JP5092587B2 - 皮膜つきノズルを有する逆浸透膜モジュール - Google Patents

皮膜つきノズルを有する逆浸透膜モジュール Download PDF

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Description

本発明は、脱塩等に用いられる逆浸透膜モジュールに関する発明である。特に本発明は、海水を淡水化する場合や酸性水溶液を処理する場合等、逆浸透膜の供給水、濃縮水、透過水の腐食性が高い状態であっても、供給水、濃縮水、透過水ノズルが腐食しにくく耐久性に優れる逆浸透膜モジュールを提供することを目的とする。
逆浸透法は、海水及びかん水の淡水化、半導体工業及び医薬品工業用の純水、超純水の製造、都市排水処理等の幅広い分野で利用されている。蒸発法、電気透析法と比較して省エネルギーの点で有利であり、広く普及が進んでいる。特に、中空糸型逆浸透膜は、単位容積当たりの膜面積を大きくできるため、膜分離操作に適した形状であり、例えば、逆浸透膜による海水淡水化分野では広く用いられている。以下、主に海水淡水化分野で使用される状況を例にとり、説明を行う。
逆浸透法で処理される場合は逆浸透膜モジュールが用いられる。一般には、供給水ノズルから供給された供給水は逆浸透膜モジュールへ供給され、逆浸透膜を透過した水は透過水ノズルから取りだされ、透過せずに濃縮された水は濃縮水ノズルから取り出される。図1は両端開口型中空糸膜エレメント2本(1、1’)を装填した逆浸透膜モジュールの断面模式図である。海水等の供給水12は供給水ノズル9から逆浸透膜モジュールの内部に供給され、中空糸膜エレメント1の内部を通過する間に、透過水14、14’と濃縮水13に分離され、それぞれ透過水ノズル11,11’および濃縮水ノズル10から逆浸透膜モジュールの外部に排出される。なお、図1においては、ノズルの詳細な形状は省略し、概略の形状を記載してある。
供給水ノズル、濃縮水ノズルは高塩濃度水と接触するために腐食により損傷しやすく、さらには、海水淡水化用逆浸透膜モジュールにおいては5〜10MPa程度の高い内圧に耐える必要があることから、耐食性と強度を兼ね備える材料として、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L等の耐腐食性ステンレスが主として用いられている。一方、透過水ノズルについては、耐圧性の要求レベルが低い低圧仕様あるいは超低圧仕様の逆浸透膜モジュールの一部では、透過水ノズルを硬質塩化ビニル樹脂製としたものがごく一部で用いられているが、金属配管との接続において強度が不十分なため変形・破損し水もれを起こす場合があり、その使用には注意が必要であった。要求レベルこそ供給水ノズルおよび濃縮水ノズルと比較すると低いものの、透過水ノズルについてもやはり耐食性と内圧に対する耐圧性が要求されるため、一般的には耐食性ステンレス等の材料が用いられている。耐食性ステンレスは、一般鋼材と比べると高価であり、また近年は需給状況が逼迫傾向にあり調達に時間を要する傾向にあるとの問題点がある。さらに、逆浸透膜による海水淡水化において、ペルシャ湾等の高塩濃度海水の海水淡水化処理や回収率の向上による濃縮水の高塩濃度化が進展しており、それに伴って従来よりも高いレベルでの耐食性が要求されるようになっており、SUS316製のノズルでさえも腐食が発生する場合があることがわかってきた。
特表平7−500281号公報
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、塩水との接触による腐食による損傷が発生せず、高い内圧に耐える逆浸透膜用ノズルおよびそれを有する逆浸透膜モジュールを提供することを目的とする。また、近年の耐食性ステンレスの価格高騰および長納期化に対する対応策として、一般鋼材製であっても実用上十分な耐久性を有する逆浸透膜用ノズルおよびそれを有する逆浸透膜モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を克服すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本願発明は下記の構成を有するものである。
(1)供給水、透過水、濃縮水の出入口となるノズルを有する逆浸透膜モジュールにおいて、該ノズルが抗張力強度400kg/cm以上でかつ、抗張力伸度200%以上、厚みが500μm以上800μm以下のナイロン系樹脂の皮膜を該ノズルの内外表面に有する金属部材からなることを特徴とする逆浸透膜モジュール。
(2)該皮膜が少なくともノズルの接液部に形成されていることを特徴とする(1)に記載の逆浸透膜モジュール。
(3)該ノズルが逆浸透膜モジュールに装脱着可能に嵌合されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の逆浸透膜モジュール。
(4)該逆浸透膜モジュールが海水淡水化用の逆浸透膜モジュールであることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の逆浸透膜モジュール。
(5)逆浸透膜が酢酸セルロース系高分子からなる中空糸型逆浸透膜からなることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の逆浸透膜モジュール。
(6)該ノズルをトリクレン蒸気で洗浄、脱脂した後、ショットプラストで脱錆し、次にプライマー皮膜を形成させ、350℃前後で予熱した後、ナイロン12粉体を浮遊流動させた流動浸漬槽内に浸漬することにより該ノズルの内外表面にナイロン樹脂の皮膜を形成したことを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の逆浸透膜モジュール。
逆浸透膜モジュールに抗張力強度が300kg/cm以上でかつ、抗張力伸度が200%以上の樹脂系の皮膜で被覆されているノズルを用いることにより、塩水による腐食による損傷を防止でき、かつ、金属配管との接続に際しての機械的損傷も抑制可能で、水漏れが防止可能である。特に、海水淡水化に用いる逆浸透膜モジュールに適するほか、酸性水溶液等の腐食性の強い液体を取り扱う逆浸透プロセスで用いられる逆浸透膜モジュールへの適用が好適である。
本発明における金属部材としては、炭素鋼やステンレス鋼等、配管材料として用いられている種々の公知の材料が好適に用いられる。耐食性は皮膜によって発揮されるので、金属部材自体が耐食性であることは必ずしも必要でなく、力学的な強度があれば十分である。例えば、錆が発生するので通常は水と接触する環境では使用しにくいSS400についても、本発明においては表面に耐久性の高い耐食性の皮膜を形成させるので使用可能であり、ステンレス鋼からなるものよりもコスト面で有利となる等の利点がある。一方、耐食性に関する高度の信頼性を要求され多重安全的な設計が必要な場合や微量の金属イオンの溶出も許されない場合には、ステンレス鋼等の耐食性の金属部材でノズルを形成しさらに樹脂系の皮膜で被覆することにより要求に応えることができ、このような態様も好ましい実施態様に含まれる。
本発明における樹脂系の材料は、海水等の浸透を防ぐことができるものであり、海水等の金属腐食性の溶液に対して、非腐食性で化学的に安定な樹脂系の材質であれば特に限定されない。2種類以上の異種の樹脂の混合物やポリマーアロイであってもよく、充填材を包含した複合材料であってもよい。充填材の材質は、無機物、有機物あるいはそれらの混合物等、種々のものがあるが、いずれのものであっても良い。また、充填材には繊維状、粒状、板状等の種々の形状があるが、いずれの形状であってもよい。充填材の配合量には特に制限はないが、1〜50%とすることが好適である。
本発明における樹脂系の材料としては、ナイロン系樹脂やフッ素系樹脂が好適な例として挙げられる。ナイロン系の樹脂の例としては、ナイロン11、ナイロン12などがあげられる。腐食性の溶液に対する耐性や強度、金属との密着性の面から、ナイロン系の樹脂が特に好ましい。
本発明における皮膜の形成方法としては、種々の公知の方法が適用できるが、例えば浸漬処理、スプレー処理、はけ塗り等の方法が例示できる。また、左記の処理に先立ち、種々の前処理を行うことができ、例えばアセトン等の有機溶剤によって皮膜が形成される金属の表面を脱脂することにより皮膜の密着性を高め皮膜の耐久性を高めることができる。また、後処理として乾燥や熱処理を施すことによって、皮膜の強度を高めることができる場合もある。さらに、皮膜を2層あるいはそれ以上の多層構造にすることによって、皮膜の強度や耐久性を向上させることも可能である。
本発明において、皮膜の厚みは200μm以上800μm以下であることが好ましい。このような厚みであれば、皮膜の耐久性が十分確保される。皮膜が薄すぎると、皮膜の耐久性が劣り、皮膜の破損を起こし金属部材の腐食および金属イオンの溶出を生じる恐れがあり、好ましくない。皮膜が厚すぎると、皮膜厚さの制御が難しく寸法精度の確保が困難であり、特に高い寸法精度を要求される嵌合構造を持つノズルの製作において不利となる。
本発明において、ノズル表面のうち、すべての接液部に皮膜が形成されていることが好ましい。逆浸透膜モジュールの使用状況を鑑みると、例えば逆浸透膜エレメントを交換する際等には通常の使用状態においては接液しない部位であっても海水等処理液体や膜エレメント保存液等が付着する可能性が有り、それによって腐食を発生する恐れがあるので、逆浸透膜モジュールの運転中には非接液部となる部位についても皮膜を形成することが、より好ましい。
本発明における皮膜の抗張力強度、抗張力伸度は、あらかじめノズルと同材質の平板にノズルに皮膜を形成する場合と同じ方法で形成した皮膜を剥離させ、ASTM D638により測定した値とする。抗張力強度は、この値が大きいほど流体の流動抵抗や摩擦力に対して皮膜の破断や剥離がしにくい。また抗張力伸度はこの値が大きいほど皮膜表面が伸び易く、寸法変化に対し寛容であり、曲げ加工性も優れている。
逆浸透膜モジュールに供給される海水は、使用される場所にもよるが概ね5℃〜40℃までの温度範囲を持ち、そのためにノズルには温度変化による膨張、収縮が生じる。また供給水、濃縮水は8MPa以上もの高圧である場合があり、内部流体圧力によるノズルの膨張、収縮が生じる。これらのノズルの膨張、収縮によりノズル表面の皮膜にも大きな引張り力が生じるため、皮膜には高い抗張力強度、抗張力伸度が必要となる。本発明で用いられる樹脂系の材料の抗張力強度は、好ましくは300kg/cm以上であり、より好ましくは400kg/cm以上であり、さらに好ましくは480kg/cm以上である。この値が小さいと、ノズルの膨張、収縮時にノズル表面の皮膜の割れや剥離などが生じやすくなり、シール部に割れや剥離が生じると水漏れを生じる原因となる。また樹脂系の材料の皮膜に割れや剥離などが生じて金属部材が露出すると、金属部材に腐食が生じ、水漏れあるいはノズル破損の原因となるので、そのような事態を招かないために、高い抗張力強度が必要である。本発明で用いられる樹脂系の材料の抗張力伸度は、好ましくは200%以上であり、より好ましくは300%以上であり、さらに好ましくは330%以上である。この値が小さいと金属部材の膨張、収縮に対して皮膜が追従せず、皮膜と金属部材との間にすき間が生じるため皮膜の割れ、剥離などが生じやすくなり、シール部に割れや剥離が生じると水漏れを生じる原因となる。また樹脂系の材料の皮膜に割れや剥離などが生じて金属部材が露出すると、金属部材に腐食が生じ、水漏れあるいはノズル破損の原因となるので、そのような事態を招かないために、高い抗張力伸度が必要である。
本発明は、逆浸透膜モジュールが装脱着可能に嵌合されているノズルを有する場合において、特に有効である。このタイプのノズルは、ノズルの装脱着の際に配管部材や工具との衝突を生じる機会が多く、また嵌合の際に嵌合相手と擦れるため、ノズル表面に傷がつきやすい。本発明によれば、抗張力伸度が高く皮膜の厚みを厚くすることが出来るため、少々の接触、衝撃であれば皮膜が裂けて金属部材が露出することを防ぐことができ、十分な耐久性を発揮することができる。
本発明において、ノズルと外部の金属配管との接続は、ビクトリックジョイント接続、フランジ接続、クランプ接続等の接続方法により行うことができ、ノズルの先端形状は接続方法に適した形状に加工される。ノズルと配管の装脱着の際には、ノズルと配管の衝突のほか、工具と衝突を生じる機会が多く、ノズル表面に傷がつきやすい。本発明によれば抗張力伸度が高く皮膜の厚みを厚くすることが出来るため、少々の接触、衝撃であれば皮膜が裂けて金属部材が露出することを防ぐことができ、十分な耐久性を発揮することができる。
本発明における逆浸透膜とは、数十ダルトンの分子量の分離特性を有する領域の分離膜であり、具体的には、0.5MPa以上の操作圧力で、食塩を90%以上、除去可能であるものである。海水淡水化に使用される逆浸透膜は、操作圧力が大きく、また、食塩の除去率は99%以上が一般的である。
本発明における逆浸透膜エレメントとは、圧力容器に装着し、供給水ノズル、濃縮水ノズル、透過水ノズルを設置することで、逆浸透膜モジュールとなるものである。圧力容器に装填される逆浸透膜エレメントの本数は特に限定されないが、一般的に1〜7本のものが知られている。各逆浸透膜エレメントの透過水が個別の透過水ノズルから取り出される構造の場合は、各逆浸透膜エレメントの劣化状況が反映された水質の透過水が透過水ノズルに接触するため、逆浸透膜エレメントの劣化が進んだ場合にはその膜エレメントからの透過水の塩濃度が上昇して腐食性が増すので本発明の効果が現れやすい一例となる。この場合のROモジュール内に装填される逆浸透膜エレメントの本数は2本以内が実用上好ましい。
本発明における酢酸セルロース系高分子としては、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、両者の混合物が例としてあげられる。塩除去性能および透水性能、また、性能の安定性等から三酢酸セルロースが好ましい。酢酸セルロース系高分子は耐塩素性に優れるため、供給水に殺菌剤として塩素を添加することが可能である。塩素を含む原水を逆浸透膜に供給すると、供給水、濃縮水、透過水にも塩素が混入する。塩素の混入は逆浸透膜モジュールの各ノズルの腐食性を増す傾向にあるので、本発明の効果がよく発揮される事例である。
本発明における中空糸膜とは中空糸状の膜であり、その寸法は限定されない。海水淡水化用の中空糸型逆浸透膜モジュールの場合には、中空糸膜外径は例えば100μmから300μm、中空糸膜内径は中空糸膜の内径と外径とから算出される中空率も考慮して設定することが好ましく、例えば30μmから150μmが好適な事例として挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
炭素鋼SS400からなる逆浸透膜モジュール用の供給水ノズルを、前処理としてトリクレン蒸気で洗浄・脱脂したのちショットプラストで脱錆し、次にその表面上に浸漬処理によってプライマー皮膜を形成させ、加熱炉で350℃前後で約10分間予熱した後、ナイロン12粉体を浮遊流動させた流動浸漬槽内に約10秒間浸漬して取り出し、冷却水槽内にて冷却をして、ナイロン樹脂からなる皮膜をノズルの内外表面に形成させた。皮膜の厚みは約500μmであった。
このノズルについて、以下の水漏れ試験を実施した。すなわち、ノズルとSUS316からなる金属配管をビクトリックジョイントで締結し、その後、ノズル内に10℃の水を充填し、内圧8MPaをかけ、10秒毎の発停を100回繰返し、水漏れ発生の有無を観察した。その後35℃の水をノズル内に充填し、同様の発停を行い、水漏れ発生の有無を観察した。水漏れ試験後も水漏れは発生せず、また、目視観察により接液部の皮膜に剥離は認められなかった。次いで、水漏れ試験を終えたノズルを金属配管とビクトリックジョイントで接合した状態で食塩5重量%の食塩水に6ケ月間接触させる腐食試験を実施した。いずれのノズルにも目視観察で接液部に腐食は観察されなかった。結果を表1にまとめて示した。
(実施例2および比較例1〜4)
種々の樹脂系の材料によって皮膜を形成した供給水ノズルを作製し、実施例1と同様の試験を実施した。結果を表1にまとめて示した。実施例2では、水漏れ試験後も水漏れは発生せず、また、目視観察により接液部の皮膜に剥離は認められなかった。比較例1〜4では水漏れ試験後の接液部のノズルの皮膜に、いずれの場合にも剥離が認められ、そのうちの一部において水漏れが発生した。また水漏れの有無にかかわらず腐食試験により腐食の発生が認められた。
(実施例3〜6)
種々の金属部材で形成した供給水ノズルに、実施例1と同様にして皮膜を形成し、実施例1と同様の試験を実施した。結果を表2にまとめて示した。いずれの場合も、水漏れ試験後の接液部のノズルの皮膜に剥離は認められず、腐食試験後のノズルに腐食は観察されなかった。
(実施例8)
三酢酸セルロース膜からなる中空糸型逆浸透膜を乾湿式紡糸法により作製し、外径120μm、内径47μmの中空糸膜を得た。この中空糸膜の脱塩性能を、3.5重量%の食塩水、中空糸膜有効長さ1m、供給水圧力5.4MPa、供給水温度25℃、回収率2%で測定したところ、透過水量56L/m/日、食塩除去率99.8%であった。多孔管からなる供給流体分配管をその軸を中心に回転させ、これに中空糸膜の束をトラバースさせながら巻きつけることにより、中空糸膜を交差状に配置させ、中空糸膜の集合体を形成させた。この中空糸膜の集合体の両端部をエポキシ樹脂で封止固定した後、両端を切断して中空糸膜を開口させた。その後、供給流体分配管の内部に内部管を通し、両端部に設置される透過流体収集部材で固定して、中空糸膜エレメントを得た。この中空糸膜エレメントの中空糸膜集合体の外径は260mm、開口部間の軸方向の長さは1310mmであった。
上記のようにして製作した中空糸膜エレメント2本を圧力容器に装填し、図1に示す膜モジュールを得た。図1では供給水ノズル9、濃縮水ノズル10、透過水ノズル11、11’のOリング溝およびビクトリックジョイント接続用溝は省略して記載した。また、供給水ノズル9、濃縮水ノズル10、透過水ノズル11、11’には実施例1と同様の方法で製作したものを装着した。この膜モジュールを用い、実海水を供給水として1年間にわたり海水淡水化テストを実施した。左記運転期間中、ノズル近傍からの水漏れは発生しなかった。また左記運転期間終了後、ノズルを取り外して点検したところ、供給水ノズル、濃縮水ノズルおよび透過水ノズルのいずれにも接液部の皮膜の剥離およびノズルの腐食は認められず、これらのノズルが高度な耐久性を持つことが実証された。
本発明の逆浸透膜モジュールは、透過水の腐食性が高い場合でも腐食による損傷が発生せず、なおかつ振動や接触にも耐える機械的強度を有するため、海水淡水化や酸性水溶液の逆浸透処理等への利用が可能である。
本発明の逆浸透膜モジュールの構造を示す断面模式図である。
符号の説明
1、1’:中空糸膜エレメント
2、2’:中空糸膜
3、3’:供給流体分配管
4a、4b、4a’、4b’:樹脂封止固定部
5a、5b、5a’、5b’:中空糸膜開口部
6a、6b、6a’、6b’:透過流体収集部
7、7’:内部管
8:圧力容器
9:供給水ノズル
10:濃縮水ノズル
11、11’:透過水ノズル
12:供給水
13:濃縮水
14、14’:透過水
15:O−リング
16:中間コネクタ

Claims (6)

  1. 供給水、透過水、濃縮水の出入口となるノズルを有する逆浸透膜モジュールにおいて、該ノズルが抗張力強度400kg/cm以上でかつ、抗張力伸度200%以上、厚みが500μm以上800μm以下のナイロン系樹脂の皮膜を該ノズルの内外表面に有する金属部材からなることを特徴とする逆浸透膜モジュール。
  2. 該皮膜が少なくともノズルの接液部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の逆浸透膜モジュール。
  3. 該ノズルが逆浸透膜モジュールに装脱着可能に嵌合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の逆浸透膜モジュール。
  4. 該逆浸透膜モジュールが海水淡水化用の逆浸透膜モジュールであることを特徴とする請求項1〜いずれかに記載の逆浸透膜モジュール。
  5. 逆浸透膜が酢酸セルロース系高分子からなる中空糸型逆浸透膜からなることを特徴とする請求項1〜いずれかに記載の逆浸透膜モジュール。
  6. 該ノズルをトリクレン蒸気で洗浄、脱脂した後、ショットブラストで脱錆し、次にプライマー皮膜を形成させ、350℃前後で予熱した後、ナイロン12粉体を浮遊流動させた流動浸漬槽内に浸漬することにより該ノズルの内外表面にナイロン樹脂の皮膜を形成したことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の逆浸透膜モジュール。
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