JP3065716B2 - 圧電体駆動制御装置 - Google Patents

圧電体駆動制御装置

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JP3065716B2
JP3065716B2 JP3147625A JP14762591A JP3065716B2 JP 3065716 B2 JP3065716 B2 JP 3065716B2 JP 3147625 A JP3147625 A JP 3147625A JP 14762591 A JP14762591 A JP 14762591A JP 3065716 B2 JP3065716 B2 JP 3065716B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電体駆動制御装置、
詳しくは、圧電体への駆動電圧の上昇,下降および、そ
の変化率を制御する圧電体駆動制御装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、シャッター等、カメラのアクチュ
エータを圧電体により駆動することが提案されている。
【0003】この圧電体は通常数百ボルトの印加電圧で
最大変形を示すため、その駆動には数百ボルトの高圧電
源と、この高圧電源を制御する手段とが必要となる。ま
た、圧電体の変形量を微細に制御することも要求され、
それに応じて印加電圧にも高分解能および高精度が必要
とされる。
【0004】ところで、カメラ等の小型の精密機器で
は、その電気制御系は低電圧電池で動作可能に設計され
ている。また、近年のカメラではほとんどのものがスト
ロボを内蔵しており、そのストロボ用電源として、多く
が上記低電圧電池を昇圧して数百ボルトの高圧電源を得
ている。従って、この数百ボルトのストロボ用電源を利
用して、上記圧電体に高電圧を印加して、カメラのアク
チュエータを駆動する例もある。
【0005】図17は、一般的な、電歪効果を用いたス
タック型(積層型)の圧電アクチュエータの変形量−駆
動電圧特性を示したもので、縦軸に歪み量、横軸に印加
電圧をそれぞれとった特性図である。
【0006】図17において、AA点は、圧電体に分極
が生じていない状態(例えば制作直後)を示している。
この状態の圧電体に駆動電圧を印加していくと、電圧V
Bまでは、圧電体に双極子分極が生じないため、変形歪
は生じない(AA−BB間)。この圧電体に、さらに高
い電圧を加えて行くと圧電体に変形が生じて、最高駆動
電圧Vmaxで最大の変形が生じる(BB−CC間)。
その後、印加電圧を徐々に下げて行くと、変形が小さく
なり、0V時にDD点を通り、電圧−VBで歪み量は0
となる(CC−DD−EE間)。この電圧−VBの印加
により、圧電体の双極子分極の極性は、電圧VBの印加
時と逆になり、電圧−Vmaxまでの負電圧の印加によ
り歪み量は、電圧Vmax印加時と同等の値を示す(E
E−FF間)。さらに今度は、印加電圧をプラス方向に
増やしていくと、0VでDD点を通り、電圧VBにより
BB点に達する。さらに電圧Vmaxの印加で前述の最
大変形のポイントCC点に達する。
【0007】ここで、印加電圧を0Vまで下げると、実
線CCDDに沿ってDD点に達する。このDD点から、
印加電圧をVmaxまで上げると、点線DDCCに沿っ
て最大変形のポイントCC点に達する。その後、0から
Vmaxの印加電圧を交番的に加えると、実線CCDD
に沿って変形量が縮小し、さらに、点線DDCCに沿っ
て変形量の増大が生じる。
【0008】このように、圧電体の、駆動電圧に対する
変形量の変化にはヒステリシスがあり、また、圧電体の
変形にはリニアリティがない。これが、圧電体の微細な
変形量および変形速度の制御を困難なものとしている。
このため、上記制御を精度よく行うには、上記変形量お
よび変形速度を正確に検出して、その検出信号に基づい
てこれらを制御する閉ループ制御が必要であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、上述した
従来の圧電体駆動制御装置では、圧電体の変形量および
変形速度を精度よく制御するためには、上記変形量およ
び変形速度を正確に検出して、その検出信号に基づいて
これらを制御する閉ループ制御を必要としており、した
がって、これらを検出する検出手段を設けなければなら
ず、実装部品やコストの増大を招き、カメラ等の小型精
密機器内に実装するには困難を伴うという問題点があっ
た。
【0010】本発明は係る問題点に鑑みてなされたもの
であり、圧電体の変形量および変形速度を検出せずと
も、これらを制御することが可能な圧電体駆動制御装置
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに本発明による圧電体駆動制御装置を例示すると、
1の概念図に示す様に、圧電体2と、この圧電体2の駆
動用電源である高電圧源1と、この高電圧源1の出力
と上記圧電体2の変形量との対応情報を記憶した記憶
部5と、この記憶部5から上記対応情報を読みだし、上
記圧電体2を駆動する出力電圧を制御する圧電体駆動電
圧制御部4と、上記高電圧源1の電圧を上記圧電体2の
駆動用電圧に変換する圧電体駆動電圧発生部3とを具備
したものである。
【0012】
【作用】上記圧電体駆動装置においては、圧電体駆動電
圧制御部4が、記憶部5に記憶されている情報に基づい
て圧電体駆動電圧発生部3を制御し、圧電体2の変形量
および変形速度を制御する。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0014】図2は、本発明の第1実施例を示す圧電体
駆動制御装置の構成ブロック図である。この実施例は、
本発明をカメラに適用した場合であって、圧電体駆動制
御装置を駆動する高電圧源1は、カメラの内蔵ストロボ
用電源が用いられる。この電源は既知のごとく、内蔵さ
れた電池の低電圧を高電圧に昇圧するストロボ昇圧回路
11と、図示しないメインコンデンサとを備えている。
【0015】圧電体2は、電圧を加えることにより変形
が生じる圧電効果を応用した圧電素子で構成されてお
り、この変形でシャッター等の被駆動体6が駆動される
ようになっている。
【0016】圧電体駆動電圧発生部3は、ディジタル−
アナログ変換部31(以下D/A31と称す)とアンプ
部32とで構成されている。このD/A31は、圧電体
駆動電圧制御部4の中核をなすCPU41から出力され
たディジタル信号をアナログ信号に変換する役目をし、
このアナログ信号が、上記アンプ部32において圧電体
2を駆動するのに必要な電圧まで増幅される。
【0017】アンプ部32で増幅され、必要な所定の駆
動電圧になった電圧が圧電体2に印加されると、この圧
電体2が変形し、この変形による変位が後述する変位拡
大機構を介して被駆動体6に増幅伝達され、これにより
被駆動体6が動作する。
【0018】記憶部5は、書き込み自在の不揮発性の記
憶装置、例えばEEP−ROM等で構成され、圧電体2
の駆動電圧と変形量との関係についての情報を記憶して
いる。
【0019】この記憶部5に記憶されている情報として
は、駆動電圧の上昇時と下降時、それぞれの圧電体2の
変形量−駆動電圧の関係についてのデータ表であっても
よく、また、それらの微分形、すなわち、駆動電圧毎の
単位駆動電圧当たりの変形量に関するデータ表であって
もよい。さらに、このデータが、所定の関数の形で表さ
れるなら、その関数に必要な各項の係数、あるいは、定
数の形で記憶されるようにしても良い。また、駆動電圧
の上昇時と下降時とで同一の関数の係数や定数の変更
で、圧電体2の変形量−駆動電圧の関係が近似可能であ
るならば、記憶する情報量を節約することもできる。
【0020】ここで、記憶される情報は、圧電体2が実
際に被駆動体6に対して仕事をする場合には、この被駆
動体6の負荷がある状態での、圧電体2の変形量−駆動
電圧の関係に関する情報を記憶部5に記憶するようにし
ても良い。なお、上記負荷に応じた補正を上記圧電体駆
動電圧制御部4で行っても同様の結果が得られる。
【0021】次に、無負荷状態での被駆動体6の変位状
況を考えてみる。尚、圧電体2に印加される電圧は、0
ボルト〜Vmaxボルトとして考える。これは、通常、
圧電体に印加する電圧には、その分極状態を安定にして
使用するために片電源(通常プラス電源)を用いている
ためである。また、上記Vmaxは通常約100ボルト
程度である。
【0022】図3は、上記無負荷状態における圧電体2
の変形量Xと駆動電圧Vとの関係を示した線図である。
この場合、駆動電圧Vmaxを印加したときに、Xma
xの変形量を生じるものとする。この変形量Xmax
は、通常の積層型圧電体では、約10μm程度である。
【0023】駆動電圧を0ボルトから上昇させると、圧
電体2は図中ライン4−1に沿って変形する。またVm
axボルトより駆動電圧を下降させると、同圧電体2は
ライン4−2に沿って変形する。
【0024】さて、この図3あるいは、上記図17から
もわかるように、圧電体2に印加する駆動電圧とその変
形量との関係には、直線的な比例関係がなく、また、駆
動電圧の上昇時と下降時とでは変形量の特性が異なる、
いわゆるヒステリシスが存在する。
【0025】しかし、このように圧電体2に印加する駆
動電圧とその変形量との関係には比例関係がなく、ま
た、ヒステリシスが存在する場合においても、圧電体2
が図3に示すような特性を有していることがわかってい
るので、このことを巧みに利用し、所望の変形量に対応
する駆動電圧を印加することで、この所望の変形量を得
ることが可能である。たとえば、予め、図4に示すよう
な複数の駆動電圧に対応する変形量のサンプル点(図中
白ぬき点)の情報を、記憶部5に記憶させておく。そし
て、前記CPU41がその情報を上記記憶部5から読み
だし、この情報を基に圧電体駆動電圧発生部3を制御す
ることにより、圧電体2の変形量を定めることができ
る。
【0026】このとき、記憶部5に記憶する情報は、C
PU41が圧電体駆動電圧発生部3に対して出力する信
号に直接相当するデータでもよく、上記CPU41内に
おいて所定の演算が必要な形での情報でも良い。また、
アンプ部32の出力とCPU41の出力信号との間に比
例関係が無い場合であっても、上記アンプ部32と上記
CPU41との出力成分が1対1に対応していれば問題
は生じない。
【0027】また、上記サンプル点の採取数をある程度
減らし、この間の情報は上記CPU41において補間す
るような方法も考えられる。この方法だと上記記憶部5
の記憶容量を節約することができ、より一層の省スペー
ス、低コスト化を図ることが可能である。
【0028】さて、上述した方法は、圧電体2の変形量
が単調に推移する場合(図5の領域a)については有効
な手だてであるが、圧電体2の変形量が最大状態から減
少する際、すなわち駆動電圧の下降時の途中で、あるい
は、圧電体2の変形量が最小状態から増加する際、すな
わち駆動電圧の上昇時の途中で、変形の方向を逆転させ
る場合(同図5の領域b,c)においては対処すること
が困難である。
【0029】このような、圧電体2の変形の方向を逆転
させる場合における制御方法を以下に説明する。
【0030】今、図6に示すように、時間t=t0のと
きの圧電体2の変形量を0、同様に時間t=t1でX
C、時間t=t2で再び0に戻る場合を考えてみる。こ
れは、時間t0から時間t1までの間では、圧電体2は
上記図3に示したようなライン4−1に沿って変形し
て、時間t1から時間t2までの間では、図6に示すよ
うなライン7−1に沿って変形した後、その変形量が0
に戻る場合である。
【0031】この場合、上記ライン7−1と、上記図3
あるいは図6に示すライン4ー2とは、推移方向はとも
に変形量が減少する方向であるが、この2つのラインは
異なった特性カーブを描く。したがって、上記ライン4
−2の情報をそのまま上記ライン7−1に適用すること
はできない。ところで、この2つのラインの特性カーブ
を比較してみると相似関係にあることが判る。そこで、
この関係を利用して、上記ライン4−2の特性とライン
7−1の特性とを近似させることができる。すなわち、
ライン4−2の駆動電圧軸をVc/Vmax倍、同ライ
ン4−2の変形量軸をXC/Xmax倍することによ
り、ライン4−2の特性をライン7−1のそれに近似で
きる。これにより、ライン4−2の情報をライン7−1
に適用することが可能となる。
【0032】たとえば、ライン7−1上の点Dをライン
4−2上の点D’に換算する場合を考えてみる。点D,
D’,C,Bでの変形量をそれぞれXD,X’D,X
C,Xmaxとすると、上記関係より、 X’D=XD・Xmax/XC これにより、変形量XDを変形量X’Dに換算し、ライ
ン4−2上の変形量X’Dに対応する駆動電圧V’Dを
上記記憶部5の情報から求めると、上記関係式よりVD
を求めることができる。
【0033】VD=V’D・VC/Vmax これにより、ライン7−1上での変形量と駆動電圧との
関係を知ることができる。尚、変形量が減少する方向の
駆動だけでなく、増大する場合においても同様な近似換
算が可能である。
【0034】図7は、圧電体2の変形方向をマイナス方
向から、プラス方向に転じさせる例を示したものであ
る。
【0035】時間t0(B点)のとき、変形量および駆
動電圧はそれぞれXmax、Vmaxとなっている。こ
れより、時間t1(E点)までは、ライン4−2に沿っ
て変形量、駆動電圧ともにマイナス方向に推移し、時間
t1で変形量はXE、駆動電圧はVEとなる。このE点
において変形量および駆動電圧はプラス方向に転じ、時
間t2(B点)に達するまで変形量及び駆動電圧はライ
ン8−1に沿って推移する。この例の場合においても、
図中ライン4−1とライン8−1の関係は、上記図6の
場合と同様に相似関係があることにより、その特性カー
ブを近似することができる。すなわち、ライン4−1の
駆動電圧軸と変形量軸とをそれぞれ (Vmax−VE)/Vmax+VE (Xmax−XE)/Xmax+XE 移動することで、ライン8−1を求めることができる。
これにより、ライン8−1上のある1点Fに対応するラ
イン4−1上の点F’における変形量X’Fは X’F=(XF−XE)・Xmax/(Xmax−XE) により換算可能であり、このX’Fに対応する駆動電圧
V’Fが求まれば、 VF=(Vmax−V’F)・(Vmax−VE)/Vmax によりVFを求めることができる。
【0036】これらの演算を行うことで、圧電体2の変
形量の推移が単調でない場合においても、前記記憶部5
の情報を使用して所望の変形量と駆動電圧の関係を知る
ことができる。また、この関係に基づいて駆動電圧を制
御することで上記圧電体2に任意の変形量を生じさせる
ことが可能となる。
【0037】図8は、上述の作用を行う際のCPU41
の動作を示す概略フローチャートである。
【0038】まず、ステップS81において、圧電体2
あるいは被駆動体6における所望の位置と、変形速度、
およびその駆動方向を設定する。次に、ステップS82
において、記憶部5に記憶されている、上記圧電体2あ
るいは被駆動体6の特性情報を読みだし、ステップS8
3において出力された上記情報データを実際に圧電体2
や被駆動体6を駆動できる形に補正する。この補正され
たデータに基づいて、ステップS84において高電圧源
1内の昇圧回路等を駆動させるとともに、ステップS8
5において圧電体駆動電圧発生部3等を駆動させ、これ
により圧電体2を駆動制御する。
【0039】さて、上述の例においては、便宜上、圧電
体2の負荷が無いものとして考察を進めてきたが、実際
には上記圧電体2には、たとえば、被駆動体6等の負荷
が存在する。
【0040】次に、被駆動体6が圧電体2の負荷となる
場合について、変形量と駆動電圧との関係について説明
する。
【0041】図9は、圧電体2と、被駆動体6の構成の
1例を示した正面図である。
【0042】固定部61は、カメラ等の機器内部にある
不動部材であり、この固定部61の一側方上に積層型の
圧電体2が載設されているとともに、この圧電体2が載
設されている近傍に、レバー62の支点を支える支持部
61aが突設している。そして、この支持部61aの上
部先端でレバー62の支点62cを揺動自在に支持して
いる。このレバー62は、図中矢印Mの方向に揺動自在
であって、その一腕端は、上記圧電体2の上面に、ま
た、他腕は後述する被駆動体6に、その端部を嵌入させ
ている。上記支点62cは、上記レバー62における長
手方向の中央より上記圧電体2側に設けられていて、こ
の支点62cより、圧電体2側に延びだした一腕の端部
までの距離を距離62a、被駆動体6までの距離を距離
62bとする。このレバー62と、圧電体2と被駆動体
6と、支持部61aとからなる拡大変位機構は、上記距
離62a,62bの比である変位拡大率A=62b/6
2aを有する。
【0043】一方、上記固定部61の他側方にはシリン
ダ部61bが形成されており、その内部には、上記被駆
動体6が図中矢印Nの方向に摺動可能に配設されてい
る。そして、この被駆動体6に上記レバー62の他腕端
が嵌入している。また、被駆動体6の上部には、図示し
ないがたとえば、カメラのシャッター等が上記被駆動体
6と連動するように連結されている。
【0044】さらに、上記被駆動体6は、その底面と上
記シリンダ部61bの底面との間に配設された付勢ばね
63により、力Fs(V)(以下、(V)はベクトルを
表す)で、平生は圧電体2側にレバー62の一腕端を押
しつけており、このレバー62の一腕端は圧電体2に圧
接している。
【0045】今、各ポイントでのロスが無く効率を10
0%として、圧電体2が力Fp(V)で伸びるとする。
このとき、被駆動体6には上記変位拡大機構により、 F(V)=Fp(V)×1/A の力が加わり、これにより上記被駆動体6は図中下方に
移動する。さて、この場合、被駆動体6は、慣性による
負荷Fi(V),摩擦による負荷Ff(V),付勢ばね
63による負荷Fs(V)を受ける。したがって、実際
に被駆動体6が移動するには、 F(V)+Fi(V)+Ff(V)+Fs(V)≠0 という条件が満たされるときである。
【0046】ここで、被駆動体6の移動により、負荷F
s(V)が変動しないように付勢ばね63の定数を定め
てあるとする。この場合、圧電体2の伸縮時には慣性負
荷Fi(V)と摩擦負荷Ff(V)の符号は変化する
が、ばね負荷Fs(V)の符号は変化しない。それぞれ
の負荷の絶対値を、Fi,Ff,Fsとすると、Fi
(V)+Ff(V)+Fs(V)は、圧電体2の伸長時
(この伸び方向時の力F(V)の方向をプラス方向とす
る)は、 −(Fi+Ff+Fs) 圧電体2の縮少時、 −(−Fi−Ff+Fs) となる。
【0047】図10は、圧電体2に最大駆動電圧を印加
したときの負荷F(V)と変形量Xの関係を示す線図で
ある。
【0048】今、圧電体2の上面に上記レバー62の一
腕端を確実に圧接させるため、
【0049】
【数1】
【0050】となるように負荷を設定する。すると、図
中点αと点βで示すように、圧電体2が伸びる方向での
負荷(Fα)と縮む方向での負荷(Fβ)とが異なるこ
とから、最大駆動電圧を印加している場合でも圧電体2
の変形量が異なることになる。圧電体2を伸びる方向に
変形させた後、縮む方向に変形駆動させる場合は、圧電
体2への印加電圧を下げることになるため、実質的に縮
む方向での変形量が伸びる方向での最大変形量X’ma
xを越えることはない。また、圧電体2は上述の通りレ
バー62の一腕端により圧接されているため、駆動初期
時の変形量はマイナス変位X0となる。
【0051】ここで、駆動電圧を0ボルトから最大駆動
電圧Vmaxまで上昇させ、この後、再び0ボルトまで
戻す場合を考える。
【0052】図11に示すように、圧電体2に対して、
時間t0〜t9までの間に駆動電圧が0,V1,V2,
V3,Vmax,V3,V2,V1,V4,0と推移す
るように印加する。このとき、圧電体2の負荷が無いと
仮定するとその変形量は、時間t0,t1,t2,t
4,t5,t8,t9に対して、図12に示すように、
0,X1,X2,Xmax,X3,X1,0と推移す
る。
【0053】また、圧電体2に負荷が存在する場合、先
の時間と対応する変形量は、上記図10に示すように、
ア(X0),イ(X0),ウ(0),エ(X’ma
x),オ(X’max),カ(0),ア(X0)と推移
する。
【0054】図13は上述した考察により得られる、圧
電体2に負荷が存在するときの変形量Xと駆動電圧Vの
関係を示したものである。
【0055】この特性は、圧電体2に上記図11に示し
たような駆動電圧Vを、同図に示したような推移時間t
で印加したときの変形量Xと駆動電圧Vの関係を示した
もので、図中の符号ア,イ,ウ,エ,オ,カは、上記図
10に準じるものである。尚、次の表1にこれらの関係
をまとめて示す。
【0056】
【表1】
【0057】この図13の情報を上記記憶部5に記憶さ
せておき、上記所定のタイミングでCPU41がこの情
報に基づいて、圧電体2に対して所望の変形量に対応す
る駆動電圧を印加させることで、被駆動体6や、圧電体
2自身の変形量を制御することが可能となる。
【0058】ところで、圧電体2や被駆動体6の変形量
の情報については、圧電体2が製造された時点で、その
特性を記憶部5に記憶させてもよく、また、所定の時間
において上記圧電体2や被駆動体6の変形量を図示しな
い検出手段で測定し、そのデータを記憶部5に記憶させ
てもよい。この場合、記憶部5は前述の通り、書き込み
自在の不揮発性の記憶装置、例えばEEP−ROM等で
構成すれば、データの書き込みを随時行うことが可能で
ある。また、記憶部5に用いる記憶素子としては、上記
EEP−ROMに限られたものではなく、たとえば、R
AM等の記憶素子を内蔵電源により常時作動させる方法
もある。
【0059】尚、被駆動体6、あるいは、圧電体2の変
形量をモニタするための変位量検出手段を設け、圧電体
駆動電圧制御部4でモニタするために本発明を利用する
場合には、この変位量検出手段の出力を駆動時にCPU
41の出力に対応させ、その値を記憶部5に記憶させた
後、上記CPU41の内部において補間処理を施すこと
により、たとえ上記変位量検出手段の分解能が低い場合
においても、圧電体2を精度よく制御することが可能と
なる。
【0060】さらに、記憶部5に記憶されている情報に
ついて、粗い分解能の上記検出手段の信号であっても、
上述のように補正を加えることにより、温度係数や姿勢
差および経年変化等により変化した同情報と初期状態と
のずれを補正することにより、圧電体2の駆動制御の精
度を向上することも可能である。
【0061】図14は、本発明の第2実施例を示す圧電
体駆動制御装置の構成ブロック図である。
【0062】この第2実施例が上記第1実施例と相違し
ている点は、圧電体駆動電圧発生部3の構成にある。本
実施例においては、上記圧電体駆動電圧発生部3が、圧
電体駆動電圧制御部4の制御により圧電体2に注入する
定電流を制御する定電流注入部33と、同じく、上記制
御部4の制御により圧電体2から放出する定電流を制御
する定電流放出部34とで構成されていることである。
これら定電流注入部33と定電流放出部34とはそれぞ
れ、上記圧電体駆動電圧制御部4のデューティ駆動等の
制御を受け、圧電体2の電流量を制御することにより、
この圧電体2の変形量と駆動電圧とを制御するものであ
る。
【0063】ところで、圧電体は、電気的にはコンデン
サと等価である。今、圧電体2のキャパシタンスをCP
とすると、このキャパシタンスCPは、形状や大きさの
違いはあるものの、たとえば、数mm角の積層型圧電ア
クチュエータでは、1μF程度の容量を持つ。
【0064】ここで、図15に示すように圧電体にiア
ンペアの定電流を流す場合を考える。圧電体2に蓄積さ
れる電荷量をQP、また、圧電体2の両端に印加されて
いる電圧をVPとすると、 QP=CP・VP QP=integral idt より、 i=CP・(dVP/dt) ゆえに、 (dVP/dt)=i/CP あるいは、 VP=(i・t/CP)+VP0 (VP0は、VPの
初期値) と表すことができる。
【0065】すなわち、定電流iとこの電流iを流す時
間とを制御することで、駆動電圧VPとその変化率(d
VP/dt)を制御することが可能となる。
【0066】次に、圧電体2の単位変形量あたりの駆動
電圧の変化率(dV/dX)を考える。
【0067】圧電体2の変形速度を(dX/dt)、こ
の変形速度でデルタt秒間駆動したときの上記圧電体2
の変形量をデルタX、そのときの駆動電圧の変化量をデ
ルタVとすると、 (デルタV/デルタX)=デルタV/((dX/dt)・デルタt) ゆえに、 (デルタV/デルタt)=(dV/dt)・(デルタV/デルタX) ゆえに、 (dV/dt)=(dX/dt)・(dV/dX) また、(dV/dX)はXの関数になるが、
【0068】
【数2】
【0069】であり、Xは(dV/dt)と時間tの関
数である。
【0070】つまり、時間tと、圧電体に発生させる変
形速度(dX/dt)を定めれば、そのときの駆動電圧
の変化速度(dV/dt)を定めることが可能になる。
【0071】次に、本実施例の作用を説明する図16
(a)は、圧電体2の変形量Xと駆動電圧Vとの関係
を、また、同図16(b)は、圧電体2の変形量Xと、
単位変形量当たりの駆動電圧の変化率(dV/dX)と
の関係をそれぞれ示したものである。
【0072】まず、この圧電体2の変形量Xと駆動電圧
Vとの関係、あるいは、同圧電体2の変形量Xと、単位
変形量当たりの駆動電圧の変化率(dV/dX)との関
係を予め記憶部5に記憶させておく。そして、所望す
る、圧電体2の変形速度(dX/dt)と、同圧電体2
の駆動時間tとを設定し、この2つの設定項目より変形
量Xを上記関係式より X=(dX/dt)・t として求める。
【0073】次に、この求めた変形量Xを、上記記憶部
5に記憶している上記情報に照らし合わせて、単位変形
量当たりの駆動電圧の変化率(dV/dX)を求めた
後、この変化率(dV/dX)を上記の関係式を用いて
演算し、駆動電圧の変化速度(dV/dt)を求める。
【0074】そして、この駆動電圧の変化速度(dV/
dt)に基づいて、上記定電流注入部33と定電流放出
部34とを作用させ、圧電体2に流す電流を制御するこ
とにより、この圧電体2に所望の変形量と変形速度とを
もたらすことが可能となる。
【0075】尚、本実施例においては、圧電体2の変形
方向は正逆いづれの場合でも、また、上記圧電体2に前
記被駆動体6等の負荷が連結している場合においても、
上記と同様の作用・効果が得られる。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように本発明の圧電体駆動
制御装置を採用することにより、圧電体の変形量および
変形速度を検出せずとも、これらを制御することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念を示した構成ブロック図。
【図2】本発明の第1実施例を示す圧電体駆動制御装置
の構成ブロック図。
【図3】無負荷状態のおける圧電体の変形量Xと駆動電
圧Vとの関係を示す線図。
【図4】駆動電圧に対する変形量のサンプル点のとり方
の一例を示す線図。
【図5】圧電体の変形量の推移を示す線図。
【図6】圧電体の変形方向を逆転させた場合の制御方法
の一例を説明するための線図。
【図7】圧電体の変形方向を逆転させた場合の制御方法
の他の例を説明するための線図。
【図8】本発明の上記実施例における、圧電体2を制御
する際のCPU41による動作を示す概略フローチャー
ト。
【図9】圧電体2と被駆動体6を連結する変位拡大機構
の構成の一例を示す正面図。
【図10】圧電体2に最大駆動電圧を印加したときの負
荷F(V)と変形量Xの関係を示す線図。
【図11】駆動電圧を0〜最大駆動電圧まで上昇させた
後、元に戻す場合の時間と駆動電圧との推移を示す線
図。
【図12】上記図11において無負荷の場合の駆動電圧
と変形量の関係を示す線図。
【図13】上記図11において負荷がある場合の駆動電
圧と変形量の関係を示す線図。
【図14】本発明の第2実施例を示す圧電体駆動制御装
置の構成ブロック図。
【図15】圧電体に定電流を流した場合のキャパシタン
スと電荷量との関係を説明するための線図。
【図16】圧電体の変形量と駆動電圧の関係、圧電体の
変形量と単位変形量当たりの駆動電圧の変化率の関係を
それぞれ示す線図。
【図17】一般的な、電歪効果を用いたスタック型(積
層型)の圧電アクチュエータの変形量−駆動電圧特性
図。
【符号の説明】
1…高電圧源 2…圧電体 3…圧電体駆動電圧発生部 4…圧電体駆動電圧制御部 5…記憶部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/08 G03B 9/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電体と、 この圧電体の駆動用電圧源と、 この駆動用電圧源の出力電圧と上記圧電体の変形量との
    対応情報を記憶した記憶手段と、上記駆動用電圧源の現在の出力電圧状態と上記記憶手段
    の上記対応情報を基に、上記駆動用電圧源の出力電圧状
    態と上記圧電体の変形量との関係情報を新たに算出し、
    この算出情報に応じて 上記駆動用電圧源の出力電圧を制
    御する制御手段と、 を具備したことを特徴とする圧電体駆動制御装置。
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