以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、本実施形態に示す電流センサは、自動車に搭載されるバッテリの電流を測定するための電流センサとして好適である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電流センサの概略構成を示す断面図である。図2は、図1に示す電流センサの平面図であり、便宜上、蓋を省略して図示している。図3は、図1に示す電流センサの平面図であり、便宜上、基板及び蓋を省略して図示している。なお、以下においては、電流センサにおける基板の厚さ方向及びコアの厚さ方向(積層方向)を垂直方向、基板の表面(裏面)に沿う方向を水平方向、該水平方向のうち、ギャップの幅方向(コアの端面間の距離方向)を幅方向とする。
図1〜図3に示すように、電流センサ100は、要部として、樹脂ケース10と、ギャップ20Gを有するコア20と、磁電変換素子30と、該磁電変換素子30が実装された基板40と、を有している。そして、樹脂ケース10が、その一部として、後述するガイド部18を含んでいる。このガイド部18が、本実施形態に係る電流センサ100の特徴部分である。
樹脂ケース10は、コア20及び基板40を収容すべく、樹脂材料を所定形状に成形してなり、ギャップ20Gを含むコア20の少なくとも一部と基板40とを収容する収容部11とガイド部18を少なくとも有するものである。本実施形態では、上記した収容部11とともに、固定部12及びコネクタ部13を有している。
収容部11は、垂直方向上部の端面11a(以下、上端面11aと示す)側が開放された平面略矩形状の箱構造となっており、その箱内部の領域として、基板40が配置される上部領域14と、ギャップ20Gの少なくとも一部が露出された下部領域15を有している。本実施形態では、図1及び図3に示すように、下部領域15に、ギャップ20Gの一部とコア20の一部が露出されている。上部領域14は、上端面11aから垂直方向下方へ所定深さまでの領域であり、この上部領域14の底部14aの一部が開口されて、所定深さの下部領域15が連通されている。したがって、水平方向の大きさは、下部領域15のほうが上部領域14よりも小さくなっている。また、上部領域14は、水平方向における形状が基板40の外周形状と略一致され、その大きさが基板40よりも大きくされている。そして、基板40が上部領域14に配置された状態で、図1及び図2に示すように、下部領域15、すなわちギャップ20Gを含むコア20の露出部位が、基板40によって被覆されている。また、上部領域14の底部14aには、基板40を仮位置決めしつつ底部14a上に支持する支持ピン16が複数設けられている。本実施形態では、支持ピン16も樹脂ケース10の一部として構成されており、図3に示すように、底部14a側から所定範囲に拡径部16aを有している。そして、基板40の図示しないスルーホールに挿入された状態で、拡径部16aが基板40の表面40aに当接することで、支持ピン16が基板40を底部14a上に支持するようになっている。換言すれば、垂直方向において、基板40が位置決めされるようになっている。
なお、収容部11は、上部領域14に基板40が収容された状態で、図1に示すように、開放面を蓋するように上端面11aに蓋50が固定されて、各領域14,15が閉じた領域(空間)となっている。
固定部12は、被測定電流が流れる被測定部材に電流センサ100を固定するための部位であり、被測定部材が挿通される貫通孔12aを有している。そして、貫通孔12aを取り囲むように、リング状(略C字状)のコア20の大部分が、固定部12に内包されている。また、コネクタ部13は、基板40に構成された図示しない配線部を介して、磁電変換素子30と外部機器とを電気的に接続する部位である。このコネクタ部13には、樹脂ケース10と一体成形された例えば金属からなる端子17の一端が露出されている。なお、端子17の他端は、底部14aから突出して垂直方向に延び、収容部11の上部領域14内に配置されている。
ガイド部18は、幅方向において、ギャップ20Gの略中央に磁電変換素子30を導くための部位であり、図1に示すように、コア20の両端面21のうち、一方の端面21のみと接している。本実施形態では、図1及び図3に示すように、コア20の両端面21のうち、一方の端面21のみとそれぞれ接する一対のガイド部18を有している。そして、各ガイド部18は、幅方向において相対する他方の端面21(接しない側の端面21)との対向距離が、垂直方向において基板40から離れるほど短いテーパ面18aを有している。
このテーパ面18aは、垂直方向において基板40と最も離れた下端部位が、コア20の端面21と略平行となっている。また、上記した下端部位が、垂直方向において、基板40側の端部(上端)から下端部位までの間で、他方の端面21との対向距離の最も短い部位となっている。すなわち、テーパ面18aは、下部領域15の底面15a側ほど、ギャップ20Gの略中央に近い形状となっている。また、幅方向において、テーパ面18aの下端部位におけるガイド部18の樹脂厚は、対をなすガイド部18で互いに略等しくなっており、対をなすガイド部18における下端部位間の対向距離が、磁電変換素子30における封止樹脂33の幅よりも広くなっている。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、テーパ面18aの下端部位に、端面21と略平行な平行面18bが連結されている。そして、磁電変換素子30における封止樹脂33によって被覆された部位(磁気センサチップ31)が、図1に示すように、幅方向において、対をなすガイド部18における両テーパ面18a及び両平行面18bの間に配置され、両テーパ面18a及び両平行面18bと相対している。
このように、ギャップ20Gの一部がガイド部18に占有され、対をなしたガイド部18の間に、ギャップ20Gよりも幅の狭いギャップが構成されている。そして、このガイド部18間のギャップ内に磁電変換素子30の配置されている。すなわち、ギャップ20G内に設けられたガイド部18により、幅方向において、磁電変換素子30がギャップ20Gの略中央からずれることが可能な範囲(遊び)が狭められている。
なお、本実施形態では、一例として、ガイド部18が、樹脂ケース10における他の部位と下部領域15の底面15aのみで連結され、底面15aから基板40側に突出する柱状となっている。また、水平方向であって幅方向とは略垂直な方向におけるガイド部18の長さが、コア20の幅と略等しく、基板40側の上端部位までのガイド部18の高さが、コア20の端面21の上端と略等しくされている。すなわち、端面21全面がガイド部18によって被覆されている。また、垂直方向において、上端(基板40側の端部)から一部の範囲に、垂直方向に対する傾斜角度が45度以下の角度で一定の直線的な(平面状の)テーパ面18aが設けられ、該テーパ面18aと連結する平行面18bは、下部領域15の底面15aとも連結されている。すなわち、ガイド部18において、テーパ面18aの下端部位及び平行面18bの部位が、他方の端面21との対向距離の最も短い部位となっている。さらに、幅方向において、対をなすガイド部18が、両端面21間(ギャップ20G)の中心線21c(後述する図4参照)に対して、互いに線対称の関係を満たすように構成されている。
コア20は、鉄、鉄系合金、パーマロイ等の磁性体材料からなり、互いに略平行とされた端面21間に、磁電変換素子が配置される所定幅のギャップ20Gが構成されたリング形状の部材である。このようなコア20としては、上記磁性体材料をせん断加工してなる部材を複数枚積層固定してなるものが一般的である。本実施形態では、略C字状の積層コアを採用している。このコア20は、上記したように、樹脂ケース10と一体成形、すなわち樹脂ケース10に対してインサート成形されている。そして、略C字状のコア20のうち、ギャップ20G及び該ギャップ20Gを構成する両端面21の近傍部位のみが収容部11内に配置され、ギャップ20Gの一部とコア20の一部が、下部領域15内に露出されている。
磁電変換素子30は、被測定部材に流れる被測定電流によって生じる磁界の磁束を検出し、電流値に比例した信号を出力するものであり、後述する基板40の表面40a側に実装された状態で樹脂ケース10の収容部11内に収容され、コア20のギャップ20G内に配置されている。本実施形態では、磁電変換素子30として、磁気センサチップ31(図1に示す破線部位)とリード32とが電気的に接続され、磁気センサチップ31及び磁気センサチップ31とリード32との接続部が封止樹脂33によって被覆されたモールドICを採用している。また、幅方向において、磁気センサチップ31の表面から封止樹脂33の外面までの幅(換言すれば、磁気センサチップ31上の封止樹脂33の厚さ)が、幅方向における磁気センサチップ31の表面と裏面上とで略等しくなっている。さらには、磁気センサチップ31として、ホール素子が構成された磁気センサチップを採用しており、電流センサ100が所謂磁気比例式の電流センサとなっている。なお、ホール素子以外にも、磁気抵抗素子が構成された磁気センサチップを採用することもできる。
上記構成される磁電変換素子30は、図1に示すように、封止樹脂33に被覆された部分が、コア20のギャップ20G内及び対をなすガイド部18によるギャップ内に配置され、磁気センサチップ31に構成されたホール素子が、コア20のギャップ20G内に配置されている。そして、幅方向において、ギャップ20Gの略中央に磁気センサチップ31が位置している。また、磁電変換素子30が、樹脂ケース10の収容部11における下部領域15の底面15aと離反されており、これにより、樹脂ケース10と磁電変換素子30(例えば封止樹脂33)との線膨張係数差に基づく応力の発生を抑制するとともに、樹脂ケース10に印加された外力の磁電変換素子30への伝達を抑制するようにしている。しかしながら、磁電変換素子30(封止樹脂33)の下端を下部領域15の底面15aに接触させた構成を採用することもできる。
基板40は、樹脂ケース10に構成されたコネクタ部13と磁電変換素子30とを電気的に接続する部位であり、磁電変換素子30と端子17とを電気的に接続する図示しない配線部を有している。そして、樹脂ケース10の収容部11(上部領域14)内に収容されて、収容部11内に露出されたギャップ20Gを含むコア20の部位を覆うように配置されている。また、本実施形態においては、コア20と対向する表面40aから裏面40bにかけて貫通する2種類のスルーホール41,42を有している。第1スルーホール41は、端子17における収容部11内に露出された端部側が挿入される部位であり、水平方向(幅方向)において、基板40の位置を仮位置決めする機能を果たす。そして、端子17は、その端部が第1スルーホール41を表面40a側から裏面40b側へ挿通した状態で、図示しない配線部のランドとはんだ接合されている。第2スルーホール42は、磁電変換素子30におけるリード32が挿入される部位である。磁電変換素子30の磁気センサチップ31は表面40a側に配置され、リード32が表面40a側から裏面40b側に挿通された状態で、図示しない配線部のランドとはんだ接合されている。本実施形態では、これら2種類のスルーホール41,42において、第1スルーホール41と端子17との隙間(クリアランス)のほうが、第2スルーホール42とリード32との隙間(クリアランス)よりも大きい構成となっている。
なお、基板40には、磁電変換素子30の処理回路が構成されても良い。本実施形態では、図1に示すように、基板40の裏面40bに、コンデンサやチップサーミスタなどの電子部品43が実装されている。このように、電子部品43として、チップサーミスタ等の温度センサ素子が実装された構成とすると、電流計測だけでなく温度計測も可能な、温度センサ付電流センサとすることができる。
次に、上記した電流センサ100の製造方法について説明する。図4は、図1に示す電流センサの製造工程のうち、ケース準備工程を示す断面図である。図5,6は、電流センサの製造工程のうち、基板の位置決め工程を示す断面図である。
図示しないが、先ず、表面40a側に磁電変換素子30が実装された基板40を準備する基板準備工程を実施する。本実施形態では、上記した2種類のスルーホール41,42や図示しない配線部が形成され、磁電変換素子30とは別の電子部品43が実装された基板40を準備する。なお、磁電変換素子30は、リード32が第2スルーホール42に挿通されて実装されている。また、第1スルーホール41と端子17との隙間(クリアランス)のほうが、第2スルーホール42とリード32との隙間(クリアランス)よりも大きくなるように、2種類のスルーホール41,42をそれぞれ形成する。なお、磁電変換素子30は、基板40の表面40aから磁電変換素子30が延びる方向が、垂直方向と略一致するように、磁電変換素子30が基板40に実装されている。
また、図4に示すように、ギャップ20Gを有するリング形状のコア20が一体成形(インサート成形)され、収容部11(下部領域15)内にコア20のギャップ20Gが露出されるとともに、上記した構造のガイド部18を有する樹脂ケース10を準備するケース準備工程を実施する。すなわち、このケース準備工程では、コア20をインサート部品とし、その一部としてガイド部18を有する樹脂ケース10を、射出成形によって形成する。この工程により、コア20は、ギャップ20Gの一部を含む一部位のみが、樹脂ケース10の収容部11内に露出(上部領域14の底部14aを介して上部領域14側に露出)され、それ以外の部位はその周囲を樹脂ケース10によって包まれて位置決め保持される。本実施形態では、上記した収容部11、固定部12、コネクタ部13、及びガイド部18を有する樹脂ケース10を形成する。また、コア20とともに、導電材料からなる端子17も一体成形する。そして、端子17は、一端がコネクタ部13に露出され、他端が収容部11(上部領域14)に露出された状態で樹脂ケース10に保持される。
次に、図5に示すように、コア20のギャップ20Gに磁電変換素子30が位置し、露出されたコア20を基板40が覆うように、基板40を樹脂ケース10の収容部11内に位置決め配置する位置決め工程を実施する。本実施形態では、表面40aがコア20と対向し、第1スルーホール41を端子17が挿通し、図示しないスルーホールを支持ピン16(図2,3参照)が挿通するように、垂直方向におけるコア20に近づく方向(図5の白抜き矢印で示す方向、以下単に下方と示す)に基板40を移動させる。このとき、第1スルーホール41と端子17との隙間(クリアランス)と、スルーホールと支持ピン16との隙間(クリアランス)は同程度となっており、これら端子17と支持ピン16により、水平方向(幅方向)において、基板40の位置が仮位置決めされる(基板40の大まかな位置が決定される)。換言すれば、後述する寸法ばらつきや位置ずれなどが生じても、磁電変換素子30(封止樹脂33によって被覆された磁気センサチップ31)が、ガイド部18のテーパ面18aに接するように、端子17と支持ピン16の対応するスルーホールとのクリアランスが決定されている。また、基板40は、表面40aが複数の支持ピン16の拡径部16a(図3参照)に当接し、これにより、垂直方向において、基板40の位置が決定される。
ここで、電流センサ100にて被測定電流を精度良く検出するためには、幅方向における磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置を、ギャップ20Gを構成するコア20の両端面21間の略中央、すなわち両端面21間(ギャップ20G)の中心線21cにできる限り一致させることが好ましい。しかしながら、樹脂ケース10、コア20、基板40、磁電変換素子30の寸法ばらつき、第1スルーホール41や第2スルーホール42の寸法や形成位置のばらつき、インサート成形時の樹脂ケース10に対するコア20や端子17の位置ずれ(位置ばらつき)、基板40に実装される磁電変換素子30の位置ばらつきなどの要因により、磁電変換素子30の位置が両端面21間の略中央とはならず、例えば図5に示すように、一方の端面21側にずれた配置となることも考えられる。
これに対し、本実施形態では、樹脂ケース10の一部として、上記した構造のテーパ面18aを有するガイド部18を、ギャップ20Gを構成するコア20の両端面21にそれぞれ接触させて設けている。したがって、幅方向において、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置がギャップ20Gの略中央(中心線21c)に対して一方の端面21側にずれていたとしても、第1スルーホール41を端子17が挿通し、図示しないスルーホールを支持ピン16が挿通するように基板40を下方に移動させることで、図5に示すように、一方のガイド部18におけるテーパ面18aに磁電変換素子30(封止樹脂33)を接触させることができる。また、上記したように、支持ピン16が挿通されたスルーホールと、端子17が挿通された第1スルーホール41が、支持ピン16及び端子17との間で所定のクリアランスを有しているので、基板40をテーパ面18aに接触した状態でさらに下方に移動させることで、テーパ面18aに沿って磁電変換素子30を移動させ、幅方向における磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置を、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)に近づけることができる。そして、基板40の表面40aが複数の支持ピン16の拡径部16aに当接した状態で、磁電変換素子30の位置を、ギャップ20Gの略中央とすることができる。
なお、コア20の両端面21に接してガイド部18をそれぞれ設けているので、図5と反対側の端面21側に磁電変換素子30がずれていても、同様にギャップ20Gの略中央とすることができる。本実施形態では、幅方向において、ギャップ20Gの幅が3mm程度、磁電変換素子30(封止樹脂33)の幅が1.5mm程度、ガイド部18におけるテーパ面18aの下端部位及び平行面18bの部位の厚さが0.65mm程度、磁気センサチップ31がギャップ20Gの略中央(中心線21c)と略一致した状態で、両ガイド部18における平行面18b及びテーパ面18aの下端部位と磁電変換素子30(封止樹脂33)のクリアランスが、ともに0.1mm程度となっている。したがって、磁電変換素子30をギャップ20Gに挿入する際に、磁気センサチップ31がギャップ20Gの略中央(中心線21c)と略一致している場合には、いずれのガイド部18(テーパ面18a)とも接触させずに、磁電変換素子30の位置を、ギャップ20Gの略中央とすることができる。
そして、樹脂ケース10(コア20)に対し、基板40の位置が決定された状態で、基板40を樹脂ケース10に固定する。本実施形態では、第1スルーホール41を挿通する複数の端子17と、対応するランドとをはんだ接合することで、端子17を介して基板40を樹脂ケース10に固定する。これにより、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)に、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)が位置決め固定された状態となる。そして、図示しない蓋50を、樹脂ケース10の収容部11の上端面11a上に載置し、接着や溶着などにより固定することにより、図1に示した電流センサ100を得ることができる。
次に、本実施形態に係る電流センサ100及びその製造方法の特徴部分の効果について説明する。先ず、樹脂ケース10の一部として、テーパ面18aを有するガイド部18を、ギャップ20Gを構成するコア20の両端面21にそれぞれ接して設けている。したがって、コア20が一体成形された樹脂ケース10の収容部11内に、磁電変換素子30の実装された基板40を配置する際、幅方向において、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置がギャップ20Gの略中央(中心線21c)に対して、いずれか一方の端面21側にずれていたとしても、磁電変換素子30(封止樹脂33)が少なくとも一方のテーパ面18aに接しつつギャップ20Gの奥側へ挿入されるため、磁電変換素子30の位置を、ギャップ20Gの略中央とすることができる。このように、テーパ面18aを有するガイド部18によって磁電変換素子30をギャップ20Gの略中央へ導くことができるので、コア20が樹脂ケース10と一体成形された構成において、コア20のギャップ20Gに対する磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置精度を向上し、ひいては外乱磁界による特性変動が低減された電流センサ100とすることができる。
なお、本発明者は、ギャップ20Gに対する磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置と、外乱磁界(外乱ノイズ)による特性変動との関係について確認している。図7は、コアのギャップに対する磁電変換素子の位置と外乱磁界との関係を模式的に示した平面図である。図8は、磁電変換素子の位置ずれと外乱磁界により生じる誤差電流との関係を示す図である。なお、図7に示すように、水平方向に沿い、且つ、幅方向(端面21間に作用する磁束の向き)に対して略垂直な方向に、2.0mTの外乱磁界が作用するものとした。その結果、図8から、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)がコア20の両端面21の中央位置(中心線21c)からずれるほど、誤差電流が大きくなる、すなわち特性変動が大きくなることが明らかである。これに対し、本実施形態によれば、コア20のギャップ20Gに対して磁電変換素子30が精度良く位置決めするので、外乱磁界による特性変動が低減された電流センサ100を得ることができる。
また、本実施形態では、樹脂ケース10の一部としてガイド部18を設けるので、製造工程を簡素化することができる。さらに、ガイド部18を樹脂ケース10とは別部材のガイド部を樹脂ケース10に固定する構成に比べて、ギャップ20G内におけるガイド部18の位置精度を向上することができる。
また、本実施形態では、対をなすガイド部18が、テーパ面18aに連結された平行面18bを有し、幅方向において、各ガイド部18におけるテーパ面18aの下端部位間(平行面18b間)の対向距離が磁電変換素子30(封止樹脂33)の幅よりも広くされている。したがって、基板40を樹脂ケース10に位置決め配置し、固定した組み付け状態で、幅方向において磁電変換素子30が両ガイド部18によって拘束されていないため、樹脂ケース10と磁電変換素子30とを構成する材料の線膨張係数差に基づく応力を抑制することができる。また、樹脂ケース10に印加された外力の、磁電変換素子30への作用も抑制することができる。
しかしながら、幅方向において、対をなすガイド部18におけるテーパ面18aが、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)に対して線対称の形状とされ、テーパ面18aにおける下端部位間の対向距離が、磁電変換素子30(封止樹脂33)の幅よりも狭くされ、磁電変換素子30が、両ガイド部18におけるテーパ面18aと接触された構成としても良い。図9に示す例では、各端面21を被覆するガイド部18が、その上端から下部領域15の底面15aまでテーパ面18aを有しており、垂直方向において、両テーパ面18aにおける下端部位よりも上方(基板40側)の位置に、磁電変換素子30が接触されている。この場合、対称形状とされた両テーパ面18aに磁電変換素子30が接することで磁電変換素子30の位置が決定されるので、コア20のギャップ20Gに対する磁電変換素子30の位置精度をさらに向上することができる。この場合、支持ピン16の拡径部16aに基板40の表面40aが接触するとともに、両テーパ面18aに磁電変換素子30が接するように、基板40からの磁電変換素子30(封止樹脂33)の位置やガイド部18(テーパ面18a)の形状を決定しておく。図9は、電流センサの変形例の概略構成を示す断面図である。
なお、本実施形態では、対をなすガイド部18の形状を、中心線21cに対して線対称とする例を示した。しかしながら、位置決め状態で、磁電変換素子30を両ガイド部18と接触させない構成(ガイド部18間に構成されるギャップにおける磁電変換素子30と対向する部分のうち、最も狭い部位の幅のほうが、磁電変換素子30の幅よりも広い構成)の場合、上記した最も狭い部位における樹脂厚が互いに略等しい関係を満たす範囲で、ガイド部18の形状を非対称とすることもできる。例えば、対をなすガイド部18で、テーパ面18aの角度を異なる角度とすることもできる。さらには、垂直方向において、対をなすガイド部18で、テーパ面18aの形成範囲を異ならせた構成とすることもできる。また、本実施形態では、テーパ面18aを平面とする例を示したが、曲面を採用することも可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図10及び図11に基づいて説明する。図10は、第2実施形態に係る電流センサにおいて、磁電変換素子が配置される前のガイド部周辺を示す平面図である。図11は、第2実施形態に係る電流センサの概略構成を示す断面図である。なお、図10においては、便宜上磁電変換素子を破線で示し、基板及びガイド部を除く樹脂ケースの部位を省略して図示している。
第2実施形態に係る電流センサ及びその製造方法は、第1実施形態に示した電流センサ及びその製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態では、その変形例(図9参照)として、磁電変換素子30を、両端面21上に設けたガイド部18のテーパ面18aに接触させる例を示した。しかしながら、この場合、支持ピン16の拡径部16aに基板40の表面40aが接触するとともに、両テーパ面18aに磁電変換素子30が接するようにしなければならない。
これに対し、本実施形態においては、図10に示すように、両ガイド部18におけるテーパ面18aの下端部位間の対向距離が、磁電変換素子30が配置されない状態で、磁電変換素子30の幅よりも狭くされている。そして、磁電変換素子30は、弾性変形されたガイド部18と接触され、図11に示すように、ギャップ20G内に圧入配置されている。
具体的には、図10に示すように、対向する2組(計4つ)のガイド部18が、水平方向に沿い、且つ、幅方向に略垂直な方向(以下、単に幅方向に垂直な方向と示す)において、対応する端面21の一部のみと接し、垂直方向において、下部領域15の底面15aから端面21の上端まで設けられている。また、4つのガイド部18は、対応する端面21から離反するほど幅方向に垂直な方向の長さが短い平面三角形となっており、互いに形状及び大きさが同じとなっている。すなわち、各ガイド部18は、弾性変形可能な三角柱状となっている。このように、水平方向に沿う平面形状を三角形とすると、幅方向の樹脂厚及び水平方向であって幅方向に略垂直な方向における端面21との接触部位での樹脂厚を同じとする矩形よりもばね定数が小さくなるので、ギャップ20G内に磁電変換素子30を挿入しやすくすることができる。そして、三角柱状の各ガイド部18において、端面21の上端と略一致する上端部位から一部範囲にテーパ面18aが設けられている。また、幅方向において、対応する端面21から離反した三角形の頂点部位(以下、単に頂点と示す)の間の対向距離が、図10に示すように、磁電変換素子30の幅よりも狭くなっている。
この場合、第1実施形態にて示したように、幅方向において、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置がギャップ20Gの略中央(中心線21c)に対して一方の端面21側にずれていたとしても、磁電変換素子30がいずれか一方のテーパ面18aに接した状態でさらに基板40を下方に移動させるので、磁電変換素子30の位置を、ギャップ20Gの略中央とすることができる。そして、さらに基板40を下方に移動させることで、テーパ面18aにより、ギャップ20Gの略中央に位置された磁電変換素子30が、対をなすガイド部18を弾性変形させながら、ギャップ20Gの奥側へ挿入(圧入)される。詳しくは、平面三角形の各ガイド部18における頂点付近を潰しながら、ギャップ20Gの奥側へ挿入(圧入)される。したがって、支持ピン16の拡径部16aに基板40の表面40aが接触した状態で、磁電変換素子30の位置を、ギャップ20Gの略中央とすることができる。また、磁電変換素子30を、弾性変形可能な対をなすガイド部18によって保持することができる。
このように、本実施形態では、ギャップ20Gを構成する両端面21上に設けた弾性変形可能なガイド部18によって磁電変換素子30(磁気センサチップ31)をギャップ20Gの略中央へ導くことができる。したがって、コア20が樹脂ケース10と一体成形された構成において、コア20のギャップ20Gに対する磁電変換素子30の位置精度を向上し、ひいては外乱磁界による特性変動が低減された電流センサ100とすることができる。さらには、本実施形態においても、樹脂ケース10の一部としてガイド部18を設けるので、製造工程を簡素化するとともに、ガイド部18の位置精度を向上することができる。
また、ギャップ20G内に磁電変換素子30を挿入配置するにあたり、ガイド部18が弾性変形するので、ガイド部18に接触することで受ける磁電変換素子30の応力を低減することができる。
なお、本実施形態では、ガイド部18の平面形状を三角形とする例をしめしたが、平面形状は上記例に限定されるものではない。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図12及び図13に基づいて説明する。図12は、第3実施形態に係る電流センサの概略構成を示す断面図である。図13は、図12に示す電流センサの製造工程のうち、基板の位置決め工程を示す断面図である。
第3実施形態に係る電流センサ及びその製造方法は、上記各実施形態に示した電流センサ及びその製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
上記した各実施形態では、樹脂ケース10の一部として設けたガイド部18により、幅方向における磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置を、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)とする例を示した。これに対し、本実施形態では、磁電変換素子30を構成する封止樹脂33にテーパ部33aを設けることで、幅方向における磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置を、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)とする点を特徴とする。
図12に示すように、本実施形態においても、磁電変換素子30として、磁気センサチップ31とリード32とが電気的に接続され、磁気センサチップ31及び該磁気センサチップ31とリード32との接続部が封止樹脂33によって被覆されたモールドICを採用している。そして、封止樹脂33には、垂直方向において基板40から離れるほど幅方向における厚さが薄くされたテーパ部33aが設けられ、テーパ部33aにおけるテーパ状の外面の少なくとも一部が、両端面21と相対している。一例として、本実施形態では、図12に示すように、垂直方向において基板40から最も離れた部位から所定範囲に、すなわち磁電変換素子30のギャップ20Gへの挿入先端にテーパ部33aが設けられている。また、テーパ部33aにおいて、幅方向の樹脂厚が最も厚い部位(テーパ部33aにおける基板40に最も近い部位)の樹脂厚が、ギャップ20Gの幅より薄くなっており、テーパ部33a全体がギャップ20G内に挿入配置されている。そして、テーパ部33aにおけるテーパ状の外面全体が、両端面21と相対している。
このようにテーパ部33aを有する磁電変換素子30を用いると、幅方向において、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置がギャップ20Gの略中央(中心線21c)に対して一方の端面21側にずれていたとしても、磁電変換素子30は、封止樹脂33におけるテーパ部33aのテーパ面をいずれか一方の端面21における上端、すなわち端面21とコア20の上面(基板40との対向面)の角部22に接触させつつギャップ20Gの奥側へ挿入される。したがって、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置を、ギャップGの略中央とすることができる。これにより、コア20が樹脂ケース10と一体成形された構成において、コア20のギャップ20Gに対する磁電変換素子30の位置精度を向上し、ひいては外乱磁界による特性変動が低減された電流センサ100とすることができる。
本実施形態では、幅方向において、ギャップ20Gの幅が3mm程度、磁電変換素子30におけるテーパ部33aの最も厚い部位の樹脂厚が2.8mm程度となっている。したがって、磁電変換素子30をギャップ20Gに挿入する際に、磁気センサチップ31がギャップ20Gの略中央(中心線21c)と略一致している場合には、いずれの角部22とも接触させずに、磁電変換素子30の位置を、ギャップ20Gの略中央とすることができる。
なお、本実施形態では、封止樹脂33のテーパ部33a全体が、ギャップ20G内に配置される例を示した。しかしながら、例えば図14に示すように、幅方向において、テーパ部33aにおけるテーパ状の外面が、磁気センサチップ31の厚さ方向の中心を中心線とした線対称の形状とし、テーパ部33aが両角部22に接触する構成としても良い。なお、図14に示す例では、垂直方向において、封止樹脂33全体がテーパ部33aとなっている。この場合、対称形状とされたテーパ部33aの外面が両角部22と接することで磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置が決定されるので、コア20のギャップ20Gに対する磁電変換素子30の位置精度をさらに向上することができる。図14は、電流センサの変形の概略構成を示す断面図である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図15及び図16に基づいて説明する。図15は、第4実施形態に係る電流センサの概略構成を示す断面図である。図16は、図12に示す電流センサの製造工程のうち、基板の位置決め工程を示す断面図である。
第4実施形態に係る電流センサ及びその製造方法は、上記各実施形態に示した電流センサ及びその製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態及び第2実施形態では、コア20の両端面21に対をなすガイド部18を設ける例を示した。これに対し、本実施形態では、例えば図15に示すように、樹脂ケース10の一部として、コア20の両端面21のうちの一方のみに所定厚さのガイド部18が設けられている。そして、磁電変換素子30が、幅方向において、ガイド部18における端面21との接触面の裏面と接触されている点を特徴とする。
図15に示す例では、ガイド部18を設けた側の端面21及びその近傍部位が樹脂ケース10によって被覆されている。そして、ガイド部18は、角部22を含み、コア20の上面から端面21にかけて形成されている。なお、幅方向におけるテーパ面18aの長さは、第1実施形態で示した磁電変換素子30の幅方向における位置ばらつきの要因が生じても、基板40の位置決め時において磁電変換素子30(封止樹脂33)が接触するように所定の長さに設定されている。また、本実施形態においても、テーパ面18aに平行面18bが連結されており、幅方向において、ガイド部18における平行面18bを表面とする部位の樹脂厚が、該樹脂厚と、磁電変換素子30における磁気センサチップ31の中心から封止樹脂33の表面までの厚さの和が、端面21から中心線21cまでの距離と略一致するように設定されている。そして、ガイド部18における平行面18bに磁電変換素子30の封止樹脂33が接触されている。
このような電流センサ100は、例えば以下に示す製造方法により形成することができる。先ず、コア20が一体成形され、コア20の端面21の一方に接する上記した構成のガイド部18を備えた樹脂ケース10を準備する。また、図16に示すように、リード32が、基板40の表面40a側における折曲部32aにて、リード32が垂直方向に対して折曲され、封止樹脂33によって被覆された磁電変換素子30における平板状の部位(換言すれば磁気センサチップ31)が、垂直方向に対してガイド部18を設けた側に所定角度傾いた状態とされた基板40を準備する。このような基板40は、磁電変換素子30を基板40に実装する前にリード32を折曲するか、若しくは、基板40に実装された状態で、リード32を折曲することで形成することで得ることができる。なお、磁電変換素子30における平板状の部位(磁気センサチップ31)の、垂直方向に対してなす角度(傾き角度)は、磁電変換素子30の幅方向における位置ばらつきの要因が生じても、上記したテーパ面18aに磁電変換素子30が接触するように設定される。
そして、準備した基板40と樹脂ケース10を用い、樹脂ケース10に基板40を位置決め固定する。本実施形態では、第1スルーホール41を端子17が挿通し、図示しないスルーホールを支持ピン16が挿通するように、下方に基板40を移動させる。このとき、上記した傾き角度とテーパ面18aの設定により、磁電変換素子30はガイド部18のテーパ面18aに接触する。そして、さらに基板40を下方に移動させると、折曲部32aにて折曲されたリード32にばね性が付与されているので、磁電変換素子30は、テーパ面18aに接触しつつギャップ20Gの奥側へ挿入され、ガイド部18における平行面18bに接触される。また、リード32は、磁電変換素子30がギャップ20Gの略中央に近づくにつれて折曲を解消する方向に変形し、これにより、磁電変換素子30における平板状の部位が平行面18bに接触される。ガイド部18における平行面18bを表面とする部位の樹脂厚は、上記した所定厚さとなっており、この接触状態で、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置を、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)とすることができる。
このように本実施形態によれば、樹脂ケース10の一部として、所定厚さのガイド部18を、ギャップ20Gを構成するコア20の両端面21のうち、一方の端面21のみに接して設けている。そして、磁電変換素子30を、ガイド部18の平行面18bに接触させている。すなわち、幅方向において、所定厚さのガイド部18を介して、磁電変換素子30がガイド部18を設けた端面21に接触されている。したがって、ガイド部18を設けた端面21を基準として、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置をギャップ20Gの略中央(中心線21c)とすることができる。これにより、コア20が樹脂ケース10と一体成形された構成において、コア20のギャップ20Gに対する磁電変換素子30の位置精度を向上し、ひいては外乱磁界による特性変動が低減された電流センサ100とすることができる。
また、このような電流センサ100を、基板40を下方に移動させることのみよって得ることができる。さらには、樹脂ケース10の一部としてガイド部18を設けるので、製造工程を簡素化するとともに、ガイド部18の位置精度を向上することができる。
なお、上記した電流センサ100と基本構成が同じ電流センサ100を別の製造方法により形成することもできる。例えば図17に示す電流センサ100は、図15に示した電流センサ100と、ほぼ同じ構成となっている。異なる点は、ガイド部18がコア20における端面21のみを被覆する柱状とされ、端面21の上端と略一致するガイド部18の上端から所定範囲がテーパ面18aとなっている。
図17に示す電流センサ100を形成するには、上記同様、コア20が一体成形され、コア20の端面21の一方に接するガイド部18を備えた樹脂ケース10を準備する。また、図18に示すようにリード32の折曲されていない基板40を準備する。そして、図18に示すように、第1スルーホール41を端子17が挿通し、図示しないスルーホールを支持ピン16が挿通するように、例えば基板40を少なくとも下方に移動させて、磁電変換素子30(封止樹脂33)をギャップ20G内におけるガイド部18を除く領域に配置する。この時点で、基板40の表面40aが支持ピン16の拡径部16aに接触された状態となる。次に、図19に示すように、磁電変換素子30(封止樹脂33)がガイド部18の平行面18bに接触することで移動が止まるまで、磁電変換素子30がガイド部18に近づくように幅方向に例えば基板40を移動させ、磁電変換素子30を位置決めする。すなわち、磁電変換素子30をガイド部18に当て止めする。上記同様、ガイド部18における平行面18bを表面とする部位の樹脂厚は所定厚さとなっており、この接触状態で、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置を、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)とすることができる。
このように2段階の移動によって、磁電変換素子を、ガイド部における端面との接触面の裏面に接触させることによっても、図15や図17に示す電流センサ100を形成することができる。この場合、リード32の折曲を不要とすることができる。また、2段階の移動を用いた製造方法によれば、テーパ面18aを有さないガイド部18を採用することもできる。しかしながら、ギャップ20G内にガイド部18を設けるので、ガイド部18の基板側上部に磁電変換素子30が接触することも考えると、テーパ面18aを有する構成とすることが好ましい。図17は、電流センサの変形例の概略構成を示す断面図である。図18及び図19は、図17に示す電流センサの製造工程のうち、基板位置決め工程を示す断面図である。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図20〜図22に基づいて説明する。図20は、第5実施形態に係る電流センサの概略構成を示す断面図である。図21及び図22は、図20に示す電流センサの製造工程のうち、基板の位置決め工程を示す断面図である。
第5実施形態に係る電流センサ及びその製造方法は、上記各実施形態に示した電流センサ及びその製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第4実施形態では、一方の端面21上に設けた所定厚さのガイド部18に磁電変換素子30を接触させることで、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置が、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)とされている例を示した。これに対し、本実施形態では、例えば図20に示すように、磁気センサチップ31を被覆する封止樹脂33を、幅方向において、磁気センサチップ31の一面上の厚さが該一面の裏面上の厚さよりも厚い所定厚さとしている。詳しくは、磁気センサチップ31の一面上に位置する封止樹脂33の表面から磁気センサチップ31の中心までの厚さが、端面21から中心線21cまでの距離と略一致するように設定されている。そして、封止樹脂33における厚い側の外面を当接面としてコア20の端面21の一方に磁電変換素子30を接触させることで、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置が、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)とされている点を特徴とする。
このような電流センサ100は、例えば以下の製造方法によって形成することができる。先ず、コア20が一体成形された樹脂ケース10を準備する。また、表面40a側に磁電変換素子30が実装された基板40を準備する。このとき、図20に示すように、幅方向における封止樹脂33の樹脂厚が、磁気センサチップ31の一面上とその裏面上とで異なり、一面上の方が厚い所定厚さとされた磁電変換素子30を用いる。このような磁電変換素子30は、トランスファーモールド法において用いる金型を調整することで得ることができる。
そして、準備した基板40と樹脂ケース10を用い、樹脂ケース10に基板40を位置決め固定する。先ず図21に示すように、第1スルーホール41を端子17が挿通し、図示しないスルーホールを支持ピン16が挿通するように、例えば基板40を少なくとも下方に移動させて、磁電変換素子30(封止樹脂33)をギャップ20G内に配置する。この時点で、基板40の表面40aが支持ピン16の拡径部16aに接触された状態となる。次に、図22に示すように、磁電変換素子30における封止樹脂33の厚い側の表面が一方の端面21に接触することで移動が止まるまで、磁電変換素子30が端面21に近づくように幅方向に例えば基板40を移動させ、磁電変換素子30を位置決めする。すなわち、磁電変換素子30を端面21に当て止めする。上記したように、磁気センサチップ31の一面上における封止樹脂33の厚さは所定厚さとなっており、この接触状態で、磁電変換素子30(磁気センサチップ31)の位置を、ギャップ20Gの略中央(中心線21c)とすることができる。
このように本実施形態によれば、磁電変換素子30としてのモールドICを構成する封止樹脂33において、磁気センサチップ31の一面上の厚さを、該一面の裏面上の厚さよりも厚い所定厚さとしている。そして、磁電変換素子30を、封止樹脂33における厚い側の外面を当接面として、コア20の端面21の一方に接触させている。したがって、端面21を基準とし、所定厚さの封止樹脂33を介して、磁気センサチップ31をギャップ20Gの略中央とすることができる。これにより、コア20が樹脂ケース10と一体成形された構成において、コア20のギャップ20Gに対する磁電変換素子30の位置精度を向上し、ひいては外乱磁界による特性変動が低減された電流センサ100とすることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。