以下、本発明の一実施形態に係る靴底の付着物除去装置(以下、単に除去装置という)について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る除去装置は、人が靴を履いたままで靴底に付着した付着物を除去するものである。該除去装置は、図1及び図2に示す如く、基部100の上面に靴底に接触させる可撓性を有する除去手段101(101a…,101b…)が設けられ、それぞれが近接して並列的に配置された複数の付着物除去体10…と、除去手段101を横方向に移動させるべく、付着物除去体10…の並ぶ方向と交差方向に付着物除去体10…を回転動作又は往復動作(本実施形態においては往復動作)させる駆動装置20と、靴底に除去手段101が接触するように該靴底を支持する靴受体30とを備えている。さらに、本実施形態に係る除去装置1は、上部が開放して形成され、付着物の除去に併せて靴底を洗浄するための洗浄液Wを貯留する液槽40をさらに備えている。
複数の付着物除去体10…は、それぞれ一方向が長手となるように略真っ直ぐに延びるように形成され、長手方向と直交する短手方向で並列に配置されている。複数の付着物除去体10…は、少なくとも除去手段101の一部が洗浄液Wに浸漬されるように前記液槽40内に配置されている。
付着物除去体10…についてより具体的に説明すると、各付着物除去体10…は、図3(a)及び図3(b)に示す如く、前記基部100が帯板状に形成されており、その基部100の一方の面(上面)に除去手段101が設けられている。
本実施形態に係る基部100は、平面視帯板状に形成されており、長手方向の長さが一組の靴を並列に配置できる長さに設定され、長手方向と直交する短手方向の長さ(幅)が靴のサイズ(縦の長さ)方向の一部(例えば、靴のサイズ方向において靴底の1/5〜1/10の領域)を載置できる長さに設定されている。なお、靴には種々のサイズがあるため、例えば、付着物の除去の対象となる最小サイズの靴を基準に基部100(付着物除去体10…)の幅を設定すればよい。
本実施形態に係る基部100は、帯板状をなす二枚のベース板100a,100bを積層することにより形成されている。すなわち、該基部100は、上面に除去手段101(101a…,101b…)が設けられた帯板状の第一ベース板100aと、該第一ベース板100aの下面側に積層された帯板状の第二ベース板100bとで構成されている。
前記第一ベース板100aは、樹脂成形されたもので、厚み方向に可撓性を有している。これに対し、第二ベース板100bは、第一ベース板100aと別体に構成されており、長手方向及び短手方向を第一ベース板100aの長手方向及び短手方向に一致させた状態で、該第一ベース板100aの下面に固定されている。本実施形態に係る第二ベース板100bは、第一ベース板100aに対してビスB止めすることで固定されている。なお、本実施形態に係る第一ベース板100aは、厚みが第二ベース板100bを固定するビスBの長さよりも薄く形成されているため、ビスBの取り付け位置と対応する部位には上方に向けて部分的に突出した突出部102…が形成されており、下面側から螺入されるビスBが貫通するのを防止するようになっている。なお、該突出部102…は、第一ベース板100aの上面からの突出量が前記除去手段101(101a…,101b…)の上下方向の長さより小さく設定されている。
第二ベース板100bは、金属板や、木板、樹脂板等で構成することができる。該第二ベース板100bは、第一ベース板100a及び後述する支持板103の撓み(弾性変形)に追従できるように、厚み方向に可撓性を有することが好ましいため、本実施形態において金属板又は樹脂板で構成される。このように、本実施形態に係る基部100は、可撓性を有する第一ベース板100aと第二ベース板100bとを積層することで、厚み方向において全体的に可撓性を有して構成されている。そして、該第二ベース板100bは、長手方向の長さが第一ベース板100aの長手方向の長さよりも長く設定されており、第一ベース板100aに固定された状態で、両端部が第一ベース板100aの長手方向の両端から外側に延出するようになっている。これにより、第二ベース板100bは、該基部100を支持板103に固定するための後述する固定部材104(爪部104c)を長手方向の両端部に係止可能に構成されている(図4、図5(a)及び図5(b)参照)。
前記除去手段101は、基部100の上面から上方に向けて延出し、上方向から作用する力や横方向から作用する力に対して可撓性を有している。該除去手段101は、一般的なブラシに植毛される植物から得られる繊維、動物の毛、合成樹脂からなる繊維、針金等の線材等の線状に形成されたものや、全体的に変形するスポンジ、上方向からの力や横方向に力の作用で弾性変形可能に上下方向に延びるように所定形状に樹脂成形されたもの等を採用することができる。本実施形態に係る除去手段101は、第一ベース板100aと一体的に樹脂成形されており、第一ベース板100aの上面から上方に向けて螺旋状に延びる多数の螺旋体101a…と、第一ベース板100aの上面から上方に向けて略真っ直ぐに延び、上端側に向けて先細りした多数の直線体101b…とで構成されている。前記螺旋体101a…及び直線体101b…は、略規則性を有する配置で基部100の上面に立設されている。すなわち、本実施形態においては、複数本の螺旋体101aを集合させた群と、平面視円環状となるように複数本の直線体101b…を配置した群とが基部100上に複数整列して配置されている。
本実施形態に係る付着物除去体10…は、図4、図5(a)及び図5(b)に示す如く、第二ベース板100bよりも長尺に形成された帯板状の支持板103に取り付けられている。該支持板103は、バネ鋼で構成されており、厚み方向に弾性変形可能に構成されている。本実施形態に係る付着物除去体10…は、支持板103の長手方向と付着物除去体10…の長手方向とを一致させた状態で、上述の如く、第二ベース板100bの長手方向の両端部が固定部材104によって係止されることで、脱落が防止された状態で支持板103に固定される。前記固定部材104は、図4に示す如く、支持板103の上面に配置される板状の載置部104aと、載置部104aの一端から交差する方向に延出する起立部104bと、該起立部104bの先端から載置部104aとは反対側に延出した爪部104cとを備えている。該固定部材104は、前記載置部104aが支持板103にネジ止めによって固定され、支持板103上の第二ベース板100bの端部を爪部104cで押さえることにより、付着物除去体10…を支持板103に固定できるようになっている。また、該固定部材104は、支持板103にネジ止めによって固定されているため、支持板103に対して着脱可能である。これにより、固定部材104を着脱することで付着物除去体10…(例えば、除去手段101(101a…,101b…)を交換できるようになっている。
該支持板103は、図2、図4、図5(a)及び図5(b)に示す如く、長手方向の一端部が駆動装置20(後述するアーム203)に連結されており、駆動装置20の駆動を受けて長手方向に往復移動するように設けられている。該支持板103は、長手方向の両端側で支持されており、その支持点間で弾性変形できるようになっている。すなわち、支持板103は、付着物除去体10…の存在しない両端側が一対の支持手段105,106によって支持されている。
一対の支持手段105,106のそれぞれは、支持板103を両面から挟み込む一対のローラ105a,105b,106a,106bで構成されている。該一対のローラ105a,105b,106a,106bは、支持板103(付着物除去体10…)の移動方向と直交する回転軸心周りで回転自在に設けられており、支持板103の長手方向の移動を許容している。本実施形態において、各ローラ105a,105b,106a,106bは、付着物除去体10…を介在させて対向する後述の支持プレート300に貫通した軸107a,107b,108a,108bに対して回転自在に設けられている。
一対の支持手段105,106は、付着物除去体10…(支持板103)毎に設けられている。複数対の支持手段105,106は、付着物除去体10…の配置に対応して並列に配置されており、該並列方向で隣り合う支持手段105,106のローラ105a,105b,106a,106b同士が同心になるように設けられている。本実施形態において、付着物除去体10…(支持板103)毎に設けられた複数対の支持手段105,106…は、複数の支持プレート300…に対して直交方向に貫通して設けられた共通の軸体107a,107b,108a,108bに対し、各支持プレート間でローラ105a,105b,106a,106bを回転自在に取り付けることにより構成されている(図2参照)。
本実施形態において、各付着物除去体10…が長手方向と直交する短手方向に並列に配置されているため、駆動装置20は、各付着物除去体10…を長手方向に往復動作させるように構成されている。そして、各付着物除去体10…が支持板103に固定されるため、駆動装置20は、支持板103を介して付着物除去体10…を動作(移動)させるようになっている。
本実施形態に係る駆動装置20は、図1及び図2に示す如く、隣り合う付着物除去体10…の動作方向が反対方向になるように各付着物除去体10…を動作(移動)させるように構成されている。すなわち、該駆動装置20は、一つおきに配置される付着物除去体10…の群(並列の配置された付着物除去体10…を端から順番に番号を付したときに奇数番号又は偶数番号の何れか一方となる付着物除去体10…の群)と、残りの付着物除去体10…の群(並列の配置された付着物除去体10…を端から順番に番号を付したときに奇数番号又は偶数番号の何れか他方となる付着物除去体10…の群)の動作方向が反対方向になるように構成されている。
かかる駆動装置20の構成について具体的に説明すると、本実施形態に係る駆動装置20は、図2、図4、図5(a)及び図5(b)に示す如く、駆動モータ200と、該駆動モータ200の出力である連続した回転動作を往復動作に変換するリンク機構201と、該リンク機構201の出力(往復動作)に従って往復動作するレバー202と、該レバー202の先端部と支持板103の長手方向の一端部を連結し、レバー202の往復動作を支持板103に伝達するアーム203とを備えている。
前記駆動モータ200は、出力回転数を減速するための減速機を備えた減速機付きモータが採用されている。なお、駆動モータ200は、電動のものやエアー駆動のものを採用することができるが、本実施形態においては一般的な電動のものが採用されている。そして、駆動モータ200は、出力軸204の軸心が付着物除去体10…の長手方向と直交するように液槽40の外側に設けられている。本実施形態に係る駆動モータ200は、液槽40の起立した壁部400の外面に固定されている。
前記リンク機構201は、図2及び図4に示す如く、駆動モータ200の出力軸204の軸心に対して偏心した軸線周りで回転可能に一端部が前記出力軸204に枢結された第一リンク201aと、前記出力軸204と略平行な軸線周りで回転可能に一端部が第一リンク201aの他端部に枢結されるとともに、他端部が駆動モータ200の出力軸204と略平行に配設された軸体205に固定された第二リンク201bとで構成されている。
これにより、該リンク機構201は、出力軸204の回転中心周りで第一リンク201aの一端部が回転することで、該第一リンク201aの他端部に枢結された第二リンク201bの一端部を押し引きして、第二リンク201bの他端部の連結された前記軸体205を軸線周りで往復動させるようになっている。なお、本実施形態において、前記軸体205は、液槽40内で並列に配置された各付着物除去体10…の長手方向の一端と対向するように、付着物除去体10…の並列方向に延びており、液槽40に固定されたブラケット(採番しない)によって回転自在に軸支されている。
前記レバー202…は、図2に示す如く、付着物除去体10…毎に設けられている。すなわち、レバー202…は、各付着物除去体10…の配置に対応するように軸体205の軸線方向に間隔をあけて複数設けられている。各レバー202…は、前記軸体205に長手方向の一端(基端)側が固定され、該軸体205の軸心と直交方向に延出している。
各レバー202…は、図5(a)及び図5(b)に示す如く、軸体205の軸心方向で隣り合うレバー202…に対し、軸体205を基準に反対向きに延出するように設けられている。すなわち、複数のレバー202…は、隣り合うレバー202…に対してアーム203…の連結される先端部が軸体205周りで180°ずれた位置になるように設けられている。これにより、本実施形態に係る駆動装置20は、軸体205から上方側に延出するレバー202…と、軸体205から下方側に延出するレバー202…とを軸体205の軸心方向において交互に備えている。
各レバー202…は、前記軸体205に基端側が固定されているため、リンク機構201の作動によって軸体205が往復動することで、追従して軸体205の軸心周りで往復動するようになっている。そして、本実施形態に係る駆動装置20は、軸体205から上方側に延出するレバー202…と、軸体205から下方側に延出するレバー202…とを備えるため、軸体205の軸線上を通る仮想の基準面(図示しない)を境にして、上側のレバー202…の先端部が基準面の一方側に位置するときに下側のレバー202…の先端部が基準面の他方側に位置する一方、上側のレバー202…の先端部が基準面の他方側に位置するときに下側のレバー202…の先端部が基準面の一方側に位置するようになっている。
前記アーム203…は、一端部がレバー202…の先端部に回転自在に連結されている。該アーム203…は、他端部に支持板103を連結する連結部206を備えており、該連結部206に対して支持板103の一端部をネジ止めすることで該支持板103と連結できるようになっている。
上記構成の駆動装置20は、図2、図4、図5(a)及び図5(b)に示す如く、リンク機構201を介して駆動モータ200の出力を受けて往復動するレバー202…にアーム203…が押し引きされることにより、該アーム203…に連結した支持板103を長手方向に往復動作させ、これに取り付けられた付着物除去体10…も長手方向に往復動させるようになっている。そして、上述の如く、本実施形態に係る駆動装置20は、軸体205から上方側に延出するレバー202…と、軸体205から下方側に延出するレバー202…とが軸体205の軸心方向において交互に設けられているため、アーム203…を介してレバー202…に連結された支持板103(付着物除去体10…)は、隣接する支持板103に対して逆の位相となるように(逆方向に移動して)往復動作させるようになっている。
前記靴受体30は、図1及び図2に示す如く、複数の付着物除去体10…間に起立して設けられた複数の支持プレート300…で構成され、各支持プレート300…が上端で靴底の全面を所定間隔で支持するように構成されている。本実施形態においては、図6に示す如く、帯板状をなす一対の対向部301a,301aと、該対向部301a,301aの短手方向の一端同士を接続する帯板状の接続部301bとを備えて断面コの字状をなすレール301…を所定間隔をあけて複数並設することで、各対向部301a,301aが支持プレート300…となるように構成されている。すなわち、各レール301…は、一対の対向部301a,301aの間隔が長手方向を一致させた付着物除去体10…を介装できる間隔に設定されており、該レール301…を付着物除去体10…の介装できる間隔をあけて複数並列に配置することにより、一対の対向部301a,301a間と隣接するレール301…の対向部301a,301a間とに付着物除去体10…が介装されるようになっている。本実施形態において、各支持プレート300…(対向部301a,301a)は、介装された付着物除去体10…の短手方向の両側面(起立面)を該付着物除去体10…を長手方向(動作方向)に案内するようになっている。
本実施形態において、前記付着物除去体10…は、除去手段101(101a…,101b…)の少なくとも一部(先端を除く部分)が液槽40内の洗浄液Wに浸漬されているため、靴受体30は、洗浄液Wの液面よりも上側で靴底を支持するように構成されている。
そして、前記複数のレール301…は、所定の間隔をあけた状態で維持できるように共通の支持材302によって連結されている。すなわち、支持材302は、複数のレール301…(支持プレート300…)に対して交差するように配置されており、各レール301…の接続部301b(支持プレート300…の下端側)が連結されている。これにより、複数のレール301…及び支持材302が一体となってフレーム体303を構成している。本実施形態に係る複数のレール301…(フレーム体303)は、図2に示す如く、長手方向の一端側が前記軸体205に対して回転可能に連結されている。これにより、該除去装置1は、液槽40内を清掃したりメンテナンスをしたりする場合に、複数の支持プレート300…及び付着物除去体10…を軸体205周りで回転させて他端側を持ち上げることができるようになっている。
そして、当該除去装置1が作動中に前記フレーム体303が不用意に移動(上下方向に移動)することのないように、レール301…の長手方向の他端側を固定するためのフレーム体固定手段304が設けられている。該フレーム体固定手段304は、支持材302を液槽40の底に固定した状態と、その固定した状態を解除した状態とに切り換え可能に構成されている。また、本実施形態に係る除去装置1は、複数のレール301…と支持材302とで構成されるフレーム体303の他端側を持ち上げることができるようになっているため、フレーム体303を持ち上げた状態でその姿勢で維持させる姿勢維持手段305が設けられている。
前記液槽40は、浅底に形成されており、洗浄液Wを貯留する容器と機能する他に、上述の如く、前記軸体205や駆動モータ200を固定するフレームとしても機能する。
そして、該液槽40の起立した壁部400には、洗浄液Wを供給する給液口(図示しない)が形成されるとともに、槽内の洗浄液Wの液位を所定の液位に保つべく槽内に過剰に供給された液体(水)をオーバーフローさせる排液口401が設けられている(図5参照)。
そして、本実施形態に係る除去装置1は、図1及び図2に示す如く、靴の付着物を除去する者が液槽40内に填ることのないように液槽40の上部にカバー405が設けられている。該カバー405は、複数の付着物除去体10…の配置された領域を除き、液槽40の上部開口を覆うようになっている。すなわち、該カバー405は、液槽40の上部開口を覆った状態で、複数の付着物除去体10…と対応することになる領域に開口406が形成されており、該開口406を介して付着物除去体10…及び支持プレート300…のみが露呈するようになっている。
次に、上記構成の除去装置1の作動について説明する。まず、予め液槽40内に洗浄液Wを所定の液位まで供給しておく。そして、靴底が靴受体30によって複数箇所で支持されるように靴の付着物を除去する者が靴受体30上に載った状態で、駆動モータ200の電源をONにする。なお、駆動モータ200の電源のON/OFFは、別途設けられたスイッチ(例えば、液槽40の外面に設けられたスイッチや、駆動モータ200に電気的に接続されて電力供給ケーブルに取り付けられたスイッチ等)の切り換えによって行われる。
そして、靴受体30の上に載ったときに、除去手段101(101a…,101b…)に過度の荷重が作用した場合、各付着物除去体10…が下方に押されることになるが、本実施形態に係る除去装置1は、付着物除去体10…が両端支持された支持板103に取り付けているため、該支持板103の弾性変形によって過度に作用する荷重が吸収される。これに伴って、支持板103の弾性力の作用で付着物除去体10…(除去手段101(101a…,101b…))が略一定の力(支持板103の定数に対応する力)で靴底に押し付けられた状態となる。
そして、駆動モータ200が作動すると、リンク機構201によって駆動モータ200の回転出力が往復動作に変換され、軸体205に取り付けられた各レバー202…が該軸体205の軸心周りで往復動することになる。なお、各レバー202…は、回転自在に設けられた軸体205に連結されているため、アーム203…が枢結された先端部が軸体205を中心にして円弧状の軌跡をとるように移動するとともに、レバー202…に枢結されたアーム203…もレバー202…に対する枢結支点周りで傾動(姿勢変更)しつつ支持板103を押し引きするが、本実施形態に係る支持板103は、変形することでアーム203…の姿勢変更を吸収しつつ長手方向に往復動作することになる。
そうすると、支持板103の往復動作に対応して各付着物除去体10…も長手方向に往復動作し、靴底に接触した多数の除去手段101(101a…,101b…)によって付着物が掻き落とされることになる。そして、本実施形態においては、除去手段101(101a…,101b…)が洗浄液Wに浸漬されているため、該除去手段101(101a…,101b…)に付着した洗浄液Wで靴底が洗浄されることになる。
本実施形態においては、上述の如く、レバー202…の延出方向が上向きと下向きとに交互に設定されているため、複数の付着物除去体10…は、隣り合う付着物除去体10…に対して反対方向に移動して往復移動する。これにより、靴受体30上の靴(人)が多数の除去手段101(101a…,101b…)(付着物除去体10…)によって一方向に引っ張られることがなく、靴を履いた人は靴受体30上で安定して起立することができる。すなわち、複数の付着物除去体10…のうち、一つおきに配置された付着物除去体10…の群と、残りの付着物除去体10…の群とが反対方向に移動することで、靴受体30上の靴底に接触した除去手段101(101a…,101b…)による引っ張り作用が相殺されるため、靴全体が一方向に引っ張られることがなく、靴受体30上で安定して起立することができる。
そして、靴底の付着物の除去及び洗浄が繰り返され、液槽40内に掻き落とされた付着物が堆積した場合には、前記カバー405を取り外した後に、複数の支持プレート300…(フレーム体303)を持ち上げた上で、液槽40の底に沈殿した沈殿物を除去する。このとき、液槽40内の沈殿物を直接取り除いてもよいし、液槽40内に水等の洗浄液Wを供給して所定の液位よりもオーバーフローさせることで沈殿物を排出してもよい。なお、上述の如く、複数の支持プレート300…を軸体205周りで回転させて持ち上げる場合、アーム203…に対してフレーム体303(付着物除去帯10…やレール301…)が傾斜するように姿勢変更することになるが、該アーム203…には弾性変形可能な支持板103が連結されているため、上述のような姿勢変更は、支持板103が弾性変形することでアーム203…と付着物除去体10…との連結状態を維持させることができる。
そして、清掃作業が完了すると、フレーム体303(レール301…)を下降させることで各付着物除去体10…、及び支持プレート300…が元の適正な配置に戻ることになる。そして、フレーム体303をフレーム体固定手段304で固定した後、カバー405で液槽40の上部開口を覆うことで靴底の付着物の除去を再開できる状態となる。
以上のように、本実施形態に係る除去装置1は、複数の付着物除去体10…のそれぞれが近接して並列的に配置されるとともに、靴底に付着物除去体10…の除去手段101(101a…,101b…)が接触するように、靴受体30が靴底の全面に対して所定間隔で支持するように構成されているため、靴受体30の上に靴を載せると、靴底に多数の除去手段101(101a…,101b…)が接した状態にすることができ、駆動装置20が前記付着物除去体10…を往復移動させることで、靴底に付着した付着物を除去手段101(101a…,101b…)で効率的に掻き落すことができる。そして、上記構成の除去装置1は、駆動装置20が隣接する付着物除去体10…同士を反対方向に移動させるように構成されているため、上述の如く、除去手段101(101a…,101b…)が靴底の付着物を掻き落とす際に、靴受体30上の靴(人)が多数の除去手段101(101a…,101b…)(付着物除去体10…)によって一方向に引っ張られることがなく、靴を履いた人は靴受体30上で安定して起立することができる。
さらに、前記靴受体30は、複数の付着物除去体10…間に起立して設けられた複数の支持プレート300…で構成され、各支持プレート300…が上端で靴底を支持するように構成されているので、靴底の全面に対して所定間隔で支持することができる上に、各支持プレート300…間に付着物除去体10…が位置するため、複数の支持プレート300…に支持された靴底に対して除去手段101(101a…,101b…)を効率的に接触させることができ、付着物を効率的に除去することができる。
そして、前記複数の支持プレート300…は、隣接する付着物除去体10…を移動方向に案内するように構成されているので、複数の付着物除去体10…を規定方向に確実に移動させることができる。
また、前記複数の付着物除去体10…は、それぞれ一方向が長手となるように略真っ直ぐに延びるように形成されるとともに、長手方向と直交する短手方向で並列に配置され、前記駆動装置20は、各付着物除去体10…を長手方向に往復移動させるように構成されているので、単純な動作でありながらも靴底の付着物を確実に除去することができる。従って、複数の付着物除去体10…を移動させる駆動装置20の構造も簡素化することができる。
そして、各付着物除去体10…は、基部100が可撓性を有するとともに、付着物除去体10…と同方向に延びる弾性変形可能な支持板103に前記基部100が固定され、該支持板103は、長手方向に移動可能に両端側が支持され、前記駆動装置20は、支持板103を介して付着物除去体10…を移動させるように構成されているので、靴底に対する除去手段101(101a…,101b…)の接触を適正な状態で維持させることができ、付着物の除去状態の均一化を図ることができる。
さらに、洗浄液Wを貯留される上部が開放した液槽40をさらに備え、前記複数の付着物除去体10…は、少なくとも除去手段101(101a…,101b…)の一部が洗浄液Wに浸漬されるように配置され、前記靴受体30は、洗浄液Wの液面よりも上側で靴底を支持するように構成されているので、除去手段101(101a…,101b…)による付着物の掻き落としに加え、除去手段101(101a…,101b…)に付着した洗浄液Wによって靴底を洗浄することができる。
尚、本発明の靴底の付着物除去装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、洗浄液Wを貯留する浅底な液槽40を設け、該液槽40に除去手段101(101a…,101b…)を浸漬させることで、靴底を洗浄できるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、洗浄液Wに除去手段101(101a…,101b…)を浸漬させない構成であってもよい。このようにしても、除去手段101(101a…,101b…)が靴底に付着した付着物を掻き落として除去することができる。なお、洗浄液Wに除去手段101(101a…,101b…)を浸漬させない構成とする場合であっても、駆動装置20や支持プレート300…、軸体205等を支持するためのフレームが必要であるため、上記液槽40と同様の構成をフレームとして採用したり、駆動装置20や支持プレート300…、各種軸を支持可能なフレームを設けたりすることは勿論のことである。
上記実施形態において、一対の支持手段105,106(ローラ105a,105b,106a,106b対)で両端が支持された帯板状の支持板103に付着物除去体10…を固定し、支持手段105,106間にある支持板103の弾性変形によって除去手段101(101a…,101b…)(付着物除去体10…)に作用した過度な荷重を吸収させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示す如く、上記実施形態と同様に洗浄液Wを貯留する上面が開放した液槽40を設け、複数の付着物除去体10…のそれぞれに対し、除去手段101(101a…,101b…)よりも下方側に前記洗浄液Wよりも比重の小さい浮体500を設けるとともに、少なくとも除去手段101(101a…,101b…)の一部を洗浄液Wに浸漬させるように各付着物除去体10…を配置するようにしてもよい。この場合、各付着物除去体10…を固定した支持板103又は付着物除去体10…の基部100に対して駆動装置20を作動的に接続すればよい。なお、付着物除去体10…を支持板103に固定する場合、該支持板103の両端側を支持する必要はない。このようにすれば、各付着物除去体10…は、常態において浮体500の浮力によって洗浄液W上に浮いた状態になる。そして、靴受体30上の靴底に除去手段101(101a…,101b…)が過度に押されると、付着物除去体10…が浮体500の浮力に抗して沈み込み、その浮体500の浮力によって除去手段101(101a…,101b…)が靴底に押し付けられることになる。これにより、靴底に対する除去手段101(101a…,101b…)の接触を適正な状態で維持させることができ、付着物の除去状態の均一化を図ることができる。
上記実施形態において、複数の付着物除去体10…のそれぞれを真っ直ぐに延びるように形成し、これらを並列に配置して長手方向に往復動作させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示す如く、複数の付着物除去体10’…のそれぞれを外径及び内径の異なった平面視円環状に形成し、これらを径方向に並列的に配置し、駆動装置は、隣り合う付着物除去体10’…の回転動作(回転方向)が反対方向になるように付着物除去体10’…を回転動作又は回転往復動作させるように構成されてもよい。すなわち、複数の付着物除去体10’…を径の異なる円環状に形成し、大径の付着物除去体10’…に対して同心になるように小径の付着物除去体10’…を順々に嵌め込み、駆動装置でそれぞれを中心周りで回転させるようにしてもよい。図示しないが、この場合、例えば、付着物除去体10’…のそれぞれの基部100’の下面をローラ等で支持するとともに、付着物除去体10’…毎に駆動装置としての駆動モータを設け、各駆動モータの出力軸に連設した駆動ローラを対応する付着物除去体10’…の基部100’の下面に圧接させ、各駆動ローラを回転させることで各付着物除去体10’…を中心周りで回転動作させるようにしてもよい。
そして、この場合においても、支持プレート300’…を起立した状態になるように環状にして各付着物除去体10’…間に設け、その上端で靴底を支持するようにしてもよい。この場合、各支持プレート300’…の下端を支持材で連結すると、各付着物除去体10’…の回転動作が阻害されるので、各支持プレート300’…の上端同士を支持材で連結し、該支持材をカバーCやフレーム(上記実施形態の液槽40)に固定することが好ましい。なお、支持プレート300’…の上端を大きな支持材で連結すると、各付着物除去体10’…の除去手段101(101a…,101b…)が露呈する領域が少なくなるので、例えば、極細の棒材等で支持材を構成し、支持プレート300’…上の靴底に対する除去手段101(101a…,101b…)の接触面積を確保することは言うまでもない。
上記実施形態において、複数の付着物除去体10…間に起立して設けられた複数の支持プレート300…の上端で靴底を支持するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、多数の穴が形成されたプレートや網材等で靴受体30を構成してもよい。この場合、多数の穴を介して除去手段101(101a…,101b…)が靴底に接触できるように、靴受体30を複数の付着物除去体10…に近接するように対向配置すればよい。
そして、上記実施形態において、靴受体30を構成する複数の支持プレート300…が介在する付着物除去体10…の側面を動作方向に案内するようにしたが、これに限定されるものではなく、上記実施形態のように複数の支持プレート300…を設ける場合、支持プレート300…に対して付着物除去体10…の側面との間に隙間があくように、支持プレート300…間に付着物除去体10…を配設し、これらの上端で単に靴底を受けるようにしてもよい。また、これとは逆に、付着物除去体10…間にこれらを案内のみをするガイド用のプレートを設け、上述のようなプレートや網材等で構成した靴受体30を設けるようにしても勿論よい。但し、上記実施形態と同様に支持プレート300…で靴受体30を構成するとともに、付着物除去体10…を動作方向に案内することが好ましいことは言うまでもない。
上記実施形態において、断面コの字状のレール301…を複数並設し、これらの対向部301a,301aで支持プレート300…を構成したが、これに限定されるものではなく、独立した帯板で支持プレート300…を構成してもよい。そして、上記実施形態において、複数の支持プレート300…(レール301…)を支持材302で連結してフレーム体303を構成し、該フレーム体303(レール301…)の一端側を軸体205周りで回転可能にして付着物除去体10…及び複数の支持プレート300…を持ち上げ可能としたが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の支持プレート300…を固定にしてもよい。但し、除去された付着物の取り出し(清掃)やメンテナンス性を考慮すれば、上記実施形態と同様にすることが好ましいことは言うまでもない。
上記実施形態において、付着物除去体10…を取り付けた支持板103の両端側を一対の支持手段105,106で支持するようにしたが、例えば、一対の支持手段105,106を設けることなく、支持板103の下面をフレーム(液槽40に相当するフレーム)上で摺接させることで付着物除去体10…を支持するようにしてもよい。但し、支持板103の下面を摺接させるようにすると、接触抵抗が大きくなる上に、上記実施形態のように過度な荷重を支持板103で吸収することができなくなるため、上記実施形態と同様に支持板103の両端側を支持手段105,106で支持したり、液槽40を設ける場合には、上述の如く、複数の付着物除去体10…のそれぞれに対し、除去手段101(101a…,101b…)よりも下方側に前記洗浄液Wよりも比重の小さい浮体500を設けるようにしたりすることが好ましい。
上記実施形態において、駆動モータ200の回転動作をリンク機構201で往復動作に変換し、その出力を各付着物除去体10…に対応して設けられたレバー202…及びアーム203を介して各支持板103に伝達するように駆動装置20を構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、上記実施形態のように複数の付着物除去体10…を直線上に往復動させる場合には、駆動装置として各付着物除去体10…毎にシリンダ(電動シリンダやエアーシリンダ)を設け、各シリンダで付着物除去体10…を往復動作させるようにしてもよい。この場合も、隣り合う付着物除去体10…の動作方向が反対向きになるように各シリンダを作動させることは勿論のことである。
1…除去装置、10…付着物除去体、20…駆動装置、30…靴受体、40…液槽、100…基部、100a…第一ベース板(ベース板)、100b…第二ベース板(ベース板)、101…除去手段、101a…螺旋体、101b…直線体、102…突出部、103…支持板、104…固定部材、104a…載置部、104b…起立部、104c…爪部、105,106…支持手段、105a,105b,106a,106b…ローラ、107a,107b,108a,108b…軸体、200…駆動モータ、201…リンク機構、201a…第一リンク、201b…第二リンク、202…レバー、203…アーム、204…出力軸、205…軸体、206…連結部、300…支持プレート、301…レール、301a…対向部、301b…接続部、302…支持材、303…フレーム体、304…フレーム体固定手段、305…姿勢維持手段、400…壁部、401…排液口、405…カバー、406…開口、500…浮体、B…ビス、W…洗浄液