JP5096959B2 - 列車自動通報システム - Google Patents
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列車が障害物と衝突する可能性がある場合には、事前に乗客に対して車内放送や表示などの方法を用いて警告を与え、対応方法を案内し、乗客が警告や案内に従った行動をとれば、ムチ打ち症などの被災を回避することができる。
また、緊急ブレーキがかけられる場合でも、事前に手すりやつり革に掴まるよう案内されれば、乗客は転倒を回避することができる。
また、車掌による案内よりも先に運転士のブレーキ操作が行われることが多く、乗客は無防備な状態で緊急ブレーキ作動時や障害物との衝突時に不意に衝撃を受けることになる。
しかし、上記のような従来のシステムでは、運転士に対してのみ警告を与え、乗客や車掌に対しては直接警告を与えないので、列車の脱線や衝突といった乗客にとっての不測の事態に対し、十分な事前情報提示がなく、被害が大きくなってしまう等の問題があった。
以下、この発明の実施の形態1について図に基いて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による列車自動通報システムを示す構成図である。
図1において、列車自動通報システムは、地上部に設けられる機器と、車両に設けられる機器から構成される。
地上部としては、監視カメラ1と障害物検知装置10がある。監視カメラ1は、鉄道の軌道内または軌道沿いに設けられ、監視カメラ1により撮影された映像は、障害物検知装置10に取り込まれる。障害物検知装置10は、監視カメラ1から入力された映像をもとに障害物2を検知し、無線伝送手段を用いて検知結果を常時発信している。
車両のシステムは、次のように構成される。緊急情報自動通報装置20は、障害物検知装置10からの検知結果を受けて、列車情報を運転士及び乗客に通報する。速度発電機30は、正弦波形の交流を発電する。GPSアンテナ31は、GPS電波を受信する。無線アンテナ32は、車両に搭載される無線手段で障害物検知装置10と通信を行うためのアンテナである。運転台ディスプレイ40は、運転士に列車情報を表示する。列車情報提供装置50は、列車情報を列車案内用のディスプレイ装置51及び自動放送用のスピーカ52により乗客に提供する。
図2において、1、10は図1におけるものと同一のものである。
地上に設けられる障害物検知装置10は、次のように構成されている。映像処理部11は、入力されたアナログの映像信号を受けてディジタル信号処理する。映像比較部12は、監視カメラ1が撮影した映像と映像記憶部13の情報とを比較する。映像記憶部13は、列車軌道上に障害物が何も無い状態の映像を記憶している。障害物パターン記憶部14は、障害物パターンを固定記憶している。障害物判断部15は、映像比較部12により変化がある場合に、列車にとって障害物かどうかを判断する。無線伝送手段16は、走行中の列車に対して緊急信号を送信する。無線伝送手段16の出力は、無線アンテナ17に接続されている。
図3において、20、30〜32は図1におけるものと同一のものである。
緊急情報自動通報装置20は、次のように構成されている。無線手段21は、無線アンテナ32を介して障害物検知装置10からの無線信号を受信する。速度カウンタ22は、速度発電機30の出力から列車速度を検知する。位置検出手段23は、GPS電波から、または速度カウンタ22で検出された速度データを積算するという方法で列車位置を求める。
記憶手段24は、障害物検知用の監視カメラ1の鉄道路線における設置場所データや列車速度と障害物までの距離に応じて、列車情報自動通報のランク情報を記憶している読み出し専用の記憶手段である。ランクセレクタ25は、障害物情報の緊急度をランク分けする。演算処理手段26は、位置検出手段23の出力により、障害物までの残距離を演算する。割り込み信号発生手段27は、運転台ディスプレイ40及び列車情報提供装置50に対する割り込み信号を発生し、自動通報出力を行う。
図4において、列車速度と障害物との距離に応じて緊急情報通報ランクが付与されている。ランクによる場合分け基準は、例えばランクAは、緊急ブレーキをかけても列車と障害物との衝突が回避できない可能性があるような緊急度が極めて高い場合、ランクBは、通常ブレーキ操作により列車と障害物との衝突は回避できる場合などである。
まず、地上部の動作について説明する。監視カメラ1は、列車運転障害が発生しそうな場所、例えば踏切やプラットホーム、大きな曲線部分で見通しの悪い箇所や落石の多い地点等に設置されるが、目的に応じてCCDカメラ、赤外線カメラ、暗視カメラなど撮影環境に応じた仕様のものが採用される。
また、設置される監視カメラ1は、1台に限らず、複数台設置されることもある。その場合、1台が故障した場合でも他のカメラで撮影することができるため、システムに冗長性を持たせることができる。
監視カメラ1で撮影された映像は、通常RGBの色信号と水平・垂直同期信号のアナログ信号で障害物検知装置10に取り込まれる。障害物検知装置10では、監視カメラ1から入力した映像をもとに、ディジタル処理が行われ、障害物2が検知される。
障害物パターン記憶部14には、列車にとって障害物となる物体の様々なパターンが記憶されている。映像比較部12で検出された映像変化情報を、障害物パターン記憶部14の障害物パターンと比較して一致した場合、列車軌道上に障害物があると判断する。
また、必ずしも障害物パターン記憶部14のパターンデータと一致しなくても、検出された変化物の大きさがある程度以上の大きさの場合、障害物と判断するとしてもよい。
列車軌道上に障害物があると判断した場合、障害物検知装置10は、無線伝送手段16により走行中の列車に対して障害物の検知を送信する。
図3で、車両には速度発電機30が積載されていて正弦波形の交流を発電する。速度発電機30は、通常、車両台車軸端または電動機歯車ケースに取り付けられていて、車輪の回転が上昇すれば発生する正弦波数も比例して増える。速度カウンタ22では、正弦波交流を取り込んで波形整形して矩形のパルスを得る。このパルスを一定時間計数し、単位時間の計数に変換すれば、速度が得られる。位置情報も同様にして車輪が一回転してN個の正弦波を発生したとする。車輪の直径(車輪径:D)は決まっているので、一回転すればπD(mm)進み、N個のパルスが得られる。これを位置検出手段23で積算すれば、列車位置が得られる。また、各駅ごとのドアの開閉で積分値をリセットすれば、検出誤差の極小化が行える。
以上は、速度発電機30を用いた位置検出例であるが、公知のようにGPSを用いて衛星が発する電波によって位置検出することも可能である。この場合は、GPSアンテナ32からの信号を受け取って位置検出手段23で位置を検出する。
図4は、緊急情報通報ランクファイルの一例である。図4に見られるとおり、速度が何段かに区分されており、残距離も何段かに区分されている。ランクセレクタ25は、障害物までの残距離情報と列車速度情報を用いて緊急情報通報ランクファイルと照らし合わせることにより、現状の自分がどういう状態にあるかを確認し、通報ランクを決定する。図4の緊急情報通報ランクファイルは、列車によって異なる場合もあり、また晴天時と雨天時でそれぞれ異なる場合があるなど、状況に応じて様々なファイルを用意してもよい。
例えば、ランクAの場合は障害物と列車との衝突の可能性がある場合であるため、運転士には緊急停止を行う指令を出し、乗客に対しては列車と障害物が衝突したときに備えた姿勢をとってもらう必要があり、より緊急性の高いアナウンスを行う必要がある。
ランクBの場合は、急ブレーキだけですむ場合であり、運転士には減速や停止の指令を出し、乗客に対しては近くの手すりやつり革につかまるよう注意を促すアナウンスでよい。なお、ランクはA、Bの2段階だけでなく、運転士や乗客へのアナウンス内容によっては3段階以上に分けてもよい。
また、同時に列車情報提供装置50に接続されたスピーカ52からランクに応じたアナウンスを流す。例えばランクAの場合、「列車が緊急停止しますのでしゃがんで重心を低くしてください。」などの内容である。ランクBの場合は、「急ブレーキにご注意下さい。」などの内容である。
これらの情報は、運転士のブレーキ操作よりも先に乗客に伝わるため、乗客は障害物との衝突だけでなく、緊急ブレーキにも備えることが出来、不意の衝撃に対し、事前に防備体勢を取ることができる。
運転士は連絡を受けて、ランクに従ったブレーキ操作を行う。ランクAの場合は障害物との衝突が避けられない可能性があるため、直ちに緊急ブレーキをかけ、緊急停止の措置を行う。ランクBなどの場合でも、急停止やブレーキによる減速などの操作を行う。
緊急信号の割り込みが発生してから一定時間経過後もしくはブレーキが解除された状態になった場合、あるいは障害物が取り払われたのを障害物検知装置10が検知した場合、緊急情報自動通報装置20は、この情報を取り組み判断し、緊急表示終了割り込みを作成して運転台ディスプレイ40と列車情報提供装置50とそれに接続されるディスプレイ装置51を通常の状態に復帰させる。
また、緊急情報をランク付けし、ランクに応じた通報を行うようにすることで、運転士及び乗客は、事前に緊急時の防御体勢を取ることができる。
図5は、この発明の実施の形態2による列車自動通報システムを示す構成図である。
図5において、1、10、20、30〜32、40、50〜52は図1におけるものと同一のものである。列車無線地上システム60は、中央局、業務用ネットワークおよび複数の基地局を一括したものである。列車無線地上システム60は、通信回線61を介して障害物検知装置10と接続される。車両には、列車無線地上システム60と交信する列車無線用アンテナ62と列車無線移動局63を設けている。
図6において、1、10〜17は図2におけるものと同一のものである。図6では、列車無線インタフェース18(列車無線インタフェース手段)を設けて、通信回線61に接続され、列車無線地上システム60と通信できるようになっている。
図7において、20〜27、30〜32は図3におけるものと同一のものである。図7では、移動局インタフェース28(移動局インタフェース手段)を設けて、列車無線移動局63に接続されている。
図5の列車無線地上システム60は、中央局、業務用ネットワークおよび複数の基地局を一括している。この列車無線地上システム60と交信するため、車両には列車無線用アンテナ62と列車無線移動局63を設け、運転指令と列車乗務員が交信できるようになっている。
2 障害物
10 障害物検知装置
11 映像処理部
12 映像比較部
13 映像記憶部
14 障害物パターン記憶部
15 障害物判断部
16 無線伝送手段
17 無線アンテナ
18 列車無線インタフェース
20 緊急情報自動通報装置
21 無線手段
22 速度カウンタ
23 位置検出手段
24 記憶手段
25 ランクセレクタ
26 演算処理手段
27 割り込み信号発生手段
28 移動局インタフェース
30 速度発電機
31 GPSアンテナ
32 無線アンテナ
40 運転台上ディスプレイ
50 列車情報提供装置
51 ディスプレイ装置
52 スピーカ
60 列車無線地上システム
61 通信回線
62 列車無線用アンテナ
63 列車無線移動局
Claims (3)
- 列車軌道上の障害物を監視するように配置された監視カメラ、
この監視カメラによって撮影された映像を解析し、列車軌道上の障害物の有無を判別し、障害物を判別した場合には近くを走行中の列車に対して障害物情報を無線で発信する障害物検知装置、
及び各列車に搭載され、上記障害物検知装置の発信する障害物情報を受信して、緊急情報を通報する緊急情報自動通報装置を備え、
上記緊急情報自動通報装置は、
列車速度と上記障害物までの距離に応じて、緊急度をランク付けしたランク情報を記憶している記憶手段を有し、
上記列車の運転台に配置された運転台ディスプレイ装置と、上記列車に配置され、上記列車の車両に配置されたディスプレイ装置への表示及びスピーカによる放送のいずれか一方または両方を行う列車情報提供装置とに上記緊急情報の通報を行うように構成されるとともに、
上記障害物情報について、上記列車の速度と上記列車の障害物までの残距離に基づき、上記記憶手段を参照して、緊急度のランク付けを行い、上記ランクに対応して予め設定された内容の上記緊急情報を通報することを特徴とする列車自動通報システム。 - 上記緊急情報自動通報装置は、上記障害物検知装置から障害物情報を受信する無線手段と、速度発電機からの出力を取り込んで上記列車の速度を得る速度カウンタと、GPSからの電波または上記速度カウンタにより得られた上記列車の速度情報を積分して、上記列車の位置を検知する位置検出手段と、上記列車の位置情報に基づき演算される上記障害物までの残距離及び上記列車の速度情報を用いて緊急度のランクを選択するランクセレクタと、上記運転台ディスプレイ装置及び上記列車情報提供装置に対し、上記緊急情報を伝える割り込み信号を発生させる割り込み信号発生手段とを有することを特徴とする請求項1記載の列車自動通報システム。
- 上記障害物検知装置は、上記障害物検知装置により検知された障害物情報を当該障害物検知装置から離れた位置を走行中の列車に列車無線により発信するための上記列車無線インタフェース手段を有し、
上記緊急情報自動通報装置は、上記列車無線を受信する移動局インタフェース手段を有し、上記障害物検知装置の発信する障害物情報を受信していない場合に、上記移動局インタフェース手段によって受信した上記列車無線による障害物情報に基づく上記緊急情報を通報することを特徴とする請求項1または請求項2記載の列車自動通報システム。
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