JP5099680B2 - 燃料電池二輪車 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池車両に係り、特に、燃料電池への反応ガスの供給効率を高め、過給機を大型化せずとも十分な量の反応ガスを吸入させることができる構成を有した燃料電池二輪車に関する。
従来から、水素と酸素の化学反応によって電気を発生する燃料電池を積載し、この燃料電池からの供給電力で走行する燃料電池車両が知られている。そして、例えば、水素を含む燃料ガスと酸素を含む反応ガスとを供給する固体高分子膜型の燃料電池において、その燃料ガスおよび反応ガスの吸入口は、発電時に生じる生成水が重力によって燃料電池の下方に流れるため、燃料電池の上部側に設けられることが好ましい。
特許文献1には、直接メタノール型燃料電池を適用する燃料電池車両において、反応ガスの供給口を燃料電池の上方に設けた構成が開示されている。
特開2005−112094号公報
前記したような反応ガスを燃料電池により多く供給する手法として、反応ガスを燃料電池に供給する過給機の能力を上げることが考えられる。そこで、これまでは、過給機を大型化することにより、上記課題を解決していた。しかしながら、過給機を大型化せずとも、燃料電池への供給効率を高めることで発電反応に十分な量の反応ガスの供給を可能とする構成に関しては、未だ工夫の余地があった。特許文献1では、このような構成は検討されていなかった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、燃料電池への反応ガスの供給効率を高め、過給機を大型化せずとも十分な量の反応ガスを吸入させることができる構成を有した燃料電池二輪車を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、水素を含む燃料ガスと酸素を含む反応ガスとが供給されることで発電し、未反応ガスと生成水とを排出する燃料電池を備えた燃料電池車両において、前記燃料電池には、積層された複数枚のセルを収納するケースと、該ケースの上部側から前記反応ガスを供給するための反応ガス吸入口と、前記ケースの下部側から未反応ガスを排出する未反応ガス排出口とが備えられ、前記反応ガス吸入口は、前記セル面に対して略垂直で前記ケースを両側から挟み込むように2つ設けられている点に第1の特徴がある。
また、前記2つの反応ガス吸入口を前記ケースの外側で連結する吸入側マニホールドと、前記反応ガスを強制的に供給するための過給機と、該過給機と前記吸入側マニホールドとを連結する反応ガス管とが備えられている点に第2の特徴がある。
さらに、前記未反応ガス排出口は、前記セル面に対して略垂直で前記ケースの両側から挟み込むように2つ設けられており、前記2つの未反応ガス排出口を前記ケースの外側で連結する排出側マニホールドが備えられている点に第3の特徴がある。
第1の発明によれば、燃料電池には、積層された複数枚のセルを収納するケースと、該ケースの上部側から反応ガスを供給するための反応ガス吸入口と、ケースの下部側から未反応ガスを排出する未反応ガス排出口とが備えられ、反応ガス吸入口は、セル面に対して略垂直でケースを両側から挟み込むように2つ設けられているので、反応ガスの吸入量を増大しやすくなり、反応ガスの供給効率を高めることができるようになる。これにより、過給機を大型化することなく、燃料電池が必要とする十分な量の反応ガスを供給することが可能となる。また、ケースの両側部から反応ガスが導入されるため、例えば、どちらか一方側から吸入される方式に比して、セルスタックの積層方向に対して反応ガスを均一に供給することができ、燃料電池の発電効率を高めることが可能となる。
第2の発明によれば、2つの反応ガス吸入口をケースの外側で連結する吸入側マニホールドと、反応ガスを強制的に供給するための過給機と、該過給機と吸入側マニホールドとを連結する反応ガス管とが備えられているので、1本の反応ガス管で2つの反応ガス吸入口から同時に反応ガスを供給できるようになる。また、吸気側マニホールドとの接続位置の変更によって反応ガス管の配設位置を変更できるので、2つの反応ガス吸入口が設けられていても反応ガス管のレイアウトが制限されることがなく、車体等の設計自由度を高めることが可能となる。
第3の発明によれば、未反応ガス排出口は、セル面に対して略垂直でケースの両側から挟み込むように2つ設けられており、2つの未反応ガス排出口をケースの外側で連結する排出側マニホールドが備えられているので、未反応ガスの排出抵抗を低減し、これに伴い、より多くの反応ガスの吸入を可能とすることで燃料電池の発電効率を高めることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池車両1の斜視図である。また、図2は、燃料電池車両1の右側面図である。鞍乗型自動二輪車としての燃料電池車両1は、複数のセルが積層されたセルスタック(電極、セパレータ、電解質膜等を含む)と、該セルスタックに燃料の水素ガスを供給する燃料(水素)ガス供給系と、該セルスタックに酸素を含む反応ガス(空気)を供給する反応ガス供給系とから構成される燃料電池発電システムを備えており、以下では、セルスタックが収納される略直方体のケーシング全体を燃料電池30と呼称する。
燃料電池車両1は、操向ハンドル5のハンドルポスト4を回動自在に軸支するヘッドパイプが接合されるメインフレーム2と、ヘッドパイプに接合されて車体下方かつ後方に延びるアンダーフレーム6と、車体の略中央に配設される燃料電池30を覆うガードパイプ7と、ガードパイプ7の上方に配設されるアッパーパイプ8と、ガードパイプ7の後端部から上方に延びてアッパーパイプ8と連結される連結パイプ28と、アッパーパイプ8の後方で2本の水素ボンベ15を支持するリヤフレーム9とからなる骨格を有する。ハンドルポスト4の下方には、前輪WFを回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク3が取り付けられており、操向ハンドル5の回動により前輪WFの操舵角を変更することができる。
アンダーフレーム6の後端部に設けられたピボット軸13には、リヤクッション12によって車体に吊り下げられたスイングアーム11が揺動自在に軸支されている。スイングアーム11には、燃料電池車両1の動力源としての駆動モータ(不図示)が内蔵されており、後輪WRはこの駆動モータで駆動される。
メインフレーム2とアンダーフレーム6とで囲まれた空間には、反応ガスを強制的に圧送する過給機としてのスクロール型圧縮機52、反応ガスの湿度を調整する加湿機53、略直方体形状を有する燃料電池30、該燃料電池30の発電電圧を昇圧または降圧することにより所定の電圧に変換する電圧変換器(VCU)50、燃料電池30から供給される電力を蓄積する二次電池51とが配設されている。また、メインフレーム2の車体前方側には、燃料電池30の冷却水を冷却する左右一対のラジエータ60L,60Rが取り付けられており、該ラジエータ60L,60Rの背面部には冷却効果を高めるための電動の冷却ファン61が配設されている。
側面視長方形の燃料電池30は、その長方形を縦長とし、かつ車体後方側に傾けられて車体に取り付けられている。燃料電池30には、水素を含む燃料ガスを供給する燃料ガス管45と、酸素を含む反応ガスを供給する配管である吸入側マニホールド33と、セルスタックを通過した未反応ガスおよび生成水を排出する配管である排出側マニホールド36とが取り付けられている。略円柱状の水素ボンベ15は、水素ボンベレギュレータ16と接続されるバルブ側を車体前方側に向けて、後輪(駆動輪)WRの上方でリヤフレーム9およびガイドパイプ10に支持されている。水素ボンベ15に充填された水素は、各種センサ等からの情報に基づいて電気的に制御される水素ボンベレギュレータ16によって降圧された後、燃料ガス管45を介して燃料電池30に供給される。なお、リヤフレーム9の上方には、外装部品の一部としてのリヤカウル14が、水素ボンベ15を覆うようにして配設されている。
前記ハンドルポスト4の車体前方側には、外気を濾過するエアクリーナボックス54が設けられており、該エアクリーナボックス54から導入された空気は、スクロール型圧縮機52によって加湿機53に圧送される。そして、加湿機53によって適切な湿度が与えられた反応ガスは、反応ガス管34およびこれに接続される吸入側マニホールド33を介して、燃料電池30に圧送される。
前記ラジエータ60L,60Rの下方には、樹脂の薄板等で形成されて車体を覆う外装部品(不図示)の内側、すなわち、車体の内部へ積極的に外気を導入するための左右一対の電動ファン70が取り付けられている。また、スクロール型圧縮機52の車幅方向右側には、燃料電池30の冷却水の温度を所定値に保つためのサーモスタット52aが取り付けられている。
図3は、本発明の一実施形態に係る燃料電池の取付状態を示す斜視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。スクロール型圧縮機52によって圧送された空気は、加湿器53を通過することによって所定の湿度を有する反応ガスとなる。この反応ガスは反応ガス管34によって車体後方かつ上方に導かれ、燃料電池30の上部側に取り付けられた吸入側マニホールド33に供給される。なお、燃料電池30の周囲は、アンダーフレーム6、ガードパイプ7、アッパーパイプ8、連結パイプ28によって囲まれており、万一、外部から衝撃を受けた際にも燃料電池30に極力衝撃が伝達されないように構成されている。
図4は、燃料電池30の斜視図である。また、図5は、燃料電池の内部構成を示す斜視図であり、図6は、セルスタックを構成するセルの正面図である。燃料電池30は、積層された複数枚(例えば、50枚)のセル40からなるセルスタックを、車両前後方向に積層して箱状のケース31に収納した構成を有している。薄板状のセル40は、セパレータ、燃料ガス流路溝、電解質膜、反応ガス流路溝を含む反応部42を中央に配し、この反応部42を支持するベース部41の四隅に、反応ガス吸入孔32a、燃料ガス吸入孔38a、未反応ガスおよび生成水を排出する未反応ガス排出孔35a、残燃料ガス出口37aをそれぞれ形成した構成を有している。このそれぞれの孔は、セル40を積層することによって互いに連通し、その積層方向に所定の通路(反応ガス吸入通路、燃料ガス吸入通路、未反応ガスおよび生成水排出通路、残燃料ガス出口通路)をそれぞれ形成する。なお、本実施形態に係る燃料電池30は、燃料ガスの導入を燃料ガス吸入口38の車両前方側から行うように構成されている。
燃料電池30には、セル40の積層方向において、ケース31を挟むように2つの反応ガス吸入口32が設けられている。そして、吸入側マニホールド33は、2つの反応ガス吸入口32を燃料電池30の外側で連結しているので、2つの吸入口から同時に反応ガスを供給できることとなる。これにより、反応ガスの吸入量を増大しやすくなり、反応ガスの供給効率を高めることが可能となる。また、このような反応ガス吸入口32の配置によれば、セル40の積層方向の両側から反応ガスが導入されるため、例えば、どちらか一方側から導入する方式に比して、反応ガスをセルスタックの積層方向に均等に供給することができ、反応部42との反応効率を高めることが可能となる。なお、反応ガス管34は、吸入側マニホールド33に対して、その中央部や端部等の任意の箇所に接続できるので、2つの反応ガス吸入口32が設けられていても、反応ガス管34のレイアウトや取り回し等が制限されることがなく、車体等の設計自由度が高められる。
また、本実施形態においては、未反応ガス排出口35も、セル40の積層方向においてケース31を挟むように2つ設けられている。そして、排出側マニホールド36は、2つの未反応ガス排出口35を燃料電池30の外側で連結しているので、2つの排出口から同時に未反応ガスが排出されることとなり、未反応ガスの排出抵抗を低減できると共に、反応ガスの吸入量を増大させやすくなる。
なお、セルスタックに吸入される反応ガスは、図6に示すように、反応ガス吸入通路32aから未反応ガス排出通路35aに向かって流れることとなる。燃料電池の上部側から供給される反応ガスは、下方に向かって流れる過程で徐々に消費されるので、反応ガスの供給量が不足すると、反応部42の下方側において化学反応の機会が減少して発電効率が低下する可能性がある。しかし、本発明に係る燃料電池車両においては、燃料電池の反応ガス吸入口を、セルの積層方向においてケースを両側から挟み込むように2つ設けたので、燃料電池への反応ガスの供給効率を高め、過給機を大型化せずとも十分な量の反応ガスを吸入することができるようになる。また、未反応ガス排出口を、セルの積層方向においてケースを両側から挟み込むように2つ設けたので、燃料電池からの未反応ガスの排出抵抗を低減し、反応ガスの吸入量の増大に対応することが可能となる。
なお、燃料電池のケース、セルおよびセルスタックの形状、反応ガス吸入口、未反応ガス排出口、吸入側マニホールド、排出側マニホールド等の形状や配設位置等は、上記した実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、吸入側マニホールドを燃料電池の上方で連結されるように形成したり、吸入側マニホールドの端部等に反応ガス管を接続するようにしてもよい。
また、燃料電池車両の形態は、自動二輪車のほか3/4輪車等であってもよく、燃料電池、過給機、加湿機、電圧変換器、二次電池、ラジエータ等の構成部品の形態や配置も種々の変更が可能である。
本発明の一実施形態に係る燃料電池車両の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池車両の右側面図である。 燃料電池の取付状態を示す拡大斜視図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池の内部構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池に内装されるセルの正面図である。
符号の説明
1…燃料電池車両、15…水素ボンベ、30…燃料電池、31…ケース、32…反応ガス吸入口、33…吸入側マニホールド、34…反応ガス管、35…未反応ガス排出口、36…排出側マニホールド、40…セル、50…電圧変換器、51…二次電池、52…スクロール型圧縮機(過給機)、53…加湿機

Claims (3)

  1. 水素を含む燃料ガスと酸素を含む反応ガスとが供給されることで発電し、未反応ガスと生成水とを排出する燃料電池(30)を備えた燃料電池二輪車において、
    前記燃料電池(30)には、積層された複数枚のセル(40)を収納するケース(31)と、該ケース(31)の上部側から前記反応ガスを供給するための反応ガス吸入口(32)と、前記ケース(31)の下部側から未反応ガスを排出する未反応ガス排出口(35)とが備えられ、
    前記反応ガス吸入口(32)は、前記セル面に対して略垂直で前記ケース(31)を両側から挟み込むように2つ設けられ、
    前記2つの反応ガス吸入口(32)を前記ケース(31)の外側で連結する吸入側マニホールド(33)と、前記反応ガスを強制的に供給するための過給機(52)と、該過給機(52)と前記吸入側マニホールド(33)とを連結する反応ガス管(34)とがさらに備えられ、
    前記吸入側マニホールド(33)および前記反応ガス管(34)が、前記燃料電池(30)の側面と該燃料電池(30)の車幅方向外側に配設される車両のフレーム部材(6,7,8,28)との間に配置されており、
    前記吸入側マニホールド(33)が、前記ケース(31)を車両の前後方向から挟んで設けられていることを特徴とする燃料電池二輪車。
  2. 前記未反応ガス排出口(35)は、前記セル面に対して略垂直で前記ケース(31)の両側から挟み込むように2つ設けられており、
    前記2つの未反応ガス排出口(35)を前記ケース(31)の外側で連結する排出側マニホールド(36)が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池二輪車。
  3. 前記反応ガス管(34)が車両のフレーム部材(6,7,8,28)に対して車幅方向内側に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池二輪車。
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