JP5089049B2 - 水性防汚塗料組成物 - Google Patents

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本発明は、防汚性を有する水性塗料組成物に関し、より詳しくは、水中構築物や漁網、船底への海中生物及び海藻類の付着を防止する塗膜の形成が可能な水性防汚塗料組成物に関する。
防汚塗料を使用して形成される塗膜のひとつとしては、これに含まれる防汚薬剤成分が海中に溶出することによって防汚効果を発揮するタイプのものが知られている。このタイプである、例えばロジン系化合物等を使用した崩壊型防汚塗料を使用して形成される塗膜は、長時間にわたって海中に浸漬されていると、徐々に溶出分が少なくなると共に、塗膜面が凹凸状となり、これに伴い海中生物等の生物の付着防止効果が著しく低下する。一方、別のタイプである自己研磨型塗料を使用して形成される塗膜は、塗膜表面が徐々に更新(自己研磨)され、塗膜表面に常に防汚成分が露出することにより、長期の防汚効果が発揮される。しかしながら、これらの防汚塗料にはキシレンやアルコール等種々の有機溶剤が多量に含まれており、近年のVOC(Volatile Organic Compounds)問題から、これらに代わる水性防汚塗料が種々検討されている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、シリコーンエマルションを用いた水系防汚塗料組成物が開示され、特に特許文献2には、シリコーンエマルション中でエチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる複合樹脂エマルションを含む水系防汚塗料組成物が提案されている。
特許文献3においては、樹脂中にカルボキシル基及び/又は金属カルボキシレート基を有し、且つエマルション重合によって得られる樹脂酸価が10〜300mgKOH/gの水性エマルション及び必要に応じてアンモニア等を配位させた水性金属錯体(カルボン酸と2価以上の金属とを有する錯体)を含有する水性防汚塗料が提案されている。この塗料では、水性エマルションのカルボキシル基が金属と金属カルボキシレートを形成していることから、塗膜が海水に触れると、塗膜表面の樹脂中の金属カルボキシレート中の金属イオンが水中のナトリウムイオン等とイオン交換を起こして徐々に可溶化するため、長期にわたって防汚性を発揮できることが記載されている。
特許文献4においては、N−アルキルポリアミン化合物と酢酸等の酸との塩を乳化剤として(メタ)アクリル系単量体を水性媒体中で乳化重合して得られる水性樹脂エマルションからなる持続性水中防汚剤が提案されている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されているようなシリコーンを含有した防汚塗料は、塗膜の低表面張力を海水中で長期間維持することを目的としているため、特に下地との密着性が悪いという問題がある。
また、特許文献3では、塗膜を形成する樹脂は酸価が高く、またアンモニア等を配位させた水性金属錯体を多量に含んでいるため、塗膜の耐水性が低く、長期の防汚性の持続が不十分であり、塗膜の密着性にも問題がある。
特許文献4では、ポリアミン化合物の塩がエマルションと化学的な結合を持っていないため、ポリアミン化合物の塩を通して塗膜が水を吸収しやすく、耐水性や密着性に問題がある。
特開昭60−237003号公報 特開平8−81524号公報 特開2000−109729号公報 特開平9−52803号公報
本発明の目的は、耐水性に優れ、長期にわたって防汚効果を持続でき、密着性に優れた塗膜の形成が可能な水性防汚塗料組成物を提供することにある。
本発明は、オルガノシロキサン骨格を有するケイ素含有単量体(A)単位及びケイ素を含有しないビニル基含有単量体(B)単位を含有し、且つ、全ての単量体単位を100質量部とした時、オルガノシロキサン骨格を有するケイ素含有単量体(A)単位を1〜40質量部、20℃における単量体に対する水の溶解度が0.5以下でありホモポリマーとしたときのガラス転移温度が25℃以下であるケイ素を含有しないビニル基含有単量体(b−1)単位を50〜99質量部含有するビニル系共重合体の水性分散液と防汚剤を含む、水中構築物、漁網及び船底用水性防汚塗料組成物にある。
本発明により、耐水性に優れ、長期にわたって防汚効果を持続でき、密着性に優れた塗膜の形成が可能な水性防汚塗料組成物を提供することができる。
本発明においてビニル系共重合体を構成するケイ素含有単量体(A)単位は、塗膜の長期防汚性、耐水性、密着性を向上させる役割を有する。ビニル系共重合体中のケイ素含有単量体(A)単位の含有量は0.5〜50質量部が好ましく、より好ましくは1〜40質量部である。
ケイ素含有単量体(A)としては、例えば、以下に示すオルガノアルコキシシラン類、環状シラン類、クロロシラン類、環状オリゴマー類及びシリコーンマクロモノマーが挙げられる。
オルガノアルコキシシラン類としては、下記一般式(1)で表されるオルガノアルコキシシラン類が挙げられる。
(R1)n−Si−(R2)4-n (1)
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、アリール基又はシクロアルキル基を示し、R2は炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
一般式(1)において、R1又はR2が2個又は3個存在する場合は、R1又はR2が全て同一の基であってもよいし、一部又は全部が異なる基であってもよい。R1としては、メチル基、フェニル基が好ましい。R2としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。
一般式(1)で表されるオルガノアルコキシシラン類としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が好ましい。
また、一般式(1)以外のアルコキシシラン類として、例えば、ビニル基含有単量体(B)と共重合可能な単量体、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン等が挙げられる。
環状シラン類としては、例えば、オクタメチルシクロテトラシラン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
クロロシラン類としては、例えば、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ビニルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジクロロメチルシラン等が挙げられる。
環状オリゴマー類としては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ジメチルサイクリックス(ジメチルシロキサン環状オリゴマー3〜7量体混合物)等が挙げられる。
シリコーンマクロモノマーとしては、例えば、末端にラジカル重合性基を有し、ポリシロキサン構造を持つ高分子量単量体が挙げられる。分子量としては1000〜10000程度が一般的である。シリコーンマクロモノマーの末端のラジカル重合性基は、ビニル基含有単量体(B)との共重合の容易さから、(メタ)アクリル基であることが好ましい。
シリコーンマクロモノマーは市販品としても入手できる。その具体例としては、チッソ(株)製のFM0711、FM0721、FM0725、東亜合成(株)製のAK−5、AK−30、AK−32、信越化学工業(株)製のX−22−174DX等の各商品が挙げられる。
上記ケイ素含有単量体を原料として、後述するビニル系共重合体中にケイ素含有単量体単位を導入することが出来る。
本発明においてビニル系共重合体を構成するビニル基含有単量体(B)単位は、塗膜の耐水性、柔軟性、長期防汚染性、密着性等を向上させる役割を有する。
ビニル基含有単量体(B)の具体例としては、アルキル(メタ)アクリレート類、シクロアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ポリアルキレンオキシド基含有(メタ)アクリレート類、ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート類、カルボキシル基含有単量体、金属含有エチレン性不飽和単量体、自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体、カルボニル基含有単量体及びその他単量体が挙げられる。これらは必要に応じて1種以上を適宜選択して使用できる。
アルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
シクロアルキル(メタ)アクリレート類としては、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、p−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリアルキレンオキシド基含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(エチレンオキシド/テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(プロピレンオキシド/テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等の末端ヒドロキシ型ポリアルキレンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体、及びメトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端封止型ポリアルキレンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体が挙げられる。
ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、p−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
金属含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、下記一般式(2)で表される単量体が挙げられる。
Figure 0005089049
(式中、Rは水素原子又はメチル基、MはMg、Ca、Fe、Cu、Zn、Zr等の2価の金属イオン、Rは有機酸残基を示す。)
尚、有機酸残基が(メタ)アクリル酸残基であるときは、2個の不飽和基を有する金属含有重合性単量体であり、具体的には、例えば、ジ(メタ)アクリル酸マグネシウム、アクリル酸メタクリル酸マグネシウム、ジ(メタ)アクリル酸カルシウム、アクリル酸メタクリル酸カルシウム、ジ(メタ)アクリル酸鉄、アクリル酸メタクリル酸鉄、ジ(メタ)アクリル酸銅、アクリル酸メタクリル酸銅、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛、アクリル酸メタクリル酸亜鉛、ジ(メタ)アクリル酸ジルコニウム、アクリル酸メタクリル酸ジルコニウム等が挙げられる。
また、金属含有エチレン性不飽和単量体のRが(メタ)アクリル酸残基以外の有機酸残基であるとき、好ましい有機酸残基として、モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、バーサチック酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、クレソチン酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等の一価の有機酸から誘導されるものが挙げられる。
上記単量体の具体例としては、モノクロル酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸鉄(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸銅(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸鉄(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸銅(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸鉄(メタ)アクリレート、プロピオン酸銅(メタ)アクリレート、プロピオン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、オクチル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸カルシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸鉄(メタ)アクリレート、オクチル酸銅(メタ)アクリレート、オクチル酸亜鉛(メタ)アクリレート、オクチル酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸マグネシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸カルシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸鉄(メタ)アクリレート、バーサチック酸銅(メタ)アクリレート、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレート、バーサチック酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸カルシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸鉄(メタ)アクリレート、イソステアリン酸銅(メタ)アクリレート、イソステアリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、イソステアリン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸鉄(メタ)アクリレート、パルミチン酸銅(メタ)アクリレート、パルミチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、パルミチン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸鉄(メタ)アクリレート、クレソチン酸銅(メタ)アクリレート、クレソチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、クレソチン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸鉄(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸鉄(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、安息香酸鉄(メタ)アクリレート、安息香酸銅(メタ)アクリレート、安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、安息香酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸鉄(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸鉄(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸鉄(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸銅(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸鉄(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸銅(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸鉄(メタ)アクリレート、プルビン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸鉄(メタ)アクリレートプルビン酸銅(メタ)アクリレート、プルビン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プルビン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明において、自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体とは、ビニル系共重合体が水性分散液中に分散して室温で保管されている間は化学的に安定であって、塗装時の乾燥、加熱又はその他の外的要因によってビニル系共重合体側鎖の官能基同士の反応を生じ、該側鎖基間に化学結合を生じる単量体をいう。
自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有重合性単量体が挙げられる。
カルボニル基含有単量体としては、炭素数4〜7個のビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、(メタ)アクリルオキシアルキルプロパナールの他、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルアミド、ピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニルアクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、中でもアクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトンが特に好ましい。
その他単量体としては、例えば、ラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等の他の(メタ)アクリル系単量体、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等の芳香族ビニル基含有単量体、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
本発明においてビニル系共重合体は、全ての単量体単位を100質量部とした時、20℃における単量体に対する水の溶解度が0.5以下でありホモポリマーとしたときのガラス転移温度が25℃以下であるケイ素を含有しないビニル基含有単量体(b−1)単位を50〜99質量部含有する。水の溶解度が0.5以下である単量体単位を有することにより、塗膜の耐水性が向上し、また、ホモポリマーとしたときのTgが25℃以下である単量体単位を有することにより塗膜の柔軟性が向上する。ビニル基含有単量体(b−1)単位の含有量が50質量部以上であると塗膜の柔軟性が向上し、99質量部以下であると塗膜の長期防汚染性、密着性、耐水性の低下を抑制できる。より好ましい含有量は55〜90質量部である。
また、塗膜の柔軟性の点で、上記ビニル基含有単量体(b−1)単位中に、ホモポリマーとしたときのTgが0℃以下であるケイ素を含有しないビニル基含有単量体(b−2)単位を35〜90質量部含有するのがより好ましい。更に好ましくは40〜80質量部である。
ビニル基含有単量体(b−1)及び(b−2)の具体例としては、下記表1に記載されている(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。上記ビニル基含有単量体(b−1)及び(b−2)の中で、n−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが塗膜の柔軟性、密着性及び耐水性と長期防汚性を両立できる傾向にあり、好ましい。
Figure 0005089049
水性分散液の貯蔵安定性等や、塗膜の密着性、長期防汚性、耐水性等の特性を発現させるためには、それらの目的に応じて、ビニル共系重合体中において前記のビニル基含有単量体(b−1)単位及び(b−2)単位に対して、下記のビニル基含有単量体(B)単位を含有させることが好ましい。まず、塗膜の耐水性の点から、t−ブチルメタクリレート及び/又はシクロヘキシルメタクリレートを含有することが好ましい。含有量は、ビニル系共重合体の原料である全単量体(以下「全単量体」という)を100質量部とするとき、2〜49質量部の範囲内が好ましい。含有量が2質量部以上であると塗膜の耐水性が向上し、49質量部以下であると塗膜の柔軟性の低下を抑制できる。より好ましい含有量は、5〜40質量部である。
また、ビニル系共重合体の水性分散液の貯蔵安定性及び顔料や添加物を配合して塗料化する際の配合安定性の点から、カルボキシル基含有単量体を含有することが好ましい。含有量としては、全単量体を100質量部とするとき、0.1〜10質量部の範囲内が好ましい。含有量が0.1質量部以上であるとビニル系共重合体の水性分散液の貯蔵安定性が向上し、本発明における水性分散液に顔料を入れて着色した場合、凝集物が発生するような問題を回避することができる。また、含有量が10質量部以下であると塗膜の耐水性の低下を抑制できる。より好ましい含有量は、0.5〜8質量部である。
また、ビニル系共重合体の水性分散液の配合安定性や塗膜の長期防汚性、耐水性及び各種水中構築物、魚網、船底に対する密着性の点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はポリアルキレンオキシド基含有(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。これら単量体の含有量は、全単量体を100質量部とするとき、0.1〜15質量部の範囲内が好ましい。含有量が0.1質量部以上であるとビニル系共重合体の水性分散液の配合安定性や塗膜の長期防汚性、耐水性並びに各種水中構築物、魚網及び船底に対する密着性が向上し、15質量部以下であると塗膜の耐水性の低下を抑制できる。より好ましい含有量は0.5〜12質量部である。
また、塗膜の長期防汚性、耐水性並びに各種水中構築物、魚網及び船底に対する密着性の点から、その他のビニル基含有単量体として、自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体を含有することが好ましい。含有量は、全単量体を100質量部とするとき、0.1〜15質量部の範囲内が好ましい。含有量が0.1質量部以上であると塗膜の長期防汚性、耐水性並びに各種水中構築物、魚網及び船底に対する密着性が向上し、15質量部以下であると塗膜の耐水性の低下を抑制できる。より好ましい含有量は、0.5〜12質量部である。
更に、塗膜の長期防汚性や耐水性がより高度に要求される場合には、金属含有エチレン性不飽和単量体を含有することが好ましい。
金属含有エチレン性不飽和単量体は、全単量体を100質量部とするとき、0.1〜10質量部の範囲内で含有されていることが好ましい。含有量が0.1質量部以上であると塗膜の長期防汚性が向上し、10質量部以下であると塗膜の耐水性の低下を抑制できる。より好ましい含有量は0.5〜8質量部である。
これら金属含有エチレン性不飽和単量体の中で、亜鉛含有エチレン性不飽和単量体が好ましい。
更に本発明では、塗膜の長期防汚性、耐水性、強度及び耐溶剤性並びに各種水中構築物、魚網及び船底に対する密着性の点から、その他のビニル基含有単量体として、カルボニル基含有単量体を含有することが好ましい。
この場合、ビニル系共重合体の水性分散液に分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物を配合することがより好ましい。有機ヒドラジン化合物の配合により、塗膜の乾燥時に、ビニル系共重合体中のカルボニル基と配合された有機ヒドラジン化合物のヒドラジノ基との間で架橋反応させるためである。
カルボニル基含有単量体の使用量は、全単量体を100質量部とするとき、0.5〜10質量部、好ましくは1〜8質量部である。使用量が0.5質量部以上であると、塗膜の長期防汚性、耐水性、強度、耐溶剤性並びに各種水中構築物、魚網及び船底に対する密着性が向上し、10質量部以下であると重合安定性や塗膜の柔軟性の低下を抑制できる。
ビニル系共重合体のガラス転移温度は特に限定されないが、塗膜の非粘着性及び長期防汚性の点から、下記Foxの計算式により求められる共重合体の計算Tgが−60℃以上であることが好ましく、−50℃以上がより好ましい。また、温冷繰り返し試験や凍結融解試験等での耐クラック性、各種水中構築物、魚網、船底への追従性の点から40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
式中、Wiはモノマーiの質量分率、TgiはモノマーiのホモポリマーのTg(℃)を示す。
特に、魚網の防汚塗料として使用する場合は、ビニル系共重合体のガラス転移温度が0℃以下であることが塗膜の密着性の点でより好ましい。
本発明においては、ビニル系共重合体にケイ素含有単量体(A)単位を導入する方法としては、例えば、以下の(イ)〜(ハ)の3つの方法が挙げられる。また、必要に応じて、方法(イ)〜(ハ)の2つ以上を組み合わせて実施することも可能である。
(イ) 水系媒質中に分散したポリシロキサンの粒子の存在下に、ビニル基含有単量体(B)を重合してビニル系共重合体の水性分散液を得る方法。
(ロ) ケイ素含有単量体(A)及びビニル基含有単量体(B)を、水、界面活性剤及び重合開始剤を必須成分としてラジカル重合及び縮合重合によりビニル系共重合体の水性分散液を得る方法。
(ハ) シリコーンマクロモノマー及びビニル基含有単量体(B)を、水、界面活性剤及び重合開始剤を必須成分としてラジカル重合によりビニル系共重合体の水性分散液を得る方法。
以下、上述の方法(イ)〜(ハ)について順次説明する。
方法(イ)の代表的例としては、オルガノシロキサン類、環状オリゴマー類又はクロロシラン類を繰り返し単位とする重合体ブロック(I)、前述したビニル基含有単量体(B)を繰り返し単位とする重合体ブロック(II)、及び重合体ブロック(I)と重合体ブロック(II)と共重合した下記ケイ素含有グラフト交叉剤(III)単位から構成されるグラフトブロック共重合体の水性分散液を得る方法が挙げられる。
重合体ブロック(I)の原料となるケイ素含有単量体(A)としては、重合時にアルコールを副生しないジメチルシロキサン環状オリゴマーが最も好適である。
重合体ブロック(I)は、グラフトブロック共重合体100質量部中、0.5〜50質量部の範囲内で含有されていることが好ましい。重合体ブロック(I)の含有量が0.5質量部以上であれば、塗膜の柔軟性、密着性、耐水性が向上する。また、50質量部以下であれば、塗膜の硬度、塗膜の長期防汚性の低下を抑制できる。より好ましい含有量は1〜40質量部である。
重合体ブロック(I)を0.5〜50質量部の範囲内で含有することにより、塗膜の柔軟性、密着性及び耐水性のバランス化が可能である理由は、例えば、ジメチルシロキサン環状オリゴマーの縮合体であるジメチルシロキサンポリマーのTgが−123℃であり、前記表1に例示するビニル基含有単量体(b−1)と比較してTgが低いため柔軟性が更に向上し、ケイ素成分を有することから密着性及び耐水性が更に向上するためである。
重合体ブロック(II)を構成するために用いられるビニル基含有単量体(B)としては、前述した各種単量体を必要に応じて適宜選択して使用できる。
ケイ素含有グラフト交叉剤(III)は得られる塗膜の透明性を確保するために使用され、例えば、分子中に1個以上の加水分解性シリル基、及び1個以上のビニル重合性官能基又はメルカプト基を含有する化合物が挙げられる。加水分解性シリル基としては、重合反応性及び取り扱いの容易さを考慮すると、アルコキシシリル基が好ましい。
ケイ素含有グラフト交叉剤(III)の具体例としては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類;γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロイルオキシアルキルシラン類;γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリロイルオキシアルキルシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプトアルキルシラン類等が挙げられる。中でも、ビニル重合反応性を考慮すると、メタクリロイルオキシアルキルシラン類、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メルカプトアルキルシラン類が好ましい。これらは必要に応じて1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ケイ素含有グラフト交叉剤(III)は、グラフトブロック共重合体中のケイ素原子の合計100モル%を基準にして、0.5〜50モル%であることが好ましい。含有量が0.5モル%以上であると塗膜の透明性が向上する傾向にあり、50モル%以下であると塗膜性能が向上する傾向にある。より好ましい含有量は1〜15モル%である。含有量が1モル%以上であると得られる塗膜の透明性が極めて良好となり、15モル%以下であると乳化重合の際のラテックス安定性が良好となる。
方法(ロ)で使用されるケイ素含有単量体(A)としては、前述したオルガノアルコキシシラン類、クロロシラン類及び環状シラン類が挙げられる。
これらは、必要に応じて1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、ビニル基含有単量体(B)に共重合可能であるケイ素含有単量体と他のケイ素含有単量体を併用することが特に好ましい。
ケイ素含有単量体(A)の使用量は、全単量体を100質量部とするとき、0.5〜10質量部が好ましい。この使用量が0.5質量部以上であれば、ケイ素含有単量体(A)を構成成分としたことによる塗膜の長期防汚性及び密着性の向上効果が発現する傾向にある。また、10質量部以下であれば、塗膜の柔軟性及び耐水性の低下並びにビニル系共重合体の水性分散液の貯蔵安定性及び顔料分散安定性の低下を抑制できる。より好ましい含有量は1〜8質量部である。
ケイ素含有単量体(A)と共に使用するビニル基含有単量体(B)としては、前述の各種の単量体を必要に応じて適宜選択して使用できる。
方法(ロ)における重合方法としては、ビニル基含有単量体(B)及びケイ素含有単量体(A)を水、界面活性剤及びラジカル重合開始剤並びにケイ素含有単量体(A)の加水分解用及び縮合用酸触媒を基本構成とする分散系において重合して重合体粒子とする方法が好ましい。
この分散系重合において、ビニル基含有単量体(B)及びケイ素含有単量体(A)は、同一反応系においてビニル重合と縮合重合とを同時に実施する方法、又はどちらか一方から順次重合させてもよいが、特に、同一反応系にて同時に重合させることが好ましい。
ケイ素含有単量体(A)の加水分解用及び縮合用酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸や、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等の有機系スルホン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等の脂肪酸が挙げられる。使用量は、ビニル系共重合体の水性分散液の固形分100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
本方法(ロ)においては成膜時の硬化触媒として、乳化重合終了後に、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ラウリン酸錫、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネート等の有機酸の金属塩等をビニル系共重合体の水成分散液に添加することができる。添加量は、ビニル系共重合体の水性分散液の固形分100質量部に対して、0.0001〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。硬化触媒は、界面活性剤と水を用いてエマルション化したものを使用するのが好ましい。
方法(ハ)に使用されるシリコーンマクロモノマーとしては前述した単量体が挙げられる。
シリコーンマクロモノマーの使用量は、全単量体を100質量部とするとき、0.5〜10質量部が好ましい。使用量が0.5質量部以上であればシリコーンマクロモノマーを構成成分としたことによる塗膜の密着性及び耐水性の向上効果が発現する傾向にある。また、10質量部以下であれば未反応のマクロモノマーが残る、又はケイ素成分に富むポリマー成分がビニル系共重合体の水性分散液から分離するという現象を抑制できる。より好ましい含有量は1〜8質量部である。
このような現象はビニル系共重合体の水性分散液の重合安定性を悪くするばかりではなく、ビニル系共重合体の水性分散液を使用して製造した塗料により形成される塗膜が不均一なものとなり、未反応のマクロモノマーが形成する粘着層が汚染の原因となったり、ケイ素成分が多すぎる部分が堅牢な塗膜を生成しない結果、密着性及び耐水性に優れた塗膜を得ることができなくなるという問題を引き起こす傾向がある。
シリコーンマクロモノマーと共に使用するビニル基含有単量体(B)としては、前述の各種の単量体を必要に応じて適宜選択して使用できる。
上述した方法によりビニル系共重合体中にケイ素含有単量体(A)単位を導入することができるが、中でも、方法(イ)によりケイ素含有単量体(A)単位を導入すると塗膜の柔軟性及び密着性が向上するため水中構築物、魚網及び船底に対する追従性が向上し、塗膜の長期防汚性、密着性及び耐水性を最もバランス良く実現することができる。
ビニル系共重合体の水性分散液は、前述した各種単量体を使用して、例えば、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法の公知の重合法により重合させて得ることができる。特に、乳化重合法によりエマルション形態のビニル系共重合体の水性分散液を得る方法が、ビニル系共重合体の水性分散液の貯蔵安定性、塗膜の硬度、耐水性及び防汚性等の諸物性の点から好ましい。乳化重合法によりエマルションを得る為には、例えば、界面活性剤の存在下、単量体混合物を重合系内に供給し、水溶性開始剤により重合を行わせる方法、また例えば、有機過酸化物とチオ硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤により重合を行わせる方法等の公知の方法を使用することができる。
開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機過酸化物;過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;無機過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム又はロンガリット又はアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせ、有機化酸化物と硫酸水素ナトリウム又はロンガリット又はアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせ等に代表されるレドックス系触媒等が挙げられる。
乳化重合法により得たエマルションは、重合後、塩基性化合物の添加により系のpHを中性領域〜弱アルカリ性、即ちpH6.5〜10.0程度の範囲に調整することで系の安定性を高めることができる。
塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
また、ビニル系共重合体の分子量を調整する場合には、分子量調整剤として、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤を用いることで、その調整が可能である。
また、界面活性剤を、全単量体を100質量部とするとき0.1〜10質量部を含むことが好ましい。界面活性剤が0.1質量部以上存在することによって、ビニル系共重合体水分散液の貯蔵安定性が向上し、界面活性剤存在下に乳化重合する場合には重合時の安定性も向上する。また、界面活性剤を10質量部以下とすることによって、耐水性を損なうことなく塗料配合時の安定性、経時的安定性等を維持することができる。より好ましい含有量は0.5〜8質量部である。
界面活性剤としては、公知の各種アニオン性、カチオン性及びノニオン性の界面活性剤、更には高分子乳化剤等が挙げられる。また、界面活性剤成分中にエチレン性不飽和結合を持つ、いわゆる反応性乳化剤も使用できる。
前述したように、ビニル系共重合体製造時にカルボニル基含有単量体を使用して塗膜乾燥時に架橋させる場合に、ビニル系共重合体の水性分散液に配合される分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物としては、例えば、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の炭素数2〜15のジカルボン酸ジヒドラジド及び1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−(2−メチルメルカプトエチル)ヒダントイン、1−ヒドラジノカルボエチル−3−ヒドラジノカルボイソプロピル−5−(2−メチルメルカプトエチル)ヒダントイン等のヒダントイン骨格を有する有機ヒドラジン化合物が挙げられる。これらは必要に応じて1種以上を適宜選択して使用できる。
また、カルボニル基含有単量体及び上記有機ヒドラジン化合物の使用量としては、ビニル系共重合体中のカルボニル基のモル数を(P)、ビニル系共重合体水分散液に配合される有機ヒドラジン化合物のヒドラジノ基のモル数を(Q)としたとき、その比率(P)/(Q)を0.1〜10の範囲とすることが好ましく、0.8〜2の範囲とすることがより好ましい。(P)/(Q)が0.1以上で良好な耐水性が得られ、(P)/(Q)が10以下で適度な架橋効果が得られるためである。
本発明の水性防汚塗料組成物は、通常、ビニル系共重合体の水性分散液中の固形分が20〜80質量%の範囲で使用される。
本発明の水性防汚性塗料組成物は、必要に応じて、更に他の防汚剤を配合してもよい。この防汚剤としては、要求性能に応じて適宜選択して使用することができ、例えば、亜酸化銅、チオシアン銅、銅粉末等の銅系防汚剤を始め、鉛、亜鉛、ニッケル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、マレイミド系化合物、ピリジン系化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。具体例として、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバメイ−ト、ロダン銅、4,5−ジクロロ−2−nオクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、Cu−10%Ni固溶合金、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメイ−ト、ジヨードメチルパラトリスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール、ピリジン−トリフェニルボラン等が挙げられる。
また、本発明の水性防汚塗料組成物には、塗膜表面に潤滑性を付与し、生物の付着を防止する目的で、ジメチルポリシロキサン、シリコーンオイル等のシリコーン化合物やフッ化炭素等の含フッ素化合物等を配合することができる。更に、本発明の防汚性塗料組成物は、各種の顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤等を含有してもよい。
本発明の水性防汚塗料組成物を用いた塗膜は、船舶や各種の漁網、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物等の基材表面に、直接に、もしくは下地塗膜を介して形成することができる。この下地塗膜としては、ウオッシュプライマー、塩化ゴム系やエポキシ系等のプライマー、中塗り塗料等を用いて形成できる。塗膜の形成方法は、基材表面又は基材上の下地塗膜の上に、水性防汚塗料組成物を、刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布することができる。塗布量は、一般的には乾燥塗膜として10〜400μmの厚さになる量に設定できる。塗膜の乾燥は、通常、室温で行うことができ、必要に応じて加熱乾燥を行ってもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、以下の記載において「部」は重量基準である。
水性分散液の固形分及び最低造膜温度の測定は以下の方法により実施した。
(1)固形分
試料1gをアルミ皿に量り取り、水3gを加えて一様に広げた後、105℃の熱風乾燥機で2時間加熱し、その残分を量り、試料に対する百分率を算出した。
(2)最低造膜温度
連続した温度勾配をもつ金属板(高林理化(株)製)上にエマルション組成物(縦400mm×横15mm×厚み1mm)を塗工し、乾燥させてクラックのない均一被膜を形成する最低温度を求めた。
<水性防汚塗料組成物の製造及び評価>
亜酸化銅196.3g、顔料分散剤(商品名:OROTAN SG−1、ローム&ハース(株)製)2g、消泡剤(商品名:サーフィノール DF−58、エアプロダクツ(株)製)0.3g、プロピレングリコール29.4g、脱イオン水34.3g、28質量%アンモニア水溶液1.8gを十分に混合した後、ガラスビーズを加えて高速分散機で30分間顔料分散を行い、次いでガラスビーズ等を300メッシュナイロン紗で濾別し、評価用ミルベースを得た。
次いで、ビニル系共重合体(固形分として18g)を含む水性分散液に対し、上記の評価用ミルベースを55g、造膜助剤(商品名:キョウワノールM、協和発酵(株)製)2g、増粘剤(商品名:RHEOLATE350、RHEOX(株)製)0.5gを混合し、十分に攪拌し、脱イオン水2.5gを加えて攪拌した。その後、再度300メッシュナイロン紗を用いて濾過を行い、水性防汚塗料組成物を得た。
次いで、上記水性防汚塗料組成物を用いて、下記の要領で防汚性試験、耐水性試験及び密着性試験を行った。
(1)防汚性試験
水性防汚塗料組成物を、予め防錆塗料を塗布してあるサンドブラスト鋼板(150mm×70mm)に、乾燥膜厚が120μmになるように塗布、乾燥して試験板を作製し、この試験板を広島県広島湾内で18カ月間静置浸漬し、6カ月毎に付着生物の付着面積(試験板全面に対する面積比率(%))を調べた。
(2)耐水性試験
前記と同様にして試験板を作製した。この試験板を滅菌濾過海水中に6カ月間浸漬した後、温度20℃の室温で1週間乾燥し、乾燥後の塗膜表面を観察して以下の評価基準により評価した。
◎:クラック及び剥離が全くない。
○:クラックが一部発生しているが、剥離は認められない。
△:クラック及び剥離が一部認められる。
×:クラックが生じて剥離が全面に生じている。
(3)密着性試験
耐水性試験と同様にして作製した試験板で碁盤目剥離試験により密着性試験を行った。
碁盤目剥離試験は、2mm間隔で鋼板に達するまでクロスカットを入れて4mmの碁盤目を25個作り、その上にセロテープ(登録商標)を貼り付け急激に剥がして剥離した碁目の状態を以下の評価基準により評価した。
◎:碁盤目の剥離及び碁盤目の角の剥がれも全くない。
○:碁盤目の剥離はないが碁盤目の角だけが剥がれたものあり。
△:剥離した碁盤目の数が1〜12個あり。
×:剥離した碁盤目の数が13〜25個あり。
<参考例1>ポリオルガノシロキサン重合体水分散液の製造
環状ジメチルシロキサンオリゴマー3〜7量体混合物(GE東芝シリコーン(株)製、商品名;TSF−451−10)98部と、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン2部、脱イオン水310部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部からなる組成物をホモミキサーで予備混合し、圧力式ホモジナイザーを用いて200kg/cm2の圧力で強制乳化して、ケイ素含有単量体(A)プレエマルションを得た。
次いで、脱イオン水90部及びドデシルベンゼンスルホン酸9部を、攪拌機、還流冷却管、温度制御装置及び滴下ポンプを備えたフラスコに仕込み、攪拌下に、フラスコの内温を85℃に保ちながら、上記ケイ素含有単量体(A)プレエマルションを4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間重合を進行させた後に冷却して、ドデシルベンゼンスルホン酸と当モル量の水酸化ナトリウムを加えて、ポリオルガノシロキサン重合体水分散液を得た。固形分は20%であった。
<実施例1及び2>
これらの実施例においてはケイ素含有単量体(A)単位は方法(イ)により導入した。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプ及び窒素導入管を備えたフラスコに、参考例1で得たポリオルガノシロキサン重合体水分散液5部(固形分として1部)、脱イオン水70部、界面活性剤(反応型アニオン性界面活性剤、旭電化(株)社製、商品名アデカリアソープSR−10)0.8部、表2に示す初期仕込み組成のビニル基含有単量体(B)29部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部を仕込み、室温で1時間、窒素雰囲気下で攪拌した。フラスコの内温を50℃に昇温した後、硫酸第一鉄0.0002部、ロンガリット0.05部、脱イオン水1部の水溶液を添加し、1時間攪拌を継続した。次いで、フラスコの内温を80℃に昇温した後、表2に示す滴下組成のビニル基含有単量体(B)70部、脱イオン水35部及びアデカリアソープSR−10、2部を予め乳化分散させたプレエマルションと過硫酸アンモニウム5%水溶液2部とを、2時間かけて、同時に、別々のラインで滴下した。この滴下中はフラスコの内温を80℃に保持し、滴下が終了してから更に80℃で2時間保持し、その後室温まで冷却し、表2に示す中和塩基で液のpHが9.0になるように中和してビニル系共重合体の水性分散液を得た。
得られた水性分散液の固形分及び最低造膜温度を表2に、また、水性防汚塗料組成物の評価結果を表4に示した。
いずれの塗膜も長期防汚性に優れ、耐水性及び密着性を兼ね備えている。
<実施例3〜10>
これらの実施例においてはケイ素含有単量体(A)単位は方法(イ)により導入した。
表2に示す初期仕込み組成、滴下組成及び添加剤とする以外は実施例1と同様にしてビニル系共重合体の水性分散液を得た。尚、実施例8では、中和後に表2に示す有機ヒドラジン化合物の20%水溶液12.5部を添加してビニル系共重合体の水性分散液を得た。
評価結果を表2及び表4に示した。いずれの塗膜も良好な性能を示した。
参考例2及び3
これらの参考例においてはケイ素含有単量体(A)単位は方法(ロ)により導入した。
実施例1と同様のフラスコに、脱イオン水60部、表2に示す初期仕込み組成のビニル基含有単量体(B)35部及びアデカリアソープSR−10、1部を仕込み、室温で1時間、窒素雰囲気下で攪拌した。次いで、フラスコの内温を80℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム5%水溶液10部を添加し、1時間攪拌を継続した。その後、フラスコの温度を60℃に下げた。
その後、脱イオン水35部、表2に示す滴下組成のケイ素含有単量体(A)5部、ビニル基含有単量体(B)60部及びアデカリアソープSR−10、2部を予め乳化分散させたプレエマルションと過硫酸アンモニウム5%水溶液2部及び亜硫酸水素ナトリウム5%水溶液1部とを、2時間かけて同時に、別々のラインで滴下した。この滴下中はフラスコの内温を60℃に保持し、滴下が終了してから更に60℃で2時間保持し、その後室温まで冷却し、液のpHが9.0になるように中和してビニル系共重合体の水性分散液を得た。
評価結果を表2及び表4に示した。いずれの塗膜も良好な性能を示した。
<実施例13>
この実施例においてはケイ素含有単量体(A)単位は方法(ハ)により導入した。
実施例1と同様のフラスコに、脱イオン水60部、表2に示す初期仕込み組成のビニル基含有単量体(B)35部及びアデカリアソープSR−10、1部を仕込み、室温で1時間、窒素雰囲気下で攪拌した。次いで、フラスコの内温を80℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム5%水溶液10部を添加し、1時間攪拌を継続した。
その後、脱イオン水35部、表2に示す滴下組成のケイ素含有単量体(A)5部、ビニル基含有単量体(B)65部及びアデカリアソープSR−10、2部をホモミキサーで10000rpmの攪拌速度で10分間攪拌して、プレエマルションを作製した。このプレエマルションと過硫酸アンモニウム5%水溶液2部とを、2時間かけて同時に、別々のラインで滴下した。この滴下中はフラスコの内温を80℃に保持し、滴下が終了してから更に80℃で2時間保持し、その後室温まで冷却し、液のpHが9.0になるように中和してビニル系共重合体の水性分散液を得た。
評価結果を表2及び表4に示した。いずれの塗膜も良好な性能を示した。
<比較例1及び2>
表3に示す滴下組成のビニル基含有単量体(B)100部、アデカリアソープSR−10、2部及び脱イオン水50部を十分に混合し、プレエマルションを作製した。次いで、実施例1と同様のフラスコに、脱イオン水70部及びアデカリアソープSR−10、0.5部を投入し、反応容器の内温を80℃に昇温した。その後、予め乳化したプレエマルションと過硫酸アンモニウム5%水溶液5部とを、3時間かけて同時に、別々のラインで滴下した。この滴下中はフラスコの内温を80℃に保持し、滴下が終了してから更に80℃で2時間保持し、その後室温まで冷却し、液のpHが9.0になるように中和してビニル系共重合体水分散液を得た。
評価結果を表3及び表4に示した。これらの塗膜の性能は悪かった。
<比較例3>
この比較例においてはケイ素含有単量体(A)単位は方法(イ)により導入した。
まず、表3に示す滴下組成のビニル基含有単量体(B)99.5部、アデカリアソープSR−10、2部及び脱イオン水50部を十分に混合し、プレエマルションを作製した。次いで、実施例1と同様のフラスコに、脱イオン水70部、参考例1で得たポリオルガノシロキサン重合体水分散液0.5部(固形分として0.1部)及びアデカリアソープSR−10、0.5部を投入し、反応容器の内温を80℃に昇温した。その後、予め乳化したプレエマルションと過硫酸アンモニウム5%水溶液5部とを、3時間かけて同時に、別々のラインで滴下した。この滴下中はフラスコの内温を80℃に保持し、滴下が終了してからさらに80℃で2時間保持し、その後室温まで冷却し、液のpHが9.0になるように中和してビニル系共重合体の水性分散液を得た。
評価結果を表3及び表4に示した。これらの塗膜の性能は悪かった。
<比較例4>
この比較例においてはケイ素含有単量体(A)単位は方法(イ)により導入した。
表3に示す初期仕込み組成部、滴下組成部及び添加剤の組成以外は実施例1と同様にしてビニル系共重合体の水性分散液を得た。
評価結果を表3及び表4に示した。これらの塗膜の性能は悪かった。
<比較例5>
この比較例においてはケイ素含有単量体(A)単位は方法(ロ)により導入した。
表3に示す初期仕込み組成部、滴下組成部及び添加剤の組成以外は実施例11と同様にしてビニル系共重合体の水性分散液を得た。
評価結果を表3及び表4に示した。これらの塗膜の性能は悪かった。
尚、表2及び表3中の略号は以下の化合物を示す。
n−BMA:n−ブチルメタクリレート
n−BA:n−ブチルアクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
t−BMA:t−ブチルメタクリレート
2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
ブレンマー70PEP350B:ヒドロキシ(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノメタクリレート(商品名、日本油脂(株)製)
MMA:メチルメタクリレート
DBSNa:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
FM0725:シリコーンマクロモノマー、分子量10000(商品名、チッソ(株)製)
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
DAAm:ダイアセトンアクリルアミド
NH3:28%アンモニア水溶液
AMP−90:2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール90%水溶液
有機ヒドラジン(VDH):1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(商品名アミキュアVDH、味の素ファインテクノ(株)製)
Figure 0005089049
Figure 0005089049
Figure 0005089049

Claims (3)

  1. オルガノシロキサン骨格を有するケイ素含有単量体(A)単位及びケイ素を含有しないビニル基含有単量体(B)単位を含有し、且つ、全ての単量体単位を100質量部とした時、オルガノシロキサン骨格を有するケイ素含有単量体(A)単位を1〜40質量部、20℃における単量体に対する水の溶解度が0.5以下でありホモポリマーとしたときのガラス転移温度が25℃以下であるケイ素を含有しないビニル基含有単量体(b−1)単位を50〜99質量部含有するビニル系共重合体の水性分散液と防汚剤を含む、水中構築物、漁網及び船底用水性防汚塗料組成物。
  2. ビニル基含有単量体(b−1)単位50〜99質量部中に、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が0℃以下であるビニル基含有単量体(b−2)単位を35〜90質量部含有する請求項1記載の水性防汚塗料組成物。
  3. ビニル系共重合体が、オルガノシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(I)、ビニル基含有単量体(B)を繰り返し単位とする重合体ブロック(II)、及び重合体ブロック(I)と重合体ブロック(II)に共重合したケイ素含有グラフト交叉剤(III)単位から構成されるグラフトブロック共重合体を含む請求項1又は2記載の水性防汚塗料組成物。
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