タンパク質を発現するプラスミドの調製
前記実施例1で得られたpETZZのZZタンパク質をコードするDNA配列の下流に、HVJヌクレオキャプシドタンパク質をコードするDNAを挿入することにより融合タンパクを発現するためのプラスミドpETZZNPを構築した。前記実施例2で得られたDNA断片をBamH I、Xho Iで切断し、pETZZをBamH I、Xho Iで切断して生成される部位に挿入し、ZZタンパク質のC末端側にHVJヌクレオキャプシッドタンパク質を有する融合タンパク質(ZZ-NP)を発現するプラスミドpETZZNPを得た。
ZZタンパク質とHVJヌクレオキャプシッドタンパク質との融合タンパク質の調製
T7 RNA ポリメラーゼを利用した大腸菌発現系で融合タンパクZZ-NPの発現誘導を行った。前記実施例3で得られたpETZZNPを用いて大腸菌ロゼッタ(DE3)(Novagen社)を形質転換し、この形質転換体をカナマイシン20μg/ml、クロラムフェニコール34μg/ml終濃度で含むLB培養液30mlで1晩37℃で培養したものを前培養液とした。この前培養液をカナマイシン20μg/ml、クロラムフェニコール34μg/ml終濃度で含むLB培養液1Lに移し、培養した。該培養液の濁度がOD600=0.6となった時点でIPTG 1M溶液を1ml添加し、発現誘導を行った。更に37℃で4時間培養した後、遠心(4℃、6,000rpm 15分間)により集菌し、ひと晩、-20℃で保存した。この菌体をTST溶液(50mM Tris,pH7.6,150mM NaCl,0.05% Tween 20)20mlに懸濁後、超音波で破砕した。この菌体破砕液を遠心(4℃ 20,000g 30分)して得られた上清を、IgG SepharoseTM 6 Fast Flow (Amersham Biosciences社)を用いて、付属説明書に従いアフィニティー精製した。カラムを0.5M 酢酸(pH3.4)、TST(50mM Tris buffer, pH7.6, 150mM NaCl, 0.05% Tween 20)で平衡化した後、前記上清をカラムにロードした。カラムをTST, 5mM NH4Ac(pH5.0)で洗浄した後、0.5M酢酸(pH3.4)で溶出した。融合タンパク質を含む溶出液2 mlをSpectra/Por Membrane MWCO: 1,000(Spectrum社)透析膜を用いて300mLのPBSに対して2時間透析し、さらに300mlのPBSに1晩透析した。透析後得られた融合タンパク質溶液2mlを0.22μmフィルターでろ過滅菌した。融合タンパク質ZZ-NPの濃度が2mg/mLの溶液を2ml得た。
融合タンパク質ZZ-NPを含む不活性化HVJエンベロープの調製
前記実施例4で得られた融合タンパク質ZZ-NPの溶液20μl(2mg/mlに調製された)を不活性化HVJエンベロープ(GenomONE登録商標、石原産業)25HAU/μlの溶液20μlに加え混合した。該混合液に4μlのTritonX-100 2%溶液を添加し、直ちに遠心(4℃、10,000g、5分間)した。遠心後、上清を除去し、静かにPBSを20μl加え、再び遠心(4℃、10,000g、5分間)した。遠心後、上清を除去して、遊離しているZZ-NPを取り除いた。得られたペレットにPBS 10μlを加え懸濁液とした。
上記懸濁液に更に10μlの2×sample bufferを加え、5分間煮沸した。得られた混合物に対してSDS-PAGE(10%アクリルアミドゲル)を行い、泳動後CBB染色を行った(図1、Lane 2)。対照区として、ZZ-NP使用しないこと以外、同様の操作を行なった不活性化HVJエンベロープ(図1、lane 1)、ZZ-NPのみ(同図、lane 3)を泳動した。lane1では、ZZ-NPに相当するバンドが見られない。一方、lane 2ではZZ-NPに相当するバンドが確認され、上記処理により融合タンパク質ZZ-NPを含む不活性化HVJエンベロープが得られることが示された。
Mouse IgGを含む不活性化HVJエンベロープの調製
不活性化HVJエンベロープ(GenomONE:登録商標 石原産業)25HAU/μlの懸濁液10μlに対して所定の濃度(0.08〜2mg/ml)のZZ-NP溶液を10μl加え混合した。更にTritonX-100 2%溶液を2μl添加し、直ちに遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたZZ-NPを含む不活性化HVJエンベロープを10μlの抗体溶液(Mouse IgG(SIGMA社) 1mg/ml、PBS)で懸濁し、5分氷上に静置した。前記懸濁液を遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたペレットに20μlのPBSを静かに加え、遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたペレットに10μlのPBSを加え懸濁液とした。上記懸濁液に更に2×sample bufferを10μl加え5分間煮沸した。得られた混合物に対して、SDS-PAGE(10%アクリルアミドゲル)を行った。泳動後、PVDF膜(ATTO社)へエレクトロブロット(60分間、2mA/cm2)した。ブロット後、このPVDF膜を5%スキムミルクを含むTBS-T(0.1% Tween20含むTBS)溶液で1時間浸し、ブロッキング操作を行った。次にこのブロッキングされたPVDF膜をTBS-Tで5分間洗浄後、抗Mouse Ig 抗体溶液(Anti-Mouse Ig HRP-Linked Whole Ab(Amersham Biosciences社)、0.1%BSAを含むTBS-T溶液に1時間浸した。その後、TBS-T溶液で5分間の洗浄を3回繰り返した後、ECL PLUS western blotting detection reagentsキット(Amersham Biosciences社)でMouse IgGを検出した(図2)。前記処理を行った不活性化HVJエンベロープのペレット中には、Mouse IgGが存在することが明らかになった。使用したZZ-NPの量(lane 4: 0.8μg、lane 5: 4μg、lane 6: 20μg)に比例し、含まれる抗体の量が増加した。
Anti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体を含む不活性化HVJエンベロープの調製
不活性化HVJエンベロープ(GenomONE:登録商標 石原産業)25HAU/μlの懸濁液10μlにZZ-NP 2mg/ml溶液10μlを加え混合した。更にTritonX-100 2%溶液を2μl添加し、直ちに遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたペレットを、10μlのAnti-NPC抗体(SIGMA社) 1mg/ml溶液で懸濁した。氷上に5分間静置した後、遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたAnti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体を含む不活性化HVJエンベロープに11.25μlのPBSを加え、更に1.25μlのprotamine sulfate 10mg/ml溶液を加え、懸濁液とした。
不活性化HVJエンベロープを用いたAnti-NPC抗体の培養細胞への導入
HeLa S3細胞(大阪大学 金田教授より分譲)を1×104cells/0.7cm2となるように播種し、翌日まで炭酸ガスインキュベータで培養した。この培養細胞に対して、前記実施例7で得られたAnti-NPC抗体を含む不活性化HVJエンベロープ懸濁液5μlを添加し炭酸ガスインキュベータに静置した。4時間後PBSで2回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒドを含むPBS溶液で15分間処理し細胞を固定した。次に、PBSで2回洗浄した後、0.2% Triton X-100を含むPBS溶液で5分間浸透処理を行った。処理後、PBSで5分間の洗浄を2回し、1% BSAを含むPBS溶液で10分間処理した。次に1% BSAと4μg/ml Alexa Fluor 488標識Goat Anti-Mouse IgG,F(ab')2 fragment(Invitrogen社)とを含むPBS溶液中で1時間静置した。
最後にPBSで5分間の洗浄を3回繰返した後、共焦点レーザー顕微鏡FV300(OLYMPUS社)を用いてアルゴンレーザーで細胞を観察した(図3)。Anti-NPC抗体を含む不活性化HVJエンベロープによってトランスフェクションされた細胞質では標識化二次抗体により核膜が識別された〔図3(1)〕。細胞内に導入されたAnti-NPC抗体は核膜を認識する機能を保持していることが示された。
ZZタンパク質と部分欠損したヌクレオキャプシドタンパク質との融合タンパク質を発現するためのプラスミドの調製
前記実施例3で得たpETZZNPのヌクレオキャプシドをコードするDNAを一部分欠損させることによりpET-ZZK1〜4を構築した。
(1)pET-ZZK1、pET-ZZK2、pET-ZZK3の作製
鋳型としてpET-ZZNP、プライマーとして各々primer 6 (5'-TAGCTCGAGCACCACCAC-3';配列番号:20)とprimer 7 (5'-GTTTGCCAGATGATGTCT-3';配列番号:21)、primer 6 (5'-TAGCTCGAGCACCACCAC-3';配列番号:20)とprimer 8 (5'-AAGGTATGTCCTCCCTGT-3';配列番号:22)、primer 6(5'-TAGCTCGAGCACCACCAC-3';配列番号:20)とprimer 9(5'-AACTATCTGGATGTTCTT-3';配列番号:23)の組み合わせを用いてPCR反応を行った。
PCR反応は、PyrobestTM DNA Polymerase (Takara社) を使用し、約1ngのpETZZNPを反応液50μl (付属の反応バッファー、各200μMのdATP、dTTP、dCTP、dGTP、前記各プライマー400nM) を加えて行った。GeneAmp PCR system 9700 (PE Applied Biosystems社) を使用し、98℃を10秒、60℃を30秒、72℃を7分のステップを30サイクル繰り返した。得られたDNA断片をセルフライゲーションすることにより、pET-ZZK1、pET-ZZK2 及びpET-ZZK3を作製した。
(2)pET-ZZK4の作製
鋳型としてpET-ZZK1、プライマーとしてprimer 10 (5'-CGGATCCCCGGGTACCGAGCTCGAATT-3';配列番号:24)とprimer 11 (5'-GGGAACTACATCCGAGATGCAG-3';配列番号:25)を使用して前記(1)と同様の方法でPCR反応を行い、pET-ZZK4を作製した。
ZZタンパク質と部分欠損したヌクレオキャプシドタンパク質との融合タンパク質(ZZ-NPK1、ZZ-NPK2、ZZ-NPK3及びZZ-NPK4)の調製
T7 RNAポリメラーゼを利用した大腸菌発現系で融合タンパク質ZZ-NPK1、ZZ-NPK2、ZZ-NPK3、ZZ-NPK4の発現誘導を行った。具体的には、前記実施例9で得られたpET-ZZK1、pET-ZZK2、pET-ZZK3、pET-ZZK4を用いて大腸菌ロゼッタ(DE3)(Novagen社)をそれぞれ形質転換し、この形質転換体をカナマイシン20μg/ml、クロラムフェニコール34μg/ml終濃度で含むLB培養液30mlで1晩37℃で培養したものを前培養液とした。この前培養液をカナマイシン20μg/ml、クロラムフェニコール34μg/ml終濃度で含むLB培養液1Lに移し、培養した。該培養液の濁度がOD600=0.6となった時点でIPTG 1M溶液を1ml添加し、発現誘導を行った。更に37℃で4時間培養した後、遠心(4℃、6,000rpm、15分間)により集菌し、一晩、-20℃で保存した。この菌体をTST溶液 (50mM Tris,pH7.6,150mM NaCl,0.05% Tween 20) 20mlに懸濁後、超音波で破砕した。この菌体破砕液を遠心(4℃、20,000g、30分)し、得られた上清を、IgG SepharoseTM 6 Fast Flow(Amersham Biosciences社)を用いて、付属説明書に従いアフィニティー精製した。即ち、カラムを0.5M 酢酸(pH3.4)、TST(50mM Tris buffer,pH7.6,150mM NaCl,0.05% Tween 20)で平衡化した後、前記上清をカラムにロードした。カラムをTST、5mM NH4Ac(pH5.0)で洗浄した後、目的物を0.5M 酢酸(pH3.4)で溶出した。融合タンパク質を含む溶出液2mlをSpectra/Por Membrane MWCO:1,000(Spectrum社)透析膜を用いて300mlのPBSに対して2時間透析し、さらに300mlのPBSに1晩透析した。透析後得られた融合タンパク質溶液2mlを0.22μmフィルターでろ過滅菌し、目的の融合たんぱく質 ZZ-NPK1、ZZ-NPK2、ZZ-NPK3、ZZ-NPK4 をそれぞれ得た。
尚、本実験で得られた部分欠損したヌクレオキャプシドタンパク質部分の配列を、各々NPK1が配列番号:26及び27、NPK2が配列番号:28及び29、NPK3が配列番号:30及び31、NPK4が配列番号:32及び33で示した。
融合タンパク質(ZZ-NPK1、ZZ-NPK2、ZZ-NPK3、ZZ-NPK4及びZZ-NP)によるMouse IgG含有 不活性化HVJエンベロープの調製
実施例10で得たZZ-NPK1、ZZ-NPK2、ZZ-NPK3、ZZ-NPK4及び実施例4で得たZZ-NPの溶液10μl(1mg/mlに調製された)をそれぞれ不活性化HVJエンベロープ(GenomONE:登録商標 石原産業)25HAU/μlの懸濁液10μlに加え、混合した。次にTritonX-100 2%溶液を2μl添加し、直ちに遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られた各ZZ融合タンパク質を含む不活性化HVJエンベロープを10μlの抗体溶液(Mouse IgG(SIGMA社) 1mg/ml、PBS)で懸濁し、5分氷上に静置した。この懸濁液を遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたペレットに10μlのPBSを静かに加え、再度遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたペレットに10μlのPBSを加え懸濁液とした後、2×sample bufferを10μl加え5分間煮沸した。得られた混合物に対して、SDS-PAGE(10%アクリルアミドゲル)を行った。泳動後、PVDF膜(ATTO社)へエレクトロブロット(60分間、2mA/cm2)した。ブロット後、このPVDF膜を5%スキムミルクを含むTBS-T(0.1% Tween20含むTBS)溶液で1時間浸し、ブロッキング操作を行った。次にこのブロッキングされたPVDF膜をTBS-Tで5分間洗浄後、Peroxidase-conjugated AffiniPure F(ab')2 Fragment Goat Anti-Mouse IgG(H+L)(Jackson Immuno Research Laboratories社)、0.1%BSAを含むTBS-T溶液に1時間浸した。その後、TBS-T溶液で5分間の洗浄を3回繰り返した後、ECL PLUS western blotting detection reagentsキット(Amersham Biosciences社)でMouse IgGを検出した(図4)。
融合タンパク質を用いて前記処理を行った不活性化HVJエンベロープのペレット中には、Mouse IgGが存在することが明らかとなった。使用した融合タンパク質の内、ZZ-NPK1を用いた場合に最も多くのMouse IgGが不活性化HVJエンベロープ内に取り込まれた。
Anti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体を含む不活化HVJエンベロープの調製
不活化HVJエンベロープ(GenomONE 登録商標 石原産業)25HAU/μlの懸濁液5μlにZZ-NPK1 0.5mg/ml溶液5μl を加え混合した。更にTritonX-100 2%溶液を1μl添加し、直ちに遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたペレットを、5μlのAnti-NPC抗体(SIGMA社) 0.25mg/ml 溶液で懸濁した。氷上に5分間静置した後、遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたAnti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体を含む不活化HVJエンベロープに6.25μlのPBSを加え、更に6.25μlのprotamine sulfate 1mg/ml溶液を加え、懸濁液とした。
不活性化HVJエンベロープを用いたAnti-NPC抗体の培養細胞への導入
HeLa S3細胞(大阪大学 金田教授より分譲)を1×104cells/0.7cm2となるように播種し、翌日まで炭酸ガスインキュベータで培養した。この培養細胞に対して、前記実施例12で得られたAnti-NPC抗体を含む不活化HVJエンベロープ懸濁液10μlを添加し炭酸ガスインキュベータに静置した。4時間後PBSで2回洗浄した後、4% パラホルムアルデヒドを含むPBS溶液で15分間処理し細胞を固定した。次に、PBSで2回洗浄した後、0.2% Triton X-100を含むPBS溶液で5分間浸透処理を行った。処理後、PBSで5分間の洗浄を2回し、1% BSAを含むPBS溶液で10分間処理した。次に1% BSAと4μg/ml Alexa Fluor 488標識Goat Anti-Mouse IgG,F(ab')2 fragment(Invitrogen社)を含むPBS溶液中で1時間静置した。最後にPBSで5分間の洗浄を3回繰返した後、共焦点レーザー顕微鏡FV300(OLYMPUS社)を用いてアルゴンレーザーで細胞を観察した。また、対照として前記Anti-NPC抗体を含む不活化HVJエンベロープ懸濁液の代わりにAnti-NPC抗体のみの溶液を用いて同様の処理を行なった。
Anti-NPC抗体のみでは細胞内への抗体導入は認められないが、ZZ-NPK1を含む不活化HVJエンベロープによってAnti-NPC抗体がトランスフェクションされた細胞では標識化二次抗体により核膜が識別された。(図5)
プロテインGのC1領域あるいはその2重連結したタンパク質と、部分欠損ヌクレオキャプシドタンパク質(NPK1)との融合タンパク質を発現するためのプラスミドの調製
pET28a(Novagen社)を鋳型に、プライマーとしてprimer 12 (5'- GAAGCGGTTGATGCTGCT ACCGCAGAAAAAGTTTTCAAACAGTACGCTAACAGCATGACTGGTGGACAG-3':配列番号:34)とprimer 13 (5'- AGTAGTGGTTTCGCCTTTCAAGGTTTTACCATTCAGGATTAATTT GTAGGTCATGGTATATCTCCTTCT-3':配列番号:35)でPCR反応を行った。PCR反応は、Pyrobest DNA Polymerase(Takara社)を使用し、約1ngの鋳型プラスミドをそれぞれ反応液50μl (付属の反応バッファー、各200μMのdATP、dTTP、dCTP、dGTP、前記各プライマー400nM)に加えて行った。GeneAmp PCR system 9700(PE Applied Biosystems社)を使用し、98℃を10秒、58℃を30秒、72℃を6分のステップを30サイクル繰り返した。得られたDNA断片をセルフライゲーションすることによりプロテインGのC1領域の半分(N末端側)をコードしたpETG1を作製した。さらに、pETG1を鋳型に、プライマーとしてprimer 14 (5'- GTTACTGAAAAACCGGAA GTGATCGATGCGTCTGAATTAACCCCGGCGGTGACCCTGAGATCCGGCTGCTAA-3':配列番号:36)とprimer 15 (5'- GGTAAAGGTTTTAGTCGCATCGTCGTAGGTCCATTCACCGTC AACACCGTTGTCGTTAGCGTACTGTTTGAA-3' ;配列番号:37)でそれぞれPCR反応を行った。PCR反応は上述の通り行い、セルフライゲーションすることによりプロテインGのC1領域の完全長をコードしているpETG2を得た。
次に、pETG2を鋳型にプライマーとしてprimer 16 (5'- ATGCGTCCGGCGTAGA-3';配列番号:38)とprimer 17(5'- TAGCAGTTGGAATTCGCGGTCACCGCCGGGGTTAA-3';配列番号:39)でPCR反応を行った。PCR反応は、Ex Taq(Takara社)を使用し、約1ngの鋳型プラスミドを反応液50μl (付属の反応バッファー、各200μMのdATP、dTTP、dCTP、dGTP、前記各プライマー400nM)を加えて行った。GeneAmp PCR system 9700(PE Applied Biosystems社)を使用し、94℃を30秒、58℃を30秒、72℃を1分のステップを30サイクル繰り返した。得られたDNA断片を制限酵素Xba I、EcoR Iで切断し、pET-ZZNPK1をXba I、EcoR Iで切断して生成される部位に挿入することにより、プロテインGのC1領域とNPK1との融合タンパク質を発現するためのプラスミド pET-GNPK1を作製した。
pETG2を鋳型にプライマーとしてprimer 18(5'- AGGAGATAGAATTCTACCTACAAATTAATC CTGAA-3';配列番号:40)とprimer 17 (5'- AAGGTATGTCCTCCCTGT-3' ;配列番号:39)でPCR反応を行った。PCR反応は上述の通り行い、得られたDNA断片を制限酵素EcoR Iで切断し、pET-GNPK1をEcoR Iで切断して生成される部位に挿入することにより、プロテインGのC1領域の2連結体とNPK1との融合タンパク質を発現するためのプラスミド pET-GGNPK1を作製した。
プロテインLのB1領域あるいはその2重連結したタンパク質と、部分欠損ヌクレオキャプシドタンパク質(NPK1)との融合タンパク質を発現するためのプラスミドの調製
pET28a(Novagen社)を鋳型に、プライマーとしてprimer 19 (5'- AACCTGATCTTTGCGAAC GGCAGCACCCAGACCGCGGAATTTAAAGGCACCTTTGAAAAAAGCATGACTGGTGGACAG-3' ;配列番号:41)とprimer 20(5'- CGCTTTGATGGTCACTTCTTCTTCGCTATCGGTTTC CGGGGTTTCCGGGGTTTCTTCTTTCATGGTATATCTCCTTCT-3';配列番号:42)でPCR反応を行った。PCR反応は、Pyrobest DNA Polymerase(Takara社)を使用し、約1ngの鋳型プラスミドを反応液50μl (付属の反応バッファー、各200μMのdATP、dTTP、dCTP、dGTP、前記各プライマー400nM)を加えて行った。GeneAmp PCR system 9700(PE Applied Biosystems社)を使用し、98℃を10秒、58℃を30秒、72℃を6分のステップを30サイクル繰り返した。得られたDNA断片をセルフライゲーションすることによりプロテインLのB1領域の半分(N末端側)をコードしているpETL1を作製した。次に、pETL1を鋳型にプライマーとして、primer 21 (5'- TGAATATACCGTGGATGTGGCGGATAAA GGTTATACCCTGAACATTAAATTTGCGGGTTTTTTGCTGAAAGGA-3' ;配列番号:43)とprimer 22 (5'- CCGTTATCTTTTTTCAGGGTATCC GCATACGCATACGCTTCGCTGGTCGCTTTTTCAA AGGTACCTTTAA-3' ;配列番号:44)でPCR反応を行った。PCR反応は上述の通り行い、セルフライゲーションすることによりプロテインLのB1領域の完全長をコードしているpETL2を得た。
さらに、pETL2を鋳型にプライマーとしてprimer 23 (5'- ATGCGTCCGGCGTAGA-3' ;配列番号:45)とprimer 24 (5'- TCCCCTGTCGAATTCGCACCCGCAAATTTAATGT-3' ;配列番号:46)でPCR反応を行った。PCR反応は、Ex Taq(Takara社)を使用し、約1ngの鋳型プラスミドを反応液50μl (付属の反応バッファー、各200μMのdATP、dTTP、dCTP、dGTP、前記各プライマー400nM)を加えて行った。GeneAmp PCR system 9700(PE Applied Biosystems社)を使用し、94℃を30秒、58℃を30秒、72℃を1分のステップを30サイクル繰り返した。得られたDNA断片を制限酵素Xba I、EcoR Iで切断し、pET-ZZNPK1をXba I、EcoR Iで切断して生成される部位に挿入することにより、プロテインLのB1領域とNPK1との融合タンパク質を発現するためのプラスミドpET-LNPK1を作製した。
又、pETL2を鋳型にプライマーとして、primer 25 (5'- AGGAGATAGAATTCTAAAGAA GAAACCCCGGAAAC-3' ;配列番号:47)と primer 24 (5'- AAGGTATGTCCTCCCTGT-3' ;配列番号:46)でPCR反応を行った。PCR反応は上述の通り行い、得られたDNA断片を制限酵素EcoR Iで切断し、pET-LNPK1をEcoR Iで切断して生成される部位に挿入することにより、プロテインLのB1領域の2連結体とNPK1との融合タンパク質を発現するためのプラスミド pET-LLNPK1をそれぞれ作製した。
プロテインGのC1領域もしくはプロテインLのB1領域と、部分欠損ヌクレオキャプシドタンパク質との融合タンパク質G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1の調製
T7 RNAポリメラーゼを利用した大腸菌発現系で融合タンパク質G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1の発現誘導を行った。前記実施例14で得られたpET-GNPK1及びpET-GGNPK1並びに、前記実施例15で得られたpET-LNPK1及びpET-LLNPK1を用いて大腸菌ロゼッタ(DE3)(Novagen社)を形質転換し、実施例10と同様の方法にて目的の融合タンパク質G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1それぞれを得た。但し、G-NPK1及びGG-NPK1のアフィニティー精製の際の溶離液としては0.5M 酢酸(pH3.4)の代わりに0.1M glycine-HCl(pH2.7)を用いた。
融合タンパク質G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1を利用したラットIgG2bを含む不活性化HVJエンベロープの調製
実施例16で得られた各G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1溶液10μl(1/2mg/mlに調製された)をそれぞれ不活性化HVJエンベロープ(GenomONE:登録商標 石原産業)25HAU/μlの懸濁液10μlに加え、混合した。更に2% TritonX-100 溶液を2μl添加し、直ちに遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1それぞれを含む不活性化HVJエンベロープを5μlの抗体溶液( ラット IgG2b(R&D systems社)、1mg/ml)で懸濁し、5分氷上に静置した。前記懸濁液を遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたペレットに20μlのPBSを静かに加え、遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたペレットに10μlのPBSを加え懸濁液とした。上記懸濁液に更に2×sample bufferを10μl加え5分間煮沸した。得られた混合物に対してSDS-PAGE(15%アクリルアミドゲル)を行い、泳動後CBB染色を行った(図6及び図7)。
前記処理を行なった不活性化エンベロープウイルスのペレット中には、ラットIgG2bが存在することが明らかとなった。
ラットIgG2bを含む不活性化HVJエンベロープの調製
実施例16で得られた各G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1溶液10μl(1/2mg/mlに調製された)をそれぞれ不活性化HVJエンベロープ(GenomONE:登録商標 石原産業)25HAU/μlの懸濁液10μlに加え、混合した。更に2% TritonX-100 溶液を2μl添加し、直ちに遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1それぞれを含む不活性化HVJエンベロープを5μlの抗体溶液( ラット IgG2b(R&D systems社)、1mg/ml)で懸濁した。氷上に5分間静置した後、遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたラットIgG2bを含む不活性化HVJエンベロープに12.5μlのPBSを加え、更に12.5μlのprotamine sulfate 1mg/ml溶液を加え懸濁液とした。
不活性化HVJエンベロープを用いたラット IgG2bの培養細胞への導入
HeLa S3細胞(大阪大学 金田教授より分譲)を1×104 cells/0.7cm2となるように播種し、翌日まで炭酸ガスインキュベータ(5%CO2、37℃)で培養した。この培養細胞に対して前記実施例18で得られたラットIgG2bを含む不活性化HVJエンベロープ懸濁液10μlを添加し炭酸ガスインキュベータに静置した。4時間後PBSで2回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒドを含むPBS溶液で15分間処理し細胞を固定した。次にPBSで2回洗浄した後、0.2% Triton X-100を含むPBS溶液で5分間浸透処理を行った。処理後、PBSで5分間の洗浄を2回し、1% BSAを含むPBS溶液で10分間処理した。次に1% BSAと4μg/ml Alexa Fluor 488標識chicken Anti-rat IgG(Invitrogen社)とを含むPBS溶液で室温下、1時間静置した。
最後にPBSで5分間の洗浄を3回繰り返した後、共焦点レーザー顕微鏡FV300(OLYMPUS社)を用いてアルゴンレーザーで細胞を観察した(図8)。
ラット IgG2b抗体を含む不活性化HVJエンベロープを用いてトランスフェクションされた細胞質内には、ラット IgG2b抗体が均一に存在することが確認された。
融合タンパク質G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1を利用したAnti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体を含む不活性化HVJエンベロープの調製
実施例16で得られた各G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1溶液10μl(1/2mg/mlに調製された)をそれぞれ不活性化HVJエンベロープ(GenomONE:登録商標 石原産業)25HAU/μlの懸濁液10μlに加え、混合した。更にTritonX-100 2%溶液を2μl添加し、直ちに遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。G-NPK1、GG-NPK1、L-NPK1及びLL-NPK1それぞれを含む不活性化HVJエンベロープを5μlの抗体溶液( Anti-NPC抗体、1mg/ml)で懸濁した。氷上に5分間静置した後、遠心(4℃、10,000g、5分間)し、上清を除去した。得られたAnti-NPC抗体を含む不活性化HVJエンベロープに12.5μlのPBSを加え、更に12.5μlのprotamine sullfate 1mg/ml溶液を加え懸濁液とした。
不活性化HVJエンベロープを用いたAnti-NPC抗体の培養細胞への導入
実施例20で得たAnti-NPC(Nuclear Pore Complex)抗体を含む不活性化HVJエンベロープを用いて実施例13と同様の方法でAnti-NPC抗体の培養細胞への導入試験を行なった。Anti-NPC抗体を含む不活性化HVJエンベロープによってトランスフェクションされた細胞質では標識化二次抗体により核膜が識別された〔図9(1)及び(2)〕。細胞内に導入されたAnti-NPC抗体は核膜を認識する機能を保持していることが示された。
本発明により、エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドを含むタンパク質、及び該タンパク質とエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスとを用いて、タンパク質、抗体またはその他の外来物質を、その機能・構造を損なうことなく、細胞内に導入することが可能であり、当該細胞内導入技術は、時間的・量的に制御でき、かつ効率的に外来物質を細胞内へ導入するものである。
本発明により、接着性・浮遊性の各種培養細胞、初代培養細胞を含めた広範な細胞をターゲットとし、また、動物個体(in vivo)への適用も可能な技術、さらに、導入分子の種類と導入ターゲットとの組み合わせで、様々な用途に適用できる技術が提供される。
かくして、本発明を利用し、未知の遺伝子の生体内・外での機能解析、目的タンパク質の生体内・外での機能解析、遺伝子治療の基礎研究・応用研究、疾患の発症メカニズム及び発症予防の研究、DDS(Drug Delivery System)の研究・利用、新規有用物質、新薬候補物質の機能検証・応用研究、Drug Discoveryへの応用を行うことができる。より具体的な態様では、本発明を利用し、抗腫瘍作用、細胞傷害作用、遺伝子発現などの制御作用などを調査研究できる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
SEQ ID NO:3,Modified antigen binding amino acid sequence derived from B domain of Protein A (Staphylococcus aureus)
SEQ ID NO:4,Modified antigen binding amino acid sequence derived from B domain of Protein A (Staphylococcus aureus)
SEQ ID NO:5,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NP)
SEQ ID NO:6,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NP)
SEQ ID NO:7,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:8,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:9,Oligonucleotide to act as a primer for reverse transcription
SEQ ID NO:10,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:11,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:12,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NPK1)
SEQ ID NO:13,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NPK1)
SEQ ID NO:14,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NPK2)
SEQ ID NO:15,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NPK2)
SEQ ID NO:16,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NPK3)
SEQ ID NO:17,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NPK3)
SEQ ID NO:18,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NPK4)
SEQ ID NO:19,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (ZZ-NPK4)
SEQ ID NO:20,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:21,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:22,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:23,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:24,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:25,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:26,Sendai virus nucleocapsid protein (NPK1)
SEQ ID NO:27,Sendai virus nucleocapsid protein (NPK1)
SEQ ID NO:28,Sendai virus nucleocapsid protein (NPK2)
SEQ ID NO:29,Sendai virus nucleocapsid protein (NPK2)
SEQ ID NO:30,Sendai virus nucleocapsid protein (NPK3)
SEQ ID NO:31,Sendai virus nucleocapsid protein (NPK3)
SEQ ID NO:32,Sendai virus nucleocapsid protein (NPK4)
SEQ ID NO:33,Sendai virus nucleocapsid protein (NPK4)
SEQ ID NO:34,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:35,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:36,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:37,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:38,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:39,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:40,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:41,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:42,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:43,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:44,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:45,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:46,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:47,Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO:48,Antigen binding amino acid sequence derived from C1 domain of Protein G (Streptococcus G148)
SEQ ID NO:49,Antigen binding amino acid sequence derived from C1 domain of Protein G (Streptococcus G148)
SEQ ID NO:50,Antigen binding amino acid sequence derived from B1 domain of Protein L (Peptostreptococcus magnus)
SEQ ID NO:51,Antigen binding amino acid sequence derived from B1 domain of Protein L (Peptostreptococcus magnus)
SEQ ID NO:52,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (G-NPK1)
SEQ ID NO:53,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (G-NPK1)
SEQ ID NO:54,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (GG-NPK1)
SEQ ID NO:55,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (GG-NPK1)
SEQ ID NO:56,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (L-NPK1)
SEQ ID NO:57,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (L-NPK1)
SEQ ID NO:58,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (LL-NPK1)
SEQ ID NO:59,Fusion protein includes antibody binding amino acid sequence and Sendai virus nucleocapsid protein (LL-NPK1)

Claims (18)

  1. (a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質であって、
    (a)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
    (3)配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド
    であり、
    (b)のポリペプチドが、
    (1)プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL、
    (2)プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域、プロテインLのB1、B2、B3、B4、B5領域、並びに
    (3)該(1)及び(2)と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものであるタンパク質。
  2. (a)のポリペプチドと(b)のポリペプチドとを含むタンパク質が融合タンパク質である請求項1に記載のタンパク質。
  3. (b)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:4、49及び51からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、並びに
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものである請求項1又は2に記載のタンパク質。
  4. エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと、抗体と結合能のあるポリペプチドとの融合タンパク質である以下(1)から(3)のいずれかのポリペプチドをコードするDNA。
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチドまたは配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと、配列番号:4、49及び51からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド並びに該ポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチドからなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものであるポリペプチドとの融合ポリペプチド、
    (2)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (3)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド。
  5. (a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質を含有するエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスであって、
    (a)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
    (3)配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド
    であり、
    (b)のポリペプチドが、
    (1)プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL、
    (2)プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域、プロテインLのB1、B2、B3、B4、B5領域、並びに
    (3)該(1)及び(2)と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものであるエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
  6. エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと、抗体と結合能のあるポリペプチドとの融合タンパク質である以下(1)から(3)のいずれかのポリペプチドを含有する請求項に記載のエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチドまたは配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと、配列番号:4、49及び51からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド並びに該ポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチドからなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものであるポリペプチドとの融合ポリペプチド、
    (2)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (3)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド。
  7. (a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質と、外来物質との複合体を含有するエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスであって、
    (a)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
    (3)配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド
    であり、
    (b)のポリペプチドが、
    (1)プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL、
    (2)プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域、プロテインLのB1、B2、B3、B4、B5領域、並びに
    (3)該(1)及び(2)と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものであるエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
  8. 外来物質が抗体である請求項に記載のエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
  9. エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと、抗体と結合能のあるポリペプチドとの融合タンパク質である以下(1)から(3)のいずれかのポリペプチドと、抗体との複合体を含む請求項に記載のエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルス。
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド若しくは該ポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチドまたは配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと、配列番号:4、49及び51からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド並びに該ポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチドからなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものであるポリペプチドとの融合ポリペプチド、
    (2)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (3)配列番号:6、13、55及び59からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチドと90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド。
  10. エンベロープ中に外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを調製する方法であって、
    (1)エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと、(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質とを混合する工程、
    (2)前記工程(1)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程、
    (3)前記工程(2)で得られるものと外来物質を混合する工程とを含み、
    (a)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
    (3)配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド
    であり、
    (b)のポリペプチドが、
    (1)プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL、
    (2)プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域、プロテインLのB1、B2、B3、B4、B5領域、並びに
    (3)該(1)及び(2)と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものである方法。
  11. エンベロープ中に外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを調製する方法であって、
    (1)(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポペプチドとを含むタンパク質と、外来物質とを混合し複合体を形成する工程、
    (2)前記工程(1)の混合物にエンベロープウイルスを混合する工程、
    (3)前記工程(2)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程とを含み、
    (a)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
    (3)配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド
    であり、
    (b)のポリペプチドが、
    (1)プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL、
    (2)プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域、プロテインLのB1、B2、B3、B4、B5領域、並びに
    (3)該(1)及び(2)と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものである方法。
  12. (a)のポリペプチドと(b)のポリペプチドとを含むタンパク質が融合タンパク質である請求項10または11に記載の方法。
  13. 外来物質が抗体である請求項10または11に記載の方法。
  14. エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを用いて細胞内へ外来物質を導入する方法であって、
    (1)エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと、(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質とを混合する工程、
    (2)前記工程(1)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程、
    (3)前記工程(2)で得られるものと外来物質を混合する工程、
    (4)前記工程(3)で得られる外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと細胞とを接触させる工程とを含み、
    (a)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
    (3)配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド
    であり、
    (b)のポリペプチドが、
    (1)プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL、
    (2)プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域、プロテインLのB1、B2、B3、B4、B5領域、並びに
    (3)該(1)及び(2)と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものである方法(但し、ヒト個体に適用する場合を除く)。
  15. エンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスを用いて細胞内へ外来物質を導入する方法であって、
    (1)(a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質と、外来物質とを混合し複合体を形成する工程、
    (2)前記工程(1)の複合体にエンベロープウイルスを混合する工程、
    (3)前記工程(2)で得られる混合物に対してエンベロープの透過性に影響を与える処理を行う工程、
    (4)前記工程(3)で得られる外来物質を含むエンベロープウイルスまたは不活性化エンベロープウイルスと細胞とを接触させる工程とを含み、
    (a)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
    (3)配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド
    であり、
    (b)のポリペプチドが、
    (1)プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL、
    (2)プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域、プロテインLのB1、B2、B3、B4、B5領域、並びに
    (3)該(1)及び(2)と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものである方法(但し、ヒト個体に適用する場合を除く)。
  16. (a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質が融合タンパク質である請求項14または15に記載の方法。
  17. 外来物質が抗体である請求項14または15に記載の方法。
  18. (a)エンベロープウイルスの構成成分と親和性のあるポリペプチドと(b)細胞内へ導入される外来物質と結合能のあるポリペプチドとを含むタンパク質と、細胞内へ導入される外来物質との複合体であって、
    (a)のポリペプチドが、
    (1)配列番号:2に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    (2)該アミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、または
    (3)配列番号:27、29、31及び33からなる群から選択された配列番号に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド
    であり、
    (b)のポリペプチドが、
    (1)プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL、
    (2)プロテインAのA、B、C、D、E領域、該B領域由来のZ領域、プロテインGのC1、C2、C3領域、プロテインLのB1、B2、B3、B4、B5領域、並びに
    (3)該(1)及び(2)と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表されるポリペプチド、
    からなる群より選択される一つ又は二以上の配列を組み合わせたものである複合体。
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