JP5096347B2 - 自動車が備える調節装置の制御装置 - Google Patents

Description

本発明は、自動車が備える調節装置の制御装置に関する。

このような制御装置は、自動車が備える駆動される調節要素を、調節路に沿った調節動作に関して制御するものであり、前記制御装置は、不揮発性デジタルメモリを備えたメモリユニットを備えている。前記制御装置は、前記調節路に沿った前記調節要素の位置または速度に指定される複数の調節データ項目を取得するように構成されている。

「調節データ項目の取得」という用語は、前記制御装置および／またはアセンブリの外部に位置するセンサ装置の測定値または状態データ項目として調節データ項目が登録される場合と、前記制御装置自身が、測定値を発生する手段または状態データ項目を調べる手段を備え、これらによって前記調節データ項目を取得する場合との両方を含む。

このような制御装置は、特に、ウィンドウリフタ・システムとして具体化されている調節装置を制御するための先行技術から知られている。このような制御装置は、位置の変化の終了後または当該制御装置がスリープモードに入る前に、電気アセンブリの状態および作動機構の位置情報が、不揮発性メモリに記憶されるという方法で実施されている。前記作動機構の位置の変化中に、電圧故障またはこの制御装置に設けられているマイクロコントローラがリセットされると、次に制御装置に電源を入れたとき、もはや駆動される機構の現在の位置を知ることができない。ウィンドウリフタ・システムの場合、このことが、例えば、ウィンドウリフタ・システムを標準化できないものにしている。

したがって、本発明の目的は、簡単で低コストの方法で、上記の欠点を克服できる制御装置を提供することである。

上記の目的は、請求項１に記載の構成を有する制御装置によって達成される。

本発明によると、この制御装置は、１０^８（１億）回を超える書き込みサイクル数を有する不揮発性デジタルメモリが備えられており、トリガー処理によってトリガーされると、取得した調節データ項目を前記不揮発性デジタルメモリに連続的に記憶する。

調節データ項目の不揮発性デジタルメモリへの記憶動作をトリガー処理することによって、電圧降下、電圧故障またはシステムリセットにより無くなるまでの調節データ項目が残ることを確実にする。

この目的のために、好ましくは、前記制御装置について、前記調節要素の調節動作中の所定の単位時間および／または前記調節路に沿った前記調節要素の検出される動作間の時間間隔を、トリガー処理として備える方法で実施される。

好ましくは、前記不揮発性デジタルメモリは、１０^９（１０億）回を超える書き込みサイクル数と、１マイクロ秒（μｓ）未満の書き込み時間とを有する。これにより、取得した調節データ項目に関して、通常の自動車の寿命の期間を超える時空について確実に十分に解決することができる。

好ましくは、調節データ項目は、前記調節要素の調節動作と相関するデータとして記憶される。前記データは、例えば前記調節要素および／または前記調節要素の駆動部の位置、速度、加速度およびトルクに関連するデータ、および／または制御信号、および／または前記調節動作に作用する測定値、例えば、機械的衝撃、温度、および車載された電力系統の電圧として記憶される。

さらなる実施形態において、前記制御装置は、当該制御装置とこの制御装置の外部にあるセンサとの間で制御信号および／または測定信号を伝達するバスシステムに接続されているインターフェイスを備えている。特に、先行技術から知られているＣＡＮバスシステムまたはＬＩＮバスシステムが、前記バスシステムに適している。これらのバスシステムは、当該制御装置とこの制御装置の外部に車載されたセンサ装置との間で制御信号および／または測定信号を伝達させる機能を備えている。

前記不揮発性デジタルメモリは、前記バスシステムの状態データ項目として、および／または前記バスシステムに接続されている機能ユニットの状態データ項目として、さらに調節データ項目を記憶するのに適している。

さらに、好ましくは、調節装置への電力供給がなくなったとき、前記制御装置と相互に作用する前記調節装置の続行動作を、少なくとも前記不揮発性デジタルメモリに存在する複数の調節データ項目を用いて推測するアルゴリズムが、前記制御装置に設けられている。このようにして、新たに前記調節装置を作動させたときに、前記調節路に沿った前記調節要素の実際の位置を決めることができる。この目的のために、これに相当する前記アルゴリズムが、マイクロ電子形態で備えられている。

前記不揮発性メモリについて、特に、書き込みサイクルの回数および書き込み速度に関して必要とされる特性を備えた、磁気抵抗ＲＡＭ、強誘電体ＲＡＭおよび／または相変化ＲＡＭとしてメモリセルを使用することができる。

本発明の一変形例によると、前記制御装置は、タイマーを備えているか、または外部のタイマーと相互に作用しており、所定の時間間隔で前記不揮発性メモリへの前記調節データ項目の記憶動作をトリガーする。

この目的のために、メモリユニットに備えられた前記不揮発性メモリが、さらなる調節データ項目として前記タイマーの状態についての情報を記憶するのは有用である。

一変形例において、前記制御装置は、前記調節要素の位置データを測定するセンサ装置を備えることによって形成される。好ましくは、このようなセンサ装置は、ホールセンサを備えている。前記ホールセンサは、センサの検出信号の検出されたエッジが、調節データ項目の前記不揮発性メモリへの記憶動作のトリガー処理の役割を果たすか、またはこのようなトリガー処理を開始させるように構成されている。

前記メモリユニットに備えられた前記不揮発性メモリが、さらなる調節データとして前記センサ装置の状態についての情報を記憶するのが好ましい。

前記メモリユニットのさらなる変形例において、前記不揮発性メモリに加えて、特に、調節データ項目を一時的に保持するための揮発性ＲＡＭが備えられてもよい。

好ましくは、前記制御装置は、前記調節装置を制御したり、前記調節データ項目を記憶させるためのマイクロコントローラを備えており、当該マイクロコントローラは、構成部品群を収納するための共通のハウジング内に、前記不揮発性メモリと共に一体化されている。

上述の制御装置は、前記の構成のいかなる組み合わせにおいても、特に、自動車が備える調節装置の動作停滞防止システムへの使用に適している。この場合、前記調節要素を制御する機能は、前記動作停滞防止システムの機能と組み合わされる。

同様に、前記いろいろの制御装置は、動作停滞防止機能を持たない調節装置の調節要素にも用いられる。

上述の制御装置は、特に、ウィンドウリフタ・システムまたは座席の調節システムとして実施されている調節装置の制御に適している。

本発明のさらなる特徴および利点を、後述の図面に示された例示的な実施形態を用いて説明する。

図１は、制御装置１の第１の実施形態を示す概略図である。マイクロコントローラ１３と、不揮発性デジタルメモリ１１０を含むメモリユニット１０と、タイマー１１と、揮発性のＲＡＭ１１１とが、構成部品群を収納する共通のハウジング１４内に配置されている。不揮発性メモリ１１０は、複数のメモリセル１１０ａを備えている。タイマー１１を備えるマイクロコントローラ１３は、中心の構成部として、不揮発性メモリ１１０および揮発性ＲＡＭ１１１に接続されている。

概略的に図示された構成は、通常、マイクロ電子部品によって実施されている。したがって、当然、図面において別個に示されている部品を、機能性の観点から一体化させることも可能である。つまり、マイクロコントローラ１３のマイクロチップは、例えば、揮発性ＲＡＭ１１１およびタイマー１１を備えることができる。

制御装置１は、バスシステムＢに接続するためのインターフェイスも備えている。このバスシステムＢは、制御装置１を、制御される調節装置Ｖと、バスシステムＢおよび／または外部のセンサｅＳに接続されたさらなる外部の機能ユニットＦＵとの双方に、動作可能に接続している。

一例として、図示された調節装置Ｖは、ウィンドウリフタ・システムである。ウィンドウガラスとして具体化されている調節要素Ｅは、モータ駆動式で調節路Ｘに沿って移動することができる。例えば、調節要素Ｅについての情報（位置Ｘ_Ｅ，速度Ｖ_Ｅ，駆動トルクＭ_Ｅ）としての調節データ項目Ｄは、調節要素Ｅの駆動部と相互に作用する外部のセンサｅＳによって測定することが可能であり、バスシステムＢを介して制御装置１のマイクロコントローラ１３に伝達される。

さらに、例えばさらなる外部のセンサｅＳの測定値および／または外部の機能ユニットＦＵの状態データ項目である調節データ項目が、これら調節制御に関わる全てのアセンブリを接続するバスシステムＢを介して、制御装置１のマイクロコントローラであるマイクロプロセッサ１３に利用することができる。もちろん、必ず単一のバスシステムでなくてもよく、調節データ項目を取得するために、互いに平行な複数のデータ回線システムを設けてもよい。

制御装置１では、マイクロコントローラ１３によって、トリガー処理によってトリガーされ、調節データ項目Ｄが不揮発性のメモリユニット１０に記憶される。このトリガー処理は、例えば、所定の時間間隔△ｔの形でなされる。つまり、調節要素Ｅが調節路Ｘに沿って動作する間、最新の各調節データ項目Ｄが、所定の時間間隔△ｔ毎にメモリユニット１０に記憶される。これにより、特に電圧降下が生じるか、またはマイクロコントローラ１３がリセットされた場合でも、調節装置Ｖの調節要素Ｅの位置についての非標準化（標準化がなされないこと）を確実に防止する。さらに、マイクロコントローラ１３は、電圧降下および／または電圧故障が生じた場合に、調節要素Ｅの続行動作をシミュレートするためのアルゴリズムを備えていてもよい。この結果、たとえ、停止ブレーキがかけられる前に、指定された駆動が遮断され、慣性力によって未だ動作中の調節要素Ｅが、調節路Ｘのいくらかの距離の間を移動しても、調節装置Ｖの非標準化を防止することができる。

図２に示された制御装置１の第２の実施形態は、構造からみて、図１に示された実施形態と対応しており、タイマー１１と、マイクロコントローラ１３と、揮発性ＲＡＭ１１１と、不揮発性のメモリユニット１０を備えている。

このため、制御装置１の上述の内容を参照し、この第２の実施形態にも適用する。

この制御装置１は、第１の実施形態とは対照的に、センサ装置１２を備えている。このセンサ装置１２は、制御装置１と相互に作用する調節装置Ｖの調節要素Ｅの調節動作についての測定値を調節データ項目Ｄとして取得する。特に、動作中の調節要素Ｅの位置Ｘ_Ｅ、速度Ｖ_Ｅおよび駆動トルクＭ_Ｅである調節データ項目Ｄを測定するセンサ装置１２は、図１では調節装置Ｖの外部センサｅＳとして設けられているが、ここでは制御装置１に一体化されている。

図２では、制御装置１と調節装置Ｖとの間の接続が、バスシステムとして表示されていない。これは単に、制御装置１が、バスシステム以外の接続回線を介して調節装置Ｖと相互に作用することを示すためである。同様に、制御装置１は、調節要素Ｅの駆動装置に構造的に一体化されてもよい。

調節データ項目Ｄの記憶動作をトリガーするトリガー処理の第２の変形例として、このトリガー処理を、調節動作の特定の範囲を示すセンサ信号に設定することも可能である。例えば、図３には、ホールセンサ（Ｈａｌｌ ｓｅｎｓｏｒ）のパルス列が示されている。２つのパルスの立ち上がりエッジ１２０の間の距離が、調節路Ｘに沿って調節要素Ｅが進んだ所定の距離に相当する。不揮発性のメモリユニット１０への調節データ項目Ｄの記憶動作を、調節要素Ｅの動作を特徴付ける信号パルスの図示された立ち上がりエッジ１２０に結び付けることによって、調節要素Ｅの動作が始まると直に、調節データ項目Ｄが確実に記憶される。

制御装置１について、調節データ項目Ｄを記憶するために、異なるトリガー処理を組み合わせてもよいことは明らかである。さらに、状態関数として異なるトリガー処理を備えてもよい。例えば、調節要素Ｅが動作をしていないときにも前記調節データ項目は調節要素Ｅの動作と無関係に変化し、所定の時間間隔毎に調節データ項目Ｄを記憶してもよい。この場合の調節データ項目は、特に、動作温度、動作電圧および自動車の他の機能ユニットの状態データ項目に関連する。上記で説明した実施形態の基本構成となる調節装置の制御装置は、自動車が備える調節装置（Ｖ）を制御して、自動車の駆動される調節要素（Ｅ）を調節路（Ｘ）に沿って調節動作させる制御装置（１）であって、１０^８回を超える書き込みサイクル数を有する不揮発性デジタルメモリ（１１０）を有するメモリユニット（１０）を備え、前記調節（Ｘ）に沿った前記調節要素（Ｅ）の位置または速度に指定された複数の調節データ項目（Ｄ）を取得するように構成されており、トリガー処理によりトリガーされると、前記取得した調節データ項目（Ｄ）を前記不揮発性デジタルメモリ（１１０）に連続的に記憶する。さらに、上記で説明した調節装置の制御装置の実施形態またはその変形例は、以下の態様１〜４を含む。
（態様１）
上記基本構成に係わる調節装置の制御装置において、前記不揮発性デジタルメモリ（１１０）が、１０^９回を超える書き込みサイクル数と、１マイクロ秒（μｓ）未満の書き込み時間とを有してもよい。
（態様２）
上記基本構成に係わる調節装置の制御装置において、前記不揮発性デジタルメモリ（１１０）が、前記バスシステムの状態データ項目および／または前記バスシステムに接続されている機能ユニット（ＦＵ）の状態データ項目として、さらに調節データを記憶してもよい。
（態様３）
上記基本構成に係わる調節装置の制御装置において、前記不揮発性デジタルメモリ（１１０）が、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ、強誘電体ランダムアクセスメモリおよび／または相変化ランダムアクセスメモリの形態のメモリセル（１１０ａ）を備えていてもよい。
（態様４）
上記基本構成に係わる調節装置の制御装置において、前記トリガー処理が、前記調節要素（Ｅ）の調節動作中の所定の単位時間（△ｔ）および／または前記調節路（Ｘ）に沿った前記調節要素（Ｅ）の検出された動作間の時間間隔（△ｘ）として構成されてもよい。

センサｅＳが外部に設けられた制御装置１の第１の実施形態を示す概略図である。 センサ装置１２が組み込まれた制御装置１の第２の実施形態を示す概略図である。 調節データ項目Ｄを記憶するためのトリガー処理として役割を果たす信号パルスの立ち上がりエッジ１２０を示す概略図である。

符号の説明

１ 制御装置
１０ メモリユニット
１１ タイマー
１２ センサ装置
１３ マイクロコントローラ（マイクロプロセッサ）
１４ 構成部品群を収納するハウジング
１１０ 不揮発性メモリ
１１０ａ メモリセル
１１１ 揮発性ランダムアクセスメモリ
１２０ センサ信号の立ち上がりエッジ
Ｂ データバス バスシステム
Ｄ 調節データ項目
Ｅ 調節要素
ＦＵ 外部の機能ユニット
ｅＳ 外部のセンサ
Ｖ 調節装置
Ｘ 調節路

Claims (11)

1. 自動車が備える調節装置（Ｖ）を制御して、自動車の駆動される調節要素（Ｅ）を調節路（Ｘ）に沿って調節動作させる制御装置（１）であって、
   １０^８回を超える書き込みサイクル数を有する不揮発性デジタルメモリ（１１０）を有するメモリユニット（１０）を備え、
   前記調節路（Ｘ）に沿った前記調節要素（Ｅ）の位置または速度に指定された複数の調節データ項目（Ｄ）を取得するように構成されており、
   トリガー処理によりトリガーされると、前記取得した調節データ項目（Ｄ）を前記不揮発性デジタルメモリ（１１０）に連続的に記憶し、
   前記調節路（Ｘ）に沿った前記調節要素（Ｅ）の調節動作中に、前記調節路に沿った前記調節要素の検出された動作間の時間間隔（△ｘ）に応じてトリガーし、調節動作を示す信号パルスの立ち上がりエッジに結びつけて前記調節データ項目（Ｄ）を記憶し、
   調節要素（Ｅ）が動作をしていないときに、所定の時間間隔（△ｔ）に応じてトリガーし、所定の時間間隔（△ｔ）毎に前記調節データ項目（Ｄ）を記憶する、調節装置の制御装置（１）。
2. 請求項１において、前記調節要素（Ｅ）の調節動作および／または前記調節動作に作用する測定値および／または制御信号と相関するデータが、調節データ項目（Ｄ）として記憶されるように構成されている調節装置の制御装置（１）。
3. 請求項１〜２のいずれか一項において、当該制御装置（１）とその外部にあるセンサ（ｅＳ）との間で制御信号および／または測定信号を伝達するバスシステム（Ｂ）に接続されているインターフェイスを備えた調節装置の制御装置（１）。
4. 請求項３において、前記調節装置（Ｖ）への電力供給がなくなったとき、当該制御装置（１）と相互に作用する前記調節装置（Ｖ）の続行動作を、少なくとも前記不揮発性メモリ（１１０）に存在する複数の調節データ項目（Ｄ）を用いて、外挿により推測して行うアルゴリズムが実行される調節装置の制御装置（１）。
5. 請求項１〜４のいずれか一項において、調節データ項目（Ｄ）の前記不揮発性デジタルメモリ（１１０）への記憶動作をトリガーするタイマー（１１）を備えている調節装置の制御装置（１）。
6. 請求項５において、前記メモリ（１１０）が、さらなる調節データ項目（Ｄ）として前記タイマー（１１）の状態についての情報を記憶する調節装置の制御装置（１）。
7. 請求項１〜６のいずれか一項において、前記調節要素（Ｅ）の位置データを測定するセンサ装置（１２）を備えている調節装置の制御装置（１）。
8. 請求項７において、前記センサ装置（１２）が、センサ信号の検出されたエッジ（１２０）によって調節データ項目（Ｄ）を記憶するためのトリガー処理を行わせるホールセンサを備える調節装置の制御装置（１）。
9. 請求項７において、前記メモリユニット（１０）が、さらなる調節データ項目（Ｄ）として前記センサ装置（１２）の状態についての情報を記憶する調節装置の制御装置（１）。
10. 請求項１〜９のいずれか一項において、前記メモリユニット（１０）が、前記不揮発性メモリ（１１０）に加えて、前記調節データ項目（Ｄ）を一時的に保持する揮発性のランダムアクセスメモリ（１１１）を備えている調節装置の制御装置（１）。
11. 請求項１〜１０のいずれか一項において、さらに、前記調節装置（Ｖ）を制御したり、前記調節データ項目（Ｄ）を記憶させるためのマイクロコントローラ（１３）を備えており、前記マイクロコントローラ（１３）が、ハウジング（１４）内に収納されて、前記不揮発性メモリ（１１０）と一体化されている調節装置の制御装置（１）。

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