ところで、ビール樽などの容器には、容器を安定に積み重ねたり、持ちやすくするために円筒状のスカート部が設けられている。一般的にこのスカート部もステンレスなどの金属で形成される。そのため、流通時の取り扱いによっては変形することがある。スカート部が変形すると、容器が転倒し易くなったり、積み重ねることができなくなるなどの不具合が生じる。そこで、スカート部の変形した部分をハンマーなどで叩いて元の形状に戻す補修を行っているが、このような手作業では作業者にかかる負担が大きい。特許文献1の装置は、ビールが充填される部分の上鏡及び下鏡の変形を補修するものであり、スカート部などの円筒状の円筒部の変形を補修する装置については開示されていない。
そこで、本発明は、容器に設けられるスカート部などの円筒状の円筒部の変形を従来よりも容易に補修でき、かつ作業者の負担を軽減することが可能な容器補修装置及び容器補修方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の容器補修装置は、内容物が充填される本体部(101)と、前記本体部から上下方向に延びる円筒状のスカート部(102、103)とを有する容器(100)の前記スカート部の変形を補修する容器補修装置(1)において、断面が中央部を底とする凹曲線になるように凹み、かつ一方向に延びる曲面で形成された凹部(31a)を有する第1プレス部材(31)と、断面が中央部を先端とする凸曲線になり、かつ一方向に延びる曲面で形成された凸部(33a)を有し、前記凸部が前記凹部と同じ方向に延び、かつ対向するように設けられる第2プレス部材(33)と、前記スカート部のうち変形している変形部分(102d)の内周側に前記凸部が配置されるとともに前記変形部分の外周側に前記凹部が配置され、かつ上下方向が前記凸部及び前記凹部の延びる方向に合わせた状態で容器が固定されるようにその容器を拘束する拘束手段(20)と、前記凹部と前記凸部とで前記変形部分を挟み込む補修位置(P4)とその挟み込みを解除する解除位置(P3)とに前記第1プレス部材と前記第2プレス部材との位置関係が変化するように前記第1プレス部材及び前記第2プレス部材の少なくともいずれか一方を駆動するアクチュエータ手段(34)と、を備え、前記凹部の少なくとも中央部は、前記凹部と前記凸部とで前記変形部分を挟み込んだときにその変形部分が変形前の状態よりも外周側に膨らむように前記スカート部の外周(Rout)の径よりも小さい径(R1)の曲面で形成され、前記凸部は、前記凹部の中央部を形成する曲面の径以下の径(R2)の曲面で形成されていることにより、上述した課題を解決する。
本発明の第1の容器補修装置によれば、拘束手段で容器を固定し、その後アクチュエータ手段にて第1プレス部材と第2プレス部材との位置関係を補修位置に変化させることにより、第1プレス部材と第2プレス部材とで変形部材を挟み込むことができる。第1プレス部材の凹部の中央部はスカート部の外周の径よりも小さい径の曲面で形成されているため、凸部と凹部とで変形部分を挟み込んだときにその変形部分を変形前の状態よりも外側に膨らませることができる。言い換えると凸部と凹部とで変形部分を挟み込んだときに変形部分を変形前の状態よりも外側に反らせることができる。一般に変形しているステンレスなどの金属で形成されたものを補修する場合、補修後の変形部分が変形時の形状に近付こうと若干戻る現象、いわゆる返りが発生する。上述したように本発明の第1の容器補修装置では、凸部と凹部とで変形部分を挟み込んだときに変形部分を変形前の形状よりも外側に膨らませるので、例えば内側に折れ曲がって変形したスカート部を凸部と凹部とで挟み込んだときに変形前の形状よりも外側に余計に変形させることができる。すなわち、凸部と凹部とによって変形部分の補修後の返りを考慮した補修を行うことができる。そのため、凸部と凹部とにより挟み込みを解除したときの変形部分の返りにより、変形部分を変形前の形状と略同じ形状に戻すことができる。従って、スカート部の変形を従来よりも用意に補修できる。また、ハンマーなどで変形部分を叩く作業が不要となるため、作業者の負担を軽減することができる。
本発明の第1の容器補修装置の一形態において、前記第1プレス部材は、前記凹部が設けられる第1治具部(36)と、前記第1治具部が固定される第1固定部(35)と、を備え、前記第1治具部は、前記第1固定部に対して着脱可能であってもよい。スカート部の径の異なる種々の容器を補修する場合、補修する容器のスカート部の径に応じて凹部を交換する必要がある。この場合、凹部が設けられる第1治具部が第1固定部に対して着脱可能であるため、この第1治具部のみを交換することにより、スカート部の径の異なる種々の容器を補修することができる。そのため、スカート部の径の異なる種々の容器に容器補修装置を対応させるために要する作業を簡略化でき、またその作業時間を短縮できる。
本発明の第1の容器補修装置の一形態において、前記第2プレス部材は、前記凸部が設けられる第2治具部(39)と、前記第2治具部が固定される第2固定部(38)と、を備え、前記第2治具部は、前記第2固定部に対して着脱可能であってもよい。この場合も凸部が設けられる第2治具部が第2固定部に対して着脱可能であるため、この第2治具部の交換のみでスカート部の径の異なる種々の容器を補修することができる。そのため、スカート部の径の異なる種々の容器に容器補修装置を対応させるために要する作業を簡略化でき、またその作業時間を短縮できる。
本発明の第2の容器補修装置は、内容物が充填される本体部(101)と、前記本体部から上下方向に延びる円筒状のスカート部(102、103)とを有する容器(100)の前記スカート部の変形を補修する容器補修装置(1)において、断面が中央部を底とする凹曲線になるように凹み、かつ一方向に延びる曲面で形成された凹部(31a)を有し、前記凹部の曲面が下方に凹むように固定される第1プレス部材(31)と、断面が中央部を先端とする凸曲線になり、かつ一方向に延びる曲面で形成された凸部(33a)を有し、前記凸部が前記凹部と同じ方向に延びるとともに前記凸部と前記凹部とが対向するように前記第1プレス部材の上方に設けられ、かつガイド手段(32)にて上下方向に移動可能に支持される第2プレス部材(33)と、前記スカート部のうち変形している変形部分(102d)の外周側に前記第1プレス部材の前記凹部が配置されるとともに前記変形部分の内周側に前記第2プレス部材の前記凸部が配置され、かつ上下方向を前記凸部及び前記凹部の延びる方向と合わせて横に倒した状態で容器が固定されるようにその容器の前記本体部を拘束する拘束手段(20)と、前記変形部分を変形前の形状に戻すべく前記第1プレス部材の前記凹部と前記第2プレス部材の前記凸部とで前記変形部分を挟み込む補修位置(P4)と前記第2プレス部材が前記変形部分から離間する解除位置(P3)との間で前記第2プレス部材を駆動するアクチュエータ手段(34)と、を備え、前記凹部の少なくとも中央部は、前記凹部と前記凸部とで前記変形部分を挟み込んだときにその変形部分が変形前の状態よりも外周側に膨らむように前記スカート部の外周の径(Rout)よりも小さい径(R1)の曲面で形成され、前記凸部は、前記凹部の中央部を形成する曲面の径以下の径(R2)の曲面で形成されていることにより、上述した課題を解決する。
本発明の第2の容器補修装置によれば、拘束手段に容器を拘束させ、その後アクチュエータ手段によって第2プレス部材を下方に駆動することにより、第1プレス部材の凹部と第2プレス部材の凸部とに変形部分を挟み込ませることができる。本発明の第2の容器補修装置も本発明の第1の容器補修装置と同様に第1プレス部材の凹部の中央部がスカート部の外周の径よりも小さい径の曲面で形成されているので、凸部と凹部とで変形部分を挟み込んだときに変形部分を変形前の状態よりも外側に膨らませることができ、凸部と凹部とによって変形部分の補修後の返りを考慮した補修を行うことができる。そのため、凸部と凹部とにより挟み込みを解除したときの変形部分の返りにより、変形部分を変形前の形状と略同じ形状に戻すことができる。このように本発明の第2の容器補修装置によれば、拘束手段に容器を拘束させた後はアクチュエータ手段の操作のみでスカート部の変形を補修できる。そのため、スカート部の変形を従来よりも容易に補修できる。また、ハンマーなどで変形部分を叩く作業が不要となるため、作業者の負担を軽減することができる。
本発明の第2の容器補修装置の一形態において、前記拘束手段は、横に倒した状態で置かれる前記変形部分を有する容器の本体部を下方から支持する本体支持部(21)と、前記本体支持部の上方に設けられ、前記本体支持部に支持されている容器の本体部を押さえ付ける拘束位置(P1)とその押さえを解除する拘束解除位置(P2)との間で移動可能な容器押さえ部材(23)と、前記容器押さえ部材を前記拘束位置と前記拘束解除位置との間で駆動する押さえ部材駆動用アクチュエータ手段(24)と、を備えていてもよい。この場合、本体支持部に容器を倒して置いた後は押さえ部材駆動用アクチュエータ手段を操作して容器押さえ部材を拘束位置に駆動することにより、容器を拘束することができる。
本発明の第2の容器補修装置の一形態において、前記スカート部は、円筒状の胴部(102a)と、前記胴部の一端に設けられてその胴部を形成する部材が全周に亘って内側に丸められたカール部(102b)と、を備え、前記第2プレス部材には、前記第2プレス部材が前記補修位置に駆動された際に前記カール部が収容されるポケット部(39b)が設けられていてもよい。この場合、第2プレス部材を補修位置に駆動し、第1プレス部材と第2プレス部材とによってスカート部の胴部を挟み込んでもカール部が第2プレス部材のポケット部に収容されるので、これらプレス部材によってカール部が潰されることを防止できる。
本発明の第2の容器補修装置の一形態において、前記第1プレス部材は、前記凹部が設けられる第1治具部(36)と、前記第1治具部が固定される第1固定部(35)と、を備え、前記第1治具部は前記第1固定部に対して着脱可能であってもよい。また、前記第2プレス部材は、前記凸部が設けられる第2治具部(39)と、前記第2治具部が固定される第2固定部(38)と、を備え、前記第2治具部は、前記第2固定部に対して着脱可能であってもよい。スカート部の径の異なる種々の容器を補修する場合、補修する容器のスカート部の径に応じて凹部や凸部を交換する必要がある。これらの形態では、凹部が設けられる第1治具部又は凸部が設けられる第2治具部が着脱可能であるため、第1治具部又は第2治具部の交換のみでスカート部の径の異なる種々の容器を補修することができる。そのため、スカート部の径の異なる種々の容器に対して容器補修装置を対応させるために要する作業を簡略化でき、またその作業時間を短縮できる。
本発明の容器補修方法は、上述した第2の容器補修装置を利用して前記容器の前記スカート部の変形を補修する容器補修方法において、前記第2プレス部材を下方に移動させた際に前記第2プレス部材の凸部が前記変形部分のうち先端よりも前記本体部寄りの所定位置に当たるように前記拘束手段で補修対象の容器の位置を固定する位置固定工程(S1)と、前記位置固定工程で位置が固定された容器の前記変形部分の前記所定位置が前記凸部と前記凹部とによって挟み込まれるように前記アクチュエータ手段を動作させて前記第2プレス部材を前記補修位置に移動させる補修工程(S2)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
本発明の容器補修方法によれば、変形部分の所定位置に第2プレス部材の凸部が当たるように容器の位置を拘束手段で固定し、その後第2プレス部材を補修位置に移動させるので、第1プレス部材の凹部と第2プレス部材の凸部とで変形部分を挟み込み、これにより変形部分を変形前の形状と略同じ形状に戻すことができる。そのため、本発明の第2の容器補修装置と同様にスカート部の変形を従来よりも容易に補修できる。また、作業者の負担を軽減することができる。
本発明の容器補修方法の一形態において、前記補修工程では、まず前記解除位置と前記補修位置との間に設定され、かつ段階的に前記補修位置寄りに変更される目標位置と前記解除位置との間で前記第2プレス部材を複数回往復移動させ、その後前記第2プレス部材が前記補修位置に移動するように前記アクチュエータ手段を動作させてもよい。このように目標位置を段階的に補修位置寄りに変更し、第2プレス部材をこの目標位置と解除位置との間で複数回往復移動させることにより、変形部分に一度に大きな力が加わることを防止できる。そのため、変形部分に過剰な力がかかり、これによりスカート部が破損することを抑制できる。
本発明の容器補修方法の一形態においては、前記第2プレス部材を下方に移動させた際に前記変形部分の先端に前記第2プレス部材の凸部が当たるように前記拘束手段で補修対象の容器の位置を固定し、その後前記拘束手段により位置が固定された容器の前記変形部分の外周が前記第1プレス部材に接するまで前記変形部分の先端が下方に押されるように前記アクチュエータ手段を動作させて前記第2プレス部材を下方に移動させる事前補修工程(S3)が前記位置固定工程の前に実施されてもよい。この場合、例えばスカート部の内側に第2プレス部材の凸部を挿入することができない程度までスカート部が内側に曲がっていても事前補修工程で変形部分の変形の度合いを小さくできるので、補修工程において第2プレス部材の凸部をスカート部の内側に挿入することができる。そのため、変形の度合いが大きい容器に対しても変形部分をハンマーなどで叩く作業を省略できるので、作業者の負担をさらに軽減できる
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
以上に説明したように、本発明によれば、第2プレス部材の凸部と第1プレス部材の凹部とによってスカート部を挟み込むことにより、補修対象の容器のスカート部の変形を補修できるので、従来よりも容易にスカート部の変形を補修することができる。これにより、再利用可能な容器の数量を大幅に増加させることができる。
図1及び図2は、本発明の一形態に係る容器補修装置を示している。なお、図1は、容器補修装置1を図2の右側から見た図であり、図2は図1のII−II線における容器補修装置1の断面を示す図である。容器補修装置1は、図3に示した容器としてのビール樽100の上部スカート102及び下部スカート103の変形を補修するためのものである。このビール樽100は、ビール製造工場で製造した飲料を料飲店などに流通させるための周知のものであり、外部及び内部の洗浄をそれぞれ行って複数回繰り返し使用される。図3に示したようにビール樽100は、内部からビールを取り出すための口金101aが設けられ、内容物としてのビールが充填される本体部101と、本体部101から上方に延びる円筒状の上部スカート102と、本体部101から下方に延びる円筒状の下部スカート103とを備えている。以降、上部スカート102と下部スカート103とを区別する必要がない場合は、単にスカートと称する。これら本体部101、上部スカート102、及び下部スカート103は、ステンレスなどの金属で形成されている。そのため、流通過程においてスカート102、103に衝撃が加えられるとスカート102、103が変形することがある。
図1に示したように本体部101の上面及び底面は、それぞれ中央部が外側と突出する球面状の鏡面で形成される。上部スカート102は、円筒状の胴部102aと、その胴部102aを形成する部材が上端部にて全周に亘って内側に丸められたカール部102bとを備えている。上部スカート102の胴部102aには、運搬時に作業者が手を掛けることが可能なように穴102cが設けられている。下部スカート103も上部スカート102と同様に、円筒状の胴部103aと、カール部103bとを備えている。下部スカート103の胴部103aには、ビール樽100を積み重ねた際に下部スカート103のカール部103bが上部スカート102のカール部102bの内側に嵌るように、言い換えると下部スカート103のカール部103bの外径が上部スカート102のカール部102bの内径とほぼ同じになるように段差103cが設けられている。
図1に示したように容器補修装置1には、スカートが変形した補修対象のビール樽100が横に倒した状態で置かれ、この補修対象のビール樽100のスカートの変形した部分(以下、変形部分と称することがある。)をプレス受け部21とプレス部23とで挟み込むことによりその変形部分の補修を行う。容器補修装置1は、車輪11付の架台10と、変形部分の補修を行うためのプレス機構30と、プレス機構30にスカートの変形部分が位置し、かつ横に倒した状態でビール樽100が固定されるようにそのビール樽100の本体部101を拘束する拘束手段としての容器固定機構20とを備えている。
容器固定機構20は、横に倒されたビール樽100の本体部101を下方から支持するように架台10に設けられる本体支持部21と、本体支持部21の上方に配置され、架台10に設けられたガイド22にて上下動可能に支持される容器押さえ部材としての一対の容器押さえ23と、本体支持部21に倒して置かれたビール樽100の本体部101を押さえ付ける拘束位置P1とその押さえ付けが解除される拘束解除位置P2との間で容器押さえ23を駆動する押さえ部材駆動用アクチュエータ手段としてのエアシリンダ24とを備えている。本体支持部21は、ビール樽100の本体部101が置かれる複数の支持ブロック21aと、支持ブロック21aを架台10に固定する固定部材21bとを備えている。図2に示したように複数の支持ブロック21aは、これら支持ブロック21aにて形成される本体支持部21の支持面21cが中央部から両側に向かって徐々に高くなるように固定部材21bで架台10にそれぞれ固定される。そのため、本体支持部21の支持面21cは、中央部が凹んだ形状に形成される。このように各支持ブロック21aを固定することにより、補修対象のビール樽100が支持面21c上を転がることを防止できる。本体支持部21は、作業者が作業し易い高さ、言い換えれば作業者が容易にビール樽100を持ち上げることが可能な高さに設けられる。このような高さとしては、例えば床面から90cm程度の高さが設定される。
図1及び図2に示したように一対の容器押さえ23は、ガイド22に支持される支柱23aと、支柱23aの下端に、本体支持部21に倒して置かれたビール樽100の軸線方向に延びるように設けられる円筒状の固定パッド23bとをそれぞれ備えている。一対の容器押さえ23は連結部材23cによって連結されており、エアシリンダ24はこの連結部材23cを上下動させることにより、一対の容器押さえ23を上下方向に駆動する。一対の容器押さえ23は、エアシリンダ24によって拘束位置P1に駆動された際に一方の容器押さえ23の固定パッド23bと他方の容器押さえ23の固定パッド23bとが本体支持部21に置かれた補修対象のビール樽100の軸線を挟んで対称に位置し、かつ各容器押さえ23の固定パッド23bでそのビール樽100の側面をそれぞれ押さえ付けることが可能なように設けられる。そのため、これら一対の容器押さえ23を拘束位置P1に移動させることにより、本体支持部21に置かれたビール樽100の位置を固定することができる。
プレス機構30は、凹部31aが本体支持部21の支持面21cと略同じ高さに配置されるように架台10に固定され、かつ容器固定機構20にて本体部101が拘束された補修対象のビール樽100のスカートの変形部分が配置される第1プレス部材としてのプレス受け部材31と、凸部33aがプレス受け部材31の凹部31aと対向するように設けられ、ガイド手段としてのガイドレール32に上下動可能に支持される第2プレス部材としてのプレス部材33と、プレス部材33を上下方向に駆動するアクチュエータ手段としての油圧シリンダ34とを備えている。油圧シリンダ34は、油圧によってピストンロッド34aを伸縮可能な周知のものでよいため、詳細な説明は省略する。
図4及び図5を参照してプレス受け部材31及びプレス部材33について説明する。図4はプレス機構30の一部を拡大して示す図であり、図5は図4に示した部分の斜視図を示している。図5に示したようにプレス受け部材31は、スカートの変形部分の外周側に配置される凹部31aを有している。また、図4に示したようにプレス受け部材31は、架台10に固定される第1固定部としてのベース部材35と、ベース部材35に対して着脱可能であり、かつ凹部31aが設けられる第1治具部としての下治具36とを備えている。下治具36は、ベース部材35にピン37にて固定される。図6及び図7は下治具36を拡大して示す図である。なお、図6は下治具36を図7の左側から見た図であり、図7は図6のVII−VII線における下治具36の断面図である。この下治具36は、図3に示したビール樽100の上部スカート102の変形を補修するためのものである。
図6に示したように下治具36の上面には、中心部が最も低くなるように凹んだ2つの曲面36a、36bが設けられている。曲面36aは、下治具36がベース部材35に取り付けられた際に凹部31aになる部分である。曲面36aは、図6に示したように断面が中央部を底とする凹曲面になるように凹み、かつ図7に示したように一方向に延びるように形成されている。図6に示したように曲面36aは、ビール樽100の上部スカート部102の胴部102aの外周の径Routよりも小さい径R1で形成されている。そのため、変形していない上部スカート部102の胴部102aを曲面36a上に載置した場合、中央部において曲面36aと胴部102aとの間に隙間Δhが生じる。曲面36aの径R1には、例えば上部スカート部102の胴部102aの変形を補修した際に、その変形を補修した部分の返りと隙間Δhとがほぼ同じになる値が設定される。補修した部分の返りは上部スカート部102の大きさ、形状、及び材質などで変化するため、曲面36aの径R1はこれらのパラメータに応じて適宜の値を設定してよい。曲面36bは、曲面36aよりも小さい径で形成されている。そのため、図7に示したように曲面36aと曲面36bとの境界には段差36cが形成される。この段差36cは、上部スカート102のカール部102bの径と同じ径Rcで形成される。そのため、図4に示したようにビール樽100の上部スカート102をプレス受け部材31に配置した場合に、上部スカート102のカール部102bを段差36cに隙間無く接触させることができる。下治具36の下面には、ベース部材35に設けられた突起(不図示)と嵌合してベース部材35に対する下治具36の位置を合わせるための位置調整穴36d、36dと、ベース部材35に対して下治具36を固定する際にピン37が挿入されるピン挿入孔36e、36eとが設けられている。
なお、図6及び図7には上部スカート102用の下治具36を示したが、この他に補修すべきスカートの形状に応じた形状の凹部を有する複数の下治具が用意される。例えば、図3に示したように上部スカート102と下部スカート103とでは形状が異なるため、上部スカート102用の下治具36では下部スカート103の変形を補修することが困難である。そこで、下部スカート103の外周の形状に応じた形状の凹部を有する下治具を用意しておき、下部スカート103の変形を補修する場合はこの下治具をベース部材35に取り付けて補修を行う。同様にスカートの形状の異なるビール樽100のスカートの変形を補修する場合もその補修対象のビール樽100のスカートの形状に応じた形状の凹部を有する下治具を用意しておき、ベース部材35にこの下治具を取り付けてこのビール樽100のスカートの変形を補修する。このように本発明の容器補修装置1では、形状の異なるスカートの補修を行う場合でもプレス受け部材31の全体を交換する必要がなく、下治具36の交換のみで対応することができる。また、上述したように下治具36はベース部材35にピン37で固定されているため、下治具36の交換を比較的容易に行うことができる。そのため、容器補修装置1を形状の異なるスカートに対応させるために要する時間を短縮することができる。
プレス部材33は、プレス受け部材31の凹部31aと同じ方向に延び、かつ対向するように設けられる凸部33aを有している。また、図4及び図5に示したようにプレス部材33は、ガイドレール32に上下動可能に支持される第2固定部としてのスライド部38と、スライド部38に対して着脱可能であり、かつ凸部33aが設けられる第2治具部としての上治具39とを備えている。上治具39には、上治具39をスライド部38に固定する際にスライド部38の嵌合穴(不図示)に嵌め込まれる中間部材40(図4参照)が取り付けられる。そして、上治具39は、この中間部材40がスライド部38の嵌合穴に嵌め込まれるとともにピン41がスライド部38と上治具39とを貫通することによりスライド部38に固定される。図4に示したようにスライド部38には、油圧シリンダ34のピストンロッド34aが連結される。図8及び図9は上治具39を拡大して示す図である。なお、図8は上治具39を図9の左側から見た図であり、図9は図8のIX−IX線における上治具39の断面図である。この上治具39は上述した下治具36と同様に、図3に示したビール樽100の上部スカート102の変形を補修するためのものである。
上治具39の下面には、図8に示したように断面が中央部を先端とする凸曲面になり、かつ図9に示したように一方向に延びる曲面39aが設けられている。曲面39aは、上治具39がスライド部38に取り付けられた際に凸部33aになる部分である。曲面39aの径R2には、凸部33aと凹部31aとで上部スカート102の胴部102bを挟み込んだときに凹部31aにこの胴部102bを押し付けることが可能な値、例えば下治具36の曲面36aの径R1と同じ値が設定される。なお、曲面39aの径R2は、この値に限定されない。例えば、下治具36の曲面36aの径R1より小さい値を設定してもよい。このような値であれば、凸部33aと凹部31aとで上部スカート102の胴部102bを挟み込んだときに凹部31aにこの胴部102bを押し付けることができる。図1に示したように上治具39は先端部を上部スカート102の内周側に挿入するので、曲面39aの長さLには、上部スカート102の胴部102bの長さよりも小さい値、例えば胴部102bの長さの8割程度の長さが設定される。また、上治具39の下面には、プレス受け部材31とプレス部材33とで上部スカート102の変形部分を挟み込んだ際にその上部スカート102のカール部102bが収容されるポケット部39bが設けられている。そのため、ポケット部39bは、上部スカート102のカール部102bの外径よりも若干大きい径に形成される。また、このポケット部39bは、図4に示したように上部スカート102のカール部102bが下治具36の段差36cに接触するように配置された場合にこのカール部102bを収容するように上治具39に設けられる。
図8及び図9に示したように上治具39の上面には、上治具39をスライド部38に固定する際にピン41が挿入されるピン挿入穴39cが設けられている。また、上治具39の側面のうちスライド部38側に配置される側面には、中間部材40が挿入される挿入溝39dと、中間部材40を上治具39に固定するためのボルトがねじ込まれるネジ穴39eとが設けられる。図9に示したように上治具39の側面のうち上部スカート102の内周に挿入されてビール樽100の上面と対向する側面は、その途中から上側に向かうほどスライド部38側に配置される側面に向かって後退するように傾斜している。このようにビール樽100の上面と対向する側面を傾斜させることにより、ビール樽100の上面と接触することなく上部スカート102の内側を上治具39が移動できる距離を長くすることができる。
上治具39も下治具36と同様に、図8及び図9に示した上部スカート102用のものの他に補修すべきスカートの形状に応じた形状の凸部を有する複数の上治具が用意される。また、上治具39は、補修すべきスカートの部位に応じた凸部を有する複数の上治具が用意される。例えば、図3に示したように胴部102aのうち穴102cが設けられている部分を補修する場合は、この穴102cの周囲の部分を考慮した凸部33aが必要となる。そこで、上部スカート部102のこの部分を補修する場合は、穴102cが設けられている胴部102aの形状に応じた形状の凸部を有する上治具が用意され、この上治具がスライド部38に取り付けられる。同様にスカートの形状が異なるビール樽100の変形を補修する場合も同様にそのビール樽100のスカートの形状に応じた形状の凸部を有する上治具に交換される。プレス部材33もプレス受け部材31と同様に上治具39がスライド部38に対して着脱可能であるため、形状の異なるスカートの補修を行う場合でもプレス部材33の全体を交換する必要がない。そのため、容器補修装置1を形状の異なるスカートに対応させるために要する時間を短縮することができる。また、上治具39はスライド部38にピン41で固定されているため、上治具39の交換を比較的容易に行うことができる。
図1に戻って容器補修装置1の説明を続ける。容器補修装置1は、エアシリンダ24に供給する圧縮空気を制御するための圧縮空気制御装置50と、油圧シリンダ34に供給する油圧を制御するための油圧制御装置60とを備えている。図10は、容器補修装置1における圧縮空気制御装置50及び油圧制御装置60の概略を示している。圧縮空気制御装置50は、圧縮空気の供給源とエアシリンダ24との間に介在し、エアシリンダ24が伸びて容器押さえ23が拘束位置P1に移動するようにエアシリンダ24に供給する圧縮空気を制御する下降位置とエアシリンダ24が縮んで容器押さえ23が拘束解除位置P2に移動するようにエアシリンダ24に供給する圧縮空気を制御する上昇位置とに切り替え可能な圧縮空気制御弁51を備えている。
油圧制御装置60は、オイルタンク61のオイルを油圧ポンプ62で油圧シリンダ34に送るものである。油圧ポンプ62と油圧シリンダ34との間には、油圧シリンダ34のピストンロッド34aが伸びるプレス下降位置と油圧シリンダ34のピストンロッド34aが縮むプレス上昇位置とに切り替え可能な油圧制御弁63が設けられる。また、油圧制御装置60は、油圧シリンダ34の油圧が予め設定した所定圧力以上になった場合に開弁して油圧シリンダ34内の油圧を低下させる安全弁64を備えている。安全弁64の所定圧力としては、例えばプレス部材33に無理な力が作用してビール樽100、プレス部材33及びプレス受け部材31などの容器補修装置1の各部が破損しない程度の圧力が設定される。このような圧力は、容器補修装置1の構造や各部材の材質などに応じて変化するため、所定圧力はこれら容器補修装置1の構造や各部材の材質などに応じて適宜設定すればよい。
また、容器補修装置1は、図1及び図10に示したように圧縮空気制御弁51の動作及び油圧制御弁63の動作を制御するための制御装置70を備えている。制御装置70は、作業者が操作する複数のスイッチ72と、容器補修装置1の状態、例えばプレス部材33の動作状況などを表示するディスプレイ73とが設けられた操作パネル71と、各弁51、63の動作を制御する動作制御部74とを備えている。操作パネル71に設けられる複数のスイッチとしては、例えば容器押さえ23を拘束位置P1に移動させるための下降スイッチ、容器押さえ23を拘束解除位置P2に移動させるための上昇スイッチ、プレス部材33を下降させるためのプレススイッチ、プレス部材33を上昇させるためのプレス解除スイッチなどが設けられる。動作制御部74は、作業者が操作パネル71のいずれかのスイッチを操作すると、そのスイッチに応じて圧縮空気制御弁51の動作及び油圧制御弁63の動作を制御する。例えば、作業者がプレススイッチを操作すると、油圧シリンダ34が伸びてプレス部材33が下降するように油圧制御弁63をプレス下降位置に切り替える。なお、制御装置70は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットによって実現されてもよいし、ハードウェア制御回路によって実現されてもよい。
次に図4、図11及び図12を参照して容器補修装置1を利用した容器の補修方法を説明する。図11は、上部スカート102が変形したビール樽100の一例を示している。図11に示したようにこのビール樽100は、上部スカート102の一部102dが内側に折れ曲がって変形している。このビール樽100の上部スカート102の変形した部分(変形部分)102dを補修する場合、まず補修前の準備として、エアシリンダ24を動作させて容器押さえ33を拘束解除位置P2に移動させる。また、ビール樽100を本体支持部21上に倒して置き、かつ変形部分102dをプレス受け部材31の凹部31aに配置した際に、プレス部材33の上治具39が上部スカート102の内周側であり、かつ口金101aよりも下方に口金101a及び本体部101の上面に当たることなく配置されるようにプレス部材33の高さを調整する。この位置であればプレス部材33の凸部33aを変形部分102dから離間させることができるので、この位置が解除位置P3に設定される。これらの準備が完了した後、容器固定機構20でビール樽100の位置を固定する位置固定工程S1を実施する。位置固定工程S1では、図4に示したようにビール樽100を変形部分102dがプレス受け部材31の凹部31aに位置するように本体支持部21上に横に倒して置く。このようにビール樽100を置くことにより、ビール樽100の上下方向を凸部31a及び凹部33aの延びる方向に合わせることができる。この際、変形部分102dのカール部102bが、プレス受け部材31の段差36cの上方に配置されるようにビール樽100の位置を調整する。これによりビール樽100を図4に示した位置に調整できる。その後、エアシリンダ24を動作させて容器押さえ33を拘束位置P1に移動させる。これにより、ビール樽100を本体支持部21に固定することができる。
次に補修工程S2を実施する。補修工程S2では、油圧シリンダ34を動作させてプレス部材33を下方に駆動し、図12に示したようにプレス受け部材31の凹部31aとプレス部材33の凸部33aとで変形部分102dを挟み込んでプレスする。そのため、この際のプレス部材33の位置が補修位置P4となる。その後、プレス部材33はこの補修位置P4に数秒間(例えば3秒間)保持される。言い換えると、変形部分102dは、凹部31aと凸部33aで数秒間プレスされる。プレス部材33を補修位置P4に維持する時間は、補修後の変形部分102dの返りを考慮して設定され、補修後の返りが大きいと判断される場合は長くする。なお、この際、図12に示したように上部スカート102のカール部102bは、上治具39のポケット部39bに収容される。そのため、カール部102bが潰れることを抑制できる。
補修工程S2が終了した後は、油圧シリンダ34を動作させてプレス部材33を解除位置P3に移動させる。その後、エアシリンダ24を動作させて容器押さえ33を拘束解除位置P2に移動させる。容器押さえ23による押さえ付けを解除した後は、本体支持部21から補修したビール樽100を下ろす。なお、上部スカート102に変形部分102dが複数ある場合は、押さえ付けの解除後に補修すべき他の変形部分102dがプレス受け部材31の凹部31aに位置するようにビール樽100を周方向に回転させる。その後、容器固定機構20でビール樽100の位置を固定して補修工程S2を再度行う。そして、この手順を繰り返し実行し、複数の変形部分102dの補修が全て終了した後、本体支持部21から補修したビール樽100を下ろす。
上述したようにプレス受け部材31の凹部31aは上部スカート102の外周の径Routより小さい径R1の曲面で形成されており、プレス部材33の凸部33aは凹部31aの径R1と同じ径R2の曲面で形成されている。そのため、このように凹部31aと凸部33aで挟む込んだときに変形部分102dを変形前の状態よりも外側に膨らんだ状態、言い換えると外側に反った状態にすることができる。これにより、変形部分102dに対して補修後の返りを考慮した補修を行うことができる。従って、変形部分102dの状態をほぼ変形前の状態に戻すことができる。このように、本発明の容器補修装置1によれば、ビール樽100を本体支持部21に載せて位置を固定した後は、油圧シリンダ34を操作するのみで変形部分102dの補修を行えるので、従来よりも容易にスカートの補修を行うことができる。また、変形部分102dの補修は油圧シリンダ34で行うため、ハンマーなどで変形部分102dを叩く作業が不要となる。そのため、作業者の負担を軽減することができる。
本発明の容器補修装置1を利用した変形部分102dの補修方法は、上述した方法に限定されない。例えば、補修工程S2では、プレス部材33を解除位置P3から補修位置P4に1回で移動させず、まず解除位置P3と補修位置P4との間に設定され、かつ段階的に補修位置P4寄りに変更される目標位置と解除位置P3との間でプレス部材33を複数回往復移動させ、その後プレス部材33を補修位置P4に移動させてもよい。スカートを形成している板の厚さが厚い場合や変形部分102dの変形度合いによってはプレス部材33を解除位置P3から補修位置P4に1回で移動させると変形部分102dに過剰な力が一度に加わり、スカートが破損するおそれがある。そこで、まず解除位置P3と段階的に補修位置P4寄りに変更される目標位置との間でプレス部材33を複数回往復移動させ、変形部分102dを徐々に変形前の形状に戻すことにより、変形部分102dに過剰な力がかかることを防止できる。そのため、補修時にスカートが破損することを抑制できる。なお、制御装置70がコンピュータユニットで実現されている場合は、上述した事前補修工程S3におけるプレス部材33の動作手順を実現するための油圧制御弁63の制御プログラムを制御装置70のROMに記憶させておき、このプログラムを実行することによってプレス部材33の動作を制御してもよい。
また、例えば、プレス部材33の上治具39を上部スカート102の内側に挿入不可能な程度まで変形部分102dが内周側に折れ曲がっている場合は、上述した位置固定工程S1の前に図13に示したようにプレス部材33の凸部33aで変形部分102dのカール部102bを押して変形部分102dを外側に押し広げる事前補修工程S3を追加してもよい。
事前補修工程S3では、まず変形部分102dがプレス受け部材31の凹部31a上であり、かつプレス部材33を下方に移動させた際に凸部33aが変形部分102dのカール部102bに当たるようにビール樽100を本体支持部21上に倒して置く。その後、エアシリンダ24を動作させて容器押さえ33を拘束位置P1に移動させ、これによりビール樽100をその位置に固定する。ビール樽100の位置を固定した後は、油圧シリンダ34を動作させてプレス部材33を下方に駆動し、変形部分102dを外側に押し広げる。この際、プレス部材33は、変形部分102dの外周がプレス受け部材31の凹部31aに接触する程度まで下方に駆動される。その後、油圧シリンダ34を動作させてプレス部材33を上方に駆動し、変形部分102dの矯正を終了する。なお、この矯正は、プレス部材33の上治具39を上部スカート102の内側に挿入することができるようになるまで繰り返し行ってもよい。その後、上述した位置固定工程S1及び補修工程S2が実施される。
このように位置固定工程S1及び補修工程S2の前に事前補修工程S3を実施することにより、プレス部材33の上治具39を上部スカート102の内側に挿入不可能な程度まで変形部分102dが内周側に折れ曲がっているビール樽100に対しても本発明の容器補修装置1のみで変形の補修を行うことができる。そのため、作業者が変形部分102dの変形の度合いを小さくするべくハンマーなどで叩く作業が不要となるので、作業者の負担をさらに軽減することができる。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、本発明の容器補修装置にて補修される容器はビール樽に限定されない。本発明の容器補修装置では、ビール樽のように上下方向に延びるスカート部を有する種々の容器を補修してよい。
プレス受け部材の凹部の形状は、上述した形態の形状に限定されない。この凹部は、プレス部材の凸部とプレス受け部材の凹部とで変形部分を挟み込んだときにその変形部分が変形前の状態よりも外周側に膨らむように形成されていればよい。そのため、例えば凹部の断面の凹曲線は、曲率の異なる曲線を組み合わせたものでもよい。この場合、少なくとも凹曲線の底となる中央部が、スカート部の外周の径よりも小さい径で形成された曲面であればよい。例えば、中心部には凹部とスカートとの間に隙間が生じるように径がスカートの外周の径より小さい曲面が設けられ、かつ両端には凹部にスカートが滑らかに接するような径の曲面が設けられ、これらの曲面が中心部から両端に向かうに従って径が漸次大きくなるような曲面で接続されていてもよい。このような曲面が中央部に設けられることにより、凸部と凹部とで変形部分を挟み込んだときにその変形部分を変形前の状態よりも外周側に膨らませることができる。
上述した形態では、凹部を有するプレス受け部材が架台に固定され、凸部を有するプレス部材が上下方向に移動可能に設けられているが、凸部を有するプレス部材を架台に固定し、凹部を有するプレス受け部材を凹部が凸部と対向するように上下方向に移動可能に設けてもよい。この場合も上述した形態と同様に凹部と凸部とで変形部分を挟み込む、これにより変形部分の補修を行うことができる。また、凸部と凹部とで変形部分を挟み込むことが可能であれば、プレス受け部材及びプレス部材の両方が上下方向に移動可能に設けられてもよい。
上述した形態では、容器を横に倒した状態で固定し、変形部分を上下方向から挟み込んで補修したが、容器を固定する状態及び変形部分を挟む込む方向はこれに限定されない。例えば、プレス受け部材及びプレス部材の少なくともいずれか一方を左右方向に移動可能に設け、プレス受け部材の凹部が変形部分の外周側にプレス部材の凸部が変形部分の内周側にそれぞれ配置されるように容器を立てた状態で固定してもよい。この場合も上述した形態と同様に変形部分をプレス受け部材の凹部とプレス部材の凸部とで挟み込んで変形部分をプレスすることができるので、変形部分を容易に補修することができる。