JP5090682B2 - 半導体基板の処理方法 - Google Patents
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Description
しかし、このような横型拡散炉内に半導体基板を多数枚並べて拡散熱処理を行う場合、各々の半導体基板について、シート抵抗などの電気特性の面内分布が不均一なものが生じる場合があるという問題があった。
このように、複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを横型拡散炉内に投入する際の横型拡散炉内の温度を600℃以上とすれば、半導体基板として単結晶シリコン基板を用いる場合、熱処理に伴う半導体基板中の酸素析出核の形成を抑制することができる。
このように、本発明の処理方法により拡散熱処理された半導体基板を太陽電池用として用いれば、基板の面内の電気特性が均一である太陽電池を安定して効率よく製造することができる。
前述のように、横型拡散炉に半導体基板を投入してドーパントを半導体基板内に拡散する熱処理を行う場合に、基板面内のシート抵抗等の電気特性の面内分布にばらつきが発生することがあるという問題があった。
そして、発明者らの調査によって、このような電気特性の面内分布のばらつきの発生は、特に、拡散用ボート12の、炉芯管13内部で熱処理ガスの下流側となる位置に配置された半導体基板において顕著であることがわかった。
その結果、以下のような知見を見いだした。すなわち、半導体基板を複数枚並べて、横型拡散炉に毎分100mm程度の低速度で投入するとガス上流側に配置した半導体基板は短時間で投入温度になるため、塗布面にシリコン酸化物が形成され拡散剤が飛散せず、拡散されたドーパントの分布が均一になる。一方で、ガスの下流側に配置した半導体基板、すなわち、横型拡散炉に投入され終わるまで時間のかかる半導体基板は、温度が徐々に上昇し、シリコン酸化物が形成される前に拡散剤が飛散してしまい、結果として、ガス上流側の半導体基板は均一に拡散されるが、ガス下流側の半導体基板では拡散に面内で分布が発生するため、基板面内のシート抵抗分布にばらつきが発生してしまうと考えられる。
そこで、本発明者らは、さらに鋭意実験及び検討を行い、条件を最適化して本発明を完成させた。
すなわち、横型拡散炉10の要部は、炉芯管13と、それを囲むように配置された抵抗加熱体等のヒーター14とからなる。炉芯管13の材質は、耐熱性や、基板への汚染を低く抑える観点等から選択され、熱処理される半導体基板がシリコン基板である場合には、石英等からなるものが選択される。
拡散用ボート12は、多数の半導体基板11を、垂直に支持し、配列して載置できるものであり、その形状としては、通常用いられるものを用いることができる。また、拡散用ボート12の材質としては、上記の炉芯管13の場合と同様に、耐熱性に優れ、半導体基板への汚染が少ないものが好ましい。半導体基板が単結晶シリコン基板である場合には、高純度の石英製のものが好ましいが、これに限定されるものではなく、高純度のシリコン、炭化珪素等、種々の材料からなるものでもよい。なお、拡散用ボート12に載置される半導体基板11の形状は略円形の他、特に太陽電池用基板等の場合には正方形や矩形の場合もあるが、本発明はこれらの形状を有する半導体基板にのみ限定されるものではない。
また、炉開口部15は、当然、半導体基板11を載置した拡散用ボート12が通過するために十分な大きさを有する。
なお、拡散用ボート12の移動は、図示しないフォーク等を用いて下から支持して行うことができる。
また、炉芯管13には、熱処理ガスを炉芯管13に導入するためのガス導入管16を具備する。ガス導入管16は熱処理ガスを供給するガス供給手段20に接続される。また、ガス供給手段20によりガス導入管16から炉芯管13に導入される熱処理ガスの流速は、図示しないMFC(Mass Flow Controller)等を用いて制御される。
さらに、炉芯管13から熱処理ガスを排出するガス排出管17を備えてもよい。このガス排出管17はキャップ18に備えられていてもよい。
高純度シリコンにホウ素あるいはガリウムのようなIII族元素をドープし、比抵抗を例えば0.1〜5Ω・cmとした単結晶シリコンインゴットを切断し、アズカット単結晶:面方位{100}p型シリコン基板とする。単結晶シリコンインゴットは、CZ法、FZ法いずれの方法によって作製されたものでもよい。
ダメージエッチング後、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等、もしくはこれらの混合液の酸性水溶液中で洗浄する。経済的及び効率的見地から、塩酸中での洗浄が好ましい。清浄度を向上するため、塩酸溶液中に、0.5〜5%の過酸化水素を混合させ、60〜90℃に加温して洗浄してもよい。
拡散剤中の拡散物質の濃度は目標とするドーパントの拡散濃度等により適宜選択することができる。また、目標とするドーパントの拡散濃度等は、目標とするシート抵抗等の電気特性などから逆算することができる。一方、拡散剤中のシリカの含有率は、後述する熱処理時に膜状のシリコン酸化物を形成することができるものであればよく、適宜調節されればよい。
半導体基板11を拡散用ボート12に載置する際には、半導体基板11に塗布した拡散剤が隣の半導体基板11に付着しないように十分に間隔を取る。なお、拡散剤を塗布した面とは反対側の面同士を接触させて2枚一組として載置する形態としてもよい。
なお、このときの投入速度の上限は拡散用ボート12の最大移動速度(例えば毎分3000mm)となる。
また、この投入時の加熱ガスは、例えば流量が毎分10リットルの窒素ガス雰囲気とすることができるが、これに限定されるものではない。
次に、炉芯管13内を所定の熱処理温度まで昇温する。
この拡散熱処理の熱処理温度、熱処理時間は、拡散させるドーパントの半導体基板11中での拡散速度等によって適宜設定される。例えば、上記のp型単結晶シリコン基板にリンを拡散させる場合では、熱処理温度800〜950℃、熱処理時間10〜120分程度とすることができる。
炉芯管13から取り出した半導体基板11の表面には、拡散剤中のシリカに由来する膜状のシリコン酸化物が形成されている。このシリコン酸化物をフッ酸等により除去して、ドーパントの拡散熱処理は終了する。
このようにして拡散熱処理が行われた半導体基板11は、必要に応じて洗浄等を行い、次の工程へと送られる。
拡散剤を半導体基板の表面上に塗布して半導体基板内に拡散させる、いわゆる固相拡散法を採用し、横型拡散炉を用いて行われる本発明の方法は、比較的単純な構造のデバイスの製造を大量に行う場合に適しており、太陽電池用の半導体基板の拡散熱処理に適用することが特に好適である。
厚さ300μm、比抵抗0.5Ω・cmの、ホウ素ドープ{100}p型アズカット単結晶シリコン基板3枚を用意した。次に、このシリコン基板について濃水酸化カリウム水溶液によりダメージ層を除去した後、水洗、乾燥した。次にSC−1洗浄、フッ酸洗浄、SC−2洗浄、フッ酸洗浄をこの順序に行い、水洗・乾燥して、モニター基板とした。
次に、このモニター基板3枚のそれぞれの表面に、シリカ成分と、ドーパントとなるリンの化合物である酸化リンとを含む拡散剤をスピン塗布により塗布した。
次に、3枚のモニター基板の表面に形成したリンガラスをフッ酸で除去した。
また、各々の基板面内におけるシート抵抗の値のばらつきの尺度として点a〜iのシート抵抗について、(標準偏差/平均値)を計算した。
拡散用ボート12の炉芯管13への投入速度を毎分500mmとして、その他は実施例1と同様にして単結晶シリコン基板のドーパント拡散処理を行い、面内のシート抵抗分布を測定した。
また、ガス上流側、中央、ガス下流側に配置されたそれぞれの単結晶シリコン基板の互いのシート抵抗の差は小さいという効果もあり、基板間でのシート抵抗のばらつきについても小さくすることができた。これは、ガス上流側、中央、ガス下流側のいずれに配置された単結晶シリコン基板についても、基板表面に塗布された拡散剤の塗布面に短時間で膜状のシリコン酸化物が形成されたため、ドーパントの拡散がそれぞれの基板間でほぼ同一の条件下でなされたためであると考えられる。従って、本発明により品質の揃った半導体基板を得ることができる。
拡散用ボート12の炉芯管13への投入速度を毎分400、300、200、100mm(それぞれ、比較例1、2、3、4)として、その他は実施例1と同様にして単結晶シリコン基板のドーパント拡散熱処理を行い、面内のシート抵抗分布を測定した。
比較例1、2、3、4の結果を下記の表2にまとめた。
また、比較例1、2、3、4ではガス上流側ほどシート抵抗が小さくなる傾向が明らかである。これはガス下流側ほど単結晶シリコン基板内部に拡散したドーパントが少ないことが理由であり、単結晶シリコン基板表面に塗布された拡散剤が一部飛散しているためであることが予測される。
また、上記実施形態では半導体基板がp型単結晶シリコンからなるものであり、拡散剤が、シリコン基板内でn型のドーパントとなる拡散物質を含むものである場合を例示したが、逆に、n型シリコン基板に対してp型のドーパントとなる拡散物質を拡散させるものであっても本発明は問題なく適用することができる。
11…半導体基板(基板)、 12…拡散用ボート、
13…炉芯管、 14…ヒーター、 15…炉開口部、 16…ガス導入管、
17…ガス排出管、 18…キャップ、 20…ガス供給手段。
Claims (3)
- 横型拡散炉を用いて、半導体基板中に該半導体基板内でドーパントとなる拡散物質を拡散させる半導体基板の処理方法において、少なくとも、
半導体基板の表面に、少なくとも前記拡散物質とシリカとを含む拡散剤を塗布する工程と、
前記拡散剤が塗布された複数の半導体基板を、拡散用ボートに載置する工程と、
該複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを、毎分500mm以上の速度で前記横型拡散炉内に投入する工程と、
該横型拡散炉内で前記複数の半導体基板を一度に熱処理して前記拡散物質を前記半導体基板中に拡散させる工程と
を有することを特徴とする半導体基板の処理方法。 - 前記複数の半導体基板が載置された拡散用ボートを前記横型拡散炉内に投入する際の該横型拡散炉内の温度を、600℃以上とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の処理方法。
- 前記処理される半導体基板を、太陽電池用とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体基板の処理方法。
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