JP5091179B2 - 移動式金型クランプ装置、これを備えるプレス機及びこれを用いた金型のクランプ方法 - Google Patents
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次に、クランプ装置に連結した可撓体を駆動させ、クランプ装置を金型のクランプする位置の真下まで水平移動させる。次に、クランプ装置に圧油を供給して上方に鉛直移動させ、金型を押圧させてクランプさせる。
アンクランプする際も同様に、全てのクランプ装置が一斉に下方へ鉛直移動する。
このため、金型設置台に取り付けられていた金型を外し、別の金型を金型設置台に取り付け、その取り付けた金型をクランプする、という一連の作業に要する時間が長くなり、生産効率が低下することになる。
すなわち、未使用側クランパーヘッドの移動距離が、使用側クランパーヘッドの移動距離よりも短いため、使用側クランパーヘッド及び未使用側クランパーヘッドに対して同時に圧油が供給されると、未使用側クランパーヘッドの方に先にダミーブロックをクランプする際に必要となる圧油が全て供給される。そうすると、本来未使用側クランパーヘッドの移動に使用されるはずだった分の圧油が、使用側クランパーヘッドに供給されるため、使用側クランパーヘッドに供給される圧油の流量が増加し、使用側クランパーヘッドの移動速度が増大する。このことにより、上記移動式金型クランプ装置によれば、未使用側クランパーヘッドの移動距離が短くなると共に、使用側クランパーヘッドの移動速度が増大するので、金型の交換に要する時間が短縮され、プレス機の生産効率が向上することになる。
また、未使用側クランパーヘッドがスライドに形成されたT溝内を摺動するロッド部を備えると、取り付けられる金型の形状に応じて使用側クランパーヘッドとして用いることができる。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
第一実施形態に係る移動式金型クランプ装置として、金型設置台がスライドであり、金型が上型である場合で説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る移動式金型クランプ装置A1は、プレス機のスライド104に並設されたクランパー本体1と、クランパー本体1に設けられ、スライド104に形成されたT溝を走行可能なクランパーヘッド2と、クランパー本体1に設けられたダミーブロック3と、からなるクランプ機Xを複数備える。なお、本実施形態に係るクランプ機Xは、プレス機のスライド104に上型103を固定させるための装置である。
ここで、本発明において、複数のクランプ機Xはスライド104に取り付けられる上型の形状に応じて、上型をクランプする際に使用されるもの(以下「使用側クランパーヘッド」という。)と、上型をクランプする際に使用されないもの(以下「未使用側クランパーヘッド」という。)に区別する。なお、使用側クランパーヘッドと未使用側クランパーヘッドの構造は同じであるので、単にクランパーヘッドと示す場合は、使用側クランパーヘッドと未使用側クランパーヘッドとの両方を含むものとする。
図3の(A)に示すように、クランプ機Xにおいては、クランパー本体1が直方体状であり、クランパー本体1の下面(底面)には、スライド104の下面に形成されたT溝11と同一形状のT溝10が形成されている。すなわち、クランパー本体1の下面に形成されたT溝10は、スライド104に形成されたT溝11と連続するような形状となっている。また、クランパー本体1の下面は、スライド104の下面に対して面一になるように並設されている。
かかる径大部21aは、クランパー本体1内に収納されたチェーン4と連結されている。
かかるチェーン4は、クランパーヘッド2をT溝10、11に沿って走行させるためのものであり、クランパー本体1の内側にU字状に収納されている。
そして、エアシリンダ5からエアが供給されると、図3Bに示すように、ピストンロッド6が下方に移動し、回転自在な歯付きプーリ7が回転すると共に、チェーン4がクランパー本体1から延出される。これにより、使用側クランパーヘッド2AがT溝10、11に案内されながらダミーブロック3側から上型側に水平移動することになる。
なお、エアシリンダ5にエアが排出されると、ピストンロッド6が上方に移動し、回転自在な歯付きプーリ7が回転すると共に、一方、チェーン4がクランパー本体1に収納される。これにより、使用側クランパーヘッド2AがT溝10、11に案内されながら上型側からダミーブロック3側に水平移動することになる。
使用側クランパーヘッド2Aの移動速度は使用される圧油の量に応じて上昇するため、使用側クランパーヘッド2Aの移動速度は、ダミーブロックの厚さと、被クランプ部の厚さとが同じであった従来の移動式金型クランプ装置よりも向上する。
図4の(A)に示すように、使用側クランパーヘッド2Aが上型をアンクランプ後、想定されていた位置よりも下がりきらなかった場合、使用側クランパーヘッド2Aがダミーブロック3の方へ戻ってきたときに、図4の(B)に示すように、使用側クランパーヘッド2Aがダミーブロック3のテーパー状の面に衝突する場合が生じうる。
図5に示すように、ダミーブロック3は、クランパー本体1に形成されたT溝10の幅と同じ幅のスリットSが形成されている。これにより、クランパーヘッド2は、T溝10に案内されると同時に、ダミーブロック3の下方にまで水平移動が可能となっている。
図6の(A)〜(C)は、第一実施形態に係る移動式金型クランプ装置が備える使用側クランパーヘッドの動作の順序を示す説明図である。
そうすると、図6の(A)に示すように、ダミーブロック3をクランプしていた使用側クランパーヘッド2Aは、ダミーブロック3をクランプしていた位置(以下「第一ダミーブロック側クランプ位置」という。)P1から下方へ鉛直移動する。
そして、油圧シリンダ22aから圧油が全て排出されると、使用側クランパーヘッド2Aは第一ダミーブロック側クランプ位置の真下の位置(以下「第一ダミーブロック側待機位置」という。)P2で停止する。
エアシリンダ5にエアが供給されると、ピストンロッド6が下降する。ピストンロッド6が下降すると、その先端に取り付けられた歯付きプーリ7に支持されたチェーン4もピストンロッド6の下降に合わせてクランパー本体1の内壁に沿って下降する。このとき、歯付きプーリ7がチェーン4の下降を補助するガイドの機能を果たすため、チェーン4はクランパー本体1の内部で弛んだり、絡まったりすることなく真っ直ぐに下降することができる。
近接センサが作動すると、エアシリンダ制御部は、直ちにエア供給部9からのエアシリンダ5へのエアの供給を停止する。
そうすると、図7の(A)に示すように、ダミーブロック3をクランプしていた未使用側クランパーヘッド2Bは、第一ダミーブロック側クランプ位置P1から下方へ鉛直移動する。
そして、油圧シリンダ22aから圧油が全て排出されると、未使用側クランパーヘッド2Bは第一ダミーブロック側クランプ位置の真下の第一ダミーブロック側待機位置P2で停止する。
そして、上述したように、移動式金型クランプ装置A1においては、ダミーブロック3の厚さが、上型103の厚さよりも厚くなっているので、第一ダミーブロック側クランプ位置P1から第一ダミーブロック側待機位置P2までの距離が、第一金型側待機位置P3から第一金型側クランプ位置P4までの距離よりも短くなっている。
ピストンロッド6が上昇すると、そこに設けられた歯付きプーリ7がチェーン4を上方に押し上げるため、使用側クランパーヘッド2Aはチェーン4によって第一金型側待機位置P3から第一ダミーブロック側待機位置P2へ水平移動させられる。
近接センサが作動すると、エアシリンダ制御部は、直ちにエア供給部9からのエアシリンダ5へのエアの排出を停止する。なお、使用側クランパーヘッド2Aが水平移動している間、未使用側クランパーヘッド2Bは、第一ダミーブロック側待機位置P2で待機している。
油圧シリンダ22aに圧油が供給されると、使用側クランパーヘッド2A及び未使用側クランパーヘッド2Bは上方に鉛直移動し、再び第一ダミーブロック側クランプ位置P1に戻ることになる。
第二実施形態に係る移動式金型クランプ装置として、金型設置台がボルスタプレートであり、金型が下型である場合で説明する。
図8に示すように、本実施形態の移動式金型クランプ装置A2は、プレス機のボルスタプレート101に並設されたクランパー本体1と、クランパー本体1に設けられ、ボルスタプレート101に形成されたT溝を走行可能なクランパーヘッド2と、クランパー本体1に設けられたダミーブロック3と、からなるクランプ機Xを複数備える。なお、本実施形態に係るクランプ機Xは、プレス機のボルスタプレート101に下型102を固定させるための装置である。
図9の(A)〜(C)は、第二実施形態に係る移動式金型クランプ装置が備える使用側クランパーヘッドの動作の順序を示す説明図である。
そうすると、図9の(A)に示すように、ダミーブロック3をクランプしていた使用側クランパーヘッド2Aは、ダミーブロック3をクランプしていた位置(以下「第二ダミーブロック側クランプ位置」という。)P5から上方へ鉛直移動する。
そして、油圧シリンダから圧油が全て排出されると、使用側クランパーヘッド2Aは第二ダミーブロック側クランプ位置の真上の位置(以下「第二ダミーブロック側待機位置」という。)P6で停止する。
エアシリンダにエアが供給されると、ピストンロッドが上昇する。ピストンロッドが上昇すると、その先端に取り付けられた歯付きプーリに支持されたチェーンもピストンロッドの上昇に合わせてクランパー本体1の内壁に沿って上昇する。このとき、歯付きプーリがチェーンの上昇を補助するガイドの機能を果たすため、チェーンはクランパー本体1の内部で弛んだり、絡まったりすることなく真っ直ぐに上昇することができる。
近接センサが作動すると、エアシリンダ制御部は、直ちにエア供給部からのエアシリンダへのエアの供給を停止する。
そうすると、図10の(A)に示すように、ダミーブロック3をクランプしていた未使用側クランパーヘッド2Bは、第二ダミーブロック側クランプ位置P5から上方へ鉛直移動する。
そして、油圧シリンダから圧油が全て排出されると、未使用側クランパーヘッド2Bは第二ダミーブロック側クランプ位置の真上の第二ダミーブロック側待機位置P6で停止する。
そして、移動式金型クランプ装置A2においては、ダミーブロック3の厚さが、下型102の厚さよりも厚くなっているので、第二ダミーブロック側クランプ位置P5から第二ダミーブロック側待機位置P6までの距離が、第二金型側待機位置P7から第二金型側クランプ位置P8までの距離よりも短くなっている。
そうすると、使用側クランパーヘッド2A及び未使用側クランパーヘッド2Bはクランプ力を失って上方へ鉛直移動し、使用側クランパーヘッド2Aは再び第二金型側待機位置P7へと移動し、未使用側クランパーヘッド2Bは再び第二ダミーブロック側待機位置P6へと移動する。
ピストンロッドが上昇すると、そこに設けられた歯付きプーリがチェーンを下方に押し上げるため、使用側クランパーヘッド2Aはチェーンによって第二金型側待機位置P7から第二ダミーブロック側待機位置P6へ水平移動させられる。
近接センサが作動すると、エアシリンダ制御部は、直ちにエア供給部からのエアシリンダへのエアの排出を停止する。なお、使用側クランパーヘッド2Aが水平移動している間、未使用側クランパーヘッド2Bは、第二ダミーブロック側待機位置P6で待機している。
油圧シリンダに圧油が供給されると、使用側クランパーヘッド2A及び未使用側クランパーヘッド2Bは下方に鉛直移動し、再び第二ダミーブロック側クランプ位置P5に戻ることになる。
図11は、本発明のプレス機の一実施形態を示す説明図である。
図11に示すように、本発明のプレス機300は、上述した第一実施形態に係る移動式金型クランプ装置A1と、第二実施形態に係る移動式金型クランプ装置A2とを備える。
すなわち、本発明のプレス機300は、スライド204に上述した第一実施形態の移動式金型クランプ装置A1が取り付けられ、ボルスタプレート201に上述した第二実施形態の移動式金型クランプ装置A2が取り付けられている。
1…クランパー本体
2…クランパーヘッド
2A…使用側クランパーヘッド
2B…未使用側クランパーヘッド
21…ロッド部
21a…径大部
21b…支持部
22…クランプ部
22a…油圧シリンダ
22b…油圧ピストン
22c…スプリング
3…ダミーブロック
4…チェーン
5…エアシリンダ
6…ピストンロッド
7…歯付きプーリ
8…圧油ホース
9…エア供給部
10…(クランパー本体に形成された)T溝
11…(スライドの下面に形成された)T溝
101…ボルスタプレート
102…下型
103…上型
104…スライド
105…被クランプ部
201…ボルスタプレート
202…下型
203…上型
204…スライド
300…プレス機
P1…第一ダミーブロック側クランプ位置
P2…第一ダミーブロック側待機位置
P3…第一金型側待機位置
P4…第一金型側クランプ位置
P5…第二ダミーブロック側クランプ位置
P6…第二ダミーブロック側待機位置
P7…第二金型側待機位置
P8…第二金型側クランプ位置
S…スリット
X…クランプ機
Claims (11)
- 全クランパーヘッドが共通の油圧源から供給される圧油で駆動する移動式金型クランプ装置であって、
プレス機の金型設置台に並設されたクランパー本体と、
該クランパー本体に設けられ、前記金型設置台に形成されたT溝を走行可能なクランパーヘッドと、
前記クランパー本体に設けられたダミーブロックと、
からなるクランプ機を複数備え、
前記クランパーヘッドのうちの使用する使用側クランパーヘッドが金型をクランプする際、前記クランパーヘッドのうちの未使用の未使用側クランパーヘッドがダミーブロックをクランプするものであり、
前記未使用側クランパーヘッドが前記ダミーブロックをクランプする方向に移動する距離が、前記使用側クランパーヘッドが前記金型をクランプする方向に移動する距離よりも、短くなっている移動式金型クランプ装置。 - 前記金型設置台がスライドである請求項1記載の移動式金型クランプ装置。
- 前記金型設置台がボルスタプレートである請求項1記載の移動式金型クランプ装置。
- 前記ダミーブロックの厚さが前記金型の厚さよりも厚い請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動式金型クランプ装置。
- 前記ダミーブロックの前記金型と対向する一角がテーパー状になっている請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動式金型クランプ装置。
- 前記クランパーヘッドの駆動源がエアシリンダである請求項1〜5のいずれか一項に記載の移動式金型クランプ装置。
- 前記クランパーヘッドが、
前記T溝内を摺動するロッド部と、
該ロッド部に連結され、前記金型及び前記ダミーブロックをクランプするクランプ部と、
からなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の移動式金型クランプ装置。 - 前記使用側クランパーヘッドが、ダミーブロックをクランプする第一ダミーブロック側クランプ位置から、下方の第一ダミーブロック側待機位置へ鉛直移動し、前記第一ダミーブロック側待機位置から前記金型をクランプする位置の真下の第一金型側待機位置へ水平移動し、前記第一金型側待機位置から上方の前記スライドに金型をクランプする第一金型側クランプ位置へ鉛直移動するものであり、
前記未使用側クランパーヘッドが、ダミーブロックをクランプする第一ダミーブロック側クランプ位置から、下方の第一ダミーブロック側待機位置へ鉛直移動し、前記使用側クランパーヘッドが第一金型側クランプ位置へ移動する際に、前記第一ダミーブロック側待機位置から上方の第一ダミーブロック側クランプ位置へ再び鉛直移動するものであり、
前記未使用側クランパーヘッドの前記ダミーブロックをクランプする方向に移動する距離が、第一ダミーブロック側クランプ位置から第一ダミーブロック側待機位置までの距離であり、
前記使用側クランパーヘッドの前記金型をクランプする方向に移動する距離が、第一金型側待機位置から第一金型側クランプ位置までの距離である請求項2記載の移動式金型クランプ装置。 - 前記使用側クランパーヘッドが、ダミーブロックをクランプする第二ダミーブロック側クランプ位置から、上方の第二ダミーブロック側待機位置へ鉛直移動し、前記第二ダミーブロック側待機位置から前記金型をクランプする位置の真上の第二金型側待機位置へ水平移動し、前記第二金型側待機位置から下方の前記ボルスタプレートに金型をクランプする第二金型側クランプ位置へ鉛直移動するものであり、
前記未使用側クランパーヘッドが、ダミーブロックをクランプする第二ダミーブロック側クランプ位置から、上方の第二ダミーブロック側待機位置へ鉛直移動し、前記使用側クランパーヘッドが第二金型側クランプ位置へ移動する際に、前記第二ダミーブロック側待機位置から下方の第二ダミーブロック側クランプ位置へ再び鉛直移動するものであり、
前記未使用側クランパーヘッドの前記ダミーブロックをクランプする方向に移動する距離が、第二ダミーブロック側クランプ位置から第二ダミーブロック側待機位置までの距離であり、
前記使用側クランパーヘッドの前記金型をクランプする方向に移動する距離が、第二金型側待機位置から第二金型側クランプ位置までの距離である請求項3記載の移動式金型クランプ装置。 - 上記請求項1〜9のいずれか一項に記載の移動式金型クランプ装置を備えるプレス機。
- 上記請求項1〜9のいずれか一項に記載の移動式金型クランプ装置を用いた金型のクランプ方法。
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