JP5088598B2 - シアノベンジルアミン類の塩の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にシアノベンジルアミン類の塩の製造方法、及び該製造方法により得られるシアノベンジルアミン類の塩に関する。本発明の方法により製造されるシアノベンジルアミン類の塩は、医薬品や農薬の原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、シアノベンジルアミン類の塩の製造方法については、例えば、p−シアノベンジルブロマイドを出発原料とする以下の方法が知られている。
【0003】
J. Org. Chem., 63 (1998) 19, 6715-6718には、p−シアノベンジルブロマイドとヘキサメチレンテトラミンを反応させた後に、エタノールに溶解させた塩化水素と反応させる方法が開示されている。
【0004】
J. Am. Chem. Soc., 81 (1959) 4328 には、4−ブロモブチロニトリルから合成したN−(3−シアノプロピル)フタルイミドと、ヒドラジンを反応させて得られた反応生成物を後処理後、ジエチルエーテル中で無水塩化水素と反応させて4−アミノブチロニトリル塩酸塩を合成する方法が開示されており、この方法と同様の方法によりp−シアノベンジルアミン塩酸塩を合成したと記載している。
【0005】
J. Med. Chem., 10 (1967) 833-840には、α−フタルイミド−p−トルニトリルとヒドラジンからp−シアノベンジルアミンを合成する方法が開示されており、その塩酸塩を合成したと記載されているが、その具体的な方法についての記載はない。
【0006】
特表平10−503477号公報には、p−シアノベンジルブロマイドとフタルイミドカリウムから合成したN−(4−シアノフェニル)メチルフタルイミドと、ヒドラジンを反応させた反応生成物を後処理後、塩酸塩に変換してp−シアノベンジルアミン塩酸塩を合成すると記載されているが、塩酸塩への変換方法については具体的な記載がない。
【0007】
特表平9−509937号公報には、N−Boc−p−アミノメチルベンゾニトリルと塩化水素ガスを酢酸エチル中で反応させることによるp−シアノベンジルアミン塩酸塩の合成方法が開示されている。
【0008】
これらの他に、Chem.Ber.,34(1901)3368には、p−シアノベンジルアミンを塩酸塩として同定したとの記載があるが、その製造方法については記載されていない。
【0009】
このように、シアノベンジルアミン類の塩の製造方法は、多段階の反応を必要とし収率も低いのでシアノベンジルアミン類の塩の工業的製造方法としては満足のいくものではない。
【0010】
また、上記の文献には、シアノベンジルアミン類の塩の工業的生産の際に生ずる特有の問題点、すなわち貯蔵に必要なスペースや運搬のしやすさといった物流上の問題、あるいは必要なタンクの大きさといった製造設備上の問題点は明確にされておらず、よってその解決策は明らかになっていない。
【0011】
また、本発明者らの知る限り、従来の方法により得られるシアノベンジルアミン類塩酸塩は嵩比重が0.2g/ml以下と非常に嵩高である。このことは、シアノベンジルアミン類塩酸塩を工業的に生産または使用する際、貯蔵時に保管のため広い面積が必要であり、運搬する際には通常は重量により運搬手段を選択するがこの場合はその体積から運搬手段を限定せざるを得ず、物流コストという観点からは非常に好ましくない。また、シアノベンジルアミン類塩酸塩を製造設備内で取り扱う場合、その嵩高のために、設備をより大きくする必要があるので設備費用が割高であるばかりでなく操作的にも不便であるという問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、簡便且つ高収率のシアノベンジルアミン類の塩を製造することのできる、工業的に適した方法を提供するとともに、嵩比重が大きく、かさばらないシアノベンジルアミン類の塩を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、シアノベンジルアミン類と酸とを反応させることによって簡便にシアノベンジルアミン類の塩を製造できることを見いだし、さらに酸を水溶液として用いた場合、製造されるシアノベンジルアミン類は従来のものに比べて格別に嵩比重が大きくかさばらないことを知見した。これらの知見に基づき、本方法によるシアノベンジルアミン類の塩を工業生産に使用した場合、従来のものに比べて貯蔵または運搬などの物流及び製造設備内での操作性を著しく改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は以下の事項に関する。
【0015】
[1] シアノベンジルアミン類を酸と反応させることを特徴とするシアノベンジルアミン類の塩の製造方法。
【0016】
[2] シアノベンジルアミン類がその水和物である、[1]のシアノベンジルアミン類の塩の製造方法。
【0017】
[3] シアノベンジルアミン類が下記式
【0018】
【化2】
(上式中、X1、X2、X3およびX4は、それぞれ、互いに他と独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはハロゲン原子を表し、−CH2NH2基は−CN基に対してオルト、メタまたはパラのいずれの位置にあってもよい。)で示される化合物である請求項1または2に記載の製造方法。
【0019】
[4] 酸が塩化水素、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸およびプロピオン酸からなる群から選ばれる酸である[1]〜[3]の製造方法。
【0020】
[5] 酸を水溶液として用いる[4]の製造方法。
【0021】
[6] 酸が塩化水素である[4]または[5]の製造方法。
【0022】
[7] 酸の水溶液に可溶の不純物を含有するシアノベンジルアミン類を用いる[4]〜[6]の製造方法。
【0023】
[8] 酸の水溶液に可溶の不純物が、キシリレンジアミンであり、反応で得られるシアノベンジルアミン類の塩が、シアノベンジルアミン類塩酸塩である[7]の製造方法。
【0024】
[9] シアノベンジルアミン類が、蒸留して用いられる請求項[1]〜[8]の製造方法。
【0025】
[10] シアノベンジルアミン類が、o−、m−またはp−シアノベンジルアミンである[1]〜[9]の製造方法。
【0026】
[11] シアノベンジルアミン類が、p−シアノベンジルアミンである[10]の製造方法。
【0027】
[12] 嵩比重が0.4g/ml以上のシアノベンジルアミン類の塩。
【0028】
[13] シアノベンジルアミン類の塩がp−シアノベンジルアミン塩である[12]のシアノベンジルアミン類の塩。
【0029】
[14] p−シアノベンジルアミン塩が、p−シアノベンジルアミン塩酸塩である[13]の塩。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】
本発明の方法の実施に際しては、一般に、シアノベンジルアミン類と、必要ならば溶媒中で、酸とを所定の時間攪拌反応させ、シアノベンジルアミン類の塩の懸濁液を生成させるのがよい。
【0032】
本発明に用いられるシアノベンジルアミン類は、好ましくは、下記式
【0033】
【化3】
(上式中、X1、X2、X3およびX4は、それぞれ、互いに他と独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはハロゲン原子を表し、−CH2NH2基は−CN基に対してオルト、メタまたはパラのいずれの位置にあってもよい。)で示される化合物である。
【0034】
かかる化合物の具体例としては、o−シアノベンジルアミン、m−シアノベンジルアミン、p−シアノベンジルアミン等の無置換のシアノベンジルアミン類、2−アルキル−4−シアノベンジルアミン、2−クロロ−4−シアノベンジルアミン等のモノ置換シアノベンジルアミン類、テトラフルオロベンジルアミン類、テトラクロロシアノベンジルアミン類等を挙げることができる。更に好ましくはm−シアノベンジルアミン、p−シアノベンジルアミン等の無置換のシアノベンジルアミン類である。
【0035】
シアノベンジルアミン類は、公知の方法により製造できる。例えば、m−シアノベンジルアミンおよびp−シアノベンジルアミンは、特開平9−40630号公報に示されている方法に従い、それぞれ、イソフタロニトリルおよびテレフタロニトリルの片側ニトリル基の還元反応により容易に合成できる。
【0036】
本発明に用いられるシアノベンジルアミン類の水和物も、また、公知の方法により製造することができる。例えば、m−シアノベンジルアミンの水和物、p−シアノベンジルアミンの水和物は、特公昭40−10133号公報に示されている方法により、それぞれm−シアノベンジルアミン、p−シアノベンジルアミンから容易に製造できる。
【0037】
本発明の反応に用いる溶媒は、必ずしも必要ではないが、シアノベンジルアミン類の塩を希釈し、懸濁状態で容易に取り扱うことができるようにするために使用することができる。有機溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、塩化メチレン等のシアノベンジルアミン類あるいはその塩と反応せず、また酸が共存したときに副反応がおきないような有機溶媒が好適に用いられる。使用する有機溶媒の量は、シアノベンジルアミン類の塩を懸濁状態で取り扱うことができる量であればよく、通常使用するシアノベンジルアミン類に対し、0.1質量倍〜10質量倍が用いられる。
【0038】
本発明の方法においては、溶媒として、水が好適に使用される。水を溶媒として用いれば、嵩比重が0.4g/ml以上のシアノベンジルアミン類の塩が得られる。この嵩比重の大きいシアノベンジルアミン類の塩は、使用時特に工業的に使用する場合、物流コスト等を削減できるので有用である。
【0039】
本発明の溶媒として使用する水の量は、シアノベンジルアミン類の塩を懸濁状態で取り扱うことができる量が必要であり、シアノベンジルアミン類に対し、0.1質量倍〜10質量倍使用することが好ましい。0.1質量倍未満の場合、得られるシアノベンジルアミン類の塩の懸濁液の粘度が高く、反応時攪拌ができない等の問題が発生する。また、10質量倍を超えると、生成したシアノベンジルアミン類の塩が水に溶解してロスが多くなり、好ましくない。
【0040】
蒸留等の精製方法では取り除くことが困難な不純物がシアノベンジルアミン類に含まれる場合、本発明の方法に従って水を溶媒として用いれば、シアノベンジルアミン類の塩と不純物の塩との水への溶解度の差を利用して不純物を容易に取り除くことができるので、高純度のシアノベンジルアミン類の塩を取得できる。
【0041】
例えば、テレフタロニトリルの片側ニトリル基の還元反応によるp−シアノベンジルアミンを合成する場合(特開平9−40630号公報)、得られたp−シアノベンジルアミン中には副生物のp−キシリレンジアミンが含まれる。このp−キシリレンジアミンは、沸点が127.6℃/590Paであり、p−シアノベンジルアミンの沸点132.4℃/550Paと沸点差が小さく、蒸留により分離することが困難である。本発明の方法により、p−キシリレンジアミンを不純物として含有するp−シアノベンジルアミンと塩化水素を水中で反応させれば、p−シアノベンジルアミン塩酸塩の水への溶解度がp−キシリレンジアミン塩酸塩の水に対する溶解度よりも非常に小さいので、p−キシリレンジアミン塩酸塩を含有しない高純度の精製されたp−シアノベンジルアミン塩酸塩を固体として得ることができる。
【0042】
シアノベンジルアミン類中に、タール状物質等のシアノベンジルアミン類よりも、かなり高い沸点の物質が含まれる場合、蒸留等により、その高沸点物質をシアノベンジルアミン類から除いた後、本発明の方法を実施すれば、結晶性のよい高純度のシアノベンジルアミン類が得られるので好ましい。
【0043】
本発明に使用する酸は、シアノベンジルアミン類と塩を生成する酸であれば制限はない。例えば、塩化水素、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸およびプロピオン酸等が挙げられる。
【0044】
本発明に使用する酸が塩化水素の場合、気体であっても水溶液であってもよい。気体の場合には、シアノベンジルアミン類の溶液中に、塩化水素ガスをそのままあるいは不活性ガスで希釈して、吹き込むかあるいは気相中に通気する方法が用いられる。不活性ガスと塩化水素の混合割合は、特に限定されない。
【0045】
塩化水素の水溶液を用いる場合は、シアノベンジルアミン類(またはその溶液)中に、塩化水素水溶液を滴下する方法や、塩化水素水溶液中にシアノベンジルアミン類(またはその溶液)を滴下する方法を使用することができる。塩化水素水溶液中の塩化水素濃度は、特に限定しないが、工業的に容易に入手することができる塩化水素水溶液の濃度でよい。好ましい塩化水素濃度は1質量%〜37質量%、より好ましくは5質量%〜37質量%である。塩化水素の濃度が低いと、シアノベンジルアミン類塩酸塩と水を濾過により分離する際に、濾液が多くなりシアノベンジルアミン類塩酸塩の水への溶解ロスが多くなり収率が低下する。また、37質量%以上の塩化水素水溶液は工業的に入手が難しい。
【0046】
本発明に用いる酸が塩化水素等1価の場合は、酸がシアノベンジルアミン類のアミノ基と等モル反応するので、その量は、理論的にはシアノベンジルアミン類と等モルでよいが、実際には、シアノベンジルアミン類には、通常多少なりとも不純物が含まれるので、塩化水素はシアノベンジルアミン類に対し、0.9〜2.0倍モル使用することが好ましい。
【0047】
本発明に使用する酸が硫酸等2価の場合、シアノベンジルアミン類中のアミノ基の2分の1モル量の硫酸を使用した場合、シアノベンジルアミン類2モルに対して硫酸1モルが反応して生成したシアノベンジルアミン類の第一硫酸塩が得られ、等モル量の硫酸を使用した場合、シアノベンジルアミン類と硫酸が等モル反応して得られたシアノベンジルアミン類の第二硫酸塩が得られる。
【0048】
本発明のシアノベンジルアミン類と酸の反応温度は、使用される溶媒の融点以上、沸点以下であれば、特に限定されない。操作性等の観点から、反応温度は、0℃〜100℃が好ましい。
【0049】
生成するシアノベンジルアミン類の塩の粉体を、公知の方法により、懸濁液から分離し、乾燥することができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
【0051】
以下の実施例において、シアノベンジルアミン類およびキシリレンジアミン類の分析は、高速液体クロマトグラフ分析条件により行った。
【0052】
<高速液体クロマトグラフ分析条件>
カラム Shodex NN-614(昭和電工(株)製)
溶離液 無水リン酸2水素ナトリウム(7.2g)と水(700ml)
とアセトニトリル(300ml)の混合物。
【0053】
検出器 UV検出器(220nm)
また、塩化水素の分析は、陰イオンクロマトグラフ分析により行った。
【0054】
<陰イオンクロマトグラフ分析条件>
カラム IonPac AS12A 4mm(DIONEX製)
溶離液 炭酸ナトリウム2.7mmol/l+炭酸水素ナトリウム
0.3mmol/lの水溶液
また、嵩比重の測定は、JIS K6720−2(ISO 1060−2に対応)により行なった。
【0055】
<調製例1>
粗p−シアノベンジルアミンの合成
粗p−シアノベンジルアミンの合成は、特開平9−40630号公報の記載の方法を参考にして行った。
【0056】
100mlのオートクレーブ中に、メタノール30mlとスポンジニッケル(W.R.グレース社製、商品名R−2400)1.0gを入れ、水素で1.0MPaに加圧した。オートクレーブを加熱し、150℃で1時間攪拌した。反応器内にテレフタロニトリル5.0gと水酸化ナトリウム0.1gを入れ、常温で水素で0.5MPaに加圧した。室温で、水素吸収速度を監視しながら水素圧力が0.1MPaになった時点で再び0.5MPaに加圧する操作を繰り返した。水素吸収率が理論値の115%になった時点で反応を終了した。
【0057】
このようにして得られた反応混合物から蒸留によりメタノールを除去し、さらに減圧下、粗p−シアノベンジルアミンを蒸留により留出させた。留出物を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、p−シアノベンジルアミンの含有量は93質量%、p−キシリレンジアミンの含有量は7質量%であった。
【0058】
<調製例2>
p−シアノベンジルアミン水和物の合成
p−シアノベンジルアミン水和物は、特公昭40−10133号公報を参考に行った。
【0059】
調製例1により得られた粗p−シアノベンジルアミン32gを、室温で、水100g中に滴下した。得られたp−シアノベンジルアミン水和物スラリーを濾過し、水洗することにより、p−シアノベンジルアミン水和物30gを得た。このようにして得られたp−シアノベンジルアミン水和物を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−シアノベンジルアミンが78.5質量%、p−キシリレンジアミンが0.4質量%、含まれていることがわかった。さらに、カールフィッシャーによる水分分析を行ったところ、水が21.0質量%含まれていることがわかった。p−シアノベンジルアミン水和物の収率は、粗p−シアノベンジルアミン中のp−シアノベンジルアミンに対して80%であった。
【0060】
<調製例3>
p−シアノベンジルアミンの蒸留
調製例2により得られたp−シアノベンジルアミン水和物30gから蒸留によりp−シアノベンジルアミンを18g得た。この蒸留により得られたp−シアノベンジルアミンの分析を高速液体クロマトグラフィーで行ったところ、p−シアノベンジルアミンが99.5質量%、p−キシリレンジアミンが0.4質量%、含まれていることがわかった。さらに、カールフィッシャーによる水分分析を行ったところ、水が0.1質量%含まれていた。
【0061】
<参考例1>攪拌機、温度計、ガス導入管、還流冷却管を備えた200mlの四口フラスコに、調製例3により得られたp−シアノベンジルアミン10.0gを酢酸エチル90.0gに溶解した。反応器を水浴で冷却し、攪拌しながら、反応器内の気相部に塩化水素ガスを導入した。導入直後から発熱が観測され、白色の固体が析出した。室温に冷却後、白色の固体を濾過し、真空乾燥器で乾燥してp−シアノベンジルアミン塩酸塩12.6g(p−シアノベンジルアミン基準収率99%)を得た。
【0062】
得られたp−シアノベンジルアミン塩酸塩を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、p−シアノベンジルアミン塩酸塩中のp−シアノベンジルアミンは77質量%であった。また、陰イオンクロマトグラフィーで分析した結果、p−シアノベンジルアミン塩酸塩中の塩化水素は23質量%であった。
【0063】
このようにして得られたp−シアノベンジルアミン塩酸塩の嵩比重は、0.3g/mlであった。
【0064】
<参考例2>攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却管を備えた100mlの三口フラスコに、調製例3により得られたp−シアノベンジルアミン(6.61g)を酢酸エチル(60ml)に溶解した。反応器を氷浴で冷却し、攪拌しながら、硫酸(5.1g)を滴下した。導入直後から発熱が観測され、白色の固体が析出した。室温に冷却後、白色の固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、40℃常圧で乾燥してp−シアノベンジルアミン第二硫酸塩(11.4g)を得た。(収率99%)得られたp−シアノベンジルアミン第二硫酸塩を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、p−シアノベンジルアミン第二硫酸塩中のp−シアノベンジ
ルアミンは57質量%であった。また、陰イオンクロマトグラフィーで分析した結果、p−シアノベンジルアミン第二硫酸塩中の硫酸イオンは43質量%であった。
【0065】
<実施例3>
攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた200mlの三口フラスコに、調製例2により得られたp−シアノベンジルアミン水和物32.5gと水20.2gを入れ、攪拌しながら、濃塩酸(35質量%の塩化水素水溶液、以下同じ。)20.5gを滴下ロートから滴下した。生成した白色固体を濾過し、真空乾燥器で乾燥してp−シアノベンジルアミン塩酸塩24.5g(p−シアノベンジルアミン水和物基準収率75%)を得た。
【0066】
<実施例4>
実施例3と同様の装置を用い、実施例3で白色固体を濾過したときに得られた濾液39.4gと調製例2により得られたp−シアノベンジルアミン水和物32.8gの混合物に、20.5gの濃塩酸を滴下した。生成した白色固体を濾過し、真空乾燥器で乾燥してp−シアノベンジルアミン塩酸塩31.0gを得た。
【0067】
<実施例5>
実施例3と同様の装置を用い、実施例4で白色固体を濾過したときに得られた濾液52.0gと調製例2により得られたp−シアノベンジルアミン水和物32.5gの混合物に、20.6gの濃塩酸を滴下した。生成した白色固体を濾過し、真空乾燥器で乾燥してp−シアノベンジルアミン塩酸塩28.0gを得た。
【0068】
<実施例6>
実施例3と同様の装置を用い、実施例5で白色固体を濾過したときに得られた濾液68.7gと調製例2により得られたp−シアノベンジルアミン水和物32.6gの混合物に、20.6gの濃塩酸を滴下した。生成した白色固体を濾過し、真空乾燥器で乾燥してp−シアノベンジルアミン塩酸塩32.1gを得た。
【0069】
実施例3から実施例6までに使用したp−シアノベンジルアミン水和物は130.5gであり、得られたp−シアノベンジルアミン塩酸塩は115.6gなので、p−シアノベンジルアミン水和物中のp−シアノベンジルアミンからのp−シアノベンジルアミン塩酸塩の収率は89%となる。
【0070】
また、実施例3から実施例6までに得られたp−シアノベンジルアミン塩酸塩を分析したところ、いずれも、p−シアノベンジルアミンが78質量%、塩化水素が22質量%検出され、p−キシリレンジアミンは検出されなかった。また、水は0.1質量%以下であり、嵩比重は0.5g/mlであった。
【0071】
<実施例7>
実施例3と同様の装置を用い、調製例1により得られた粗p−シアノベンジルアミン41.3gと水25.8gの混合物に濃塩酸33.4gを滴下し室温に冷却した後、生成した白色固体を室温で濾過した。白色固体は水(10g×2回)で洗浄し、真空乾燥することによりp−シアノベンジルアミン塩酸塩を35.2g(p−シアノベンジルアミン純分換算収率70%)を得た。このようにして得られたp−シアノベンジルアミン塩酸塩を分析したところ、p−シアノベンジルアミンが77質量%、p−キシリレンジアミンが0.6質量%、塩化水素が22質量%検出された。また、水は0.3質量%であり、嵩比重は0.5g/mlであった。
<比較例>
特表平9−509937号公報を参考にp−シアノベンジルアミン塩酸塩を合成した。実施例1と同様の装置に、N−Boc−p−アミノベンゾニトリル5gを入れ、酢酸エチル100gに溶解した。反応器を水浴で冷却し、攪拌しながら、反応器内の気相部に塩化水素ガスを導入すると白色の固体が析出した。溶媒を留去した後に、室温に冷却してジエチルエーテルに懸濁させ、白色の固体を濾取し、真空乾燥器で乾燥してp−シアノベンジルアミン塩酸塩3gを得た。
【0072】
このようにして得られたp−シアノベンジルアミン塩酸塩を分析した結果、p−シアノベンジルアミンは77質量%であり、塩化水素は23質量%であった。また、嵩比重は、0.2g/mlであり、本発明の実施例と比較すると嵩比重が小さかった。
【0073】
【発明の効果】
本発明により、シアノベンジルアミン類の塩を、操作性良く、工業的に容易に製造することができる。また、本発明により得られるシアノベンジルアミン類の塩は、嵩比重が従来に比べて大きいので、工業的に使用する際、物流上、操作上有益である。
Claims (14)
- シアノベンジルアミン類を酸と反応させるシアノベンジルアミン類の塩の製造方法において、溶媒として水のみを用いることを特徴とするシアノベンジルアミン類の塩の製造方法。
- シアノベンジルアミン類がその水和物である、請求項1に記載のシアノベンジルアミン類の塩の製造方法。
- 酸が塩化水素、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸およびプロピオン酸からなる群から選ばれる酸である請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
- 酸を水溶液として用いる請求項4に記載の製造方法。
- 酸が塩化水素である請求項4または5に記載の製造方法。
- 酸の水溶液に可溶の不純物を含有するシアノベンジルアミン類を用いる請求項4乃至6のいずれかに記載の製造方法。
- 酸の水溶液に可溶の不純物が、キシリレンジアミンであり、反応で得られるシアノベンジルアミン類の塩が、シアノベンジルアミン類塩酸塩である請求項7に記載の製造方法。
- シアノベンジルアミン類が、蒸留して用いられる請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法。
- シアノベンジルアミン類が、o−、m−またはp−シアノベンジルアミンである請求項1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
- シアノベンジルアミン類が、p−シアノベンジルアミンである請求項10に記載の製造方法。
- 嵩比重が0.4g/ml以上のシアノベンジルアミン類の塩。
- シアノベンジルアミン類の塩がp−シアノベンジルアミン塩である請求項12に記載のシアノベンジルアミン類の塩。
- p−シアノベンジルアミン塩が、p−シアノベンジルアミン塩酸塩である請求項13に記載の塩。
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JP2000375532A JP5088598B2 (ja) | 1999-12-14 | 2000-12-11 | シアノベンジルアミン類の塩の製造方法 |
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