JP5099560B2 - 一分子型生物発光可視化プローブ - Google Patents

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Description

本願発明は、標的タンパク質特異的リガンドを検出する一分子型生物発光可視化プローブに関するものである。
核内ホルモン受容体(NRs)はリガンド作動性転写因子として働き、生殖、発生、代謝を調節する。アンドロゲン受容体(AR)は核内ホルモン受容体スーパーファミリーの一つである。リガンド(アゴニスト)と結合する前は、ARはヒートショック蛋白質に結合することにより細胞質に留まっている。アゴニスト−AR結合はARの構造変化を引き起こし、これにより、ヒートショック蛋白質がARから離れると、ARは核内に移行する(非特許文献1-5)。そして、核内に移行したARは、例えば、標的遺伝子プロモーター上の応答配列と結合することによって転写を活性化(ゲノミック作用)するなどの様々な作用を発揮する。
NRsの様々なゲノミックおよび非ゲノミック作用のいずれも、リガンド結合ドメイン(LBD)内の構造変化と、それに伴うNRのN末端ドメイン(NTD)との分子内結合により引き起こされる。このような分子内結合はAR、エストロゲン受容体(ER)プロジェステロン受容体(PR)、グルココルチコイド受容体(GR)等の様々なNRsで観測される(非特許文献4、6)。
ARとGRの核内輸送を指標としたリガンドのホルモン活性の測定法が本発明者らによって提案されている(非特許文献5、8)。このNRsの核内輸送に基づくアプローチは細胞内の生理的条件下でリガンド作動性による蛋白質動態を探索する上で大きな将来性を実証した。しかしながら、この方法の場合は、哺乳類細胞内でスプライシング反応が終結するのに約二時間も要し、非可逆的な測定法であるために繰り返して使えない問題点があった。
リガンド検出の代表的なもう一つの方法は、GFP、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ等をレポーターとして用いるレポータージーンアッセイである。この手法は、測定に十分量のレポーター蛋白質が細胞内に蓄積するまでに長い時間リガンド刺激をする必要がある。これらの方法の長い測定時間(実際には測定完了まで約1日)は、細胞内でのリガンドによる分子間あるいは分子内の蛋白質間相互作用の迅速な観察をする上で、大きいなデメリットである。また、これらの従来方法では、NRに結合したリガンドがアゴニストかアンタゴニストかを正確に判定することができないという問題点も有している。
一方、本発明者らは、蛍光エネルギー移動現象(FRET)をもとにリガンド依存的なNRのLBDとコアクチベーターペプチド(LXXLLペプチド)との相互作用を測定する方法を提案している(特許文献1、非特許文献7)。この方法では、蛍光波長が異なる2つの発色団をLBD/LXXLLペプチドの両端にそれぞれ連結した一分子型プローブを生細胞内で発現させる。外部リガンド(アゴニスト)がLBDに結合した場合、活性化されたLBDとLXXLLペプチドとが相互作用し、2つの発色団の距離が変化することによって蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が生じる。このFRETはLBDとLXXLLペプチドとの結合に即応して生じるため、LBDとリガンド(アゴニスト)の結合を極めて短時間で検出することができる。また、LBDとアゴニストとの結合によって生じるFRETに対して負の影響を及ぼす物質として、NRに対するアンタゴニストを特定することもできる。
なお、核内受容体(NR)とリガンドとの関係以外にも、生細胞内では様々な物質とその標的分子との相互作用が存在する。例えば、細胞内二次情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)である環状グアノシン一リン酸(cGMP)は、その標的分子であるcGMP結合蛋白質(例えば、cGMP依存性蛋白キナーゼIα:PKG Iα)との結合によって、各種生化学反応過程(例えば、循環器系筋細胞の緩和、網膜における光伝達、上皮での電解質運搬、骨の成長、ニューロン活性化)におけるシグナル分子として機能する。あるいは、セカンドメッセンジャーであるイノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)は滑面小胞体や筋小胞体膜上のIP3受容体(Ca2+チャンネル)に結合してCa2+の細胞質への放出を誘導することによって、受精、形態形成、血管新生、神経機能などの膨大な数の生物応答を制御している。
これらの特定の標的分子に結合する物質も「リガンド」であり、本願発明の対象である。本発明者らは、cGMPがその標的分子(cGMP結合蛋白質)に結合することをFRET現象に基づいて可視化することのできるプローブ(特許文献2)や、IP3を同じくFRET現象を利用して可視化することのできるプローブ(特許文献3)を提案している。また、2つの発色団の使用によるFRET現象を指標とするのではなく、2分割したレポーター分子(発光酵素や蛍光蛋白質)のN末端側とC末端側をそれぞれ2つの蛋白質に連結し、2つの蛋白質の結合によって再構成または自己相補されたレポーター分子の発光・蛍光強度を指標として蛋白質−蛋白質相互作用を検出する手段(2分子型プローブ:特許文献4、5)を提案してもいる。

国際公開WO2005/078119号パンフレット 特開2002-017359号公報 国際公開WO2005/113792号パンフレット 国際公開WO2002/008766号パンフレット 国際公開WO2004/104222号パンフレット Gelmann, E. P. J. Clin. Oncol. 2002, 20, 3001-3015. Roy, A. K.; Tyagi, R. K.; Song, C. S.; Lavrovsky, Y.; Ahn, S. C.; Oh, T. S.; Chatterjee, B. Ann. NY Acad. Sci. 2001, 949, 44-57. Singh, S. M.; Gauthier, S.; Labrie, F. Curr. Med. Chem. 2000, 7, 211-247. Warnmark, A.; Treuter, E.; Wright, A. P.; Gustafsson, J. A. Mol. Endocrinol. 2003, 17, 1901-1909. Kim, S. B.; Ozawa, T.; Watanabe, S.; Umezawa, Y. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 2004, 101, 11542-11547. Schaufele, F.; Carbonell, X.; Guerbadot, M.; Borngraeber, S.; Chapman, M. S.; Ma, A. A.; Miner, J. N.; Diamond, M. I. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 2005, 102, 9802-9807. Awais, M.; Sato, M.; Lee, X. F.; Umezawa, Y. Angew. Chem. Int. Ed.2006, 45, 2707-2712. Kim, S. B.; Ozawa, T.; Umezawa, Y. Anal. Chem. 2005, 77, 6588-6593. Paulmurugan, R.; Gambhir, S. S. Anal. Chem. 2005, 77(5), 1295-1302. Kaihara, A.; Kawai, Y.; Sato, M.; Ozawa, T.; Umezawa, Y. Anal. Chem. 2003, 75(16), 4176-4181. He, B.; Bowen, N. T.; Minges, J. T.; Wilson, E. M. J. Biol. Chem. 2001, 276, 42293-42301. Tyagi, R. K.; Lavrovsky, Y.; Ahn, S. C.; Song, C. S.; Chatterjee, B.; Roy, A. K. Mol. Endocrinol. 2000, 14, 1162-1174.
発明の開示
FRET現象を利用したNRリガンドの検出プローブ(特許文献1、非特許文献6、7)は、前記のとおり、短時間でのリガンド検出を可能とするとともに、アゴニストとアンタゴニストをそれぞれ正確に分別検出可能であるという点において優れている。ただし、測定対象の細胞に存在する2つの発色団からは常に自己蛍光(autofluorescence)が発せられているため、LBDへのリガンド結合を検出するためには、2つの発色団の波長変化を高精度で測定するための大係りの測定装置とフィルターシステムを構える必要がある。また観測できる細胞の数に限りがあるために(数個)、その観測結果に一般性欠如の問題点があった。
一方、発色蛋白質スプライシングや自己相補による分割レポーター分子の再構成を利用した蛋白質−蛋白質相互作用の検出(特許文献4、5、非特許文献4、5)では、シグナル有無によって再構成されたレポーター分子の活性の単純な比較によって判定が可能であり、微妙な波長変化の測定を必要としない。ただし、このような分割レポーター分子の再構成を利用した方法の場合、それぞれの分割レポーター分子は、別個のプローブとして細胞内に導入されている(2分子型プローブ)。この場合は、各々のプローブの発現量の相違による非効率さが強く懸念された。そして、2つのプローブとして別個に細胞内に導入された分割レポーター分子が活性型の1分子に再構成されるためには、両プローブが十分に近接する必要があり、そのような近接性を確保するためには、例えば、それぞれの分割レポーター分子に連結された蛋白質同士の強固な結合が不可欠である。
以上のとおり、蛍光エネルギー移動を利用した、標的蛋白質に対するリガンド検出のための従来発明(特許文献1、非特許文献7)は、1分子型のプローブ構成によって目的リガンド(アゴニスト、アンタゴニスト)の短時間での検出が可能であるが、高い測定精度が要求されるという点において、簡便性やコスト面に問題を有していた。一方、簡便なシグナル測定が可能であるという点において、分割レポーター分子の再構成を利用する方法(2分子型;特許文献4、5)は優れた方法であるが、分割レポーター分子同士の近接性を確保できる被験対象が限定されており(例えば蛋白質−蛋白質相互作用)、各々のプローブの発現量が相違してしまう不都合が起こるため、その広範な利用には限界があると考えられていた。
従って、これら従来発明の利点を生かしつつ、その問題点を解消できるような新しいリガンド検出手段が求められていた。
本発明者らは、前記のとおりの技術常識を覆し、一分子内でリガンドが結合した標的分子の構造変化が、標的分子の両端に連結した分割レポーター分子(発光酵素)の自己相補を可能とすることを見いだして本発明を完成させた。
すなわち本発明は、生細胞における標的特異的リガンドを検出するプローブであって、リガンドを結合した場合にその立体構造を変化させるリガンド結合分子の両端に、発光酵素(LE)を分割したN末端側ポリペプチド(N-LE)とC末端側ポリペプチド(C-LE)とがそれぞれ連結されており、リガンド結合分子にリガンドが結合した場合のみ、N-LEとC-LEとが分子内自己相補して発光シグナルを発することを特徴とする一分子型生物発光可視化プローブを提供する。
プローブにおいては、前記のリガンド結合分子が、リガンド結合ドメイン(LBD)と、LBDへのリガンドの結合によってLBDと相互作用するドメイン(LBD相互作用ドメイン)とが連結した融合分子であることを一つの好ましい態様としている。
また、リガンドが核内受容体リガンド、細胞内セカンドメッセンジャー、脂質セカンドメッセンジャー、リン酸化アミノ酸残基またはG蛋白質結合型受容体リガンドであることを別の好ましい態様としている。
さらに、LBDが核内受容体LBDであり、LBD相互作用ドメインが当該核内受容体のコアクチベーターペプチドであって、核内受容体リガンドを検出するプローブであること、さらにはLBDがアンドロゲン受容体(AR)のLBD(AR LBD)であり、コアクチベーター様ペプチドがARのN末端FQNLFモチーフを含むペプチド(FQNLFペプチド)またはアフリカツメガエルTIF2のLXXLLモチーフを含むペプチド(LXXLLペプチド)であることを好ましい態様としている。
本発明のプローブにおける特に好ましい態様において、一分子型生物発光可視化プローブの連結順序は[N-LE/AR LBD/FQNLFまたはLXXLLペプチド/C-LE]である。
本発明はまた、前記プローブを生細胞で発現することのできる発現ベクターを提供する。
さらに本発明は、前記プローブまたは発現ベクターと、LEの基質を含むリガンド検出キットを提供する。
またさらに本発明は、LBDに結合する未知のアゴニストをスクリーニングする方法であって、
(1) 前記プローブを生細胞に導入し、
(2) 生細胞に候補物質を共存させ、そして
(3) 生細胞に発光を生じさせる候補物質を目的物質として特定する、
ことを特徴とするアゴニストスクリーニング方法を提供する。
さらにまた、本発明は、既知のリガンドとLBDとの結合を阻害する未知のアンタゴニストをスクリーニングする方法であって、
(1) 前記プローブを生細胞に導入し、
(2) 生細胞に候補物質を共存させ、
(3) 生細胞に既知アゴニストを共存させ、そして
(4) 生細胞からの発光を減少させる候補物質を目的物質として特定する、
ことを特徴とするアンタゴニストスクリーニング方法を提供する。
なお、前記の各スクリーニング方法においては、発現ベクターを生細胞で発現させることによってプローブを生細胞に導入することを一つの好ましい態様としている。
前記の各発明において、「生細胞」とは、その本来の機能を維持した状態の培養細胞または生物個体内に存在する真核細胞(酵母細胞、昆虫細胞、動物細胞)であり、特にヒトを含めた哺乳動物細胞である。生細胞には原核細胞も含まれる。
「リガンド」とは、生細胞内の標的分子に特異的に結合して標的分子の機能を変化させうる物質を意味する。例えば受容体蛋白質(例えば核内受容体やG蛋白質結合型受容体)に対するアゴニストあるいはアンタゴ二ストである。あるいは細胞内の情報伝達に関与する分子に特異的に結合するセカンドメッセンジャー等である。
「リガンドの検出」とは、リガンドの有無、リガンド量、リガンド活性の強弱等を判定することを意味する。
「発光酵素(LE)の分割」とは、1分子のLEを、非活性な(発光能を消失した)2分子に分割することを意味する。分割位置は中央付近である必要はなく、2つの分割LEが近接した場合に自己相補によって活性な(発光能を有する)1分子へと再構築される部位で分割されたものである。
「キメラDNA」とは、DNA(I)〜(IV)が直鎖状に連結され、各DNAの発現産物である蛋白質(ペプチド)を構成要素とする融合分子を発現することのできるDNAである。
「融合分子」とは、その構成要素(蛋白質、ペプチド)が縦列一体化した分子であり、各たんぱく質あるいはペプチドのC端とN端がペプチド結合によって連結されたものである。また各たんぱく質あるいはペプチドが「リンカーペプチド」等によって連結されたものであってもよい。
「一分子型生物発光可視化プローブ」とは、標的特異的リガンドの存在を生物発光を指標とする可視的に検出することのできる全要素を1つの融合分子として構成したプローブである。また、「リガンド結合ドメイン(LBD)」はLigand Binding Domainの略であり、「発光酵素(LE)」はLuminescent Enzymeの略である。
なお本発明は、NR特異的なリガンド(アゴニスト、アンタゴニスト)の検出に係る特許文献1および非特許文献7、分割発光酵素の再構築に係る特許文献4、5の開示内容を含むものである。
本発明におけるその他の用語や概念は、発明の実施形態の説明や実施例において詳しく規定する。なお、用語は基本的にはIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるものであり、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。また発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。例えば、遺伝子工学および分子生物学的技術はJ. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd edition)", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995;日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、東京化学同人 (1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA技術)」、東京化学同人 (1992); R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 68 (Recombinant DNA), Academic Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100 (Recombinant DNA, Part B) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Press, New York (1983); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 153 (Recombinant DNA, Part D), 154 (Recombinant DNA, Part E) & 155 (Recombinant DNA, Part F), Academic Press, New York (1987)などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法またはそれらと実質的に同様な方法や改変法により行うことができる。また、本発明で使用する各種蛋白質やペプチド、あるいはそれらをコードするDNAについては、既存のデータベース(URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/等)から入手することができる。

発明の効果
本発明によって、シグナルの有無を指標として標的特異的リガンドを簡便かつ正確に検出するための新しい手段が提供される。プローブ構成は「単一分子型」であり、単一の分子中に各構成要素が集積された発現ベクターを介して容易に生細胞内に導入することができる。
本発明のプローブは、基本的には、リガンド結合分子とその両端のN-LEおよびC-LEとによって構成される。
これらの各構成要素は、直鎖状の融合分子となるように連結結合して作成することができきるが、生細胞への効果的なプローブ導入等を考慮した場合には、各構成要素をコードするDNAをそれぞれ直接に、あるいは「リンカーペプチド」をコードするDNAを介在させて、直鎖状に連結されたキメラDNAとして発現ベクターに挿入し、この発現ベクターからの発現産物として生細胞内に導入するようにすることができる。
その場合のプローブ発現ベクターの基本ベクターは、公知のベクター(真核細胞用ベクター)を特段の制限なく使用することができる。また、前記のキメラDNAの発現を制御するため(例えば、生物個体における特定組織での発現)、公知の組織特異的プロモーター配列を組込むようにしてもよい。またプローブ発現ベクターは、例えばマイクロインジェクション法やエレクトロポーレーション法等の公知のトランスフェクション法により細胞内に導入することができる。あるいは脂質による細胞内導入法(BioPORTER(Gene Therapy Systems社、米国)、Chariot(Active Motif社、米国)等)を採用することもできる。
以下、プローブの各構成要素について説明する。
リガンド結合分子は、リガンドの結合によってその立体構造を変化させ、その両端のN-LEとC-LEとを接近させて活性型のLEへと自己相補させることのできる分子である。例えば、リガンドとして細胞内セカンドメッセンジャー、脂質セカンドメッセンジャーを対象とする場合には、各セカンドメッセンジャーの結合ドメインを採用することができる。
また、例えば、核内受容体に特異的なリガンドを検出する場合には、核内受容体の公知のLBDを採用することができる。また、リン酸化アミノ酸残基やG蛋白質結合型受容体リガンドを対象とする場合には、それぞれリン酸化アミノ酸結合ドメイン、G蛋白質結合型受容体等をLBDとして採用することができる。なお、核内受容体のLBDは、例えばアンドロゲン受容体LBD(AR LBD)は、全長ヒトARの配列情報(GenBank/M27430)に基づき、そのLBD領域(アミノ酸番号672-910)を遺伝子工学的に、または化学合成によって調製し、使用することができる。またグルココルチコイド受容体LBD(GR LBD)は、全長ヒトGRの配列情報(GenBank/P04150)に基づき、そのLBD領域(アミノ酸番号527-777)を調製し、使用することができる。
また、前記のLBDを採用する場合には、リガンドとLBDとの結合後、更にLBDと相互作用する(会合する)ようなペプチド(LBD相互作用ドメイン)をLBDと連結する。例えば、当該受容体にリガンド(アゴニスト)が結合した際に、核内受容体のN末端ドメイン(NTD)は屈曲してそのC末端領域と相互作用する。例えば、リガンドによって活性化されたアンドロゲン受容体(AR)やエストロゲン受容体(ER)のような核内受容体の場合には、NTDのLXXLLモチーフやFQNLFモチーフがLBDのコアクチベーターポケットに結合する(非特許文献1−5)。従って、核内受容体に対するリガンドを検出対象とする場合には、LBD相互作用ペプチドとして当該受容体NTDのLXXLLモチーフやFQNLFモチーフを含むペプチド(LXXLLペプチド、FQNLFペプチド)を使用することができる。ただし、AR LBDのAF-2ポケットには、コアクチベーターのLXXLLモチーフよりもNTDのFXXLFモチーフとより強く相互作用することが知られている(非特許文献11)。そのため、アンドロゲン受容体(AR)に対するリガンド検出の場合には、LBD相互作用ペプチドとしてFQNLFペプチドを使用することが好ましい。また、リン酸化アミノ酸残基やG蛋白質結合型受容体リガンドを対象とする場合のLBDとしてリン酸化アミノ酸結合ドメイン、G蛋白質結合型受容体等を使用する場合には、それぞれ、リン酸化アミノ酸結合ドメインには基質配列、G蛋白質結合受容体にはG蛋白等をLBD相互作用ドメインとして採用することができる。
LEとしては、公知のホタル・ルシフェラーゼ(FLuc)、レニラ(ウミシイタケ)・ルシフェラーゼ(RLuc)、クリックビートル(コメツキムシ)・ルシフェラーゼ(CBLuc)等を使用することができる。これらのLEは、アミノ酸配列や遺伝子(cDNA)の塩基配列が公知であり(例えば、FLucはGenBank/AB062786等、CBLucはGenBank/AY258592.1等)、これらの配列情報に基づいて公知の方法によりDNAを取得することができる。これらのLEを2分割する位置は、公知の情報等を参考に適宜に設定することができる。例えば、従来の2分子型に適用できるFLucの場合には、非特許文献9に開示されたように、そのアミノ酸配列の437/438部位で切断することができる。後記の実施例に開示した一分子型プローブ用の好ましい切断位置としては、ホタル・ルシフェラーゼ(FLuc)の場合には、415/416部位で切断することができる(図2および3)。またRLucの場合には、特許文献5と非特許文献10に開示されているように、そのアミノ酸配列91/92で切断した場合に、再構成後の発光強度が最も強くなる。さらに、CBLucの切断位置としては、後記実施例に示したように、そのアミノ酸配列の439/440、412/413の位置等で2分割することができる(図13)。また後記の実施例に示したように、N末端フラグメントとC末端フラグメントの一部が重複したり、または欠失したものを使用することもできる。
以上の各構成要素は、両端に分割LEが位置することを条件に、任意の順序で連結することができる。ただし、ARに対するリガンドを検出するためにAR LBDとFQNLFペプチドを使用する場合は、後記の実施例に示したように、N-LEはLBDに連結し、C-LEはFQNLFペプチドと連結させる必要がある。具体的なプローブ構成は、N末端側から[N-LE/AR LBD/FQNLFペプチド/C-LE]、または[C-LE/FQNLFペプチド/AR LBD/N-LE]である。
他のリガンドと標的分子との結合を対象とする場合は、それぞれに適宜な連結順序を採用することができる。そのような適宜な順序は、例えばプローブ発現ベクターへの各DNAの挿入順序を変更しながら確認することができる。発現ベクターへのDNA挿入は当業者であれば容易に行うことができ、適切な連結順序の選択には格別な実験や試行錯誤を必要としない。
また、このプローブは、各構成要素がリンカーペプチドで連結されてもよい。特に、LBDとLBD相互作用ペプチドの間には、リガンド刺激によって互いが十分に近接して結合するように、フレキシブルなリンカーペプチド(例えば、グリシンとセリンの繰り返し配列からなるGSリンカー)で連結することが好ましい。LBDと分割LEとの間、またペプチドと分割LEとの間にも同様のリンカーペプチドを構えることによって、分割LE間の再構成が効率的にできる。
以下、このプローブを用いたリガンド検出方法について、図1に基づき説明する。この図1の例では、LBDとしてAR LBD、LBD相互作用ドメインとしてFQNLFペプチド(図1では「N-term」と記載)、LEとしてホタル・ルシフェラーゼ(415/416部位で切断:図1では「FLuc-N」および「FLuc-C」と記載)を使用している。また、AR LBDとN-termとはGSリンカー(linker)によって連結されている。連結順序は、N末端側から[FLuc -N/AR LBD/GS linker/N-term/FLuc-C]である。
このプローブ[FLuc-N/AR LBD/GS linker/N-term/FLuc-C]は、アゴニスト(agonist)が存在しない場合は直線的な立体構造をとる(図1)。アゴニストがAR LBDに結合すると、プローブの立体構造が変化してN-termペプチドがAR LBDに相互作用する。その結果、AR LBDに連結したFLuc-Nと、N-termに連結したFLuc-Cが近接し、蛋白質自己相補(protein complementation)により全長FLucとして再構成される。この再構成された全長FLucは、ルシフェラーゼの基質であるルシフェリン(luciferin)の存在化で発光シグナルを発する。
またこのプローブのリガンド依存的構造変化は可逆的であり、リガンドがAR LBDから取り除かれれば直線構造に戻る。一般に、リガンドとその標的分子との結合は一過性であるため、このプローブを発現する細胞は、繰り返しのリガンド検出が可能である。
本発明のアゴニストスクリーニング方法は、以上のとおりにアゴニスト検出の原理に基づいている。すなわち、本発明のプローブを細胞に導入して、細胞内でプローブを発現させ、次いでこの細胞に候補物質を共存させる(例えば、培養細胞の培地に候補物質を添加すれば、エンドサイトーシス作用によって候補物質は細胞内に取り込まれる)。候補物質がアゴニスト作用を有する物質であれば、プローブ内分割LE間自己相補による再構成によって活性化したLEから発光シグナルが観察される。
また本発明のプローブは、アンタゴニスト(antagonist)がAR LBDに結合した場合には、その構造を変化させることはないか、または正常な構造変化ができない。従って、このプローブを使用して、既知のアゴニストに対する未知アンタゴニストをスクリーニングすることが可能となる。例えば、プローブを発現する細胞に候補物質を導入し、次いで既知アゴニストを導入して発光強度を測定する。候補物質がアンタゴニスト作用を有するものであれば、LBDのアゴニスト結合部位は候補物質によって占有されているため、その後に導入されたアゴニストはLBDと結合することはできない。アンタゴニストのLBD結合はプローブの立体構造を変化させない。またアンタゴニストによるブロッキング効果によって、アゴニストが正常にLBDと結合できなくなるため、同じくプローブの立体構造を変化させることがない。この場合、発光シグナルは観察されないか、またはアゴニスト単独導入に比べて発光強度は減少する。一方、候補物質がアンタゴニスト作用を持たない場合には、その候補物質はLBDに結合せず、その後に導入されたアゴニストがLBDと結合してコントロールと同様の低い発光シグナルが得られる。
なお、これらのスクリーニング方法の対象となる被験物質には、例えば、有機または無機の化合物(特に低分子量の化合物)、タンパク質、ペプチド等が含まれる。これらの物質は、機能や構造が既知のものであっても未知のものであってもよい。また、「コンビナトリアルケミカルライブラリー」は、目的物質を効率的に特定するための被験物質群として有効な手段である。コンビナトリアルケミカルライブラリーの調製およびスクリーニングは、当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第6,004,617号;5,985,365号を参照)。さらには、市販のライブラリー(例えば、米国ComGenex社製、ロシアAsinex社製、米国Tripos, Inc.社製、ロシアChemStar, Ltd社製、米国3D Pharmaceuticals社製、Martek Biosciences社製などのライブラリー)を使用することもできる。また、コンビナトリアルケミカルライブラリーを、本プローブを発現する細胞の集団に適用することによって、いわゆる「ハイスループットスクリーニング」を実施することもできる。
実施例
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例1:ホタル・ルシフェラーゼ(FLuc)を発光酵素とするプローブ
(1)方法
(1-1)プラスミドの構築
N末端(FLuc-N; 1-415アミノ酸)およびC末端(FLuc-C; 416-510アミノ酸)ドメインはそれぞれに特有の制限酵素サイトをドメインの端に導入するために、適切なプライマーとFLucの全長cDNAを含む鋳型プラスミドを用いて増幅した。AR LBD(672-910アミノ酸)をコードするcDNAはドメインの両端に適切な制限酵素サイトを導入すべくPCRで修飾した。AR N末端ドメイン(AR NTD)モチーフ(11アミノ酸:20RGAFQNLFQSV30)およびそのアラニン変異体(11アミノ酸:20RGAAQNLFQSV30)をコードするDNAオリゴマーはエキシジェン(東京、日本)で購入した。増幅した各断片は対応する制限酵素で切断したpcDNA3.1(+)ベクター骨格(Invitrogen)にサブクローニングした。構築したプラスミドはBigDye Terminator Cycle SequencingキットとABI Prism310遺伝子解析装置より配列確認を行った。
(1-2)細胞培養とトランスフェクション
子宮頸部がん由来のHeLa細胞は10% ステロイド欠損牛胎児血清(FBS)と1% ペニシリン−ストレプトマイシン(P/S)を含むダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM; Sigma)を用いて12穴プレートで37 ℃、5% CO2インキュベーターで培養した。12穴プレート中のHeLa細胞にpAR-NC、pAR-CN、pAR-mutをトランスフェクションするためにTransIT-LT1(Mirus)を用いた(24時間で8%のトランスフェクション効率)。細胞は12時間培養し、下記の実験に用いた。
(1-3)ウェスタンブロット
6穴プレートの中のHeLa細胞にpAR-NC、pAR-CN、pAR-mutをトランスフェクションし、16時間培養した。細胞は一度PBSで洗浄し、100 μLの溶解バッファー(1% ドデシル硫酸ナトリウム、10% グリセロール、10% 2-メルカプトエタノール、0.001% ブロモフェノールブルー、50 mM トリス−塩酸、pH 6.8)で溶解した。サンプルは10%アクリルアミドゲルで電気泳動し、それをニトロセルロース膜に転写し、抗-FLuc抗体(Promega)あるいは抗-アクチン抗体(Sigma)でブロッティングした。ブロットした膜をアルカリフォスファターゼを連結した二次抗体とインキュベートし、最終的にECL化学発光基質溶液(GE healthcare)で可視化した。
(1-4)リガンドのアンドロジェン性の測定
12穴プレートの中のHeLa細胞にプラスミドをトランスフェクションし、16時間培養した。細胞を種々のステロイドあるいは化学物質で20分間刺激した。リガンドにより回復した酵素活性を、Bright-Glo (Promega)あるいはDual-luciferase基質溶液(Promega)を用いて製造者マニュアルに従って算出した。Bright-Glo基質溶液の簡潔な手順は以下の通りである。12穴プレートの中のHeLa細胞にpAR-NCを一過的にトランスフェクションしPBSで洗浄した。80 μLの基質溶液をプレートの各ウェルに加えた。37 ℃で3分間インキュベーションした後、細胞破砕液からの発光強度をルミノメーター(Minilumat LB9506; Berthold)で記録した。蛋白質の総量は下記の規格化の為にBradford試薬を用いて順次測定した。測定した蛋白質総量に対して規格化したルシフェラーゼ発光は、細胞溶解液の1μgからの発光強度を表すRLU/μg protein (Bright-Glo)として表記した。
Dual-luciferase基質溶液を使う場合、12穴プレートの中のHeLa細胞にpAR-NCとpTK-RLuc (Promega)を共にトランスフェクションした。pTK-RLucは、トランスフェクション効率に対する内部標準となるよう、全長のレニラ・ルシフェラーゼ(RLuc)を発現する。細胞を20分間リガンドで刺激し、PBSで一度洗浄した。細胞は破砕バッファーで処理し、15分間インキュベーションした。破砕液をテストチューブに移し、その特異的な基質溶液と混ぜた。出てきた発光強度をルミノメーターで最初の20秒間読み込んだ。ホタル・ルシフェラーゼの発光(LF)を定量した後、活性をクエンチし、RLuc発光(LR)を内部標準として特異的基質溶液を用いて20秒間測定した。RLuc発光に対して規格化したFLucの発光をRLU ratio (Dual)(i.e.、LF/LR)とした。
(1-5)応答の経時変化
12穴プレートに培養したHeLa細胞にpAR-NCをトランスフェクションした。細胞をかき集め二本の試験管に等量ずつ分注した。それぞれの試験管の細胞は100 μLのルシフェリン基質溶液でけん濁した。基質を加えてすぐに、それぞれの試験管の発光強度をルミノメーターで1分間隔でモニターした。基質を加えて5分後、DMSOあるいは5α-dihydroxytestosterone (DHT)をそれぞれ最終濃度で0.1% DMSOあるいは10-6M DHTとなるように加えた。各々の試験管からの発光強度はさらに15分間モニターした。
(1-6)アンドロジェンアンタゴニストの阻害効果の測定
種々のアンドロジェンアンタゴニストのDHT作動性に対する阻害効果について、pAR-NCとpTK-Rlucを共発現するHeLa細胞を用いて検証した。HeLa細胞にpAR-NCとpTK-RLucをトランスフェクションし、16時間インキュベーションした。各々のウェルのHeLa細胞を0.1% DMSOあるいは5 x 10-4 Mのアンタゴニスト(vinclozolin、 procymidone、CPA、あるいはflutamide)で20分間刺激した。コントロールを除くすべての細胞をさらに10-5M DHTで20分間刺激した。各々のウェルの発光強度をDual-luciferase基質溶液で測定した。
(1-7)発光プローブの可逆性試験
本発光プローブの発光強度の可逆性をDHT添加と除去により見積もった。12穴プレートに培養したHeLa細胞にpAR-NCをトランスフェクションした。16時間インキュベーションした後、細胞を10-5M DHTで20分間刺激した。それから、メディウムを10% ステロイド欠損FBSと1% P/Sを含んだDMEMで置き換えた。メディウムを換えた後0.5、1、2、4時間の時点で、発光強度の変化をBright-Glo基質溶液添加後、それぞれ測定した(図9)。
DHT処理とその後のDHT除去による発光強度の変化をDual-luciferase基質溶液で測定した(図10)。12穴プレートの中のHeLa細胞にpAR-NCをトランスフェクションした。3ウェルを1セクションとして、プレート上の各ウェルを5セクションに分割した。コントロールセクション(vehicle addition; treatment [0])のための1セクションを除き、残り4つのセクションの全ての細胞を10-5 M DHTで20分間刺激した。最初のセクションの細胞をかき集め、発光強度を測定した(treatment [1])。それから、残りの3セクションの培地を10%ステロイド欠損FBSと1% P/Sを含んだDMEMで置き換え、20分間インキュベーションした。減少した発光強度を3つのセクションのうち1つを使って測定した(treatment [2])。残りの2セクションの細胞を10-5 M DHTで20分間刺激した。その後、残りの2セクションのうち1つをかき集め、二回目のDHT添加による発光強度を測定した(treatment [3])。残った最後のセクションのメディウムを10% ステロイド欠損 FBSと1% P/Sを含んだDMEMで置き換え、20分間インキュベーションした。最後にその細胞からの発光強度を記録した(treatment [4])。
(2)結果と考察
(2-1)作製した3つのインディケーターのアンドロジェン感受性の比較
図2に示したように、3種類のプラスミドを作製した。pAR-CNおよびpAR-NCはFLuc-Nおよび-Cの順序は異なるが、同じFQNLFモチーフを含んでいる。FQNLFモチーフのアラニン変異を持つpAR-mutも、発光強度が確かにAR LBDとFQNLFモチーフとの相互作用によるものかどうかを検証するために作製した。
3つのプラスミドのいずれかを発現するHeLa細胞間の絶対的発光強度をそれぞれDHT刺激前後で比べた(図3)。pAR-NCを発現する細胞を10-5M DHTで刺激すると、確かにvehicle (0.1% DMSO)よりも8倍大きな発光強度を示した。一方、pAR-mutを発現する細胞は、pAR-NCを発現する細胞を同様のDHTで刺激した場合よりも半分程度の弱い発光強度を示した。この結果は、FQNLFモチーフからAQNLF配列への点変異がAR LBDとFQNLFモチーフとの相互作用を弱めたためである。アゴニストを除去すると、AR LBDはFQNLFモチーフを放し、それぞれの末端につなげた分割FLuc間の自己相補が解消される。そのためプローブはルシフェラーゼ活性を失った。この結果は、AR LBDとFQNLFモチーフとの分子内自己相補が本プローブによる生物発光の原因になっていることを裏付ける。
3種類のプローブをそれぞれトランスフェクションした細胞の中で、pAR-CNを発現する細胞は10-5M DHT刺激に対して最も弱い発光強度を示した。抗-FLuc抗体でのウェスタンブロッティングは、pAR-CN、pAR-NC、pAR-mutからのプローブ発現量が同様であることを示している(図3)。この結果は、pAR-CNプローブはその分割FLuc間の分子内自己相補が行われる上で、不利な分子構造を取っていることを示唆する。pAR-CNプローブによる弱い発光強度の原因として、例えば、異なったリンカー長、あるいは蛋白質ドメイン間の立体障害による分割FLuc間のミスマッチに原因があると考えられる。
(2-2)各遺伝子インディケーターの発現量判定のためのウェスタンブロッティング
1)プローブが正しく発現しているのか、2)どの程度の融合蛋白質量が発現しているのかを測定するためにウェスタンブロッティングを行った。結果は図4に示したとおりである。ネガティブコントロールであるHeLa細胞そのもの(レーン1)に加えて、pAR-CN(レーン2)、pAR-NC (レーン3)、あるいはpAR-mut(レーン4)をそれぞれ発現するのHeLa細胞を10%アクリルアミドゲルで電気泳動し、ニトロセルロース膜に転写した。抗-AR抗体(Santa Cruz)は92 kDaの特異的バンドを認識し、そのサイズは期待した融合蛋白質のサイズと同じであった。レーン2、3、4が似たようなバンドの太さを示したことからpAR-CN、pAR-NC、pAR-mutから同じ量の融合蛋白質が発現していることが確認できた。プラスミド間の発現量が同様であることは、図3で見られた発光強度の違いがプローブ蛋白質量の違いによらず、リガンド感受活性の違いによるものであることを意味する。
(2-3)pAR-NCからの発光強度におけるアンドロジェン依存性
pAR-NCを発現するHeLa細胞からのDHT依存性を一分間隔でモニターした(図5)。結果によると、DHT刺激により細胞は急激に発光強度を増加させ、9分後最強値に達した。この反応動態(キネティクス)は、アンドロジェンとAR LBDの結合から促されたAR LBDとFQNLFモチーフとの完全な会合に9分を要するということを示している。以前のFRETに基づくアンドロジェン研究は、アンドロジェンAR分子内の折りたたみには7分間を要することを示していた。この二つの方法間で観察された応答時間の違いは、以下の理由によるものであると考えられる。すなわち、FRETに基づく以前の蛍光プローブ研究が全長のARを用いていたことに対して、本発光プローブはFQNLFモチーフを用いたことなど、実験設定の違いによるのかも知れない。本プローブは、ベースライン発光強度の約20倍までの極度に高い発光シグナル対バックグラウンド比を示した。このような本プローブの高い感度は、バックグラウンド蛍光の低さなど発光固有の本質的な長所による側面もある。高いシグナル対バックグラウンド比に対するもう一つ別の理由は、分割FLuc間最適自己相補を引き出すプローブ分子を設計できたこととFLucの切断点そのものの適切性によるものだとも考えられる。
(2-4)ステロイドホルモンおよび合成化学物質におけるアンドロジェン活性の測定
「発光強度」のステロイドホルモン「濃度」依存性を測定した(図6)。pAR-NCを発現するHeLa細胞をステロイドホルモンの5α-hydroxytestosterone(DHT)、testosterone(T)、19-nortestosterone(19T)、あるいは17β-estradiol(E2)で20分間刺激した。引き続きDual-luciferase基質溶液で発光させた。その結果、リガンド選択性は次のように減少していった:DHT > 19T > T > E2 > vehicle (0.1% DMSO)。DHTの50%有効濃度(EC50)は3.9 x 10-6 Mで、検出限界は10-7 Mあたりであった。この結果は1)本分子プローブは異なったステロイドを高い感度で区別できること、2)本分子プローブは、一般的に20分以内に、ステロイドの活性のハイスループット測定を提供する、ことを示す。
加えて、10-5 Mでの種々のステロイドと合成化学物質のアゴニスト活性を、pAR-NCを発現するHeLa細胞を用いて比較した(図7)。10-5MのDHTとtestosterone (T)は、コントロール(0.1% DMSO)よりもそれぞれ15倍および5倍高い発光活性を効率よく増加させた。他方、別のステロイドおよび合成化学物質は、10-5Mの濃度では、pAR-NCを発現するHeLa細胞から目立った発光強度を誘起しなかった。Flutamideおよびcyproterone acetate(CPA)は、以前AR核内輸送のアゴニスト活性を持つことが報告されているが(非特許文献5)、本研究ではアンドロジェン活性を示さなかった。この本法と以前の方法の相違は測定戦略におけるそれらの本質的な違いにより説明できる。つまり、それらはそれぞれ別のシグナル経路に基づいて確立されているためである。
(2-5)DHTのアゴニスト活性における合成化学物質の阻害効果
アンタゴニストとして知られるいくつかの合成化学物質に関して、DHTのアゴニスト活性に対するアンタゴニスト効果を検査した(図8)。化学物質の中で、CPAはステロイド様化学構造を持つアンタゴニストである。一方、vinclozolin、procymidone、およびflutamideは非ステロイド様化学構造を持つアンタゴニストである。pAR-NCを発現するHeLa細胞をまず5x10-4Mのぞれぞれのアンタゴニストで20分間刺激し、10-5 MのDHTで引き続き20分間刺激した。全ての化学物質はDHTにより発生させられた発光強度に対してアンタゴニスト活性を示した。この化学物質のアンタゴニスト効果は次のような傾向で減少していった:flutamide (78%) > CPA (73%) > procymidone (68%) > vinclozolin (57%)。括弧の中の数字は、それぞれのアンタゴニストを20分間暴露した後のDHT作動性の発光の阻害率を表す。
上記阻害実験は、発光強度が出てくるのは確かにプローブ内に構えているAR LBDのリガンド認識作用によるものであることを示している。つまり、リガンドによるAR LBDの構造変化とそれに引き続くAR LBDとFQNLFモチーフの結合によっていることを証明した。また上記結果は、本方法が候補物質からの前立腺ガン薬(アンドロジェンアンタゴニスト)のハイスループットスクリーニングに有効であることを意味する。
(2-6)アンドロジェン応答におけるプローブからの発光強度の可逆性
AR LBD-FQNLFモチーフ結合のリガンド作動性動態について、アンドロジェン処理と除去後の発光強度変化に基づいて探索した(図9、10)。
まず、pAR-NCを発現するHeLa細胞を10-5 MのDHTで20分間刺激した。それから培地を新鮮なステロイド欠損培地で置き換えた。DHTを除いた後0.5、1、2、および4時間の時点で、ぞれぞれの発光強度をモニターした(図9)。培地を置き換えて0.5、1時間の時点で、発光強度は培地を換える前のそれぞれ26および11%まで急速に減少した。培地を置き換えて2時間の時点で、発光強度はベースラインにまで減少した。この結果は、1)ホルモンを除いた後の半最大発光強度に達する時間(t1/2)は約20分であること、2)DHTを完全に除くには2時間を要することを示す。
次に、アンドロジェンの繰り返し処理および除去による発光強度の変化をモニターした(図10)。10-5MのDHTで20分間刺激すると、vehicle (0.5% DMSO)(treatment [1])によるものの15倍の発光強度が得られた。引き続き培地交換によりアンドロジェンを取り除くと、20分間のアンドロジェン処理によるはじめの強度の39%にまで発光強度は減少した(treatment [2])。10-5 MのDHTでの第二のアンドロジェン処理をした場合、初期発光強度の96%にまで発光強度を回復した(treatment [3])。引き続きアンドロジェンを除くと、発光強度は初期強度の40%にまで減少した(treatment [4])。この結果は、1)本AR融合蛋白質は繰り返しのアンドロジェン処理と除去をしても基本的な機能活性を保持していること、2)DHTがHeLa細胞の中のAR LBDから半分除去されるまでに約20分を要することを示す。
以前、ARのリガンド制御動態はGFPを連結した全長のARで研究された(非特許文献2、12)。この研究は、1)ARは15〜60分以内に核内移行されること、2)ARはリサイクルされること、3)ARはアンドロジェンを除くと4時間後に細胞質に戻ることを示した。ここで、本発光プローブの応答時間は以下のように解析できる:1)AR LBDとAR NTDのFQNLFモチーフとの結合に9分、2)AR LBDから完全にアンドロジェンを除去するのに2時間、3)AR LBDからDHTが除かれるための半減期(t1/2)は約20分であること。
考え合わせると、本発明で新しく開発された遺伝子コード型の生物発光プローブが、ARの分子内構造変化をもとに、未知のリガンドのアンドロジェン活性を評価するものであると結論した。FLucはN-およびC-末端断片に分割され、最初の活性を完全に失った。FQNLFモチーフと連結したAR LBDを更にFLucのN-およびC-末端断片の間に挟み込んだ。アンドロジェンによるAR LBDとAR NTDのFQNLFモチーフとの結合は、その外側に連結したFLucのN-およびC-末端断片間の自己相補を促す。その結果、引き続きFLuc活性が回復することになる。本発明プローブは、細胞シグナルの認識と生物発光発信に必要な全ての組成を単一分子内に集積した形態の生物発光プローブとして特徴づけられる。本方法を用いて、HeLa細胞におけるプローブの選択性および検出限界と同様に、リガンドのアンドロジェン活性を調べた。本実施例ではAR LBDの分子内構造変化を例として示したが、いかなるNRの分子内構造変化も単一分子型プローブを用いる本分子イメージングの基本構想で画像化できるだろう。リガンドによるNR LBDの構造変化が、後ほどのNRのゲノムおよび非ゲノム作用の出発点であることを考えると、本方法は、NRのリガンド作動性の構造変化を特異的に阻害あるいは増強する細胞内薬理現象分析に一般的に適用できる。
実施例2:コメツキムシ・ルシフェラーゼ(CBLuc)を発光酵素とする一分子型発光プローブ
図11に構成図を示したキメラDNAをpcDNA 3.1(+)ベクターに組み込み、プローブ発現プラスミドを構築した。これらのプラスミドは、CBLucの一分子型プローブという意味の英文頭文字からpSimbe(SIngle Molecule-format probe using click Beetleの略称)と名づけた。LBDとしてAR LBDを有し、LBD相互作用ペプチドとしてヒトAR NTD由来のFQNLFモチーフ(20RGAFQNLFQSV30)を持ったものをpSimbe-FQ、アフリカツメガエルTIF2由来の順列LXXLLモチーフ(686KHKILHRLLQDSS698)を持ったものをpSimbe-LXP、その逆順列LXXLLモチーフ(698SSDQLLRHLIKHK686)を持ったものをpSimbe-LXAとそれぞれ名づけた。また、CBLucのN末端(CBLuc-N)とC末端(CBLuc-C)はそれぞれ図11中に示したアミノ酸配列からなるものを使用した。[A]と[a]との組合せでプラスミド[1]となり、順次にプラスミド[2]、[3]・・・[10]となる。図12は全長CBLucのアミノ酸配列であり、図中の矢印はプラスミド[1]-[7]の切断位置を示す。プラスミド[8]-[10]はCBLuc-NとCBLuc-Cの一部が重複しているか欠失している。また、星印はプラスミド[3]の切断位置(439/440)を示す。
なお、表1は、各DNAをPCR増幅するためのプライマー配列を示す。太文字は制限酵素サイトを示し、開始コドン、停止コドンを下線文字で示す。イタリック文字はGSリンカーのコドンである。
表1
(1) CBLuc切断位置の検討
pSimbe-FQ[1]−[10]を対象とし、10-5 M DHT刺激によって回復された発光強度を指標として、一分子に適用できるCBLuc切断位置を検討した。結果は図13に示したとおりであり、10種類のプラスミドの中で、プラスミド[3]、[6]、[9]、[10]が明確なバッグラウンド対比発光強度増加を示した。
(2) AR LBDと各相互作用ペプチドの結合能力の検討
pSimbe-FQ、pSimbe-LXP、pSimbe-LXAをHeLa細胞に発現させ、AR LBDとそれと相互作用すると知られているペプチドの結合能力を、10-5 M DHT有り無し条件下で比較した。なお、CBLucの切断位置は、前記プラスミド[3]と同様である。
結果は図14に示したとおりであり、いずれのペプチドもAR LBDと結合するが、特にヒトAR由来のFQNLFモチーフを使用したプローブがより明確なバッグラウンド対比発光強度を示した。
(3) LXXLLモチーフとAR LBDまたはGR LBDとの結合強度の相対的比較
LBDの典型例としてAR LBDおよびGR LBDをそれぞれ使用し、相互作用ペプチドとして逆順列LXXLLモチーフおよび順列LXXLLモチーフを持つ、それぞれ4種類のプラスミドを作成した。すなわち、AR LBDに順列LXXLLモチーフをつなげたプラスミドをpSimbe-LXP、AR LBDに逆順列LXXLLモチーフをつなげたプラスミドをpSimbe-LXA、GR LBDに順列LXXLLモチーフをつなげたプラスミドをpSimbe-GRP、GR LBDに逆順列LXXLLモチーフをつなげたプラスミドをpSimbe-GRAと名づけた。なお、CBLucの切断位置は前記プラスミド[3]と同様である。これらのプラスミドをMCF-7細胞に発現させ、プローブによる発光強度を10-5M DHT有り無し条件で比較した。
結果は図15に示したとおりである。順列および逆順列のLXXLLモチーフはいずれもAR LBDと強固に結合したが、特に順列LXXLLとAR LBDとの逆平行(anti-parallel)結合が強固であった(一分子内のたんぱく質間相互結合であるため、結合する時にはAnti-parallel構造で結合する)。
(4) 細胞種におけるリガンド選択性の検討。
4種類の細胞、すなわちMCF-7(human breast cancer cell)、CHO(chinese hamster ovary cell)、HeLa(human cervical carcinoma cell)、NIH 3T3(mouse fibroblast cell)にpSimbe-LXA発現プラスミドを導入し、それぞれ10-5Mの17β-estradiol(E2)、testosterone (T)、DHTで20分間刺激し、発光強度を測定した。
結果は図16に示したとおりである。いずれの細胞においても10-5MのDHT刺激によってpSimbe-LXAは明確なバッグラウンド対比発光強度を示したが、特にMCF-7細胞の方が著しかった。
(5) プローブ発現の検討
pSimbi[3]、pSimbe-LXPおよびpSimbe-LXAの各発現プラスミドをMCF-7細胞に導入し、各プローブの発現をウエスタンブロット分析した。
結果は図17のとおりであり、各プローブはいずれも細胞内で発現された事が分かる。
(6) 各種ステロイドホルモンによるpSimbi系列プローブ発光強度の濃度検定曲線
pSimbi[3]およびpSimbe-LXAをそれぞれMCF-7細胞に導入し、一連の違う濃度のDHT、19T(19-nortestosterone)、T、E2でそれぞれ刺激し、発光強度を測定した(図18)。
結果は図18に示したとおりである。いずれのプローブもDHT刺激に対して濃度依存的に発光強度を増加させた。
(7) アンタゴニストの測定
pSimbe-LXAをMCF-7細胞で発現させ、10-6 M DHTによるプローブ発光に対するCPA(cyproterone acetate)の抑制作用を検討した。
結果は図19に示したとおりであり、DHTより10倍および100倍濃度のCPAにより、MCF-7細胞内AR LBDとLXXLLモチーフ間の相互作用が抑制されたことが分かる。
(8) DHT刺激後のpSimbeプローブ発光強度の経時変化
pSimbe-LXAをMCF-7細胞で発現させ、DHTの濃度に依存的な発光強度の経時変化を測定した。
結果は図20に示したおりであり、10-5および10-6 MのDHT刺激によっても発光強度の明確な経時変化が観察された。
(9) pSimbeプローブの繰り返し測定
pSimbe-LXAをMCF-7細胞で発現させ、20分間の10-5M DHT刺激と培地交換によるDHT除去を2回ずつ行い、その間の発光強度変化をモニターした。
結果は図21に示したとおりである。pSimbe-LXAは2回目のDHT刺激によっても可逆的な発光強度回復を示した。
(10) 各種リガンドの男性ホルモン活性の測定
pSimbe-LXAをMCF-7細胞に発現させ、DHT、19T、T、E2、progesterone(proges)、mifepristone(Mif;RU486))、vinclozolin(vin)、procymidone(procy)、cyprote
rone acetate(CPA)、phorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)でそれぞれ刺激した場合の発光強度を測定した。コントロールとしてはvehicle #1(0.1% DMSO)およびvehicle #2(0.02 M phosphoric buffer saline (PBS))を使用した。
結果は図22のとおりである。DHTおよび19Tの刺激によってpSimbe-LXAは有意に強い発光を示したことから、これらのリガンドの男性ホルモン活性が確認された。
本発明によるAR特異的リガンドの検出原理を示した模式図である。 実施例1で作製したプローブの構成図である。 実施例1における10-5 MのDHTに対する各プローブの相対的感受性能の測定結果である。pAR-CN、pAR-NC、pAR-mutから発現されたプローブを持つそれぞれの細胞からのDHT作動性の生物発光強度を比較した。F24A変異(pAR-mut)はリガンド作動性のAR LBD−FQNLF結合を弱めた(n=3)。 実施例1における各プローブ発現量を測定するためのウェスタンブロッティングを行った結果。各バンドは、HeLa細胞(レーン1)、pAR-CN (レーン2)、pAR-NC(レーン3)、およびpAR-mut(レーン4)を導入した細胞からの蛋白質溶解物を免疫染色したものである。 実施例1におけるpAR-NCを導入したHeLa細胞のリガンド作動性反応動態を測定した結果。DHT添加前後での発光強度を1分単位でモニターした。pAR-NCを発現するHeLa細胞を時間0の時点において10-6M DHTあるいはvehicle (0.1% DMSO)で刺激した。更に刺激後の発光強度の動態を1分間隔で14分間記録した(t1/2 = 4.5 min)。 実施例1における自己相補したFLucの発光強度に基づくステロイドホルモンの濃度依存性曲線(n=3)。略語:DHTは5α-dihyoxytestosterone; 19Tは19-nortestosterone; Tはtestosterone; E2は17β-estradiol。 実施例1における様々なリガンド(10-5 M)のアンドロジェン活性の測定。pAR-NCを導入したHeLa細胞を10-5 Mのそれぞれのリガンドで20分間刺激し、発光強度を測定した。略語:vehicleは0.1% DMSO; DHTは5α-dihyoxytestosterone; Tはtestosterone; E2は17β-estradiol; CPAはcyproterone acetate; DDTは1,1,1-trichloro-2-(p-chlorophenyl)-2-(o-chlorophenyl)ehtane; DDEはp,p'-dichlorodiphenyldichloroethylene; PCBはpolychlorinated biphenyls (Aroclor 1254) (n=3)。 実施例1における10-5 MのDHTによる発光強度に対する種々のリガンドの阻害効果。5x10-4Mの化学物質は10-5MのDHTによるAR LBDとFQNLFモチーフとの結合を無効にした(n=3)。 実施例1におけるDHT刺激によるAR NTDとAR LBDとの結合に基づく発光強度の測定と、その後DHT除去による発光強度の経時変化測定。 実施例1におけるアンドロジェン応答の可逆性の測定。10-5 M DHTの刺激および除去を繰り返し、それぞれの段階の最後に発光強度を測定した(n=3)。 実施例2で作製したプローブの構成図である。 実施例2で作成したプローブに使用したCBLucの全長アミノ酸配列である。矢印は各切断位置を示す。 実施例2において、10-5 M DHT刺激によって回復された発光強度を指標として、CBLucの適切な切断位置を検討した結果である。誤差バーは3サンプルの標準エラーを示す。 実施例2において、AR LBDと各相互作用ペプチドの結合能力を検討した結果である。 実施例2において、順列および逆順列LXXLLモチーフがAR LBDまたはGR LBDとそれぞれ結合するすることによって回復された発光強度の相対的比較を行った結果である。 実施例2において細胞種における相対的なリガンド選択性・感度の検討を行った結果である。 実施例2において生細胞に導入したプラスミドからの相対的なプローブ発現量を検討した結果である(ウェスタンブロット)。 実施例2において、pSimbi系列プローブを導入した細胞を各種ステロイドホルモンで刺激した後、その濃度依存的な発光強度変化を測定した結果である。 実施例2において、DHT刺激後のpSimbeプローブからの発光強度の測定とその後アンタゴニストによる阻害活性を測定した結果である。 実施例2において、DHT刺激後のpSimbeプローブ発光強度の経時変化を測定した結果である。 実施例2において、pSimbeプローブの可逆的リガンド認識性と、リガンド除去後の発光強度の経時変化を測定した結果である。 実施例2において、各種リガンドの男性ホルモン活性を、pSimbeプローブを導入した細胞をもとに測定した結果である。

Claims (10)

  1. 生細胞における標的特異的リガンドを検出するプローブであって、リガンドを結合した場合にその立体構造を変化させるリガンド結合分子の両端に、コメツキムシ・ルシフェラーゼ(CBLuc)を分割したN末端側ポリペプチド(N-CBLuc)とC末端側ポリペプチド(C-CBLuc)とがそれぞれ連結されており、
    N-CBLucが配列番号27の1-412アミノ酸配列からなる場合は、C-CBLucは配列番号27の413-542アミノ酸配列からなり、
    N-CBLucが配列番号27の1-439アミノ酸配列からなるペプチドの場合は、C-CBLucは配列番号27の437-542アミノ酸配列、440-542アミノ酸配列または443-542アミノ酸配列からなり、
    N-CBLucが配列番号27の1-442アミノ酸配列からなる場合は、C-CBLucは配列番号27の443-542アミノ酸配列からなり、
    リガンド結合分子にリガンドが結合した場合のみ、N-CBLucとC-CBLucとが自己相補して発光シグナルを発することを特徴とする一分子型生物発光可視化プローブ。
  2. リガンド結合分子が、リガンド結合ドメイン(LBD)と、LBDへのリガンドの結合によってLBDと相互作用するドメイン(LBD相互作用ドメイン)とが連結した融合分子である請求項1のプローブ。
  3. リガンドが核内受容体リガンド、細胞内セカンドメッセンジャー、脂質セカンドメッセンジャーまたはG蛋白質結合型受容体リガンドである請求項1のプローブ。
  4. LBDがアンドロゲン受容体LBDであり、LBD相互作用ドメインがアンドロゲン受容体のコアクチベーターペプチドであって、コアクチベーターペプチドがアンドロゲン受容体のN末端FQNLFモチーフを含むペプチド(FQNLFペプチド)またはアフリカツメガエルTIF2のLXXLLモチーフを含むペプチド(LXXLLペプチド)であり、アンドロゲン受容体リガンドを検出する請求項2のプローブ。
  5. 請求項1から4記載のいずれかのプローブを生細胞で発現することのできる発現ベクター。
  6. 請求項1から4記載のいずれかのプローブ、または請求項5記載の発現ベクターと、CBLucの基質を含むリガンド検出キット。
  7. LBDに結合する未知のアゴニストをスクリーニングする方法であって、
    (1) 請求項1から4記載のいずれかのプローブを生細胞(ただし、ヒト個体内に存在するものを除く)に導入し、
    (2) 生細胞に候補物質を共存させ、そして
    (3) 生細胞に発光を生じさせる候補物質を目的物質として特定する、
    ことを特徴とするアゴニストスクリーニング方法。
  8. 請求項5記載の発現ベクターを生細胞で発現させることによってプローブを生細胞に導入する請求項7のアゴニストスクリーニング方法。
  9. 既知のリガンドとLBDとの結合を阻害する未知のアンタゴニストをスクリーニングする方法であって、
    (1) 請求項1から4記載のいずれかのプローブを生細胞(ただし、ヒト個体内に存在するものを除く)に導入し、
    (2) 生細胞に候補物質を共存させ、
    (3) 生細胞に既知アゴニストを共存させ、そして
    (4) 生細胞からの発光を減少させる候補物質を目的物質として特定する、
    ことを特徴とするアンタゴニストスクリーニング方法。
  10. 請求項5記載の発現ベクターを生細胞で発現させることによってプローブを生細胞に導入する請求項9のアンタゴニストスクリーニング方法。
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