JP5092111B2 - ブトキシアニリン誘導体 - Google Patents

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本発明は、Na+/Ca2+交換体阻害薬として有用な新規ブトキシアニリン誘導体またはその薬学的に許容できる塩、およびそれらを含有する医薬に関する。
Na+/Ca2+交換体は、細胞内のナトリウムイオン濃度およびカルシウムイオン濃度を調節する細胞膜イオントランスポーターである。通常、この交換体は細胞膜を介するナトリウムイオンの濃度勾配を利用して、細胞内のカルシウムイオンを細胞外へ汲み出す役割を担っており、このカルシウムイオン輸送の方向をフォワードモードと呼ぶ。一方、虚血再灌流時等細胞内にナトリウムイオンが蓄積する特殊な状態では、細胞外のカルシウムイオンを細胞内に流入させる経路として働く。このカルシウムイオン輸送の方向をリバースモードと呼ぶ。
現在、Na+/Ca2+交換体は心筋、神経、腎尿細管、血管平滑筋等に多く発現していることが知られている。フォワードモードのNa+/Ca2+交換体(略称:fNCX)は、例えば正常心筋細胞では、興奮収縮連関におけるカルシウムイオン排出機構の一つとして働いている。一方、リバースモードのNa+/Ca2+交換体(略称:rNCX)は、上記の臓器や組織細胞において細胞内カルシウム過負荷を誘発し、例えば、虚血性心疾患、虚血性脳疾患、虚血性腎疾患、虚血再灌流障害、高血圧、不整脈、心不全等を引き起こすことが知られている。したがって、rNCXを阻害する薬物は、細胞内カルシウム過負荷に起因する上記の種々の病態を治療もしくは予防する医薬になると考えられる(非特許文献1、特許文献1、特許文献2)。
従来、Na+/Ca2+交換体阻害薬としては、例えば、2−フェノキシアニリン誘導体が、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7に、フェノキシピリジン誘導体が、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12および特許文献13に、イソチオウレア誘導体が特許文献14に、ベンジルオキシフェニル誘導体が特許文献15に、フェノキシアルキルアミン誘導体が特許文献16に、キナゾリン誘導体が特許文献17に、ピラゾロン誘導体が特許文献18に、ベンズイソセレンアゾロン誘導体が特許文献19に、アミノベンゼンスルホン酸誘導体が特許文献20に開示されている。しかし、これらのいずれの公報にも、本発明に係るブトキシアニリン誘導体についての記載は無い。
一方、特許文献21には、本発明のブトキシアニリン誘導体に最も近い化学構造と考えられる4−[3−(2−メトキシベンジルオキシ)プロポキシ]フェニルアミン(実施例6(f))が、レニン阻害薬の合成中間体として記載されているが、本発明のNa+/Ca2+交換体阻害作用に係る薬理活性は、特許文献21に記載の全ての化合物において言及されていない。
国際公開03/068263号パンフレット。 国際公開03/061700号パンフレット。 特開平10−218844号公報。 特開平10−245336号公報。 特開平10−324669号公報。 特開平11−193263号公報。 特開2000−355537号公報。 特開平10−265460号公報。 特開平11−049752号公報。 特開平11−092454号公報。 国際公開2004/000813号パンフレット。 国際公開03/006452号パンフレット。 国際公開2004/0063191号パンフレット。 特開平9−67336号公報。 国際公開02/32883号パンフレット。 特開平11−302235号公報。 特開平7−41465号公報。 特開2004−115511号公報。 国際公開04/000309号パンフレット。 国際公開03/009897号パンフレット。 国際公開2005/037803号パンフレット。 Blausteinら、「Sodium/Calcium Exchange:Its Physiological Implications」、フィジオロジカル レビューズ、米国、1999年、第79巻、第3号、P.763−854。
本発明の課題は、Na+/Ca2+交換体に対する阻害作用を有し、医薬品として有用な新規化合物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、優れたNa+/Ca2+交換体阻害作用を有する新規のブトキシアニリン誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩を創製し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)下記の一般式(I)で表されるブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩;
(2)下記の一般式(I)で表されるブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を含有する医薬;
(3)下記の一般式(I)で表されるブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩の医薬製造のための使用;
(4)下記の一般式(I)で表されるブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を含有する、細胞内のカルシウム過負荷に誘発される疾患の治療薬および/または予防薬に関する。
Figure 0005092111
(式中の記号は以下の意味を示す。
Ar:フェニル基または芳香族複素環基を示す。
D:単結合またはメチレンを示す。
1:水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシもしくは低級アルキルチオで置換された低級アルキル基、またはOR5で表される置換基を示す。
2、R3:水素原子、または一緒になって−(CH22−を示す。
4:ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示す。ただし、nが2以上の整数であるとき、それぞれのR4は同一または異なっていてもよい。
5:低級シクロアルキル基、1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基、芳香環、低級アルキルチオ基、低級アルコキシ基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシカルボニル基およびカルバモイル基から選ばれる置換基を有していてもよい直鎖または分岐鎖状の低級アルキル基、
低級シクロアルキル基、
または1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基を示す。
n:0〜3の整数を示す。
点線部:単結合、二重結合または三重結合を示す。)
本発明化合物(I)およびその薬学的に許容しうる塩は、優れたNa+/Ca2+交換体阻害作用を有することから、細胞内のカルシウム過負荷に誘発される疾患、特に、心筋梗塞のような虚血性心疾患、脳梗塞のような虚血性脳疾患、虚血性腎疾患、高血圧、不整脈あるいは心不全の治療薬および/または予防薬として有用である。加えて、血栓溶解療法、血管形成術、冠動脈バイパス術、臓器移植等の外科的処置時の細胞保護薬として有用である。
本発明の一般式(I)中のArは、フェニル基または芳香族複素環基を示す。Arで示される芳香族複素環基としては、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を1〜3個含む5〜6員の芳香環基を示し、有機化学上許容しうる結合位置にてDと結合することができる。具体的には例えば、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等が挙げられる。Arとしては、好ましくは、フェニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。さらに好ましくは、フェニル基、チエニル基であり、特に好ましくは、フェニル基である。
Dは、単結合またはメチレンを示し、特に好ましくはメチレンである。
1で示される低級アルキル基としては、炭素数が1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、および炭素数3〜8の環状アルキル基が挙げられる。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数が1〜4の直鎖状のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
1の低級アルキル基に置換しうる低級アルコキシ基としては、炭素数が1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基、および炭素数3〜8の環状アルキルオキシ基が挙げられる。具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、1−メチルブトキシ基、2−メチルブトキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、1−エチルプロポキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等が挙げられる。好ましくは、炭素数が1〜4の直鎖状のアルコキシ基であり、さらに好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
1の低級アルキル基に置換しうる低級アルキルチオ基としては、炭素数が1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキルチオ基、および炭素数3〜8の環状アルキルチオ基が挙げられる。具体的には例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、tert−ペンチルチオ基、1−メチルブチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、1,2−ジメチルプロピルチオ基、1−エチルプロピルチオ基、ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基、シクロオクチルチオ基等が挙げられる。好ましくは、炭素数が1〜4の直鎖状のアルキルチオ基であり、さらに好ましくは、メチルチオ基である。
従って、R1で示される低級アルコキシもしくは低級アルキルチオで置換された低級アルキル基としては、具体的には例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、プロピルチオメチル基、1−メチルチオエチル基、2−メチルチオエチル基等が挙げられる。好ましくは、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基等が挙げられ、さらに好ましくは、エトキシメチル基、メチルチオメチル基である。
1としては、低級アルキル基、低級アルコキシもしくは低級アルキルチオで置換された低級アルキル基、またはOR5で表される置換基が好ましく、OR5で表される置換基が特に好ましい。
1がOR5で表される置換基である場合のR5としては、直鎖または分岐鎖状の低級アルキル基、低級シクロアルキル基、1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基を示す。
5で示される直鎖または分岐鎖状の低級アルキル基としては、炭素数が1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基である。この低級アルキル基は、低級シクロアルキル基、1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基、芳香環、低級アルキルチオ基、低級アルコキシ基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシカルボニル基およびカルバモイル基から選ばれる置換基を有することができる。
5の低級アルキル基に置換しうる低級シクロアルキル基としては、炭素数3〜8の環状アルキル基を示す。具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。特に好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
5の低級アルキル基に置換しうる1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基としては、3員〜8員の複素環基、例えば、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、オキセパニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
5の低級アルキル基に置換しうる芳香環とは、フェニル基または芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基としては、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を1〜3個含む5〜6員の芳香環が挙げられる。具体的には例えば、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等が挙げられる。好ましくは、フェニル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基である。また、フェニル基または芳香族複素環基は、無置換もしくは1〜3個の置換基が有機化学上許容しうる位置にて置換されていてもよい。置換基は、同一または異なっていてもよく、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、フェニル基から選択することができる。低級アルキル基および低級アルコキシ基は、上記R1にて定義した低級アルキル基および低級アルコキシ基と同義であり、ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。フェニル基または芳香族複素環基上の好ましい置換基は、メチル基、フェニル基である。
5の低級アルキル基に置換しうる低級アルキルチオ基は、上記R1にて定義した低級アルキルチオ基と同義である。
5の低級アルキル基に置換しうる低級アルコキシ基は、上記R1にて定義した低級アルコキシ基と同義である。
5の低級アルキル基に置換しうる低級アルケニル基は、不飽和二重結合を有する炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルケニル基を示す。具体的には例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜4の直鎖状のアルケニル基であり、特に好ましくは、ビニル基である。
5の低級アルキル基に置換しうる低級アルキニル基は、不飽和三重結合を有する炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキニル基を示す。具体的には例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜4の直鎖状のアルキニル基であり、特に好ましくは、エチニル基である。
5の低級アルキル基に置換しうる低級アルコキシカルボニル基は、炭素数2〜8の直鎖または分岐鎖状のアルコキシカルボニル基および炭素数3〜8の環状アルコキシカルボニル基を示す。具体的には例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、1−メチルブトキシカルボニル基、2−メチルブトキシカルボニル基、1,2−ジメチルプロポキシカルボニル基、1−エチルプロポキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロブチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘプチルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基等が挙げられる。特に好ましくは、tert−ブトキシカルボニル基である。
5の低級アルキル基に置換しうるカルバモイル基は、その窒素原子が1〜2個の低級アルキル基で置換されていてもよく、また、窒素上の置換基が環状構造をなしていてもよい。その場合、環内に窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を含んでいてもよい。カルバモイル基の窒素原子に置換しうる低級アルキル基は、上記R1にて定義した低級アルキル基と同義である。具体的には例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−イソプロピルカルバモイル基、N−シクロプロピルカルバモイル基、N−シクロブチルカルバモイル基、N−シクロペンチルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N,N−ジイソプロピルカルバモイル基、N−エチル−N−メチルカルバモイル基、ピロリジン−1−イルカルボニル基、ピペリジン−1−イルカルボニル基、アゼパン−1−イルカルボニル基、アゾカン−1−イルカルボニル基、モルホリン−4−イルカルボニル基等が挙げられる。好ましくは、アゼパン−1−イルカルボニル基である。
5で示される低級シクロアルキル基としては、炭素数3〜8の環状アルキル基が挙げられる。具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。特に好ましくは、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
また、R5で示される1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基としては、3員〜8員の複素環基、例えば、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、オキセパニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
5としては、低級シクロアルキル基、1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基、芳香環、低級アルキルチオ基、低級アルコキシ基、低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル基およびカルバモイル基から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、または低級シクロアルキル基が好ましい。特に好ましくは、低級シクロアルキル基、低級アルキルチオ基および低級アルケニル基から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、または低級シクロアルキル基である。
2およびR3は、それぞれ水素原子を示すか、または一緒になって−(CH22−を示す。特に好ましくは水素原子である。
4のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が特に好ましい。
4の低級アルキル基は、上記R1にて定義した低級アルキル基と同義である。
4の低級アルコキシ基は、上記R1にて定義した低級アルコキシ基と同義である。
4としては、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基または低級アルコキシ基が好ましい。特に好ましくは、ハロゲン原子である。上記置換基はArの任意の位置に結合していてもよく、nが2以上の整数であるとき、それぞれのR4は同一または異なっていてもよい。
nは、0〜3の整数を示し、好ましくは、0〜2であり、特に好ましくは1〜2である。
点線部は、単結合、二重結合または三重結合を示す。点線部が二重結合を示す場合は、シス−トランス異性体が存在するが、トランス異性体が特に好ましい。また、R2およびR3が、一緒になって−(CH22−を示す場合は、単結合が好ましい。
上記一般式(I)中、
Figure 0005092111
で表される構造としては、次式
Figure 0005092111
で表される構造が好ましい。このうち、特に上記(A1)、(A2)および(A3)で表される構造が好ましい。
本発明化合物(I)中、特に好ましい化合物として、例えば以下の化合物が挙げられる。
2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン、
5−アリルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
(E)−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブタ−2−エニルオキシ]−5−エトキシアニリン、
2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブタ−2−イニルオキシ]−5−エトキシアニリン、
2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−プロポキシアニリン、
2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−プロピルアニリン、
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン、
5−エトキシ−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
2−[4−(2−クロロ−5−フルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン、
5−ブトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
5−シクロプロピルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
5−シクロブチルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
5−シクロブチルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−イソプロポキシアニリン、
5−sec−ブトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
5−シクロペンチルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
5−シクロペンチルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
5−シクロヘキシルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
5−シクロヘキシルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン
2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−(2−メチルチオエトキシ)アニリン、
2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−ヘキシルオキシアニリン、
2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−ペンチルオキシアニリン、
1−[3−アミノ−4−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]フェノキシ]酢酸 tert−ブチル。
本発明化合物(I)は、置換基の種類によっては立体異性体が存在する場合があるが、特に断りのない限り、これら立体異性体の混合物および単離されたものを全て包含する。
また、本発明化合物(I)は、置換基の種類によってはオレフィン二重結合に基づくシス−トランス異性体が存在する場合があるが、特に断りのない限り、シス異性体およびトランス異性体、あるいはそれらの混合物をも全て包含する。
また、本発明には、本発明化合物(I)を放射性同位元素でラベル化した化合物を包含する。
また、本発明には、本発明化合物(I)の薬学的に許容しうる塩を包含する。具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸や、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、またはグルタミン酸塩等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。
さらに、本発明には、本発明化合物(I)およびその薬学的に許容しうる塩の水和物、各種溶媒和物および結晶多形が全て包含される。
本発明の一般式(I)で表されるブトキシアニリン誘導体の製造法としては、例えば以下の方法が挙げられるが、本発明化合物の製造方法はこれらにより何ら制限されるものではない。


Figure 0005092111
[式中、Ar、D、R1、R2、R3、R4、nおよび点線部は上記と同義であり、Xはフッ素原子または塩素原子、Yは脱離基または水酸基を示す。]
本製造法は、上記反応式で示されるように、式(a)で示されるアルコール誘導体の、式(b)で示される2位に脱離基を有するニトロベンゼン誘導体に対する求核置換反応、あるいは式(c)で示されるアルコール誘導体の、式(d)で示されるYを有する化合物に対する求核置換反応のいずれかの方法により製造した式(e)で示されるブトキシニトロベンゼン誘導体を、還元することにより本発明化合物(I)を製造する方法である。
工程1の求核置換反応は、化合物(a)と化合物(b)を等モルないし一方を過剰量用い、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の反応に不活性な溶媒(好ましくはDMF)中、0℃から還流温度の反応温度下に、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシド等の金属塩塩基の存在下に行うことができる。また、必要に応じマイクロ波の照射下に反応を行うこともできる。
工程2の求核置換反応は、Yが脱離基、例えば、塩素原子または臭素原子のようなハロゲン、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等である場合には、工程1に準じて行い、化合物(e)を得ることができる。また、Yが水酸基を示す場合には、光延反応条件下にて行うことができる(Mitsunobu、シンセシス、1981年、P.1)。例えば、エーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の反応に不活性な溶媒中、トリフェニルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン等の有機ホスフィン、およびアゾジカルボン酸エチル等のアゾジカルボン酸エステルまたは1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)等のアゾジカルボン酸アミドの存在下、0℃から還流温度の反応温度にて行うことができる。
工程3の還元反応は、ニトロ基をアミノ基に還元する反応であれば、いずれの反応でも用いることができるが、式(e)で示される化合物の他の官能基の性質を考慮して反応条件を選択する必要がある。好適な還元試薬の例としては、水素ガス−パラジウム活性炭素エチレンジアミン複合体、鉄粉−塩化アンモニウム、塩化鉄(III)六水和物−ヒドラジン一水和物−活性炭素が挙げられる。反応は、使用する還元剤によっても異なるが、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、DMF、水等の反応に不活性な溶媒を単独または混合して用いることができ、0℃から還流温度の反応温度にて行われる。
なお、式(a)で示される化合物は、以下の反応式で示される工程を経て製造することができる。
Figure 0005092111
[式中、Ar、D、R1、R2、R3、R4、n、点線部およびYは上記と同義である。]
工程4は、式(f)で示されるアルコール誘導体の、式(d)で示される化合物に対する求核置換反応である。式(d)のYが脱離基の場合は、工程1に準じて反応を行うことができる。また、Yが水酸基の場合は、工程2の光延反応条件に準じて反応を行うことができる。
また、式(c)で示される化合物は、以下の反応式で示される工程を経て製造することができる。
Figure 0005092111
[式中、R1、R2、R3、点線部、XおよびYは上記と同義であり、Zは水酸基の保護基を示す。]
工程5に用いられる原料化合物(g)は、上記の化合物(f)の一方の水酸基を保護基Zで保護することによって得られる。保護基Zは、例えばGreeneおよびWuts著、「Protective Groups in Organic Synthesis(Third Edition)」に記載の保護基から適宜選択することができる。好ましくは、テトラヒドロピラニル基やtert−ブチルジメチルシリル基を挙げることができる。
工程5は、化合物(g)の化合物(b)に対する求核置換反応であり、工程1に準じて行うことができる。
工程6の脱保護反応は、化合物(h)の保護基の種類および他の官能基の性質を考慮して、反応条件を適宜選択することができる。例えば、水酸基をテトラヒドロピラニル基で保護した化合物は、アルコール系溶媒もしくはエーテル系溶媒等の反応に不活性な溶媒中、0℃から還流温度の反応温度下に、酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸等の酸の存在下に行うことができる。また、水酸基をtert−ブチルジメチルシリル基で保護した化合物は、エーテル系溶媒、アセトニトリル等の反応に不活性な溶媒中、0℃から還流温度の反応温度下に、テトラブチルアンモニウムフルオリドやフッ化水素−ピリジン錯体等の存在下に行うことができる。
Figure 0005092111
[式中、Ar、D、R1、R2、R3、R4、R5、n、点線部、YおよびZは上記と同義である。]
また、本発明化合物(I)のR1がOR5である時、化合物(I)は上記反応式で示される工程を経て製造することができる。
工程7に用いられる原料化合物(i)は、上記化合物(e)のR1が保護基で保護された水酸基に置換した化合物であり、工程1または工程2に準じて製造することができる。水酸基の保護基Zは、例えばGreeneおよびWuts著、「Protective Groups in Organic Synthesis(Third Edition)」に記載の保護基から適宜選択することができる。好ましくはアリル基を挙げることができる。
工程7の脱保護反応は、化合物(i)の保護基の種類および他の官能基の性質を考慮して、反応条件を適宜選択することができる。例えば、水酸基をアリル基で保護した化合物は、エーテル系溶媒等の反応に不活性な溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の触媒と、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムの存在下、0℃から還流温度の反応温度下に行うことができる。
工程8は、式(j)で示されるフェノール誘導体の、式(k)で示されるYを有する化合物に対する求核置換反応である。式(k)のYが脱離基の場合は、工程1に準じて反応を行うことができる。また、Yが水酸基の場合は、工程2の光延反応条件に準じて反応を行うことができる。
工程9は、式(l)で示されるニトロベンゼン誘導体の還元反応であり、工程3に準じて行うことができる。
このようにして製造された本発明化合物は、再結晶やカラムクロマトグラフィー等の慣用的手段により、遊離のまま、または常法による塩形成処理を施し、その塩として、単離・精製することができる。
本発明化合物(I)およびその薬学的に許容しうる塩は、下記試験例に示すように、強力なrNCX阻害作用を有することから、ヒトを含む哺乳動物における細胞内のカルシウム過負荷に誘発される疾患、特に、心筋梗塞のような虚血性心疾患、脳梗塞のような虚血性脳疾患、虚血性腎疾患、高血圧、不整脈あるいは心不全の治療薬および/または予防薬として有用である。加えて、血栓溶解療法、血管形成術、冠動脈バイパス術、臓器移植等の外科的処置時の細胞保護薬として有用である。
本発明化合物(I)およびその薬学的に許容しうる塩を含有する医薬は、本発明化合物の1種以上と、通常製剤化に用いられる、薬剤用担体、賦形剤、その他添加剤を用いて、常法によって医薬組成物とすることができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、あるいは静注、筋注等の注射剤、坐剤、経鼻剤、経粘膜剤、経皮剤、あるいは吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。投与量は対象とする疾患や症状、投与対象の年齢、体重、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。通常、経口投与の場合、成人1日当たりの投与量は、約0.0001〜50mg/kg、好ましくは約0.001〜10mg/kgが適当で、さらに好ましくは0.01〜1mg/kgが適当であり、これを1回で、あるいは2〜4回に分けて投与する。また、静脈投与される場合は、通常、成人1日の投与量は体重あたり約0.0001〜1mg/kg、好ましくは約0.0001〜0.1mg/kgが適当で、1日1回〜複数回に分けて投与する。また、本発明化合物を含有する医薬組成物には、本発明の目的に反しない限り、その他のNa+/Ca2+交換体阻害薬または別種の薬効成分を適宜含有させてもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1つまたはそれ以上の活性物質が、少なくとも1つの不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な賦形剤以外の添加物、例えば滑沢剤、崩壊剤、安定化剤、溶解剤または溶解補助剤等を含んでいてもよい。錠剤または丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣または胃溶性もしくは腸溶性のフィルムで被覆してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、またはエリキシル剤等を含むことができ、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールを含むことができる。その組成物は不活性な希釈剤以外の添加物、例えば湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、または防腐剤を含んでいてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性もしくは非水性の溶液剤、懸濁剤、または乳濁剤を含むことができる。水溶性の溶液剤または懸濁剤には、希釈剤として、例えば注射用蒸留水および生理食塩水等を含むことができる。非水溶性の溶液剤または懸濁剤には、希釈剤として、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、またはポリソルベート80等を含むことができる。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解剤、溶解補助剤等のような補助剤を含んでいてもよい。これらは、例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化することができる。また、無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
以下、実施例および参考例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
[参考例1]4−フルオロ−3−ニトロフェノール(参考化合物1)
4−フルオロフェノール(102.9g)をジクロロメタン(1L)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン(153mL)、クロロギ酸エチル(108mL)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、析出した不溶物を濾去し、濾液を減圧下に溶媒留去した。得られた残渣をジエチルエーテルに再溶解した溶液と、先に濾去した不溶物を水に再溶解したものをジエチルエーテルにて抽出した有機層と合わせて、水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去し、4−フルオロフェニル メチル カルボナートを得た。このものに、濃硫酸(470mL)を、反応液温度が10℃以下を保つように加え、さらに発煙硝酸(47mL)を、反応液温度が0℃以下を保つように加え、−10℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を氷水に注ぎ、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、メタノール(800mL)に溶解し、水(400mL)、炭酸水素ナトリウム(154.17g)を加え、加熱還流下に攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却し、減圧下に溶媒を留去して得られた残渣に、水および6mol/L塩酸を加えて酸性とし、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)にて精製し、標題化合物(32.59g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:5.58(1H,s),7.12−7.17(2H,m),7.52(1H,dd,J=2.9,5.9Hz).
[参考例2]5−エトキシ−2−フルオロニトロベンゼン(参考化合物2)
参考化合物1(15.70g)をアセトン(100mL)に溶解し、これに炭酸カリウム(15.28g)とヨードエタン(8.8mL)を加え、加熱還流下に攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却し、減圧下に濃縮して得られた残渣に1mol/L塩酸を加え、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、標題化合物(15.58g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.45(3H,t,J=7.0Hz),4.06(2H,q,J=7.0Hz),7.11−7.23(2H,m),7.51(1H,dd,J=3.0,5.8Hz).
[参考例3〜6]
以下、参考例2と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した参考化合物3〜6を表1に示す。
Figure 0005092111
[参考例7]4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブタノール(参考化合物7)
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(3.20g、60%油懸濁状)をDMF(60mL)に懸濁し、氷冷下に、1,4−ブタンジオール(7.1mL)を加え、15分間攪拌した。ここに、2,5−ジフルオロベンジルブロミド(5.1mL)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣に水を加えてジエチルエーテルにて抽出した。有機層を、水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製し、標題化合物(7.84g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.62−1.82(5H,m),3.57(2H,t,J=5.9Hz),3.67(2H,dt,J=2.8,5.6Hz),4.55(2H,s),6.92−7.00(2H,m),7.10−7.16(1H,m).
[参考例8〜12]
以下、参考例7と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した参考化合物8〜12を表2に示す。
Figure 0005092111
[参考例13]4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタノール(参考化合物13)
4−ベンジルオキシブタノール(18.65g)をジクロロメタン(100mL)に溶解し、ここに3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(10.4mL)、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.38g)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタン層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して得た残渣をメタノール(50mL)に溶解し、ここに水酸化パラジウム活性炭素(1.00g)を加え、水素雰囲気下に室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、触媒を濾去し、得られた濾液を減圧留去し、残渣を蒸留(105〜107℃/1.5mmHg)して、標題化合物(10.54g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.58−1.74(10H,m),3.41−3.55(1H,m),3.68−3.72(5H,m),3.78−3.90(1H,m).
[参考例14]trans−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキサノール(参考化合物14−1)、
cis−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキサノール(参考化合物14−2)
1,4−シクロヘキサンジオール(25.58g、1H−NMRよりシス:トランス=57:43)をDMF(150mL)に溶解し、氷冷下にてtert−ブチルジメチルシリルクロリド(33.2g)、トリエチルアミン(30.7mL)、N,N−ジメチルアミノピリジン(1.34g)を加え、氷冷下に攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1〜3:1)にて精製し、trans−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキサノール(9.00g)、およびcis−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキサノール(11.27g)を得た。
trans異性体(参考化合物14−1)
1H−NMR(CDCl3)δ:0.05(6H,s),0.88(9H,s),1.26−1.44(4H,m),1.83−1.96(4H,m),3.59−3.72(2H,m).
cis異性体(参考化合物14−2)
1H−NMR(CDCl3)δ:0.04(6H,s),0.89(9H,s),1.42−1.80(8H,m),3.63−3.71(1H,m),3.78−3.83(1H,m).
[参考例15]2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシニトロベンゼン(参考化合物15)
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(0.530g、60%油懸濁状)をDMF(22mL)に懸濁し、氷冷下に、参考化合物7(2.38g)のDMF(11mL)溶液を加えた。15分間攪拌した後、参考化合物2(2.04g)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣に水を加え、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1〜8:1)にて精製し、標題化合物(3.03g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.41(3H,t,J=7.0Hz),1.78−1.98(4H,m),3.60(2H,t,J=6.0Hz),4.02(2H,q,J=7.0Hz),4.09(2H,t,J=6.1Hz),4.54(2H,s),6.88−7.15(5H,m),7.35(1H,d,J=3.1Hz).
[参考例16〜19]
以下、参考例15と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した参考化合物16〜19を表3に示す。
Figure 0005092111
[参考例20]trans−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−4−(4−エトキシ−2−ニトロフェノキシ)シクロヘキサン(参考化合物20)
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(1.07g、60%油懸濁状)をDMF(55mL)に懸濁し、氷冷下に、参考化合物14−1(5.13g)のDMF(10mL)溶液を加えた。20分間攪拌した後、参考化合物2(4.13g)のDMF(10mL)溶液を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣に水を加え、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、標題化合物(7.19g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.05(6H,s),0.89(9H,s),1.35−1.46(2H,m),1.41(3H,t,J=7.0Hz),1.59−1.70(2H,m),1.85−1.94(2H,m),2.00−2.10(2H,m),3.80−3.87(1H,m),4.01(2H,q,J=7.0Hz),4.33−4.40(1H,m),7.00(1H,d,J=9.2Hz),7.05(1H,dd,J=2.9,9.2Hz),7.31(1H,d,J=2.9Hz).
[参考例21]trans−4−(4−アリルオキシ−2−ニトロフェノキシ)−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキサン(参考化合物21)
参考化合物14−1(2.52g)と参考化合物3(2.16g)から、参考例20と同様の方法にて、標題化合物(3.88g)を製造した。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.05(6H,s),0.89(9H,s),1.38−1.67(4H,m),1.86−2.07(4H,m),3.80−3.87(1H,m),4.34−4.41(1H,m),4.51−4.54(2H,m),5.29−5.45(2H,m),5.96−6.08(1H,m),7.01(1H,d,J=9.3Hz),7.08(1H,dd,J=2.9,9.3Hz),7.34(1H,d,J=2.9Hz).
[参考例22]4−(4−エトキシ−2−ニトロフェノキシ)ブタノール(参考化合物22)
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(2.40g、60%油懸濁状)をDMF(80mL)に懸濁し、氷冷下に、参考化合物13(7.80g)のDMF(20mL)溶液を加えた。20分間攪拌した後、参考化合物2(9.25g)のDMF(50mL)溶液を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣に1mol/L塩酸(50mL)およびメタノール(50mL)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、溶媒を減圧留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:2)にて精製し、標題化合物(6.58g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.41(3H,t,J=7.0Hz),1.73−1.82(2H,m),1.88−1.97(2H,m),3.73(2H,t,J=6.2Hz),4.02(2H,q,J=7.0Hz),4.10(2H,t,J=6.0Hz),7.01(1H,d,J=9.2Hz),7.08(1H,dd,J=3.1,9.2Hz),7.37(1H,d,J=3.1Hz).
[参考例23]trans−4−(4−エトキシ−2−ニトロフェノキシ)シクロヘキサノール(参考化合物23)
参考化合物20(7.19g)をTHF(50mL)に溶解し、1mol/Lテトラブチルアンモニウムフルオリド−THF溶液(18.2mL)を加え室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1〜1:1)にて精製し、標題化合物(5.01g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.37−1.72(4H,m),1.41(3H,t,J=7.0Hz),1.98−2.13(4H,m),3.82−3.90(1H,m),4.02(2H,q,J=7.0Hz),4.28−4.36(1H,m),7.02(1H,d,J=9.0Hz),7.06(1H,dd,J=2.6,9.0Hz),7.31(1H,d,J=2.6Hz).
[参考例24]trans−4−(4−アリルオキシ−2−ニトロフェノキシ)シクロヘキサノール(参考化合物24)
参考化合物21(3.88g)から、参考例23と同様の方法にて、標題化合物(2.62g)を製造した。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.39−1.72(4H,m),1.98−2.14(4H,m),3.83−3.91(1H,m),4.30−4.37(1H,m),4.51−4.54(2H,m),5.29−5.45(2H,m),5.96−6.08(1H,m),7.03(1H,d,J=9.2Hz),7.09(1H,dd,J=3.0,9.2Hz),7.34(1H,d,J=3.0Hz).
[参考例25]2−[4−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシニトロベンゼン(参考化合物25)
アルゴン雰囲気下に、参考化合物22(0.127g)をDMF(5mL)に溶解し、水素化ナトリウム(0.027g、60%油懸濁状)を加え、室温にて15分間攪拌した。ここに、2,6−ジフルオロベンジルブロミド(0.104mL)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製し、標題化合物(0.120g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.41(3H,t,J=7.0Hz),1.73−1.93(4H,m),3.57(2H,t,J=6.0Hz),4.02(2H,q,J=7.0Hz),4.05(2H,t,J=6.2Hz),4.59(2H,dd,J=1.4,1.4Hz),6.84−6.94(2H,m),6.97(1H,d,J=9.0Hz),7.06(1H,dd,J=3.0,9.0Hz),7.21−7.32(1H,m),7.35(1H,d,J=3.0Hz).
[参考例26〜27]
以下、参考例25と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した参考化合物26〜27を表4に示す。
Figure 0005092111
[参考例28]4−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−3−ニトロフェノール(参考化合物28)
アルゴン雰囲気下、参考化合物16(2.00g)をTHF(40mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(0.321g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.588g)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、不溶物を濾去し、濾液を減圧下溶媒留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜2:1)にて精製することにより、標題化合物(1.21g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.81−1.96(4H,m),3.60(2H,t,J=6.0Hz),4.08(2H,t,J=6.1Hz),4.54(2H,s),5.13(1H,s),6.91−7.04(2H,m),6.96(1H,d,J=9.0Hz),7.02(1H,dd,J=2.9,9.0Hz),7.10−7.16(1H,m),7.33(1H,d,J=2.9Hz).
[参考例29]trans−4−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)シクロヘキシルオキシ]−3−ニトロフェノール(参考化合物29)
参考化合物27(2.32g)から、参考例28と同様の方法にて、標題化合物(1.73g)を製造した。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.53−1.72(4H,m),2.01−2.12(4H,m),3.56−3.62(1H,m),4.36−4.43(1H,m),4.56(2H,s),5.34(1H,s),6.88−7.04(4H,m),7.14−7.19(1H,m),7.30(1H,dd,J=0.9,2.6Hz).
[参考例30]2−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−1,3−ジオキソラン(参考化合物30)
4−フルオロ−3−ニトロベンズアルデヒド(1.90g)をトルエン(50mL)に溶解し、これにエチレングリコール(0.617mL)と触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、ディーン−スターク型水分トラップにて水分を除去しながら、加熱還流下に攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却し、炭酸水素ナトリウムを加えて室温にて10分間攪拌した後、不溶物を濾去して得られた濾液を、減圧下に溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜3:1)にて精製し、標題化合物(2.17g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:4.04−4.16(4H,m),5.84(1H,s),7.31(2H,dd,J=8.6,10.5Hz),7.74(1H,ddd,J=2.2,4.4,8.6Hz),8.20(1H,dd,J=2.2,7.2Hz).
[参考例31]2−[4−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−3−ニトロフェニル]−1,3−ジオキソラン(参考化合物31)
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(0.24g、60%油懸濁状)をDMF(20mL)に懸濁し、氷冷下に、参考化合物7(1.07g)のDMF(5mL)溶液を加えた。20分間攪拌した後、参考化合物30(1.08g)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1〜4:1)にて精製し、標題化合物(1.33g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.69−1.99(4H,m),3.60(2H,t,J=6.0Hz),4.01−4.15(4H,m),4.16(2H,t,J=6.2Hz),4.54(2H,s),5.79(1H,s),6.88−7.03(2H,m),7.06(1H,d,J=8.6Hz),7.10−7.15(1H,m),7.60(1H,dd,J=2.2,8.6Hz),7.96(1H,d,J=2.2Hz).
[参考例32]4−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−3−ニトロベンズアルデヒド(参考化合物32)
参考化合物31(1.22g)をアセトン(15mL)に溶解し、触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜2:1)にて精製して、標題化合物(0.987g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.80−2.06(4H,m),3.61(3H,t,J=5.9Hz),4.26(2H,t,J=6.1Hz),4.54(2H,s),6.91−7.02(2H,m),7.08−7.13(1H,m),7.19(1H,d,J=8.8Hz),8.05(1H,dd,J=2.2,8.8Hz),8.33(1H,d,J=2.2Hz),9.93(1H,s).
[参考例33]4−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−3−ニトロベンジルアルコール(参考化合物33)
参考化合物32(0.887g)をエタノール(10mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(0.103g)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=4:1)にて精製し、標題化合物(0.844g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.69−2.04(4H,m),3.60(3H,t,J=6.0Hz),4.15(2H,t,J=6.1Hz),4.54(2H,s),4.68(2H,d,J=5.7Hz),6.89−7.02(2H,m),7.05(1H,d,J=8.6Hz),7.09−7.15(1H,m),7.51(1H,dd,J=2.2,8.6Hz),7.83(1H,d,J=2.2Hz).
[参考例34]4−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−3−ニトロベンジルクロリド(参考化合物34)
参考化合物33(0.747g)をクロロホルム(10mL)に溶解し、塩化チオニル(0.17mL)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に氷水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)にて精製し、標題化合物(0.666g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.80−2.02(4H,m),3.60(2H,t,J=6.0Hz),4.16(2H,t,J=6.1Hz),4.54(2H,s),4.56(2H,s),6.88−7.02(2H,m),7.05(1H,d,J=8.6Hz),7.09−7.15(1H,m),7.53(1H,dd,J=2.4,8.6Hz),7.86(1H,d,J=2.4Hz).
[参考例35](E)−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−(1−プロペン−1−イル)ニトロベンゼン(参考化合物35)
アルゴン雰囲気下、臭化エチルトリフェニルホスホニウム(0.085g)をジメチルスルホキシド(DMSO)(1mL)に溶解し、水素化ナトリウム(0.01g、60%油懸濁状)を加えて5分間攪拌した後、参考化合物32(0.052g)のDMSO(2mL)溶液を加え、室温にて20分間攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:0〜6:1)にて精製し、標題化合物(0.011g)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.80−1.99(4H,m),1.88(3H,dd,J=1.3,6.4Hz),3.60(2H,t,J=6.0Hz),4.13(2H,t,J=6.2Hz),4.54(2H,s),6.18(1H,dq,J=6.4,16.0Hz),6.32(1H,dd,J=1.3,16.0Hz),6.89−7.03(2H,m),6.97(1H,d,J=8.6Hz),7.10−7.16(1H,m),7.43(1H,dd,J=2.2,8.6Hz),7.77(1H,d,J=2.2Hz).
[実施例1]2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン塩酸塩(化合物1)
参考化合物15(2.91g)をエタノール(58mL)に溶解し、これに活性炭素粉末(0.117g)、ヒドラジン一水和物(9.45mL)、塩化鉄(III)六水和物(0.413g)を加え、加熱還流下に攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、不溶物を濾去し、濾液を減圧下に溶媒留去した。得られた残渣に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜4:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をジエチルエーテルに溶解した後、氷冷下に塩化水素ジエチルエーテル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(2.87g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.29(3H,t,J=7.0Hz),1.71−1.81(4H,m),3.52(2H,t,J=5.9Hz),3.90−4.02(4H,m),4.51(2H,s),6.78−7.04(3H,m),7.14−7.28(3H,m);
MS(ESI)m/z 352(M+H)+
[実施例2]trans−1−(2−アミノ−4−エトキシフェノキシ)−4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)シクロヘキサン塩酸塩(化合物2)
参考化合物26(5.52g)から、実施例1と同様の方法にて、標題化合物(5.22g)を製造した。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.29(3H,t,J=7.0Hz),1.36−1.57(4H,m),1.96−2.04(4H,m),3.47−3.52(1H,m),3.94(2H,q,J=7.0Hz),4.33−4.39(1H,m),4.54(2H,s),6.76(1H,dd,J=2.8,9.0Hz),6.89(1H,d,J=2.8Hz),7.07(1H,d,J=9.0Hz),7.13−7.29(3H,m);
MS(ESI)m/z 378(M+H)+
[実施例3]trans−1−(2−アミノ−4−プロポキシフェノキシ)−4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)シクロヘキサン塩酸塩(化合物3)
参考化合物27(0.083g)をエタノール(6mL)に溶解し、これに触媒量の活性炭素粉末、ヒドラジン一水和物(0.492mL)、触媒量の塩化鉄(III)六水和物を加え、加熱還流下に攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、不溶物を濾去し、濾液を減圧下に溶媒留去した。得られた残渣に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をジエチルエーテルに溶解した後、氷冷下に塩化水素ジエチルエーテル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.060g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:0.95(3H,t,J=7.3,Hz),1.22−1.57(4H,m),1.63−1.75(2H,m),1.95−2.05(4H,m),3.46−3.53(1H,m),3.84(2H,t,J=6.4Hz),4.32−4.41(1H,m),4.54(2H,s),6.77−7.29(6H,m);
MS(ESI)m/z 392(M+H)+
[実施例4]5−アリルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン(化合物4)
参考化合物17(0.118g)をエタノール(5mL)に溶解し、ここに鉄粉(0.078g)、塩化アンモニウム(0.010g)、水(0.2mL)を加え、加熱還流下に攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、不溶物を濾去し、濾液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を減圧下に溶媒留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解した後、氷冷下に4mol/L塩化水素酢酸エチル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.074g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.28(3H,t,J=7.0Hz),3.92(2H,q,J=7.0Hz),4.29(2H,s),4.52(2H,s),4.91(2H,s),6.69(1H,d,J=8.6Hz),6.78−6.82(1H,m),7.10(1H,d,J=9.0Hz),7.18−7.27(3H,m);
MS(ESI)m/z 364(M+H)+
[実施例5〜7]
以下、上記実施例4と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例5〜7の化合物を表5に示す。
Figure 0005092111
[実施例8]2−[4−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン塩酸塩(化合物8)
参考化合物25(0.094g)をメタノール(10mL)に溶解し、これにパラジウム活性炭素エチレンジアミン複合体(0.009g)を加え、水素雰囲気下に、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、触媒を濾去して得られた濾液を減圧留去した。得られた残渣をジエチルエーテルに溶解した後、氷冷下に塩化水素ジエチルエーテル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.070g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.29(3H,t,J=7.0Hz),1.63−1.78(4H,m),3.48(2H,t,J=5.8Hz),3.90−3.98(4H,m),4.51(2H,s),6.75−6.79(1H,m),6.91−7.15(4H,m),7.40−7.50(1H,m);
MS(ESI)m/z 352(M+H)+
[実施例9〜10]
以下、上記実施例8と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例9〜10の化合物を表6に示す。
Figure 0005092111
[実施例11]2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン塩酸塩(化合物11)
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(0.032g、60%油懸濁状)をDMF(2mL)に懸濁し、1,4−ブタンジオール(0.071mL)を加え、室温にて30分間攪拌した。ここに、2−クロロベンジルブロミド(0.054mL)のDMF(1mL)溶液を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した後、有機層を水にて洗浄した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を、DMF(2mL)に溶解し、水素化ナトリウム(0.024g、60%油懸濁状)を加え、室温にて20分間攪拌した。ここに、参考化合物2(0.074g)のDMF(1mL)溶液を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、この反応液に触媒量の活性炭素粉末、ヒドラジン一水和物(1mL)、触媒量の塩化鉄(III)六水和物、エタノール(1mL)を加え、60℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、不溶物を濾去した後、濾液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を減圧下に溶媒留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解した後、氷冷下に4mol/L塩化水素酢酸エチル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.103g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.29(3H,t,J=7.0Hz),1.70−1.86(4H,m),3.56(2H,t,J=5.9Hz),3.94(2H,q,J=7.0Hz),4.01(2H,t,J=6.0Hz),4.54(2H,s),6.79−6.83(1H,m),6.98−7.05(2H,m),7.29−7.50(4H,m);
MS(ESI)m/z 350(M+H)+
[実施例12〜21]
以下、上記実施例11と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例12〜21の化合物を表7および表8に示す。
Figure 0005092111
Figure 0005092111
[実施例22]2−(4−ベンジルオキシブトキシ)−5−エトキシアニリン塩酸塩(化合物22)
アルゴン雰囲気下、4−ベンジルオキシブタノール(0.046mL)をDMF(2mL)に溶解し、水素化ナトリウム(0.015g、60%油懸濁状)を加え、室温にて30分間攪拌した。ここに、参考化合物2(0.046g)のDMF(1mL)溶液を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を減圧下に溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製した。続いて、得られた化合物をメタノール(4mL)に溶解し、触媒量のパラジウム活性炭素エチレンジアミン複合体を加え、水素雰囲気下、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、触媒を濾去した。得られた濾液に塩化水素ジエチルエーテル溶液(2mL)を加えた後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をジエチルエーテルに懸濁し、これを濾取することにより標題化合物(0.047g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.28(3H,t,J=7.0Hz),1.67−1.84(4H,m),3.48(3H,t,J=6.0Hz),3.93(2H,q,J=7.0Hz),3.99(2H,t,J=5.9Hz),4.46(2H,s),6.76(1H,dd,J=2.8,9.0Hz),6.93(1H,d,J=2.8Hz),7.01(1H,d,J=9.0Hz),7.24−7.37(5H,m);
MS(ESI)m/z 316(M+H)+
[実施例23〜25]
以下、上記実施例22と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例23〜25の化合物を表9に示す。
Figure 0005092111
[実施例26]5−エトキシ−2−[4−(3−チエニルメトキシ)ブトキシ]アニリン塩酸塩(化合物26)
アルゴン雰囲気下、参考化合物11(0.047g)をDMF(2mL)に溶解し、水素化ナトリウム(0.015g、60%油懸濁状)を加え、室温にて30分間攪拌した。ここに、参考化合物2(0.046g)のDMF(1mL)溶液を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を減圧下に溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製した。続いて、得られた化合物をメタノール(4mL)に溶解し、触媒量の活性炭素粉末、ヒドラジン一水和物(0.5mL)、触媒量の塩化鉄(III)六水和物を加え60℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、不溶物を濾去し、濾液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を減圧下に溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、4mol/L塩化水素酢酸エチル溶液を適当量加えた後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をジエチルエーテルに懸濁し、濾取した後、乾燥することにより標題化合物(0.051g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.29(3H,t,J=7.0Hz),1.65−1.82(4H,m),3.46(2H,t,J=6.2Hz),3.93(2H,q,J=7.0Hz),3.98(2H,t,J=6.0Hz),4.45(2H,s),6.73−7.01(3H,m),7.05(1H,dd,J=1.3,5.0Hz),7.38(1H,dd,J=1.3,2.9Hz),7.50(1H,dd,J=2.9,5.0Hz);
MS(ESI)m/z 322(M+H)+
[実施例27〜28]
以下、上記実施例26と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例27〜28の化合物を表10に示す。
Figure 0005092111
[実施例29]2−[4−(2,3−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン塩酸塩(化合物29)
アルゴン雰囲気下、参考化合物22(0.077g)をDMF(3mL)に溶解し、水素化ナトリウム(0.018g、60%油懸濁状)を加え、室温にて15分間攪拌した。ここに、2,3−ジフルオロベンジルブロミド(0.043mL)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、この反応液に触媒量の活性炭素粉末、ヒドラジン一水和物(1mL)、触媒量の塩化鉄(III)六水和物、エタノール(1mL)を加え、60℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、不溶物を濾去し、濾液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を減圧下に溶媒留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解した後、氷冷下に4mol/L塩化水素酢酸エチル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.085g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.29(3H,t,J=6.9Hz),1.67−1.83(4H,m),3.52(2H,t,J=6.0Hz),3.90−4.00(4H,m),4.55(2H,s),6.62−7.03(3H,m),7.16−7.42(3H,m);
MS(ESI)m/z 352(M+H)+
[実施例30]5−エトキシ−2−(4−フェノキシブトキシ)アニリン塩酸塩(化合物30)
アルゴン雰囲気下、参考化合物22(0.077g)をTHF(5mL)に溶解し、フェノール(0.031g)、トリ−n−ブチルホスフィン(0.121mL)、1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)(0.078g)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、この反応液に触媒量の活性炭素粉末、ヒドラジン一水和物(1mL)、触媒量の塩化鉄(III)六水和物、エタノール(1mL)を加え、60℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、不溶物を濾去し、濾液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を減圧下に溶媒留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解した後、氷冷下に4mol/L塩化水素酢酸エチル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.047g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.29(3H,t,J=7.0Hz),1.84−1.95(4H,m),3.94(2H,q,J=7.0Hz),3.99−4.07(4H,m),6.78−7.07(6H,m),7.24−7.30(2H,m);
MS(ESI)m/z 302(M+H)+
[実施例31]2−[4−(2,5−ジフルオロフェノキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン塩酸塩(化合物31)
参考化合物22(0.077g)から、実施例30と同様の方法にて、標題化合物(0.045g)を製造した。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.29(3H,t,J=6.9Hz),1.82−1.99(4H,m),3.93(2H,q,J=6.9Hz),4.05(2H,t,J=6.0Hz),4.11(2H,t,J=6.0Hz),6.70−6.83(3H,m),7.00−7.27(3H,m);
MS(ESI)m/z 338(M+H)+
[実施例32]2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−メトキシメチルアニリン塩酸塩(化合物32)
参考化合物34(0.058g)をTHF(3mL)に溶解し、ここに28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(0.035mL)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水にて洗浄し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、エタノール(5mL)に溶解し、触媒量の活性炭素粉末、ヒドラジン一水和物(1mL)、触媒量の塩化鉄(III)六水和物を加え、60℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、不溶物を濾去し、濾液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を減圧下に溶媒留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解した後、氷冷下に4mol/L塩化水素酢酸エチル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.028g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.70−1.86(4H,m),3.25(3H,s),3.53(2H,t,J=6.0Hz),4.07(2H,t,J=5.2Hz),4.32(2H,s),4.51(2H,s),7.07−7.29(6H,m);
MS(ESI)m/z 352(M+H)+
[実施例33〜34]
以下、上記実施例32と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例33〜34の化合物を表11に示す。
Figure 0005092111
[実施例35]5−ブトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン塩酸塩(化合物35)
アルゴン雰囲気下、参考化合物28(0.106g)をDMF(2mL)に溶解し、ここに水素化ナトリウム(0.013g、60%油懸濁状)を加えて1時間攪拌した後、1−ブロモブタン(0.032mL)を加え、70℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液を冷却して、触媒量の活性炭素粉末、ヒドラジン一水和物(0.7mL)、触媒量の塩化鉄(III)六水和物およびエタノール(0.3mL)を加え、70℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、不溶物を濾去し、濾液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、4mol/L塩化水素酢酸エチル溶液を適当量加えた後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をジエチルエーテルに懸濁し、濾取した後、乾燥することにより標題化合物(0.092g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:0.91(3H,t,J=7.4Hz),1.38−1.43(2H,m),1.61−1.70(2H,m),1.72−1.80(4H,m),3.52(2H,t,J=5.9Hz),3.87(2H,t,J=6.4Hz),3.99(2H,t,J=5.9Hz),4.51(2H,s),6.75(1H,brd),6.86(1H,brs),7.00(1H,d,J=9.0Hz),7.18−7.26(3H,m);
MS(ESI)m/z 380(M+H)+
[実施例36〜46]
以下、上記実施例35と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例36〜46の化合物を表12および表13に示す。
Figure 0005092111
Figure 0005092111
[実施例47]5−シクロブチルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン塩酸塩(化合物47)
アルゴン雰囲気下、参考化合物28(0.106g)をトルエン(3mL)に溶解し、シクロブチルメタノール(0.03mL)、トリブチルホスフィン(0.079mL)、1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)(0.072g)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、この反応液に触媒量の活性炭素粉末、ヒドラジン一水和物(0.6mL)、触媒量の塩化鉄(III)六水和物、エタノール(0.3mL)を加えて、70℃にて攪拌した。反応の完結を確認後、不溶物を濾去して、濾液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をジエチルエーテルに溶解した後、氷冷下に塩化水素ジエチルエーテル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.040g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:1.62−1.91(8H,m),1.99−2.08(2H,m),2.61−2.71(1H,m),3.52(2H,t,J=5.7Hz),3.84(2H,d,J=6.6Hz),3.98(2H,t,J=5.3Hz),4.50(2H,s),6.65−6.81(2H,m),6.94−6.99(1H,m),7.14−7.28(3H,m);
MS(ESI)m/z 392(M+H)+
[実施例48〜67]
以下、上記実施例47と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例48〜67の化合物を表14〜表17に示す。
Figure 0005092111
Figure 0005092111
Figure 0005092111
Figure 0005092111
[実施例68]2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−ヘキシルオキシアニリン塩酸塩(化合物68)
アルゴン雰囲気下、参考化合物28(0.071g)をDMF(2mL)に溶解し、ここに水素化ナトリウム(0.012g、60%油懸濁状)を加えて5分間攪拌した後、1−ブロモヘキサン(0.035mL)を加え、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水で洗浄し、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をメタノール(3mL)に溶解し、触媒量のパラジウム活性炭素エチレンジアミン複合体を加え、水素雰囲気下、室温にて攪拌した。反応の完結を確認後、触媒を濾去し、濾液を減圧下に溶媒留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)にて精製した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をジエチルエーテルに溶解した後、氷冷下に塩化水素ジエチルエーテル溶液を滴下した。析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥することにより標題化合物(0.052g)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:0.86(3H,t,J=6.9Hz),1.25−1.40(6H,m),1.62−1.82(6H,m),3.52(2H,t,J=5.9Hz),3.87(2H,t,J=6.4Hz),3.99(2H,t,J=6.0Hz),4.51(2H,s),6.74(1H,dd,J=2.7,9.0Hz),6.86(1H,d,J=2.7Hz),6.99(1H,d,J=9.0Hz),7.14−7.29(3H,m);
MS(ESI)m/z 408(M+H)+
[実施例69〜71]
以下、上記実施例68と同様の方法にて、対応する原料を使用して製造した実施例69〜71の化合物を表18に示す。
Figure 0005092111
本発明化合物の薬理作用は、以下の試験方法により確認された。
[試験例1]細胞内カルシウムイオン濃度変化を指標としたrNCX阻害作用の検討
Na+非含有溶液添加により惹起される[Ca2+i変化は、以下の方法により分光工学的に測定した。
ヒトNCX1を発現したCHO−K1細胞を、まず10v/v%ウシ胎児血清(SIGMA社)を添加したNutrient mixture F−12 HAM(SIGMA社)中に懸濁し、96穴プレートに播種した後、24時間培養した。培養液を除き、Phosphate Buffer Solution(pH7.4、以下PBSと呼ぶ)で洗浄後、蛍光Ca2+指示薬fura2(Molecular Devices社)が4μmol/Lになるように調製したNa+負荷溶液(140mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl2、10mmol/L グルコース、10mmol/L Tris、10mmol/L HEPES、1.5mmol/L CaCl2、0.1% ウシ血清アルブミン(以下BSAと呼ぶ)、10μmol/L モネンシン、0.25mmol/L スルフィンピラゾン、1mmol/L ウアバイン、2μmol/L ニフェジピン、pH7.4)を添加し37℃で30分間培養した。Fura2を除き、PBSを用いて1回洗浄後、Na+含有溶液(140mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl2、10mmol/L グルコース、10mmol/L Tris、10mmol/L HEPES、0.5mmol/L CaCl2、0.1% BSA、0.25mmol/L スルフィンピラゾン、1mmol/L ウアバイン、2μmol/L ニフェジピン、pH7.4)で調製した試験化合物を添加し37℃で20分間培養した。蛍光測定装置(Flex StationII、Molecular Devices社)にプレートを設置し、ベースラインを測定した後、Na+非含有溶液(140mmol/L KCl、1mmol/L MgCl2、10mmol/L グルコース、10mmol/L Tris、10mmol/L HEPES、0.5mmol/L CaCl2、0.1% BSA、0.25mmol/L スルフィンピラゾン、1mmol/L ウアバイン、2μmol/L ニフェジピン、pH7.4)添加により誘起される[Ca2+iの変化を3.42秒間隔で59秒間測定し(340nm、380nm励起、510nm検出)、各波長より得られる蛍光強度比を算出した。
なお、試験化合物溶液は、各試験化合物を10mmol/LとなるようにDMSOに溶解した後、設定濃度となるようにNa+含有またはNa+非含有溶液で調製した。コントロール溶液には試験化合物の代わりにDMSOを用いた。
コントロール溶液処理後のNa+非含有溶液添加45秒以後の相対蛍光強度(以下RFUと呼ぶ)値の平均から、Na+非含有溶液の代わりにNa+含有溶液添加45秒以後のRFU値の平均を差し引いた値を最大活性とし、試験化合物による最大活性の抑制率からIC50を算出した。IC50値の算出は、Assay Exproler(MDL社)のカーブフィット式(Model08:Sigmoidal Inhibition Carve, Vmax+Y2 to Y2)を用いた。
カーブフィット式(Model08:Sigmoidal Inhibition Carve, Vmax+Y2 to Y2)
Y=Vmax ×(1−(Xn/(Kn+Xn)))+Y2
・X=Concentrarion
・Y=%阻害値
・%阻害値=(RFU(化合物)−RFU(LC))/(RFU(HC)−RFU(LC))
HC:コントロール溶液処理後のNa+非含有溶液添加45秒以後のRFU値の平均
LC:コントロール溶液処理後のNa+含有溶液添加45秒以後のRFU値の平均
式中のRFUは相対的蛍光強度(Relative Fluorescence Unit)を表す。
これらの試験結果を表19に示す。なお、表中、対照化合物とは、上記特許文献6(特開平11−193263号公報)の実施例6に開示されている化合物である。
Figure 0005092111
[試験例2]モルモット単離心室筋細胞を用いたrNCX電流およびfNCX電流に対する電気生理学的評価
試験化合物のrNCX阻害作用の選択性は、以下の方法により電気生理学的に測定した。
(1)モルモット単離心室筋細胞の調製
雄性Hartley系モルモットをペントバルビタール腹腔内投与により麻酔し、人工呼吸下で開胸した。大動脈にカニューレを挿入し、37℃に加温した酸素飽和HEPES−Tyrode’s溶液(140mmol/L NaCl、2.375mmol/L NaOH、5.4mmol/L KCl、5mmol/L HEPES、1mmol/L MgCl2、0.33mmol/L NaH2PO4、5.5mmol/L グルコース、1.8mmol/L CaCl2、pH7.4)で灌流しながら心臓を摘出し、ランゲンドルフ装置に固定した。同液による灌流で脱血し、続いて灌流液を37℃に加温した酸素飽和Ca2+非含有Tyrode’s溶液(140mmol/L NaCl、2.375mmol/L NaOH、5.4mmol/L KCl、5mmol/L HEPES、1mmol/L MgCl2、0.33mmol/L NaH2PO4、5.5mmol/L グルコース、pH7.4)に変更して拍動を停止させた。次に、コラゲナーゼ(0.1mg/mL)およびプロテアーゼ(0.02mg/mL)を含むCa2+非含有Tyrode’s溶液で25分間循環灌流した。続いて37℃に加温した高K+・低Cl-溶液(50mmol/L L−グルタミン酸、40mmol/L KCl、70mmol/L KOH、20mmol/L タウリン、10mmol/L HEPES、0.2mmol/L EGTA、3mmol/L MgCl2、20mmol/L KH2PO4、10mmol/L グルコース、pH7.2)30mLの灌流により心筋組織内の酵素を洗い流した。次に左右心室を摘出し、細切および振とうして細胞を分散させた。分散液を静置して細胞を沈殿させ、上清を除去後、高K+・低Cl-溶液で再懸濁し、心室筋細胞懸濁液を得た。
(2)rNCX電流の測定
rNCX電流の測定は、文献(Watanoら、ブリティッシュ ジャーナル オブ ファーマコロジー、1996年、第199巻、第3号、P.555−563)に記載の方法を参考に行った。単離心室筋細胞懸濁液を37℃に加温したHEPES−Tyrode’s溶液を満たした電流測定用チャンバー内に滴下し、心室筋細胞がチャンバーの底に接着したのを確認してHEPES−Tyrode’s溶液でチャンバー内を灌流した。rNCX用内液(120mmol/L CsOH、20mmol/L NaCl、5mmol/L MgATP、50mmol/L L−アスパラギン酸、20mmol/L BAPTA、6mmol/L CaCl2、20mmol/L HEPES、pH=7.2)を満たしたガラス電極(先端直径約1.6μm)の先端を顕微鏡下で細胞に接着させ、陰圧をかけてギガオームシールを形成し、続いて陰圧を強めて細胞膜を破りホールセルを形成した。次にチャンバー内をHEPES−Tyrode’s溶液から37℃のCa2+非含有rNCX用外液(140mmol/L NaCl、5mmol/L CsCl、1mmol/L MgCl2、0.01mmol/L リアノジン、0.02mmol/L ウアバイン、0.01mmol/L ニフェジピン、5mM HEPES、pH=7.2)に変更し、電圧パルス(−60mV→+30mV→−80mV→−60mV、速度0.67V/s、10秒間隔)を負荷して惹起される電流を測定した。続いて細胞外液をCa2+含有rNCX用外液(140mmol/L NaCl、5mmol/L CsCl、1mmol/L MgCl2、0.01mmol/L リアノジン、0.02mmol/L ウアバイン、0.01mmol/L ニフェジピン、5mmol/L HEPES、1mmol/L CaCl2、pH=7.2)に交換して惹起される電流を測定し、外液交換前後の+20mVにおける差電流をrNCX電流とした。続いて、試験物質を含むCa2+非含有rNCX外液および試験物質を含むCa2+含有rNCX外液を用いてrNCX電流を測定し、薬剤処理前後の各差電流を比較して電流抑制率を算出した。試験化合物溶液は対照化合物および実施例1の化合物のそれぞれ10-9、10-8、10-7、10-6mol/L溶液とし、試験化合物をDMSOに溶解した後、DMSOの終濃度が0.1%となるようにCa2+非含有rNCX外液またはCa2+含有rNCX外液で希釈して調整した。
(3)fNCX電流の測定
fNCX電流の測定は文献(Watanoら、ブリティッシュ ジャーナル オブ ファーマコロジー、1996年、第199巻、第3号、P.555−563)に記載の方法を参考に行った。fNCX用内液(100mmol/L CsOH、30mmol/L CsCl、5mmol/L MgATP、8.89mmol/L L−アスパラギン酸、20mmol/L BAPTA、10mmol/L CaCl2、20mmol/L HEPES、pH=7.2)を満たした電極を用いて上記方法によりホールセルを形成し、外液をHEPES−Tyrode’s溶液から37℃のリチウム含有fNCX用外液(140mmol/L LiCl、5mmol/L CsCl、1mmol/L MgCl2、0.01mmol/L リアノジン、0.02mmol/L ウアバイン、0.01mmol/L ニフェジピン、5mM HEPES、pH=7.2)に変更し、電圧パルス(−40mV→−110mV→−40mV、0.67V/s、10秒間隔)を負荷して惹起される電流を測定した。続いて電圧パルスを3秒間隔に早め、細胞外液を37℃のナトリウム含有fNCX用外液(140mmol/L NaCl、5mmol/L CsCl、1mmol/L MgCl2、0.01mmol/L リアノジン、0.02mmol/L ウアバイン、0.01mmol/L ニフェジピン、5mM HEPES、pH=7.2)に変換して惹起される電流を測定し、外液交換前後の+20mVでの差電流をfNCX電流とした。続いて、試験物質を含むリチウム含有fNCX用外液および試験物質を含むナトリウム含有fNCX用外液を用いてfNCX電流を測定し、薬剤処理前後の各差電流を比較して電流抑制率を算出した。試験化合物溶液は対照化合物および実施例1の化合物のそれぞれ10-7、10-6、10-5mol/L溶液とし、試験化合物をDMSOに溶解した後、DMSOの終濃度が0.1%となるようにリチウム含有fNCX用外液またはナトリウム含有fNCX用外液で希釈して調整した。
(4)結果
モルモット心筋細胞のモード別NCX電流に対する対照化合物および本願の化合物1の抑制作用を表20に示す。表中、対照化合物とは、上記特許文献6(特開平11−193263号公報)の実施例6に開示されている化合物であり、表19における対照化合物と同一である。
以上の結果から、本発明化合物はフォワードモードと比較してリバースモードをより選択的に阻害することが示された。
fNCXは、心筋細胞の正常な興奮収縮過程におけるカルシウムイオン排出機構の一部として働いているため、これを阻害すると細胞内カルシウムイオン濃度が上昇し、強心作用を誘発して全身の血行動態に影響を及ぼすと考えられる。一方、心筋細胞などにおける異常な細胞内カルシウム過負荷は、rNCXに起因することが知られている。したがって、本発明化合物はrNCXを選択的に阻害することから、全身血行動態に影響を及ぼさずに、細胞内カルシウム過負荷に起因する上記の種々の病態を治療もしくは予防する医薬として有用であることが示唆された。
Figure 0005092111
[試験例3]麻酔開胸ラット再灌流性不整脈モデルに対する抗不整脈作用
試験化合物の再灌流性不整脈抑制効果は、以下の方法により測定した。
非絶食状態の体重310〜444gの雄性Sprague−Dawleyラットに対して、ペントバルビタールナトリウム(60mg/kg、腹腔内投与)麻酔下、下肢静脈および頸動脈にそれぞれ薬物投与および血圧測定のためのカニューレを挿入し、圧トランスデューサーを介して歪圧力アンプにより血圧を、また、血圧脈波から瞬時心拍計により心拍数を測定し、さらに四肢に装着した電極より心電図(第II誘導)を心電計にて測定した。次に気管挿管し、人工呼吸器を用い室内空気にて人工呼吸を施した後、左開胸術にて露出させた心臓の左冠動脈起始部から約3mmの前下行枝血管周囲に5−0ナイロン糸を配置し、ナイロン糸両末端をシリコンチューブ(長さ1.5cm、太さ0.2cm)に通してスネアを形成した。さらに10分間不整脈が発現しないことを確認した上で、スネアを締め、止血鉗止で固定することで、限局的な心筋虚血を5分間行った。心筋虚血は心電図の変化として捉えられる典型的なST上昇にて確認し、スネアを緩めることで再灌流を10分間行った。試験化合物は再灌流1分前に急速静注し、再灌流後10分間以内(途中死亡例に関しては心停止が確認された時点まで)に発生した心室性細動(Vf)をThe Lambeth Conventionのガイドライン(Walkerら、カルディオバスキュラー リサーチ、1988年、第22巻、第7号、P.447−455)に準じて解析した。
なお、各試験化合物溶液は次のように調製した。各試験化合物1mgをDMSO20μLに溶解し、5%Tweenを含む生理食塩水160μLにて希釈した。さらに生理食塩水820μLを加えて、1mg/mL溶液を調製した。これを、設定濃度となるように、2%DMSOおよび0.8%Tweenを含む生理食塩水にて調製し、各試験化合物溶液とした。また、溶媒対照群には、2%DMSOおよび0.8%Tweenを含む生理食塩水を試験化合物溶液の代わりに用いた、
本願の化合物1および化合物2の再灌流性不整脈モデルに対する抗不整脈作用の試験結果を表21に示す。これらの結果から、本発明化合物が、再灌流直前に急速静注しても致死的再灌流性心室細動の抑制作用を有し、心筋虚血再灌流障害に対する治療もしくは予防に有用であることが確認された。
Figure 0005092111
[製剤例1]錠剤の製造
本願の化合物1を5g秤量し、乳糖125g、トウモロコシデンプン40gおよび結晶セルロース20gと混合し、ヒドロキシプロピルセルロース6gを10%エタノール溶液として加えて混練造粒し、径8mmのスクリーンを通して押し出して顆粒を調製し、乾燥した後ステアリン酸マグネシウム4gを加えて圧縮成型し、1錠中に本願の化合物1を5mg含有する重量200mgの錠剤を製造した。

Claims (8)

  1. 下記の一般式(I)
    Figure 0005092111
    (式中の記号は以下の意味を示す。
    Ar:フェニル基または芳香族複素環基を示す。
    D:単結合またはメチレンを示す。
    1:水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシもしくは低級アルキルチオで置換された低級アルキル基、またはOR5で表される置換基を示す。
    2、R3:水素原子、または一緒になって−(CH22−を示す。
    4:ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示す。ただし、nが2以上の整数であるとき、それぞれのR4は同一または異なっていてもよい。
    5:低級シクロアルキル基、1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基、芳香環、低級アルキルチオ基、低級アルコキシ基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシカルボニル基およびカルバモイル基から選ばれる置換基を有していてもよい直鎖または分岐鎖状の低級アルキル基、
    低級シクロアルキル基、
    または1〜2個の酸素原子を有する飽和複素環基を示す。
    n:0〜3の整数を示す。
    点線部:単結合、二重結合または三重結合を示す。)
    で表されるブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩。
  2. 2およびR3が水素原子である請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩。
  3. 下記から選ばれるブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩。
    2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン、
    5−アリルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    (E)−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブタ−2−エニルオキシ]−5−エトキシアニリン、
    2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブタ−2−イニルオキシ]−5−エトキシアニリン、
    2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−プロポキシアニリン、
    2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−プロピルアニリン、
    2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン、
    5−エトキシ−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    2−[4−(2−クロロ−5−フルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−エトキシアニリン、
    5−ブトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    5−シクロプロピルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    5−シクロブチルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    5−シクロブチルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−イソプロポキシアニリン、
    5−sec−ブトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    5−シクロペンチルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    5−シクロペンチルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    5−シクロヘキシルメトキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    5−シクロヘキシルオキシ−2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]アニリン、
    2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−(2−メチルチオエトキシ)アニリン、
    2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−ヘキシルオキシアニリン、
    2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]−5−ペンチルオキシアニリン、
    1−[3−アミノ−4−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)ブトキシ]フェノキシ]酢酸 tert−ブチル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を含有する医薬。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を含有する、Na+/Ca2+交換体阻害剤。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を含有する、細胞内のカルシウム過負荷により誘発される疾患の治療薬および/または予防薬。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を含有する、虚血性心疾患、虚血性脳疾患、虚血性腎疾患、高血圧、不整脈あるいは心不全の治療薬および/または予防薬。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のブトキシアニリン誘導体、またはその薬学的に許容しうる塩を含有する、血栓溶解療法、血管形成術、冠動脈バイパス術または臓器移植の処置時の細胞保護薬。
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