JP5090721B2 - 異形金属材料の引抜き工法 - Google Patents

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Description

本発明は、異形金属材料の引抜き工法に関するものである。
周知のように、金属材料の引抜き加工は、最終用途に見合った線径、形状等を得るために、成形ダイスを用いて材料の断面積を縮小させる加工であるが、この加工に先立って材料の端部に成形ダイスを通過することができる程度に細くする口付け加工が施される。
口付け加工を行うに当って、先ず熱間圧延及びその後処理等が施された後、口付け機と称される端部絞り加工機へ運ばれ、ここでその口付け加工が行われる。
線材が細物あるいは比較的強度の低い線材の場合には、人力による矯正が可能であるが、太物や高強度のものでは液圧等を利用した矯正機によって矯正処理しなければならない。
こうして端部の所定長さが矯正された線材は、そのコイル状巻周部分はホイスト等によって空中へ吊持した状態で、その直線状とされた端部は、例えば冷間圧延、ピ−リング(切削)、スエージング(鍛圧)等により口付け加工されている。
ところが、このような作業は人力による作業が主であって、作業者が過大な労力を負うのみならず、伸線作業時間に比較して、その口付け作業時間の方が長くなることが多く、生産性、作業性の上でも好ましくない結果が生じていた。
このような問題を解決するために、機械化が図られている。例えば線材の仕上圧延終了後におけるコイル状に巻取るまでの圧延ライン中に、圧延線材を圧延ライン中心から偏向させ、偏向させた圧延線材の一端に圧延ライン上にあるロ−ルによって口付けを圧延形成するもの、或いは熱間圧延ミルと巻取機の間に口付け加工機を配設して端部に口付けを形成させるものが提案されている。しかしいずれも最終の成形ダイスとは別途の工程、装置で口付けを行っているのが実情である。
しかしこれらは二次加工メ−カにおける工程の省略と、作業者の筋肉労働の負荷軽減のためになされたものであるが、何れも設備費の関係上経済的に不利になるのに加えて、必ずしも生産性が高くはない。
これらを解消しようとするものとして、熱間圧延線材の先端に、細く加工された口付けを有する引抜加工用の口付け線材において、熱間圧延線材の端部外周角部をコーン状に削したものも考案されているが、異形成形では適用できない。
また口付けは、ダイスの成形口径より当然細く、引抜き手段のクランプに十分銜えさせるだけの長さが必要とされる。そこでスムーズにダイスに挿通してクランプまで到達させるためにはダイスの成形口径に比して十分に細い口付けである必要があるが、余り細すぎるとクランプで銜えて引抜く際に破断されやすく、できれば可能な限りダイスの成形口径に近い断面形状にすることが好ましい。
そこで現在幾つかの機械メーカーからプッシュポインターと称して、ダイスの直前に、送られてきた金属素材を掴んでそのダイスに圧入し、所定の寸法だけ口付けとしてダイスのリリース側より突出させ、しかる後、プッシュポインターを後退させて以後引抜き手段のクランプで口付けを掴んで引抜きに移行する圧入装置が考えられてきており、丸棒材では普及しているが、異形金属の引抜きでは採用されていない。
これは次の理由による。即ち、丸棒の場合、ダイスへの押し込み時に金属素材は全周を均等に保持され、ダイスで均等に絞られるので、比較的ダイスへの押し込みが容易に行われると言えるが、異形の場合、圧入に際してのダイスでの絞込みが全周に亘って均一でなく、その異形の形状に応じて各部位での塑性変形が複雑であり、圧入方向に対して垂直に掛かるダイスからの応力がダイスの各部でばらつきが生じ、そのため異形金属素材の圧入された端部に座屈が生じてダイスから口付けを絞り出すことができない。
したがって異形金属素材の引抜きではダイスでの口付け同時加工は行えていないのが実情である。成形時の減肉が全周均等に行われる丸棒では可能であっても、異形金属素材の場合には、一般には無理とされ、諦められている。
また第2の原因としては、ダイスに圧入するに当たって異形金属素材の場合では、外周が不均一であるため、クランプで素材を均等に掴むことが困難であって、クランプで異形金属素材が空滑りしてダイスに圧入できない。
第3には、高価なダイスを破損させてしまうことが挙げられる。殊に出入が多くて溝が深かったり、微細溝が多いと、ダイスの細かい部分、特に微細凸部や凸部の角が頻繁に破損する。
第4にダイスでの口付けに失敗が増えてやり直しが増えて手間取り、却ってロス時間が増え、全体としての流れが悪くなる。
また一般に熱間で口付けを施すとその加工は比較的容易であるが、熱により組織が変性され、次の引抜き時に口付けが破損しやすく、またダイスに比して挿通可能に十分に縮径されているため、冷間で口付けが施された場合でも引抜き初期に急激に歪が加わって破損が起き易く、そのコントロールは高度の熟練を要するものであった。
したがって現場においては、縮径状態が最終成形品のそれに極めて近く、肉減りが少ない状態で口付けが施され、しかもダイスを損傷せず、かつ製品の肉欠け(傷)を発生せず、工程の流れを阻害しない口付け処理方法の出現が望まれて来た。
また異形では一般に1パスで一気に最終成形品まで引抜くことが難しいものが多く、一般的には複数パスで何段かに分けて徐々に減肉させて引抜き成形が行われる。その場合、最終パスのダイスに挿通可能な口付けを最初に施しておけば複数段のパスであっても口付け処理が1回で済むため、一見合理的であると考えられるが、そうすると一般的には口付けが細すぎて複数のパスでの引抜きに耐え切れず、口付けの破断が頻発する。
したがって一般的にはパスの数に応じてその都度口付けを施して引抜きが行われるため、口付け処理が多くなり、処理効率の更なる低下の要因の一つになっていた。
特公昭60−28563号公報 特開昭53−142961号公報 実開平5−208号公報
本発明は、引抜き成形に先立っての別途工程による口付け加工は、別途のスペースと別途の処理時間が必要となるため、これを省略しようとするものであり、また、口付けは最終引抜き成形品に比して、できる限り縮径、減面の少ない口付けを施すことにより引抜き時での口付けの破断を低減させ、歩留まりの向上を図ると共に、製品には肉欠けのような傷を発生させず、また高価なダイスに損傷を与え難いようにすることを目的とし、異形金属素材の引抜きにおいて、引抜きダイスにて口付けを行えるようにするものである。尚、ここで異形金属素材とは、異形製品を引抜き成形するために供される素材であって、通常は素材も異形であることが多いが、製品の形状によっては素材自体が円柱状である場合も含まれる。
本発明の主たる特徴は、ダイス1で端部に凹凸を有する異形金属素材2を引抜き溝付き成形を行うに当り、ダイス1のアプローチ3に近接して、異形金属素材2の端部の凹凸に対し、少なくともその突出した頂点を結んだ形状よりも僅かに大きい断面形状のガイド12を配置し、当該ガイド12を介してダイス1のアプローチ3に、異形金属素材2の端部を圧入して絞り出し、ダイス1より所定寸法だけ突出させて口付け5を形成した後、その突出た口付け5を引抜き手段により保持して引抜くことを特徴とする。その場合、異形金属素材2自体に成形形態に応じた素材設計を施してダイス1に異形金属素材2を圧入するが、その詳細は後述する。
第2には、ダイス1で異形金属素材2を引抜き成形を行うに当り、ダイス1への圧入の前に異形金属素材2の先端をダイス1による引抜き成形の断面よりもやや大きな断面形状に減面させた予備成形部8を形成し、ダイス1にこの予備成形部8を圧入して絞り出し、ダイス1より所定寸法だけ突出させて口付け5を形成した後、その突出た口付け5を引抜き手段により保持して引抜くことを特徴とする。
第3には、ダイス1への圧入の前に異形金属素材2又は予備成形部8の先端をダイス1による引抜き成形の断面よりもやや大きな断面形状に減面させるに当たり、ダイス1へ圧入する端部の断面が、ダイス1の凸部10に対応する予備溝11が、凸部10に対して均等に減肉された状態であることを特徴とする。これは、素材メーカーより供給される素材には予め成形品に応じて凹所が施されているが、寸法的な誤差のばらつきが大きく、そのままダイスに通すとダイスに凸部(製品では溝)がある場合に塑性変形時の素材の変形流れが蛇行することになり、ダイスの凸部を欠損させるので、ダイスに圧入する前に凸部に対する素材の分布が均等になるように減面加工しておくのである。
第4には、ダイス1への圧入の前に異形金属素材2自体またはその先端をダイス1による引抜き成形の断面よりもやや大きな断面形状に減面させるに当たり、ダイス1に圧入する異形金属素材2又は予備成形部8の予備溝11に、引抜き後の微細溝13に対応して、導入部11Aを施したことである。
本発明にあっては第1に、上述のように、ダイス1で端部に凹凸を有する異形金属素材2を引抜き溝付き成形加工を行うに当り、ダイス1のアプローチ3に近接して、異形金属素材2の端部の凹凸に対し、少なくともその突出した頂点を結んだ形状よりも僅かに大きい断面形状のガイド12を配置し、当該ガイド12を介してダイス1のアプローチ3に、異形金属素材2の端部を圧入して絞り出し、ダイス1のリリース4より所定寸法だけ突出させた後、その突出した口付け5を引抜き手段のクランプ6で保持して引抜くようにしたので、ダイス1に別途口付け処理を施すことなく座屈が防止できる効率が改善でき、未加工のまま異形金属素材2の端部を押し込み、所定の寸法だけダイス1より突出させ、その突出した部分を口付けとして引抜き手段のクランプ6に銜えさせ、そのまま引っ張り加工に移行できるものであって、従来の別途工程によるスペース、時間を省略でき、引っ張り加工の効率を向上させることができる。
また第2に、最初の圧入によりダイス1から突出した口付け5は、ダイスのリリース口径と略同一の太さが確保できるため、従来の口付け加工のように減面し過ぎることがなく、最大限の肉付き状態であるため、口付け5の強度が十分に大きく確保できて、引っ張り時での口付け5の破断発生が激減して歩留まりの向上を図ることができる。
更に、ダイス1では口付け5を含めて異形金属素材2が均等にダイス1全周に亘り充満するため、製品に肉欠け(筋状の傷の発生)を防止し、リリース4部分でリリース4の瞬間の素材の振動が低減し、ダイス1の損傷を抑えることもできる。またこの場合、ダイス1より絞り出されて形成される口付け5は従来のダイス1に挿通するための細い口付けと異なり、ダイス1による引抜き製品と同じ太さであるので、従来のような口付けと素材の境界部がダイス1に引き込まれる初期のショックが生じることなく、ダイス1への衝撃が少なく、ダイス1の破損が防止できる。
流れ的には、先の異形金属素材2の引抜きの最終処理段階への移行と同時に、並行して次の口付け5付与のための圧入を開始し、引抜き手段のクランプ6が保持開始位置に戻った時には口付け5が必要な寸法だけダイス1より突出しており、ロスタイムがない。
第2項に記載の発明のように、ダイス1のアプローチ3への圧入の前に予備加工して異形金属素材2の先端をダイス1の引抜き成形断面よりもやや大きな断面形状に減面(予備成形)させてダイス1に圧入するようにすれば、ダイス1への異形金属素材2の端部の圧入がスムーズに行える。これは製品の断面形状が複雑な場合や凹凸の落差が大きい場合に効果が大きい。そして口付け5での肉減りが少なくなり、そのため所定の引抜き時の口付け5の強度劣化による破断も現象することになる。殊に、複数パスを組み合わせる場合、素材メーカーから供給された異形金属素材2をダイス1に通す第1パスでは一般的に引抜きによる形状変化が大きいことが多いので効果的であり、場合によってはパスを1段減少させることも考えられる。
また一般に異形金属素材2はある程度製品の形状に合わせて選定されるが、それほど精度が高いわけではなく、ダイス1の形状に対して当然ばらつきがあり、そのままダイス1に導入するとそのばらつきに因って異形金属素材2の端部をダイス1に圧入する際、芯が正確に出せないことが多く、異形金属素材2の塑性変形の流れが圧入方向に対して蛇行することになり、この蛇行がダイス1の凸部10に流れ方向と異なる方向の流れを生じさせ、凸部10の角部を破損しやすくなるが、このような蛇行が生じないように異形金属素材2の端部を予備成形して素材の圧入時の流れを均等にする必要がある。
即ち、引抜き製品の断面で凹んだ部分、即ち図8(c)の溝9は、同図(d)のダイス1の凸部10に相当し、この箇所、特にその角部は金属素材の塑性変形時、その流れがぶつかり、応力が加わる部分である。そしてこの部分で製品の凹所の落差が深い場合はダイス1の対応する凸部10が高くなり、供給された素材をそのまま通した場合には、上記の塑性素材流れの蛇行で素材が急激な減面、減肉にバランスよく追従できず、肉が抜けてスクラッチ条の傷が製品表面に生じたり、急激な歪はダイス1の凸部10の角を削ったり破断したりする惧れがある。
第3項に記載の発明では、この予備加工を凸部10に対して塑性変形の流れが均等になるように異形金属素材2の端部の断面を、ダイス1の凸部10に対応する予備溝11がダイス1の凸部10の芯に対して均等状態に加工しておき、その予備加工部8をダイス1に圧入することにより、塑性変形の流れの蛇行を抑制することができ、これによりダイス1の凸部10の角部や細かい凸部16も破損することなくダイス1のリリース4側に突出させて口付け5を形成し、以後この口付け5を引抜き手段のクランプ6で保持してスムーズに引抜き成形を行うことができるのである。この修正加工は、溝10が左右に広がっている場合は芯出しを正確に行って左右のバランスを均等に整え、溝10が上下に広がっている場合は上下の肉付きのバランスを整える。
また図10(c)のように製品の溝9の側壁にアンダーカット状に更に微細溝13があったり、底に更に微細溝14がある場合は同図(d)のようにダイス1の凸部9の頂部や側部に微細凸部16、17があるが、この微細凸部16、17に大きな歪が加わってこれを削り取ってしまう惧れが高い。従来はこのような微細凹凸を有する場合、ダイスの損傷を避けるために、引抜きを諦め、微細凹凸のない製品を引抜いた後、別途切削等により微細溝を施しているのが実情であるが、別途工程が増えてコストアップになる以外に、溝の形状が平底のものに制約される欠点があった。
しかしながら、第4項に記載の発明のように、微細溝13に対応して素材設計を施し、微細溝13に対応してやや浅い溝11を有する形状を前段階のパスで得るか、素材の先端に予備加工を行うかしておくことにより、ダイス1に圧入して得られる突出した口付け5は製品と同じ太さ、形状であるため、引き抜き時に口付けが破断することなく引き抜きことができ、微細溝13も肉欠けの傷を生じることがなく、しかもダイスの微細凸部に破損を生じさせることも抑制できる。
尚、何れの場合も、複数パスのダイス1で順次減面して異形金属素材2の引抜き成形加工を行うに当り、複数パスのいずれか特定のダイス1に口付けレスを適用する場合は、例えば一番減肉率が大きいダイス、或いは一番破損しやすいダイスに適用することにより、効率の良い改善を加えることが期待できる。
そのような可能性が最も高いのが通常は最終パスであるので、口付けレスを最終パスに適応すれば、最小限の工程の改善を期待する場合に効果が大きい。
また、前段までで口付け処理をして引抜いても、最終パスで口付けレスにしておけば、最初から最終パスまで通過できる細い口付けを施しておくものに比べ、最終パスまでの工程での口付けは十分に太く、そのため途中のパスでの口付け破断が低減される。
更に、複数パスの場合に総てのパスに口付けレスを適応した場合には、上記の効果が最大限に発揮できると言える。しかも、口付けを予め行っていた従来の場合に比して各パスで最大肉付きの口付けで引抜けることになり、口付けの付け根の歪に対する強度が確保できて、従来の口付け後に引抜く場合に比べて減肉率を大きくしても、或いは引き抜き速度を上げても口付けの破断が生じにくくなる。その結果、大きな減面率の製品であっても、全体のパス数を減少させることができて、異形金属製品の引抜き成形歩留まりを向上させることができる。
(予備加工を行わない例)
以下本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の基本的な実施例を示すもので、(a)では異形金属素材2がプッシュポインターのような圧入手段のクランプ7で保持されてダイス1のアプローチ3に導入され、(b)のように圧入が開始される。やがてダイス1のベアリング部により塑性変形を受けて(c)のように徐々にリリース4より押出され、その長さが所定寸法に達すると、前記クランプ7を異形金属素材2より離して元の位置に戻す。突出した部分は口付け5となり、次いで(d)のように引抜き手段のクランプ6に口付け5が保持され、以後所定の引抜き成形が行われる。
ここで異形金属素材2をダイス1に搬送するに当っては、移動経路に、異形金属素材2を前工程、或いは素材格納ヤードからガイドする手段、例えばローラ、台車等により1本ずつ間欠的にダイス1近傍に移送する。
異形金属素材2が移送されてきてその先端がダイス1の近傍の所定位置に達すると、それまでは外方に退いていた圧入手段のクランプ7が異形金属素材2に近付いて端部の所定の位置、即ち、口付け寸法とダイスの通過距離及び若干の余裕を見た寸法を含んだ位置で異形金属素材2を掴み、その端部をダイス1のアプローチ3に導き、圧入する。圧入手段としては、例えば油圧シリンダやチェーン或いはベルト駆動装置等任意である。
圧入手段は口付け5付与時のみ作動し、通常の引抜き時、クランプ7は移動経路から退避し、初期位置に復帰して次の異形金属素材2の供給に備えて待機状態となる。
また異形金属素材2の端部を直接ダイス1のアプローチ3に圧入するに際し、アプローチ3に近接して前方にガイド12が配置される。このガイド12は異形金属素材2の端部を正確に位置合せさせるもので、その端部がラフな位置に送り込まれてきてもダイス1に対して位置を修正して導くようになっている。図1ではダイス1と同様に金属ブロックに異形金属素材2の端部の断面形状よりも僅かに大きな断面の透口を施したものである。
この場合、異形金属素材2の端部に凹凸がある場合も考慮する必要はなく、少なくとも突出した頂点を結んだ形状よりも僅かに大きいラフな断面形状で良い(図7(e)、図10(e)参照)。この図7(e)及び図10(e)は予備成形部8に対するガイド12を図示したが、端部に凹凸がある異形金属素材2の場合は、勿論符合8を付した状態が異形金属素材2の断面形状となるのは勿論である。また進行方向の手前より前方に向けて若干のテーパーを施しておくのも良い。また素材が太い場合は上下左右にローラを配置してガイド12を設けることができる(図14(b)参照)。ローラのガイド12をダイス1前方に近接して配置するときは、圧入手段のクランプ7がダイス1に接近すればガイド12がクランプ7の軌道より離脱するようにすることができる。また、更に太いときは圧入手段のクランプ7の軌道よりも前にガイド12を施すこともできる(図14(a)参照)。これらのガイド12は上記の3ポイントに2以上に配置しても構わない。
これにより、特に異形金属素材の先端部の垂れが修正され、先端下縁がアプローチ3に他より先に当接した場合に生じやすい座屈を防止できる。勿論、左右、或いは上へのずれがある場合も、ガイド12がなければ同様な座屈が生じるが、これを防止できる。また、異形金属素材2とダイス1の芯合せが正確でないと、ダイス1の微細凹凸を損傷しやすいが、ガイド12による移送位置の修正によりそれが防止できる。
図2はこの工程における異形金属素材2の図1のA、B、C矢視箇所の断面の変化とダイス1のリリース4を示す。加工に入る前の異形金属素材2の断面は(a)であるが、これがベアリング部での塑性加工途中の異形金属素材2‘の断面、(c)はリリース4から押出された口付け5の断面である。製品の断面は、実質的に口付け5と同一である。また、ダイス1のリリース4側から見ると、(d)のように製品或いは口付け5は異形金属素材2に比べ、減肉が多くなく、溝9も浅い。10は製品の溝9に対応するダイス1の凸部である。
図3は上記と同様に異形金属素材2を予備成形なしでダイス1にそのまま圧入できる例で、比較的溝9が浅いレール状製品の場合の概略を示し、(a)〜(d)は図1に対し、それぞれ図2と同様に対応している。
ここまでは簡単に示すために1パスの例を示したが、図4は3パスの例を模式的に示す。第1から第3パスを経て異形金属素材2はダイスにより段階的に引抜き加工が行われるが、いずれも異形金属素材2は別途口付け処理を受けずに、直ちに圧入手段のクランプ7でダイス1のアプローチ3に圧入され、ダイス1のリリース4より所定の寸法の口付け5が突出したらそれを引抜き手段のクランプ6で掴み、以後上記と同様に引抜き成形を行うもので、これを必要パス数繰り返す。各段階でのダイス1は順次減面されるように配置される。いずれもダイス1の直前又は圧入手段の手前にガイド12が配置されている。
図5は従来の3パスによる引抜き成形を示すもので、第1から第3パスを経て異形金属素材22はダイス21により段階的に引抜き加工が行われるが、いずれも異形金属素材22は別途口付け25を予め加工しておき、その口付け25をダイス21に挿通してリリース24より前方に突出させ、しかる後にこの口付け25を引抜き手段のクランプ26で保持し、引抜き加工を開始する。口付け25が通過し終われば異形金属素材22がアプローチ23に導かれ、ベアリングにより所定形状に減面され、リリース24を経て引抜かれる。これを必要パス数繰り返す。各段階でのダイス21は順次減面されるように配置される。なお、口付け25は最終パスのダイスを通過し得る断面形状まで一気に減肉して加工しておくと、複数パスであっても面倒な口付け加工が1回で済むが、細くなる分、口付け25の破断は発生しやすくなり、各パスの前にそれぞれに応じた口付けをその都度行うと、面倒な処理が増えて効率は低下する。
(予備加工例の流れ)
図6は予備加工を施してから異形金属素材2をダイス1に圧入するもので、複数パスの場合、すべてのパスに適応しても良いし、いずれかのダイス1のみに適用しても良い。この予備加工は、最終製品の断面に於いて、凹凸が複雑で細かい場合、凹所に更にアンダーカット部分がある場合に適用される。まず異形金属素材2の端部をリリース4より太いが、アプローチ3よりやや細い形状に減面させて予備加工部8を形成し、図6(a)のように圧入装置のクランプ7で異形金属素材2を保持して予備加工部8をダイス1のアプローチ3に移送する。このダイス1への予備加工部8の端部の圧入に当っては、ガイド12で位置を修正しながら行われる。
ダイス1に圧入された予備加工部8はダイス1のアプローチ3に当たり、周辺部が斜面に沿って中心方向に押し込まれ、やがてクランプ7がダイス1に近接すると、ダイス1のベアリングで製品と同一の断面に絞られ同図(b)のようにダイス1のリリース4より突出し始める。同図(c)のように所定の寸法だけ突出してこれが口付け5となる。この減肉時、予備加工が施されていることにより、凸部への素材の減肉時の流れがスムーズに無理なく行われ、細部にまで流れが良く追従して抜け(欠け)を抑制し、スムーズに減肉を行って口付け加工が行えることになる。
口付け5が所定寸法だけ突出すると、クランプ7は異形金属素材2より開放されて元の位置に復帰し、次の素材の接近に備える。しかる後に引っ張り手段のクランプ6が接近し、口付け5が押出された後、口付け5を引抜き手段のクランプ6に掴ませて同図(d)のように引抜きを開始するものである。
引抜きの末期には次の異形金属素材2の供給が連動して開始され、圧入装置のクランプ7が次の異形金属素材2の保持を開始し、上記の諸工程が繰り返して行われる。
ここで予備加工は、クランプ7で異形金属素材2を保持した状態でダイス1への圧入工程の直前で行っても良いし、予め別途工程で施しておいても構わない。異形金属素材2は製品の材質及び断面形状を考慮して比較的成形しやすい断面形状のものが選定される。
(予備加工例1:複数箇所の溝の深さに大きな差がある場合)
図7は製品の表面の表面に複数の溝があり、しかもその溝の深さに大きな差がある例である。(c)は製品の断面であって、深い溝9と浅い溝19を有するレール状であるが、この場合、異形金属素材2は(a)のように円柱状のものを異形成形して得られるが、円柱状のままダイス1に圧入しても口付けは形成できず、また予め口付けを施してから引抜いても深い溝9は得られない。そこでこの場合は、(b)のように深い溝9に対応して予備溝11を有する予備加工部8を形成しておき、この予備加工部8をダイス1に圧入して口付け5を形成することができ、以後上記と同様に口付け5をクランク6で保持して引抜くことにより、深い溝19を成形することができる。
予備加工部8はガイド12を経てダイス1に導かれるもので、ガイド12の透口は同図(e)のように予備加工部8の突出した頂点を結んだ形状より僅かに太く形成されていて、予備加工部8の端部の位置をガイド12で整えてダイス1に導入する。尚、図では分かりやすくするためにギャップは模式的に誇大して示している。
このように予備加工で予備溝11を施した場合は、深い溝9がある場合でも流れが十分に追従して欠けや座屈を生じることなく口付け5を施すことができ、その口付け5を引くことにより、口付け5の強度が十分に確保できて口付け5の破断が抑制されて引抜きが行えるのであり、しかも深い溝9があっても肉欠けやダイス1の損傷の発生を抑制して精度の良い製品を効率よく引抜き成形できる。この場合ダイス1においては図7(d)のように製品の深い溝9、浅い溝19に対応して高い凸部10、低い凸部20を有する。
(予備加工例2:巾が広く深い溝の場合)
図8(c)は巾が広く深い溝9を有するレール状の製品の例で、異形金属素材2も(a)のように深い溝9に対応した溝18を有するものが選定される。この溝18は製品の深い溝9、即ちダイス1の凸部10に対応しているが、素材メーカーから出荷されるものでは熱間加工で大量に生産されるものであるから、寸法制度が低い。従ってダイス1の凸部10に対応する溝18の形状にばらつきが大きく、そのままだダイス1に圧入すれば凸部9を損傷する惧れが高い。これは溝18の芯に対する左右又は上下の偏りのばらつきに起因するもので、ガイド12で位置を整えても芯のずれは解消できない。
即ち、異形金属素材2を圧入手段のクランプ7で保持した場合、ダイス1の凸部10の左右の壁面と素材の溝部の左右の側壁部との寸法を図9においてX1、X2とすると、一般的に誤差(X1−X2)が相当に大きく、そのままダイス1に圧入すると、減肉時、肉が多い方から少ない方へ偏って流れることになり、この偏りはダイス1の凸部10に対し不均一な歪が掛かって凸部10を損傷しやすくなると共に、減肉が不均一になって肉欠け部分が生じやすくなる。肉欠けが生ずると、製品には筋状の引っかき傷となり、製品としては欠陥品になってしまう。この誤差は左右、上下のいずれの方向にも発生する可能性を含む。またこのことは口付け5も肉細りや傷入りになりやすく、その場合は引抜き初期の応力に堪え切れず破断しやすくなる。
しかしながら予備加工で左右均等に揃えておくことにより、そのいずれをも抑制できる。図で予備加工後のダイス1の凸部10の左右の壁面と予備加工部分の溝部の左右の側壁部との寸法をY1、Y2とすると、その寸法の誤差は上記X1、X2のばらつきに比して極めて小さく抑えることができる。
深い溝9の巾が広い場合は、肉の流れの不均一に起因する歪がダイス1の凸部10に対し、偏った歪として加わることになるため、流れが蛇行し、急激な蛇行では異形金属素材2の端部が座屈して口付け5が形成できないことになり、座屈を免れて口付け5が形成できても、引抜き時に凸部10の角が損傷されたり、製品に肉欠けによる筋状の欠陥が生じることに繋がるが、予備加工により左右の肉付きを均等に整えて割り振ることにより、圧入時の流れを均等に修正し、その結果、想定通りに口付け5施され、その口付け5を保持して引抜くことにより、引抜き時の素材の流れの蛇行を抑制し、所定の形状の製品をスムーズに成形できると共に、高価なダイス1に損傷を生じさせることも併せて激変させることができる。従来はこのダイス損傷を恐れ、深い溝の加工は減面率の大きなダイスの少ない段数の引抜きでは行えず、減面率の低い浅い溝の状態での引き抜きの段数を増やして繰返すことにより深い溝を形成したり、或いは浅溝を引抜き成形した後、別工程で切削して深い溝を施すことも多く、いずれにしても工数が増え、コスト高の原因の一つになっていたが、本発明ではそれも解消できる。
(予備加工例3:微細溝、アンダーカット溝がある場合)
次は深い溝9に更に微細溝がある場合を説明する。図10(a)、(b)、(c)は素材の断面形状の変化示すもので、(a)は異形金属素材2の未加工部の断面、(b)は予備加工部8の断面、(c)はダイス1を押出した状態の口付け5の断面(製品の断面)である。この例では製品は図10(c)のように幾つかの深い溝9のいずれかの底に微細溝14を有し、深い溝9の側壁にもアンダーカット状の微細溝13を有する例で、これはダイス1から見ると、同図(d)のように凸部10の頂面に更に微細凸部16を有し、凸部10の側壁にも微細凸部17を有する。
そして予備加工を行ってから予備加工部8の端部の位置をガイド12(図10(e)参照)で整えてダイス1に圧入することにより、予備加工部8には溝9に対応して形状や左右(又は上下)のバランスが整えられた予備溝11が施される。このように予備溝11の位置のバランスを整えることにより、ダイス1に対して精確に芯出しをして導入し、深い溝9の塑性成形時の流れのバランスの崩れを防止して、製品には肉欠けや筋の欠陥の発生を防止して細かい凹凸を忠実に引抜き成形でき、しかも深い溝9であっても、深い溝9の底や側壁に微細溝13、14がある場合でも、ダイス1の凸部10の角や微細凸部16、17を損傷させることがない。
(微細溝を素材設計する例1)
次に素材から製品を効率良く得るための条件を考察する。理想的には大きな減面率で1パスで一気に成形することであるが、製品の形状が複雑な異形製品では難しい。そこで素材からいかなる変形を経由させることにより効率良く成形できるかという素材設計を取り入れる。ここで側部に溝9があり、その溝9の底に更に細い幅の微細溝13がある金属最終製品2Cを引抜き成形する実施例について説明する。この実施例では3パスで製品を得る場合を示すもので、図11のように第1パス、第2パスでは予め施した口付け15を用いて引抜を行い、最終の第3パスで口付けなしで引抜き成形を行うもので、第1パスから第3パスに至る間にそれぞれのダイス1で少しずつ引抜き塑性加工により変形を重ねて行く。
第1パスは、素材メーカーより供給された異形金属素材2から角を取り一次製品2Aを得る。図12(a)は一次製品2Aの断面を示すもので、この第1パスは予め口付け15を施しておき、引抜き手段のクランプ6で口付け15を保持して引抜き成形を行う。
第2パスは、最終製品2Cの輪郭よりやや太い目の2次製品2Bを得る。ここでも第1パスと同様、口付け15をクランプ6で保持して引抜き成形が行われる。この時の予備溝9Aはおおまかには図12(b)のように最終製品2Cの微細溝13を考慮して溝9に厚みを持たせた状態で引き抜かれる。
そして第3パスは2次製品2Bから引抜き成形で最終製品2C得られる。ここで前パスまでの口付け15を使って引抜きを行えれば問題ないが、図のような微細溝13がある最終製品2Cでは、そのまま口付け15そのままを用いて引抜くと、微細溝13等の微細凹凸のため、塑性変形時のダイス1での歪が高く、口付け15では持ち堪えられずに破断することが多く、また製品の微細溝13に対応したダイス1の微細凸部16が破断され現象も頻繁に生ずるため、従来はこのような微細凹凸がある場合は冷間での引抜き成形は断念されて来た。そこで従来はこのような場合、微細溝がないところまで引抜き成形し、微細溝は削り加工で施しているのが実情である。この場合、当然のことながら、1工程増加し、コストが増大する上に、削りで得られる微細溝は角溝にならざるを得ない制約があって、自在な形状の微細加工が行い難い欠点があった。
本発明では、2パス目で得られた2次製品2Bの口付け15を切断除去し(或いは無視して口付けとして使用せず)、2次製品2Bの端部を圧入してダイス1より搾り出された部分を3パス目の新たな口付け5として使用する。この新たな口付け5を引抜き手段のクランプ6で保持して引抜くことにより、最終製品2Cが得られる。このようにすることにより、新たな口付け5は太くて成形時の大きな歪に耐えることができて破断が少なく、またダイス1の凸部10の角や微細凸部16に負担も掛からず、スムーズに成形できる。
図12は最初に供給された異形金属素材2(図の(s)参照)から1次製品2A(図の(a)参照)、2次製品2B(図の(b)参照)、最終製品2C(図の(c)参照)の微細凹凸部分の変化の一例を示すもので、最終製品2Cは第3パスで溝9及びその底に更に微細溝13が引抜き成形により施される。図の(d)は第3パスのダイス1の断面を示すもので、凸部10、微細と凸部16が最終製品2C(または口付け5)の溝9、微細溝13に対応している。
更に図13は異形金属素材2、1次製品2A、2次製品2B及び最終製品2Cの微細溝13付近を重ねて拡大した状態を詳細に示すもので、溝9に対応して略均等に厚肉にした予備溝11に更に微細溝13の絞りに対応してその底に一部角溝状の導入部11Aが成形される。この角溝状の導入部11Aが誘い水になり、次の第3パスで微細溝13の絞りが肉掛けを伴うことなく、スムーズに形成されることになる。予備溝11にこの導入部11Aを施さない場合、微細溝13は形成し難いといえる。
通常はダイスにより成形されるサイズより均等に1ミリとか、2ミリとか太い素材をダイスに圧入して、スムーズにダイスで絞れるように複数段のパスで少しずつ細くして、最終製品に仕上げるが、上記したような微細な凹凸が入り組む場合は、全周に亘って均等に太くしても引抜けない場合が多く、凹所の形状に対応して一気に大きな塑性変形による減面縮径を行わず、徐々に変形させてやる必要がある。また、最終製品の凹凸が微細な場合、均等に圧肉に前段のダイス1の凹凸形状を設計することも容易なことではない。しかしながら本発明では、口付けを施さずに圧入装置で異形金属素材の端部をダイスに圧入するに当たり、素材設計を考慮して、最終の製品の微細溝13といわば相似的な微細溝を前段のダイスで引抜かず、予備溝11にV溝状の導入部11Aを施すことにより、ダイスより微細溝13がスムーズに絞り出される。また前段のダイス1の作製も容易となる。この最終の第3パスで口付けが施されていない異形金属素材2の端部がガイド12で芯出しされてダイス1に導かれることになる。
(微細溝を素材設計する例2)
上記では第1パスと第2パスに予め別途に口付け15を施して引抜きに供した例を説明したが、図14は第1パス、第2パス、第3パスのいずれも口付けなしで引抜き成形を行うようにしている。1パス目は、素材メーカーより供給された素材2を口付けなしでそのまま端部を圧入手段のクランプ7で保持してダイス1のアプローチ3に導入し、ベアリングで絞るとやがてリリース4より所定の寸法だけ口付け5が突出する。ここでは圧入手段の直前にロール状のガイド12で異形金属素材2の端部の位置を規制して芯出しを行っておき、その状態でクランプ7で保持してダイス1に圧入する。この場合、クランプ7は芯出しされた素材端部の位置を保って保持し移送させることになる。このようにして絞り出された口付け5を引抜き手段のクランプ6で保持して引抜き、素材から角を取った一次製品2Aを得る。それぞれ図の矢印a、b、cで示すポイントは上記例と同様、図14に対応するもので、1次製品2Aは(a)のように角が落とされ、外寸も少し小さくなる。
2パス目は、図14(b)のように一次製品2Aの端部を圧入手段のクランプ7で保持してダイス1に圧入し,ダイス1より絞り出して次の口付け5を得る。このパスではダイス1直前にロール状のガイド12を設置しておき、クランプ7で保持して移送されてきた素材端部の芯出しを行う。ロール状のガイド12はクランプ7の接近した場合、必要に応じてクランプ7の軌道から離脱するようにする。次いでこの口付け5を引抜き手段のクランプ6で保持し、引抜いて最終製品2Cの輪郭よりやや太い目の2次製品2Bを得る。ここでは2次製品2Bは図15(b)のように最終製品2Cの溝9に対応した位置にそれよりもやや小サイズの予備溝11が形成される。
3パス目は2次製品2Bの端部を圧入手段のクランプ7で保持してダイス1に圧入し、絞り出して口付け5を突出させる。このパスではプレート状のガイド12がダイス1の入り口側に重ねて設置される。次いでこの口付け5を引き抜き手段のクランプ6で保持し引抜いて図15(c)のように溝9の底に更に微細溝13がある最終製品2Cを得る。この微細溝13付近の変形の詳細は図13と略同様である。
この実施例では、全パスとも別途に口付けを別途に加工せず、ダイス1に素材端部を圧入してそれぞれ口付けをその都度形成して引抜き成形を行う。これにより、各パスのいずれもダイス1の凸部10の角や微細凸部16に負担が掛からず、スムーズに成形できる。この場合は、引抜き時の口付けの歪に対する抗力が増大するので、1パス当たりの減面縮径率が向上し、そのため全体としてパス数を減少させることができる。尚、この場合、図9のように予備成形部8を施す手法を併用しても良い。
その他、星型のように溝が表面に多数条有する異形製品であっても、径が細く溝が浅い場合は予備成形を行わず、直接ダイスに圧入して口付けを施すこともできるが、径が太く溝が深い場合や細かい場合は上記と同様、予備加工を施してからダイスに圧入し、口付けを施すことにより効率よく異形素材の引抜き成形が行える。また素材の材質も硬くて脆いもの、柔らかくて引抜き加工が容易なものによって、予備加工が必要なもの、不要なものと選択する必要がある。
異形金属素材の引抜きに当り、従来は事前に別途口付け加工を施さずには行えなかったが、本発明にあっては、異形の金属製品の成形に当り、従来は実現出来なかった口付け加工レスで行うことにより、口付けの太さが限りなく製品に等しくなるため、口付けの強度が増し、引抜き加工時の口付けの破断を低減させて歩留まりの向上を図ることができる。
また製品の形状に対応して適宜予備加工を施すことにより、1パス当りのダイスの減面率を向上させてパス数の減少を実現させ、また塑性成形時の金属素材の流れの蛇行発生を抑制してダイス破断の防止、製品の肉欠けによる粗悪品の発生の抑制を行える。
さらにはアンダーカット状の溝や微細溝等、従来ダイスでの引抜き成形では加工できず、従来別途二次加工で行っていたような微細加工も引抜き成形で可能とならしめたものである。
本発明の1実施例の基本工程説明図。 同上の各段階での素材の断面の変化を示すもので、はそれぞれ図1のA、B、C矢視部分に対応する。(d)はダイスのリリース側からの側面図である。 同上の他の実施例の各段階での素材の断面の変化を示すもので、(a)、(b)、(c)はそれぞれ図1のA、B、C矢視部分に対応する。(d)はダイスのリリース側からの側面図である。(e)はガイドの断面図。 本発明の3パスの場合の工程説明図。 従来の3パスの場合の工程説明図。 (a)、(b)、(c)、(d)は本発明で予備加工を行う場合の概略工程説明図。 同上の予備加工を行う場合の素材の変化を図6の矢視A、B、Cに対応する異形金属素材の断面の変化を示す説明図。(d)はダイスのリリース側からの側面図である。(e)はガイドの断面図。 本発明で予備加工を行わない場合の各段階での素材の断面の変化を示すもので、(a)、(b)、(c)はそれぞれ図6の矢視A、B、Cに対応する異形金属素材の断面の変化を示す説明図。(d)はダイスのリリース側からの側面図である。 同上の深い溝の例の各状態の寸法説明図。 (a)、(b)、(c)は微細溝を有する製品の成形時のそれぞれ異形金属素材、予備加工部、口付けの断面図。(d)はそのダイスの側面図。 3パスで順次減面させる引抜き成形で最終の第3パスで口付けを施さない例の概略工程説明図で、(a)は第1パス、(b)は第2パス、(c)は第3パスである。 異形金属素材の断面の変化を示すもので、(s)、(a)、(b)、(c)は図11の矢視S、A、B、Cの断面図、(d)はダイスのリリース側から見た側面図。 同上の(s)、(a)、(b)、(c)の微細溝付近を重ねた詳細説明図。 3パスで順次減面させる引抜き成形でいずれのパスも口付けを施さない例の概略工程説明図で、(a)は第1パス、(b)は第2パス、(c)は第3パスである。 異形金属素材の断面の変化を示すもので、(s)、(a)、(b)、(c)は図13の矢視S、A、B、Cの断面図、(d)はダイスのリリース側から見た側面図。
符号の説明
1はダイス
2は異形金属素材
3はアプローチ
4はリリース
5は口付け
6は引抜き手段のクランプ
7は圧入手段のクランプ
8は予備成形部

Claims (4)

  1. ダイス1で端部に凹凸を有する異形金属素材2を引抜き成形するに当り、ダイス1のアプローチ3に近接して、異形金属素材2の端部の凹凸に対し、少なくともその突出した頂点を結んだ形状よりも僅かに大きい断面形状のガイド12を配置し、当該ガイド12を介してダイス1に異形金属素材2の端部を圧入して絞り出し、ダイス1より所定寸法だけ突出させて口付け5を形成した後、その突出した口付け5を引抜き手段により保持して引抜くことを特徴とする異形金属材料の引抜き工法。
  2. ダイス1で端部に凹凸を有する異形金属素材2を引抜き成形するに当り、ダイス1への圧入の前に異形金属素材2の先端に、ダイス1の引抜き成形断面よりもやや大きな断面形状に減面させた予備成形部8を形成し、ダイス1にこの予備成形部8を圧入して絞り出し、ダイス1より所定寸法だけ突出させて口付け5を形成した後、その突出した口付け5を引抜き手段により保持して引抜くことを特徴とする異形金属材料の引抜き工法。
  3. ダイス1で端部に凹凸を有する異形金属素材2を引抜き成形するに当り、異形金属素材2又は予備成形部8を形成する際に、ダイス1に圧入する端部の断面を、ダイス1の凸部10に対応する予備溝11がダイス1の凸部10の芯に対して均等状態に加工したことを特徴とする深く広い溝付き異形金属材料の引抜き工法。
  4. ダイス1で端部に凹凸を有する異形金属素材2を引抜き成形するに当り、ダイス1に圧入する異形金属素材2又は予備成形部8の予備溝11に、引抜き後の微細溝13に対応してその底に一部角溝状の導入部11Aを施したことを特徴とする微細溝付き異形金属材料の引抜き工法。
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