JP5094800B2 - 自動操舵装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶等の航走体の針路を自動制御する自動操舵装置及び方法に関する。
現在、大洋を運航する船舶等のように数日間以上に亘って運航されることのある船舶の殆どは、操縦者の睡眠時間の確保、或いは操縦者の負担軽減を図ることを目的として、オートパイロットといわれる自動操舵装置を備えている。この自動操舵装置は、一定周期で針路偏差(予め設定された針路と実際の針路との差)を求め、この針路偏差を解消し得る命令舵角を計算し、得られた命令舵角に基づいた制御を行うことにより船舶の自動操舵を実現している。また、自動操舵装置は、波や風等の外乱を考慮するために、バッチ区間と呼ばれる一定時間(例えば、400秒)毎に外乱を同定した船体運動モデルを更新し、更には制御ゲインを更新しつつ上記の制御を行っている。
以下の特許文献1には、船舶の舵を最適制御することにより、目標方位角に対する方位角の針路偏差のみならず船体の横揺れをも制御するように船舶を自動操舵する技術が開示されている。具体的には、時々刻々と取得される船体の横揺れ角速度、方位角、舵角に関する各測定値並びに目標方位角及び運動特性行列を制御型多次元自己回帰モデルに適用することにより各時刻における外乱の推定値を算出し、複数の時刻からなる各バッチ区間の各推定値に対して局所定常過程に対するOzaki-Tong法を適用することにより各バッチ区間に対して最適な外乱自己回帰モデルを順次当てはめ、外乱自己回帰モデルに基づく外乱適応制御型多次元自己回帰モデルによって船体の横揺れ及び針路偏差を抑制する最適操舵量を算出して舵を制御している。
特許第3751239号公報
ところで、従来は、バッチ区間が切り替わると船体運動モデル及び制御ゲインが即座に更新されるが、命令舵角を求めるために用いられる状態変数の大部分は更新されない。このため、従来はバッチ区間が切り替わっても一定期間は更新される前の船体運動モデルに基づく状態変数を用いて命令舵角が求められているため、バッチ区間の切り替わりの前後において計算される命令舵角に不連続性が生ずるという問題があった。
図5は、従来の自動操舵装置における舵角及び針路偏差の一例を示す図である。図5を参照すると、バッチ区間が切り替わる時刻t100において、符号R100を付した曲線で示す舵角が2度前後から急激に−8度前後まで変化し、その直後に急激に3度前後まで変化しているのが分かる。この舵角の変化は数秒程度の短時間の間に生じるものであるため、図示の通り符号D100を付した曲線で示す針路偏差は殆ど変化しておらず、船舶の自動操舵に悪影響を及ぼすものではないと考えられる。しかしながら、図5に示す舵角の変化が生ずると無駄な舵取り量が発生することになるため、省エネルギー等の観点からはこのような舵角の変化は極力避ける必要がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、無駄な舵取り量の発生を抑えて省エネルギーの効果を高めることができる自動操舵装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の自動操舵装置は、予め設定されたバッチ区間(B1、B2)毎に船体運動モデル(A、B)及び制御ゲイン(G)を更新しつつ、前記バッチ区間よりも短い制御周期毎に針路偏差(X)を解消し得る命令舵角(Y)を求めて航走体の針路を自動制御する自動操舵装置(1)において、前記バッチ区間が切り替わった場合に、前記船体運動モデル及び制御ゲインを更新するとともに、前記バッチ区間が切り替わる直前の所定期間(T1)内における針路偏差及び命令舵角と更新後の船体運動モデルとを用いて状態変数を更新し、更新された当該状態変数と更新された前記制御ゲインとを用いて命令舵角を求める演算を行う演算装置(11)を備えることを特徴としている。
また、本発明の自動操舵装置は、前記演算装置が、前記バッチ区間が切り替わってから最初の前記制御周期(t21)が経過する前に前記状態変数を更新することを特徴としている。
また、本発明の自動操舵装置は、前記所定期間が、少なくとも前記状態変数を更新し得る前記制御周期の数十周期分の期間であることを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明の自動操舵方法は、予め設定されたバッチ区間(B1、B2)毎に船体運動モデル(A、B)及び制御ゲイン(G)を更新しつつ、前記バッチ区間よりも短い制御周期毎に針路偏差(X)を解消し得る命令舵角(Y)を求めて航走体の針路を自動制御する自動操舵方法において、前記バッチ区間が切り替わる直前の所定期間(T1)内における針路偏差及び命令舵角を記憶する第1ステップ(S16)と、前記バッチ区間が切り替わった場合に、前記船体運動モデル及び制御ゲインを更新する第2ステップ(S17)と、前記第1ステップで記憶した前記針路偏差及び命令舵角と前記第2ステップで更新した船体運動モデルとを用いて状態変数を更新する第3ステップ(S18)と、前記第2ステップで更新した前記制御ゲインと前記第3ステップで更新した前記状態変数とを用いて命令舵角を求める第4ステップ(S15)とを有することを特徴としている。
また、本発明の自動操舵方法は、前記第3ステップが、前記バッチ区間が切り替わってから最初の前記制御周期(t21)が経過する前に前記状態変数を更新するステップであることを特徴としている。
また、本発明の自動操舵方法は、前記第1ステップにおける前記所定期間が、少なくとも前記第3ステップで前記状態変数を更新し得る前記制御周期の数十周期分の期間であることを特徴としている。
本発明によれば、バッチ区間が切り替わったときに、船体運動モデル及び制御ゲインが更新されるとともに、状態変数が新たな船体運動モデルに基づくものに更新されるため、バッチ区間の切り替わりの前後において計算される命令舵角の不連続性が解消される。これにより、無駄な舵取り量の発生が抑えられ、省エネルギーの効果を高めることができるという効果がある。
本発明の一実施形態による自動操舵装置の要部構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による自動操舵方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による自動操舵方法を説明するための図である。 本実施形態による自動操舵装置における舵角及び針路偏差の一例を示す図である。 従来の自動操舵装置における舵角及び針路偏差の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による自動操舵装置及び方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による自動操舵装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の自動操舵装置1は、演算装置11、針路設定器12、操作パネル13、及び表示装置14を備えており、方位検出器21、船速検出器22、及び舵角検出器23の検出結果に基づいて、切替器31及びアクチュエータ32を介して舵33の舵角を制御することにより、船舶の針路を自動制御する。
方位検出器21は、回転型或いは振動式等の機械式ジャイロスコープ、光ファイバジャイロ或いはリングレーザジャイロ等の光学式ジャイロスコープ、その他のジャイロスコープであり、船舶の進行に関する方位角を検出して演算装置11に出力する。船速検出器22は、電磁式ログ、音響式ログ、回転翼式ログ、若しくは圧力式ログ等であり、船舶の進行速度(船速)を検出して演算装置11に出力する。舵角検出器23は、舵33の舵角を検出して演算装置11に出力する。
切替器31は、自動操舵装置1による船舶の自動操舵とマニュアル操舵装置34によるマニュアル操舵(航海士等の操縦者による手動操舵)とを切り替える。マニュアル操舵装置34は、舵輪等によって船舶を手動操舵するためのものである。即ち、切替器31が自動操舵を選択するように操作された場合は、自動操舵装置1から出力される舵角制御量(命令舵角)に基づいてアクチュエータ32が駆動され、切替器31が手動操舵を選択するように操作された場合には、マニュアル操舵装置34から出力される命令舵角に基づいてアクチュエータ32が駆動される。アクチュエータ32は、切替器31を介して出力される命令舵角に基づいて舵33の舵角を設定する。舵33は、周知のように、この舵角によって船舶の方位角を規定するものである。
演算装置11は、針路設定器12から出力される目標方位と、方位検出器21、船速検出器22、及び舵角検出器23の各検出値とに基づいて、目標方位に対する進行方位の偏差(針路偏差)を求め、この針路偏差を解消し得る命令舵角を算出して切替器31に出力する。ここで、演算装置11は、上記の命令舵角を、予め設定された制御周期(例えば、1秒)毎に求める。
また、演算装置11は、波や風等の外乱を考慮するために、上記の制御周期よりも長い予め設定されたバッチ区間(例えば、400秒)毎に、外乱を同定した船体運動モデル及び制御ゲインを更新しつつ上記の命令舵角を求める。具体的に、演算装置11は、以下の(1)式に基づいて命令舵角Yを求める。
Figure 0005094800
ここで、上記(1)式中のZは状態変数であり、Gは最適制御ゲインである。いま、状態変数Zを以下の(2)式の通り定義する。
Figure 0005094800
すると、状態変数Z及び針路偏差Xは、状態空間表現によって以下の(3)式の通り表すことができる。
Figure 0005094800
但し、上記(3)式中のΦは状態遷移マトリクス、Γは制御ベクトル、Wは外乱、Hは観測ベクトルであり、それぞれ以下の(4)〜(7)式で表される。
Figure 0005094800
Figure 0005094800
Figure 0005094800
Figure 0005094800
尚、上記(4),(5)式、中の変数A,Bは船体運動モデルであり、変数Mは船体運動モデルの次数である。この変数Mは可変であって最大値が「8」である。また、前述した(1)式中の最適制御ゲインGは、以下の(8)式で表される。
Figure 0005094800
演算装置11は、前述した(1)式に基づいて制御周期毎に命令舵角Yを求める。また、バッチ区間が切り替わった場合には、上記(4),(5)式に示された状態遷移マトリクスΦ及び制御ベクトルΓの要素である船体運動モデルA,B及び次数Mと、最適制御ゲインGを新たなものに更新した上で命令舵角Yを求める。
ここで、本実施形態では、バッチ区間の切り替わりの前後において求められる命令舵角Yの不連続性(図5参照)を解消するために、演算装置11が、バッチ区間が切り替わる直前の所定期間(以下、バッチ終了期間という)内における針路偏差及び命令舵角を記憶しておき、バッチ区間が切り替わったときに、その針路偏差及び命令舵角と更新した船体運動モデルとを用いて状態変数Zを更新している。そして、演算装置11が、更新された状態変数Zと、パッチ区間の切り替わりによって更新した最適制御ゲインGとを用いて、前述した(1)式により命令舵角Yを求めている。尚、この処理の詳細については後述する。
針路設定器12は、船舶の進行に応じた各所(緯度・経度)での目標方位を演算装置11に出力する。操作パネル13は、船舶が航行すべき航路である計画航路等の各種情報を演算装置11に入力するためのものである。表示装置14は、例えば液晶表示装置等を備えており、上記の計画航路やこれに対する船舶の航海状態(針路、方位、舵角、船速等)を表示する。
次に、上記構成における自動操舵装置1の動作、つまり本実施形態による自動操舵方法について詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態による自動操舵方法を示すフローチャートであり、図3は本発明の一実施形態による自動操舵方法を説明するための図である。尚、図2に示す処理は、例えば切替器31が自動操舵を選択するように操作されたときに開始され、切替器31が手動操舵を選択するように操作されたときに終了する。
図2に示す処理が開始されると、まず自動操舵を行うために必要な各種の初期処理が演算装置11で行われる(ステップS11)。例えば、バッチ区間を計時するタイマ(以下、バッチタイマという)を初期化する処理、最初の船体運動モデルA,B及び最適制御ゲインGを決定する処理、外乱Wを決定する処理等が行われる。尚、船体運動モデルA,Bの次数Mは、自動操舵装置1が搭載される船舶に応じて適宜決定される。
以上の初期処理が終了すると、バッチタイマによる計時が開始されて最初のバッチ区間が開始される。ここでは、図3に示す通り、時刻t1において最初のバッチ区間B1が開始されたとする。最初のバッチ区間B1が開始されると、まず演算装置11によってバッチタイマが参照され、バッチ終了期間であるか否かが判断される(ステップS12)。
バッチ終了期間は、前述の通り、バッチ区間が切り替わる直前の所定期間をいい、図3に示す例では、バッチ区間B1についてのバッチ終了期間は、時刻t11〜時刻t2までの符号T1が付された期間である。このバッチ終了期間は、後述するステップS18で状態変数を更新し得る制御周期の数十周期分の期間に設定される。尚、本実施形態では、説明を簡単にするために、制御周期の20周期分の期間がバッチ終了期間T1に設定されているとする。上記のステップS12において、バッチ区間B1が開始された直後はバッチ終了期間T1には至っていないため、その判断結果は「NO」になる。
次に、演算装置11によってバッチタイマが参照され、バッチ区間が終了したか否かが判断される(ステップS13)。具体的には、バッチタイマによって1つのバッチ区間分の時間(例えば、400秒)が計時されたか否かが判断される。バッチ区間が終了していない場合には、ステップS13の判断結果は「NO」になる。すると、針路設定器12からの目標方位と、方位検出器21、船速検出器22、及び舵角検出器23の各検出値とに基づいて、目標方位に対する進行方位の偏差である針路偏差が演算装置11で求められるとともに、前述した(3)式を用いて新たな状態変数Zが算出される(ステップS14)。
新たな状態変数Zが算出されると、演算装置11において、前述した(1)式を用いて針路偏差を解消し得る命令舵角Yが算出される(ステップS15)。尚、演算装置11によって算出された命令舵角Yは、切替器31を介してアクチュエータ32に出力され、アクチュエータ32によって命令舵角Yに基づいた舵33の舵角が設定される。これにより、船舶の航海状態が変更される。
以上の処理が終了すると、再び演算装置11によってバッチタイマが参照されて、バッチ終了期間T1であるか否か判断され(ステップS12)、次いでバッチ区間が終了したか否かが判断され(ステップS13)、何れの判断結果も「NO」である場合に、針路偏差及び状態変数の算出(ステップS14)及び命令舵角の計算(ステップS15)が行われる。以後同様に、ステップS12,S13の判断結果が共に「NO」である場合には、ステップS12〜S15の処理ループが前述した制御周期(例えば、1秒)毎に繰り返される。
ここで、演算装置11によってバッチタイマが参照され、バッチ終了期間T1であると判断された場合(ステップS12の判断結果が「YES」の場合)には、算出された針路偏差及び命令舵角が演算装置11に記憶される(ステップS16:第1ステップ)。具体的には、図3に示す時刻t11(バッチ終了期間T1の開始時刻)において算出された針路偏差及び命令舵角を記憶する処理が行われる。
以上の記憶処理が終了すると、演算装置11によってバッチタイマが参照されて、バッチ区間が終了したか否かが判断され(ステップS13)、この判断結果が「NO」である場合には、針路偏差及び状態変数の算出(ステップS14)及び命令舵角の計算(ステップS15)が行われる。以後同様に、バッチ終了期間T1においては、ステップS12の判断結果が「YES」になり、ステップS13の判断結果が「NO」になるため、ステップS12,S16,S13〜S15の処理ループが前述した制御周期(例えば、1秒)毎に繰り返される。
図3中の記号「×」は制御周期(命令舵角が求めれる時点)を示している。バッチ終了期間T1では、図3中の記号「×」で示す各制御周期毎に針路偏差及び命令舵角が順次算出され、算出された命令舵角に命令舵角Yに基づいた舵33の舵角が順次設定される。加えて、バッチ終了期間T1では、記号「×」で示す各制御周期毎に算出された針路偏差及び命令舵角が演算装置11に順次記憶される。
ここで、演算装置11によってバッチタイマが参照され、バッチ区間が終了したと判断された場合(ステップS13の判断結果が「YES」の場合)には、演算装置11によって、船体運動モデルA,B及び最適制御ゲインGを更新し、バッチタイマを初期化する処理が行われる(ステップS17:第2ステップ)。かかる処理により、前述した(3)式中の状態遷移マトリクスΦ及び制御ベクトルΓが更新される。
次に、ステップS16で記憶した針路偏差及び命令舵角を用いて状態変数Zを更新する処理が行われる(ステップS18:第3ステップ)。具体的には、バッチ区間B1のバッチ終了期間T1に記憶された制御周期の20周期分の針路偏差及び命令舵角を、前述した(3)式に順次代入する(合計20回代入する)ことにより状態変数Zを更新する処理が行われる。ここで、ステップS17の処理によって、船体運動モデルA,Bが更新されているため、状態変数Zは、前のバッチ区間B1内のバッチ終了期間T1における針路偏差及び命令舵角と、更新された船体運動モデルA,Bとを用いて更新されることになる。
尚、以上のステップS18の処理によって、状態変数Zはバッチ区間が切り替わってから最初の制御周期が経過する前までに更新される。つまり、図3に示す時刻t2が経過してからバッチ区間B2の最初の制御周期である時刻t21が経過する前までに、状態変数Zの更新が行われる。以上の処理が終了すると、ステップS17で更新された最適制御ゲインGと、ステップS18で更新された状態変数Zとを用いて針路偏差を解消し得る命令舵角Yが算出される(ステップS15:第4ステップ)。そして、バッチ区間B2の最初の制御周期である時刻t21では、その命令舵角Yに基づいた舵33の舵角が設定される。
図4は、本実施形態による自動操舵装置における舵角及び針路偏差の一例を示す図である。図4を参照すると、符号R10を付した曲線で示す舵角は、全体的に細かな変動が生じているものの、バッチ区間が切り替わる時刻t10において、図5に示したような急激な変動は生じてないことが分かる。また、図4を参照すると、符号D10を付した曲線で示す針路偏差も、全体的に細かな変動が生じているものの、殆ど変化していないことが分かる。尚、図4において、図5で生じていない舵角及び針路偏差の細かな変動が生じているのは、図4の結果を得るために用いた船体運動モデルと、図5の結果を得るために用いた船体運動モデルとが異なるためである。
以上の通り、本実施形態では、バッチ区間B1のバッチ終了期間T1における針路偏差及び命令舵角を記憶し、バッチ区間B1がバッチ区間B2に切り替わった場合に、船体モデルA,B及び最適制御ゲインGを更新するとともに、記憶した針路偏差及び命令舵角と更新した船体モデルA,Bとを用いて状態変数Zを更新している。そして、更新した最適制御ゲインGと更新した状態変数Zとを用いて命令舵角Yを求めている。
このように、本実施形態では、バッチ区間が切り替わったときに、船体運動モデル及び制御ゲインが更新されるとともに、状態変数Zが新たな船体運動モデルに基づくものに更新されるため、バッチ区間の切り替わりの前後において計算される命令舵角に生ずる不連続性を解消することができる。これにより、無駄な舵取り量の発生を抑えることができ、省エネルギーの効果を高めることができる。
以上、本発明の一実施形態による自動操舵装置及び方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態ではバッチ終了期間が制御周期の20周期分の期間に設定されている場合を例に挙げたが、必ずしも制御周期の20周期分の期間に限られる訳ではく、図2中のステップS18で状態変数を更新し得る期間に設定されていれば良い。
1 自動舵角装置
11 演算装置
A,B 船体運動モデル
B1,B2 バッチ区間
制御ゲイン
T1 バッチ終了期間
針路偏差
命令舵角

Claims (6)

  1. 予め設定されたバッチ区間毎に船体運動モデル及び制御ゲインを更新しつつ、前記バッチ区間よりも短い制御周期毎に針路偏差を解消し得る命令舵角を求めて航走体の針路を自動制御する自動操舵装置において、
    前記バッチ区間が切り替わった場合に、前記船体運動モデル及び制御ゲインを更新するとともに、前記バッチ区間が切り替わる直前の所定期間内における針路偏差及び命令舵角と更新後の船体運動モデルとを用いて状態変数を更新し、更新された当該状態変数と更新された前記制御ゲインとを用いて命令舵角を求める演算を行う演算装置を備えることを特徴とする自動操舵装置。
  2. 前記演算装置は、前記バッチ区間が切り替わってから最初の前記制御周期が経過する前に前記状態変数を更新することを特徴とする請求項1記載の自動操舵装置。
  3. 前記所定期間は、少なくとも前記状態変数を更新し得る前記制御周期の数十周期分の期間であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動操舵装置。
  4. 予め設定されたバッチ区間毎に船体運動モデル及び制御ゲインを更新しつつ、前記バッチ区間よりも短い制御周期毎に針路偏差を解消し得る命令舵角を求めて航走体の針路を自動制御する自動操舵方法において、
    前記バッチ区間が切り替わる直前の所定期間内における針路偏差及び命令舵角を記憶する第1ステップと、
    前記バッチ区間が切り替わった場合に、前記船体運動モデル及び制御ゲインを更新する第2ステップと、
    前記第1ステップで記憶した前記針路偏差及び命令舵角と前記第2ステップで更新した船体運動モデルとを用いて状態変数を更新する第3ステップと、
    前記第2ステップで更新した前記制御ゲインと前記第3ステップで更新した前記状態変数とを用いて命令舵角を求める第4ステップと
    を有することを特徴とする自動操舵方法。
  5. 前記第3ステップは、前記バッチ区間が切り替わってから最初の前記制御周期が経過する前に前記状態変数を更新するステップであることを特徴とする請求項4記載の自動操舵方法。
  6. 前記第1ステップにおける前記所定期間は、少なくとも前記第3ステップで前記状態変数を更新し得る前記制御周期の数十周期分の期間であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の自動操舵方法。
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