以下、本発明の実施例について詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、表示装置LCD(液晶ディスプレイ)が配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
表示装置LCDは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置LCDは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
表示装置LCDの斜め下部には、遊技部材たる風車の下方にカメラCAが配置されており、そのレンズが外部に向けて露出している。カメラCAは、風車の直ぐ下方に配置されているので、遊技球がその前を通過することがなく、したがって、カメラCAの視界が遮られることがない。
本実施例の場合、カメラCAは、常時、機能しているのではなく、例えば、カメラ演出抽選に当選した場合だけ、動作を開始して遊技者の動きを把握するようになっている。カメラCAが動作を開始したことは、表示装置LCDに報知されるので、その後、カメラCAの前に、手などを差し伸べて、これを適宜な方向に移動させると、その移動方向と移動速度が遊技機内部で把握されるよう構成されている。
カメラCAの右側に位置する図柄始動口15は、左右1対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置LCDを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インタフェイス基板27を経由して、画像制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23が、表示装置LCDやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYS、RAMクリア信号DEL、電圧降下信号、バックアップ電源BAK、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。同様に、電源中継基板30も、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インタフェイス基板27に出力している。なお、演出インタフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と画像制御部23に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の、システムリセット信号SYS、RAMクリア信号DEL、電圧降下信号、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
ここで、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す電源リセット信号であり、この電源リセット信号によって各制御部21〜24のワンチップマイコンその他のIC素子が電源リセットされるようになっている。
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受けるRAMクリア信号DELは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受ける電圧降下信号は、交流電源24Vが降下し始めたことを示す信号であり、この電圧降下信号を受けることによって、各制御部21、24では、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BAKは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部25は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
一方、演出制御部22と画像制御部23には、上記した電源バックアップ機能が設けられていない。しかし、先に説明した通り、演出制御部22と画像制御部23には、電源中継基板30と演出インタフェイス基板27を経由して、システムリセット信号SYSが共通して供給されており、他の制御部21,24と、ほぼ同期したタイミングで電源リセット動作が実現される。
図示の通り、主制御部21は、主基板中継基板28を経由して、払出制御部25に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。なお、スイッチ信号には、図柄始動口15から主制御部21に伝送される入賞スイッチ信号SGが含まれる。
先に説明した通り、画像制御部23は、演出制御部22から制御コマンドCMD’を受けて、表示装置LCDにおいて、適宜な図柄演出動作を実行する。なお、制御コマンドCMD’には、図柄演出に関わらないエラー報知コマンドなども含まれるので、以下の説明では、演出動作に関わる制御コマンドを、特に、演出コマンドCMD’という。
演出コマンドCMD’は、主制御部21から受けた制御コマンドCMDに基づいて、演出制御部22における演出抽選によって決定されたものであり、この演出コマンドCMD’に基づいて、演出制御部22における音声演出及びランプ演出と、画像制御部23における図柄演出とが同期して実行される。
図柄演出は、特別図柄が循環的に移動するいわゆる図柄変動動作が中心であり、リーチ演出が含まれている。なお、リーチ演出とは、3つの特別図柄のうち、変動を停止した2つの特別図柄が正しく揃った後に開始される図柄演出であり、最終的に、大当り状態となる可能性がある場合に実行される。
このようなリーチ演出中には、適宜なキャラクタが出現する予告動作も実行されることがある。そして、どのようなキャラクタが、どのタイミングで出現するかに応じて、最終的に大当り状態に至る期待度が相違するよう構成されている。
ところで、図3に示す通り、本実施例の画像制御部23は、カメラインタフェイス基板33を経由して、カメラCAの撮影画像を取得するよう構成されている。カメラCAを機能させて撮影画像を取得するか否かは、演出コマンドCMD’を受信した後、演出コマンドCMD’に対応して実行されるカメラ演出抽選によって画像制御部23において決定される。
特に限定されるものではないが、この実施例では、大当り状態に至る場合には100%の確率で、また、大当り状態に至る可能性の高いリーチ演出を実行する場合には、前記可能性に対応する高確率で、カメラ演出抽選に当選するよう構成されている。
一方、大当り状態に至る可能性の低いリーチ演出を実行する場合には、低確率でカメラ演出抽選に当選するよう構成されている。そして、カメラ演出抽選に当選したことは、適宜なタイミングで表示装置LCDに報知されるので、遊技者は、上記の高い当選確率を踏まえて、期待感をもってカメラ演出に参加するものと期待される。
図4(c)は、カメラ演出を例示したものである。図示例は、リーチ演出の最終段階であって、「7−7−7」の特別図柄が揃うか否かの微妙なタイミングでの図柄演出を示している。このような微妙なタイミングでカメラ演出が開始され、表示装置LCDには「カメラチャンス!!『7』を押し込むか、『6』を押し出して!!」のような表示がされる。また、適宜なキャラクタ(お助けマン)が出現する。
そこで、遊技者は、カメラCAに差し伸べた手を、適宜な方向に移動させることで、キャラクタを、特別図柄「7」の位置に、ゆっくり移動させた後、遊技者の手を下方に移動させる。すると、キャラクタは、特別図柄「7」を中心位置に押し込む動作を繰返す。
或いは、遊技者は、キャラクタを、特別図柄「6」の位置にゆっくり移動させた後、遊技者の手を、下方又は左に移動させても良い。この場合、手を下方に移動させると、キャラクタが、特別図柄「6」を押し出す動作を実行し、手を左に移動させると、キャラクタが、特別図柄「6」を叩く動作を実行する。
上記何れの動作も、大当り状態を招来させるための支援動作であるので、その支援動作が成功すれば、遊技者は、自らの貢献によって大当り状態を獲得したと実感することができ、大きな喜びをもって、新規の遊技性を楽しむことができる。もっとも、大当り状態となるか否かは、実際には、支援動作の良否には影響されない。そこで、ハズレ時の演出としては、遊技者の手の移動速度が速ければ、特別図柄「7」が、中心位置から行き過ぎる演出を実行して「7−8−7」でハズレ状態を確定させる。一方、遊技者の手の移動速度が遅い場合には、特別図柄「7」が、中心位置から押し戻される演出を実行して、「7−6−7」でハズレ状態を確定させる。
なお、遊技者がカメラ演出を活用しない場合もあり得るが、このような場合には、カメラチャンス開始後、適当なタイミングで全ての特別図柄を再度変動させ、その後に予定の図柄配列で停止させる。
以上のようなカメラ演出動作を実現するには、遊技者の手の移動方向と、移動速度とを把握する必要がある。図5は、この把握動作を実現する画像制御部23のタイマ割込み処理を説明するフローチャートである。なお、何ら限定されるものではないが、この実施例では、0.5秒毎に、図5のタイマ割込み処理が起動されるよう構成されている。
タイマ割込みは、カメラ演出の開始時に実行されるメイン処理(不図示)の割込み許可設定に対応して開始され、カメラ演出終了時に実行される割込み禁止設定に対応して終了する。カメラ演出が開始されると、そのことが表示装置に報知された後(図4(c)参照)、カメラ演出終了まで、所定時間(例えば0.5秒)毎に起動されるタイマ割込み処理(図5参照)によって、遊技者の手の動きが把握される。
以下、図5について説明すると、最初に、判定フラグFLGの値が判定される(ST1)。この判定フラグFLGは、カメラ演出中の動作モードを規定するもので、初期段階ではFLG=0となっている。
そこで、判定フラグFLG=0の場合には、ターゲットを捕捉するべくステップST2〜ST6の初期処理が実行される。具体的には、先ず、カメラCAが撮影した撮影画像を画像制御部23に取得して、Pi*Pj個の全ての画素について、その色相値H(i,j)を算出する(ST2)。また、算出した色相値H(i,j)に基づいて、ターゲット(遊技者の手)に関する判定値Htを算出する(ST3)。判定値Htとは、撮影画像の全画素について、そのRGB信号をHSV変換して色相値H(i,j)を算出した場合における、最頻度数を示す色相値Htを意味する。HSV変換とは、RGB信号から、色相H(Hue)と彩度S(Saturation)と明度V(Value)の三成分を算出する公知の演算を意味するが(図7(b)参照)、本実施例では、簡易性の観点から、もっぱら色相H(Hue)だけを問題にしている。
遊技者の手が、カメラの前にかざされた場合には、撮影画像の殆どは遊技者の手であるので、肌色に対応する色相値(判定値Ht)が突出して高頻度で現れる筈である。なお、遊技者によっては、手を差し出すのではなく、財布や手帳などを差し出す可能性もあるので、判定値Htとして選択された色相が、肌色と大きく離れていても本実施例では問題にしない。
したがって、何れの色相であっても、その出現頻度が突出している場合には、ターゲットが正しく捕捉できたとして、捕捉されたターゲットの重心位置と、上部判定位置とを算出して記憶する(ST5)。また、初期処理が正常に完了したことを示すべく、判定フラグを1に設定して割込み処理を終える(ST6)。
ここで、重心位置だけでなく上部判定位置を問題にするのは、遊技者の手の動きが水平移動や垂直移動だけでなく、手首を中心とした揺動移動もあり得るからである。図6(a)や図6(c)に示す水平移動や垂直移動の場合には、ターゲットの移動は、その重心位置の移動によって、特定することができる。しかし、手首を中心とした揺動移動の場合には、図6(b)や図6(d)に示す通り、手を大きく回転させても、重心位置は殆ど移動しない。
そこで、このような遊技者の動作も想定して、本実施例では、重心位置だけでなく、上部判定位置も問題にしている。上部判定位置は、特に限定されないが、この実施例では、ターゲットの面積の上部1/6を占める領域下辺における左右中央位置を、上部判定位置としている。なお、図6(d)に示す揺動運動の場合には、上部判定位置による判定では、移動方向と移動速度とが正確に算出されない。しかし、図6(d)の動作は、遊技者が左手を水平状態に固定して行う揺動運動であって、重心移動を伴わないこのような動作が実行される可能性は事実上皆無であるので問題にならない。
さて、図5に戻ってタイマ割込み処理の説明を続けると、ステップST4の判定の結果、最頻度数を示す判定値Htの出現度数が低い場合には、被写体がうまく撮影できていないことになる。そこで、判定値Htに選択された色相についての出現度数が突出していない場合には、回数カウンタNUMをインクリメントし(ST7)、回数カウンタNUMの値が上限値MAXを超えない限り、そのままタイマ割込み処理を終える(ST8)。一方、インクリメント後の回数カウンタMUNの値が上限値MAXに達した場合には、判定フラグFLGを2に設定して割込み処理を終える(ST9)。
このような処理を設けているのは、カメラ演出に対応した遊技行動をとらない遊技者も存在し得ることを考慮したためである。すなわち、所定時間待っても、カメラの前での遊技行動を取らない場合には、判定フラグFLGが2に設定されることで、その後のタイマ割込みでは、全ての処理がスキップされる(ST1参照)。なお、判定フラグFLG=2になった場合には、それを検出したメイン処理において、適宜なカメラ演出が実行される。この点は先に説明した通りである。
ところで、カメラCAは、そのレンズの中心位置に、焦点が合うよう設定されているので(オートフォーカス機能)、遊技者が遊技行動をとらない場合でも、その洋服などの画像を取得した結果、これを捕捉ターゲットであると誤認する可能性はある。しかし、誤って判定フラグFLG=1となった場合でも、ターゲットが移動しない限り、ステップST12及びステップST14のNO判定の結果、カメラ演出は何も進行しないので、何の問題も生じない。
以上のようにして初期処理が終わると、判定フラグFLG=1であることから、ステップST10〜ST15の定常処理が、所定時間毎に繰返されることで、遊技者の動きが把握される。定常処理では、ステップST1の判定を終えた後、カメラCAが撮影した撮影画像を画像制御部23に取得して、Pi*Pj個の全ての画素について、その色相値H(i,j)を算出する(ST10)。なお、この処理はステップST2の処理を同じである。
次に、判定値Htで特定されるターゲットの重心位置と、上部判定位置とを算出して記憶する(ST11)。そして、既に算出して記憶している重心位置と、今回算出された重心位置の偏差を算出し、その偏差が閾値を超えるか否かを判定する(ST12)。偏差は水平X方向と、垂直Y方向について、各々の変位量(ΔX,ΔY)で評価されるが、ΔXまたはΔYの何れかが閾値を超える場合には、重心位置が有意に移動したと評価する。そして、重心の移動量(ΔX,ΔY)に基づいて、移動方向と移動速度とを特定して記憶する(ST13)。
一方、重心位置について、有意な移動量(ΔX,ΔY)が認められない場合には、上部判定位置についての偏差(ΔX,ΔY)を算出して、上部判定位置が有意に移動しているか否かを判定する(ST14)。この場合も、上部判定位置の変位量(ΔX,ΔY)のうち、ΔXまたはΔYの何れかが閾値を超える場合には、上部判定位置が有意に移動したと評価する。
そして、有意な移動量が認められない場合には、そのまま割込み処理を終える。その結果、次回のタイマ割込みにおいて、ターゲットの移動が再判定されることになる。一方、上部判定位置について、有意な移動量が認められる場合には、上部判定位置の移動量(ΔX,ΔY)に基づいて、移動方向と移動速度とを特定して記憶する(ST15)。
移動方向と移動速度の特定には、図4(a)に示す判定テーブルTBLが使用される。ここでは、X方向の変位量ΔXが、−X2未満、−X2以上で−X1未満、−X1以上で0未満、0以上で+X1未満、X1以上でX2未満、X2以上、の合計6段階に区分されている。Y方向の変位量ΔYについても同様であり、−Y2未満、−Y2以上で−Y1未満、−Y1以上で0未満、0以上で+Y1未満、Y1以上でY2未満、Y2以上、の合計6段階に区分されている。
そして、このように6*6に区分された判定テーブルTBLの各欄には、1バイトデータが格納されており、そのビット値に応じて、移動方向と移動速度とが規定される。具体的には、移動方向は、図4(b)に示す8方向(3ビットデータ)で特定され、移動速度は、Lo,M,Hiの3段階(2ビットデータ)で特定される。したがって、X方向の変位量ΔXと、Y方向の変位量ΔYとに基づいて、判定テーブルTBLを参照するだけで、移動方向と移動速度とが一意に特定されることになる。
以上説明したように、本実施例では、カメラ演出開始後は、所定時間(例えば0.5秒)毎に、ターゲットの移動方向と移動速度が計測されるので、それに合わせて、キャラクタを移動させるなどの斬新な演出を実現することができる。
図7〜図10は、図5のタイマ割込み処理における主要な処理について、その内容を詳細に示すフローチャートである。先ず、図7(a)は、図5に示すステップST3の詳細を、ステップST2の処理と共に示している。
カメラCAから得られる画像は、合計画素数がPi*Pjであり、X方向にPiピクセル、Y方向にPjピクセルであると仮定する(図7(c)参照)。各画素(ピクセル)は、RGBデータで特定されるので、図7(b)に示すHSV変換式を使用して、各画素について色相値H(i,j)を特定する(ST2)。なお、この実施例では、色相値を、0〜359までの360段階で特定することにするので、色相値H(i,j)は、0≦H(i,j)<360となる。
次に、合計Pi*Pj個の各画素について、その色相値H(i,j)が360段階の何れに属するかを判定して度数分布A(0)〜A(359)を求める(ST3A)。その結果、概念的には、図7(d)に示すような度数分布表が形成されることになる。
次に、最大度数を示す色相を特定し、この色相値を判定値Htとする(ST3B)。なお、彩度(Saturation)や明度(Value)は、多少相違するとしても、通常なら、判定値Htは、肌色についての色相値(Hue)となる。また、判定値Htの近似範囲を特定する下限閾値H1と上限閾値H2とを特定する(ST3C)。下限閾値H1と上限閾値H2は、判定値Htの上に+α%、下に−β%の範囲とされるが、ここでは、α=β=30%としている。
続いて、図8(a)に基づいて、図4に示すステップST5及びST11の処理内容を詳細に説明する。この処理は、判定値Htに基づくターゲット範囲の特定処理(ST20)と、重心位置の算出処理(ST21)と、上部判定位置の算出処理(ST22)とに区分される。
ターゲット範囲の特定処理(ST20)では、目的画素の検出個数を、水平X方向と、垂直Y方向に分けてカウントする計数配列X,Yを共にゼロクリアする(ST31)。また、色相値H(i,j)の列変数Jと、総検出個数をカウントするための変数TOTALについてもゼロクリアする(ST32)。
そして、色相値H(i,j)の行変数Iをゼロクリアした後(ST33)、Pi*Pj個の全画素についての色相値H(I,J)が、下限閾値H1と上限閾値H2の範囲内に収まるかを判定する(ST34)。そして、H1<H(I,J)<H2であれば、対応する計数配列X(I)の要素と、計数配列Y(J)の要素をインクリメントすると共に、変数TOTALについてもインクリメントする(ST35)。
そして、列変数Iをインクリメントして(ST36)、インクリメント後の列変数IがPiに一致するまでステップST34〜ST37の処理を繰返す。次に、行変数Jをインクリメントして(ST38)、インクリメント後の行変数JがPjに一致するまでステップST33〜ST39の処理を繰返す。
この処理によって、計数配列X(I)には、列方向I(垂直方向)に見た検出個数が累積され、計数配列Y(J)には、行方向J(水平方向)に見た検出個数が累積され、変数TOTALには総検出個数が累積される。図8(b)には、具体的なターゲットに関して、計数配列X(0)〜X(11)に格納された垂直方向の検出個数と、計数配列Y(0)〜Y(11)に格納された水平方向の検出個数とが、各々記載されている。この例では、TOTAL=90であり、当然ながら、ΣX(i)=ΣY(j)=90である。
続いて、図9に基づいて重心位置の算出処理(ST21)について具体的に説明する。ここでは、先に算出した計数配列X(i)と計数配列Y(j)が有効活用され、全検出個数TOTALの中央位置を、水平方向と垂直方向について各々特定している。
先ず、全検出個数TOTALの1/2倍の値を変数JDGに格納し(ST40)、垂直方向の検出個数X(I)を、変数JDGから減算してゆき(JDG←JDG−X(I))、列番号Iを順番に増加させて、減算結果JDGが負になる位置を検出する(ST43)。そして、減算結果JDGが負になれば、その時の列変数Iを、重心位置のX座標として記憶変数Xcに格納する(ST46)。
重心位置のY座標についても同様であり、全検出個数TOTALの1/2倍の値を変数JDGに格納し(ST47)、水平方向の検出個数Y(I)を、変数JDGから減算してゆき(JDG←JDG−Y(J))、行番号Jを順番に増加させて、減算結果JDGが負になる位置を検出する(ST50)。そして、減算結果が負になれば、その時の行変数Jを、重心位置のY座標として記憶変数Ycに格納する(ST53)。
次に、図10に基づいて、上部判定位置の算出処理(ST22)を詳細に説明する。先ず、全検出個数TOTALの1/N倍の値を変数JDGに格納する(ST60)。ここで、Nは、ターゲットの上部領域を特定するための数値であり、2を超える適宜な値が選択されるが、この実施例では、人間の手の形(図10(b)参照)と、その動きを想定して、N=6となっている。
その後は、行番号Jを0から順番に増加させつつ、変数JDGから配列Y(J)の要素を減算してゆき(JDG←JDG−Y(J))、減算結果JDGが負になる位置を検出する(ST63)。そして、減算結果が負になれば、その時の行変数Jを、上部判定位置のY座標として記憶変数Ytに格納する(ST66)。
次に、上部判定位置のX座標を特定するが、この実施例では、上部判定位置のY座標を示す行番号Jの行Jにおいて、有意な色相を示す画素の中央位置を、上部判定位置のX座標としている。
具体的には、先ず、当該行番号Jにおける全検出個数Y(J)の1/2倍の値を変数JDGに格納する(ST68)。次に、その行Jにおける各画素の色相値H(I,J)を、列番号Iを増加させつつ判定し、H1<H(I,J)<H2の条件を満たす場合には、変数JDGの値をデクリメントする(ST70)。そして、デクリメント後の変数JDGが負になれば、その時の列変数Iを、上部判定位置のX座標として記憶変数Xtに格納する(ST74)。
このようにして算出された上部判定位置は、重心位置に移動が認められない場合に活用されるので、手首を回転中心にしたような揺動運動であっても、確実に、その回転方向と回転速度を特定することができる。なお、図10(b)には、カメラCAが捕捉した遊技者の手についての重心位置(Xc,Yc)と、上部判定位置(Xt,Yt)とが図示されている。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。特に、カメラの活用法は、前記したカメラ演出に限定されず、適宜な活用が可能である。
例えば、カメラが捕捉したターゲット(遊技者の手など)の移動に対応して(1)キャラクタの顔を回転させる、(2)キャラクタの移動足跡を表示する、(3)キャラクが到達した位置に関連して、画面の一部を塗りつぶしたり、図柄の全部または一部を消去させる、(4)キャラクが到達した位置に関連して可動役物が動作を開始する、(5)キャラクタとは無関係に、表示画面の一部を移動させる、などの斬新な演出が可能となる。
また、カメラ演出は、必ずしも、リーチ演出と関連させる必要はなく、例えば、ランダムなタイミングでカメラ演出を可能にして、遊技者の操作を蓄積記憶して、当該遊技者の個性を把握し、その後の演出を、当該遊技者の個性に対応させることもできる。遊技者の個性としては、(1)手の動きが速いか遅いか、(2)手を移動させるか、その他の物を移動させるか、(3)カメラ演出の報知に対応して、遊技者が反応するか、殆ど無視するか、などのファクタによって判定される。
また、図4(c)に示すカメラ演出では、キャラクタを任意の方向に移動させたが、所定の方向に所定のスピードで遊技者が手を移動させた場合に限り、キャラクタが反応するよう構成しても良い。このような動作は、キャラクタの動作に限らず、キャラクタとは無関係に、表示画面の一部を移動させる場合にも使用できる。
なお、実施例の説明では、カメラCA及びカメラインタフェイス基板33を、画像制御基板23に接続したが、この構成に限定されないのは勿論である。例えば、カメラCA及びカメラインタフェイス基板33を、演出制御基板23に接続すれば、遊技者の動きを捕捉して、音声演出、ランプ演出、図柄演出の全部または一部に影響を与えることができる。例えば、遊技者の動きに基づいて、音声演出の音声ボリュームを変更したり、或いは、ランプ演出の演出内容を変更することができる。
また、実施例の説明では、ターゲットの移動方向と移動速度を算出して、それに対応してキャラクタを移動させたが、何らこのような制御に限定されない。すなわち、捕捉されたターゲットの重心位置は、その都度、記憶されるので(ST11)、移動方向を特定することなく、単に、ターゲットの重心位置に、キャラクタを配置するだけでも良い。このような構成でも、例えば、図11に示すような図柄演出が可能となる。図示例では、特別図柄「7」を抱えたキャラクタは、遊技者の手の重心位置に対応する位置に配置されるので、適切な遊技操作によって、特別図柄「7」を目的位置に近づけることができる。
また、実施例では、検出手段たるカメラの設置場所は、図2に例示した場所に限らない。但し、遊技球や可動演出体などを検出し得ない位置が、好適に選択される。一方、カメラを遊技盤に配置する構成に代えて、枠側の所定位置(例えば、皿体やガラス枠)に設けてもよい。この場合、検出手段の前側を透明なカバー体で被覆することにより保護するようにするのが好ましい。例えば、皿体であれば、皿体上面や側面に設置するが、このとき、被写体に関する情報を認識しやすい角度に検出手段の位置を設定するのが好ましい。ガラス枠体であれば、その側枠部、上枠部、下枠部のいずれかに設定するようにしてもよい。
ところで、カメラによる検出機能は、常時有効であって、ソフト処理により検出情報を有効若しくは無効扱いとするようにしても良いし、所定のタイミングのみ有効となるように検出手段への電力の供給を切り替えるようにしても良い。
本実施例では、検出手段の有効状態若しくは操作タイミングを遊技者に報知するようにしているが、報知しない場合であっても、所定のタイミングで検出された情報に基づき演出に変化を与えるようにしても良い。所定のタイミングとは、リーチ演出中や大当り中、はずれ変動回数が所定回数に到達した場合等の遊技情報に基づいて決定されるものでも良いし、所定周期、所定時間帯等の時間情報に基づくものであっても良く、意外性や、遊技者の遊技に対する探究心の向上が望める。又、検出された情報とは、遊技者の表情や上体の動き等など遊技者に関連する情報であれば特に限定されない。
検出手段を用いた演出が行なわれている場合は、操作手段(チャンスボタン)を用いた演出を抑制するようにしても良い。これにより演出が煩雑になることを抑制できる。勿論、検出手段と操作手段の両者が同時に有効となるようにしても良い。
取り込んだ画像情報を表示装置に表示するようにしても良い。この場合、取り込んだ画像そのものを表示するようにしても良いし、加工を施した画像を表示するようにしても良い。画像表示を行なうか否かを遊技者に選択させるようにしても良い。取り込んだ画像情報は、演出の終了毎に消去するようにしても良いし、変動保留がなくなった場合や発射検出が得られなくなった場合等に消去するようにしても良い。
不正検出手段(磁気センサ、振動センサ等)が併設されているような場合には、不正検出手段からの検出があった場合に、検出手段からの画像情報を取り込むようにしても良い。取り込んだ画像情報を演出情報と差し替えて所定時間報知(表示)するようにすれば防犯上極めて有効である。