JP6730795B2 - Vdrビタミンd結合ドメインを含む融合タンパク質及びその使用 - Google Patents

Vdrビタミンd結合ドメインを含む融合タンパク質及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、ビタミンD受容体(以下、VDRと表記する)のビタミンD結合ドメインをルシフェラーゼのN端ドメイン及びC端ドメインの間に含む融合タンパク質に関する。さらに本発明は、この融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA、このDNAを含有するプラスミド、このプラスミドを用いるVDRに結合性を示す物質のスクリーニング方法に関する。
ビタミンD3は皮膚で生成された後、血中を循環するビタミンD結合タンパク質(DBP)によって肝臓に運ばれ、25ヒドロキシビタミンD3[25(OH)D3]に代謝される。その後、再び血中のDBPと結合し腎臓に運ばれ、最も生理活性の強い1α,25-ヒドロキシビタミンD3[1α,25(OH)2D3]に代謝される。1α,25(OH)2D3は活性型ビタミンD3と呼ばれ、標的細胞の核内に存在するビタミンD受容体(VDR)と特異的に結合し、ビタミンD依存性タンパク質の遺伝子発現を誘導し、骨代謝、細胞分化・増殖、免疫機能の調節に重要な役割を担っている。そのため、小児期においてビタミンDが欠乏すると、くる病や骨軟化症を引き起こす危険性があり、加齢に伴うビタミンDの欠乏は、骨粗鬆症、がん、糖尿病、動脈硬化、自己免疫疾患、さらには、アルツハイマー病やパーキンソン病等の脳疾患とも関連があると言われている。特に、くる病や骨粗鬆症の治療薬としては、活性型ビタミンD製剤が用いられているが、副作用として高カルシウム血症を引き起こす可能性がある。近年、癌細胞の増殖阻害や記憶・学習能力の向上にビタミンDが効果的であるという報告が増えていることから、がんや認知症の治療薬に成り得ると期待される。従って、副作用の少ないビタミンD誘導体の開発が求められる。
これまでに、簡便にVDRリガンドをスクリーニングし、その親和性を測定するシステムとして、ウシ胸腺VDRを用いた競合アッセイ、さらに、SRC-1等のコアクチベーターを利用したツールが広く用いられている(非特許文献1)。一方、細胞を使うシステムとして、VDRE含有プロモーター・ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いた系が知られる(非特許文献2)。
A new enzyme-linked immunosorbant assay for the measurement of human vitamin D receptor.2001 Bone volume 28 P319-326 Crystal Structures of Hereditary Vitamin D-Resistant Rickets-Associated Vitamin D Receptor Mutants R270L and W282R Bound to 1,25-Dihydroxyvitamin D3 and Synthetic Ligands,J. Med. Chem. 2013, 56, 6745-6760 A novel luminescent biosensor for rapid monitoring of IP3 by split-luciferase complementary assay, Biosensor and Biotectronics 41 P642-648, 2013 Ratiometric Bioluminescence Indicators for Monitoring Cyclic Adenosine 3′,5′-Monophosphate in Live Cells Based on Luciferase-Fragment Complementation. Anal. Chem. 2010, 82, 9306-9313 David Feldman and Peter J Malloy. Mutations in the vitamin D receptor and hereditary vitamin D-resistant rickets. BoneKEy Reports 2014, 3, 1-11 Narasimha Swamy, Wenrong Xu, Nancy Paz, Jui-Cheng Hsieh, Mark R. Haussler, George J. Maalouf, Scott C. Mohr, and Rahul Ray. Molecular Modeling, Affinity Labeling, and Site-Directed Mutagenesis Define the Key Points of Interaction between the Ligand-Binding Domain of the Vitamin D Nuclear Receptor and 1R,25-Dihydroxyvitamin D3. Biochemistry 2000, 39, 12162-12171
非特許文献1に記載の方法は、細胞を使わず簡便ではあるが、高コストであることや、細胞を透過しない物質もポジティブに判定してしまうという問題点がある。
非特許文献2に記載の方法では、活性型ビタミンDの作用を阻害することでアンタゴニストを判定することができるが、アゴニストの判定とは別の試験になるため、一度にアゴニストとアンタゴニストを判定できないという問題点がある。
これまでに、細胞膜を透過してVDRに結合する物質をアゴニストとアンタゴニストを区別して簡便にスクリーニングできるシステムは存在しなかった。
そこで本発明の目的は、アンタゴニスト、アゴニストを問わず、VDRに強く結合する物質を簡便にスクリーニングできるシステムを提供することにある。さらに本発明の目的は、細胞膜を透過でき、かつアンタゴニスト、アゴニストを問わず、VDRに強く結合する物質を簡便にスクリーニングできるシステムも提供することにある。
ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインを分割して用いる検出システムとして、イノシトール三リン酸(IP3)や環状アデノシン一リン酸(cAMP)を検出するものが挙げられる(非特許文献3、4)。これらは、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインの間にIP3結合ドメイン、もしくはcAMP結合ドメインを挿入した融合タンパク質であり、リガンドであるIP3もしくはcAMPが結合すると、構造変化が起きて発光する仕組みである。
本発明者らは、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインの間にVDRのビタミンD結合ドメインを挿入した新規ルシフェラーゼを開発した。但し、このシステムは、VDRアゴニストが結合すると発光が減少するという点で、IP3やcAMP検出システムとは検出方法が全く逆である。さらに、VDRアンタゴニストが結合すると逆に発光が増加するため、アゴニストとアンタゴニストを区別できる点が、きわめてユニークであり、有用性が高い(後述する[化2]のスキーム参照)。
本発明は以下の通りである。
[1]
ルシフェラーゼのN端ドメイン、ビタミンD受容体(以下、VDRと表記する)のビタミンD結合ドメインを少なくとも1個、及びルシフェラーゼのC端ドメインを含む融合タンパク質。
[2]
ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、クリックビートルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、ウミホタルルシフェラーゼ、及びガウシアルシフェラーゼルシフェラーゼから成る群から選ばれる[1]に記載の融合タンパク質。
[3]
ホタルルシフェラーゼは、配列表の配列番号28で示されるアミノ酸配列を有し、
N端ドメインは、1番から415番までのアミノ酸配列を有し、C端ドメインは、416番から550番までのアミノ酸配列を有する[1]に記載の融合タンパク質。
[4]
ウミシイタケルシフェラーゼは、配列表の配列番号30で示されるアミノ酸配列を有し、
N端ドメインは、1番から229番までのアミノ酸配列を有し、C端ドメインは、230番から311番までのアミノ酸配列を有する[1]に記載の融合タンパク質。
[5]
VDRは、ヒト、マウス、ラット、サル、イヌ、またはウシのVDRである[1]に記載の融合タンパク質。
[6]
ヒトVDRは、配列表の配列番号32で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から427番までのアミノ酸配列を有する、[5]に記載の融合タンパク質。
[7]
マウスVDRは、配列表の配列番号34で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から422番までのアミノ酸配列を有する、[5]に記載の融合タンパク質。
[8]
ラットVDRは、配列表の配列番号36で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から423番までのアミノ酸配列を有する、[5]に記載の融合タンパク質。
[9]
サルVDRは、配列表の配列番号37で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から434番までのアミノ酸配列を有する、[5]に記載の融合タンパク質。
[10]
イヌVDRは、配列表の配列番号38で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から427番までのアミノ酸配列を有する、[5]に記載の融合タンパク質。
[11]
ウシVDRは、配列表の配列番号39で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から426番までのアミノ酸配列を有する、[5]に記載の融合タンパク質。
[12]
ビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列は変異を有する[1]〜[11]のいずれかに記載の融合タンパク質。
[13]
ビタミンD結合ドメインを2個有する[1]〜[12]のいずれかに記載の融合タンパク質。
[14]
[1]〜[13]のいずれかに記載の融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA。
[15]
ベクター中に[14]に記載のDNAを含有するプラスミド。
[16]
[15]に記載のプラスミドを導入した細胞である形質転換細胞。
[17]
前記細胞は、哺乳動物または昆虫由来の細胞である[16]に記載の形質転換細胞。
[18]
ビタミンD受容体(以下、VDRと表記する)に結合性を示す物質のスクリーニング方法であって、
[16]または[17]に記載の形質転換細胞を、形質転換細胞にDNAが含有されるルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素、並びに候補物質の共存下で培養し、培養中及び/又は培養後に発光を測定し、
発光量または強度の増減から、前記候補物質のVDRに対する結合性を評価して、VDRに結合性を示す物質を選択することを含む、前記スクリーニング方法。
[19]
前記形質転換細胞に導入されたプラスミドが含有するビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列をコードするDNAは、前記ビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列が変異を有し、前記アミノ酸配列の変異と疾患との関係から、前記疾患に関与する変異を有するビタミンD結合ドメインに特異的に結合する候補物質をスクリーニングする、[18]に記載のスクリーニング方法。
[20]
ビタミンD受容体(以下、VDRと表記する)に結合性を示す物質のスクリーニング方法であって、
[1]〜[13]のいずれかに記載の融合タンパク質を、ルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素、並びに候補物質の共存下で作用させて、作用中及び/又は作用後に発光を測定し、
発光量または強度の増減から、前記候補物質のVDRに対する結合性を評価して、VDRに結合性を示す物質を選択することを含む、前記スクリーニング方法。
[21]
前記融合タンパク質が含有するビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列が変異を有し、前記アミノ酸配列の変異と疾患との関係から、前記疾患に関与する変異を有するビタミンD結合ドメインに特異的に結合する候補物質をスクリーニングする、[20]に記載のスクリーニング方法。
[22]
前記候補物質は、ステロイド骨格を有する化合物、脂肪酸類、脂溶性ビタミン類、又はポリフェノール類である[18]〜[21]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
本発明によれば、アンタゴニスト、アゴニストを問わず、VDRに強く結合する物質を簡便にスクリーニングできるシステムを提供することができる。さらに本発明によれば、細胞膜を透過でき、かつアンタゴニスト、アゴニストを問わず、VDRに強く結合する物質を簡便にスクリーニングできるシステムも提供することができる。
LucN-LBD-LucCおよびLucC-LBD-LucNバイオセンサーの発光変化量を比較した結果を示す。 LucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いてVD2、25D2、1α,25D2を検出した結果を示す。 LucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いてVD3、25D3、1α,25D3を検出した結果を示す。 LucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いてビタミンD誘導体類を検出した結果を示す。 LBD内に変異を持つLucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いて様々なビタミンDを検出した結果を示す。A LucC-LBD-LucN R274L LBD内に変異を持つLucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いて様々なビタミンDを検出した結果を示す。B LucC-LBD-LucN D299A LBD内に変異を持つLucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いて様々なビタミンDを検出した結果を示す。C LucC-LBD-LucN R391C LBD内に変異を持つLucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いて様々なビタミンDを検出した結果を示す。D LucC-LBD-LucN E420K LucC-LBD-LBD-LucNバイオセンサーを用いて様々なビタミンDを検出した結果を示す。 アゴニスト(1α,25D3)を作用させた場合とアンタゴニスト(NS-4)を作用させた場合の結果を示す。 ホタルルシフェラーゼ遺伝子(配列配列番号27)、アンダーライン部がN端ドメインとC端ドメインとの切断部位。 ホタルルシフェラーゼアミノ酸配列(配列番号28)、アンダーライン部がN端ドメインとC端ドメインとの切断部位。 ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子配列(配列番号29)、アンダーライン部がN端ドメインとC端ドメインとの切断部位。 ウミシイタケルシフェラーゼアミノ酸配列(配列番号30)、アンダーライン部がN端ドメインとC端ドメインとの切断部位。 ヒトビタミンD受容体塩基配列(配列番号31)、アンダーライン部がビタミンD結合ドメイン。 ヒトビタミンD受容体アミノ酸配列(配列番号32)、アンダーライン部がビタミンD結合ドメイン。 マウスビタミンD受容体塩基配列(配列番号33)。 マウスビタミンD受容体アミノ酸配列(配列番号34)アンダーライン部がビタミンD結合ドメイン。 ラットビタミンD受容体塩基配列(配列番号35) ラットビタミンD受容体アミノ酸配列(配列番号36)、アンダーライン部がビタミンD結合ドメイン。 サルビタミンD受容体アミノ酸配列(配列番号37)、アンダーライン部がビタミンD結合ドメイン。 イヌビタミンD受容体アミノ酸配列(配列番号38)、アンダーライン部がビタミンD結合ドメイン。 ウシビタミンD受容体アミノ酸配列(配列番号39)、アンダーライン部がビタミンD結合ドメイン。 例2-2で合成したLucC-LBD-LucNタンパク質を用いて、25D3を作用させた場合、アゴニスト(1α25D3)を作用させた場合、又はアンタゴニスト(NS-4)を作用させた場合の結果(例2-3)を示す。
<融合タンパク質>
本発明は、ルシフェラーゼのN端ドメイン、VDRのビタミンD結合ドメインを少なくとも1個、及びルシフェラーゼのC端ドメインを含む融合タンパク質に関する。
ルシフェラーゼは、基質となる物質(ルシフェリンと総称される)を酸化する酵素であり、酸化反応時に生じるエネルギーの一部を発光として放出しており、その起源の違いで、種々の酵素が知られている。本発明では、基質となる物質を酸化してルシフェリンを生成する酵素であれば、特に制限なく種々のルシフェラーゼを用いることができる。ルシフェラーゼとしては、例えば、ホタルルシフェラーゼ、クリックビートルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、ウミホタルルシフェラーゼ、及びガウシアルシフェラーゼルシフェラーゼから成る群から選ばれるルシフェラーゼを挙げることができる。ホタルルシフェラーゼとクリックビートルルシフェラーゼの基質はホタルルシフェリンであり、ウミシイタケルシフェラーゼ、ウミホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼの基質は、セレンテラジンである。
本発明の融合タンパク質においては、ルシフェラーゼは、N端ドメインとC端ドメインに分割され、その間に、VDRのビタミンD結合ドメインを少なくとも1個有する。ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインへの分割の箇所は、VDRのビタミンD結合ドメインに結合性の物質としてVDRアゴニストが結合していない場合には、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインとが連結して、ルシフェラーゼの酵素活性を示し、VDRのビタミンD結合ドメインにVDRアゴニストが結合した場合には、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインとの連結が解けてルシフェラーゼの酵素活性を示さないことを可能にすることを考慮して決定される。さらに、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインへの分割の箇所は、VDRのビタミンD結合ドメインに結合性の物質としてVDRアンタゴニストが結合していない場合には、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインとが連結して、ルシフェラーゼの酵素活性を示し、VDRのビタミンD結合ドメインにVDRアンタゴニストが結合した場合には、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインとの連結がより強まり、より高いルシフェラーゼの酵素活性を示すことを可能にすることを考慮して決定される。
ルシフェラーゼが、ホタルルシフェラーゼの場合、アミノ酸配列は、配列表の配列番号28で示され(塩基配列は、配列表の配列番号1で示される)、N端ドメインは、1番から415番までのアミノ酸配列を有し、C端ドメインは、416番から550番までのアミノ酸配列を有する。N端ドメインが1番から415番までのアミノ酸配列を有し、C端ドメインが416番から550番までのアミノ酸配列を有する場合、VDRのビタミンD結合ドメインに結合性の物質が結合していない場合には、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインとが連結してルシフェラーゼの酵素活性を示し、VDRのビタミンD結合ドメインに結合性の物質が結合した場合には、ルシフェラーゼのN端ドメインとC端ドメインとの連結が解けてルシフェラーゼの酵素活性を示さない。但し、N端ドメインとC端ドメインの切断部位がアミノ酸配列の415番と416番の間ではなく、切断箇所が415〜500の間であれば同様の機能を有することができる。例えば、以下の参考文献Aでは、ルシフェラーゼのN末部位とC末部位の切断部位を様々な場所に設定し、発光能について検証している。415番と416番目以外の部位で切断しても発光能は維持されていることが示されている。参考文献Aでは415と416の間以外に420と421の間、437と438の間、445と446の間、455と456の間、475と476の間、500と501の間でも活性が検出されている。
参考文献A:Firefly Luciferase Enzyme Fragment Complementation for Imaging in Cells and Living Animals. Anal. Chem. 2005, 77, 1295-1302
ルシフェラーゼが、ウミシイタケルシフェラーゼの場合、アミノ酸配列は、配列表の配列番号30で示され(塩基配列は、配列表の配列番号3で示される)、N端ドメインは、1番から229番までのアミノ酸配列を有し、C端ドメインは、230番から311番までのアミノ酸配列を有する。但し、ウミシイタケルシフェラーゼの場合も、ホタルルシフェラーゼの場合と同様に、N端ドメインとC端ドメインの切断部位は、229番と230番の間に限定されず、その他の部位での切断も可能である。
VDRは、標的細胞の核内に存在し、活性型ビタミンD3(1α,25(OH)2D3)と特異的に結合し、ビタミンD依存性タンパク質の遺伝子発現を誘導し、骨代謝、細胞分化・増殖、免疫機能の調節に重要な役割を担っている。VDRは、種々の哺乳動物に内在し、例えば、ヒト、マウス、ラット、サル及びウサギのVDRのアミノ酸配列及び塩基配列が知られている。
ヒトVDRは、配列表の配列番号32で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から427番までのアミノ酸配列を有する。
マウスVDRは、配列表の配列番号34で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から422番までのアミノ酸配列を有する。
ラットVDRは、配列表の配列番号36で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から423番までのアミノ酸配列を有する。
サルVDRは、配列表の配列番号37で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から434番までのアミノ酸配列を有する。
イヌVDRは、配列表の配列番号38で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から427番までのアミノ酸配列を有する。
ウシVDRは、配列表の配列番号39で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から426番までのアミノ酸配列を有する。
ビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列は変異を有することもできる。例えば、くる病患者に見られる変異は、ビタミンD結合領域に存在し、活性型ビタミンDと受容体の親和性を低下させるという報告がある。過去の報告によれば、ビタミンD結合領域内に存在するR274Lの変異は、ビタミンD受容体への親和性が健常者の約1/1000になると報告されている(非特許文献5)。
くる病患者に見られる変異は、DNA結合領域またはビタミンD結合領域に存在するが、本研究ではビタミンD結合領域について着目しているため、ビタミンD結合領域内の変異について以下に示す。ヒトのビタミンD結合ドメインは、配列番号32に示され、そのビタミンD結合ドメインは、121番から427番までのアミノ酸配列を有する。
T146I、R158C、C190W、L227P、L233S、ΔK246、F251C、Q259P、Q259E、L263R、I268T、R274L、R274H、W286R、H305Q、I314S、G319V、E329K、V346M、R391C、R391S、E420K、E420A
これらの変異は、くる病患者に見られる変異であるが、活性型ビタミンDとの親和性を低下させる変異、また、活性型ビタミンDとの親和性は正常であるがビタミンD受容体と共因子(RXRタンパク質やその他の転写因子)との相互作用を阻害する変異、さらには、作用機序が不明な変異の3つに分けられる。作用機序が不明な変異については、それぞれの変異を入れたバイオセンサーを用いることで、活性型ビタミンDとの親和性を評価することができると考えられる。
くる病患者に見られる変異について書かれた参考文献を以下に示す。
参考文献1:The Unique Tryptophan Residue of the Vitamin D Receptor Is Critical for Ligand Binding and Transcriptional Activation. JOURNAL OF BONE AND MINERAL RESEARCH Volume 16, Number 1, 2001 39-45
参考文献2:Novel Compound Heterozygous Mutations in the Vitamin D Receptor Gene in a Korean Girl with Hereditary Vitamin D Resistant Rickets. J Korean Med Sci 2011; 26: 1111-1114
参考文献3:Crystal Structures of Hereditary Vitamin D-Resistant Rickets-Associated Vitamin D Receptor Mutants R270L and W282R Bound to 1,25-Dihydroxyvitamin D3 and Synthetic Ligands. J. Med. Chem. 2013, 56, 6745-6760
参考文献4:Mutations in the vitamin D receptor and hereditary vitamin D-resistant rickets. BoneKEy Reports 3, Article number: 510. (2014) 1-11
参考文献5:Crystal structure of hereditary vitamin D-resistant rickets-Associated mutant H305Q of vitamin D nuclear receptor bound to its natural ligand. Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology 121 (2010) 84-87
参考文献6:Mutations in the Vitamin D Receptor Gene in Four Patients with Hereditary 1,25-Dihydroxyvitamin D-Resistant Rickets. Arq Bras Endocrinol Metab 2008;52/8 1244-1251
参考文献7:The Vitamin D Receptor and the Syndrome of Hereditary 1,25-Dihydroxyvitamin D-Resistant Rickets. Endocrine Reviews 20(2): 156-188 1999
さらに、ビタミンD結合領域内の変異について、上記ヒトの場合との対比として、他の動物のビタミンD結合領域内の変異を以下の表に示す。表中、C190Wについての斜線は、C(Cys)が保存されていないことを意味する。
本発明の融合タンパク質は、ビタミンD結合ドメインを2個有することもできる。本発明の融合タンパク質は、ルシフェラーゼのN端ドメインをLucN、ルシフェラーゼのC端ドメインをLucC、VDRのビタミンD結合ドメインをLBDとそれぞれ表記すると、例えば、LucC-LBD-LucN、又はLucN-LBD-LucCで表されるLBDを1個有する融合タンパク質であることができる。これに加えて、例えば、LucN-LBD-LBD-LucC、LucC-LBD-LBD-LucNという、LucNとLucCの間に2個のLBDを有する構造であることもできる。さらに、例えば、LucN-LBD-LucC-LBD、 LucC-LBD-LucN-LBD、LBD-LucC-LBD-LucN、LBD-LucN-LBD-LucCなどのようにいずれかの末端にLBDが存在する構造であることもできる。さらに、2個以上のLBDを連結させる場合、同一種類の配列のLBDを連結させること、及び異なる種類の配列のLBDを連結させることができる。同一又は異なる種類の配列のLBDを連結させることで、活性型ビタミンD3結合後の発光の減少がより高くなる可能性、発光の変化が起きなくなる可能性、逆に、発光が増加する可能性がある。
本発明は、上記本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAを包含する。本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAは、
ルシフェラーゼのN端ドメインのアミノ酸配列をコードするDNA、ビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列をコードするDNA、及びルシフェラーゼのC端ドメインのアミノ酸配列をコードするDNAをそれぞれ常法により連結することで調製できる。
本発明は、任意のベクターに、上記本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAを含有するプラスミドを包含する。本プラスミドを構成するベクターは任意であり、本プラスミドを導入して形質転換させる細胞に応じて適宜選択できる。尚、プラスミドは、細胞内において本発明の融合タンパク質を恒常的かつ高発現させることが好ましいため、例えば、SV40、CMV、CAGプロモーター等のようなプロモーターを含む物が望ましい。
本発明の融合タンパク質は、本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAを含有するプラスミドを導入した細胞(形質転換体)で発現させることで調製できる。DNAの細胞への導入(形質転換)及び形質転換体におけるタンパク質の発現は常法により適宜実施できる。本発明の融合タンパク質は、本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAを用いて、in vitroでのタンパク質合成方法により合成することもできる。in vitroでのタンパク質合成は、市販のキットを用いて行うことができ、市販のキットとしては、例えば、TNT SP6 High-Yield Wheat GermProtein Expression System (Promega)を挙げることができる。但し、このキットに限定される意図ではなく、例えば、TNT SP6 Coupled Wheat Germ Extract System(Promega)やTNT SP6 Coupled Reticulocyte Lysate System(Promega)なども利用できる。
本発明のプラスミドを導入した細胞は、プラスミドDNAを細胞内に入れることができるものであれば、接着性でも付着生を問わず使用できる。具体的には、哺乳動物および昆虫由来の細胞(NIH3T3細胞、PC12細胞、HEK293細胞、COS-7細胞、CHO細胞、HeLa細胞、Sf-9細胞、S2細胞)等を使用することができる。特に、哺乳動物由来の細胞であることで、細胞膜を透過できる物質であって、哺乳動物におけるVDRに結合性を有する物質のスクリーニングに用いるという観点で好ましい。同様に、その他の動物におけるVDRに結合性を有する物質のスクリーニングに用いる場合には、その動物由来の細胞にプラスミドを導入した細胞を用いることが好ましい。
<スクリーニング方法(細胞内)>
本発明は、VDRに結合性を示す物質の細胞内スクリーニング方法を包含する。本発明のスクリーニング方法は、本発明のプラスミドを導入した細胞を、形質転換細胞にDNAが含有されるルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素、並びに候補物質の共存下で培養し、培養中及び/又は培養後に発光を測定し、
発光量または強度の増減から、前記候補物質のVDRに対する結合性を評価して、VDRに結合性を示す物質を選択することを含む。
本発明のプラスミドを導入した細胞は、形質転換細胞にDNAが含有されるルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素、並びに候補物質の共存下で培養する。形質転換細胞にDNAが含有されるルシフェラーゼの基質は、ルシフェラーゼの種類に応じて適宜選択できる。ルシフェラーゼが、ホタルルシフェラーゼとクリックビートルルシフェラーゼの場合、基質はホタルルシフェリンであり、ウミシイタケルシフェラーゼ、ウミホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼの場合、基質は、セレンテラジンである。
候補物質は、限定される物ではなく、VDRに対する結合性を評価すべき化合物であれば、制限はない。例えば、ステロイド骨格を有する化合物を挙げることができる。ステロイド骨格を有する化合物以外に、脂肪酸類、脂溶性ビタミン類、又はポリフェノール類なども候補物質となり得る。但し、これらの物質に限定される意図ではない。
細胞の培養は、細胞の種類に応じて適宜決定できる。哺乳動物細胞を用いる場合には、常法に従い、細胞をシャーレ等に播種し、無血清培地あるいはウシ胎児血清を5〜10%含む市販の基本培地(MEM、DMEMなど)中で、5% CO2存在下、37℃でインキュベートすることにより、培養することができる。
細胞の培養中及び/又は培養後に発光を測定する。測定した発光量または強度の増減から、前記候補物質のVDRに対する結合性を評価して、VDRに結合性を示す物質を選択する。発光の測定は、例えば、マイクロプレートリーダーを用いて行うことができる。但し、これに限定される意図ではなく、既存の発光測定方法及び装置を適宜使用できる。
本発明のプラスミドを導入した細胞は、細胞内で本発明の融合タンパク質を発現し、この融合タンパク質は、VDRに対する結合性を有する物質の不存在下においてはN端ドメインとC端ドメインの距離が近くなり、ルシフェラーゼ活性を発揮し、ルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素が存在する場合には発光を示す。下記スキーム1の左側の状態。それに対して、VDRに対する結合性を有する物質、例えば、アゴニスト(活性型ビタミンDやその誘導体類)の存在下(右側の状態)では、アゴニストがVDRのビタミンD結合ドメインに結合すると、LBDのコンフォメーション変化が原因となり、N端ドメインとC端ドメインとの距離が離れ、ルシフェラーゼ活性を示さなくなり、ルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素が存在しても発光は観察されない。スキーム1はアゴニストを作用させた時の発光変化の模式図である。
上記のように、本発明のプラスミドを導入した細胞は、細胞内で本発明の融合タンパク質を発現し、この融合タンパク質は、VDRに対する結合性を有する物質の不存在下においてはN端ドメインとC端ドメインの距離が近くなり、ルシフェラーゼ活性を発揮し、ルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素が存在する場合には発光を示す。下記スキーム2の中央の状態。それに対して、VDRに対する結合性を有する物質、例えば、アンタゴニストの存在下では、アンタゴニストがVDRのビタミンD結合ドメインに結合すると、LBDのコンフォメーション変化が原因となり、N端ドメインとC端ドメインとの距離がより接近し、ルシフェラーゼ活性がより高まる。下記スキーム2の左側の状態。スキーム2はアゴニストとアンタゴニストを作用させた時の発光変化の模式図である。
測定した発光量または強度の増減からの候補物質のVDRに対する結合性の評価は、例えば、候補物質の非存在下における発光をコントロールとして、それとの比をとることで行うことができる。尚、候補物質は単独でも複数の組合せでもよく、複数の組合せる場合、何れも、アゴニストあるいはアンタゴニストであることが知られていない物質の組合せでも、既存のアゴニストあるいはアンタゴニストと機能が知られていない物質との組合せでもよい。
本発明の融合タンパク質を発現させた細胞にアゴニスト(活性型ビタミンDやその誘導体類)を投与すると、発光が減少することから、発光の減少≒アゴニストがビタミンD結合領域に結合と考えられる。一方、アンタゴニスト(NS-4)を投与すると、発光が増加することから、この場合も、発光の増加≒アンタゴニストがビタミンD結合領域に結合と考えられる。従って、スクリーニングの結果、発光の減少を起こすような物質があった場合、その化合物はアゴニストの候補になり、逆に、発光の増加を起こすような物質があった場合、その化合物はアンタゴニストの候補となる。実施例においては、ステロイド骨格を有するアゴニストおよびアンタゴニストについての結果を示す。しかし、ステロイド骨格を持たない化合物においても、結合性を示す物質が存在する可能性はある。
下記に示した構造を見ると、ステロイド骨格を有する化合物の例を示す。これらの中で、実施例に示すように、VD3やVD2は発光の減少を起こさないが、OH基が1つ(25(OH)D3、25(OH)D2)または2つ(1α,25(OH)2D3、1α,25(OH)2D2)付くだけで、著しく発光の減少を起こす。このことから、構造が似ていても発光が減少しない(ビタミンD結合領域に結合しない)場合もあるが、逆に構造がかなり異なっていても結合できる場合もあることから、本発明のスクリーニング方法により、新規なアゴニストおよびアンタゴニストが見出される可能性は高い。
<スクリーニング方法(in vitro)>
本発明は、VDRに結合性を示す物質のスクリーニング方法であって、スクリーニングに細胞を用いないin vitroスクリーニング方法も包含する。本発明のin vitroスクリーニング方法は、本発明の融合タンパク質を、ルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素、並びに候補物質の共存下で作用させて、作用中及び/又は作用後に発光を測定し、
発光量または強度の増減から、前記候補物質のVDRに対する結合性を評価して、VDRに結合性を示す物質を選択することを含む。
本発明のin vitroスクリーニング方法は、本発明のプラスミドを導入した細胞を培養する代りに、本発明の融合タンパク質を用い、融合タンパク質を作用させること以外は、前記本発明の細胞内スクリーニング方法と同様に実施できる。融合タンパク質を作用させる条件は、融合タンパク質が含有するルシフェラーゼの種類に応じて、ルシフェラーゼの活性に適した条件から、適宜選択することができる。融合タンパク質を用いるin vitroスクリーニング方法の方が、細胞の培養が不要なため、アッセイに要する時間は短時間になる。
融合タンパク質の作用中及び/又は作用後に発光を測定する。測定した発光量または強度の増減から、前記候補物質のVDRに対する結合性を評価して、VDRに結合性を示す物質を選択する。発光の測定は、例えば、マイクロプレートリーダーを用いて行うことができる。但し、これに限定される意図ではなく、既存の発光測定方法及び装置を適宜使用できる。
本発明の融合タンパク質は、VDRに対する結合性を有する物質の不存在下においてはN端ドメインとC端ドメインの距離が近くなり、ルシフェラーゼ活性を発揮し、ルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素が存在する場合には発光を示す(前記スキーム2の中央の状態(スキーム2はアゴニストとアンタゴニストを作用させた時の発光変化の模式図である。))。それに対して、VDRに対する結合性を有する物質がアゴニスト(活性型ビタミンDやその誘導体類)の場合、この物質存在下(スキーム2の右側の状態)では、アゴニストがVDRのビタミンD結合ドメインに結合すると、LBDのコンフォメーション変化が原因となり、N端ドメインとC端ドメインとの距離が離れ、ルシフェラーゼ活性を示さなくなり、ルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素が存在しても発光は観察されない。一方、VDRに対する結合性を有する物質がアンタゴニストの場合、この物質存在下では、アンタゴニストがVDRのビタミンD結合ドメインに結合すると、LBDのコンフォメーション変化が原因となり、N端ドメインとC端ドメインとの距離がより接近し、ルシフェラーゼ活性がより高まる(前記スキーム2の左側の状態)。これらのメカニズムは、前記で説明した細胞を用いる場合と実質的に同じである。
本発明の細胞内スクリーニング方法においては、前記形質転換細胞に導入されたプラスミドが含有するビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列をコードするDNAが、前記ビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列が変異を有するものであることができる。本発明のin vitroスクリーニング方法においては、前記融合タンパク質が含有するビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列が変異を有するものであることができる。ビタミンD結合ドメインに変異を有する融合タンパク質を発現させ、これに基づく発光を計測することで、前記アミノ酸配列の変異と疾患との関係から、前記疾患に関与する変異を有するビタミンD結合ドメインに特異的に結合する候補物質をスクリーニングすることもできる。
例えば、くる病患者に見られる変異は、ビタミンD結合領域に存在し、活性型ビタミンDと受容体の親和性を低下させるという報告がある。過去の報告によれば、ビタミンD結合領域内に存在するR274Lの変異は、ビタミンD受容体への親和性が健常者の約1/1000になると報告されている。このような変異を持つタイプのバイオセンサー(LucC-LBD-LucN R274L)を用いて化合物スクリーニングを行い、もし、発光を減少させるような化合物がヒットすれば、変異を持っていても受容体に結合する化合物であるという解釈ができる。くる病患者に効く治療薬開発のための化合物スクリーニングとして使うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
例1 ヒトVDR遺伝子のクローニング
ヒト急性単球性白血病由来のTHP-1細胞からtRNAを抽出し、逆転写して合成したcDNAを鋳型とし、プライマー1および2(配列番号1および2)を用い、PCRによってヒトVDRを増幅した。PCRは、反応1(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 1分、30サイクル;鋳型DNA 10 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、 KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。PCR産物 1μLを1%アガロースゲルにより電気泳動した結果、目的の位置(約1.3 kb)に特異的な増幅が認められた(以下、1% アガロースゲルでの電気泳動は、単に電気泳動と略称する)。電気泳動による目的断片の増幅確認後、Zero blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen)の取り扱い説明書に従い、PCR産物をpCR Blunt II-TOPO ベクターにクローニングし、塩化カルシウム法により大腸菌HST08株を形質転換し、カナマイシン 30μg/mLを含むLB寒天培地(ポリペプトン 10 g、イーストエキストラクト 5 g、NaCl 5 gおよび寒天15 gを蒸留水1 Lに溶解)に塗布した。得られた大腸菌コロニーのうち数個を選択し、2 mLのLB液体培地(カナマイシン30μg/mL含有)に植菌し、37℃、200 rpmで16時間振盪培養を行った。その後、QIAprep Spin Miniprep Kit (QIAGEN)を用いてプラスミドを抽出し、プラスミド濃度を260 nmの吸光度を用いて測定し、鋳型DNAとした。サイクルシークエンス反応は、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystems)を用いて行った。配列解析の結果、ヒトのVDRをコードする遺伝子であることが確認できた。このプラスミドをpCR-Blunt II-TOPO-hVDRと命名した。
配列番号1:3'-AATTCTCGAGATGGAGGCAATGGCGGCCAGCACTTC-5'
配列番号2:3'-ATATGCGGCCGCTCAGGAGATCTCATTGCCAAACAC-5'
例2 LucN-LBD-LucC遺伝子の作製
例1で作製したpCR-Blunt II-TOPO-hVDRを鋳型とし、プライマー3および4(配列番号3および4)を用い、PCRによってLBD(hVDRのリガンド結合領域)を増幅した。また、Luc2(ホタルルシフェラーゼ)をコードするpGL4.31(Promega)ベクターを鋳型にし、プライマー5および6(配列番号5および6)、プライマー7および8(配列番号7および8)を用い、LucN(Luc2 1-1246 bp)、LucC(Luc2 1247-1650 bp)をPCRでそれぞれ増幅した。PCRは反応2(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 30秒、30サイクル;鋳型DNA 10 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。各PCR産物(LucN、LBD、LucC)1μLを電気泳動で増幅確認後、PCR産物各20 ngを混合したものと、プライマー5および8(配列番号5および8)を用い、オーバーラップPCR法によってLucN、LBD、LucCを連結した。PCRは反応3(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 1分30秒、30サイクル;PCR産物各 20 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。)PCR産物を電気泳動し、目的の位置(約2.2 kb)に特異的な増幅が認められた。PCR産物は、上述の方法により、pCR Blunt II-TOPOベクターにクローニングし、シークエンス解析後のプラスミドDNAをpCR Blunt II-TOPO-LucN-LBD-LucCと命名した。
配列番号3:3'-TACAAACGCTCTCATCGACAAGGACCGGCCCAAGCTGTCTGAGGAGCAGC-5'
配列番号4:3'-CGATGTCGCCGCTGTGCAGCCAGCCGGAGATCTCATTGCCAAACACTTCG-5'
配列番号5:3'-AATTCTCGAGATGGAAGATGCCAAAAACATTAAG-5'
配列番号6:3'-GCTGCTCCTCAGACAGCTTGGGCCGGTCCTTGTCGATGAGAGCGTTTGTA-5'
配列番号7:3'-CGAAGTGTTTGGCAATGAGATCTCCGGCTGGCTGCACAGCGGCGACATCG-5'
配列番号8:3'-ATATGCGGCCGCTTACACGGCGATCTTGCCGCCCTTCTTG-5'
例3 LucC-LBD-LucN遺伝子の作製
例1で作製したpCR-Blunt II-TOPO-hVDRを鋳型とし、プライマー9および10(配列番号9および10)を用い、PCRによってLBD(VDRのリガンド結合領域)を増幅した。また、Luc2(ホタルルシフェラーゼ)をコードするpGL4.31(Promega)ベクターを鋳型にし、プライマー11および12(配列番号11および12)、プライマー13および14(配列番号13および14)を用い、LucC(Luc2 1247-1650 bp)、LucN(Luc2 1-1246 bp)をPCRでそれぞれ増幅した。PCRは反応2(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 30秒、30サイクル;鋳型DNA 10 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、 KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。各PCR産物(LucC、LBD、LucN)1μLを電気泳動で増幅確認後、PCR産物各20 ngを混合したものと、プライマー11および14(配列番号11および14)を用い、オーバーラップPCR法によってLucC、LBD、LucNを連結した。PCRは反応3(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 1分30秒、30サイクル;PCR産物各 20 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。)PCR産物を電気泳動し、目的の位置(約2.2kb)に特異的な増幅が認められた。PCR産物は、上記の方法により、pCR Blunt II-TOPOベクターにクローニングし、シークエンス解析後のプラスミドDNAをpCR Blunt II-TOPO-LucC-LBD-LucNと命名した。
配列番号 9:3'-CCAAGAAGGGCGGCAAGATCGCCGTGCGGCCCAAGCTGTCTGAGGAGCAG-5'
配列番号10:3'-CTTCTTAATGTTTTTGGCATCTTCGGAGATCTCATTGCCAAACACTTCGA-5'
配列番号11:3'-AATCTCGAGATGGGCTGGCTGCACAGCGGC-5'
配列番号12:3'-GCTGCTCCTCAGACAGCTTGGGCCGCACGGCGATCTTGCCGCCCTTCTTG-5'
配列番号13:3'-TCGAAGTGTTTGGCAATGAGATCTCCGAAGATGCCAAAAACATTAAGAAG-5'
配列番号14:3'-TAAGCGGCCGCTTAGTCCTTGTCGATGAGAGCGTTTGTAG-5'
例4 VDRリガンドを検出するLucN-LBD-LucCおよびLucC-LBD-LucNバイオセンサーを哺乳動物細胞で発現させるためのベクターの作製
例2および3で作製したpCR Blunt II-TOPO-LucN-LBD-LucCおよびpCR Blunt II-TOPO-LucC-LBD-LucNプラスミドDNA各約1μgを各3 Uの制限酵素XhoIおよびNotIで処理(37℃、1時間)し、電気泳動を行った。約2.2 kbのDNA断片を、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いてアガロースゲルから抽出・精製し、インサート断片(LucN-LBD-LucCおよびLucC-LBD-LucN)とした。哺乳動物細胞で発現させるためのpEBMulti-neoベクター(Wako)約1μgを各3 Uの制限酵素XhoIおよびNotIで処理(37℃、1時間)後、Calf Intestinal Alkaline Phosphatase(TaKaRa)で切断末端を脱リン酸化処理し、エタノール沈殿によって精製したものをベクター断片とした。インサート断片とベクター断片はモル比が3:1〜10:1程度になるように混合し、等量のLigation High Ver.2(TOYOBO)を加え、16℃、1時間の反応を行った。その後、塩化カルシウム法により大腸菌HST08株を形質転換し、カナマイシン 30μg/mLを含むLB寒天培地に塗布した。得られた大腸菌コロニーのうち数個を選択し、2 mLのLB液体培地(カナマイシン30 (g/mL含有)に植菌し、37℃、200 rpmで16時間振盪培養を行った。その後、QIAprep Spin Miniprep Kit (QIAGEN)を用いてプラスミドを抽出し、その一部を3 Uの制限酵素XhoIとNotIで処理し、電気泳動によってインサートの導入を確認した。得られたプラスミドDNAを、それぞれpEBMulti-neo-LucN-LBD-LucC、pEBMulti-neo-LucC-LBD-LucNと命名した。以降の実験では、これらの構造物をVDRリガンド検出バイオセンサーまたは単にバイオセンサーと呼ぶ(化4)。
例5 変異型バイオセンサーの作製
VDRリガンド検出バイオセンサーのLBD内に様々な変異(R274L、D299A、R391C、E420K)を有する変異型バイオセンサーを開発するために、PCR法によって変異を挿入した。pCR Blunt II-TOPO-LucC-LBD-LucN ベクターを鋳型にし、R274L変異体作製には、プライマー15および16(配列番号15および16)、D299A変異体作製には、プライマー17および18(配列番号17および18)、R391C変異体作製には、プライマー19および20(配列番号19および20)、E420K変異体作製には、プライマー21および22(配列番号21および22)を用いた。PCRは、反応4(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 3分30秒、16サイクル;鋳型DNA 10 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。PCR産物に、制限酵素DpnI 5Uを加えて37℃で3時間処理後、エタノール沈殿により精製し、5μLの超純水に溶解した。その後、塩化カルシウム法により大腸菌HST08株を形質転換し、カナマイシン 30μg/mLを含むLB寒天培地に塗布した。得られた大腸菌コロニーのうち数個を選択し、2 mLのLB液体培地(カナマイシン30μg/mL含有)に植菌し、37℃、200 rpmで16時間振盪培養を行った。その後、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドを抽出し、得られたプラスミドDNAはシークエンスにより配列を確認後、例4と同様の方法で、pEBMulti-neo ベクターのXhoIとNotIサイトにそれぞれクローニングした。完成後のベクターは、pEBMulti-neo-LucC-LBD(R274L)-LucN、pEBMulti-neo-LucC-LBD(D299A)-LucN、pEBMulti-neo-LucC-LBD(R391C)-LucN、pEBMulti-neo-LucC-LBD(E420K)-LucNと命名した(化5)これらを総称して変異型バイオセンサーと呼ぶ。
配列番号15:3'-CATCATGTTGCTCTCCAATGAGTCCTTCAC-5'
配列番号16:3'-ACTCATTGGAGAGCAACATGATGACCTCAATG-5'
配列番号17:3'-CGTCAGTGACGTGCCCAAAGCCGGAC-5'
配列番号18:3'-TGGTCACGGCACTGACGCGGTACTTG-5'
配列番号19:3'-CCGACCTGTGCAGCCTCAATGAGGAGC-5'
配列番号20:3'-TGAGGCTGCACAGGTCGGCTAGCTTCTG-5'
配列番号21:3'-CTTGTGCTCAAAGTGTTTGGCAATGAG-5'
配列番号22:3'-CAAACACTTTGAGCACAAGGGGCGTTAGC-5'
例6 COS-7細胞へのVDRリガンド検出バイオセンサーの遺伝子導入
アフリカミドリザルの腎臓由来のCOS-7細胞を10 % FBSを含むDMEM培地(フェノールレッド含有)に懸濁し、0.7〜1.0×106個の細胞を10 cmの培養皿に播種した。その後、5 % CO2、37℃で24時間培養後、リポフェクション法でCOS-7細胞内に遺伝子導入を行った。VDRリガンド検出バイオセンサーをコードするプラスミドDNA(pEBMulti-neo-LucN-LBD-LucC、pEBMulti-neo-LucC-LBD-LucN、 pEBMulti-neo-LucC-LBD(R274L)-LucN、pEBMulti-neo-LucC-LBD (D299A) -LucN、pEBMulti-neo-LucC-LBD(R391C)-LucN、pEBMulti-neo-LucC-LBD(E420K) -LucN)10μgを1 mlのOpti-MEM培地に懸濁し、DNA溶液とした。別のチューブに20μLのLipofectamine 2000 Transfection Reagent(Invitrogen)と1 mlのOpti-MEM培地を懸濁し、準備しておいたDNA溶液と混和させて室温で20分静置した後、細胞に滴下した。細胞は、5 % CO2、37℃で24時間培養した。
例7 96ウェルプレートへのプレーティング
遺伝子導入してから24時間後、培地を除去し、1×PBSで細胞を洗浄した。細胞をトリプシン処理によって剥がし、15 mLのコニカルチューブに回収後、500 rpmで3分間の遠心分離を行った。上清を除去した後、10 % CS-FBS(ホルモン類非含有血清)を含むDMEM(フェノールレッド非含有培地)に懸濁した細胞を、1ウェルあたり1.0×104個の細胞数で播種し、5 % CO2、37℃で24時間培養した。
例8 VDRリガンド検出バイオセンサー発現細胞におけるルシフェラーゼ発光測定
遺伝子導入してから48時間後、終濃度0.5 mM D-Luciferin Monosodium Salt(Thermo Scientific)を含むL-15培地(フェノールレッド非含有)に培地交換し、室温で30〜60分静置した。VDRリガンド(アゴニストまたはアンタゴニスト)投与前を0分とし、各ウェルにVDRリガンドを投与してから経時的に発光測定を行った。VDRリガンドの溶媒として用いているエタノール(EtOH)の持ち込みは、終濃度0.1%とした。発光測定の機器には、マイクロプレートリーダーInfinite 200 Pro(TECAN)を用いた。また、VDRリガンド投与後のルシフェラーゼの発光量変化の原理は下に示した。
例9 LucN-LBD-LucCおよびLucC-LBD-LucNバイオセンサーの性能比較
LucN-LBD-LucCまたはLucC-LBD-LucNバイオセンサーを発現させたCOS-7細胞を用いて25D3または1α,25D3を各濃度で投与してから120分間の発光変化量を比較した。発光変化量は、25D3または1α,25D3投与後120分時点での発光量を25D3または1α,25D3投与前の発光量で割って得られた値とした。LucN-LBD-LucCバイオセンサーは投与後の発光量は約60%減少したが(図1A)、LucC-LBD-LucNバイオセンサーは約80%減少した(図1B)。従って、LucC-LBD-LucNバイオセンサーのほうが25D3または1α,25D3検出時の発光減少量が大きいため、以降の実験ではこのバイオセンサーを基に用いることとした。
例10 LucC-LBD-LucNバイオセンサー発現細胞を用いた天然型ビタミンDの検出
LucC-LBD-LucNバイオセンサーを発現させたCOS-7細胞を用い、天然型ビタミンD投与前の発光測定を行った後、天然型ビタミンD(VD2、VD3、25D2、25D3、1α,25D2、1α,25D3)を1、10、100、1000 nMの濃度で各ウェルに投与し、120分後に発光測定を行った。天然型ビタミンD投与後120分時点での発光量を天然型ビタミンD投与前の発光量で割り、算出した値を120分間における発光変化量とした。VD2(図2)およびVD3(図3)を投与しても、濃度依存的な発光量の減少は起こらなかった。それに対し、25D2、25D3、1α,25D2、1α,25D3を投与すると、濃度依存的に発光量が減少した。特に、1000 nMの濃度で作用させた場合は、LucC-LBD-LucNバイオセンサーの発光量が約80%減少した。100 nM の濃度で作用させた場合、25D2および25D3は発光量の減少は約40〜50%であったが、1α,25D2および1α,25D3は約80%減少した。従って、1α,25D2および1α,25D3は25D2および25D3よりも親和性が高いものと考えられる。
例11 LucC-LBD-LucNバイオセンサー発現細胞を用いたビタミンD誘導体類の検出
LucC-LBD-LucNバイオセンサーを発現させたCOS-7細胞を用い、ビタミンD誘導体類投与前の発光測定を行った後、ビタミンD誘導体類(MART-10、ED-71、AH-1、MM-1、O1C3、O2C3、)を下図4-AおよびBに示した濃度で投与し、120分後の発光測定を行った。ビタミンD誘導体類投与後120分時点での発光量をビタミンD誘導体類投与前の発光量で割り、算出した値を120分間における発光変化量とした。LucC-LBD-LucNバイオセンサーの発光量は、ビタミンD誘導体類の濃度依存的に減少した。その中でも、MART-10、AH-1、O1C3、O2C3については、10 nMでも発光量が約40%減少した。
例12 LBDに変異を持つLucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いたVDRリガンドの検出
様々な変異(R274L、D299A、R391C、E420K)を含むLucC-LBD-LucNバイオセンサーを発現させたCOS-7細胞を用い、VDRリガンド投与前の発光測定を行った後、25D3および1α,25D3を10、100、1000 nMの濃度で各ウェルに投与し、120分間における発光変化量を算出した(図5)。R274L型の変異は、くる病患者に認められる変異の一つであり、1α,25D3のLBDへの親和性が約1/1000以下に低下することが報告されている(非特許文献5)。100 nMの1α,25D3を投与すると、変異を含まないLucC-LBD-LucNバイオセンサーの発光量は約80%減少したが、LucC-LBD-LucN R274Lバイオセンサーの発光量は減少しなかった。
D299A型の変異は、活性型ビタミンDのLBDへの親和性が約1/1000以下に低下するような人工的な変異であることが報告されている(非特許文献6)。100 nM の1α,25D3を投与すると、LucC-LBD-LucN R299Aバイオセンサーの発光量は約20%減少した。一方、25D2や25D3を1000 nMで投与しても発光量が減少しなかった。従って、LucC-LBD-LucN R299AバイオセンサーはLucC-LBD-LucNバイオセンサーに比べてVDRリガンドのLBDへの親和性が低下したと考えられる。
R391C型の変異は、くる病患者に認められる変異の一つであり、活性型ビタミンDのLBDへの親和性は正常であるが、共因子であるRXRaとの相互作用を阻害する変異であることが報告されている(非特許文献6)。例10(図5および6)で示した結果同様、1α,25D2および1α,25D3の濃度依存的に発光量が減少した。100 nMの濃度で投与した場合は、変異を持たないバイオセンサーと同様に、発光量は約80%減少した。
E420K型の変異は、くる病患者に認められる変異の一つであり、活性型ビタミンDのLBDへの親和性および共因子であるRXRaとの相互作用は正常であるが、転写活性化因子群との結合を阻害する変異であることが報告されている(非特許文献6)。例10(図2および3)で示した結果同様、1α,25D2および1α,25D3の濃度依存的に発光量が減少した。
例13 LucN-LBD-LBD-LucC改良型バイオセンサーの作製
LucN-LBD-LucCバイオセンサー内のLBDを2分子持つ改良型バイオセンサーを作製するために、pCR Blunt II-TOPO-LucN-LBD-LucCを鋳型にし、プライマー23(配列番号23)および24(配列番号24)を用いLucN-LBD断片(約2.1 kb)、また、プライマー25(配列番号25)および26(配列番号26)を用いLBD-LucC断片(約1.3 kb)をそれぞれPCRで増幅した。PCRは、反応3(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 1分30秒、16サイクル;鋳型DNA 10 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。各PCR産物(LucN-LBDおよびLBD-LucC)1μLを電気泳動で増幅確認後、PCR産物各20 ngを混合したものと、プライマー23および26(配列番号23および26)を用い、オーバーラップPCR法によってLucN-LBDおよびLBD-LucCを連結した。PCRは反応5(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 2分、30サイクル;PCR産物各 20 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、 KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。)PCR産物を電気泳動し、目的の位置(約3.4 kb)に特異的な増幅が認められた。PCR産物は、エタノール沈殿により精製後、超純水に溶解した。各3Uの制限酵素XhoIおよびNotIで処理(37℃、1時間)後、再度エタノール沈殿により精製し、超純水に溶解したものをインサート断片(LucN-LBD-LBD-LucC)とした。インサート断片は、例4と同様の方法で、pEBMulti-neo ベクターのXhoIとNotIサイトにそれぞれクローニングした。完成後のベクターは、シーケンス解析によって配列の確認後、pEBMulti-neo-LucN-LBD-LBD-LucCと命名した(下記改良型バイオセンサーの構造のA参照)。
配列番号23:
M13 rev 5'- CAGGAAACAGCTATGAC -3'
配列番号24:
5'-GCGATGTCGCCGCTGTGCAGCCAGCCGGAGATCTCATTGCCAAACACTTCGAG-3'
配列番号25:
5'-CTCGAAGTGTTTGGCAATGAGATCTCCCGGCCCAAGCTGTCTGAGGAGCAGC-3'
配列番号26:
M13 for 5'- GTAAAACGACGGCCAGTG-3'
例14 LucC-LBD-LBD-LucN改良型バイオセンサーの作製
LucC-LBD-LucN内のLBDを2分子持つ改良型バイオセンサーを作製するために、pCR Blunt II-TOPO-LucC-LBD-LucNを鋳型にし、プライマー26(配列番号26)および24(配列番号24)を用いLucC-LBD断片(約1.3 kb)、また、プライマー25(配列番号25)および23(配列番号23)を用いLBD-LucN断片(約2.1 kb)をそれぞれPCRで増幅した。PCRは、反応3(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 1分30秒、16サイクル;鋳型DNA 10 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。各PCR産物(LucC-LBDおよびLBD-LucN)1μLを電気泳動で増幅確認後、PCR産物各20 ngを混合したものと、プライマー23および26(配列番号23および26)を用い、オーバーラップPCR法によってLucC-LBDおよびLBD-LucNを連結した。PCRは反応5(94℃ 2分後、98℃ 10秒、56℃ 30秒、68℃ 2分、30サイクル;PCR産物各 20 ng、MgSO4 1.5 mM、dNTPs 0.2 mM、 KOD-plus neo-DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x PCR Buffer for KOD plus neo)、プライマー各 0.3μM、最終液量20μLの条件で行った。)PCR産物を電気泳動し、目的の位置(約3.4 kb)に特異的な増幅が認められた。PCR産物は、エタノール沈殿により精製後、超純水に溶解した。各3Uの制限酵素XhoIおよびNotIで処理(37℃、1時間)後、再度エタノール沈殿により精製し、超純水に溶解したものをインサート断片(LucC-LBD-LBD-LucN)とした。インサート断片は、例4と同様の方法で、pEBMulti-neo ベクターのXhoIとNotIサイトにそれぞれクローニングした。完成後のベクターは、シーケンス解析によって配列の確認後、pEBMulti-neo-LucC-LBD-LBD-LucNと命名した(下記改良型バイオセンサーの構造のB参照)。
例15 改良型バイオセンサーを用いたVDRリガンドの検出
改良型バイオセンサー(pEBMulti-neo-LucN-LBD-LBD-LucCおよびpEBMulti-neo-LucC-LBD-LBD-LucN)を例6〜8に記載した方法で発現させたCOS-7細胞を用い、種々のビタミンD投与前の発光測定を行った後、以下に示す種々のビタミンD(VD2、VD3、25D2、25D3、1α,25D2、1α,25D3)を10、100、1000 nMの濃度で各ウェルに投与し、120分後に発光測定を行った。種々のビタミンD投与後120分時点での発光量を種々のビタミンD投与前の発光量で割り、算出した値を120分間における発光変化量とした。LucN-LBD-LBD-LucCおよびLucC-LBD-LBD-LucNバイオセンサー共に、VD2およびVD3を投与しても発光量は減少しなかったが、25D2、25D3、1α,25D2、1α,25D3を投与すると、濃度依存的に発光量が減少した(図6A-B)。種々のビタミンD投与後のLucN-LBD-LBD-LucCおよびLucC-LBD-LBD-LucNバイオセンサーの発光量について比較すると、LucN-LBD-LBD-LucCバイオセンサーは約80%減少したのに対し、LucC-LBD-LBD-LucNバイオセンサーは約90%減少した。また、例4で作製したLucC-LBD-LucNバイオセンサーでは、10 nMの1α,25D3を投与した場合の発光減少量は約30%であったが、LucC-LBD-LBD-LucNバイオセンサーでは発光減少量は約60%であった。以上のことから、LBDを2分子有するLucC-LBD-LBD-LucNバイオセンサーは、発光変化量が大きく、検出感度にも優れていることが示唆された。
実験に用いたアゴニスト(ビタミンDおよび誘導体類)の構造式
例16 LucC-LBD-LucNバイオセンサーを用いたVDRリガンドの検出
アゴニスト(1α,25D3)を用いた場合とアンタゴニスト(NS-4)を作用させた場合の結果を図7に示す。アンタゴニスト(NS-4)を作用させた場合には、発光強度が濃度依存的に増加していることが分かる。
例2-1.LucC-LBD-LucNをin vitroで発現させるためのプラスミド構築
例4で作製したpEBMulti-neo-LucC-LBD-LucNプラスミドDNA 約1μgを各3 Uの制限酵素KpnIおよびNotIで処理(それぞれ37℃、1時間)し、電気泳動を行った。約2.2 kbのDNA断片を、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いてアガロースゲルから抽出・精製し、インサート断片(LucC-LBD-LucN)とした。TNT SP6 High-Yield Wheat GermProtein Expression System (Promega)を用いて、LucC-LBD-LucNタンパク質をin vitroで発現させるために、pCR Blunt II-TOPO vector約1μgを各3 Uの制限酵素KpnIおよびNotIで処理(それぞれ37℃、1時間)後、Calf Intestinal Alkaline Phosphatase(TaKaRa)で切断末端を脱リン酸化処理し、エタノール沈殿によって精製したものをベクター断片とした。インサート断片とベクター断片はモル比が3:1〜10:1程度になるように混合し、等量のLigation High Ver.2(TOYOBO)を加え、16℃、1時間の反応を行った。その後、塩化カルシウム法により大腸菌HST08株を形質転換し、カナマイシン 30μg/mLを含むLB寒天培地に塗布した。得られた大腸菌コロニーのうち数個を選択し、2 mLのLB液体培地(カナマイシン30μg/mL含有)に植菌し、37℃、200 rpmで16時間振盪培養を行った。その後、QIAprep Spin Miniprep Kit (QIAGEN)を用いてプラスミドを抽出し、その一部を3 Uの制限酵素KpnIとNotIで処理し、電気泳動によってインサートの導入を確認した。得られたプラスミドDNAを鋳型とし、KOD plus Mutagenesis Kit(TOYOBO)の方法に従い、プライマー40および41(配列番号40および41)を用いPCRを行った。PCRは、反応1(94℃ 2分後、98℃ 10秒、68℃ 6分30秒、12サイクル;鋳型DNA 10 ng、dNTPs 0.2 mM、KOD-plus DNA polymerase (TOYOBO) 1 U、10 x Buffer for iPCR)、プライマー各 0.3μM、最終液量10μLの条件で行った。PCR産物に、制限酵素DpnI 5 Uを加えて37℃で3時間処理後の1μLとT4 Polynucleotide kinase 0.5μ(L, Ligation high 2.5μLを混和し16℃で1時間の反応を行った。その後、塩化カルシウム法により大腸菌HST08株を形質転換し、カナマイシン 30μg/mLを含むLB寒天培地(ポリペプトン 10 g、イーストエキストラクト 5 g、NaCl 5 gおよび寒天15 gを蒸留水1 Lに溶解)に塗布した。得られた大腸菌コロニーのうち数個を選択し、2 mLのLB液体培地(カナマイシン30μg/mL含有)に植菌し、37℃、200 rpmで16時間振盪培養を行った。その後、QIAprep Spin Miniprep Kit (QIAGEN)を用いてプラスミドを抽出し、プラスミド濃度を260 nmの吸光度を用いて測定し、鋳型DNAとした。サイクルシークエンス反応は、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystems)を用いて行った。配列解析の結果、SP6プロモーター配列の下流にLucC-LBD-LucNがコードされていることが確認できた。このプラスミドをpCR-Blunt II-TOPO-SP6-LucC-LBD-LucNと命名した(下記参照)。
配列番号40:3’-GACCACCATGGGCTGGCTGCACAGCGGCGACATC-5’
配列番号41:3’-TGTTCTATAGTGTCACCTAAATAGCTTG-5’
例2-2.In vitro翻訳系を用いたLucC-LBD-LucNタンパク質の合成
TNT SP6 High-Yield Wheat GermProtein Expression System (Promega)を用いてin vitroでのタンパク質合成を行う。例2-1で作製したpCR-Blunt II-TOPO-SP6-LucC-LBD-LucN ベクター約10μgとTNT SP6 High-Yield Wheat Germ Master Mix 30μLを混和し、超純水で最終容量を50μLとした後、25℃で2時間の反応を行った。合成したタンパク質は-80℃で保存した。
例2-3 In vitro系におけるLucC-LBD-LucNを用いたビタミンD受容体リガンドの検出
例2-2で合成したLucC-LBD-LucNタンパク質(10-100 ng/μL)を25 mM Tris-HCl(pH 7.5)に懸濁し、タンパク質溶液とした。タンパク質溶液中のLucC-LBD-LucNタンパク質の濃度は0.5-5 ng/μLとした。次にLuciferase assay溶液(25 mM Tris-HCl(pH 7.5)、10 mM MgSO4、2 mM D-luciferin、2 mM ATP)を作製した。タンパク溶液20μLに、ビタミンD受容体リガンド(25D3, 1,25D3または NS-4)を添加し、室温で5分間の反応を行った。その後、20μLのLuciferase assay溶液を加えて混和し、マイクロプレートリーダーInfinite 200 Pro(TECAN)を用いて発光測定を行った。ビタミンD受容体リガンドは最終濃度0.01-1000 nM、溶媒として用いているエタノール(EtOH)の持ち込みは、終濃度1%になるように加えた。ビタミンD受容体リガンド添加後5分経過時の発光強度の相対値を図21に示す。その結果、COS-7細胞を用いて行った実験系と同様に、アゴニスト添加後には濃度依存的に発光量が減少し、アンタゴニスト添加後は、濃度依存的に発光量が増加した。COS-7細胞を用いた系では、検出までに約90分を要するが、in vitroの系では、約5分で同様の変化量を示した。
本発明は、VDRのビタミンD結合ドメインに対する結合性を有する物質の検出及び探索に関連する分野において有用である。
配列番号1〜26:PCR用プライマー
配列番号27: <ホタルルシフェラーゼ遺伝子配列>
配列番号28: <ホタルルシフェラーゼアミノ酸配列>
配列番号29: <ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子配列>
配列番号30: <ウミシイタケルシフェラーゼアミノ酸配列>
配列番号31: <ヒトビタミンD受容体塩基配列>
配列番号32:<ヒトビタミンD受容体アミノ酸配列>
配列番号33: <マウスビタミンD受容体塩基配列>
配列番号34:<マウスビタミンD受容体アミノ酸配列>
配列番号35: <ラットビタミンD受容体塩基配列>
配列番号36:<ラットビタミンD受容体アミノ酸配列>
配列番号37:<サルビタミンD受容体アミノ酸配列>
配列番号38:<イヌビタミンD受容体アミノ酸配列>
配列番号39:<ウシビタミンD受容体アミノ酸配列>
配列番号40〜41:PCR用プライマー

Claims (21)

  1. ルシフェラーゼのN端ドメイン、ビタミンD受容体(以下、VDRと表記する)のビタミンD結合ドメインを少なくとも1個、及びルシフェラーゼのC端ドメインからなり、少なくとも1個のVDRはルシフェラーゼのN端ドメインとルシフェラーゼのC端ドメインとの間にある融合タンパク質。
  2. ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、クリックビートルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、ウミホタルルシフェラーゼ、及びガウシアルシフェラーゼルシフェラーゼから成る群から選ばれる請求項1に記載の融合タンパク質。
  3. ホタルルシフェラーゼは、配列表の配列番号28で示されるアミノ酸配列を有し、
    N端ドメインは、1番から415番までのアミノ酸配列を有し、C端ドメインは、416番から550番までのアミノ酸配列を有する請求項に記載の融合タンパク質。
  4. ウミシイタケルシフェラーゼは、配列表の配列番号30で示されるアミノ酸配列を有し、
    N端ドメインは、1番から229番までのアミノ酸配列を有し、C端ドメインは、230番から311番までのアミノ酸配列を有する請求項に記載の融合タンパク質。
  5. VDRは、ヒト、マウス、ラット、サル、イヌ、またはウシのVDRである請求項1に記載の融合タンパク質。
  6. ヒトVDRは、配列表の配列番号32で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から427番までのアミノ酸配列を有し、R158C、C190W、L227P、L233S、△K246、F251C、Q259P、Q259E、L263R、R274L、R274H、W286R、H305Q、I314S、G319V、E329K、V346M、R391C、E420K、及びE420Aから成る群から選ばれる少なくとも1種の変異を有することができる、請求項5に記載の融合タンパク質。
  7. マウスVDRは、配列表の配列番号34で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から422番までのアミノ酸配列を有し、R158C、L227P、L233S、△K241、F246C、Q254P、Q254E、L258R、R269L、R269H、W281R、H300Q、I309S、G314V、E324K、V331M、R386C、E415K、及びE415Aから成る群から選ばれる少なくとも1種の変異を有することができる、請求項5に記載の融合タンパク質。
  8. ラットVDRは、配列表の配列番号36で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から423番までのアミノ酸配列を有し、R158C、L227P、L233S、△K242、F247C、Q255P、Q255E、L259R、R270L、R270H、W282R、H301Q、I310S、G315V、E325K、V332M、R387C、E416K、及びE416Aから成る群から選ばれる少なくとも1種の変異を有することができる、請求項5に記載の融合タンパク質。
  9. サルVDRは、配列表の配列番号37で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から434番までのアミノ酸配列を有し、R165C、L234P、L240S、△K253、F258C、Q266P、Q266E、L270R、R281L、R281H、W293R、H312Q、I321S、G326V、E336K、V343M、R398C、E427K、及びE427Aから成る群から選ばれる少なくとも1種の変異を有することができる、請求項5に記載の融合タンパク質。
  10. イヌVDRは、配列表の配列番号38で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から427番までのアミノ酸配列を有し、R158C、L227P、L233S、△K246、F251C、Q259P、Q259E、L263R、R274L、R274H、W286R、H305Q、I314S、G319V、E329K、V346M、R391C、E420K、及びE420Aから成る群から選ばれる少なくとも1種の変異を有することができる、請求項5に記載の融合タンパク質。
  11. ウシVDRは、配列表の配列番号39で示されるアミノ酸配列を有し、そのビタミンD結合ドメインは、121番から426番までのアミノ酸配列を有し、R158C、C190W、L227P、L233S、△K244、F249C、Q257P、Q257E、L261R、R272L、R272H、W284R、H304Q、I313S、G318V、E328K、V335M、R390C、E419K、及びE419Aから成る群から選ばれる少なくとも1種の変異を有することができる、請求項5に記載の融合タンパク質。
  12. ビタミンD結合ドメインを2個有する請求項1〜11のいずれかに記載の融合タンパク質。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA。
  14. ベクター中に請求項13に記載のDNAを含有するプラスミド。
  15. 請求項14に記載のプラスミドを導入した細胞である形質転換細胞。
  16. 前記細胞は、哺乳動物または昆虫由来の細胞である請求項15に記載の形質転換細胞。
  17. ビタミンD受容体(以下、VDRと表記する)に結合性を示す物質のスクリーニング方法であって、
    請求項15または16に記載の形質転換細胞を、形質転換細胞にDNAが含有されるルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素、並びに候補物質の共存下で培養し、培養中及び/又は培養後に発光を測定し、
    発光量または強度の増減から、前記候補物質のVDRに対する結合性を評価して、VDRに結合性を示す物質を選択することを含む、前記スクリーニング方法。
  18. 前記形質転換細胞に導入されたプラスミドが含有するビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列をコードするDNAは、前記ビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列が請求項6〜11のいずれかに記載の変異を有し、前記アミノ酸配列の変異と疾患との関係から、前記疾患に関与する変異を有するビタミンD結合ドメインに特異的に結合する候補物質をスクリーニングする、請求項17に記載のスクリーニング方法。
  19. ビタミンD受容体(以下、VDRと表記する)に結合性を示す物質のスクリーニング方法であって、
    請求項1〜12のいずれかに記載の融合タンパク質を、ルシフェラーゼの基質、Mg2+、ATP及び酸素、並びに候補物質の共存下で作用させて、作用中及び/又は作用後に発光を測定し、
    発光量または強度の増減から、前記候補物質のVDRに対する結合性を評価して、VDRに結合性を示す物質を選択することを含む、前記スクリーニング方法。
  20. 前記融合タンパク質が含有するビタミンD結合ドメインのアミノ酸配列が請求項6〜11のいずれかに記載の変異を有し、前記アミノ酸配列の変異と疾患との関係から、前記疾患に関与する変異を有するビタミンD結合ドメインに特異的に結合する候補物質をスクリーニングする、請求項19に記載のスクリーニング方法。
  21. 前記候補物質は、ステロイド骨格を有する化合物、脂肪酸類、脂溶性ビタミン類、又はポリフェノール類である請求項17〜20のいずれかに記載のスクリーニング方法。
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