本発明の製造方法で製造される半導体装置の第1例を、図1の概略斜視図、図2のA−A’線を含む縦断面図、図3のB−B’線を含む縦断面図、図4のC−C’線を含む縦断面図および図5のD−D’線を含む縦断面図によって説明する。なお、図1は概略構成を示す図であり、構成部品の一部の図示は省略されている。また図3、図5では層間絶縁膜の図示を省略している。
以下、主に図1および図2を参照して、半導体装置1の構成を説明する。
半導体基板11にトランジスタが形成される素子形成領域12を電気的に分離する素子分離領域13が形成されている。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用い、上記素子分離領域13は、通常のSTI(Shallow Trench Isolation)構造のものが形成されている。したがって、上記素子分離領域13に挟まれた半導体基板11部分が素子形成領域12となっている。
上記素子形成領域12に形成されるチャネル領域14の両側に形成された上記素子分離領域13の上部は、その素子分離領域13表面よりチャネル領域14が突き出るように、素子分離領域13に窪み15が形成されている(図3のB−B’線を含む縦断面図および図5のC−C’線を含む縦断面図も参照)。したがって、チャネル領域14の両側の素子分離領域13に対してチャネル領域14のみが素子分離領域13より突き出るように形成されている。ここで、窪み15の底面における素子分離領域13表面からのチャネル領域14の突き出し量は、例えば3nm以上30nm以下とする。(またチャネル幅を0.5μm以下とする。)こうすることにより、チャネル領域14のゲート幅方向(X方向)に有効な応力が印加される。なお、突き出し量が3nmよりも少ないと、素子分離領域13の応力の影響を受けて、窪み15を形成することでチャネル領域14を突き出すように形成した効果が得られない。また30nmよりも高く突き出させると、チャネル領域14の下部に働く素子分離領域13の応力の開放が飽和し、それ以上、チャネル領域14に応力が発生しなくなる。
図3のB−B’線を含む縦断面図に示すように、チャネル領域14では、素子分離領域13からの直接の応力の影響が抑制される。すなわち、チャネル領域14では、素子分離領域13からの応力の影響を直接受けるチャネル領域14下部の半導体基板11部分の応力(矢印Aで示す)が解放される方向に応力(矢印Bで示す)が発生する。また窪み15の深さを制御することで、チャネル領域14の突き出し量を調整することができる。なお、上記チャネル領域14を含めてソース・ドレイン領域27、28の表面は、例えば、他の領域の半導体基板11表面とほぼ同じ高さに形成されている。
一般に、STI構造の素子分離領域13を形成するために埋め込む絶縁膜(例えば高密度プラズマ(HDP)酸化シリコン膜など)は、圧縮応力を持つことが知られており、チャネル領域14のゲート幅方向に与える応力の方向としては、移動度を劣化させる方向に働く。上記説明した本発明の構成では、チャネル領域14は、素子分離領域13からの直接の圧縮応力の影響が抑制され、素子分離領域13からの圧縮応力の影響を直接受けるチャネル領域14下部の半導体基板11部分の圧縮応力が解放される方向、すなわち引張応力が発生する。これによって、チャネル領域14のゲート幅方向には、トランジスタの移動度を向上させる方向の引張応力が働くことになる。
上記半導体基板11上には、ゲート絶縁膜21を介してゲート電極22が形成されている。このゲート電極22は、上記チャネル領域14上を通り、例えば上記窪み15上に至るように形成されている。上記ゲート絶縁膜21には、例えば、高誘電率(High−k)膜を用いることができる。高誘電率膜には、例えば窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)膜、窒化もしくは酸化もしくは窒酸化ハフニウム膜、窒化もしくは酸化もしくは窒酸化アルミニウム膜等を上げることができる。なお、上記ゲート絶縁膜21には、通常の酸化シリコン膜を用いることもできる。上記ゲート電極22には、例えば、金属ゲート用の金属もしくは金属化合物の単層構造もしくは積層構造のものを用いることができる。なお、上記ゲート電極22にはポリシリコンを用いることもできる。上記ハードマスク23には、例えば窒化シリコン膜を用いる。
上記ゲート電極22(上記ゲート絶縁膜21も含む)の側壁にはオフセットスペーサ23が形成されている。このオフセットスペーサ23は、例えば1nm〜10nm程度の絶縁薄膜で形成されている。この絶縁薄膜は、例えば、上記素子分離領域13に対してエッチング選択性を有する絶縁膜が用いられ、例えば窒化シリコン(SiN)で形成する。
上記ゲート電極22の両側において、上記オフセットスペーサ23を介した半導体基板11には、エクステンション領域24、25が形成されている。このエクステンション領域24、25は、例えばNMOSトランジスタを形成する場合にはヒ素(As+)、リン(P+)等のn型の不純物が用いられ、PMOSトランジスタを形成する場合にはホウ素(B+)、インジウム(In+)等のp型の不純物が用いられて、浅い接合で形成されている。
さらに、上記ゲート電極22の両側には、上記オフセットスペーサ23を介してサイドウォールスペーサ26が形成されている。上記ゲート電極22の両側における半導体基板11には、上記エクステンション領域24、25をそれぞれに介して、ソース・ドレイン領域27、28が形成されている。上記ソース・ドレイン領域27、28上には、低抵抗化層31、32が形成されている。この低抵抗化層31、32は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)またはそれらの化合物により形成される。化合物としては、それらの金属の金属シリサイドがあげられる。このソース・ドレイン領域27、28は、図4のD−D’線を含む縦断面図にも示すように、その両側(ゲート幅方向)に形成されている素子分離領域13部分の表面よりも、深い位置まで形成されている。したがって、ソース・ドレイン領域27、28(27、28:図4には図示せず)表面に例えばサリサイドプロセスによって低抵抗化層31、32(31、32:図4には図示せず)を形成しても、低抵抗化層31、32が半導体基板11に接近するもしくは接続されることはない。これによって、低抵抗化層31、32から半導体基板11への電流リークが発生することはない。
さらに、上記半導体基板11に形成された上記構成の半導体装置1を被覆するように、上記半導体基板11上には層間絶縁膜41が形成されている。なお、図示はしていないが、上記層間絶縁膜41には、上記ゲート電極22、ソース・ドレイン領域27、28に接着されるコンタクト部、各コンタクト部に接続される配線等が形成される。
上記構成の半導体装置1によれば、ゲート電極22直下のチャネル領域14にトランジスタ特性(キャリア移動度)有利なゲート幅方向に応力を発生させることができるため、トランジスタのオン電流Ionを向上させることができるので、トランジスタ性能の向上が図れるという利点がある。また、ソース・ドレイン領域27、28の接合位置が素子分離領域の表面より深い位置にあることから、ソース・ドレイン領域27、28表面に低抵抗化のためのシリサイド層からなる低抵抗化層31、32を形成したとしても、低抵抗化層31、32と半導体基板11との間で電流リークが発生することがない。これによって、半導体装置(トランジスタ)1の信頼性の向上が図れる。さらに、上記効果は、ゲート幅の小さい半導体装置(トランジスタ)1ほど大きな効果が得られる。
さらに、前記図23(1)、(2)に示したように、このオン電流Ion改善の効果は、チャネル領域にもともとかかっているy方向の応力が大きいほど大きく、pMOSFETに対しては、ソース・ドレイン領域をシリコンゲルマニウムエピタキシャル層で形成したり、コンプレッシブストレスライナーを被覆することでy方向への応力を加えておくこと、またnMOSFETに対しては、ソース・ドレイン領域を炭化シリコンエピタキシャル層で形成したり、テンサイルストレスライナーを被覆することでy方向への応力を加えておくことが、より大きな効果を得ることができる。これらについては、後に本発明の半導体装置の第2実施例、第3実施例として説明する。
次に、本発明の半導体装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を、図6〜図14の製造工程断面図によって説明する。この製造方法では、前記半導体装置1の構成を製造する一例を説明する。なお、図6、図10、図11、図14等はいわゆるゲート幅方向の断面(前記図1中のB−B’線を含む縦断面に相当する位置の断面)であり、図7〜図9、図12〜図13はいわゆるゲート長方向の断面(前記図1中のA−A’線を含む縦断面に相当する位置の断面)である。
図6に示すように、半導体基板11にトランジスタが形成される素子形成領域12を電気的に分離する素子分離領域13を形成する。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用い、上記素子分離領域13は、通常のSTI(Shallow Trench Isolation)構造のものを形成する。
次に、図7(1)に示すように、上記半導体基板11上に、この半導体基板11中に不純物を導入するイオンインプランテーション(Ion Implantation)を行う際のチャネリング防止用の保護膜(図示せず)を形成する。この保護膜は、例えば酸化シリコン(SiO2)膜で形成する。その形成方法は、一例として、半導体基板11表面を酸化することによる。
次に、トランジスタの素子分離およびしきい値調整を行うための不純物注入をイオンインプランテーションにより行う。イオンインプランテーション後、先ほどのイオンインプランテーション保護膜の酸化シリコン(SiO2)膜を除去し、半導体基板11表面を露出させる。
次に、上記半導体基板11上に、ダミーゲート絶縁膜51、ダミーゲート52、ハードマスク53を順に形成する。
まず、半導体基板11上に、ダミーゲート絶縁膜51を、例えば酸化膜を約1nm〜3nmの厚さに形成する。次いで、上記ダミーゲート絶縁膜51上にダミーゲート形成膜を形成する。このダミーゲート形成膜は、例えば多結晶シリコン(ポリシリコン)を100nm〜200nm程度の厚さに堆積して形成される。その成膜方法は、例えば化学気相成長(CVD)法を用いる。さらに、ダミーゲート形成膜上にハードマスク層を、例えば窒化シリコン膜で形成する。この窒化シリコン膜は、例えば30nm〜100nmの厚さに、例えば化学気相成長(CVD)法を用いて形成される。
次いで、上記ハードマスク層上にリソグラフィー用のレジスト膜(図示せず)を形成する。このレジスト膜は、露光源に合わせたものを用いる。そして、上記レジスト膜を露光して、ダミーゲートパターン(図示せず)を形成した後、そのダミーゲートパターンをエッチングマスクに用いて、上記ハードマスク層をエッチング加工してハードマスク53を形成する。上記リソグラフィーにおける露光では、例えばKrF、ArF、F2等を光源とした光リソグラフィーもしくは電子線リソグラフィーを用いる。また上記ハードマスク層のエッチングでは、ハードマスク層はレジストのパターンよりも細い線幅に加工(例えば、スリミング(Sliming)/トリミング(Trimming))して、ゲート長を細くすることが可能である。次にレジスト膜からなるダミーゲートパターンを除去し、エッチング加工して形成されたハードマスク53をエッチングマスクにして、ダミーゲート形成膜をドライエッチングにより加工し、ダミーゲート52を形成する。この時のダミーゲート52の線幅を数nm〜十数nmとする。このエッチングでは、ダミーゲート絶縁膜51もエッチング加工される。
次に、図7(2)に示すように、ダミーゲート32(以下、ダミーゲート絶縁膜51およびハードマスク53も含めてダミーゲートという。)の側壁にオフセットスペーサ23を形成する。このオフセットスペーサ23は、例えば1nm〜10nm程度の絶縁薄膜を、ダミーゲート52を被覆するように形成した後、エッチバックを行い、ダミーゲート52の側壁のみに絶縁薄膜を残すようにしてオフセットスペーサ23を形成する。上記オフセットスペーサ23を形成する絶縁薄膜は、例えば、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)などで形成する。上記エッチバックにより、上記半導体基板11上の絶縁薄膜は除去される。
次に、上記ダミーゲート52の両側において、上記オフセットスペーサ23を介した半導体基板11に、エクステンション領域24、25を形成する。このエクステンション領域24、25は、例えばイオンインプランテーションにより形成する。NMOSトランジスタを形成する場合にはヒ素(As+)、リン(P+)等のn型の不純物を用い、PMOSトランジスタを形成する場合にはホウ素(B+)、インジウム(In+)等のp型の不純物を用い、例えば、低加速エネルギー(100eV〜300eV)で5×1014(/cm2)〜2×1015(/cm2)のドーズ量で注入して浅い接合で形成する。
次に、図7(3)に示すように、ダミーゲート52の両側に上記オフセットスペーサ23を介してサイドウォールスペーサ26を形成する、このサイドウォールスペーサ26を形成するエッチバック時には、上記ハードマスク53を残すようにエッチングを行う。
次に、図8(4)に示すように、上記ダミーゲート52の両側半導体基板11に上記エクステンション領域24、25をそれぞれに介して、ソース・ドレイン領域27、28を形成する。その後、活性化処理を、例えば1000℃前後の急速加熱アニーリング(RTA)で行う。
なお、半導体基板11にPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを形成する場合には、上記トランジスタのしきい値調整を行うための不純物注入、エクステンション領域24、25を形成するイオンインプランテーション、ソース・ドレイン領域27、28を形成するイオンインプランテーションは、それぞれについて、NMOS領域およびPMOS領域に分けて行う。例えば、NMOS領域の第1マスクを形成してPMOS領域にイオンインプランテーション行った後、上記第1マスクを除去する。次いで、PMOS領域の第2マスクを形成してNMOS領域にイオンインプランテーション行えばよい。その後、第2マスクを除去する。
次に、図8(5)に示すように、上記ソース・ドレイン領域27、28上に低抵抗化層31、32を形成する。この低抵抗化層31、32は、サリサイドプロセスによって、上記ソース・ドレイン領域27、28表面に選択的に形成される。この低抵抗化層31,32は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)またはそれらの化合物により形成される。化合物としては、それらの金属の金属シリサイドがあげられる。
次に、図9(6)に示すように、ダミーゲート52等を被覆する第1層間絶縁膜42を形成する。
次に、図9(7)に示すように、上記第1層間絶縁膜42の上部を除去して、上記ハードマスク53表面を露出させる。上記第1層間絶縁膜42の除去には、例えば化学的機械研磨(CMP)法を用いる。なお、別の研磨方法を用いてもよく、またエッチバックにより行うこともできる。なお、化学的機械研磨法では、研磨表面の平坦化が可能になる。
次に、ハードマスク53およびダミーゲート52を除去する。この除去加工には、例えばドライエッチングを用いる。蒸気ドライエッチングにおいて、ダミーゲート絶縁膜51を残しておくことで、半導体基板11へのドライエッチングダメージを抑える。さらにダミーゲート絶縁膜51を除去する。この除去加工には、例えばウエットエッチングを用いる。この除去加工をウエットエッチングにより行うことで、半導体基板11へのエッチングダメージを抑制する。この結果、図9(8)に示すように、オフセットスペーサ23に囲まれた溝29が形成される。ここで、図10のゲート幅方向の断面図に示すように、ダミーゲート52が形成されていた領域直下の半導体基板11に形成されるチャネル領域14は、素子分離領域13表面とほぼ同じ高さになっている。そして、素子分離領域11の応力がチャネル領域14にかかっている。そのため、チャネル領域14では、素子分離領域11の応力の影響を直接受けることになる。
そして、図11のゲート幅方向の断面図に示すように、上記ウエットエッチングでは、ダミーゲート52が形成されていた領域下の素子分離領域13表面をエッチングにより窪み15を形成して低くすることができる。これによって、ダミーゲート52が形成されていた領域下の素子分離領域13の高さを半導体基板11(チャネル領域14)表面よりも低くすることができる。またウエットエッチング量でこの高さを制御することができ、素子分離領域13表面からのチャネル領域14の突き出し量は、例えば3nm以上30nm以下の高さに形成する。また上記ウエットエッチングによって、ソース・ドレイン領域27、28両側(ゲート幅方向)の素子分離領域13の高さは低くなることはない。また、上記チャネル領域14を含めてソース・ドレイン領域27、28は、他の領域の半導体基板11とほぼ同じ高さに維持することができる。
次に、図9(9)に示すように、上記溝29内の上記半導体基板11上にゲート絶縁膜21を形成する。このゲート絶縁膜21は、実際には、溝29の内面および第1層間絶縁膜42表面にも形成される。上記ゲート絶縁膜21は、例えば、高誘電率(High−k)膜、酸化シリコン膜などの絶縁膜で形成することができる。ここでは、一例として、高誘電率膜で形成した。この場合、上記ゲート絶縁膜21の改質のための熱処理(アニール処理)を行う。
次に、図12(10)に示すように、上記溝29の内部を埋め込むように、上記ゲート絶縁膜21上にゲート電極形成膜61を形成する。このゲート電極形成膜61は、例えば、金属ゲート用の金属もしくは金属化合物を積層したものもしくは単層構造のもので形成される。
次に、図12(11)に示すように、上記ゲート電極形成膜61の余剰な部分を除去し、上記溝29内の半導体基板11上にゲート絶縁膜21を介してゲート電極22を上記ゲート電極形成膜61で形成する。この除去加工は、例えば化学的機械研磨(CMP)法により形成する。
次に、図13(12)に示すように、上記ゲート電極22被覆するように上記第1層間絶縁膜42上に第2層間絶縁膜43を形成して、第1層間絶縁膜42と第2層間絶縁膜43とで層間絶縁膜41を構成する。そして、図14のこの時点でのゲート幅方向の断面図に示すように、この時点でのチャネル領域14の応力は、前記図11によって説明したダミーゲート52が形成されていた領域下の素子分離領域13の上部を除去した際に生じた応力状態が維持されている。
図示はしないが、その後、上記層間絶縁膜41に、各ソース・ドレイン領域27、28に電気的に接続されるコンタクト部、このコンタクト部に配線される金属配線等の形成を行って、半導体装置が完成される。
上記第1実施例の半導体装置の製造方法によれば、ゲート電極22直下のチャネル領域14にトランジスタ特性(キャリア移動度)有利なゲート幅方向に応力を発生させることができるため、トランジスタのオン電流Ionを向上させることができるので、トランジスタ性能の向上が図れるという利点がある。また、ソース・ドレイン領域27、28の接合位置が素子分離領域13の表面より深い位置にあることから、ソース・ドレイン領域27、28表面に低抵抗化のためのシリサイド層からなる低抵抗化層31、32を形成したとしても、低抵抗化層31、32と半導体基板11との間で電流リークが発生することがない。これによって、半導体装置(トランジスタ)1の信頼性の向上が図れる。さらに、上記効果は、ゲート幅の小さい半導体装置(トランジスタ)1ほど大きな効果が得られる。
次に、本発明の製造方法で製造される半導体装置の第2例を、図15の概略構成断面図によって説明する。図15では、(1)にゲート長方向断面を示し、(2)ゲート幅方向断面を示す。図15に示す半導体装置2は、前記第1実施例の半導体装置1において、ソース・ドレイン領域27、28にチャネル領域14に応力を印加する応力印加層を用いたものである。
すなわち、図15に示すように、半導体基板11にトランジスタが形成される素子形成領域12を電気的に分離する素子分離領域13が形成されている。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用い、上記素子分離領域13は、通常のSTI(Shallow Trench Isolation)構造のものが形成されている。したがって、上記素子分離領域(図示せず)に挟まれた半導体基板11部分が素子形成領域12となっている。
上記素子形成領域12に形成されるチャネル領域14の両側に形成された上記素子分離領域13の上部は、その素子分離領域13表面よりチャネル領域14が突き出るように、素子分離領域13に窪み15が形成されている。したがって、チャネル領域14の両側の素子分離領域13に対してチャネル領域14のみが素子分離領域13より突き出るように形成されている。ここで、窪み15の底面における素子分離領域13表面からのチャネル領域14の突き出し量は、前記第1実施例と同様に、例えば3nm以上30nm以下とする。これによって、チャネル領域14では、素子分離領域13からの直接の応力の影響が抑制される。すなわち、チャネル領域14では、素子分離領域13からの応力の影響を直接受けるチャネル領域14下部の半導体基板11部分の応力(矢印Aで示す)が解放される方向に応力(矢印Bで示す)が発生する。また窪み15の深さを制御することで、チャネル領域14の突き出し量を調整することができる。
上記半導体基板11上には、ゲート絶縁膜21を介してゲート電極22が形成されている。このゲート電極22は、上記チャネル領域14上を通り、例えば上記窪み15上に至るように形成されている。上記ゲート絶縁膜21には、例えば、高誘電率(High−k)膜を用いることができ、もしくは通常の酸化シリコン膜を用いることもできる。上記ゲート電極22には、例えば、金属ゲート用の金属もしくは金属化合物の単層構造もしくは積層構造のものを用いることができる。なお、上記ゲート電極22にはポリシリコンを用いることもできる。上記ハードマスク23には、例えば窒化シリコン膜を用いる。
上記ゲート電極22(上記ゲート絶縁膜21も含む)の側壁にはオフセットスペーサ23が形成されている。このオフセットスペーサ23は、例えば1nm〜10nm程度の絶縁薄膜で形成されている。この絶縁薄膜は、例えば、上記素子分離領域13に対してエッチング選択性を有する絶縁膜が用いられ、例えば窒化シリコン(SiN)で形成する。
上記ゲート電極22の両側において、上記オフセットスペーサ23を介した半導体基板11には、エクステンション領域24、25が形成されている。このエクステンション領域24、25は、例えばNMOSトランジスタを形成する場合にはヒ素(As+)、リン(P+)等のn型の不純物が用いられ、PMOSトランジスタを形成する場合にはホウ素(B+)、インジウム(In+)等のp型の不純物が用いられて、浅い接合で形成されている。
さらに、上記ゲート電極22の両側には、上記オフセットスペーサ23を介してサイドウォールスペーサ26が形成されている。上記ゲート電極22の両側における半導体基板11には、上記エクステンション領域24、25をそれぞれに介して、ソース・ドレイン領域27、28が形成されている。このソース・ドレイン領域27、28はソース・ドレイン領域27、28間のチャネル領域14に応力を印加する応力印加層で形成されている。例えば、半導体装置2が、p型のFET(電界効果トランジスタ)の場合、そのソース・ドレイン領域27、28は、エピタキシャル成長により成長させたシリコンゲルマニウム層で形成され、チャネル領域14に圧縮応力を与える。また、n型のFET(電界効果トランジスタ)の場合、そのソース・ドレイン領域27、28は、エピタキシャル成長により成長させた炭化シリコン層で形成され、チャネル領域14に引張応力を与える。いずれも、半導体基板11表面より盛り上げたエンベデッドソース・ドレイン構造とすることが有効である。上記ソース・ドレイン領域27、28上には、低抵抗化層31、32が形成されている。この低抵抗化層31、32は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)またはそれらの化合物により形成される。化合物としては、それらの金属の金属シリサイドがあげられる。
このソース・ドレイン領域27、28は、その両側(ゲート幅方向)に形成されている素子分離領域13部分の表面よりも、深い位置まで形成されている。したがって、ソース・ドレイン領域27、28表面に例えばサリサイドプロセスによって低抵抗化層31、32を形成しても、低抵抗化層31、32が半導体基板11に接近するもしくは接続されることはない。これによって、低抵抗化層31、32から半導体基板11への電流リークが発生することはない。
さらに、上記半導体基板11に形成された上記構成の半導体装置2を被覆するように、上記半導体基板11上には層間絶縁膜41が形成されている。なお、図示はしていないが、上記層間絶縁膜41には、上記ゲート電極22、ソース・ドレイン領域27、28に接着されるコンタクト部、各コンタクト部に接続される配線等が形成される。
上記半導体装置2では、前記半導体装置1と同様な作用効果が得られるとともに、ソース・ドレイン領域27、28からも移動度を向上させるために有効な応力がチャネル領域14に印加されることから、半導体装置1よりもさらに移動度の向上がなされる。
次に、本発明の製造方法で製造される半導体装置の第3例を、図16の概略構成断面図によって説明する。図16では、(1)にゲート長方向断面を示し、(2)ゲート幅方向断面を示す。図16に示す半導体装置3は、前記第1実施例の半導体装置1において、チャネル領域14に応力を印加するストレスライナー膜を形成したものである。
すなわち、図16に示すように、半導体基板11にトランジスタが形成される素子形成領域12を電気的に分離する素子分離領域13が形成されている。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用い、上記素子分離領域13は、通常のSTI(Shallow Trench Isolation)構造のものが形成されている。したがって、上記素子分離領域(図示せず)に挟まれた半導体基板11部分が素子形成領域12となっている。
上記素子形成領域12に形成されるチャネル領域14の両側に形成された上記素子分離領域13の上部は、その素子分離領域13表面よりチャネル領域14が突き出るように、素子分離領域13に窪み15が形成されている。したがって、チャネル領域14の両側の素子分離領域13に対してチャネル領域14のみが素子分離領域13より突き出るように形成されている。ここで、窪み15の底面における素子分離領域13表面からのチャネル領域14の突き出し量は、前記第1実施例と同様に、例えば3nm以上30nm以下とする。これによって、チャネル領域14では、素子分離領域13からの直接の応力の影響が抑制される。すなわち、チャネル領域14では、素子分離領域13からの応力の影響を直接受けるチャネル領域14下部の半導体基板11部分の応力(矢印Aで示す)が解放される方向に応力(矢印Bで示す)が発生する。また窪み15の深さを制御することで、チャネル領域14の突き出し量を調整することができる。
上記半導体基板11上には、ゲート絶縁膜21を介してゲート電極22が形成されている。このゲート電極22は、上記チャネル領域14上を通り、例えば上記窪み15上に至るように形成されている。上記ゲート絶縁膜21には、例えば、高誘電率(High−k)膜を用いることができ、もしくは通常の酸化シリコン膜を用いることもできる。上記ゲート電極22には、例えば、金属ゲート用の金属もしくは金属化合物の単層構造もしくは積層構造のものを用いることができる。なお、上記ゲート電極22にはポリシリコンを用いることもできる。上記ハードマスク23には、例えば窒化シリコン膜を用いる。
上記ゲート電極22(上記ゲート絶縁膜21も含む)の側壁にはオフセットスペーサ23が形成されている。このオフセットスペーサ23は、例えば1nm〜10nm程度の絶縁薄膜で形成されている。この絶縁薄膜は、例えば、上記素子分離領域13に対してエッチング選択性を有する絶縁膜が用いられ、例えば窒化シリコン(SiN)で形成する。
上記ゲート電極22の両側において、上記オフセットスペーサ23を介した半導体基板11には、エクステンション領域24、25が形成されている。このエクステンション領域24、25は、例えばNMOSトランジスタを形成する場合にはヒ素(As+)、リン(P+)等のn型の不純物が用いられ、PMOSトランジスタを形成する場合にはホウ素(B+)、インジウム(In+)等のp型の不純物が用いられて、浅い接合で形成されている。
さらに、上記ゲート電極22の両側には、上記オフセットスペーサ23を介してサイドウォールスペーサ26が形成されている。上記ゲート電極22の両側における半導体基板11には、上記エクステンション領域24、25をそれぞれに介して、ソース・ドレイン領域27、28が形成されている。上記ソース・ドレイン領域27、28上には、低抵抗化層31、32が形成されている。この低抵抗化層31、32は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)またはそれらの化合物により形成される。化合物としては、それらの金属の金属シリサイドがあげられる。
このソース・ドレイン領域27、28は、その両側(ゲート幅方向)に形成されている素子分離領域13部分の表面よりも、深い位置まで形成されている。したがって、ソース・ドレイン領域27、28表面に例えばサリサイドプロセスによって低抵抗化層31、32を形成しても、低抵抗化層31、32が半導体基板11に接近するもしくは接続されることはない。これによって、低抵抗化層31、32から半導体基板11への電流リークが発生することはない。
さらに、上記半導体基板11に形成された上記構成の半導体装置3を被覆するように、
チャネル領域14に応力を印加するためのストレスライナー膜71が形成されている。このストレスライナー膜71は、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えばプラズマCVD法によって成膜される。この成膜条件を変更することによって、引張応力を有する窒化シリコン膜を形成することも、圧縮応力を有する窒化シリコン膜を形成することもできる。例えば、半導体装置3が、p型のFET(電界効果トランジスタ)の場合、ストレスライナー膜71にはコンプレッシブストレスライナー膜を用い、チャネル領域14に圧縮応力を与える。また、n型のFET(電界効果トランジスタ)の場合、ストレスライナー膜71には、テンサイルストレスライナー膜を用い、チャネル領域14に引張応力を与える。
さらに、層間絶縁膜41が形成されている。なお、図示はしていないが、上記層間絶縁膜41には、上記ゲート電極22、ソース・ドレイン領域27、28に接着されるコンタクト部、各コンタクト部に接続される配線等が形成される。
上記半導体装置3を形成するには、前記第1実施例の製造方法において、溝29内にゲート絶縁膜21を介してゲート電極22を形成した後、上記第1層間絶縁膜42を除去する。次に、ゲート電極22、サイドウォールスペーサ26を被覆するように、ストレスライナー膜71形成する。次に、再度、第1層間絶縁膜41を形成し、さらに第2層間絶縁膜43を形成すればよい。再度形成した第1層間絶縁膜41は、表面を平坦化しておくことが好ましい。
上記半導体装置3では、前記半導体装置1と同様な作用効果が得られるとともに、ストレスライナー膜71からも移動度を向上させるために有効な応力がチャネル領域14に印加されることから、半導体装置1よりもさらに移動度の向上がなされる。
また、上記第2実施例の半導体装置2に、上記第3実施例の半導体装置3で用いたのと同様なストレスライナー膜71を形成することもできる。言い換えれば、上記第3実施例の半導体装置3に、上記第2実施例の半導体装置2で用いたのと同様な応力印加層で形成したソース・ドレイン領域27、28を形成することもできる。
次に、本発明の半導体装置の製造方法の一実施の形態(第2実施例)を、図17〜図22の製造工程断面図によって説明する。この製造方法では、前記半導体装置2の構成を製造する方法を説明する。
前記図6によって説明したのと同様に、半導体基板11にトランジスタが形成される素子形成領域12を電気的に分離する素子分離領域(図示せず)を形成する。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用い、上記素子分離領域13は、通常のSTI(Shallow Trench Isolation)構造のものを形成する。
次に、図17(1)に示すように、上記半導体基板11上に、この半導体基板11中に不純物を導入するイオンインプランテーション(Ion Implantation)を行う際のチャネリング防止用の保護膜(図示せず)を形成する。この保護膜は、例えば酸化シリコン(SiO2)膜で形成する。その形成方法は、一例として、半導体基板11表面を酸化することによる。
次に、トランジスタの素子分離およびしきい値調整を行うための不純物注入をイオンインプランテーションにより行う。イオンインプランテーション後、先ほどのイオンインプランテーション保護膜の酸化シリコン(SiO2)膜を除去し、半導体基板11表面を露出させる。
次に、上記半導体基板11上に、ダミーゲート絶縁膜51、ダミーゲート52、ハードマスク53を順に形成する。
まず、半導体基板11上に、ダミーゲート絶縁膜51を、例えば酸化膜を約1nm〜3nmの厚さに形成する。次いで、上記ダミーゲート絶縁膜51上にダミーゲート形成膜を形成する。このダミーゲート形成膜は、例えば多結晶シリコン(ポリシリコン)を100nm〜200nm程度の厚さに堆積して形成される。その成膜方法は、例えば化学気相成長(CVD)法を用いる。さらに、ダミーゲート形成膜上にハードマスク層を、例えば窒化シリコン膜で形成する。この窒化シリコン膜は、例えば30nm〜100nmの厚さに、例えば化学気相成長(CVD)法を用いて形成される。
次いで、上記ハードマスク層上にリソグラフィー用のレジスト膜(図示せず)を形成する。このレジスト膜は、露光源に合わせたものを用いる。そして、上記レジスト膜を露光して、ダミーゲートパターン(図示せず)を形成した後、そのダミーゲートパターンをエッチングマスクに用いて、上記ハードマスク層をエッチング加工してハードマスク53を形成する。上記リソグラフィーにおける露光では、例えばKrF、ArF、F2等を光源とした光リソグラフィーもしくは電子線リソグラフィーを用いる。また上記ハードマスク層のエッチングでは、ハードマスク層はレジストのパターンよりも細い線幅に加工(例えば、スリミング(Sliming)/トリミング(Trimming))して、ゲート長を細くすることが可能である。次にレジスト膜からなるダミーゲートパターンを除去し、エッチング加工して形成されたハードマスク53をエッチングマスクにして、ダミーゲート形成膜をドライエッチングにより加工し、ダミーゲート52を形成する。この時のダミーゲート52の線幅を数nm〜十数nmとする。このエッチングでは、ダミーゲート絶縁膜51もエッチング加工される。
次に、図17(2)に示すように、ダミーゲート32(以下、ダミーゲート絶縁膜51およびハードマスク53も含めてダミーゲートという。)の側壁にオフセットスペーサ23を形成する。このオフセットスペーサ23は、例えば1nm〜10nm程度の絶縁薄膜を、ダミーゲート52を被覆するように形成した後、エッチバックを行い、ダミーゲート52の側壁のみに絶縁薄膜を残すようにしてオフセットスペーサ23を形成する。上記オフセットスペーサ23を形成する絶縁薄膜は、例えば、酸化シリコン(SiO2)もしくは窒化シリコン(SiN)などで形成する。上記エッチバックにより、上記半導体基板11上の絶縁薄膜は除去される。
次に、図17(3)に示すように、ダミーゲート52の両側に上記オフセットスペーサ23を介してダミーサイドウォール55を形成する、このダミーサイドウォール55を形成するエッチバック時には、上記ハードマスク53を残すようにエッチングを行う。
次に、図18(4)に示すように、上記ダミーゲート52の両側半導体基板11に上記エクステンション領域24、25をそれぞれに介して、ソース・ドレイン領域を形成する領域に溝33、34を形成する。その後、活性化処理を、例えば1000℃前後の急速加熱アニーリング(RTA)で行う。
次に、図18(5)に示すように、エピタキシャル成長法によって、上記溝33、34に応力印加層を成長させて、ソース・ドレイン領域27、28を形成する。例えば、半導体装置2が、p型のFET(電界効果トランジスタ)の場合、そのソース・ドレイン領域27、28は、エピタキシャル成長により成長させたシリコンゲルマニウム層で形成し、チャネル領域14に圧縮応力を与えるようにする。この成膜条件は、一例として、処理温度(基板温度)を650℃〜750℃、成長雰囲気の圧力を6.7kPa〜13.3kPaに設定する。また、シリコン原料ガスに例えばジクロロシラン(SiCl2H2:DCS)を用い、ゲルマニウム原料ガスにゲルマン(GeH4)を用いる。また、n型のFET(電界効果トランジスタ)の場合、そのソース・ドレイン領域27、28は、エピタキシャル成長により成長させた炭化シリコン層で形成し、チャネル領域14に引張応力を与えるようにする。いずれも、半導体基板11表面より盛り上げたエンベデッドソース・ドレイン構造とすることが有効である。
次に、上記ダミーサイドウォール55を除去して、図18(6)に示すように、ダミーゲート52とソース・ドレイン領域27、28との間の半導体基板11を露出させる。
次に、図19(7)に示すように、上記ダミーゲート52の両側において、上記オフセットスペーサ23を介した半導体基板11に、エクステンション領域24、25を形成する。このエクステンション領域24、25は、例えばイオンインプランテーションにより形成する。NMOSトランジスタを形成する場合にはヒ素(As+)、リン(P+)等のn型の不純物を用い、PMOSトランジスタを形成する場合にはホウ素(B+)、インジウム(In+)等のp型の不純物を用い、例えば、低加速エネルギー(100eV〜300eV)で5×1014(/cm2)〜2×1015(/cm2)のドーズ量で注入して浅い接合で形成する。したがって、ダミーゲート52の両側の半導体基板11に、エクステンション領域24、25を介してソース・ドレイン領域27、28が形成されることになる。
次に、図19(8)に示すように、ダミーゲート52の両側に上記オフセットスペーサ23を介してサイドウォールスペーサ26を形成する。このとき、サイドウォールスペーサ26によって、エクステンション領域24、25表面が被覆されるようにする。このサイドウォールスペーサ26を形成するエッチバック時には、上記ハードマスク53を残すようにエッチングを行う。
次に、上記ソース・ドレイン領域27、28上に低抵抗化層31、32を形成する。この低抵抗化層31、32は、サリサイドプロセスによって、上記ソース・ドレイン領域27、28表面に選択的に形成される。この低抵抗化層31,32は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)またはそれらの化合物により形成される。化合物としては、それらの金属の金属シリサイドがあげられる。
次に、図19(9)に示すように、ダミーゲート52、サイドウォールスペーサ26、低抵抗化層31、32等を被覆する第1層間絶縁膜42を形成する。
次に、図20(10)に示すように、上記第1層間絶縁膜42の上部を除去して、上記ハードマスク53表面を露出させる。上記第1層間絶縁膜42の除去には、例えば化学的機械研磨(CMP)法を用いる。なお、別の研磨方法を用いてもよく、またエッチバックにより行うこともできる。なお、化学的機械研磨法では、研磨表面の平坦化が可能になる。
次に、ハードマスク53およびダミーゲート52を除去する。この除去加工には、例えばドライエッチングを用いる。上記ドライエッチングにおいて、ダミーゲート絶縁膜51を残しておくことで、半導体基板11へのドライエッチングダメージを抑える。さらにダミーゲート絶縁膜51を除去する。この除去加工には、例えばウエットエッチングを用いる。この除去加工をウエットエッチングにより行うことで、半導体基板11へのエッチングダメージを抑制する。この結果、図20(11)に示すように、オフセットスペーサ23に囲まれた溝29が形成される。ここで、前記図10のゲート幅方向の断面図に示すように、ダミーゲート52が形成されていた領域直下の半導体基板11に形成されるチャネル領域14は、素子分離領域13表面とほぼ同じ高さになっている。そして、素子分離領域11の応力がチャネル領域14にかかっている。そのため、チャネル領域14では、素子分離領域11の応力の影響を直接受けることになる。
そして、前記図11のゲート幅方向の断面図に示すように、上記ウエットエッチングでは、ダミーゲート52が形成されていた領域下の素子分離領域13表面をエッチングにより窪み15を形成して低くすることができる。これによって、ダミーゲート52が形成されていた領域下の素子分離領域13の高さを半導体基板11(チャネル領域14)表面よりも低くすることができる。またウエットエッチング量でこの高さを制御することができ、素子分離領域13表面からのチャネル領域14の突き出し量は、例えば3nm以上30nm以下の高さに形成する。また上記ウエットエッチングによって、ソース・ドレイン領域27、28両側(ゲート幅方向)の素子分離領域13の高さは低くなることはない。また、上記チャネル領域14を含めてソース・ドレイン領域27、28は、他の領域の半導体基板11とほぼ同じ高さに維持することができる。
次に、図20(12)に示すように、上記溝29内の上記半導体基板11上にゲート絶縁膜21を形成する。このゲート絶縁膜21は、実際には、溝29の内面および第1層間絶縁膜42表面にも形成される。上記ゲート絶縁膜21は、例えば、高誘電率(High−k)膜、酸化シリコン膜などの絶縁膜で形成することができる。ここでは、一例として、高誘電率膜で形成した。この場合、上記ゲート絶縁膜21の改質のための熱処理(アニール処理)を行う。
次に、図21(13)に示すように、上記溝29の内部を埋め込むように、上記ゲート絶縁膜21上にゲート電極形成膜61を形成する。このゲート電極形成膜61は、例えば、金属ゲート用の金属もしくは金属化合物を積層したものもしくは単層構造のもので形成される。
次に、図21(14)に示すように、上記ゲート電極形成膜61の余剰な部分を除去し、上記溝29内の半導体基板11上にゲート絶縁膜21を介してゲート電極22を上記ゲート電極形成膜61で形成する。この除去加工は、例えば化学的機械研磨(CMP)法により形成する。
次に、図22(15)に示すように、上記ゲート電極22被覆するように上記第1層間絶縁膜42上に第2層間絶縁膜43を形成して、第1層間絶縁膜42と第2層間絶縁膜43とで層間絶縁膜41を構成する。そして、この時点でのチャネル領域14の応力は、ダミーゲート52(前記図20(10)参照)が形成されていた領域下の素子分離領域13の上部を除去した際に生じた応力状態が維持されている。
図示はしないが、その後、上記層間絶縁膜41に、各ソース・ドレイン領域27、28に電気的に接続されるコンタクト部、このコンタクト部に配線される金属配線等の形成を行って、半導体装置が完成される。
上記半導体装置の製造方法では、前記半導体装置の製造方法のl第1実施例と同様な作用効果が得られるとともに、ソース・ドレイン領域27、28からも移動度を向上させるために有効な応力がチャネル領域14に印加されることから、第1実施例の半導体装置の製造方法により形成される半導体装置よりもさらに移動度の向上がなされる。
また、上記各実施例において、ゲート電極22に応力を有する膜を用いることもできる。例えば、ゲート電極22に適用する場合、n型MOSFET(電界効果トランジスタ)の場合、チャネル領域14のゲート長方向に引張応力を与えるようにするハフニウム、ハフニウムシリサイド、タンタル、タンタルシリサイドなどを用い、p型MOSFET(電界効果トランジスタ)の場合、チャネル領域14に圧縮応力を与えるようにするチタン、チタン窒化物、ルテニウム、タングステンなどを用いてもよい。このような膜を用いることで、さらに移動度の向上が図れる。