JP2014006195A - Chipの発現量を上昇させる化合物のスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】CHIPの発現を促進し、エストロゲン様活性を有さない物質を選択する方法の提供。
【解決手段】CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の活性を測定すること、およびEREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定することを含む、CHIPの発現を促進し、エストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする方法。
【選択図】なし
【解決手段】CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の活性を測定すること、およびEREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定することを含む、CHIPの発現を促進し、エストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、CHIPの発現量を上昇させ、エストロゲン様活性を有さない物質のスクリーニング方法に関する。
欧米において女性が一生のうちに乳癌に罹患する可能性は12.5%であり、確率的には8人に1人が乳癌を発症する。現在、日本人女性の乳癌罹患率は胃癌を超えて第一位であり、18人に1人が乳癌にかかるとされている。乳癌罹患患者数は2004年から5万人を超え、死亡者数も1万人以上となっており、罹患率と死亡率ともに今後も上昇していくと予想されている。したがって、乳癌を克服することは医学的見地からも社会的見地からも急務である。
乳癌の治療には、エストロゲンレセプターやHER2を標的とした医薬品が使用されている。これらの医薬品は乳癌の増殖を顕著に抑制する。一方、乳癌による死亡例を見ると、その9割が転移によるものである。したがって、今後は増殖と転移の双方を抑制する治療法および医薬品の開発が必要となる。
これまでに本発明者等は、ユビキチンリガーゼ活性を有するCHIP(carboxyl terminus of Hsc70-interacting protein)と呼ばれる分子が乳癌の進行を制御するマスターレギュレーターとして機能していることを突き止めた(非特許文献1)。すなわち、抗CHIP抗体を作製し、患者乳癌組織の染色を行ったところ、癌部では非癌部と比較して有意にCHIPの発現量が低下していることを見出した(図1)。また、患者乳癌サンプルの解析から、CHIPの発現量と癌の進行には負の相関があることが示された(図2)。同様に、乳癌細胞株においても、悪性度の高い細胞株MDA-MB-231では悪性度の低い乳癌細胞株MCF-7と比較してCHIPの発現量が顕著に低下している(図3)。さらに、マウスへの腫瘍移植実験から、CHIPの発現量上昇は乳癌の増殖と転移を強く抑制し(図4及び5)、CHIPの発現量低下は逆に乳癌の増殖と転移を促進することが明らかとなった(図6及び7)。これらの結果は、CHIPが癌抑制タンパク質として機能することを示している。
CHIPはエストロゲンによってその転写が活性化することが明らかになっているが、その一方でエストロゲンは腫瘍の増殖に関与することが知られている。これまでに、CHIPの発現を促進させ、かつエストロゲン様活性を示さない物質のスクリーニング技術は確立していない。
Kajiro et al., Nature Cell Biology, 2009 Mar;11(3):312-9.
本発明は、CHIPの発現を促進し、エストロゲン様活性を有さない物質を選択する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、CHIP遺伝子の5’側上流をプロモーターとして用いるレポーターアッセイによって、CHIPの発現を促進する物質をスクリーニングできることを見出した。さらに、ERE(Estrogen-responsive element:エストロゲン応答配列)をプロモーターとして用いるレポーターアッセイを適用することによって、エストロゲン様作用を有さない物質をスクリーニングできることを見出した。そして、これらの系を組み合わせると、CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質を選択可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(a) CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(b) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して大きいときは、被験物質をCHIPの発現を促進する物質として選択し、
(c) EREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、(b)で選択した物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(d) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して小さいときは、被験物質をエストロゲン様活性を有さない物質として選択する
ことを含む、前記方法。
(2)CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(c) EREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(d) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して小さいときは、被験物質をエストロゲン様活性を有さない物質として選択し、
(a) CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、(d)で選択した物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(b) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して大きいときは、被験物質をCHIPの発現を促進する物質として選択する
ことを含む、前記方法。
(3)レポータータンパク質がルシフェラーゼである、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)CHIP遺伝子のプロモーター領域が、CHIP遺伝子の翻訳開始領域の5’側上流の少なくとも3000bpを含む、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)エストロゲン様活性が、エストロゲン受容体に対するアゴニスト作用である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6)CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸およびEREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含む、CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングするためのキット。
(1)CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(a) CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(b) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して大きいときは、被験物質をCHIPの発現を促進する物質として選択し、
(c) EREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、(b)で選択した物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(d) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して小さいときは、被験物質をエストロゲン様活性を有さない物質として選択する
ことを含む、前記方法。
(2)CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(c) EREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(d) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して小さいときは、被験物質をエストロゲン様活性を有さない物質として選択し、
(a) CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、(d)で選択した物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(b) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して大きいときは、被験物質をCHIPの発現を促進する物質として選択する
ことを含む、前記方法。
(3)レポータータンパク質がルシフェラーゼである、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)CHIP遺伝子のプロモーター領域が、CHIP遺伝子の翻訳開始領域の5’側上流の少なくとも3000bpを含む、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)エストロゲン様活性が、エストロゲン受容体に対するアゴニスト作用である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6)CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸およびEREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含む、CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングするためのキット。
本発明の方法により、CHIPの発現量を上昇させ、かつ、エストロゲン様作用を示さない物質を選択することができる。CHIPは、乳癌の増殖と転移を抑えるマスターレギュレーターとしての機能を有するタンパク質であるため、CHIPの発現量を上昇させる物質は、腫瘍、特に乳癌の治療に使用することができる。また、本発明のスクリーニング方法で得られる物質はエストロゲン様作用を有さないため、エストロゲンを介する腫瘍増殖といった有害事象の生じる可能性の低い治療薬となり得る。本発明に係るCHIPの発現調節技術は、乳癌の増殖と転移の双方を抑制する革新的治療法の開発に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本明細書で引用する全ての特許出願、特許および文献は、それらの全体が参照として組み込まれる。
本明細書で引用する全ての特許出願、特許および文献は、それらの全体が参照として組み込まれる。
1.概要
腫瘍の治療において腫瘍細胞の増殖を抑制するだけではなく、腫瘍の転移を抑制する医薬品の開発への期待が高まっている。特に乳癌による死亡例を見ると、その9割が転移によるものであり、増殖抑制だけでなく、転移を抑制することが課題となっている。近年、ユビキチンリガーゼであるCHIPが、乳癌の増殖と転移の双方を抑制する機能を担っていることが見出された。
腫瘍の治療において腫瘍細胞の増殖を抑制するだけではなく、腫瘍の転移を抑制する医薬品の開発への期待が高まっている。特に乳癌による死亡例を見ると、その9割が転移によるものであり、増殖抑制だけでなく、転移を抑制することが課題となっている。近年、ユビキチンリガーゼであるCHIPが、乳癌の増殖と転移の双方を抑制する機能を担っていることが見出された。
本発明者は、乳癌の増殖および転移を制御するタンパク質であるCHIPの発現を促進する技術について検討した。CHIPの発現は、CHIP遺伝子の上流領域に存在するプロモーター領域を介して促進され得る。したがって、CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の活性を測定することにより、CHIPの発現を促進する物質をスクリーニングすることができる。
CHIPの発現を測定する系としては、CHIP遺伝子の発現活性やCHIP量を確認できる方法であれば、いかなる実験手法も用いうるが、本発明においては、レポーターアッセイが挙げられる。レポーターアッセイはレポータージーンアッセイとも呼ばれ、目的遺伝子をルシフェラーゼ遺伝子などのレポーター遺伝子に置換することによって、目的遺伝子の発現活性やプロモーターの転写活性をレポーターの発現量を指標として簡便に測定することのできる系である。レポータータンパク質の発現量は、例えば、発光強度、蛍光強度、酵素活性として容易に測定できる。
本発明者は、CHIP遺伝子の上流に位置するプロモーター領域を含む配列の下流に、ルシフェラーゼと呼ばれる酵素の遺伝子を動作可能に連結したCHIPプロモーター−Lucを含むベクターを導入した細胞を利用してレポーターアッセイ系を構築した。この方法の特徴は、サンプルにおけるCHIPの発現量を、ルシフェラーゼ酵素から生じる発光シグナルとして容易にモニターできる点にある。ルシフェラーゼは、検出系に存在させた基質ルシフェリンを酸化し、酸化されたルシフェリンは発光する。ルシフェラーゼは酵素であるために基質特異性を有し、特定のルシフェラーゼは一定の生物由来のルシフェリンまたはその改変体とのみ反応する。
上記CHIPプロモーター−Lucベクターを細胞に導入すると、ルシフェラーゼはCHIPプロモーターの転写活性に依存して発現する。この発現系に、CHIPプロモーターに直接または間接的に作用する物質を接触させると、CHIPプロモーターが活性化されてルシフェラーゼが発現する。そして、検出系においてこのルシフェラーゼを介した発光が検出される。すなわち、このアッセイ系は、レポータータンパク質発現系にCHIPプロモーターに作用する物質が存在すると、検出系において発光が観察される。他方、発現系にCHIPプロモーターに作用する物質が存在しないとき、あるいはCHIPプロモーターを抑制する物質が存在するときは、検出系において発光は観察されない。したがって、本アッセイ系において、ルシフェラーゼを介する発光強度を測定することにより、サンプルにおけるCHIPのプロモーター活性またはCHIPの発現活性を調べることができる。
上述のように、レポーターアッセイは、目的の遺伝子の発現量を定量するために使用可能であり、当該技術分野で汎用されている。以上より、本アッセイ系において、レポータータンパク質の発現量(例えば、上記例ではルシフェラーゼを介する発光強度)を測定することにより、サンプルにおけるCHIPの発現量を調べることができる。
本発明者は、本アッセイ系を、CHIPの発現を調節する物質の同定に応用した。すなわち、本発明は、CHIPプロモーターとレポーター遺伝子を動作可能に連結したベクターを含むレポータータンパク発現構築物における、CHIPプロモーターに作用する物質の有無に依存してレポータータンパク質のシグナルの変化が観察される点を利用して、CHIPのプロモーター活性、CHIPの発現活性、CHIPの転写活性またはCHIPの発現量を上昇させる物質をスクリーニングするものである。
このように、本発明の方法を用いれば、CHIPの発現を促進する物質のスクリーニングが可能となる。実施例で示すように、実際にスクリーニングで得られた化合物において、CHIPの発現量を向上させる効果が確認された。
CHIPは腫瘍の増殖および転移を抑制する機能を有するが、その転写はエストロゲンによって活性化することが明らかにされている。しかしながら、エストロゲンは、腫瘍の増殖に関与することも知られている。そのため、CHIPの発現を促進する物質は、腫瘍の増殖および転移を抑制する一方で、エストロゲン様の腫瘍増殖活性を示す可能性がある。そこで、本発明者は、上記のようにCHIPの発現を促進させる一方で、エストロゲン様活性を示さない物質を選択可能なスクリーニング技術について検討した。一般に、エストロゲンは核内受容体であるエストロゲン受容体(ER)と結合し、特定のターゲット遺伝子の上流に存在するエストロゲン応答配列(ERE)に結合し、その下流に位置するターゲット遺伝子の転写を活性化する。したがって、エストロゲン応答配列の下流に、ターゲット遺伝子としてレポーター遺伝子を結合させた核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の活性を測定することにより、被験物質のエストロゲン様作用を評価することができる。このアッセイ系では、被験物質のエストロゲン様活性を、レポータータンパク質の発現量として観察することができる。
このようなEREアッセイ系では、レポータータンパク質発現系にエストロゲン様活性を有する物質が存在すると、検出系においてレポータータンパク質の発現が観察される。他方、発現系にエストロゲン様活性を有する物質が存在しないとき、またはエストロゲン様活性を有さない物質もしくはエストロゲン様活性を抑制する物質が存在するときは、検出系においてレポータータンパク質の発現は観察されない。したがって、本EREアッセイ系において、レポータータンパク質の発現レベルを発現量または活性として測定することにより、被験物質の有するエストロゲン様活性を調べることができる。
「エストロゲン様活性を有する」、「エストロゲン様活性を示す」、とは、エストロゲンの有する機能と同等の機能を有すること、エストロゲンを介する情報伝達系における事象と同等の事象を生じることを意味する。エストロゲン様活性としては、例えば、腫瘍の増殖促進、標的遺伝子の転写活性、エストロゲン受容体に対するアゴニスト作用、EREへの結合活性等が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
EREアッセイ系において、エストロゲン様活性を有さないと判断された物質は、エストロゲン様の腫瘍増殖促進作用を有さないといえる。したがって、上述のCHIPの発現を促進する物質のスクリーニング系と、エストロゲン様活性を有さない物質のスクリーニング系を組み合わせることにより、CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質を選択することが可能となる。
このように、本発明のスクリーニング方法で選択される物質は、CHIPの発現量を上昇させるため、新たな作用機序を有する腫瘍の治療剤、好ましくは乳癌の増殖および転移の抑制剤になり得る。また、当該物質は、CHIPの転写を活性化する一方でエストロゲン様活性を示さないため、エストロゲン様の腫瘍増殖といった副作用の低減した腫瘍の治療剤となり得る。
2.スクリーニング方法
本発明のスクリーニング方法は、CHIPの発現を促進し、エストロゲン様活性を有さない物質の探索を目的とするものである。その方法は、CHIPプロモーター−レポーター遺伝子を含むベクターを導入した発現構築物にスクリーニングの候補となる被験物質を接触させ、発現したレポータータンパク質の発現量を指標として被験物質を選択する工程、およびERE−レポーター遺伝子を含むベクターを導入した発現構築物に被験物質を接触させ、発現したレポータータンパク質の発現量を指標として被験物質を選択する工程を含むものである。
本発明のスクリーニング方法は、CHIPの発現を促進し、エストロゲン様活性を有さない物質の探索を目的とするものである。その方法は、CHIPプロモーター−レポーター遺伝子を含むベクターを導入した発現構築物にスクリーニングの候補となる被験物質を接触させ、発現したレポータータンパク質の発現量を指標として被験物質を選択する工程、およびERE−レポーター遺伝子を含むベクターを導入した発現構築物に被験物質を接触させ、発現したレポータータンパク質の発現量を指標として被験物質を選択する工程を含むものである。
本発明のスクリーニング方法において、CHIPプロモーターアッセイ系によりCHIPの発現を促進する物質を選択する工程と、EREアッセイ系によりエストロゲン様活性を有さない物質を選択する工程を実施する順番は限定されず、一方の工程を先に行ってから、他方の工程を行っても良いし、両工程を同時に行っても良い。一方の工程を行ってから他方の工程を行う場合は、先に行った工程の結果を後の工程で利用することができる。すなわち、一方の工程で選択された物質についてのみ他方の工程でアッセイし、そして、他方の工程で選択された物質を、CHIPの発現を促進し、エストロゲン様活性を有さない物質として同定することができる。また、両工程を同時に行う場合は、いずれの工程においても選択された物質を、CHIPの発現を促進し、エストロゲン様活性を有さない物質として同定することができる。
本発明のスクリーニング方法は、CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードする核酸を動作可能に連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、レポータータンパク質の発現量を測定することを含む、CHIPの発現を促進する物質をスクリーニングする工程(以下、CHIPプロモーター工程またはCHIPプロモーターアッセイともいう)を含む。本発明のCHIPプロモーター工程において、被験物質を接触させていない場合(対照)と比較して、レポータータンパク質の発現量が向上したときの被験物質をCHIPの発現を促進する物質として選択することができる。
CHIP(carboxyl terminus of Hsc70-interacting protein)は、U-box型のユビキチンリガーゼで、その基質をユビキチン化し分解するタンパク質である。CHIPは、本発明者らによって、腫瘍の進展を抑制することが明らかにされている。すなわち、CHIPの過剰発現によって、腫瘍の増殖と転移の双方が有意に阻害され、反対に、CHIPをノックダウンすると、腫瘍の急速な増殖と転移が観察される。
CHIP遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列は公知であり、それらの配列情報はGenBank等の公共データベースを通じて容易に入手することができる。例えば、ヒトのCHIP遺伝子のGeneIDは10273であり、GenBankアクセッション番号はNM_005861(塩基配列)およびNP_005852.2(アミノ酸配列)である。プロモーター領域を含むヒトCHIP遺伝子の塩基配列は、GenBankアクセッション番号AE006464(配列番号1)にも記載されており、そこでのCHIP遺伝子の翻訳開始位置(atg)は152759〜152761である。
CHIP遺伝子のプロモーターは、CHIP遺伝子の転写に関与する領域を含む。例えば、本発明で使用するCHIP遺伝子のプロモーターは、配列番号1で示される塩基配列のうち、149759〜152758(配列番号2)番の配列が挙げられる。配列番号2で示されるプロモーターは、CHIP遺伝子の翻訳開始領域の5’側上流に位置する3000bp長の領域である。
本アッセイ系を、生体における環境により近いものにするという観点からいえば、アッセイに使用するCHIP遺伝子のプロモーター領域は長い方が有利である。CHIP遺伝子の翻訳開始領域の5’側上流配列から所定の領域を選択し、プロモーター領域として使用することができる。
本発明の実施例1は、CHIP遺伝子由来のプロモーターとレポーター遺伝子とのコンストラクトに関するものである。実施例1で示されるように、レポータータンパク質の発現量を確認できる限り、様々な長さおよび部位のCHIPプロモーターを本発明のスクリーニング方法に用いることができる。プロモーターの長さとしては、例えば、約50, 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000, 1100, 1200, 1300, 1400, 1500, 1600, 1700, 1800, 1900, 2000, 2100, 2200, 2300, 2400, 2500, 2600, 2700, 2800, 2900, 3000, 3200, 3400, 3600, 3800, 4000 bp長の塩基配列を選択することができる。好ましくは、例えば250bp以上、400bp以上、600bp以上、1000 bp以上、1400 bp以上、2500 bp以上、3000bp以上、4000 bp以上などの長さの領域を選択することができる。プロモーターの長さは好ましくは100000 bp未満である。
選択されるプロモーター領域の部位としては、例えば、配列番号1で示される塩基配列のうち、149759〜152758、149759〜152319、149759〜151902、149771〜152758、149771〜152319、149771〜151902、150864〜152758、150864〜152319、150864〜151902、151660〜152758、151660〜152319、151660〜151902、152035〜152758、152035〜152319番の配列を挙げることができるが、これに限定されない。また、上記の領域を少なくとも含む配列をプロモーターとして選択して使用することができる。
本発明において、CHIP遺伝子のプロモーターは、CHIPのプロモーター活性を有する限り、配列番号2で示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含有する変異型のDNAであってもよい。配列番号2で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列を含有するDNAは、配列番号2で示される塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、かつCHIPプロモーター活性を有するDNAが含まれる。CHIPのプロモーター活性は、CHIPの転写活性を測定する公知の方法、CHIPの発現量を測定する公知の方法などによって確認することができる。また、それらの活性が配列番号2で示される塩基配列を含むDNAのプロモーター活性と同等、例えば約0.01〜100倍、好ましくは約0.1〜10倍、より好ましくは約0.5〜5倍であることが好ましい。
また、このようにハイブリダイズできるDNAには、配列番号2で示される塩基配列と70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性を有する塩基配列を含有するDNAが含まれる。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)第3版(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 2001)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のハイブリダイゼーション用試薬を使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
また、本発明のスクリーニング方法は、EREの下流にレポータータンパク質をコードする核酸を動作可能に連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、レポータータンパク質の発現量を測定することを含む、エストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする工程(以下、ERE工程またはEREアッセイともいう)を含む。本発明のERE工程において、エストロゲン様活性を有する対照物質を接触させた場合(対照)と比較して、レポータータンパク質の発現量が低減したときの被験物質をエストロゲン様活性を有さない物質として選択することができる。
EREの塩基配列は公知であり、それらの配列情報はGenBank等の公共データベースを通じて容易に入手することができる。また、EREの配列情報は、エストロゲンで転写が活性化される公知遺伝子の5’側上流領域の塩基配列情報を利用して入手することもできる。例えば、EREの基本となる塩基配列として、GGTCANNNTGACC(配列番号11、Nはどの塩基でもよい)あるいはAGGTCANNNTGACCT(配列番号12、Nはどの塩基でもよい)が知られており、この基本配列をERE配列として使用することができる。
また、EREとして、上記ERE基本配列を複数個(例えば、2つ、3つ、4つ、または5つ)繰り返した配列を使用してもよい。本発明で使用するEREが複数個のERE基本配列を含む場合、配列番号11で示す塩基配列の各Nは、それぞれ独立して同一または異なってa, t, g,またはcであり得る。この場合、隣り合うERE基本配列は、直接つながっていてもよいし、リンカー配列を介してつながっていてもよい。ERE基本配列間に存在するリンカー配列は、当業者であれば適宜設定することができる。
EREについても上記のCHIP遺伝子のプロモーターと同様に、下流遺伝子の転写活性を有する限り、公知のEREの変異型の配列であってもよい。変異型の配列も、活性型のエストロゲン受容体が結合することによって、下流の遺伝子の転写活性を促進することが可能である。
本発明は、CHIP遺伝子由来のプロモーター配列がレポータータンパク質をコードする核酸と動作可能に連結された組換えDNAコンストラクトを用いることにより、CHIPの発現を促進する物質をスクリーニングする工程を含む。また、本発明は、EREがレポーター遺伝子と動作可能に連結された組換えDNAを用いることにより、エストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする工程を含む。この目的に適するレポータータンパク質は、その活性または発現が検出可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼが挙げられる。本発明においては、簡便性や検出感度の点から、GFPやルシフェラーゼが好ましい。
ルシフェラーゼとしては、例えば、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼなどを挙げることができるが、これに限定されない。レポータータンパク質としてルシフェラーゼを用いる系を、特にルシフェラーゼアッセイと呼ぶこともある。ルシフェラーゼアッセイの場合、細胞を破壊して得られる細胞抽出液を用いてルシフェラーゼの発現量を測定しても良い。
ルシフェラーゼアッセイは、ウミシイタケルシフェラーゼとホタルルシフェラーゼとを組み合わせたデュアルレポーターアッセイとして実施することができる。この組合せにより、一方のルシフェラーゼを、他方のレポーターの正確な分析に影響する可能性のある実験のばらつきを補正するためのツールとして用いることができる。デュアルレポーターアッセイを行うには、それぞれの酵素の基質を段階的に検出系に添加する。場合によっては1番目の発光反応を停止させてから、2番目の酵素の発光を開始させてもよい。あるいは1番目の発光反応の停止と同時に2番目の発光反応を開始させても良い。
レポータータンパク質は、その発現量またはタンパク質の性質に由来する活性(酵素活性、蛍光活性、発光活性)などが、本発明のアッセイ系で検出できる限り、野生型のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質(変異体)であってもよい。野生型のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質としては、野生型のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、かつ、野生型のレポータータンパク質と実質的に同質の活性(例えば、酵素活性、蛍光活性、発光活性)を有するタンパク質が好ましい。実質的に同質の活性とは、活性の質が野生型の質と比較して同質であることを示し、また、活性のレベルが野生型の活性と比較して同等、例えば約0.01〜100倍、好ましくは約0.1〜10倍、より好ましくは約0.5〜5倍であることが好ましい。酵素活性、蛍光活性、発光活性等の活性の測定は、公知の方法に準じて行うことができる。
また、上記変異型レポータータンパク質としては、(i) 野生型のアミノ酸配列の1または数個(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(ii) 野生型のアミノ酸配列に1または数個(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個)のアミノ酸が挿入または付加したアミノ酸配列、(iii) 野生型のアミノ酸配列の1または数個(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、(iv) それらの組み合わされたアミノ酸配列を含有するタンパク質も含まれる。
レポータータンパク質は、野生型の塩基配列と同一または実質的に同一の塩基配列を含有するDNAにコードされるタンパク質であってもよい。野生型の塩基配列と実質的に同一の塩基配列を含有するDNAは、野生型の塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、野生型のレポータータンパク質と実質的に同質の活性(例えば、酵素活性、蛍光活性、発光活性)を有するタンパク質をコードするDNAが含まれる。実質的に同質の活性は、上記と同様の意味である。
また、このようにハイブリダイズできるDNAには、野生型の塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性を有する塩基配列を有する塩基配列を含有するDNAが含まれる。ハイブリダイゼーションの方法、ストリンジェントな条件は、上記記載を参考にして適宜選択することができる。
本明細書において、レポーター遺伝子には上記のような変異型のレポーター遺伝子も含まれる。
本明細書において、レポーター遺伝子には上記のような変異型のレポーター遺伝子も含まれる。
野生型またはいくつかの変異型レポータータンパク質のアミノ酸配列および当該レポータータンパク質をコードする核酸(レポーター遺伝子)の塩基配列は公知であり、それらの配列情報はGenBank等の公共データベースを通じて容易に入手することができる。
レポーター遺伝子は、cDNA、ゲノムDNA、化学合成DNAなどの形態をとり得る。またレポーター遺伝子は、レポータータンパク質をコードするものであれば、遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩基配列を有するDNAが含まれる。したがって、本発明において、レポーター遺伝子は、天然型または野生型遺伝子を用いるとレポーターとしての高い感度が得られない場合は、コドン使用をほ乳類細胞における発現に対して最適化することができる。
ゲノムDNAおよびcDNAの調製は、当業者にとって常套手段を利用して行うことが可能である。ゲノムDNAは、例えば、試料からゲノムDNAを抽出し、ゲノミックライブラリー(ベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、BAC、PACなどが利用できる)を作製し、レポーター遺伝子の塩基配列を基に調製したプローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションまたはプラークハイブリダイゼーションを行うことにより調製することが可能である。また、レポーター遺伝子に特異的なプライマーを作製し、これを利用したPCRを行うことによって調製することも可能である。また、cDNAは、例えば、試料から抽出したmRNAを基にcDNAを合成し、これをベクターに挿入してcDNAライブラリーを作製し、上記と同様にコロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、またはPCRを行うことにより調製することが可能である。
レポーター遺伝子を単離するための当業者によく知られた方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Southern, E. M., Journal of Molecular Biology, Vol. 98, 503, 1975)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki, R. K., et al. Science, vol. 230, 1350-1354, 1985, Saiki, R. K. et al. Science, vol.239, 487-491,1988)が挙げられる。また、レポーター遺伝子またはレポーター遺伝子を含む発現ベクターは、市販のものを用いることができる。
以下、CHIPプロモーターアッセイを例に挙げて説明するが、以下の説明はEREアッセイについても同様にあてはまる。当業者であれば、EREアッセイについても下記のCHIP遺伝子のプロモーターに関する記載を参考にして容易に理解できる。
本発明において、まず、CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードする核酸(レポーター遺伝子)を連結した核酸を含有する発現構築物を作製する。当該プロモーター領域とレポーター遺伝子とは動作可能に連結される。「動作可能に連結した」とは、CHIP遺伝子のプロモーター領域に転写因子が結合することにより、レポーター遺伝子の発現が誘導されるように、CHIP遺伝子のプロモーターとレポーター遺伝子とが結合していることをいう。したがって、レポーター遺伝子が他の遺伝子とさらに連結しており、融合タンパク質を形成する場合や、プロモーター領域に転写調節配列以外が含まれる場合であっても、CHIP遺伝子のプロモーター領域に転写因子が結合することによってレポーター遺伝子の発現が誘導されるのであれば、プロモーターとレポーター遺伝子とは動作可能に連結しているといえる。
CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードする核酸(レポーター遺伝子)を動作可能に連結した核酸は、cDNA、mRNAなどであり得、核酸断片または発現ベクターの形態であってもよい。核酸コンストラクトの構築、発現ベクターの構築は周知であり、当分野における通常の技術を用いて行うことができる。例えば、前出のMolecular Cloning, A Laboratory Manual 3nd ed. (Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001))を参照することができる。また、市販のレポーター遺伝子発現ベクターを用いることもできる。
本発明の方法のために、上記プロモーターをレポーター遺伝子に結合させた核酸は、発現系に導入される。本発明において、発現構築物とはレポータータンパク質を発現するために、前記核酸が導入された発現系であり、レポータータンパク質を発現し得る。発現項構築物には、株化細胞、初代培養細胞または無細胞タンパク質発現系が含まれる。本発明のスクリーニング方法において使用される細胞は、好ましくは哺乳動物細胞由来の株化細胞であり、例えば、293細胞、CHO細胞、Hela細胞、MDA-MB-231細胞、MCF-7細胞である。
CHIPの転写は、エストロゲンによって活性化することが知られている。そのため、本発明のCHIPプロモーター工程においては、エストロゲン受容体(ER)を含む発現構築物を用いることが好ましい。あるいは、本発明の別の態様においては、エストロゲン受容体を含まない発現構築物を用いることもできる。この場合は、ERをターゲットとしない、CHIPの転写活性を上昇する物質をスクリーニングすることができる。
また、ERE工程においては、エストロゲン受容体を含む発現構築物を用いる。
発現構築物に含まれるエストロゲン受容体は、発現構築物に固有に存在するものであってもよいし、エストロゲン受容体をコードする核酸を遺伝子工学的に発現構築物で発現させたものであってもよい。エストロゲン受容体を発現することが知られている細胞(エストロゲン陽性細胞)は、エストロゲン受容体を固有に含み、このような細胞は当業者であれば当分野の技術に基づき適宜選択することができる。
本発明において、所定の核酸を導入した発現構築物は、それらの核酸を安定に発現する細胞株であってもよいし、一過性に発現する細胞株であっても良い。
また、GFP等の蛍光性のレポータータンパク質を用いる場合は、自己蛍光を発しない細胞または自己蛍光性の低い細胞が好ましい。自己蛍光性は蛍光強度測定のバックグラウンドに影響するためである。
プロモーターをレポーター遺伝子に作動可能に結合させた核酸を発現構築物に導入するために適する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、ウイルスベクター、エレクトロポレーション、リポフェクチンなどが挙げられるが、これに限定されない。
次に、プロモーターをレポーター遺伝子に作動可能に結合させた核酸を導入された発現構築物またはEREの下流にレポーター遺伝子を動作可能に連結した核酸を導入された発現構築物は、被験物質に接触される。被験物質の接触によってプロモーター活性または転写活性が直接的にまたは間接的に活性化すると、レポーター遺伝子の発現をもたらす。
「接触」とは、被験物質と当該発現構築物の両方を、所定条件下でプロモーター活性または転写活性が活性化し得る環境下に置くことまたは存在させることとを意味する。
当該発現構築物に被験物質を接触させる方法としては、細胞の培養系に被験物質を存在させる方法または無細胞系に被験物質を存在させる方法を用いることができる。より具体的には、細胞の培養容器に被験物質を添加すること、無細胞系の反応容器に被験物質を添加すること、細胞を被験物質の存在下で培養すること、無細胞系と被験物質とを混合すること等が挙げられる。また、接触させる被験物質量および接触時間は、接触方法、被験物質の性質などにあわせて適宜選択することができる。接触にあたり、細胞を予め破壊し、細胞抽出液としてもよい。
被験物質とは、CHIPの発現を促進する物質のスクリーニングおよび/またはエストロゲン様活性を有さない物質のスクリーニングに供される候補物質または試験物質であり、任意の物質を使用することができる。被験物質としては、例えば、化合物(低分子化合物、高分子化合物)、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、発酵生産物、細胞抽出液、細胞培養上清、植物抽出液、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)の組織抽出液、血漿などが挙げられるが、これらに限定されない。被験物質は新規な物質であってもよいし、公知の物質であってもよい。
本発明において、候補物質のライブラリーを使用することもできる。このようなライブラリーとしては、例えば市販の化合物ライブラリー、コンビナトリアルライブラリーなどを挙げることができる。
これら被験物質は塩を形成していてもよく、被験物質の塩としては、生理学的に許容される酸(例えば、有機酸又は無機酸など)や塩基(例えば、金属酸など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、或いは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
上記発現構築物と被験物質との接触に続き、レポータータンパク質の発現量が測定される。レポータータンパク質の発現レベルは、使用するレポータータンパク質の種類に応じて、当業者であれば公知の方法またはそれに準ずる方法によって測定することができる。
例えば、レポーターがルシフェラーゼである場合には、検出系に基質を存在させ、ルシフェラーゼの触媒作用による蛍光物質の蛍光をルミノメーターなどで検出することによって、レポータータンパク質の発現量を検出することができる。レポーターがGFPである場合には、通常の蛍光検出方法によってGFPによる蛍光強度を測定することにより、レポータータンパク質の発現レベルを測定することができる。レポーターが、CATである場合には、CATによるクロラムフェニコールのアセチル化を検出することによって、レポータータンパク質の発現レベルを測定することができる。
レポータータンパク質の発現量の検出には、上記発現構築物を適宜処理してもよい。例えば、上記核酸が導入された細胞を、化学的または物理的に破壊して、細胞抽出液としてもよい。このような処理によって、検出感度を高めることが期待される。
CHIPプロモーター工程においては、対照よりもレポータータンパク質の発現を上昇させたときの被験物質を、CHIPの発現を促進する物質として選択する。すなわち、CHIPの発現を促進する物質は、本発明の方法によって選択され、被験物質と接触させた発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量が、被験物質と接触させていない対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して大きい(例えば、1.1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、5倍以上)場合に選択される。対照の発現構築物とは、被験物質を接触させた発現細胞と同種の細胞または同種のタンパク質発現構築物を採用する系であることが好ましい。
また、本発明のアッセイ方法を用いて、CHIPの発現を抑制する物質をスクリーニングすることもできる。被験物質と接触させた発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量が、被験物質と接触させていない対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して減少することを指標として、CHIPの発現を抑制する物質が選択される。本発明における発現構築物では、プロモーターを活性化させた場合に、レポータータンパク質が発現するため、CHIPの発現を抑制する物質をスクリーニングする場合は、CHIPプロモーターを活性化させた状態を対照とする必要がある。すなわち、この態様では、エストロゲンなどのCHIPの発現を促進する物質による刺激下における、被験物質によるレポータータンパク質の発現抑制が測定される。
ERE工程においては、対照よりもレポータータンパク質の発現を低下させたときの被験物質を、エストロゲン様活性を示さない物質として選択する。すなわち、エストロゲン様活性を有さない物質は、本発明の方法によって選択され、被験物質と接触させた発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量が、対照物質と接触させた対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して小さい(例えば0.9倍、0.7倍、0.5倍、0.4倍、0.3倍、0.2倍以下)場合に選択される。対照の発現構築物とは、被験物質を接触させた発現細胞と同種の細胞または同種のタンパク質発現構築物を採用する系であることが好ましい。対照物質としては、ポジティブコントロールとなり得る物質(陽性対照物質)、すなわち、エストロゲン様活性を示す物質を使用することができる。例えば、エストロゲン、その活性変異体等が挙げられるがこれらに限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。
ERE工程においては、エストロゲン様活性を有さない物質として、レポータータンパク質を発現させない被験物質が好ましく選択される。例えば、レポータータンパク質の発現量が、被験物質および陽性対照物質のいずれとも接触させていない発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量(ベースライン量)と同等であるとき、当該被験物質はレポータータンパク質を発現させないと判断される。同等の発現量とは、ベースライン量の5倍以下、4倍以下、3倍以下、2倍以下、1.5倍以下、1倍以下等の発現量である。
本発明では、前述のように、インターナルコントロールとして、異なるレポーター遺伝子を発現するコントロールプラスミドを発現構築物に存在させ、コントロールのレポーター遺伝子の発現量を基準量として、目的のレポーター遺伝子の発現量を評価することもできる。
市販のレポーターアッセイのキットを利用することにより、以上の操作を行うこともできる。
本発明において、CHIP遺伝子の発現調節の程度およびエストロゲン様活性の程度を、レポータータンパク質の発現量を測定することによって容易に調べることが可能であるため、短時間で多くの被験物質を処理することができる。したがって、本発明は、本スクリーニング方法のハイスループットへの適用も含む。
本発明のスクリーニング方法において得られる物質は、抗腫瘍剤として使用することができる。当該物質はCHIPの発現を促進するため、特に腫瘍の増殖および転写を抑制するための医薬組成物として使用することができる。また、エストロゲン様活性を有さないため、エストロゲンによる腫瘍増殖を促進させることなく、腫瘍の治療に用いることができる。本発明において、上記医薬組成物は生体内に投与することにより、抗腫瘍剤として使用することができる。
腫瘍は、乳癌、脳腫瘍、舌癌、咽頭癌、肺癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、胆道癌、胆嚢癌、十二指腸癌、大腸癌、肝臓癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、膀胱癌、骨肉腫、皮膚癌、白血病等が挙げられ、好ましくは乳癌である。
本発明の医薬組成物は、経口投与または非経口投与のいずれの剤形をも採用することができる。本発明の医薬組成物は、本発明のスクリーニング方法において得られた物質をそのまま使用してもよいし、常法に従って薬学的に許容される担体や添加物により製剤化されたものでもよい。投与量は、当業者であれば適宜選択することができる。
本発明はまた、上記に記載のスクリーニング方法に用いるためのキットに関する。このようなキットには、上記に記載のスクリーニング方法の検出工程や測定工程に使用されるものを含みうる。例えば、CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポーター遺伝子を動作可能に連結した核酸、EREの下流にレポーター遺伝子を動作可能に連結した核酸、当該核酸を発現構築物に導入するための試薬、発現構築物のための細胞もしくは無細胞タンパク質発現用抽出物、レポータータンパク質の測定に必要とされる基質や緩衝液等を挙げることができる。本発明のキットには、蒸留水、塩、緩衝液、保存剤、使用説明書等が含まれていても良い。
<配列番号>
配列番号1:GenBankアクセッション番号AE006464に示される塩基配列
配列番号2:CHIPプロモーター配列#0(GenBankアクセッション番号AE006464:149759〜152758)
配列番号3:CHIPプロモーター配列#0を増幅するためのForward primerである。
配列番号4:CHIPプロモーター配列#0を増幅するためのReverse primerである。
配列番号5:CHIPプロモーター配列#1を増幅するためのForward primerである。
配列番号6:CHIPプロモーター配列#2.1を増幅するためのForward primerである。
配列番号7:CHIPプロモーター配列#3.2を増幅するためのForward primerである。
配列番号8:CHIPプロモーター配列#4を増幅するためのForward primerである。
配列番号9:CHIPプロモーター配列#5を増幅するためのForward primerである。
配列番号10:CHIPプロモーター配列#1〜5を増幅するためのReverse primerである。
配列番号11:EREの基本配列である。Nはa, t, g, またはcである。
配列番号12:EREの基本配列である。Nはa, t, g, またはcである。
配列番号13:実施例4におけるプラスミドpGL3-3xEREに含まれる配列である。
配列番号1:GenBankアクセッション番号AE006464に示される塩基配列
配列番号2:CHIPプロモーター配列#0(GenBankアクセッション番号AE006464:149759〜152758)
配列番号3:CHIPプロモーター配列#0を増幅するためのForward primerである。
配列番号4:CHIPプロモーター配列#0を増幅するためのReverse primerである。
配列番号5:CHIPプロモーター配列#1を増幅するためのForward primerである。
配列番号6:CHIPプロモーター配列#2.1を増幅するためのForward primerである。
配列番号7:CHIPプロモーター配列#3.2を増幅するためのForward primerである。
配列番号8:CHIPプロモーター配列#4を増幅するためのForward primerである。
配列番号9:CHIPプロモーター配列#5を増幅するためのForward primerである。
配列番号10:CHIPプロモーター配列#1〜5を増幅するためのReverse primerである。
配列番号11:EREの基本配列である。Nはa, t, g, またはcである。
配列番号12:EREの基本配列である。Nはa, t, g, またはcである。
配列番号13:実施例4におけるプラスミドpGL3-3xEREに含まれる配列である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例>
ヒトCHIP(STUB1)遺伝子プロモーター領域のクローニング
ヒトCHIP遺伝子(GeneID: 10273)のプロモーター領域(CHIP promoter配列#0)(GeneBank: AE006464.1, 149759-152758)のDNA増幅は、タカラバイオ株式会社ドラゴンジェノミクスセンターに依頼した。増幅に用いたプライマーの配列は、Forward; 5’-CCGCTCGAGCCTGTGCTCGGCACACCTGGCC-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号3)及びReverse; 5’-CCCAAGCTTGGCGCCGCGCGGCACGGCCTGGGC-3’ (下線部:HindIII部位)(配列番号4)である。
ヒトCHIP(STUB1)遺伝子プロモーター領域のクローニング
ヒトCHIP遺伝子(GeneID: 10273)のプロモーター領域(CHIP promoter配列#0)(GeneBank: AE006464.1, 149759-152758)のDNA増幅は、タカラバイオ株式会社ドラゴンジェノミクスセンターに依頼した。増幅に用いたプライマーの配列は、Forward; 5’-CCGCTCGAGCCTGTGCTCGGCACACCTGGCC-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号3)及びReverse; 5’-CCCAAGCTTGGCGCCGCGCGGCACGGCCTGGGC-3’ (下線部:HindIII部位)(配列番号4)である。
このDNA(CHIP promoter配列#0)をテンプレートとして、領域を部分的に欠損したCHIP promoter配列#1(149771-152319)、#2.1(150864-152319)、#3.2(151660-152319)、#4(151903-152319)、及び#5(152035-152319)を増幅した。増幅に用いた各プライマーの配列は以下のとおりである。
Forward #1; 5’-GGCCTCGAGACACCTGGCCAACGTTGTC-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号5)、
Forward #2.1; 5’-GGCCTCGAGGCCATGGCCAAGTTTACTC-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号6)、
Forward #3.2; 5’-GGCCTCGAGACTGGAGACACCCGC-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号7)、
Forward #4; 5’-GGCCTCGAGTCCACTCTACCAACAGTCCG-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号8)、
Forward #5; 5’-GGCCTCGAGCTACGTTCACGCGCAGGG-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号9)、
Reverse; 5’-GGCAAGCTTTGTCCCAACGCGCAGAGA-3’(下線部:HindIII部位)(配列番号10)。
Forward #1; 5’-GGCCTCGAGACACCTGGCCAACGTTGTC-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号5)、
Forward #2.1; 5’-GGCCTCGAGGCCATGGCCAAGTTTACTC-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号6)、
Forward #3.2; 5’-GGCCTCGAGACTGGAGACACCCGC-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号7)、
Forward #4; 5’-GGCCTCGAGTCCACTCTACCAACAGTCCG-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号8)、
Forward #5; 5’-GGCCTCGAGCTACGTTCACGCGCAGGG-3’(下線部:XhoI部位)(配列番号9)、
Reverse; 5’-GGCAAGCTTTGTCCCAACGCGCAGAGA-3’(下線部:HindIII部位)(配列番号10)。
増幅後の各DNA断片は、プロメガ社のpGL4.20[luc2/Puro]に挿入し、プラスミドpGL4.2-CHIP promoterを得た。
ヒトERαに対するプラスミドは公知のものを使用した。使用した全てのプラスミドはDNAシークエンシングによって確認した。
CHIP遺伝子上流における転写調節領域の解析
MCF-7細胞を24ウェルプレートに1.5×105細胞/ウェルまき、10%ウシ胎仔血清(FBS)及び抗菌・抗真菌剤を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用いて5%CO2中37℃で一日培養した。レポーター遺伝子とするプラスミドpGL4.2-CHIP promoterを100 ng/ウェル、インターナルコントロール遺伝子とするプラスミドとしてプロメガ社のphRG-TKを10 ng/ウェルとして調整し、プロメガ社のトランスファスト試薬に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、トランスフェクションした。10%FBS入りのDMEMにてさらに24時間培養した後、培地を除去し、PBS(phosphate buffered saline)にて細胞を洗浄した。その後、デュアルルシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製:製品番号E1960)に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、細胞溶解液100μLを加えて室温で15分間振とうしながら細胞を溶解し、そのうち25 μLを96ウェル発光測定用プレートに移した後、ルミノメーター(ベルトールド製、Centro LB 960)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光強度を測定した。
MCF-7細胞を24ウェルプレートに1.5×105細胞/ウェルまき、10%ウシ胎仔血清(FBS)及び抗菌・抗真菌剤を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用いて5%CO2中37℃で一日培養した。レポーター遺伝子とするプラスミドpGL4.2-CHIP promoterを100 ng/ウェル、インターナルコントロール遺伝子とするプラスミドとしてプロメガ社のphRG-TKを10 ng/ウェルとして調整し、プロメガ社のトランスファスト試薬に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、トランスフェクションした。10%FBS入りのDMEMにてさらに24時間培養した後、培地を除去し、PBS(phosphate buffered saline)にて細胞を洗浄した。その後、デュアルルシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製:製品番号E1960)に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、細胞溶解液100μLを加えて室温で15分間振とうしながら細胞を溶解し、そのうち25 μLを96ウェル発光測定用プレートに移した後、ルミノメーター(ベルトールド製、Centro LB 960)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光強度を測定した。
その結果、CHIP promoter #4では転写活性が低下し(図8、レーン6)、CHIP promoter #5では転写活性が上昇した(図8、レーン7)。このことから、GeneBank: AE006464.1の149759-151902の領域に転写活性化領域が、151903-152034の領域には転写抑制領域が、152035-152319の領域に転写活性化領域が存在することが示された。
CHIP遺伝子の転写を活性化する低分子化合物のスクリーニング
293E細胞をポリ-D-リシンでコートした96ウェルプレートに6×103細胞/ウェルまき、4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMを用いて5%CO2中37℃で一日培養した。レポーター遺伝子とするプラスミドpGL4.2-CHIP promoter#0を30 ng/ウェル、インターナルコントロール遺伝子とするプラスミドとしてプロメガ社のphRG-TKを1 ng/ウェル、ヒトERα cDNAをコードするプラスミドを20 ng/ウェル、インビトロジェン社のpcDNA3を49 ng/ウェル加えて調整し、ジェンランティス社のパーフェクチン試薬に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、トランスフェクションした。4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMにてさらに24時間培養した後、0.2%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMに交換し、DMSOに溶解した低分子化合物を終濃度10-6 Mとなるように添加した。低分子を添加してから24時間後、デュアルグロールシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製:製品番号E2980)に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、室温にてデュアルグロールシフェラーゼ試薬を加えて細胞を溶解し、そのうち45 μLを96ウェル発光測定用プレートに移した後、マルチモードプレートリーダー(ベックマンコールター製、PARADIGMTM)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光強度を測定した。なお、トランスフェクション、化合物添加及びルシフェラーゼアッセイはベックマンコールター製のBiomek NKPラボラトリーオートメーションシステムを用いて行った。
293E細胞をポリ-D-リシンでコートした96ウェルプレートに6×103細胞/ウェルまき、4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMを用いて5%CO2中37℃で一日培養した。レポーター遺伝子とするプラスミドpGL4.2-CHIP promoter#0を30 ng/ウェル、インターナルコントロール遺伝子とするプラスミドとしてプロメガ社のphRG-TKを1 ng/ウェル、ヒトERα cDNAをコードするプラスミドを20 ng/ウェル、インビトロジェン社のpcDNA3を49 ng/ウェル加えて調整し、ジェンランティス社のパーフェクチン試薬に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、トランスフェクションした。4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMにてさらに24時間培養した後、0.2%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMに交換し、DMSOに溶解した低分子化合物を終濃度10-6 Mとなるように添加した。低分子を添加してから24時間後、デュアルグロールシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製:製品番号E2980)に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、室温にてデュアルグロールシフェラーゼ試薬を加えて細胞を溶解し、そのうち45 μLを96ウェル発光測定用プレートに移した後、マルチモードプレートリーダー(ベックマンコールター製、PARADIGMTM)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光強度を測定した。なお、トランスフェクション、化合物添加及びルシフェラーゼアッセイはベックマンコールター製のBiomek NKPラボラトリーオートメーションシステムを用いて行った。
8803個の化合物について検討を行った結果、CHIPの転写活性を1.5倍以上上げる化合物として42化合物を同定した。
乳癌細胞における低分子化合物のCHIP遺伝子転写活性化能の検討
24ウェルプレートにMCF-7細胞を1.5×105細胞/ウェルまたはMDA-MB-231細胞を1.0×105細胞/ウェルまき、4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMを用いて5%CO2中37℃で一日培養した。レポーター遺伝子とするプラスミドpGL4.2-CHIPpromoter#0を150 ng/ウェル、インターナルコントロール遺伝子とするプラスミドとしてプロメガ社のphRG-TKを50 ng/ウェル、インビトロジェン社のpcDNA3を300 ng/ウェル加えて調整し、プロメガ社のトランスファスト試薬を用いてトランスフェクションした。4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMにてさらに24時間培養した後、1%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMに交換し、DMSOに溶解した低分子化合物を終濃度10-6 Mとなるように添加した。低分子を添加してから24時間後、培地を除去し、PBSにて洗浄した。その後、デュアルルシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製:製品番号E1960)に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、細胞溶解液100μLを加えて室温で15分間振とうしながら細胞を溶解し、そのうち15 μLを96ウェル発光測定用プレートに移した後、ルミノメーター(ベルトールド製、CentroXS3 LB 960)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光強度を測定した。
24ウェルプレートにMCF-7細胞を1.5×105細胞/ウェルまたはMDA-MB-231細胞を1.0×105細胞/ウェルまき、4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMを用いて5%CO2中37℃で一日培養した。レポーター遺伝子とするプラスミドpGL4.2-CHIPpromoter#0を150 ng/ウェル、インターナルコントロール遺伝子とするプラスミドとしてプロメガ社のphRG-TKを50 ng/ウェル、インビトロジェン社のpcDNA3を300 ng/ウェル加えて調整し、プロメガ社のトランスファスト試薬を用いてトランスフェクションした。4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMにてさらに24時間培養した後、1%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMに交換し、DMSOに溶解した低分子化合物を終濃度10-6 Mとなるように添加した。低分子を添加してから24時間後、培地を除去し、PBSにて洗浄した。その後、デュアルルシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製:製品番号E1960)に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、細胞溶解液100μLを加えて室温で15分間振とうしながら細胞を溶解し、そのうち15 μLを96ウェル発光測定用プレートに移した後、ルミノメーター(ベルトールド製、CentroXS3 LB 960)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光強度を測定した。
実施例2で同定した化合物のうち1化合物について検討した結果を図9及び10に示した。この結果、本化合物は、MCF-7細胞およびMDA-MB-231細胞においてCHIPの転写活性を上昇させた。
乳癌細胞における低分子化合物のERE転写活性化能の検討
24ウェルプレートにMCF-7細胞を1.5×105細胞/ウェルまき、4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMを用いて5%CO2中37℃で一日培養した。レポーター遺伝子とするプラスミドpGL3-3xEREを150 ng/ウェル、インターナルコントロール遺伝子とするプラスミドとしてプロメガ社のphRG-TKを50 ng/ウェル、インビトロジェン社のpcDNA3を300 ng/ウェル加えて調整し、プロメガ社のトランスファスト試薬を用いてトランスフェクションした。プラスミドpGL3-3xEREは、pGL3-basic Vectors(プロメガ社製)のマルチクローニングサイト内のXhoIとBglIIサイトの間に、ERE基本配列を3つリピートした配列を含む配列(配列番号13の大文字部分)を挿入したものである。
配列番号13:ctcgaCAAGTCAGGTCACAGTGACCTGACTTGTCGAGTGATCAGGTCACTGTGACCTGACTTGTCGAGTGATCAGGTCACTGTGACCTGACTTGTCGAGTGATCAGGTCACCTGACTTGTCGAGTCTAGAGGGTATATAagatctgc (下線部はERE基本配列を示す)
24ウェルプレートにMCF-7細胞を1.5×105細胞/ウェルまき、4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMを用いて5%CO2中37℃で一日培養した。レポーター遺伝子とするプラスミドpGL3-3xEREを150 ng/ウェル、インターナルコントロール遺伝子とするプラスミドとしてプロメガ社のphRG-TKを50 ng/ウェル、インビトロジェン社のpcDNA3を300 ng/ウェル加えて調整し、プロメガ社のトランスファスト試薬を用いてトランスフェクションした。プラスミドpGL3-3xEREは、pGL3-basic Vectors(プロメガ社製)のマルチクローニングサイト内のXhoIとBglIIサイトの間に、ERE基本配列を3つリピートした配列を含む配列(配列番号13の大文字部分)を挿入したものである。
配列番号13:ctcgaCAAGTCAGGTCACAGTGACCTGACTTGTCGAGTGATCAGGTCACTGTGACCTGACTTGTCGAGTGATCAGGTCACTGTGACCTGACTTGTCGAGTGATCAGGTCACCTGACTTGTCGAGTCTAGAGGGTATATAagatctgc (下線部はERE基本配列を示す)
トランスフェクションした細胞を、4%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMにてさらに24時間培養した後、1%チャコール処理済FBS、2 mM L-グルタミン及び抗菌・抗真菌剤を添加したフェノールレッドフリーのDMEMに交換し、DMSOに溶解した低分子化合物を終濃度10-6 Mとなるように添加した。また、ポジティブコントロールとして、エストロゲン(E2)を終濃度10-10 Mとなるように添加した。低分子およびE2を添加してから24時間後、培地を除去し、PBSにて洗浄した。その後、デュアルルシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製:製品番号E1960)に添付されている取扱い説明書に記載してあるプロトコールに従い、細胞溶解液100μLを加えて室温で15分間振とうしながら細胞を溶解し、そのうち15 μLを96ウェル発光測定用プレートに移した後、ルミノメーター(ベルトールド製、CentroXS3 LB 960)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光強度を測定した。実施例2で同定した化合物のうち1化合物(実施例3と同一化合物)について検討した結果を示した(図11)。本化合物は、MCF-7細胞においてERE転写活性を上昇させなかった。
本発明の方法により、CHIPの発現量を上昇させる物質を選択することができる。CHIPは、乳癌の増殖と転移を抑えるマスターレギュレーターとしての機能を有するタンパク質であるため、CHIPの発現量を上昇させる物質は、乳癌の治療に使用することができ、本発明に係るCHIPの発現調節技術は、乳癌の増殖と転移の双方を抑制する革新的治療法の開発に有用である。
配列番号3〜10:プライマー
配列番号13:合成DNA
配列番号13:合成DNA
Claims (6)
- CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(a) CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(b) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して大きいときは、被験物質をCHIPの発現を促進する物質として選択し、
(c) EREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、(b)で選択した物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(d) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して小さいときは、被験物質をエストロゲン様活性を有さない物質として選択する
ことを含む、前記方法。 - CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(c) EREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、被験物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(d) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して小さいときは、被験物質をエストロゲン様活性を有さない物質として選択し、
(a) CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含有する発現構築物と、(d)で選択した物質とを接触させて、前記レポータータンパク質の発現量を測定し、
(b) レポータータンパク質の発現量が、対照の発現構築物におけるレポータータンパク質の発現量と比較して大きいときは、被験物質をCHIPの発現を促進する物質として選択する
ことを含む、前記方法。 - レポータータンパク質がルシフェラーゼである、請求項1または2に記載の方法。
- CHIP遺伝子のプロモーター領域が、CHIP遺伝子の翻訳開始領域の5’側上流の少なくとも3000bpを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- エストロゲン様活性が、エストロゲン受容体に対するアゴニスト作用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- CHIP遺伝子のプロモーター領域の下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸およびEREの下流にレポータータンパク質をコードするDNAを連結した核酸を含む、CHIPの発現を促進し、かつエストロゲン様活性を有さない物質をスクリーニングするためのキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012143173A JP2014006195A (ja) | 2012-06-26 | 2012-06-26 | Chipの発現量を上昇させる化合物のスクリーニング方法 |
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JP2012143173A JP2014006195A (ja) | 2012-06-26 | 2012-06-26 | Chipの発現量を上昇させる化合物のスクリーニング方法 |
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JP2012143173A Pending JP2014006195A (ja) | 2012-06-26 | 2012-06-26 | Chipの発現量を上昇させる化合物のスクリーニング方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017127227A (ja) * | 2016-01-19 | 2017-07-27 | 東芝メディカルシステムズ株式会社 | 被検細胞の細胞特性を評価するためのレポーターベクター、アッセイキット、方法および装置 |
CN112375783A (zh) * | 2020-10-23 | 2021-02-19 | 夏瑶宾 | ERβ1双荧光素酶报告基因检测系统及应用 |
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