JP5095435B2 - 位置決め装置の制御方法および位置決め装置の制御装置 - Google Patents

位置決め装置の制御方法および位置決め装置の制御装置 Download PDF

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Description

この発明は、圧電素子を用い、対象物を駆動する際の位置決めを行う位置決め装置の制御方法およびこの方法を用いた位置決め装置の制御装置に関するものである。
一般に、圧電素子を用い対象物の位置決めを行う場合、圧電素子に目標電圧が印加されると圧電素子が伸縮など変位するが、所望の位置に位置決めするには、圧電素子のクリープ現象、つまり圧電素子に加える電圧を一定に保持しても変位が変化するという現象があるため、圧電素子が時間の経過とともに除々に位置ずれしてしまうという不都合があった。
さらに、圧電素子には、初期状態である開始点からの移動距離により非線形なヒステリシス特性を持つ。そのため、圧電素子を用いた位置決め装置を構成する場合には、対象物の位置を計測するセンサを別途設け、センサ出力をフィードバックして対象物が所望の位置に位置決めされるような制御を行っている。
ところが、このようにセンサによるフィードバック制御を行うには、センサと制御系が必要になり、構成の複雑化およびコストの上昇を招くという不都合が生じるため、従来、圧電素子を用いた位置決め機構において、圧電素子に印加する電圧を、圧電素子の目標変位に対する電圧(目標電圧)よりも一旦オーバーシュートさせた後に目標電圧に戻すという制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−293570(段落0005、図9)
しかしながら、上記した特許文献1の場合、圧電素子の任意の位置決めに対する電圧の最適なオーバーシュート量が明らかではないため、このようなオーバーシュートを採用する手法は汎用性に欠ける。また、同時にヒステリシス補正を行う方法が示されていない点も実用性に欠けるという問題がある。
さらに、最適なオーバーシュート量が明らかでないことから、クリープを十分に抑制することができず、センサを用いたフィードバック制御を行う場合にも、圧電素子を最終の目標変位に制御するのに時間がかかり、圧電素子を用いた位置合わせ装置の応答性が悪いという問題もある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、圧電素子のクリープ抑制と同時にヒステリシス補正を簡単に行え、さらに圧電素子を用いた位置合わせ装置の応答性の改善を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために、圧電素子を用い、対象物を駆動する際に前記圧電素子に目標電圧を印加して位置決めを行う位置決め装置の制御方法において、前記圧電素子への印加電圧と前記圧電素子の変位との関係を表す複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の異なる複数の電圧から所望の目標電圧に前記圧電素子に印加する電圧を反転させ、当該目標電圧になった直後の前記圧電素子のクリープを検出するとともに、異なる目標電圧ごとに前記クリープの検出を繰り返し、繰り返し検出した前記異なる目標電圧ごとのクリープがほぼゼロとなる変位点を結んで得られる非クリープ線を導出する非クリープ線導出工程と、前記圧電素子に印加する電圧を、制御すべき最終の目標変位に対応する前記非クリープ線上の目標点に至る前記複数のヒステリシスループうちいずれかを辿って変化させる制御を行う制御工程とを備えることを特徴としている(請求項1)。
また、圧電素子を用い、対象物を駆動する際に前記圧電素子に目標電圧を印加して位置決めを行う位置決め装置の制御装置において、前記圧電素子への印加電圧と前記圧電素子の変位との関係を表す複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の異なる複数の電圧から所望の目標電圧に前記圧電素子に印加する電圧を反転させ、当該目標電圧になった直後の前記圧電素子のクリープを検出するとともに、異なる目標電圧ごとに前記クリープの検出を繰り返し、繰り返し検出した前記異なる目標電圧ごとのクリープがほぼゼロとなる変位点を結んで得られる非クリープ線を導出する非クリープ線導出手段と、前記圧電素子に印加する電圧を、制御すべき最終の目標変位に対応する前記非クリープ線上の目標点に至る前記複数のヒステリシスループうちいずれかを辿って変化させる制御を行う制御手段とを備えることを特徴としている(請求項5)。
ところで、圧電素子のヒステリシス特性について説明する。圧電素子は、図1に示すように、入力電圧(印加電圧)と素子変形量(変位)の関係が非線形となるヒステリシス特性をもつ。図1から圧電素子の変位が電圧の増圧(上昇印加)と減圧(下降印加)で変位が異なっていることがわかる。したがって、圧電素子の変位と入力電圧の関係が線形であると仮定して電圧を算出すると、目標変位と実際の変位が異なる場合が生じる。よって、圧電素子の変位を目標とする値に変化させるためには、ヒステリシス特性を理解し、それを元に電圧を算出する必要がある。
圧電素子のヒステリシスの経路についての特性を調べるため図2に示すような実験装置を用いた結果について説明する。図2に示すように、コンピュータで圧電素子への入力信号を生成してこれをD/A変換器により電圧として出力し、電力増幅器で電圧を10倍にして圧電素子に電圧を加える。その際の変位を、静電容量型変位計を用いて測定した。なお、図3はヒステリシスループの例を示し、ヒステリシスループの頂点、つまり電圧の極値となるところを反転地点と呼び、反転地点となる電圧が最大電圧、最小電圧で構成されるヒステリシスループをメジャーループ、その内側のループをマイナーループと呼ぶ。
このとき、図4の入力電圧波形図に示すように、最初に5−95Vの三角波を入力し、次に5Vから70Vまで上昇させ、70Vから電圧を30Vまで減少させる。その後、30V−70Vの三角波を入力し、最後に30Vから95Vまで電圧を上昇させる。その際、三角波の傾きは95V/secとした。
ただし、この実験で用いるアンプは0−100Vの電圧出力が可能であるが、余裕を見て、出力電圧の最大値を95V、最小値を5Vとした。
そして、図4の電圧を圧電素子に入力したときのヒステリシスループは図5に示すようになった。図5に示すヒステリシスループは、反転地点U1を始点(初期状態)とし、経路1を辿って反転地点D1に向かう。次に、反転地点D1で折り返して経路2を辿り、反転地点U1に戻る。次に、反転地点U1を始点とし経路1を辿り、反転地点U1,D1の間にあるD2で折り返す場合を見てみる。この場合、ヒステリシスの軌跡は反転地点D2を始点とし、経路3を辿り反転地点U1に戻ろうとする。ここから反転地点U1,D2の間のU2で折り返す場合、経路4を辿ってD2に戻る。このように、ヒステリシスの軌跡は、現在折り返した反転地点を始点とし、一つ前の反転地点に戻ることがわかる。
次に、一つ前の反転地点を越える場合を考えると、例えば次のような経路が当てはまる。すなわち、反転地点U2を始点として経路4を辿ってD2に戻る。このとき、D2を通り越すと、経路5を辿る。経路5を見ると、経路1の反転地点D2からD1の区間と一致していることがわかる。このことから、ヒステリシスループは1つ前の反転地点を越えると一つ前のヒステリシスループに戻るということがいえる。
続いて、電圧−変位とクリープとの関係について説明する。クリープとは、圧電素子に対して与えられた電圧に対して圧電素子の変位がゆっくりと応答し、安定な変位(エネルギ極小状態)に向かう現象であると推定される。この仮説が正しければ、どの電圧においても安定な変位が少なくとも一つ存在し、クリープがほぼゼロとなる電圧−変位の関係を結ぶ非クリープ線が少なくとも一つ存在するものと予測できる。
この非クリープ線が存在するとの仮説を確かめるために、圧電素子への電圧を変化させたときの変位とそのときのクリープを次のようにして測定した。メジャーループを模式的に図6に示す。この測定では、メジャーループ上で電圧を反転させて最終電圧に位置決めを行い、最終電圧は30Vから70Vまで10Vずつ変化させていった。図6(a)に示す測定では最終電圧より高い電圧、図6(b)に示す測定では最終電圧より低い電圧でそれぞれ反転させ、目的の最終電圧で電圧を10秒間保持した。そして、この保持の間の変位増加量をクリープとして記録した。反転地点は、図6(a)に示す測定では最終電圧から5Vずつ増圧して90Vまで変化させ、図6(b)に示す測定では最終電圧から5Vずつ減圧して10Vまで変化させた。図6(a)に示す測定での最終電圧とそのときの変位およびクリープの関係を図7(a)に、図6(b)に示す測定での最終電圧とそのときの変位およびクリープの関係を図7(b)にそれぞれ示す。図7(a),(b)に示す各々の最終電圧におけるデータ点のうち、位置決め直後の変位からクリープにより50nm以上増加した場合、および、50nm以上減少した場合のデータは、それぞれ+印および×印で示し、○印が50nm以下で収まった場合を示している。
図7(a),(b)に示すように、クリープの向きと量は、最終電圧およびその位置決め直後の変位の関係によって概ね一意に決まり、反転電圧の高低(履歴)に依存しないことから、クリープがほぼゼロ(少なくとも50nm以下)となる電圧−変位の関係を結ぶ非クリープ線が存在するという仮説は正しいことがわかった。
次に、マイナーループ上で電圧を反転させ、図8に模式的に示す4種類の経路で位置決め実験を行った。ここでは、メジャーループの電圧上昇側に反転位置を持つマイナーループをマイナーループ1、メジャーループの電圧下降側に反転位置を持つマイナーループをマイナーループ2と呼ぶ。図8(a)に示す測定ではマイナーループ1を、図8(b)に示す測定ではマイナーループ2をそれぞれ辿り最終電圧より高い電圧で反転させた。図8(c)に示す測定ではマイナーループ1を、図8(d)に示す測定ではマイナーループ2をそれぞれ辿り最終電圧より低い電圧で反転させた。マイナーループの電圧幅ΔVを30,50,70Vとしてメジャーループのときと同様の測定を行い、その結果を図9から図11に示す。なお、図9ないし図11において、各図(a)ないし(d)は、図8(a)ないし(d)それぞれの測定に対応する。そして、図9から図11のすべてにおいて図7と同様に、各最終電圧におけるクリープは、位置決め直後の変位が小さいほど大きな正の値となり、変位が大きい時に負の値となった。また、その中央付近にクリープを生じない変位が存在し、それらを結ぶ非クリープ線はいずれもメジャーループの非クリープ線と概ね同じであると推定される。
図6に示す測定における50Vのときの変位とクリープの関係を図12に示す。図12に示すように、変位とクリープの関係を最小二乗法により3次式で近似し、この式からクリープがゼロとなる変位を求める。他の最終電圧についても同様に行う。さらに、それらの点を結ぶ非クリープ線を2次式で近似した結果を図13に示す。図13に示すように、どのマイナーループ上で電圧反転した場合にも、図13内の線上に位置決めすれば、その後のクリープを抑制し得る統一的な非クリープ線の存在が明らかとなった。
以上を踏まえ、本発明では上記したように、複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の異なる複数の電圧から所望の目標電圧に圧電素子に印加する電圧を反転させ、当該目標電圧になったときの圧電素子のクリープを検出するとともに、最小電圧から最大電圧までの間における異なる目標電圧ごとにクリープの検出を繰り返し、繰り返し検出した異なる目標電圧ごとのクリープがほぼゼロとなる変位点を結んで得られる曲線を非クリープ線として導出し、圧電素子に印加する電圧を、制御すべき最終の目標変位に対応する非クリープ線上の目標点に至る複数のヒステリシスループうちいずれかを辿って変化させるのである。
このとき、制御すべき最終の目標変位に対応する非クリープ線上の目標点に至るヒステリシスループとしては、1つのヒステリシスループの場合と、2以上のヒステリシスループの場合がある。
このように、非クリープ線上に位置決めすることで、クリープを抑制すると同時にヒステリシスを補正することについて説明する。このため、任意の初期状態(電圧−変位の関係)から目的の変位に至る経路を予測して電圧を変化させる。図14に圧電素子の初期状態を示す。j番目の反転電圧をVu,j(電圧下降側から電圧上昇側に移るとき)、Vd,j(電圧上昇側から電圧下降側に移るとき)とする。また、膨らみ関数である数式1をここでは便宜上w(V,Vu,j,Vd,j)と表記し,ヒステリシスループの上昇側の経路をd=fu,i(V)下降側の経路をd=fd,j(V)とする。以下にヒステリシスを補正しながらクリープを抑制する方法を説明する。ただし、電圧上昇側の経路を辿っている場合についてのみ説明することとする。
クリープ抑制アルゴリズムとして、
(手順1)現在辿っているヒステリシスの経路を得る(図14(a))。
(手順2)目標変位dcが与えられたとき、非クリープ線より最終位置A(Vc,dc)を逆算する(図14(b))。
(手順3)最終位置Aが現在のヒステリシスループの内側にあるか判断する。
(手順3−1){Vu,j≦V≦Vd,j}∩{d≦d≦d}の場合つまり現在のヒステリシスループ内にあるときは後述の手順4に移る。ただし、ここでd=fu,i(V)、d=fd,i(V)である。
(手順3−2){Vu,j≦V≦Vd,j}∩{d≦d≦d}でない場合つまり現在のヒステリシスループ内にないときは、1つ前のヒステリシスループに戻し、手順3に戻る。ただし、d>dcになる場合は電圧下降側の経路を辿って非クリープ線に位置決めすることを考える。
(手順4)電圧Vcでの膨らみw=d−dを求める(図14(c))。
(手順5)w=w(V,Vu,j,V)となるような反転電圧Vをニュートン法(後述する)により求める(図14(d))。
(手順6)ただし、反転電圧Vが現在の電圧より小さくなる場合は、現在位置を反転位置とする新たな下降側経路を作成し、電圧下降側の経路を辿る場合(ここでは記載していない)における手順3に相当するところへ移る。
このような手順で位置決め実験を行った。なお、初期状態は電圧15.3V、変位2.7μmとした。この状態から、ヒステリシス補正法のみと非クリープ線を用いた本発明の方法(以下の説明では、「クリープ抑制手法」と称する)の2通りで目標変位8.5μmに位置決めを行い、最終電圧を10秒間保持してその間のクリープを記録した。図15は、両手法で位置決めした経路(同図(a))とその拡大図(同図(b))である。
図15に示す結果より、両手法ともにヒステリシスが補正され、概ね目標変位に位置決めされていることがわかる。しかし、ヒステリシス補正のみの場合には位置決め後に344nmのクリープが生じているのに対して、非クリープ線上の位置を目指して位置決めを行った本発明の手法(クリープ抑制手法)では、クリープが大幅に減少して−41nmになっている。
同様の実験を、目標変位を1μmずつ減らして3.5μmまで繰り返した。本発明の方法(クリープ抑制手法)により3.5μmに位置決めしたときの経路を図16に示す。図16に示すように、初期状態から変位を増加させたいにもかかわらず、一旦電圧を減少させなければならないが、このように一見不要な経路を辿る場合にも、クリープ抑制アルゴリズムによって電圧変化が算出され、クリープが抑制されており、1回の経路移動で済むこととなる。位置決め直後の誤差を図17に、目標変位に対するクリープを図18に、10秒後の位置決め誤差を図19にそれぞれ示す。
図17〜図19に示すように、ヒステリシス補正のみで位置決めした場合にはクリープが最大344nmであるのに対し、本発明の方法(クリープ抑制手法)では最大60nmとなり、最大のクリープ量が6分の1近くに減少したことがわかる。図19より、10秒後の位置決め誤差は、本発明の方法(クリープ抑制手法)を用いた場合200nm程度となった。ただし、目標変位が4.5μmにおいては、ヒステリシス補正のみの場合が目標変位との誤差が小さくなったが、これは図17、図18から、目標変位より小さい位置で位置決めし、その後クリープにより目標変位に近づいたためであって偶然の結果であると考えられる。また、図17〜図19において、この初期状態から目標変位4μm弱に位置決めする場合には、ヒステリシスを補正するのみでクリープが発生しないことが推測される。これは、この場合に偶然に非クリープ線上に至ることを示している。
このように、本発明の方法(クリープ抑制手法)によれば、クリープ抑制と同時にヒステリシスを補正することが可能になり、圧電素子を最終の目標変位に精度よくかつ迅速に制御できることとなり、センサによるフィードバックの場合にも圧電素子を用いた位置決め装置の応答性を改善して高速でかつ高精度な位置決めを行うことができる。
また、多項式近似の演算により前記圧電素子のヒステリシスループを導出するヒステリシスループ演算工程を備え、前記制御工程が、前記ヒステリシスループ演算工程で導出した前記ヒステリシスループを辿って、前記圧電素子への現在の印加電圧から前記非クリープ線上の目標点までの最短ルートを求め、前記圧電素子に印加する電圧を当該目標点に至る前記最短ルートを辿るように変化させる制御を行う工程であってもよい(請求項2)。
ここで、多項式近似の演算による圧電素子のヒステリシスループの導出は、例えば米国Elsevier Science Inc.,による1995年7月発行の雑誌”Precision Engineering Vol.17,No.3:P211-P221”などにおいてすでに開示された手法であり、本発明ではこれと同じ手法による多項式近似の演算を採用する。
このように、一般に知られている多項式近似の演算により圧電素子のヒステリシスループを導出し、導出したヒステリシスループを辿って、圧電素子への現在の印加電圧から非クリープ線上の目標点までの最短ルートとなる反転電圧を求め、圧電素子に印加する電圧を当該目標点に向けて最短ルートとなる反転電圧で反転させることにより、圧電素子を用いた位置決め装置の精度を一層改善することができる。
また、前記圧電素子に印加される最小電圧と最大電圧との差である電圧幅と、前記最小電圧および前記最大電圧の中心電圧との関数で表される膨らみ関数を用いて前記圧電素子のヒステリシスループを同定するヒステリシスループ同定工程を備え、前記制御工程が、前記ヒステリシスループ同定工程で導出した前記ヒステリシスループを辿って、前記圧電素子への現在の印加電圧から前記非クリープ線上の目標点までの最短ルートを求め、前記圧電素子に印加する電圧を当該目標点に至る前記最短ルートを辿るように変化させる制御を行う工程であってもよい(請求項3)。
このように、膨らみ関数を用いることにより、圧電素子への現在の印加電圧から非クリープ線上の目標点までの最短ルートをより早く求めることができて、位置決め装置の応答性をより一層改善することができる。
ここで、膨らみ関数について説明する。いま、図20(a)に示すようなヒステリシスループを観察すると、電圧が同じでも電圧上昇側と電圧下降側で変位量が異なる。この経路の違いによる変位量の幅を膨らみ量とする。図20(a)に示されるヒステリシスループの上昇側の経路をd=fu,i(V)下降側の経路をd=fd,j(V)とする。ここで、経路導出に膨らみ関数を導入する。膨らみ関数w(V)は次の数式1で定義される。
Figure 0005095435
そして、図20(a)に示されるヒステリシスループの膨らみの関数は、同図(b)のようになる。
メジャーループとマイナーループを含めた種々のヒステリシスループの形は相似とはならず、これらを全て測定して記憶することは実用的ではない。これに対して本発明では、任意のヒステリシスループの膨らみ関数w(V)は、メジャーループの膨らみ関数Wmajor(V)と概ね相似であることを見出した。この特性を利用し、反転位置とその1つ前の反転位置から,求めたいヒステリシスループの電圧幅Dvを求め、これを用いてw(V)は数式2により推定することができる。
Figure 0005095435
ただし、wmaxは最大膨らみ量であって、反転電圧およびその1つ前の反転電圧および使用する圧電素子に依存し、後述するように特性値として予め同定される値である。Wmaxはメジャーループの最大膨らみ量、DvおよびDVはそれぞれマイナーループ、メジャーループの電圧幅、vmin,Vminはそれぞれマイナーループ、メジャーループの最小電圧である。W(V)はメジャーループの膨らみ関数である。以上より、メジャーループの上昇側の経路d=fu,i(V)および下降側の経路d=fd,j(V)を予め計測、記録し、それらに上記で求められるマイナーループの膨らみ関数を加える、または差し引くことでマイナーループの経路を推測することができる。また、さらに内側のマイナーループの経路についても、同様の手順を繰返して推測することができる。
次に、膨らみ関数を求めるために、上述の最大膨らみ量(膨らみ関数の最大値)の導出方法を考える。膨らみ関数の最大値はヒステリシスループ電圧幅と中心電圧の関数となると仮定すると、電圧幅および中心電圧は反転電圧と一つ前の反転電圧から求めることができる。この仮説について次の実験により検討を行う。図21(a),(b)に測定対象となるヒステリシスループ1,2をそれぞれ示す。図21(a)に示されるヒステリシスループ1は、はじめにメジャーループ(図21(a)の外側のループ)を形成し、下降側のある一点から反転しマイナーループ(図21(a)の内側のループ)を形成する。図21(b)に示されるヒステリシスループ2はメジャーループ(図21(b)の外側のループ)を上昇側で反転し、マイナーループ(図21(b)の内側のループ)を形成する。図22に中心電圧と電圧幅と最大膨らみ量の関係を示す。図22よりヒステリシスループ1およびヒステリシスループ2で傾向がよく一致していることがわかる。膨らみ関数の最大値は任意のマイナーループについて中心電圧と電圧幅が決まれば一意に決まることがわかる。図22の結果から電圧幅、中心電圧、最大膨らみ量の関係を次の数式3で近似する。
Figure 0005095435
ここで、xを電圧幅、yを中心電圧とする。数式3の係数は最小二乗法を用いて算出する。なお、数式3から算出した最大膨らみ量も図22に示してある。そして、図22より、数式3から算出した値は実験値と一致していることがわかる。
ところで、数式3の各係数の求め方について説明する。便宜上、ここでは最大膨らみ量をwと表す。まず、実験的に電圧幅、中心電圧yとなるヒステリシスループの最大膨らみ量を求める。この条件下で測定したヒステリシスの経路をエクセル等用いて3次関数近似する.つまり,電圧上昇側の場合、数式4で表される関数の係数ak、および、電圧下降側の場合、数式5で表される関数の係数bkを求める。
Figure 0005095435
Figure 0005095435
次に、求めた係数から膨らみ関数は次の数式6のように定義される。
Figure 0005095435
膨らみ関数wの微分を求め、反転電圧Vu(電圧下降→電圧上昇)、Vd(電圧上昇→電圧下降)の間にある数式7で表される極値V1を求め、このV1から数式8によりwmaxを求める。
Figure 0005095435
Figure 0005095435
続いて、多項式の係数の求め方について説明する。いま、(xi,yi,wi)のデータがN個あるものとする。ただし、wiは中心電圧xI、電圧幅yiのときの最大膨らみ量wmaxである。数式1と各データの残差は次の数式9のようになり、したがって、N個のデータに関するデータの2乗和は、数式10で表される。
Figure 0005095435
Figure 0005095435
これを各係数について微分し、数式11となる係数を求める。ここで、数式12および数式13のように係数Xi,Aをおくと、Eを最小とする係数とデータの関係は次の数式14のようになり、よって係数Aは数式15のように表される。なお、マイナーループの膨らみ関数も上記した数式2により表される。
Figure 0005095435
Figure 0005095435
Figure 0005095435
Figure 0005095435
Figure 0005095435
ところで、ヒステリシス補正を行うためのヒステリシス補償アルゴリズムについて説明する。まず、メジャーループの経路について事前に実験データをもとに次の数式16,17により近似することとし、電圧上昇側を数式16、電圧下降側を数式17により近似する。
Figure 0005095435
Figure 0005095435
ここで、fu,1,fd,1はメジャーループの電圧上昇側、電圧下降側の経路、Vは圧電素子の入力電圧を示す。また、係数Akおよび係数Bkは事前に実験を行い、そのヒステリシスループを最小二乗法により求める。補償対象となるヒステリシスループを図23に示し、ヒステリシス補償アルゴリズムのフローチャートを図24に示す。
まず、上昇側について電圧の算出方法について説明すると、
(1)目標変位dnextがヒステリシス曲線fu,i上にあるときは,fu,iからニュートン法により入力電圧Vを算出する(図25)。
(2)目標変位dnextが変位dd,jより大きくなるときは、一つ前のヒステリシス曲線fu,i-1に更新し、Newton法により入力電圧Vを算出する(図26)。
(3)目標変位dnextが現在の変位dnowより小さくなる場合、現在の変位と電圧が新たな反転位置Dj+1となる。反転位置Dj+1を記憶パーソナルコンピュータに記憶させる。反転電圧Vd,j+1と、その前の反転電圧Vu,iから電圧幅と中心電圧を求める。電圧幅と中心電圧から膨らみ関数の最大値を求める。数式2より膨らみ関数を求め、先の経路fu,iから下降側の経路fd,j+1を求め、ニュートン法により入力電圧を算出する(図27)。ここで、図27の(a)は目標値の条件、(b)は膨らみ関数の算出、(c)は経路の導出、(d)は電圧の算出の各動作をそれぞれ示す。
なお、ニュートン法は、1変数関数のy = f(x)についてy =
0を求める方法として知られているニュートン・ラプソン法という数値計算方法のことである。このニュートン・ラプソン法のアルゴリズムを簡単に説明すると、手順1として、xkを初期値として与え、手順2として、f(xk),f’(xk)を求め、手順3として、xk+1 = xk - f(xk)/
f’(xk)を求め、手順4として、xk+1がxkとほぼ等しくなったら終了し、等しくなければ、xkにxk+1を代入して手順2に戻る、というものである。
このような、ヒステリシス補償アルゴリズムについて検証してみる。はじめに、5−95V三角波を入力し、パーソナルコンピュータ上で目標変位を作成する。このとき、任意のマイナーループの影響を考慮するため、反転位置の変位はパソコンでランダムに決定する。実際の圧電素子の変位との比較を行うと、図28にヒステリシス補償の有無の結果を示し、(a)がヒステリシス補償無し、(b)がヒステリシス補償有りを示す。図28から、ヒステリシス補償有りのほうが目標値とよく一致していることがわかる。また、最大誤差が補償無しの場合1.2μmとなるが、補償有りの場合0.13μmと10分の1に減少し、ヒステリシス補正の効果が認められる。
また、前記非クリープ線導出工程が、前記複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の複数の電圧から反転して所望の目標電圧まで下げることにより前記非クリープ線として第1の非クリープ線を導出する工程と、前記複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の複数の電圧から反転して所望の目標電圧まで上げることにより、前記非クリープ線として前記第1の非クリープ線とは異なる第2の非クリープ線を導出する工程とを備え、前記制御工程が、前記圧電素子に印加する電圧を、制御すべき最終の目標変位に対応する前記第1および第2非クリープ線上の2つの目標点に至る前記複数のヒステリシスループうち、最短となるルートを辿って変化させる制御を行う工程であってもよい(請求項4)。
この場合、ヒステリシスループ上で反転する電圧と最終の目標変位に対応する目標電圧の大小の関係に応じて、第1、第2の非クリープ線を使い分けるため、より正確にクリープを抑制することができる。
請求項1,5に記載の発明によれば、ヒステリシスループ上の異なる複数の電圧から所望の目標電圧に圧電素子に印加する電圧を反転させ、当該目標電圧になったときの圧電素子のクリープを検出するとともに、最小電圧から最大電圧までの間における異なる目標電圧ごとにクリープの検出を繰り返し、繰り返し検出した異なる目標電圧ごとのクリープがほぼゼロとなる変位点を結んで得られる曲線を非クリープ線として導出し、圧電素子に印加する電圧を、制御すべき最終の目標変位に対応する非クリープ線上の目標点に至る複数のヒステリシスループうちいずれかを辿って変化させるため、クリープの抑制と同時にヒステリシスを補正することが可能になり、圧電素子を最終の目標変位に精度よくかつ迅速に制御でき、圧電素子を用いた位置決め装置の応答性を改善できて高速でかつ高精度な位置決めを行うことが可能になる。
請求項2に記載の発明によれば、多項式近似の演算により圧電素子のヒステリシスループを導出し、導出したヒステリシスループを辿って、圧電素子への現在の印加電圧から非クリープ線上の目標点までの最短ルートとなる反転電圧を求め、圧電素子に印加する電圧を当該目標点に向けて最短ルートとなる反転電圧で反転させることにより、圧電素子を用いた位置決め装置の応答性を一層改善することが可能になる。
請求項3に記載の発明によれば、圧電素子への現在の印加電圧から非クリープ線上の目標点までの最短ルートをより早く求めることができて、位置決め装置の応答性をより一層改善することが可能になる。
請求項4に記載の発明によれば、第1、第2の非クリープ線を使い分けるため、位置決め性能の向上に大きく寄与することができる。
<第1実施形態>
本発明の制御装置120により制御される位置決め装置の第1実施形態について図29ないし図33を参照して説明する。図29は本発明の制御装置120により制御される位置決め装置150の第1実施形態を示す図である。また、図30はウォーキング動作駆動ユニット110を示す図である。また、図31はピエゾ駆動体108の構成を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。また、図32はウォーキング動作駆動ユニット110によるウォーキング動作を示す図である。また、図33はウォーキング動作駆動ユニット110による位置決め動作を示す図であって、(a)はX方向への位置決めを示図であり、(b)はY方向への位置決めを示す図であり、(c)はθ(回転)方向への位置決めを示す図である。
図29に示すように、位置決め装置150は、可動ステージ106と、可動ステージ106の周縁部に配置された3個のウォーキング動作駆動ユニット110と、ウォーキング動作ユニットが有するピエゾ駆動体108の動作を制御する制御装置120とを備えている。また、図30および図31(a)に示すように、ウォーキング動作駆動ユニット110が有するピエゾ駆動体は、基台105と、基台105の立設された3個の圧電素子100,101,102と、圧電素子100,101,102に先端に設けられた連結ブロック104と、連結ブロック104に立設された支持足103とを備え、制御手段120により電圧印加して圧電素子100,101,102を任意に伸縮変位させることにより、支持足103を三次元的空間内の任意の方向に変位可能に構成されている(図31(b)のステップS1〜ステップS5参照)。
また、支持足103を中心として周囲を囲むように、受台107が基台105と一体的に設けられている。そして、圧電素子100,101,102を縮小変位させて支持足103が基台105および受台107の内側に没入した状態で、受台107は可動ステージ106を支持可能に構成されている(図32のステップS1およびステップS5参照)。このような構成とすれば、受台107と支持足103との距離を近づけることができるため、コンパクトな構成とすることができる。また、受台107と支持足103との距離を小さくすることができるため、図32のステップS1の状態から、ピエゾ駆動体108を駆動して支持足103により可動ステージ106を受台107から浮上させるときに(図32のステップS2参照)、可動ステージ106の受台107との接触面のうねりや凹凸による影響が最も小さくすることができる。
なお、圧電素子100,101,102とは電圧が印加されることにより伸縮する素子のことであり、その材質はどのようなものであってもよい。また、ウォーキング動作駆動ユニット110は、可動テーブル106が載置されその荷重を支持する受台107と、1足の支持足103を有し可動テーブル106を移動させるピエゾ駆動体108とを個別に備えている。したがって、圧電素子100,101,102と連結された支持足103のみで可動テーブル106を支持する場合に比べ、可動テーブル106に加えられる高加圧に対する耐久性を向上させることができる。
また、制御装置120は、図2等を参照して詳細に説明したように、圧電素子100,101,102の上述したヒステリシスループを導出するヒステリシスループ導出手段(図示省略)と、上述した非クリープ線を導出する非クリープ線導出手段(図示省略)、上述したように導出したヒステリシスループと導出した非クリープ線とを用いて圧電素子100,101,102に電圧印加する制御手段(図示省略)とを備え、ピエゾ駆動体108が有する圧電素子100,101,102の変位を高精度に制御することにより、ウォーキング動作駆動ユニット110のウォーキング動作を高精度に実行可能に構成されている。したがって、ウォーキング動作駆動ユニット110によるウォーキング動作を高精度に行うことで、可動ステージ106の位置決めを高精度に実行できる。
次に、ウォーキング動作駆動ユニット110によるウォーキング動作について図32を参照して説明する。まず、図32のステップS1に示すように、制御装置120から圧電素子100,101,102のそれぞれに任意に電圧印加することにより、支持足103が受台107の内側に没入した状態の初期位置から、支持足103を可動テーブル106を移動させる矢印Dの方向と反対方向に傾ける。続いて、支持足103を傾けた状態で圧電素子100,101,102を伸長変位して支持足103の先端を受台107の外側に出現させて、支持足103により可動テーブル106を支持して当該可動テーブル106を受台107から浮上させる(ステップS2)。そして、支持足103の先端により可動テーブル106を支持した状態で圧電素子100,101,102を変位して矢印Dの方向に傾けることで、可動テーブル106を矢印Dの方向に移動する(ステップS3)。続いて、圧電素子100,101,102を縮小変位して支持足103を受台107の内側に没入させ(ステップS4)、さらに支持足103の傾きを初期位置の状態とすることで1回のウォーキング動作を終了する(ステップS5)。
次に、上記したウォーキング動作により位置決めされる可動ステージ106の位置決め動作について図33を参照して説明する。図33に示すように、3個のウォーキング動作駆動ユニット110のウォーキング動作を任意に連動して組合わせることで、可動テーブル106のX、Y、θ(回転)方向への移動および、3方向への移動を組合わせた位置決め度動作を行うことができる。
以上のように、この実施形態では、制御装置120により、圧電素子100,101,102のクリープの抑制と同時にヒステリシスを補正することが可能になり、圧電素子100,101,102を最終の目標変位に精度よくかつ迅速に制御でき、圧電素子100,101,102を用いた位置決め装置100(ウォーキング動作駆動ユニット110)の応答性を改善できて高速でかつ高精度な位置決めを行うことが可能になる。
また、受台107と、一足の支持足103を有するピエゾ駆動体108により、ウォーキング動作を実行可能であるため、ウォーキング動作を実行するのに支持足103が2本必要であった従来の構成に比べ、装置のコンパクト化および製造コストの抑制を図ることができる。
また、支持足103が2足であれば、支持足103の可動テーブル106への支持の切換時に、両方の支持足103は揺動中であるので支持足103と可動テーブル106との間で滑りが生じ、その結果、位置ずれをが生じるため、目的とする動作を得られなかった。しかしながら、上記した構成とすれば、支持足103が1足でウォーキング動作が可能となるため、支持足103と可動テーブル106との間での滑りの発生を抑制でき、目的とする可動テーブル106の移動を行うことが可能となる。
また、ウォーキング動作駆動ユニット110を、任意の円周上に位置するように3個備えることで、9個の圧電素子100,101,102で可動テーブル106の全ての方向への移動が可能となり、装置のコンパクト化およびコストの抑制を図ることができる。また、また、3個のウォーキング動作駆動ユニット110が有する支持足103の3つの先端により任意の平面が規定されるため、可動テーブル106の支持足103との接触面が平面であれば、ウォーキング動作中であっても、可動テーブル106と支持足103とは常に接触することとなるため、可動テーブル106と支持足103との間の滑りを抑制でき、非常に好ましい。
以上のように、上記した位置決め装置150は、圧電素子100,101,102を有するピエゾ駆動体108による高精度な位置制御と、受台107による高耐荷重性とを兼ね備えたものである。また、圧電素子の数を従来の2足方式のものから半減することで、装置のコンパクト化および、コストの抑制を図ったものである。また、ウォーキング動作駆動ユニット110を、任意の円周上に配置することで可動テーブル106の中央部分を切り欠いて穴を開けることができ、可動テーブル106に載置された種々のウエハーやチップ、またはナノインプリント用の転写型などの位置決め対象物を下部からIRカメラ等の認識手段で認識したり、エッチングの為に露光処理したりできるので好ましい。なお、可動テーブル106に、メカニカルなチャッキング方式の保持手段や、静電チャックによる保持手段を設け、載置された位置決め対象物を保持するようにしてもよい。
<第2実施形態>
本発明の制御装置により制御される位置決め装置の第2実施形態について図34ないし図36を参照して説明する。図34は本発明の制御装置により制御される位置決め装置200の第2実施形態を示す図であり、ヘッド232とステージ233との間の平行度調整を行うように構成されている。この位置決め装置200が備えるピエゾアクチュエータ(圧電素子)230に電圧印加して変位を制御する方法については、上記した第1実施形態と同様であるため、その構成および動作の説明は省略する。また、ピエゾアクチュエータ230に電圧印加して変位を制御する制御装置の構成も上記した第1実施形態の制御装置120の構成と同様であるため、その構成および動作の説明および図示を省略する。また、上記した制御装置120と同様の構成を有する制御装置により、ピエゾアクチュエータ230に電圧印加して変位を制御することにより、上記した効果と同様の効果を奏することができるが、その詳細な説明は省略する。なお、以下で説明する全ての実施形態および変形例では、上記した制御装置120と同様の構成を有する制御装置により圧電素子に電圧印加して変位を制御する構成としており、その詳細な説明および奏する効果については上記した第1実施形態と同様であるため、その詳細な説明は全て省略する。
図34に示すように、位置決め装置200は、一方の被保持物を保持する保持ツールを有するヘッド232と、他方の被保持物を保持する保持ツールを有するステージ233とを備えている。また、ヘッド232の上面には、任意の円周に沿って3個のピエゾアクチュエータ230が立設されており、さらにピエゾアクチュエータ230の先端に支柱237が連結されている。また、ステージ233の下面には、ピエゾアクチュエータ230のそれぞれと対向する位置に歪ゲージや半導体圧力センサなどの荷重センサなどのロードセルにより構成された圧力検出手段231が設けられている。
また、図示省略したトルク制御式昇降駆動モータ1やシリンダ機構などの駆動装置により、ヘッド232および233は接離可能に構成されており、ヘッド232およびステージ233にそれぞれ被保持物を保持した状態で駆動装置によりヘッド232とステージ233とを近接することで、ヘッド232およびステージ233にそれぞれ保持された被保持物を接触させるとともに任意の加圧力を加えることができる。このとき、圧力検出手段231の出力を駆動装置にフィードバックすることで、任意の加圧力制御を行うことができる。
次に、ピエゾアクチュエータ230および圧力検出手段231を利用したヘッド232とステージとの平行度調整について説明する。ヘッド232およびステージ233にそれぞれ被保持物保持した状態で駆動装置によりヘッド232とステージ233とを近接し、ヘッド232およびステージ233にそれぞれ保持された被保持物を接触させたときの3つの圧力検出手段231の出力を検出する。そして、3つの圧力検出手段231の出力を比較して、3つの出力がほぼ同じ値となるまでピエゾアクチュエータ230を伸縮することにより、ヘッド232とステージ233との平行度を高精度に調整できる。
なお、被保持物はどのようなものであってもよいが、例えば、この実施形態で説明した位置決め装置200を接合装置に備えた場合には、シリコンウエハーやチップ等の被接合物を被保持物とすればよい。また、位置決め装置200をナノインプリント成型装置に備えた場合には、ヘッド232およびステージ233のいずれか一方の被保持物を基材となる樹脂をコーティングしたウエハーとし、他方の被保持物を転写型となるシリコンウエハーをエッチング加工したものとすれば、転写型と同寸法のウエハーを一括して成型することができる。また、圧力検出手段231は上記したものに限られず、加圧力を検出できるものであればどのようなものであってもよい。
1.第1変形例
図35は第2実施形態における位置決め装置200の第1変形例200aを示す図である。この第1変形例では、ピエゾアクチュエータ230をステージ233の下面に設け、ヘッド232の上面には支柱237を立設し、支柱237の先端に圧力検出手段23を設けている。その他の構成および動作は上記した位置決め装置200と同様であるため、その構成および動作の説明は省略する。
2.第2変形例
図36は第2実施形態における位置決め装置200の第2変形例を示す図である。この第2変形例では、ヘッド232の上面に、任意の円周に沿って3個のピエゾアクチュエータ230が立設され、ピエゾアクチュエータ230の先端に支柱237が連結され、さらに、支柱237の先端に圧力検出手段231を設けている。その他の構成および動作は上記した位置決め装置200と同様であるため、その構成および動作の説明は省略する。
<ウォーキング動作駆動ユニットの変形例>
図37および図38を参照してウォーキング動作駆動ユニット110の変形例について説明する。図37ないし図40はそれぞれウォーキング動作駆動ユニット110の変形例を示す図である。なお、図37(a)は上記第1実施形態で説明したウォーキング動作駆動ユニット110を示す図である。図37(a)に示すように、ウォーキング動作駆動ユニット110はユニット化されているため、受台107と支持足103との高さの関係を調整し易いという効果も奏することができる。
1.第1変形例
図37(b)はウォーキング動作駆動ユニット110の第1変形例110aを示す図である。図37(b)に示すように、基台105に上下方向に伸縮可能に立設された圧電素子109aを介して受台107が設けられている。このような構成とすれば、上記したウォーキング動作において、支持足103の受台107の外側への出現時に、圧電素子109aを縮小させれば、支持足103の先端を受台107の外側へさらに突出できるため、可動テーブル106の移動量を大きくすることができる。
2.第2変形例
図37(c)はウォーキング動作駆動ユニット110の第2変形例110bを示す図である。図37(c)に示すように、ウォーキング動作駆動ユニット110bの下方に上下方向に伸縮可能な圧電素子109bが設けられている。このような構成のウォーキング動作駆動ユニット110bを、上記第2実施形態のピエゾアクチュエータ230と置換すれば、ヘッド232とステージ233との平行度を高精度に調整できるとともに、ヘッド232とステージ233との相対位置を高精度に調整できる。したがって、ヘッド232およびステージ233に保持された被保持物どうしの平行度が高精度に調整された状態で、両被保持物を加圧することで、高精度に位置決めされた状態からずれを生じることなく被保持物どうしを加圧できる。
3.第3変形例
図38はウォーキング動作駆動ユニット110の第3変形例110cを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図38に示すように、受台107が基台105ほぼ中央に配設され、その周辺部に圧電素子100,101,102および支持足103が配設されている。このような構成としても、上記したウォーキング動作駆動ユニット110と同様の作用効果をそうすることができる。
4.第4変形例
図39(a)はウォーキング動作駆動ユニット110の第4変形例110dを示す図である。図39(a)に示すように、受台107とピエゾ駆動体108とを近接配置して1ユニットとしているため、受台107と支持足103との距離を近づけることができ、可動テーブル106のうねりや凹凸を原因として支持足103が可動テーブル106と非接触状態となるのを防止できる。また、受台207と支持足103との高さの関係を調整しやすい。
5.第5変形例
図39(b)はウォーキング動作駆動ユニット110の第5変形例110eを示す図である。図39(b)に示すように、基台105に上下方向に伸縮可能に立設された圧電素子109cを介して受台107が設けられている。このような構成とすれば、上記したウォーキング動作において、支持足103の先端が受台107よりも高くなる時(可動テーブル106の浮上時)に、圧電素子109cを縮小させれば、支持足103の先端を受台107より上方へさらに突出できるため、可動テーブル106の移動量を大きくすることができる。
6.第6変形例
図39(c)はウォーキング動作駆動ユニット110の第6変形例110fを示す図である。図39(c)に示すように、ウォーキング動作駆動ユニット110fの下方に上下方向に伸縮可能な圧電素子109dが設けられている。このような構成のウォーキング動作駆動ユニット110fを、上記第2実施形態のピエゾアクチュエータ230と置換すれば、ヘッド232とステージ233との平行度を高精度に調整できるとともに、ヘッド232とステージ233との相対位置を高精度に調整できる。したがって、ヘッド232およびステージ233に保持された被保持物どうしの平行度が高精度に調整された状態で、両被保持物を加圧することで、高精度に位置決めされた状態からずれを生じることなく被保持物どうしを加圧できる。
7.第7変形例
図40はウォーキング動作駆動ユニット110の第7変形例110gを示す図である。図40に示すように、ウォーキング動作駆動ユニット110の下方に上下方向に伸縮可能な圧電素子109eを設け、さらにその下方に圧力検出手段231を介して粗動調整部38を配置している。このような構成のウォーキング動作駆動ユニット110gを、上記第2実施形態のピエゾアクチュエータ230と置換すれば、ヘッド232とステージ233との平行度を圧電素子109eおよび圧力検出手段231を利用して高精度に調整できるとともに、ヘッド232とステージ233とを粗動調整部38により大きく相対移動させることができる。そして、まず、ヘッド232とステージ233との相対位置を粗動調整部38により粗く位置決めした後、ウォーキング動作ユニット110によりヘッド232とステージ233との相対位置を高精度に調整できる。したがって、ヘッド232およびステージ233に保持された被保持物どうしの平行度が高精度に調整された状態で、両被保持物を加圧することで、高精度に位置決めされた状態からずれを生じることなく被保持物どうしを加圧できる。
<ピエゾ駆動体の変形例>
図41を参照してピエゾ駆動体108の変形例について説明する。図41はピエゾ駆動体108の変形例を示す図であり、(a1)は(a2)の平面図、(b1)は(b2)の平面図、(c1)は(c2)の平面図である。なお、図41(a1),(a2)は上記第1実施形態で説明したピエゾ駆動体108を示す図である。図41(a1),(a2)に示すように3個の圧電素子100,101,102を基台105上の任意の円周上の3箇所に配置し、圧電素子100,101,102と連結された連結ブロック104の上面に支持足103を立設している。圧電素子100,101,102に電圧印加して変位(伸縮)を制御することで三次元的空間内の任意の方向に支持足103を変位させることができる。また、このような構成とすれば、ピエゾ駆動体108を製造し易く、非常にコンパクトな構成である。
1.第1変形例
図41(b1),(b2)はピエゾ駆動体108の第1変形例108aを示す図である。図41(b1),(b2)に示すように、圧電素子100,102と支柱105aを基台105上の任意の円周上の3箇所に配置し、圧電素子100,102と支柱105aが連結された連結ブロック104の上面に圧電素子101を立設し、圧電素子101の先端に支持足103を配設している。圧電素子100,101,102に電圧印加して変位(伸縮)を制御することで三次元的空間内の任意の方向に支持足103を変位させることができる。また、このような構成とすれば、圧電素子101により支持足103の上下方向(Z方向)の動作を独立して制御することで、上下方向(Z方向)のストロークを大きくすることができ、可動テーブル106との接触において高さ方向の誤差を吸収し易く、コンパクトな構成とすることができる。
2.第2変形例
図41(c1),(c2)はピエゾ駆動体108の第2変形例108bを示す図である。図41(c1),(c2)に示すように、3個の圧電素子100,101,102を基台105から連結ブロック104に対してX、Y、Zの直交する3方向から立設して、連結ブロック104と連結し、圧電素子100,101,102と連結された連結ブロック104に支持足103を設けている。圧電素子100,101,102に電圧印加して変位(伸縮)を制御することで三次元的空間内の任意の方向に支持足103を変位させることができる。また、圧電素子100,101,102のそれぞれによりX、Y、Z方向成分の変位量をそれぞれ個別に制御できるため、支持足103の変位方向を容易に制御できる。
<第3実施形態>
本発明の制御装置により制御される位置決め装置の第3実施形態について図42および図43を参照して説明する。図42は本発明の制御装置により制御される位置決め装置300の第3実施形態を示す図であり、可動ステージ360のX方向(1軸)の位置決めを行うように構成されている。また、図43は位置決め装置300の動作を示す図であり、(a)は可動ステージ360が初期位置にある状態を示し、(b)は可動ステージ360が初期位置から矢印方向に移動して位置決めされた状態を示す図である。
図42に示すように、位置決め装置300は、固定ベース361およびフリー端354,356に囲まれた領域に、可動ステージ360がばね支持359に四方から支持された状態で保持されている。また、矢印の方向に可動ステージ360を移動させるための駆動系として、圧電素子358が駆動バー353に連結点352により連結されれている。したがって、圧電素子352が変位すれば、支持保持ベース357の端部に形成された支点351を支点として作用点355は圧電素子352の変位を拡大して移動し、この作用点355の移動により可動ステージ360が移動する構成となっている。
次に、位置決め装置300の動作について図43を参照して説明する。可動テーブル360が、図43(a)に示す初期位置にあるときに、同図(b)に示すように圧電素子358に電圧印加して矢印方向に収縮させれば、作用点355が支点351を支点として、同じく矢印方向に移動する。可動テーブル360はこの作用点355の移動に伴って矢印方向に移動して位置決めされる。
1.第1変形例
次に、図44を参照して位置決め装置300の第1変形例300aについて説明する。
位置決め装置300aは可動テーブル360をX−Y方向(2軸)に移動可能に構成されている。図8に示すように、図42および図43を参照して説明した位置決め装置300を、可動テーブル360の移動方向がほぼ直交する向きで組合わせることによって、位置決め装置300aを構成できる。具体的には、図8に示すように、2つの位置決め装置300の向きを相対的に90°ずらした状態で対向配置して、A,B点がA'、B'点と連結するよう組合わせればよい。
なお、この実施形態では、拡大機構(駆動バー353、作用点355)を用いて可動テーブル360を位置決めする構成としたが、圧電素子358の変位を直接的に可動テーブル360に伝達することにより可動テーブルを位置決めする構成としてもよい。 なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
圧電素子のヒステリシス特性の説明図である。 圧電素子のヒステリシス特性の実験装置の概略図である。 圧電素子のヒステリシスループの説明図である。 圧電素子のヒステリシスループ計測用の入力電圧の波形図である。 図4の入力電圧により得られたヒステリシスループを示す図である。 ヒステリシスのメジャーループからの位置決めの説明図である。 メジャーループを辿ったときの電圧と変位との関係を示す図である。 ヒステリシスのマイナーループからの位置決めの説明図である。 電圧幅30Vのマイナーループを辿ったときの電圧と変位との関係およびクリープを示す図である。 電圧幅50Vのマイナーループを辿ったときの電圧と変位との関係およびクリープを示す図である。 電圧幅70Vのマイナーループを辿ったときの電圧と変位との関係およびクリープを示す図である。 最終電圧50Vにおける変位とクリープとの関係を示す図である。 クリープの生じない変位と電圧の関係である非クリープ線を示す図である。 本発明の方法(クリープ抑制手法)の説明図である。 本発明の方法(クリープ抑制手法)における初期位置から目標変位8.5μmへの位置決めの説明図である。 本発明の方法(クリープ抑制手法)における初期位置から目標変位3.5μmへの位置決めの説明図である。 本発明の方法(クリープ抑制手法)における目標変位に対する位置決め直後の誤差を示す図である。 本発明の方法(クリープ抑制手法)における目標変位に対するクリープを示す図である。 本発明の方法(クリープ抑制手法)における目標変位に対する10秒経過後の位置決め誤差を示す図である。 本発明における膨らみ関数の説明図である。 膨らみ関数の説明用のヒステリシスループの図である。 膨らみ関数の説明のために最大膨らみ量と電圧幅と中心電圧との関係を示す図である。 本発明の前提となるヒステリシス補償アルゴリズムを説明するためのヒステリシスループの図である。 ヒステリシス補償アルゴリズムの説明用のフローチャートである。 ヒステリシス補償アルゴリズムの説明図である。 ヒステリシス補償アルゴリズムの説明図である。 ヒステリシス補償アルゴリズムの説明図である。 ヒステリシス補償の効果を説明するための図である。 本発明の制御装置により制御される位置決め装置の第1実施形態を示す図である。 ウォーキング動作駆動ユニットを示す図である。 ピエゾ駆動体の構成を示す図である。 ウォーキング動作駆動ユニットによるウォーキング動作を示す図である。 ウォーキング動作駆動ユニットによる位置決め動作を示す図である。 本発明の制御装置により制御される位置決め装置の第2実施形態を示す図である。 第2実施形態における位置決め装置の変形例を示す図である。 第2実施形態における位置決め装置の変形例を示す図である。 ウォーキング動作駆動ユニットの変形例を示す図である。 ウォーキング動作駆動ユニットの変形例を示す図である。 ウォーキング動作駆動ユニットの変形例を示す図である。 ウォーキング動作駆動ユニットの変形例を示す図である。 ピエゾ駆動体の変形例を示す図である。 本発明の制御装置により制御される位置決め装置の第3実施形態を示す図である。 図43の位置決め装置の動作を示す図である。 図42の位置決め装置の変形例である。
符号の説明
100 圧電素子
101 圧電素子
102 圧電素子
103 支持足
104 連結ブロック
105 基台
106 可動テーブル
107 受台
108 ピエゾ駆動体
110 ウォーキング動作駆動ユニット
120 制御装置
150 位置決め装置
200 位置決め装置
300 位置決め装置
300a 位置決め装置

Claims (5)

  1. 圧電素子を用い、対象物を駆動する際に前記圧電素子に目標電圧を印加して位置決めを行う位置決め装置の制御方法において、
    前記圧電素子への印加電圧と前記圧電素子の変位との関係を表す複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の異なる複数の電圧から所望の目標電圧に前記圧電素子に印加する電圧を反転させ、当該目標電圧になった直後の前記圧電素子のクリープを検出するとともに、異なる目標電圧ごとに前記クリープの検出を繰り返し、繰り返し検出した前記異なる目標電圧ごとのクリープがほぼゼロとなる変位点を結んで得られる非クリープ線を導出する非クリープ線導出工程と、
    前記圧電素子に印加する電圧を、制御すべき最終の目標変位に対応する前記非クリープ線上の目標点に至る前記複数のヒステリシスループうちいずれかを辿って変化させる制御を行う制御工程と
    を備えることを特徴とする位置決め装置の制御方法。
  2. 多項式近似の演算により前記圧電素子のヒステリシスループを導出するヒステリシスループ演算工程を備え、
    前記制御工程が、前記ヒステリシスループ演算工程で導出した前記ヒステリシスループを辿って、前記圧電素子への現在の印加電圧から前記非クリープ線上の目標点までの最短ルートを求め、前記圧電素子に印加する電圧を当該目標点に至る前記最短ルートを辿るように変化させる制御を行う工程であることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の制御方法。
  3. 前記圧電素子に印加される最小電圧と最大電圧との差である電圧幅と、前記最小電圧および前記最大電圧の中心電圧との関数で表される膨らみ関数を用いて前記圧電素子のヒステリシスループを同定するヒステリシスループ同定工程を備え、
    前記制御工程が、前記ヒステリシスループ同定工程で導出した前記ヒステリシスループを辿って、前記圧電素子への現在の印加電圧から前記非クリープ線上の目標点までの最短ルートを求め、前記圧電素子に印加する電圧を当該目標点に至る前記最短ルートを辿るように変化させる制御を行う工程であることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の制御方法。
  4. 前記非クリープ線導出工程が、
    前記複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の複数の電圧から反転して所望の目標電圧まで下げることにより前記非クリープ線として第1の非クリープ線を導出する工程と、
    前記複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の複数の電圧から反転して所望の目標電圧まで上げることにより、前記非クリープ線として前記第1の非クリープ線とは異なる第2の非クリープ線を導出する工程とを備え、
    前記制御工程が、
    前記圧電素子に印加する電圧を、制御すべき最終の目標変位に対応する前記第1および第2非クリープ線上の2つの目標点に至る前記複数のヒステリシスループうち、最短となるルートを辿って変化させる制御を行う工程であることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置の制御方法。
  5. 圧電素子を用い、対象物を駆動する際に前記圧電素子に目標電圧を印加して位置決めを行う位置決め装置の制御装置において、
    前記圧電素子への印加電圧と前記圧電素子の変位との関係を表す複数のヒステリシスループのうち少なくとも1つのヒステリシスループ上の異なる複数の電圧から所望の目標電圧に前記圧電素子に印加する電圧を反転させ、当該目標電圧になった直後の前記圧電素子のクリープを検出するとともに、異なる目標電圧ごとに前記クリープの検出を繰り返し、繰り返し検出した前記異なる目標電圧ごとのクリープがほぼゼロとなる変位点を結んで得られる非クリープ線を導出する非クリープ線導出手段と、
    前記圧電素子に印加する電圧を、制御すべき最終の目標変位に対応する前記非クリープ線上の目標点に至る前記複数のヒステリシスループうちいずれかを辿って変化させる制御を行う制御手段と
    を備えることを特徴とする位置決め装置の制御装置。
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