JP5090682B2 - 半導体基板の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は半導体基板の処理方法に関し、詳しくは、拡散剤を表面に塗布した半導体基板を熱処理することによって半導体基板中にドーパントを拡散させる半導体基板の処理方法に関する。
太陽電池やディスクリートデバイスに用いられる半導体基板中へのドーパントの拡散は、半導体基板表面にシリカを含んだ拡散剤を塗布して熱拡散する、いわゆる固相拡散法と呼ばれる方法(例えば、特許文献1参照)によって行われることが多い。このような熱拡散を行うバッチ式の熱処理装置の一つとしては、多数の半導体基板を載置することができる支持治具(ボート)を水平に配置する横型拡散炉がある(例えば、特許文献2参照)。
従来用いられている横型拡散炉の概略を図1に示す。この横型拡散炉10の要部は、炉芯管13と、それを囲むように配置された抵抗加熱体等のヒーター14とからなり、炉芯管13には、多数の半導体基板11を載置した拡散用ボート12を搬入、搬出するための炉開口部15が形成されている。炉開口部15はキャップ18で閉塞される。炉芯管13の、炉開口部15と反対側には、熱処理ガスを炉芯管13に導入するためのガス導入管16が具備される。ガス導入管16は熱処理ガスを供給するガス供給手段20に接続されており、ガス供給手段20によりガス導入管16から導入されるガスの流速は、図示しないMFC等を用いて制御される。また、炉芯管13から熱処理ガスを排出するガス排出管17を備える場合もある。
このような横型拡散炉を用いれば、多数枚の半導体基板の拡散熱処理を一度に行うことができるので効率がよいという利点がある。
しかし、このような横型拡散炉内に半導体基板を多数枚並べて拡散熱処理を行う場合、各々の半導体基板について、シート抵抗などの電気特性の面内分布が不均一なものが生じる場合があるという問題があった。
特開昭54−94870号公報 特開2004−221466号公報
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、横型拡散炉を用いて半導体基板に拡散物質を拡散する熱処理を行う場合に、半導体基板に拡散したドーパントの分布の面内におけるばらつきが抑えられた半導体基板を安定して製造するための半導体基板の熱処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、横型拡散炉を用いて、半導体基板中に該半導体基板内でドーパントとなる拡散物質を拡散させる半導体基板の処理方法において、少なくとも、半導体基板の表面に、少なくとも前記拡散物質とシリカとを含む拡散剤を塗布する工程と、前記拡散剤が塗布された複数の半導体基板を、拡散用ボートに載置する工程と、該複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを、毎分500mm以上の速度で前記横型拡散炉内に投入する工程と、該横型拡散炉内で前記複数の半導体基板を一度に熱処理して前記拡散物質を前記半導体基板中に拡散させる工程とを有することを特徴とする半導体基板の処理方法を提供する(請求項1)。
このように、横型拡散炉を用いて半導体基板中に拡散物質を拡散させる熱処理を行う場合に、少なくとも拡散物質とシリカとを含む拡散剤を塗布した複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを毎分500mm以上の速度で横型拡散炉内に投入すれば、ガスの上流側から下流側に至る全ての半導体基板について、それぞれ短時間で所定の温度まで昇温することができるために、塗布面に膜状に固化したシリコン酸化物を短時間で形成することができる。このため、昇温時の拡散剤の飛散を防止することができるので、加熱時においても、ガスの上流側から下流側に至る全ての半導体基板について、それぞれの半導体基板の表面に拡散剤がほぼ均一に分布しており、ドーパントを面内においてほぼ均一に拡散させることができる。このため、品質のそろった多数枚の半導体基板とできるように、各基板のシート抵抗の面内分布のばらつきを抑制し、面内の電気特性を均一化することができる。また、多数枚の半導体基板を一度に処理することができる横型拡散炉を用いて処理を行うので、効率よく半導体基板の処理を行うことができる。
この場合、前記複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを前記横型拡散炉内に投入する際の該横型拡散炉内の温度を、600℃以上とすることが好ましい(請求項2)。
このように、複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを横型拡散炉内に投入する際の横型拡散炉内の温度を600℃以上とすれば、半導体基板として単結晶シリコン基板を用いる場合、熱処理に伴う半導体基板中の酸素析出核の形成を抑制することができる。
また、前記処理される半導体基板を、太陽電池用とすることができる(請求項3)。
このように、本発明の処理方法により拡散熱処理された半導体基板を太陽電池用として用いれば、基板の面内の電気特性が均一である太陽電池を安定して効率よく製造することができる。
本発明に係る半導体基板の処理方法であれば、横型拡散炉のガスの上流側から下流側に至るまで配置された全ての半導体基板について、各々の半導体基板において、ドーパント密度の面内分布をほぼ均一になるようにドーパントを拡散させることができる。このため、シート抵抗等の電気特性の面内分布のばらつきを抑制し、面内の電気特性が均一化されるとともに品質が揃った半導体基板を効率よく供給することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
前述のように、横型拡散炉に半導体基板を投入してドーパントを半導体基板内に拡散する熱処理を行う場合に、基板面内のシート抵抗等の電気特性の面内分布にばらつきが発生することがあるという問題があった。
そして、発明者らの調査によって、このような電気特性の面内分布のばらつきの発生は、特に、拡散用ボート12の、炉芯管13内部で熱処理ガスの下流側となる位置に配置された半導体基板において顕著であることがわかった。
そこで、本発明者らは、特にガス下流側に配置された半導体基板で、このような抵抗分布のばらつきが発生する要因について検討を行った。
その結果、以下のような知見を見いだした。すなわち、半導体基板を複数枚並べて、横型拡散炉に毎分100mm程度の低速度で投入するとガス上流側に配置した半導体基板は短時間で投入温度になるため、塗布面にシリコン酸化物が形成され拡散剤が飛散せず、拡散されたドーパントの分布が均一になる。一方で、ガスの下流側に配置した半導体基板、すなわち、横型拡散炉に投入され終わるまで時間のかかる半導体基板は、温度が徐々に上昇し、シリコン酸化物が形成される前に拡散剤が飛散してしまい、結果として、ガス上流側の半導体基板は均一に拡散されるが、ガス下流側の半導体基板では拡散に面内で分布が発生するため、基板面内のシート抵抗分布にばらつきが発生してしまうと考えられる。
そこで、本発明者らは、さらに鋭意実験及び検討を行い、条件を最適化して本発明を完成させた。
本発明は様々な種類の半導体基板に適用することができるが、以下では、好適な一例として単結晶シリコン基板を処理する場合を例に挙げて説明する。
本発明の半導体基板の処理方法は、図1に示したような、通常使用されている横型拡散炉を用いて行うことができるが、本発明で用いることができる横型拡散炉は、特に限定されるものではなく、従来のいずれのものをも用いることができ、具体的には、以下に示すような種々の態様のものを処理目的等により適宜選択することができる。
すなわち、横型拡散炉10の要部は、炉芯管13と、それを囲むように配置された抵抗加熱体等のヒーター14とからなる。炉芯管13の材質は、耐熱性や、基板への汚染を低く抑える観点等から選択され、熱処理される半導体基板がシリコン基板である場合には、石英等からなるものが選択される。
炉芯管13には、炉開口部15が形成されており、この炉開口部15から炉芯管13内に、多数の半導体基板11が載置された拡散用ボート12が搬入され、また、搬出される。
拡散用ボート12は、多数の半導体基板11を、垂直に支持し、配列して載置できるものであり、その形状としては、通常用いられるものを用いることができる。また、拡散用ボート12の材質としては、上記の炉芯管13の場合と同様に、耐熱性に優れ、半導体基板への汚染が少ないものが好ましい。半導体基板が単結晶シリコン基板である場合には、高純度の石英製のものが好ましいが、これに限定されるものではなく、高純度のシリコン、炭化珪素等、種々の材料からなるものでもよい。なお、拡散用ボート12に載置される半導体基板11の形状は略円形の他、特に太陽電池用基板等の場合には正方形や矩形の場合もあるが、本発明はこれらの形状を有する半導体基板にのみ限定されるものではない。
また、炉開口部15は、当然、半導体基板11を載置した拡散用ボート12が通過するために十分な大きさを有する。
なお、拡散用ボート12の移動は、図示しないフォーク等を用いて下から支持して行うことができる。
横型拡散炉10は、炉開口部15を閉塞するためのキャップ18を具備する。キャップ18は、どのような形状であってもよい。
また、炉芯管13には、熱処理ガスを炉芯管13に導入するためのガス導入管16を具備する。ガス導入管16は熱処理ガスを供給するガス供給手段20に接続される。また、ガス供給手段20によりガス導入管16から炉芯管13に導入される熱処理ガスの流速は、図示しないMFC(Mass Flow Controller)等を用いて制御される。
さらに、炉芯管13から熱処理ガスを排出するガス排出管17を備えてもよい。このガス排出管17はキャップ18に備えられていてもよい。
次に、上記のような横型拡散炉を用いて行う、本発明に係る半導体基板の処理方法について具体的に説明する。
まず、半導体基板11を準備する。拡散熱処理される半導体基板を、単結晶シリコン基板とする場合には、例えば以下のようにして準備する。
高純度シリコンにホウ素あるいはガリウムのようなIII族元素をドープし、比抵抗を例えば0.1〜5Ω・cmとした単結晶シリコンインゴットを切断し、アズカット単結晶:面方位{100}p型シリコン基板とする。単結晶シリコンインゴットは、CZ法、FZ法いずれの方法によって作製されたものでもよい。
続いて、表面のスライスダメージを、濃度が5〜60%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような高濃度のアルカリ、もしくは、フッ酸と硝酸の混酸等を用いてエッチングして除去する。
ダメージエッチング後、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等、もしくはこれらの混合液の酸性水溶液中で洗浄する。経済的及び効率的見地から、塩酸中での洗浄が好ましい。清浄度を向上するため、塩酸溶液中に、0.5〜5%の過酸化水素を混合させ、60〜90℃に加温して洗浄してもよい。
このようにして準備した半導体基板の表面に拡散剤を塗布する。この拡散剤は、少なくとも、半導体基板内でドーパントとなる拡散物質とシリカとを含むものである。拡散物質とはドーパントとなる原子を含む化合物等であり、溶剤に溶けている状態のものであっても、微粒子として含有されるものであってもよい。例えば、上記のようにp型シリコン基板にn型ドーパントを拡散させる場合には、ドーパントとしてはリンなどが該当し、拡散物質としてはリン化合物である酸化リンやリン酸等が拡散剤に含有される。一方、シリカはシリコン酸化物の微粉末等の形態で含まれる。拡散剤には、その他に溶剤や、種々の添加物を含有することができる。
拡散剤中の拡散物質の濃度は目標とするドーパントの拡散濃度等により適宜選択することができる。また、目標とするドーパントの拡散濃度等は、目標とするシート抵抗等の電気特性などから逆算することができる。一方、拡散剤中のシリカの含有率は、後述する熱処理時に膜状のシリコン酸化物を形成することができるものであればよく、適宜調節されればよい。
拡散剤を塗布する方法は、半導体基板11面内に均一に塗布できればどのような方法によってもよいが、例えば、スピン塗布による方法やスクリーン印刷による方法等を用いることができる。スピン塗布による拡散剤の塗布の条件は適当に選択することができるが、半導体基板を回転チャックに固定し、例えば、毎分5000回転で回転させ、約5ccの拡散剤を半導体基板表面に滴下し、回転時間は30秒間程度とすればよい。
次に、図1に示すように、拡散剤を塗布した半導体基板11を拡散用ボート12に載置する。拡散用ボート12には、炉芯管13や拡散用ボート12、半導体基板11のサイズ等にもよるが、半導体基板11を複数載置することができ、一度に処理できるようになっている。一度の熱処理において処理される半導体基板の枚数は特に限定されるものではないが、例えば、10枚程度以上とすれば効率よく半導体基板の拡散熱処理を行うことができるので好ましい。
半導体基板11を拡散用ボート12に載置する際には、半導体基板11に塗布した拡散剤が隣の半導体基板11に付着しないように十分に間隔を取る。なお、拡散剤を塗布した面とは反対側の面同士を接触させて2枚一組として載置する形態としてもよい。
半導体基板11の拡散用ボート12への載置完了後、該半導体基板11が載置された拡散用ボート12を炉芯管13内に毎分500mm以上の速度で投入する。投入速度が毎分500mm以上であると、拡散用ボート12に載置した、ガスの上流側から下流側に至る全ての半導体基板が短時間で加熱され、塗布面に膜状のシリコン酸化物を形成し、拡散剤の飛散が防止される。このように拡散剤の飛散が防止されると、拡散物質が半導体基板11表面に残留し、熱処理工程において、事前に目標としたドーパント濃度となるように、半導体基板11内部にドーパントが拡散される。
なお、このときの投入速度の上限は拡散用ボート12の最大移動速度(例えば毎分3000mm)となる。
また、この投入時の炉芯管13の温度は600℃以上であることが好ましい。投入温度がこのような温度であれば、処理される半導体基板が単結晶シリコン基板である場合には熱処理に伴う酸素析出核の形成を抑制することができる。特に半導体基板11がCZ法によって製造された単結晶シリコン基板である場合には効果が大きい。また、投入温度がこのような温度であれば、拡散剤の塗布面に短時間で膜状のシリコン酸化物を確実に形成することができる。
また、この投入時の加熱ガスは、例えば流量が毎分10リットルの窒素ガス雰囲気とすることができるが、これに限定されるものではない。
半導体基板11が載置された拡散用ボート12が炉芯管13内に全て投入し終わったら、炉開口部15をキャップ18で閉塞し、炉芯管13内を安定した加熱ガス雰囲気とする。このとき、ガス排出管17から加熱ガスを排出するようにしてもよい。
次に、炉芯管13内を所定の熱処理温度まで昇温する。
次に、所定の熱処理温度のまま加熱ガス雰囲気中で拡散熱処理を行い、半導体基板11の表層に拡散層を形成する。この時も半導体基板11の塗布面に形成したシリコン酸化物により拡散剤が飛散せず、ドーパントが基板内に、面内で均一に拡散する。
この拡散熱処理の熱処理温度、熱処理時間は、拡散させるドーパントの半導体基板11中での拡散速度等によって適宜設定される。例えば、上記のp型単結晶シリコン基板にリンを拡散させる場合では、熱処理温度800〜950℃、熱処理時間10〜120分程度とすることができる。
拡散熱処理後、取り出し温度まで炉芯管13内の温度を下げ、半導体基板11が載置された拡散用ボート12を炉芯管13から取り出す。
炉芯管13から取り出した半導体基板11の表面には、拡散剤中のシリカに由来する膜状のシリコン酸化物が形成されている。このシリコン酸化物をフッ酸等により除去して、ドーパントの拡散熱処理は終了する。
このようにして拡散熱処理が行われた半導体基板11は、必要に応じて洗浄等を行い、次の工程へと送られる。
以上のような、本発明に係る半導体基板の処理方法によれば、短時間で大量の半導体基板の拡散熱処理を行うことができる。
拡散剤を半導体基板の表面上に塗布して半導体基板内に拡散させる、いわゆる固相拡散法を採用し、横型拡散炉を用いて行われる本発明の方法は、比較的単純な構造のデバイスの製造を大量に行う場合に適しており、太陽電池用の半導体基板の拡散熱処理に適用することが特に好適である。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ300μm、比抵抗0.5Ω・cmの、ホウ素ドープ{100}p型アズカット単結晶シリコン基板3枚を用意した。次に、このシリコン基板について濃水酸化カリウム水溶液によりダメージ層を除去した後、水洗、乾燥した。次にSC−1洗浄、フッ酸洗浄、SC−2洗浄、フッ酸洗浄をこの順序に行い、水洗・乾燥して、モニター基板とした。
次に、このモニター基板3枚のそれぞれの表面に、シリカ成分と、ドーパントとなるリンの化合物である酸化リンとを含む拡散剤をスピン塗布により塗布した。
次に、拡散用ボート12にダミー基板を100枚載置し、モニター基板3枚をダミー基板100枚の両端(すなわち、炉芯管13内においてガス上流側とガス下流側)と中央に挿入した。次に、この合計103枚の基板11を載置した拡散用ボート12を、炉温度600℃、窒素ガス毎分10リットルの雰囲気にした炉芯管13内に投入速度を毎分600mmで投入した。次に、ヒーター温度を850℃まで昇温して、拡散用ボート12を載置した半導体基板11に対して120分間拡散熱処理を行い、ドーパントの拡散を行った。引き続き、炉温度を600℃になるまで酸素流量毎分5リットル中に60分間放置した後、炉芯管13から基板11を載置した拡散用ボート12を取り出した。
次に、3枚のモニター基板の表面に形成したリンガラスをフッ酸で除去した。
このようにして拡散熱処理した3枚の単結晶シリコン基板を、図2に示すような各々面内9点、すなわち、周縁部については、オリエンテーションフラットの中央部を点aとし、点aから45°の等間隔で並ぶ点b、c、d、e、f、g、h、及び、基板の中心部の点iについてシート抵抗を測定した。
また、各々の基板面内におけるシート抵抗の値のばらつきの尺度として点a〜iのシート抵抗について、(標準偏差/平均値)を計算した。
(実施例2)
拡散用ボート12の炉芯管13への投入速度を毎分500mmとして、その他は実施例1と同様にして単結晶シリコン基板のドーパント拡散処理を行い、面内のシート抵抗分布を測定した。
実施例1、2で得られたシート抵抗値と、(標準偏差/平均値)を表1にまとめた。
Figure 0005090682
実施例1、2の結果より、ガス上流側、中央、ガス下流側に配置された単結晶シリコン基板について、それぞれ、面内のシート抵抗がほぼ均一なものが得られたことがわかり、本発明による効果が明らかに得られた。
また、ガス上流側、中央、ガス下流側に配置されたそれぞれの単結晶シリコン基板の互いのシート抵抗の差は小さいという効果もあり、基板間でのシート抵抗のばらつきについても小さくすることができた。これは、ガス上流側、中央、ガス下流側のいずれに配置された単結晶シリコン基板についても、基板表面に塗布された拡散剤の塗布面に短時間で膜状のシリコン酸化物が形成されたため、ドーパントの拡散がそれぞれの基板間でほぼ同一の条件下でなされたためであると考えられる。従って、本発明により品質の揃った半導体基板を得ることができる。
(比較例1、2、3、4)
拡散用ボート12の炉芯管13への投入速度を毎分400、300、200、100mm(それぞれ、比較例1、2、3、4)として、その他は実施例1と同様にして単結晶シリコン基板のドーパント拡散熱処理を行い、面内のシート抵抗分布を測定した。
比較例1、2、3、4の結果を下記の表2にまとめた。
Figure 0005090682
比較例1、2、3、4の結果を実施例1、2の結果と比べると、拡散用ボート12の炉芯管13への投入速度が毎分500mmより小さいと、各々の基板において、面内のシート抵抗の均一性が悪化することがわかる。また、この面内のシート抵抗の均一性の悪化は、ガス下流側ほど顕著であることがわかる。
また、比較例1、2、3、4ではガス上流側ほどシート抵抗が小さくなる傾向が明らかである。これはガス下流側ほど単結晶シリコン基板内部に拡散したドーパントが少ないことが理由であり、単結晶シリコン基板表面に塗布された拡散剤が一部飛散しているためであることが予測される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記実施形態では半導体基板が単結晶シリコンからなるものである場合について主に述べたが、拡散物質を基板内部に拡散するものであれば、どのような種類の半導体からなるものであっても本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では半導体基板がp型単結晶シリコンからなるものであり、拡散剤が、シリコン基板内でn型のドーパントとなる拡散物質を含むものである場合を例示したが、逆に、n型シリコン基板に対してp型のドーパントとなる拡散物質を拡散させるものであっても本発明は問題なく適用することができる。
半導体基板を横型拡散炉に投入する様子を示す概略断面図である。 実施例及び比較例における半導体基板のシート抵抗測定位置を示す概略図である。
符号の説明
10…横型拡散炉、
11…半導体基板(基板)、 12…拡散用ボート、
13…炉芯管、 14…ヒーター、 15…炉開口部、 16…ガス導入管、
17…ガス排出管、 18…キャップ、 20…ガス供給手段。

Claims (3)

  1. 横型拡散炉を用いて、半導体基板中に該半導体基板内でドーパントとなる拡散物質を拡散させる半導体基板の処理方法において、少なくとも、
    半導体基板の表面に、少なくとも前記拡散物質とシリカとを含む拡散剤を塗布する工程と、
    前記拡散剤が塗布された複数の半導体基板を、拡散用ボートに載置する工程と、
    該複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを、毎分500mm以上の速度で前記横型拡散炉内に投入する工程と、
    該横型拡散炉内で前記複数の半導体基板を一度に熱処理して前記拡散物質を前記半導体基板中に拡散させる工程と
    を有することを特徴とする半導体基板の処理方法。
  2. 前記複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを前記横型拡散炉内に投入する際の該横型拡散炉内の温度を、600℃以上とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の処理方法。
  3. 前記処理される半導体基板を、太陽電池用とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体基板の処理方法。
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