JP5096267B2 - ホログラム再生装置 - Google Patents

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本発明は、波面制御器と光検出器により光を制御するホログラム再生装置、特に、ホログラム再生装置における光波面の制御技術の改良に関するものである。
近年、情報記録において光ディスクなどの光情報記録媒体が普及しつつある。また、より高速・大容量を目指した次世代光情報記録媒体の研究・開発が活発に行われている。
その中でも、記録容量を大幅に高めることができるという観点から、種々のホログラム記録装置やホログラム再生装置が提案されている。
従来の典型的なホログラム装置は記録機能および再生機能を備えたホログラム記録装置(本明細書中でホログラム記録装置と称するときは、記録機能と再生機能の両者を備えたものとする)であり、例えば図4に示されるように構成されている。
このホログラム記録装置の記録装置部分では、レーザ光源201から出射されたコヒーレントなレーザ光束は、発散レンズ202およびコリメートレンズ203からなるビームエキスパンダにより光束径を拡大され、半波長板204を透過し、偏光ビームスプリッタ206により2系の光束に分岐され、それぞれ信号光(物体光:実際には空間光変調素子208により信号光とされる)および参照光として機能せしめられる。
偏光ビームスプリッタ206により分岐された信号光は、偏光ビームスプリッタ207を介して空間光変調素子208に照射される。
記録すべきデジタル情報はページデータと称される2次元配列に整列され、空間光変調素子208に順次表示され、これにより通過する(反射する)光を空間的に変調する。空間光変調素子208から出射された信号光は、入射した状態とは偏光方向が変化しており、偏光ビームスプリッタ207において反射され、フーリエ変換レンズ210によって光学的にフーリエ変換されてホログラム記録媒体211へ照射される。このときホログラム記録媒体211中の信号光が通過する場所へ、別角度から、偏光ビームスプリッタ206で分岐した参照光を同時に照射すると記録媒体211内部の体積中に干渉縞が生じ、この縞分布を屈折率分布などの形態で記録媒体211の記録領域に転写することによりホログラム記録を行う。
なお、上記光路中には、光束を偏向するための反射ミラー205、222および光束を適宜通過/遮断するためのシャッタ209、224が配設されている。
一方、ホログラム記録装置の再生装置部分では、ホログラム記録媒体211に記録されたページデータを再生するため、空間光変調素子208から出射された信号光をシャッタ209により遮蔽し、記録装置において使用した参照光の入射角度と同一角度で、記録媒体211に参照光を入射せしめることにより、フーリエ変換レンズ(結像レンズ)212を介してCCD(撮像素子(Charge Coupled Device))カメラ213にて撮像することができる。
このようなホログラム記録装置については、本願発明者等が既に、下記特許文献1、2において、特許庁に開示している。
特願2007−255322号明細書 特願2008−120772号明細書 特開2006−78944号公報 特開2006−84485号公報
ところで、光学装置においては、その光路中を進む間にレンズ等の光学素子によって光の波面が歪んでしまう。そして、互いに異なる光学装置間では、光学系の配置を互いに同一にしたとしても、光の波面の歪み方は異なってしまう。したがって、一般に、ホログラム記録装置とホログラム再生装置との間でも、参照光の波面形状が異なったものとなってしまい、そのため、記録時と再生時との間で、参照光が同一の波面形状とならず、再生データのSNR(SN比)が低下してしまう、という問題がある。
さらに、上記特許文献3、4に示すような、ランダム位相発生器を用いたセキュアなホログラム記録装置では、再生時においてランダム位相発生器に入射する参照光の波面形状が、記録時における参照光の波面形状と異なっていると、再生像を得ることが困難となる。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ホログラム再生時において使用する参照光の波面形状と、ホログラム記録時における参照光の波面形状との相違によって生じる、再生像取得の困難性や、再生データのSNRの低下を防止しうるホログラム再生装置を提供することを目的とするものである。
本発明のホログラム再生装置は、データ信号を担持した信号光と、参照光とを干渉させ、得られた干渉縞がデータ情報として記録されてなるホログラム記録媒体に対し、該参照光を照射して、該データ情報を担持した再生光を出力させるホログラム再生装置において、
前記参照光の光路中に、該参照光の波面を検出する光検出器と、該参照光の波面を調整する波面制御器を配設し、
該波面制御器においては、該光検出器により検出された参照光の波面形状が、前記ホログラム記録媒体への信号記録時における前記参照光の波面形状となるように調整するホログラム再生装置において、
前記波面制御器における前記参照光の波面形状の調整は、前記光検出器により検出された前記参照光の波面形状のゼルニケ係数が、前記ホログラム記録媒体への信号記録時における前記参照光の波面形状のゼルニケ係数に一致するように調整することを特徴とするものである。
また、前記波面制御器における前記参照光の波面形状の調整は、フィードバック制御によりなされることが好ましい。
また、前記参照光の光路中には、前記光検出器方向への光を分岐する光分離手段と前記ホログラム記録媒体との間にランダム位相発生器が設けられていることが好ましい。
さらに、本発明のホログラム再生装置は、ホログラム記録装置としての機能も備えてなるものとすることができる。
本発明のホログラム再生装置においては、前記参照光の光路中に、該参照光の波面を検出する光検出器と、該参照光の波面を調整する波面制御器を配設し、該波面制御器において、該光検出器により検出された参照光の波面形状が、ホログラム記録媒体への信号記録時における前記参照光の波面形状となるように調整するように構成されている。
このような、容易かつ簡易な構成によって、記録時と再生時の参照光の波面形状を一致させるようにしているので、これら両参照光の波面形状の相違によって生じる、再生像取得の困難性や、再生データのSNRの低下を容易かつ簡易に防止することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施例1に係るホログラム記録装置(本発明に係るホログラム再生装置の一態様である)の主要光学系を説明するための概略図である。以下、本装置を情報記録機能(ホログラム記録部)と情報再生機能(ホログラム再生部)とに分けて説明する。
<情報記録機能(ホログラム記録部)>
図1に示すように、レーザ光源1から出射されたコヒーレントなレーザ光束は、発散レンズ2およびコリメートレンズ3からなるビームエキスパンダにより光束径を拡大され、半波長板4を透過し反射ミラー5により反射された後、偏光ビームスプリッタ6により2系の光束に分岐され、それぞれ信号光(物体光:実際には空間光変調素子8により信号光とされる)および参照光として機能せしめられる。
上記参照光は、波面制御器21により反射され、波面センサ23方向に光を分岐するハーフミラー22および光束を適宜通過/遮断するためのシャッタ24を介してホログラム記録媒体11上の所定の領域に照射される。
一方、上記信号光は、偏光ビームスプリッタ7を介して空間光変調素子8に照射される。
空間光変調素子8としては、液晶表示パネルやDMD(デジタルマイクロミラーデバイス:Digital Micromirror Device)等のライトバルブが用いられる。空間光変調素子8上の各ピクセルがページデータ上の2値のデジタル情報に応じて光を通過(図1の例では反射)/遮断することで、空間的に光を変調する。この変調処理によりページデータ情報を担持した信号光が生成される。
空間光変調素子8から出射された信号光は、入射した状態とは偏光方向が変化しており、偏光ビームスプリッタ7において反射され、シャッタ9を通過した後フーリエ変換レンズ(FTL:Fourier Transform Lens)10によって光学的にフーリエ変換されてホログラム記録媒体11へ照射される。このときホログラム記録媒体11中の信号光が照射される領域へ、別角度から、上記参照光が同時に照射されるので、記録媒体11内部の体積中に干渉縞が生じ、この縞分布を屈折率分布などの形態で記録媒体11の記録領域に転写することによりホログラム記録が行われる。
また、例えば、異なるページデータを、空間光変調素子8に順次表示させつつ、参照光のホログラム記録媒体11への入射角度を少しずつ変化させることにより、互いに異なるページデータを記録媒体11中の同一領域へ多重記録することが可能となり、より高密度な情報格納が可能となる。
<情報再生機能(ホログラム再生部)>
次に、情報再生時において、レーザ光源1から出射された参照光は、発散レンズ2、コリメートレンズ3、半波長板4、反射ミラー5、偏光ビームスプリッタ6、波面制御器21、ハーフミラー22およびシャッタ24を介してホログラム記録媒体11上の所定の領域に照射される。すなわち、シャッタ24を通過した参照光は、情報記録時と同様の入射角度および位置において、ホログラム記録媒体11の所定の領域に照射される。なお、シャッタ9は閉じた状態とされるため、信号光はホログラム記録媒体11上に照射されない。
すなわち、所望のページデータを再生する場合には、この所望のページデータを記録した情報記録時と同一の参照光入射条件となるように設定し、参照光を、波面制御器21等を介してホログラム記録媒体11に入射せしめ、所望のページデータ情報を担持した再生光(回折光)をホログラム記録媒体11から出力せしめる。この再生光はフーリエ変換レンズ12を介してCCDカメラ13の撮像面に結像される。このようにしてホログラム記録媒体11における光回折により得られた再生光は、CCDカメラ13にて情報取得がなされることになる。なお、CCDカメラ13において撮像された再生像情報(強度分布情報を含む)と波面センサ23により得られた参照光波面情報は計測制御装置40に送出される。
そして、上述したように、上記波面制御器21により設定される光波面の態様は、計測制御装置40からの指示信号(入力された参照光波面情報に応じて設定される)に基づいて、制御されるようになっている。すなわち、参照光は計測制御装置40からの指示信号に応じ、波面制御器21によって波面が制御されることになる。
ところで、光学装置においては、その光路中を進む間にレンズ等の光学素子によって光の波面が歪んでしまう。そして、互いに異なる光学装置間では、光学系の配置を互いに同一にしたとしても、光の波面の歪み方は異なってしまう。したがって、一般に、ホログラム記録装置とホログラム再生装置との間でも、参照光の波面形状が異なったものとなってしまい、そのため、記録時と再生時との間で、参照光が同一の波面形状とならず、再生データのSNR(SN比)が低下してしまう、という問題がある。
そこで、本実施形態のものでは、再生時に波面センサ23により検出された参照光波面形状が、記録時におけるホログラム記録媒体11に入射した際の参照光波面形状と整合するように、波面制御器21により制御するようになっている。なお、参照光の光路中に設けられたハーフミラー22により分岐された参照光は、一方は記録媒体11に到達するのに対して、他方は波面センサ23に到達するようにし、両者に到達した際の参照光波面形状が略一致するように構成する。
<参照光の波面制御>
まず、記録時において、参照光波面形状の指標としてゼルニケ係数Zrecを測定する。この場合のゼルニケ係数Zrecは、記録時において波面センサ23によって測定する。
一方、再生時においては、始めに、波面制御器21の各駆動部の設定値(例えば、各駆動部を動作させるのに必要な電圧値)と、そのときの参照光波面のゼルニケ係数から、この系の伝達関数を求める。
次に、記録時の参照光波面のゼルニケ係数Zrecを、後述する式(5)に代入し、この式に基づき再生時の参照光波面のゼルニケ係数が記録時のゼルニケ係数と一致するように波面制御器21によりフィードバック制御を行なう。
これにより記録時と再生時の参照光波面形状を一致させることができる。このときの再生像はCCDカメラ13等により撮像する。
上記参照光の波面制御は、伝達関数を用いたフィードバック制御を用いる(E. J. Fernandez, and P. Artal, “Membrane deformable mirror for adaptive optics: performance limits in visual optics”, Opt. Exp., Vol.11, No.9, pp.1056-1069,2003を参照)。このフィードバック制御においては、上述したように、まず、波面制御器21の各駆動部の設定値と、そのときの波面センサ23で測定したゼルニケ係数に基づきこの系の伝達関数を求める。
すなわち、入力ベクトルを波面制御器21の駆動部の設定値Dとし、出力ベクトルをゼルニケ係数Z、伝達関数行列をAとすると、下式(1)〜(4)で表される。
Figure 0005096267
式(2)中のdvは波面制御器の駆動部No.vの設定値、式(3)中のzuは出力光のu次のゼルニケ係数、式(4)中のauvは比例定数である。フィードバック制御は、i回目の波面制御器の設定値をDi、このときのゼルニケ係数をZi、所望のゼルニケ係数をZreq、比例定数をβとすると、下式(5)により表すことができる。
Figure 0005096267
記録時の参照光波面形状を得るためには、式(5)のZreqを記録時の参照光波面のゼルニケ係数Zrecとする。式(5)を用いて繰り返し制御を行なうことにより、再生時の参照光波面形状を記録時の参照光波面形状と一致させることができる。
図2にフィードバックの回数と参照光波面のゼルニケ係数の関係を示す。
ここでは、記録時の参照光波面は平面波であるため、再生時の参照光波面形状が、下記(6)式を満足するように制御を行なう。
Figure 0005096267
図3は、上記実施例1のものの変形例である実施例2を示す概略図である。この実施例2においては、実施例1の構成部材と対応する構成部材については、その実施例1の構成部材に付された符号に100を加えた符号にて表して、重複する詳細な説明は、簡便のため省略する。したがって、以下では、主として実施例1と異なる部分について説明する。
この実施例2のホログラム記録装置においては、参照光路中のハーフミラー122と記録媒体111の間にランダム位相発生器125が設けられている。
ここで、ランダム位相発生器とは、位相がそろった光を入力したとき、出力光の位相をランダムとする機能を有する素子をいう。
再生時の参照光波面の制御方法は、実施例1と同様の手法によって、始めに伝達関数を求め、記録時における参照光波面のゼルニケ係数Zrecと一致するように、再生時の参照光波面をフィードバック制御により設定する。
記録時の参照光波面形状に一致した再生時の参照光波面形状をランダム位相発生器125を通して記録媒体111に照射し、このときの再生像をCCDカメラ113により撮像することにより、SNRの良好な再生データが得られることになる。
なお、上述した波面制御器21、121としては、液晶パネルやデフォーマブルミラー等を用いることが可能である。
また、上記波面センサ23、123としてはシャックハルトマンセンサを用いることが可能である。
なお、本発明のホログラム再生装置としては上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。例えば、装置の光学系を構成する部材の配置としては、必ずしも上記実施形態のものに限られるものではない。
また、上記実施例のものにおいては、波面の制御手法としてフィードバック制御を用いているが、本発明者等が既に特許庁に開示している特願2007−255322号明細書等に記載されている遺伝的アルゴリズムを用いた制御等の他の制御手法を用いることが可能である。
また、上記実施形態のものは、再生機能と記録機能を有するホログラム記録装置が示されているが、本発明のホログラム再生装置は、記録機能を備えていないホログラム再生装置とすることも可能であり、本発明のホログラム再生装置の作用効果は、むしろこのような、記録機能を備えていないホログラム再生装置に対して、より有効に発揮しうるものである。
本発明の実施例1に係るホログラム再生装置(ホログラム記録装置)の主要光学系を示す概略図 本発明の波面制御に用いるフィードバック回数とゼルニケ係数との関係を表わすグラフ 本発明の実施例2に係るホログラム再生装置(ホログラム記録装置)の主要光学系を示す概略図 従来技術に係るホログラム再生装置の主要光学系を示す概略図
符号の説明
1、101、201 レーザ光源
2、102、202 発散レンズ
3、103、203 コリメートレンズ
4、104、204 半波長板
5、105、205、222 ミラー
6、7、106、107、206、207 偏光ビームスプリッタ
8、108、208 空間光変調素子
9、24、109、124、209、224 シャッタ
10、12、110、112、210、212 レンズ
11、111、211 ホログラム記録媒体
13、113、213 CCDカメラ
21、121 波面制御器
22、122 ハーフミラー
23、123 波面センサ
40、140 計測制御装置
125 ランダム位相発生器

Claims (4)

  1. データ信号を担持した信号光と、参照光とを干渉させ、得られた干渉縞がデータ情報として記録されてなるホログラム記録媒体に対し、該参照光を照射して、該データ情報を担持した再生光を出力させるホログラム再生装置において、
    前記参照光の光路中に、該参照光の波面を検出する光検出器と、該参照光の波面を調整する波面制御器を配設し、
    該波面制御器においては、該光検出器により検出された参照光の波面形状が、前記ホログラム記録媒体への信号記録時における前記参照光の波面形状となるように調整するホログラム再生装置において、
    前記波面制御器における前記参照光の波面形状の調整は、前記光検出器により検出された前記参照光の波面形状のゼルニケ係数が、前記ホログラム記録媒体への信号記録時における前記参照光の波面形状のゼルニケ係数に一致するように調整することを特徴とするホログラム再生装置。
  2. 前記波面制御器における前記参照光の波面形状の調整は、フィードバック制御によりなされることを特徴とする請求項1記載のホログラム再生装置。
  3. 前記参照光の光路中には、前記光検出器方向への光を分岐する光分離手段と前記ホログラム記録媒体との間にランダム位相発生器が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のホログラム再生装置。
  4. ホログラム記録装置としての機能も備えてなることを特徴とする請求項1からのうちいずれか1項記載のホログラム再生装置。
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