JP5093151B2 - 筒内直接噴射式内燃機関およびそれに用いる燃料噴射弁 - Google Patents

筒内直接噴射式内燃機関およびそれに用いる燃料噴射弁 Download PDF

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Description

本発明は、燃料を筒内に直接噴射する筒内直接噴射式内燃機関およびそれに用いる燃料噴射弁に関する。
内燃機関の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を有する筒内直接噴射式内燃機関(以下、単にエンジンという)が知られている(特許文献1参照)。
このエンジンでは、エンジンに設けられている燃料噴射弁より燃料が噴射されることにより、燃焼室に点火部側の燃料噴霧およびピストン側の燃料噴霧が形成される。
点火部側の燃料噴霧の方向は、点火部の周囲に直接向かうように設定されており、ピストン側の燃料噴霧の方向は、その燃料噴霧がピストンの冠面に設けられている凹部に衝突し、その後、その凹部の表面に沿って流れ、凹部の周縁部より点火部に向かうように設定されている。
この特許文献1によれば、両燃料噴霧の方向を上述したように設定することにより、圧縮行程噴射を行う場合、点火部の周囲に燃料噴霧を滞留させることができ、成層燃焼に適した混合気を得ることができる。
特開2006−257943号公報
特許文献1によれば、吸気行程噴射を行う場合であっても、点火部側の燃料噴霧およびピストン側の燃料噴霧が形成されるので、燃焼室全体に燃料を行き渡らせることができるとしている。
しかしながら、上述した特許文献1では、吸気行程噴射を行う場合では、単に点火部側、ピストン側に燃料噴霧を形成するだけである。
ここで、エンジンの吸気行程中、燃焼室の内部には、燃焼室の天井壁と、天井壁と対抗するピストンの冠面との間を往復するように旋回する吸入空気の流れが発生する。
この流れは、タンブル流といわれるものである。
均質燃焼に最適な混合気を得る方法の一つに、燃焼室内に発生するタンブル流を強化するという方法がある。
上述の特許文献1によるエンジンでは、吸気行程噴射を行う場合、燃焼室に単に点火部側およびピストン側の燃料噴霧を形成しているだけなので、タンブル流を強化することができず、均質燃焼により最適な混合気を得ることができない。
また、特許文献1によるエンジンに搭載されている燃料噴射弁では、点火部側の燃料噴霧よりもピストン側の燃料噴霧の貫徹力を大きくしている。
このため、燃焼室内の吸入空気および燃料噴霧の流れが不安定となり、均質燃焼に最適な混合気を得にくくなる。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、成層燃焼および均質燃焼のそれぞれの燃焼形態に対し、最適な混合気を得ることができる筒内直接噴射式内燃機関およびそれに用いられる燃料噴射弁を提供することである。
請求項1に記載の発明は、筒状に形成され内部に燃焼室を形成するシリンダ、およびシリンダの軸方向端部に形成されている天井壁に接続され、外部より燃焼室に吸入空気を供給する吸気通路を有する本体と、シリンダ内を軸方向に往復運動するピストンであって、燃焼室に晒される冠面に天井壁とは反対側に凹むように形成され、吸気通路より流入した吸入空気を沿わせて、燃焼室内に天井壁と冠面との間を往復するように旋回する吸入空気の流れを発生させる凹部を有するピストンと、燃焼室の側部に配置され、第一の運転状態のときの圧縮行程期間中、および第二の運転状態のときの吸気行程期間中に燃料を直接燃焼室に噴射する噴射部を有する燃料噴射弁であって、噴射部より燃料を噴射させることにより、天井壁側に第一燃料噴霧を形成するとともに、第一燃料噴霧よりもピストン側に第二燃料噴霧を形成する燃料噴射弁と、天井壁の中央部より突き出て配置され、吸入空気と燃料噴霧との混合気を点火する点火部を有する点火装置と、を備え、
圧縮行程期間中に燃料が噴射される場合では、第一燃料噴霧および第二燃料噴霧がピストンの凹部に衝突し、その後、凹部に衝突した第一燃料噴霧および第二燃料噴霧が凹部の表面に沿って進行し、凹部の周縁部より点火部に向かい、吸気行程期間中に燃料が噴射される場合では、第一燃料噴霧が吸入空気の流れに乗るように、かつ第二燃料噴霧がピストンの凹部に衝突し、その後、吸入空気の流れに乗るように、第一燃料噴霧および第二燃料噴霧の方向が設定され、吸気通路は、シリンダの径方向外側から点火装置に向かうように燃焼室に接続され、燃料噴射弁は、吸気通路が形成されている側のシリンダの側部に噴射部が配置されるように本体に取り付けられており、冠面に設けられている凹部は、圧縮行程期間中に燃料を噴射する場合では、第一燃料噴霧を衝突させ、所定の方向に燃料噴霧を誘導し、吸気行程期間中に燃料を噴射する場合では、第二燃料噴霧を衝突させ、所定の方向に燃料噴霧を誘導する誘導する誘導面を有し、誘導面は、圧縮行程期間中に第一燃料噴霧が衝突する場合、第一燃料噴霧の中心線と誘導面にて形成される天井壁側の角度が鈍角となり、吸気行程期間中に第二燃料噴霧が衝突する場合、第二燃料噴霧の中心線と誘導面にて形成される天井壁側の角度が鋭角となっていることを特徴としている。
また、請求項に記載の発明は、請求項1からに記載の筒内直接噴射式内燃機関に用いられる燃料噴射弁であって、噴射部は、内部に燃料通路、燃料通路に連通し、噴射されることにより第一燃料噴霧、第二燃料噴霧を形成する複数の噴孔、および燃料通路に形成される弁座を有する噴孔部と、弁座に着座することにより複数の噴孔からの燃料の噴射を停止し、弁座から離座することにより複数の噴孔から燃料の噴射を行う弁部と、を備え、燃焼室内で第一燃料噴霧および第二燃料噴霧が形成されるように複数の噴孔が形成されていることを特徴としている。
これらの発明によれば、第一燃料噴霧および第二燃料噴霧の方向は、圧縮行程期間中に燃料が噴射される場合、第一燃料噴霧および第二燃料噴霧がピストンの凹部に衝突し、その後、凹部に衝突した第一燃料噴霧および第二燃料噴霧が凹部の表面に沿って進行し、凹部の周縁部より点火部に向かうように設定されている。
このように第一、第二燃料噴霧の方向が設定されていると、第一燃料噴霧および第二燃料噴霧の両燃料噴霧は、ピストンの凹部に衝突する。その後、両燃料噴霧は、凹部の表面に沿って進行し、その周縁部より点火部に向かう。このため、点火部の周囲に燃料噴霧が集中する。その結果、圧縮行程期間中に燃料を噴射する場合では、燃料噴霧を適切に点火部の周囲に滞留させることができ、成層燃焼に適した混合気を得ることができる。
また、これらの発明によれば、第一燃料噴霧および第二燃料噴霧の方向は、吸気行程期間中に燃料が噴射される場合、第一燃料噴霧が吸入空気の流れに乗るように、かつ第二燃料噴霧がピストンの凹部に衝突し、その後、吸入空気の流れに乗るようにも設定されている。
このように第一、第二燃料噴霧の方向が設定されていると、第一燃料噴霧は、吸気行程期間中に燃焼室内に発生する吸入空気の流れに乗り、吸入空気の流れを強化する。これにより、第一燃料噴霧の流れによって、吸気行程期間中に燃焼室内に発生する天井壁とピストンの冠面とを往復するように旋回するタンブル流を強化できる。
また、第二燃料噴霧は、燃料噴霧がピストンの凹部に衝突し、その後、凹部付近の吸入空気の流れに乗り、ピストンの冠面付近の吸入空気の流れを強化する。これにより、第二燃料噴霧の流れによって、吸気行程期間中に発生するタンブル流をさらに強化できる。
この構成によれば、吸気行程期間中に燃料を噴射する場合では、吸入空気と燃料噴霧との混合性を高めることができ、均質燃焼により適した混合気を得ることができる。
したがって、これらの発明によれば、第一、第二燃料噴霧の方向を上述した条件を満足するように設定しているため、成層燃焼および均質燃焼のそれぞれの燃焼形態に対し、最適な混合気を得ることができる筒内直接噴射式内燃機関を提供することができる。
エンジンの運転状態が低負荷または低回転である運転状態は、高い出力は要求されていない運転状態である。一方、エンジンの運転状態が上記低負荷または低回転である運転状態に比べ、高負荷または高回転である運転状態は、高い出力が要求される運転状態である。
さらに、請求項1に記載の発明は、吸気通路は、シリンダの径方向外側から点火装置に向かうように燃焼室に接続されており、燃料噴射弁は、吸気通路が形成されている側のシリンダの側部に噴射部が配置されるように本体に取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、吸気通路がシリンダの径方向外側から点火装置に向かうように燃焼室に接続されているため、吸気通路から燃焼室に供給された吸入空気は、吸気通路が形成されている側のシリンダの側壁と対向するシリンダの側部に衝突し、その後、そのシリンダの側部に沿ってピストンの冠面に向かって流れる。そして、ピストンの冠面に衝突した吸入空気は、冠面に設けられている凹部の表面に沿い吸気通路が形成されているシリンダの側部に向かって流れる。その後、その吸入空気は、当該シリンダの側部に沿い吸気通路側の天井壁に向かって流れる。燃焼室内に形成されるタンブル流の方向は、上述した経路を辿るような方向となる。
そして、この発明によれば、燃料噴射弁は吸気通路が形成されている側のシリンダの側部に噴射部が配置されるように本体に取り付けられている。この位置に噴射部が配置されているため、請求項1に記載の第一、第二燃料噴霧の形成条件を満足すべく、第一、第二燃料噴霧の方向を設定すると、第一、第二燃料噴霧の中心線のなす角度を比較的大きくすることができる。これによれば、両燃料噴霧の間隔を大きくすることができるため、吸入空気と接する燃料噴霧の表面積が減少することによる混合性の悪化を抑制できる。
さらに、請求項1に記載の発明は、冠面に設けられている凹部は、圧縮行程期間中に燃料を噴射する場合では、第一燃料噴霧を衝突させ、所定の方向に燃料噴霧を誘導し、吸気行程期間中に燃料を噴射する場合では、第二燃料噴霧を衝突させ、所定の方向に燃料噴霧を誘導する誘導する誘導面を有し、誘導面は、圧縮行程期間中に第一燃料噴霧が衝突する場合、第一燃料噴霧の中心線と誘導面にて形成される天井壁側の角度が鈍角となり、吸気行程期間中に第二燃料噴霧が衝突する場合、第二燃料噴霧の中心線と誘導面にて形成される天井壁側の角度が鋭角となっていることを特徴としている。
この発明によれば、凹部に形成される誘導面は、圧縮行程期間中に第一燃料噴霧が衝突する場合、第一燃料噴霧の中心軸と誘導面にて形成される天井壁側の角度が鈍角となるように形成されているため、誘導面に第一燃料噴霧が衝突すると、第一燃料噴霧は確実に点火部が配置されている天井壁方向に向かう。これによれば、第一燃料噴霧を点火部に向かわせることができる。そして、誘導面は、吸気行程期間中に第二燃料噴霧が衝突する場合、第二燃料噴霧の中心軸と誘導面にて形成される天井壁側の角度が鋭角となるように形成されているため、誘導面に第二燃料噴霧が衝突すると、第二燃料噴霧は、天井壁とは反対側、つまり凹部の底部側の方向に向かう。これによれば、第二燃料噴霧の流れを凹部の表面に沿って進行し、吸入空気の流れに乗せることができる。これらの条件を満たすような誘導面を凹部に形成しているため、確実に圧縮行程噴射時に成層燃焼を実現し、吸気行程噴射時に均質燃焼を実現させることができる。
請求項2に記載の発明は、第一の運転状態は、低負荷または低回転の運転状態であり、第二の運転状態は、高負荷または高回転の運転状態であることを特徴としている。
この発明によれば、成層燃焼を行う第一の運転状態が低負荷または低回転の運転状態となり、均質燃焼を行う第二の運転状態が高負荷または高回転の運転状態となるため、エンジンの出力要求に合わせることができる。
請求項3に記載の発明は、第一燃料噴霧は、複数の燃料噴霧から構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、第一燃料噴霧は、複数の燃料噴霧から構成されているので、吸入空気に接する燃料噴霧の表面積が、燃料噴霧が一つである場合に比べ大きくなる。このため、吸入空気と燃料噴霧との混合性が高まる。
請求項4に記載の発明は、第二燃料噴霧は、複数の燃料噴霧から構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、第二燃料噴霧は、複数の燃料噴霧から構成されているので、吸入空気と接する燃料噴霧の表面積が、燃料噴霧が一つである場合に比べ大きくなる。このため、燃料噴霧の気化の進行が早くなり、吸入空気と燃料噴霧との混合性が向上する。
本発明の第1実施形態による筒内直接噴射式のガソリンエンジンの概略であって、圧縮行程噴射の状態を示す図である。 図1に示すガソリンエンジンの概略であって、吸気行程噴射の状態を示す図である。 図1に示すガソリンエンジンに搭載されている燃料噴射弁の構造を示す断面図である。 図3に示す燃料噴射弁の噴孔の配列を示す平面図である。 本発明の第2実施形態による筒内直接噴射式のガソリンエンジンの概略であって、圧縮行程噴射の状態を示す図である。 図5に示すガソリンエンジンの概略であって、吸気行程噴射の状態を示す図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
(全体構成)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態による筒内直接噴射式内燃機関(以下、単に「エンジン」という)の概略を示す概略構成図である。図1は、圧縮行程時の状態を示している。
図1に示すエンジン10は、直列四気筒のガソリンエンジンである。図1では、四つある気筒のうち、一つの気筒のみを図示している。他の気筒の構造も図1に示す構造とほぼ同じ構造となっているため、他の気筒についての説明は省略する。
エンジン10は、エンジン本体11、ピストン30、燃料噴射弁40、点火装置90、および制御装置100などから構成されている。エンジン10は、制御装置100により全体的に制御されている。
エンジン本体11は、シリンダブロック12、シリンダヘッド18などから構成されている。
シリンダブロック12は、アルミニウムまたは鋳鉄などの金属より構成され、エンジン本体11の骨格となる部品である。シリンダブロック12は、内部にシリンダ13を有する。図1中、シリンダ13の上端部はシリンダブロック12の端面に開口している。シリンダブロック12の上側には、シリンダヘッド18が取り付けられ、下側には、燃焼させる際に発生する動力を外部に取り出すクランクシャフト23を支持するクランクケース(図示せず)が取り付けられている。
シリンダヘッド18は、アルミニウムまたは鋳鉄などの金属より板状に構成され、シリンダ13の上端部を塞ぐようにシリンダブロック12に取り付けられている。シリンダヘッド18は、シリンダ13と対向する部位に、シリンダ13の上端部を塞ぎ、シリンダ13の内部に燃焼を起こさせる燃焼室16を形成する面を有している。この面が、燃焼室16の天井壁17となる。シリンダヘッド18は、吸気通路19および排気通路21を有する。
吸気通路19は、外部と燃焼室16とを接続する通路であって、燃焼に必要な吸入空気を外部より燃焼室16に供給する通路である。図1では、吸気通路19を説明の都合上、破線で示す。
吸気通路19の燃焼室16側の端部は、天井壁17に開口している。吸気通路19は、図1に示すように、シリンダ13の径方向外側から後述する点火装置90に向かうように燃焼室16に接続されている。
吸気通路19は吸気弁20により開閉される。吸気弁20は、クランクシャフト23の回転に連動して回転する吸気弁用のカムシャフト(図示せず)に取り付けられたカムによって開閉駆動する。
原則、吸気弁20は、エンジン10が吸気行程期間の間、吸気通路19を開弁し、それ以外の圧縮行程、膨張行程、排気行程期間の間、吸気通路19を閉弁するように開閉駆動する。吸気弁20が下方、燃焼室16側に移動することにより吸気通路19が開弁し、外部より吸入空気が燃焼室16に供給される。燃焼室16に供給される吸入空気の量は、吸気通路19の上流側に設置されているスロットルバルブ(図示せず)にて調整される。吸気弁20が上方、シリンダヘッド18側に移動することにより吸気通路19が閉弁し、外部からの吸入空気の供給が停止する。
排気通路21は、外部と燃焼室16とを接続する通路であって、燃焼後に発生する燃焼ガスを外部に排出する通路である。図1では、排気通路21を説明の都合上、破線で示す。
排気通路21の燃焼室16側の端部は、天井壁17に開口している。排気通路21は、図1に示すように、吸気通路19とは反対側のシリンダ13の径方向外側から後述する点火装置90に向かうように燃焼室16に接続されている。
排気通路21は排気弁22により開閉される。排気弁22は、クランクシャフト23の回転に連動して回転する排気弁用のカムシャフト(図示せず)に取り付けられたカムによって開閉駆動する。
原則、排気弁22は、エンジン10が排気行程期間の間、排気通路21を開弁し、それ以外の吸気行程、圧縮行程、排気行程期間の間、排気通路21を閉弁するように開閉駆動する。排気弁22が下方、燃焼室16側に移動することにより排気通路21が開弁し、燃焼室16より燃焼ガスが外部に排出される。排気弁22が上方、シリンダヘッド18側に移動することにより排気通路21が閉弁し、外部への燃焼ガスの排出が停止する。
なお、エンジン10の運転状態によっては、エンジン10の運転効率を上げるために、吸気弁20および排気弁22の開弁期間を重ねる場合がある。
ピストン30は、シリンダ13内に収められており、シリンダ13内を往復運動する。ピストン30とクランクシャフト23とは、コネクティングロッド24にて連結されている。クランクシャフト23とコネクティングロッド24にて直線往復運動を回転運動に変換する変換機構が構成されている。これにより、ピストン30の往復運動に応じて、クランクシャフト23が回転する。
ピストン30の燃焼室16に晒される冠面31に、天井壁17とは反対側に凹むように形成されている凹部32が形成されている。
ここで、吸気行程期間中にシリンダブロック12、シリンダヘッド18およびピストン30にて形成される燃焼室16内に発生する吸入空気の流れについて説明する。
吸気行程期間では、ピストン30は、下方、天井壁17から離れる方向に移動する。そして、吸気弁20は、吸気通路19を開弁する。ピストン30により燃焼室16が増大するとともに、吸気通路19が開弁されていることとなるため、燃焼室16内の圧力が大気圧よりも低下する。このため、吸気通路19を介して燃焼室16に吸入空気が流入する。
燃焼室16に流入した吸入空気は、吸気通路19が形成されている側のシリンダ13の第一の側部14とは反対側の第二の側部15に衝突する。その後、その吸入空気は、第二の側部15に沿って下方、ピストン30の冠面31に向かって流れる。ピストン30の冠面31には、凹部32が形成されているため、吸入空気は、その凹部32の表面に沿い、第一の側部14に向かって流れる。凹部32は、吸入空気を第一の側部14に導くように形成されている。
その後、吸入空気は、第一の側部14に沿って上方、天井壁17に向かって流れる。そして、吸入空気は、天井壁17に沿い、第二の側部15に向かって流れる。吸気行程期間では、吸入空気が上述した経路を辿るように旋回する。このように燃焼室16内を旋回する旋回流をタンブル流という。
燃料噴射弁40は、直接燃料を燃焼室16に噴射する装置である。燃料噴射弁40は、先端に燃料を噴射する噴射部41を備えている。図1に示すように、燃料噴射弁40は、噴射部41がシリンダ13の第一の側部14に配置されるようにシリンダヘッド18またはシリンダブロック12に取り付けられている。燃料噴射弁40は、基端部側より圧力がかけられた燃料が供給されるようになっている。本実施形態では、燃料の圧力は、4MPa〜20MPaとなっている。
燃料噴射弁40は、制御装置100より供給される制御パルスにより制御される。噴射部41からは、制御パルスが供給されるタイミングに応じて燃料が噴射され、制御パルスのオン時間に応じた量だけ噴射される。
噴射部41より燃料が噴射されることにより、図1に示すように二つの燃料噴霧70、80が燃焼室16内に形成される。これら燃料噴霧70、80は、所定の条件を満たすような方向を向くように設定されている。図1に示すように第一燃料噴霧70は、天井壁17側に形成されている燃料噴霧であり、第二燃料噴霧80は、第一燃料噴霧70よりもピストン30側に形成されている燃料噴霧である。所定の条件は後ほど詳細に説明する。
点火装置90は、火花を発生する点火部91が燃焼室16の天井壁17の略中央部より突出するようにシリンダヘッド18に取り付けられている。点火装置90の本体は、吸気通路19と排気通路21との間に設置されている。点火装置90は、制御装置100より供給される制御パルスにより制御される。制御装置100より供給される制御パルスの供給タイミングに応じて点火部91に火花が発生する。点火部91に火花が発生することにより、燃焼室16内に形成されている混合気が点火する。
制御装置100は、エンジン本体11に取り付けられている燃料噴射弁40、点火装置90などを制御する。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力装置、および燃料噴射弁40ならびに点火装置90を駆動する駆動回路などから構成されている。ROMには、CPUが実行する種々の処理が記述されたプログラムやこのプログラムで使用する一連のデータなどが格納されている。
図1に示すようにクランクシャフト23の回転速度およびクランク角度を検出するクランクポジションセンサ101、カムシャフトのカム角を検出するカムポジションセンサ(図示せず)、スロットルバルブのスロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ(図示せず)などのエンジン10を運転する上で必要な各種センサが制御装置100に接続されている。
CPUは、各種センサから入出力装置を介して入力される信号、ROMに格納されているプログラム、およびデータに基づいて、燃料噴射弁40や点火装置90を駆動する指令信号を生成し、入出力装置に送る。そして、CPUは入出力装置を制御して、CPUにて求めた指令信号をそれぞれの装置40、90に対応した駆動回路に送る。駆動回路では、入出力装置より受け取った指令信号に基づいた制御パルスを生成し、所定のタイミングで各装置40、90に送る。
本実施形態では、制御装置100は、入力される各種センサからの信号より、現時点でのエンジン10の運転状態、運転者が要求する要求トルクなどに基づきエンジン10が出力すべき目標トルクを算出する。そして、制御装置100は、その目標トルクをクランクシャフト23より取り出すのに適した燃焼形態を選択し、その選択した燃焼形態に応じて各装置40、90を制御する。本実施形態では、制御装置100は、エンジン10が低負荷または低回転の運転状態にあるときであって、目標トルクが所定の値よりも低い場合、成層燃焼の燃焼形態を選択し、その燃焼を実行するために各装置40、90を制御する。
また、制御装置100は、エンジン10が高負荷または高回転の運転状態にあるときであって、目標トルクが所定の値よりも高い場合、均質燃焼の燃焼形態を選択し、その燃焼を実行するために各装置40、90を制御する。
(燃料噴射弁の構成)
以上、エンジン10の基本構成について説明した。次に、燃料噴射弁40の構成について図3を参照して詳細に説明する。
図3に示すように、燃料噴射弁40の先端側の端部には燃料を噴射する噴射部41が設けられ、基端側の端部には圧力がかけられた燃料を導入する燃料導入口42が設けられている。燃料噴射弁40は、内部に、燃料導入口42と噴射部41とを接続する燃料通路43を有している。燃料導入口42より導入された燃料は、燃料通路43を介して噴射部41に供給され、噴射部41より燃料が噴射される。
燃料噴射弁40は、パイプ44、弁ハウジング48、弁ボデー49、噴孔部材51、ニードル53、可動コア54、固定コア56およびコイル58などから構成されている。
パイプ44は、筒状に形成され、先端側から基端側に向かって、第一磁性部45、非磁性部46および第二磁性部47により構成されている。非磁性部46は、第一磁性部45と第二磁性部47との磁気的短絡を防止する。各磁性部45、47および非磁性部46は互いに溶接などにて接合されている。パイプ44は、内側に各磁性部45、47および非磁性部46を貫通する燃料通路43を有している。
第二磁性部47の基端側には、燃料導入口42を有する入口部材59が設置されている。入口部材59の内部には燃料導入口42より流入する燃料中に含まれる異物を捕集するフィルタ60が設置されている。第一磁性部45の先端側には、筒状に形成されている弁ハウジング48が設置されている。
弁ハウジング48は、内側にパイプ44が形成する燃料通路43と連通する燃料通路43の一部を有している。弁ハウジング48の先端側には、上記燃料通路43の内壁に弁ボデー49が設置されている。
弁ボデー49は、筒状に形成され、その内壁にて弁ハウジング48における燃料通路43と連通する燃料通路43の一部を形成する。燃料通路43の内壁は、先端に向かうほど縮径する円錐面となっている。円錐面には、ニードル53が着座する弁座50が形成されている。
弁ボデー49のさらに先端側には、有底筒状に形成されている噴孔部材51が設置されている。噴孔部材51の側壁は、弁ハウジング48の燃料通路43の内壁と、弁ボデー49の外壁との間に挟持されている。
噴孔部材51には、図4に示すように複数の噴孔52が形成されている。これらの噴孔52は、燃料通路43と連通している。本実施形態では、六つの噴孔52が噴孔部材51に形成されている。
図4に示すように、六つの噴孔52の噴孔径はほぼ同じであり、各噴孔52の噴孔長さもほぼ同じとなっている。六つの噴孔52のうち、三つの噴孔52は、図1に示す第一燃料噴霧70を形成するための噴孔であり、残りの三つの噴孔52は第二燃料噴霧80を形成するための噴孔である。各噴孔52の向きは、第一燃料噴霧70、第二燃料噴霧80が形成されるような方向に設定されている。
弁座50にニードル53が着座すると、燃料通路43が遮断され、燃料通路43内の燃料が噴孔52まで至らず、噴孔52からの燃料噴射が停止する。弁座50からニードル53が離座すると、燃料通路43内の燃料が噴孔52まで至り、噴孔52より燃料が噴射される。
燃料通路43には、ニードル53、可動コア54、固定コア56、スプリング61、アジャスタパイプ44が収容されている。ニードル53は、棒状に形成されており、燃料通路43と同軸上に設置され、燃料通路43の軸線に沿って往復移動する。ニードル53の基端側の端部には、磁性材料で筒状に形成されている可動コア54が設置されている。可動コア54とニードル53とは溶接にて固定されており、可動コア54もニードル53とともに燃料通路43の軸線に沿って往復移動する。可動コア54は、内側に可動コア54の基端側の端部と、可動コア54の側部とを連通する連通路55を有している。
可動コア54の基端側には、筒状に形成されている固定コア56が設置されている。固定コア56は、パイプ44における燃料通路43の内壁に溶接などにより固定されている。ニードル53が弁座50に着座している状態で、固定コア56と可動コア54との間には、所定の隙間が形成されている。
固定コア56の内部には、固定コア56の基端側の端部と先端側の端部との間を貫通する縦孔57が形成されている。この縦孔57により、燃料導入口42より導入された燃料を可動コア54に供給することができる。
縦孔57は、可動コア54を先端側に押し付け、ニードル53を弁座50に着座させるスプリング61とスプリング61の基端側の端部を支えるアジャスティングパイプ62を収容する。
アジャスティングパイプ62は、縦孔57に圧入にて固定されている。アジャスティングパイプ62の位置の変更することにより、可動コア54に及ぼすスプリング61の付勢力を調整することができる。アジャスティングパイプ62は、縦孔57内の燃料の流れを阻害しないような形状となっている。
パイプ44の外周壁には、電流を供給することにより磁界を発生するコイル58が設置されている。コイル58は、筒状に形成されているスプールに電線を巻回させることにより形成されている。電線の端部は、外部よりコイル58の電線に電流を供給するためのターミナル63と電気的に接続されている。ターミナル63は、樹脂製よりなるコネクタ64にインサート成形されている。
ターミナル63を介してコイル58の電線に電流を供給すると、コイル58は磁界を発生する。コイル58に磁界が発生すると、可動コア54と固定コア56との間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力がスプリング61の付勢力よりも勝ると、可動コア54およびニードル53は固定コア56に引き付けられる。これにより、弁座50からニードル53が離座し、噴孔52から燃料が噴射される。
コイル58への通電が停止すると、磁界が消滅するため、可動コア54はスプリング61の付勢力により先端側に移動する。これにより、ニードル53が弁座50に着座し、噴孔52からの燃料の噴射が停止する。
(特徴部分の構成)
以上、エンジン10の全体構成およびエンジン10に搭載されている燃料噴射弁40の構成について説明した。次に、エンジン10の作動について、図1および図2を用いて説明する。
図1は、エンジン10が成層燃焼にて運転している場合であって、燃料噴射弁40より燃料が噴射されている状態を示している。図2は、エンジン10が均質燃焼にて運転している場合であって、燃料噴射弁40より燃料が噴射されている状態を示している。以下、それぞれの燃焼形態について詳細に説明する。
(成層燃焼)
図1に示すように、制御装置100は、エンジン10を成層燃焼にて運転する場合、圧縮行程期間中の所定のタイミングで燃料を噴射するように燃料噴射弁40を制御する。
制御装置100は、エンジン10が圧縮行程期間中であってピストン30が上死点付近にあると判断したとき、図1に示すように燃焼室16に第一、第二燃料噴霧70、80を形成すべく燃料を噴射部41より噴射させる。なお、ピストン30が上死点付近にあるか否かは、クランクポジションセンサ101などで判断することができる。
ここで、ピストン30の凹部32の表面におけるシリンダ13の第二の側部15側の周縁部には、第一燃料噴霧70を衝突させ、衝突した第一燃料噴霧70を図1中の矢印に示すように点火装置90の点火部91へ向かわせるような誘導面33が形成されている。また、誘導面33は、第一燃料噴霧70の中心線C1と誘導面33にて形成される天井壁17側の角度αは、鈍角となっている。
第一燃料噴霧70はこのタイミングで燃料噴霧が形成されるとき、誘導面33に衝突する方向に設定されている。また、第二燃料噴霧80はこのタイミングで燃料噴霧が形成されるとき、ピストン30の凹部32の表面に衝突する方向に設定されている。
したがって、この誘導面33に第一燃料噴霧70が衝突すると、第一燃料噴霧70は図1中の破線矢印に示すように点火部91に向かって進行する。
また、第二燃料噴霧80は第一燃料噴霧70よりもピストン30側に形成される燃料噴霧であるため、第二燃料噴霧80はピストン30の凹部32に衝突し、図1中の破線矢印に示すように、誘導面33に向かって、誘導面33以外の凹部32の表面に沿って進行する。
よって、このタイミングで燃料を噴射すると、第一、第二燃料噴霧70、80は何れも誘導面33より点火部91に向かって進行する。このため、第一、第二燃料噴霧70、80が点火部91の周囲に集中することとなる。
このように両燃料噴霧70、80の方向を定めることにより、圧縮行程期間中に燃料を噴射する場合では、第一、第二燃料噴霧70、80を適切に点火部91の周囲に滞留させることができ、成層燃焼に適した混合気を得ることができる。
また、第一燃料噴霧70は、第二燃料噴霧80よりも点火部91側に形成されているため、誘導面33に至るまでにピストン30のどの部分にも接していない。このため、第一燃料噴霧70は、第二燃料噴霧80と異なり、誘導面33に至るまでに凹部32の表面に沿って進行することによる運動エネルギーの損失がない。このため、少なくとも第一燃料噴霧70は確実に点火部91まで導くことができる。
そして、制御装置100は、圧縮行程終了直前の所定のタイミングで点火部91に火花を発生させて、点火部91周辺に滞留している燃焼可能な混合気を点火する。
(均質燃焼)
図2に示すように、制御装置100は、エンジン10を均質燃焼にて運転する場合、吸気行程期間中の所定のタイミングで燃料を噴射するように燃料噴射弁40を制御する。
制御装置100は、エンジン10が吸気行程期間中であってピストン30が下死点付近にあると判断したとき、図2に示すように燃焼室16に第一、第二燃料噴霧70、80を形成すべく燃料を噴射部41より噴射させる。なお、ピストン30が上死点付近にあるか否かは、クランクポジションセンサ101などで判断することができる。
吸気行程期間中、燃焼室16内には、図2中の実線矢印にて示すような吸入空気によるタンブル流が発生している。タンブル流は、ピストン30の冠面31付近では、凹部32の表面に沿い、第一の側部14に向かって流れている。
ここで、第一燃料噴霧70は、燃焼室16内に形成されているタンブル流の流れに乗ることができる方向に設定されている(図2中に示す破線矢印を参照)。このため、吸気行程期間中に第一燃料噴霧70が燃焼室16内に形成されると、第一燃料噴霧70の流れによりタンブル流の流れが強化される。
そして、上述したピストン30の凹部32の表面に形成されている誘導面33は、以下の条件も満たすように形成されている。誘導面33は、第二燃料噴霧80の中心線C2と誘導面33にて形成される天井壁17側の角度βは、鋭角となっている。第二燃料噴霧80はこのタイミングで燃料噴霧が形成されるとき、誘導面33に衝突する方向に設定されている。
このため、吸気行程期間中に第二燃料噴霧80が燃焼室16内に形成されると、第二燃料噴霧80は、誘導面33に衝突し、その後、図2中の破線矢印にて示すように、凹部32の表面に沿って、ピストン30の冠面31付近を流れるタンブル流の流れに乗るように進行する。ここの部位においても、第二燃料噴霧80の流れによりタンブル流の流れが強化されることとなる。第一、第二燃料噴霧70、80の流れによりタンブル流は強化されることとなる。
このように第一、第二燃料噴霧70、80の流れによりタンブル流を強化することができるため、吸入空気と第一、第二燃料噴霧70、80との混合性をさらに高めることができる。この構成によれば、単に点火部側、ピストン側に分けて燃料噴霧を燃焼室16に形成するという従来技術のエンジンに比べ、均質燃焼に適した混合気を得ることができる。
そして、制御装置100は、圧縮行程終了直前の所定のタイミングで点火部91に火花を発生させて、点火部91周辺に滞留している燃焼可能な混合気を点火する。
以上、説明したように本実施形態によれば、圧縮行程期間中に燃料を噴射する場合には第一、第二燃料噴霧70、80がピストン30の凹部32に衝突し、その後、凹部32の周縁部より点火部91に向かって進行するように、吸気行程期間中に燃料を噴射する場合には第一燃料噴霧70がタンブル流の流れに乗るとともに、第二燃料噴霧80がピストン30の凹部32に衝突し、その後、タンブル流の流れに乗るように、第一、第二燃料噴霧70、80の方向が設定されているため、成層燃焼、均質燃焼のそれぞれの燃焼形態に対し、最適な混合気を得ることができるエンジン10を提供することができる。
また、本実施形態によれば、成層燃焼を行う場合のエンジン10の運転状態を低負荷または低回転の運転状態とし、均質燃焼を行う場合のエンジン10の運転状態を高負荷または高回転の運転状態としている。このようにエンジン10の運転状態に応じて燃焼形態を選択することにより、エンジン10の出力要求に合わせることができる。
本実施形態によれば、吸気通路19がシリンダ13の径方向外側から点火装置90に向かうように燃焼室16に接続されているため、燃焼室16内に図2の実線矢印に示すようなタンブル流が発生する。
また、本実施形態によれば、上述したような吸気通路19の接続構造を採用するとともに、燃料噴射弁40を吸気通路19が形成されている側のシリンダ13の第一の側部14に噴射部41が配置されるようにシリンダヘッド18またはシリンダブロック12に取り付けるようにしている。
このように吸気通路19および燃料噴射弁40を配置するような形態を採用することにより、吸気行程期間中に燃料を噴射する際、上述の条件を満足するためには、点火部91付近のタンブル流が吸気通路19からシリンダ13の第二の側部15に向かって流れているため、第一燃料噴霧70の方向を極力点火部91側に設定しなければならない。また、このとき、ピストン30は下死点付近にあるため、第二燃料噴霧80の方向を点火部91から離す方向に設定しなければならない。
このため、第一、第二燃料噴霧70、80の方向を上述した条件を満足するように設定すると、おのずと第一、第二燃料噴霧70、80の中心線C1、C2のなす角度が比較的大きくなる。
このように吸気通路19および燃料噴射弁40の配置位置を設定することにより、両燃料噴霧70、80の間隔を大きくすることができる。このため、吸入空気と接する燃料噴霧の表面積が減少することによる混合性の悪化を抑制することができる。
また、本実施形態では、吸気通路19と燃料噴射弁40を上述したように配置させた上で、圧縮行程期間中での第一燃料噴霧70の中心線C1と凹部32に形成されている誘導面33とのなす角度αを鈍角とし、および吸気行程期間中での第二燃料噴霧80の中心線C2と誘導面33とのなす角度βを鋭角としているため、圧縮行程期間中では第一、第二燃料噴霧70、80を点火部91に導き、吸気行程期間中では第一、第二燃料噴霧70、80をタンブル流の流れに乗せ、タンブル流を強化させることができる。
第一、第二燃料噴霧70、80の方向は、エンジン10の行程に関係なく固定されているが、ピストン30は常に動いている。このため、上述した作用効果を発揮させるには、噴射部41より燃料を噴射するタイミングでのピストン30の位置、誘導面33のピストン30の運動方向に対する角度、第一、第二燃料噴霧70、80のそれぞれの中心線のピストン30の運動方向に対する角度、誘導面33と各中心線とのなす角度を調整しなければならない。
燃料を噴射するタイミングは、エンジン10の仕様により様々であるため、これらの要素を調整しながら最適な第一、第二燃料噴霧70、80の方向、誘導面33の形状を定めなければならない。
また、本実施形態のエンジン10によれば、第一、第二燃料噴霧70、80の方向を設定することにより、上述した作用効果を発揮しているので、従来技術の様に噴孔径や噴孔長を個別に変更させる必要がない。本実施形態の燃料噴射弁40の噴孔径や噴孔長は全て同じである。このため、燃料噴射弁40の製造コストの増大を抑制しつつ、成層燃焼、均質燃焼に適した混合気を得ることができるエンジン10を提供することができる。
なお、本実施形態における弁ボデー49および噴孔部材51は特許請求の範囲に記載の噴孔部に相当し、ニードル53は特許請求の範囲に記載の弁部に相当している。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第2実施形態では、燃焼室16内に形成される第一、第二燃料噴霧70、80がそれぞれ複数の燃料噴霧より形成されている点が第1実施形態と異なる。本実施形態では、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
図5および図6は、第2実施形態による筒内直接噴射式内燃機関を示している。図5は、図1に対応した図であり、エンジン10が成層燃焼にて運転している場合であって、燃料噴射弁40より燃料が噴射されている状態を示している。図6は、図2に対応した図であり、エンジン10が均質燃焼にて運転している場合であって、燃料噴射弁40より燃料が噴射されている状態を示している。
この実施形態では、図5および図6に示すように、第一燃料噴霧70は、複数の燃料噴霧より形成されている。本実施形態では、第一燃料噴霧70は、二つの燃料噴霧より形成されている。これら二つの燃料噴霧は、シリンダ13の軸方向にずれて形成されている。
また、第二燃料噴霧80も、複数の燃料噴霧からなっている。本実施形態では、第二燃料噴霧80は、二つの燃料噴霧からなっている。これら二つの燃料噴霧は、第一燃料噴霧70と同様、シリンダ13の軸方向にずれて形成されている。
このように、第一、第二燃料噴霧70、80がそれぞれ複数の燃料噴霧からなっている実施形態であっても、図5に示すように、圧縮行程期間中に燃料を噴射する場合、第一燃料噴霧70の点火部91寄りの燃料噴霧の中心線C11と誘導面33にて形成される天井壁17側のなす角度α1、およびピストン30寄りの燃料噴霧の中心線C12と誘導面33にて形成される天井壁17側のなす角度α2はいずれも鈍角となっている。
このため、圧縮行程期間中に燃料を噴射する場合、第一、第二燃料噴霧70、80はともに、点火部91に向かって進行する。これにより、成層燃焼に適した混合気を得ることができる。
図6に示すように、吸気行程期間中に燃料を噴射する場合、第二燃料噴霧80のうち、点火部91寄りの燃料噴霧の中心線C21と誘導面33にて形成される天井壁17側のなす角度β1、およびピストン30寄りの燃料噴霧の中心線C22と誘導面33にて形成される天井壁17側のなす角度β2はいずれも鋭角となっている。
このため、吸気行程期間中に燃料を噴射する場合、第一燃料噴霧70はタンブル流の流れに乗り、タンブル流を強化する。そして、第二燃料噴霧80は、誘導面33に衝突した後、タンブル流の流れに乗り、さらにタンブル流を強化する。これにより、燃料噴霧と吸入空気との混合性が高まり、均質燃焼に適した混合気を得ることができる。
成層燃焼時、均質燃焼時の燃焼室16内に発生する事象については、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
本実施形態のように、第一、第二燃料噴霧70、80をそれぞれ複数の燃料噴霧より形成させているので、吸入空気と接する燃料噴霧の表面積が一つの燃料噴霧より形成する場合に比べ増大する。このため、燃料噴霧の気化の進行が早くなり、吸入空気と燃料噴霧との混合性が向上する。
なお、本実施形態では、第一、第二燃料噴霧70、80がそれぞれ二つの燃料噴霧より形成されているが、三つ以上の燃料噴霧よりそれぞれの燃料噴霧70、80を形成させても良い。また、第一、第二燃料噴霧70、80のいずれかの燃料噴霧が複数の燃料噴霧より形成され、他方の燃料噴霧が単一の燃料噴霧より形成されていても良い。
さらに、本実施形態では、複数の燃料噴霧をシリンダ13の軸方向にずらして第一、第二燃料噴霧70、80を形成しているが、シリンダ13の径方向に複数の燃料噴霧をずらして第一、第二燃料噴霧70、80を形成しても良い。
10 エンジン(筒内直接噴射式内燃機関)、11 エンジン本体(本体)、12 シリンダブロック、13 シリンダ、14 第一の側部、15 第二の側部、16 燃焼室、17 天井壁、18 シリンダヘッド、19 吸気通路、20 吸気弁、30 ピストン、31 冠面、32 凹部、33 誘導面、40 燃料噴射弁、41 噴射部、42 燃料導入口、43 燃料通路、44 パイプ、49 弁ボデー、50 弁座、51 噴孔部材、52 噴孔、53 ニードル(弁部)、70 第一燃料噴霧、80 第二燃料噴霧、90 点火装置、91 点火部、100 制御装置

Claims (5)

  1. 筒状に形成され内部に燃焼室を形成するシリンダ、および前記シリンダの軸方向端部に形成されている天井壁に接続され、外部より前記燃焼室に吸入空気を供給する吸気通路を有する本体と、
    前記シリンダ内を軸方向に往復運動するピストンであって、前記燃焼室に晒される冠面に前記天井壁とは反対側に凹むように形成され、前記吸気通路より流入した吸入空気を沿わせて、前記燃焼室内に前記天井壁と前記冠面との間を往復するように旋回する吸入空気の流れを発生させる凹部を有するピストンと、
    前記燃焼室の側部に配置され、第一の運転状態のときの圧縮行程期間中、および第二の運転状態のときの吸気行程期間中に燃料を直接前記燃焼室に噴射する噴射部を有する燃料噴射弁であって、前記噴射部より燃料を噴射させることにより、前記天井壁側に第一燃料噴霧を形成するとともに、前記第一燃料噴霧よりも前記ピストン側に第二燃料噴霧を形成する燃料噴射弁と、
    前記天井壁の中央部より突き出て配置され、吸入空気と燃料噴霧との混合気を点火する点火部を有する点火装置と、を備え、
    前記圧縮行程期間中に燃料が噴射される場合では、前記第一燃料噴霧および前記第二燃料噴霧が前記ピストンの前記凹部に衝突し、その後、前記凹部に衝突した前記第一燃料噴霧および前記第二燃料噴霧が前記凹部の表面に沿って進行し、前記凹部の周縁部より前記点火部に向かい、
    前記吸気行程期間中に燃料が噴射される場合では、前記第一燃料噴霧が吸入空気の流れに乗るように、かつ前記第二燃料噴霧が前記ピストンの前記凹部に衝突し、その後、吸入空気の流れに乗るように、
    前記第一燃料噴霧および前記第二燃料噴霧の方向が設定され
    前記吸気通路は、前記シリンダの径方向外側から前記点火装置に向かうように前記燃焼室に接続され、前記燃料噴射弁は、前記吸気通路が形成されている側の前記シリンダの前記側部に前記噴射部が配置されるように前記本体に取り付けられており、
    前記冠面に設けられている凹部は、前記圧縮行程期間中に燃料を噴射する場合では、前記第一燃料噴霧を衝突させ、所定の方向に燃料噴霧を誘導し、前記吸気行程期間中に燃料を噴射する場合では、前記第二燃料噴霧を衝突させ、所定の方向に燃料噴霧を誘導する誘導する誘導面を有し、
    前記誘導面は、前記圧縮行程期間中に前記第一燃料噴霧が衝突する場合、前記第一燃料噴霧の中心線と前記誘導面にて形成される前記天井壁側の角度が鈍角となり、前記吸気行程期間中に前記第二燃料噴霧が衝突する場合、前記第二燃料噴霧の中心線と前記誘導面にて形成される前記天井壁側の角度が鋭角となっていることを特徴とする筒内直接噴射式内燃機関。
  2. 前記第一の運転状態は、低負荷または低回転の運転状態であり、前記第二の運転状態は、高負荷または高回転の運転状態であることを特徴とする請求項1に記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  3. 前記第一燃料噴霧は、複数の燃料噴霧から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  4. 前記第二燃料噴霧は、複数の燃料噴霧から構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  5. 請求項1からに記載の筒内直接噴射式内燃機関に用いられる燃料噴射弁であって、
    前記噴射部は、
    内部に燃料通路、前記燃料通路に連通し、噴射されることにより前記第一燃料噴霧、前記第二燃料噴霧を形成する複数の噴孔、および前記燃料通路に形成される弁座を有する噴孔部と、
    前記弁座に着座することにより前記複数の噴孔からの燃料の噴射を停止し、前記弁座から離座することにより前記複数の噴孔から燃料の噴射を行う弁部と、を備え、
    前記燃焼室内で前記第一燃料噴霧および前記第二燃料噴霧が形成されるように前記複数の噴孔が形成されていることを特徴とする燃料噴射弁。
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