JP5088298B2 - 排気ガス浄化方法と排気ガス浄化システム - Google Patents

排気ガス浄化方法と排気ガス浄化システム Download PDF

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Description

本発明は、車両に搭載した内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、排気ガスの浄化性能を向上するための触媒昇温に際して、効果的に触媒温度を昇温できて燃費の増加を抑えることができる排気ガス浄化方法と排気ガス浄化システムに関する。
車両に搭載したディーゼルエンジン等の内燃機関では、内燃機関から排出される排気ガスを浄化するために、NOx浄化触媒や酸化触媒等を担持した排気ガス浄化装置を備えている。これらの触媒はその触媒の活性化温度(ライトオフ温度)以上の温度にならないと十分な浄化性能を発揮することができず、活性化温度以下の温度では排気ガス浄化効率が極端に低下する。この活性化温度は、触媒の浄化成分や触媒能力にもよるが、一般的には150℃〜250℃の間の温度である。
そのため、内燃機関の運転中は、アイドル運転や減速運転のように排気ガス温度が低下するときであっても、触媒の温度が活性化温度より低下しないようにすることが求められる。特に、ディーゼルエンジンでは、低負荷走行時においてこの活性化温度以下になる運転領域が多いため、排気ガスの浄化性能が不十分となり易いという問題がある。
これに対して、触媒を早期に昇温するために、排気ガスバーナーや多段噴射を用いたりする排気ガス昇温方法が提案されており、例えば、一酸化炭素酸化活性温度(例えば200℃)まで吸気絞り等の第1の昇温工程で昇温し、その後は、吸気行程での気筒内への排気上死点近傍で燃料噴射と、吸気絞り弁による吸気の低減によって排気中のCO濃度を高める第2の昇温工程で、HC活性化温度(例えば300℃)まで上昇させる内燃機関の触媒温度維持方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、触媒温度が第1の所定温度より低いか、排気温度が第2の所定温度より低い場合に、内燃機関の圧縮行程での主燃料噴射に加えて、排気行程の上死点近傍又は吸気行程で気筒内に燃料を副次的に噴射するビゴム噴射や、膨張行程又は排気行程に気筒内に燃料を副次的に噴射するポスト噴射などで、排気ガス中のCO量を増大させるCO量増大手段を備えた内燃機関の排気浄化装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、機関冷間時に、触媒温度が第1の所定温度以上になってから第2の所定温度以上となるまでの間は排気中のCO及びO2成分を増大させるように分割噴射の分割比及び点火時期を設定して比較的低温度で触媒を活性化させる直噴火花点火式内燃機関の制御装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
これらの触媒昇温方法の内で一酸化炭素の増加による触媒温度の上昇方法は、シリンダ内での噴射制御による触媒昇温や、バーナー加熱による触媒昇温と異なり、余分なエネルギーを必要とせず、また、新たな装置の追加によるシステムの複雑化やコストアップもないので、燃費の悪化とコストアップを抑えつつ昇温効果を得ることができる。この一酸化炭素は、活性化温度(ライトオフ温度)の温度依存性や活性もよく、多くの触媒で酸化し易い物性を持っているので、低温領域で酸化して、この酸化で生じる熱で触媒を昇温させるのに適している。しかも、内燃機関の運転状態がアイドル運転時などの低排気温度運転領域にある場合では、高いEGR率にして、スモークを悪化させずに、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の排出量を増加することができる。
しかしながら、一酸化炭素による触媒の昇温方法においては、触媒温度が低い場合に一酸化炭素の供給量を適正にしないと、一酸化炭素を増加しても触媒で酸化されずに、つまり、触媒昇温に寄与せずに、この寄与しない一酸化炭素が触媒の下流側に流出(スリップ)して、排気エミッション対策を複雑化させるという問題がある。
特開2005−113833公報 特開2004−346877公報 特開2001−73913公報
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の排気通路に排気ガス浄化装置を備え、この排気ガス浄化装置の触媒温度の上昇のために、触媒に流入する排気ガス中の一酸化炭素を増加する排気ガス浄化システムにおいて、簡単な一酸化炭素発生目標値の設定方法により、適正な供給量で一酸化炭素を供給することができて、触媒昇温に寄与しない一酸化炭素の触媒下流側への流出を防止しながら、触媒に供給した一酸化炭素の酸化により効率よく触媒を昇温できる排気ガス浄化方法と排気ガス浄化システムを提供することにある。
上記のような目的を達成するための排気ガス浄化方法は、内燃機関の排気通路に一酸化炭素を酸化する機能を有する触媒を担持した排気ガス浄化装置を備え、内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域では、前記触媒の温度を上昇するために、一酸化炭素増加手段により前記触媒に流入する排気ガス中の一酸化炭素を増加する制御を行う排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、触媒温度を指標する触媒温度指標温度が前記触媒の一酸化炭素活性化温度より低い場合及び予め設定した昇温目標温度以上の場合は、一酸化炭素を増加する制御を行わず、内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、前記触媒温度指標温度が前記触媒の一酸化炭素活性化温度以上で前記昇温目標温度より低い場合は、前記触媒温度指標温度が前記一酸化炭素活性化温度から予め設定した中間目標温度までの間は、前記触媒温度指標温度の増加に従って単調増加する一酸化炭素発生目標量を設定し、前記触媒温度指標温度が前記中間目標温度から前記昇温目標温度までの間は、前記触媒温度指標温度の増加に従って単調減少する一酸化炭素発生目標量を設定し、この設定された一酸化炭素発生目標値に応じた吸入空気目標量を算出して、この算出された吸入空気目標量に吸入空気量がなるように、前記一酸化炭素増加手段を制御することを特徴とする方法である。
ここでいう触媒温度指標温度とは、触媒の温度と密接な関係を持つ温度であり、触媒温度を直接計測できる場合にはその計測値であるが、通常は触媒温度を直接計測することは難しいので、触媒に流入する排気ガスの温度や触媒から流出する排気ガスの温度やこれらの温度の平均値等で代用することが多い。このように触媒温度を他の温度で代用する場合にはその代用する温度が触媒温度指標温度となる。
この方法によれば、触媒温度による一酸化炭素の酸化能力を考慮して、簡単な設定方法で、一酸化炭素の供給量を適切な量に設定しているので、触媒温度の一酸化炭素の酸化能力に追従させて一酸化炭素を適量供給しているので、効率よく触媒を昇温できると共に、過剰な一酸化炭素の供給を防止でき、一酸化炭素の触媒の下流側への流出(スリップ)を防止できる。
上記の排気ガス浄化方法において、前記吸入空気量の制御に、EGRバルブ、吸気絞り弁、排気絞り弁、排気ブレーキ弁の少なくとも一つと、吸入空気量センサを用いると、容易に一酸化炭素を増加することができる。例えば、低排気温度運転領域でエンジンの運転状態を50%前後の高いEGR率とすることで、一酸化炭素濃度を1000ppm程度まで上昇させることができるので、これにより触媒を容易に昇温させることができる。
そして、上記のような目的を達成するための排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気通路に一酸化炭素を酸化する機能を有する触媒を担持した排気ガス浄化装置を備えると共に、内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域では、前記触媒の温度を上昇するために、一酸化炭素増加手段により前記触媒に流入する排気ガス中の一酸化炭素を増加する制御を行う制御装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、前記制御装置が、内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、触媒温度を指標する触媒温度指標温度が前記触媒の一酸化炭素活性化温度より低い場合及び予め設定した昇温目標温度以上の場合は、一酸化炭素を増加する制御を行わず、内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、前記触媒温度指標温度が前記触媒の一酸化炭素活性化温度以上で前記昇温目標温度より低い場合は、前記触媒温度指標温度が前記一酸化炭素活性化温度から予め設定した中間目標温度までの間は、前記触媒温度指標温度の増加に従って単調増加する一酸化炭素発生目標量を設定し、前記触媒温度指標温度が前記中間目標温度から前記昇温目標温度までの間は、前記触媒温度指標温度の増加に従って単調減少する一酸化炭素発生目標量を設定し、この設定された一酸化炭素発生目標値に応じた吸入空気目標量を算出して、この算出された吸入空気目標量に吸入空気量がなるように、前記一酸化炭素増加手段を制御するように構成される。この構成によれば、上記の排気ガス浄化方法を実施でき、同様の作用効果を奏することができる。
上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記制御装置が、EGRバルブ、吸気絞り弁、排気絞り弁、排気ブレーキ弁の少なくとも一つと吸入空気量センサを用いて、前記吸入空気量を制御するように構成すると、容易に一酸化炭素を増加することができる。
本発明に係る排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムによれば、一酸化炭素を酸化する機能を有する触媒を担持した排気ガス浄化装置を備えると共に、低排気温度運転領域では、前記触媒の温度を上昇するために、一酸化炭素増加手段により前記触媒に流入する排気ガス中の一酸化炭素を増加する制御を行う制御装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、簡単な一酸化炭素発生目標値の設定方法により、適正な供給量で一酸化炭素を供給することができて、触媒昇温に寄与しない一酸化炭素の触媒下流側への流出を防止しながら、触媒に供給した一酸化炭素の酸化により効率よく触媒を昇温できる。
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムについて、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システム1の構成を示す。この排気ガス浄化システム1は、エンジン(内燃機関)10の排気通路16に排気ガス浄化装置19を備えて構成される。
この排気ガス浄化システム1のエンジン10は、吸気マニホールド10aに接続される吸気通路11に吸入吸気量センサ12(MAFセンサ)とターボチャージャ13のコンプレッサ13bとインタークーラ14と吸気弁(インテークスロットル)15を備えている。さらに、排気マニホールド10bに接続される排気通路16に、ターボチャージャ13のタービン13bと、排気ブレーキ弁17と尿素やアンモニア等を噴射するための噴射装置18と排気ガス浄化装置19を備えている。更に、排気マニホールド10bと吸気マニホールド10aを接続するEGR通路20には、EGRクーラー21とEGR弁22を備えている。
排気ガス浄化装置19では、排気ガスGの浄化性能を維持するために、担持している触媒の温度を触媒活性化温度以上のある程度の温度まで上昇させる必要がある。この排気ガス浄化装置19は、図1の構成では、酸化触媒装置(DOC)19a、NOx吸蔵還元型触媒装置(LNT)19b、選択還元型触媒装置(SCR)19cで構成されている。しかし、本発明は、これに限定されず、三元触媒装置、触媒付きDPF装置等を用いる場合もある。要するに、その触媒に期待される排気ガス浄化機能に対する活性化温度以下であっても、一酸化炭素を酸化する機能を有する触媒を備えた排気ガス浄化装置に対して本発明を適用することができる。
酸化触媒装置19aは、多孔質のセラミックのハニカム構造の担持体に、白金等の酸化触媒を担持させて形成される。この酸化触媒は、排気ガス中のHCやCOを酸化して排気ガスを浄化する役割と、NOx吸蔵還元型触媒3のNOx吸蔵能力を回復するためのNOx再生の際にNOxの還元剤として供給されるHCの一部を酸化して排気ガスの温度を昇温する役割とを持っている。
NOx吸蔵還元型触媒装置19bは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を貴金属と共に担持して形成され、酸素過剰な排気ガス中のNOを酸化して硝酸塩として触媒上に吸着させて、NOxを浄化する。このNOx吸蔵還元型触媒は、排気ガスがリーン空燃比では、NOxを吸蔵し、リッチ空燃比では、吸蔵したNOxを放出すると共に、この放出されたNOxを還元雰囲気中で還元して、NOxを低減する。
この選択還元型触媒装置19cは、コージェライトや酸化アルミニウムや酸化チタン等で形成されるハニカム構造等の担持体に、チタニア−バナジウム、β型ゼオライト、酸化クロム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化タングステン等を担持して形成される。この構成により、アンモニアを吸着し、このアンモニアでNOxを還元浄化する。なお、この選択還元型触媒装置19cでNOxを浄化する場合には尿素などのアンモニアになる物質を上流側に設けられている噴射装置18から供給する。
更に、排気ガスGの温度を測定するために、排気ガス浄化装置19の入口に第1温度センサ23が、酸化触媒19aとNOx吸蔵還元型触媒19bとの間に第2温度センサ24が配設され、排気ガス浄化装置19の出口にNOx及びλ(空気過剰率)センサ25が配設されている。
これらのセンサ23,24、25等の測定値とエンジン10の運転制御に必要なデータを入力してエンジンの運転状態と排気ガス浄化システム1の排気ガス浄化制御や再生制御を行う制御装置(図示しない)が設けられている。この制御装置はECU(エンジンコントロールユニット)と呼ばれる制御装置であり、本発明の排気ガス浄化方法に関する制御では、エンジン10からのデータと吸入空気量センサ12からの検出値に基づいて、吸気弁15、排気ブレーキ弁17、EGR弁22を制御する。
次に、本発明の排気ガス浄化方法について、図2の一酸化炭素増加による触媒昇温の制御フローを参照しながら説明する。
この図2の触媒昇温の制御フローは、エンジン10の運転が開始されると、上級のエンジンの制御フローにより繰り返し呼ばれる。この図2の制御フローがスタートすると、ステップS11で、一酸化炭素増加制御の要否の判定(チェック)を行う。この判定では、より詳細には、エンジン10の運転状態のチェックと触媒温度指標温度Tcmのチェックとを行う。
このエンジン10の運転状態のチェックでは、運転状態が低排気温度運転領域にあるか否かを判定する。この判定では、例えば、エンジン回転数が予め設定したアイドル回転閾値以下である場合、即ち、アイドル運転状態の場合、又は、アクセル開度がゼロ%の場合、即ち、停車若しくは車両減速状態の場合であるか否か等で判定する。この車両減速状態であるか否かの判定は、アクセル開度、エンジン回転数の下降、単位時間当たりの燃料流量の減少量などにより行う。
また、触媒温度指標温度Tcmのチェックでは、触媒を備えた排気ガス浄化装置19に流入する排気ガスGの温度Tg、つまり、この実施の形態では、第1温度センサ23で計測した温度Tgを触媒温度指標温度Tcmとして、これを基に判定し、この触媒温度指標温度Tcmが触媒の一酸化炭素活性化温度Tc1以上でかつ昇温目標温度Tc2より低いか否かを判定する。
ステップS11の判定で、エンジンの運転状態が、アイドル運転状態や車両減速状態である低排気温度運転領域であり、かつ、触媒温度指標温度Tcmが触媒の一酸化炭素活性化温度Tc1以上でかつ昇温目標温度Tc2より低い(Tc1≦Tcm<Tc2)場合には、YESとして、次のステップ12に行き、一酸化炭素を増加する制御を行う。一方、これに該当しない場合には、NOとして、一酸化炭素を増加する制御を行わずにリターンする。リターンに行くと、上級の制御フローに戻り、所定の時間(ステップS11の判定のインターバルに関係する時間)を経過した後、再度呼ばれて実行される。この繰り返しをエンジン10の運転終了まで行う。
ステップS12では、一酸化炭素発生目標量Ctを設定するが、この設定においては、触媒温度指標温度Tcmが、実験などに基づいて予め設定した中間目標温度Tc3より低い場合(Tc1≦Tcm<Tc3)には、触媒温度指標温度Tcmの増加に従って単調増加するように設定される。また、触媒温度指標温度Tcmが、中間目標温度Tc3以上である場合(Tc3≦Tcm≦Tc2)には、触媒温度指標温度Tcmの増加に従って単調減少するように設定される。この一酸化炭素増量制御が触媒温度指標温度Tcmが一酸化炭素活性化温度Tc1以上で始まり、昇温目標温度Tc2になると終了することから、一酸化炭素発生目標量Ctは、この両方の温度Tc1,Tc2でゼロとなり、中間目標温度Tc3で最大となるように設定される。この様子を図3に示す。このときの一酸化炭素発生目標量Ctは、CO浄化特性から実験的に求めることができる。
この図3は、触媒温度指標温度Tcmと一酸化炭素発生目標量CtとCO浄化率との関係を示すものであり、触媒温度指標温度TcmがCO浄化率が殆どゼロである一酸化炭素活性化温度Tc1より低い温度では触媒で一酸化炭素を浄化できないので一酸化炭素を増加しない。このとき、仮に、一酸化炭素を増加した場合には、一酸化炭素は酸化されずに触媒の下流側に流出してしまう。
また、触媒温度指標温度Tcmが、一酸化炭素活性化温度Tc1以上で中間目標温度Tc3より低い場合には、CO浄化率が単調に増加しているので、これに対応させて一酸化炭素発生目標量Ctを単調に増加させる。触媒温度指標温度Tcmが、中間目標温度Tc3以上である場合には、CO浄化率は略最大になっており、これ以上一酸化炭素を増加させても、触媒で浄化できないので、一酸化炭素の増加を止める。そして、触媒温度指標温度Tcmに従って単調に減少させて、昇温目標温度Tc2でゼロとする。
この理由は、CO量は「〔現在の温度と目標温度の差〕×ガス量」により、目標温度にするのに必要な熱量を求め、決定する。よって「〔TC2−TC3〕×ガス量=必要熱量=CO量×発熱係数」となるので、TC2からTC3の間は、CO量は単調減少となる。「CO(J/s)×浄化率係数×10100=CO2(J/g)」となる。アイドル回転一定なので、ガス量一定なことから、TC3時の目標温度との差から、必要なCO量とその後低下量を面積として瞬時に求められる。また、CO発生目標量Ctに囲まれた面積(図3の斜線部)を変えずに傾き(例えば、点線へ)を変えることで昇温速度の制御ができる。
ステップS12の一酸化炭素発生目標量Ctの設定の後は、ステップS13で設定された一酸化炭素発生目標量Ctに応じた吸入空気目標量Watを算出する。この算出は、先ず、図4に示すような、ベンチテスト等で実験的に得られたCO量と排気ガスの空気過剰率λとの関係から、一酸化炭素発生目標量Ctに対応する排気ガスの空気過剰率目標値λtを算出し、次に、図5に示すような、ベンチテスト等で実験的に得られた排気ガスの空気過剰率λと吸入空気量Waとの関係から、排気ガスの空気過剰率目標値λtに対応する吸入空気目標量Watを算出する。
次のステップS14では、この吸入空気目標値Watに吸入空気量がなるように、吸入空気量センサ12からの検出値に基づいて、一酸化炭素増加手段である吸気弁15、排気ブレーキ弁17、EGR弁22を制御して、予め設定した時間(ステップS11で、触媒温度指標温度をチェックするインターバルに関係する時間)が経過するのを待つ。また、排気絞り弁を備えている場合には、必要に応じてそれも用いる。この一酸化炭素増量により、発生した一酸化炭素は、排気ガス浄化装置19内の触媒に流入し、この触媒によって酸化されて、この酸化熱により触媒は昇温する。この一酸化炭素増加の制御をした後、リターンする。
リターン後は、上級の制御フローに戻り、エンジン10が運転中は繰り返し呼ばれて実行され、ステップS11の判定でYESとなった場合にのみ、ステップS12〜ステップS14を実行するので、触媒指標温度Tcmが昇温目標温度Tc2より高くなった(Tc2<Tcm)場合には、ステップS12〜ステップS14の一酸化炭素増量制御は行われなくなる。つまり、触媒温度指標温度TcmをモニターしながらCO量を制御し、昇温目標温度Tc2に達したら、それ以上は一酸化炭素による触媒の昇温が不要になるので、一酸化炭素増量制御を中止し通常制御に戻す。また、エンジン10の運転が終了する時には上級フローの終了と共にこの図2の制御フローも終了する。
この繰り返し実行される図2の触媒昇温の制御フローにより、排気ガス浄化装置19の触媒温度指標温度Tcmが、エンジン10の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、触媒温度指標温度Tcmが触媒の一酸化炭素活性化温度Tc1より低い場合及び予め設定した昇温目標温度Tc3以上の場合は、一酸化炭素を増加する制御を行わずにリターンする制御を行うことができる。
また、エンジン10の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、触媒温度指標温度Tcmが触媒の一酸化炭素活性化温度Tc1以上で昇温目標温度Tc3より低い場合は、触媒温度指標温度Tcmが一酸化炭素活性化温度Tcから予め設定した中間目標温度Tc3までの間は(Tc1≦Tcm<Tc3)、触媒温度指標温度Tcmの増加に従って単調増加する一酸化炭素発生目標量Ctを設定し、触媒温度指標温度Tcmが中間目標温度Tc3から昇温目標温度Tc2までの間は(Tc3≦Tcm≦Tc2))、触媒温度指標温度Tcmの増加に従って単調減少する一酸化炭素発生目標量Ctを設定し、この設定された一酸化炭素発生目標値Ctに応じた吸入空気目標量Watを算出して、この算出された吸入空気目標量Watに吸入空気量がなるように、一酸化炭素増加手段を制御することができる。
なお、図6に、触媒入口のCO量と、触媒温度若しくはNOx浄化率との相関の例を示す。この図6では、JE05モード中おける触媒へ供給されるCO量を横軸にしている。この図6の下側の線Aが触媒入口のCO量と、触媒温度との相関を示し、この図6の上側の線Bが触媒入口のCO量とNOx浄化率との相関を示す。このような相関があることが分かっており、この相関のあることが、触媒入口のCO量による触媒温度とNOx浄化率の制御の根拠となっている。なお、このJE05モードとは、日本の排出ガス規制で用いられるエンジンベンチ上での過渡運転モードである。
更に、図7と図8に、JE05モード運転中の触媒中心温度の測定値とエンジンから排出されるCO量の一例を示す。図7に上記の一酸化炭素増加制御を行った実施例の結果を、図8に一酸化炭素増加制御を行わない従来技術の比較例の結果を示す。なお、図7の上側の太線Aは上吸気弁制御と吸入空気量目標値Watを変更している実施例の結果であり、図7の下側の細線Bは、図8の吸気弁制御と吸入空気量目標値Watを変更していない触媒中心温度を示す線Bと同じである。この図7と図8の比較によれば、図7の実施例ではエ図8の比較例に比べて、ンジン10から排出されるCO量が増加していることと、触媒中心温度が、比較例に比べて50℃程度上昇していることが分かる。
従って、上記の排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システム1によれば、簡単な一酸化炭素発生目標値Ctの設定方法により、適正な供給量で一酸化炭素を供給することができて、触媒昇温に寄与しない一酸化炭素の触媒下流側への流出を防止しながら、増加した一酸化炭素の酸化により効率よく触媒を昇温できる
本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムの構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化方法における一酸化炭素増加による触媒昇温の制御フローの一例を示す図である。 触媒温度指標温度とCO浄化率とCO発生目標量との関係を示す図である。 CO量と排気ガスの空気過剰率との関係を示す図である。 排気ガスの空気過剰率と吸入空気量との関係を示す図である。 排気ガスのCO量とNOx浄化率若しくは触媒温度との相関を示す図である。 実施例の触媒中央温度とCO量の推移を示す図である。 比較例の触媒中央温度とCO量の推移を示す図である。
符号の説明
1 排気ガス浄化システム
10 エンジン
11 排気通路
12 吸入空気量センサ
15 吸気弁
17 排気ブレーキ弁
19 排気ガス浄化装置
19a 酸化触媒
19b NOx吸蔵還元型触媒
19c 選択還元型触媒
22 EGR弁
A 吸入空気
G 排気ガス
Ge EGRガス

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気通路に一酸化炭素を酸化する機能を有する触媒を担持した排気ガス浄化装置を備え、内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域では、前記触媒の温度を上昇するために、一酸化炭素増加手段により前記触媒に流入する排気ガス中の一酸化炭素を増加する制御を行う排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、
    内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、触媒温度を指標する触媒温度指標温度が前記触媒の一酸化炭素活性化温度より低い場合及び予め設定した昇温目標温度以上の場合は、一酸化炭素を増加する制御を行わず、
    内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、前記触媒温度指標温度が前記触媒の一酸化炭素活性化温度以上で前記昇温目標温度より低い場合は、前記触媒温度指標温度が前記一酸化炭素活性化温度から予め設定した中間目標温度までの間は、前記触媒温度指標温度の増加に従って単調増加する一酸化炭素発生目標量を設定し、前記触媒温度指標温度が前記中間目標温度から前記昇温目標温度までの間は、前記触媒温度指標温度の増加に従って単調減少する一酸化炭素発生目標量を設定し、
    この設定された一酸化炭素発生目標値に応じた吸入空気目標量を算出して、この算出された吸入空気目標量に吸入空気量がなるように、前記一酸化炭素増加手段を制御することを特徴とする排気ガス浄化方法。
  2. 前記吸入空気量の制御に、EGRバルブ、吸気絞り弁、排気絞り弁、排気ブレーキ弁の少なくとも一つと吸入空気量センサを用いることを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化方法。
  3. 内燃機関の排気通路に一酸化炭素を酸化する機能を有する触媒を担持した排気ガス浄化装置を備えると共に、内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域では、前記触媒の温度を上昇するために、一酸化炭素増加手段により前記触媒に流入する排気ガス中の一酸化炭素を増加する制御を行う制御装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、
    前記制御装置が、
    内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、触媒温度を指標する触媒温度指標温度が前記触媒の一酸化炭素活性化温度より低い場合及び予め設定した昇温目標温度以上の場合は、一酸化炭素を増加する制御を行わず、
    内燃機関の運転状態が低排気温度運転領域で、かつ、前記触媒温度指標温度が前記触媒の一酸化炭素活性化温度以上で前記昇温目標温度より低い場合は、前記触媒温度指標温度が前記一酸化炭素活性化温度から予め設定した中間目標温度までの間は、前記触媒温度指標温度の増加に従って単調増加する一酸化炭素発生目標量を設定し、前記触媒温度指標温度が前記中間目標温度から前記昇温目標温度までの間は、前記触媒温度指標温度の増加に従って単調減少する一酸化炭素発生目標量を設定し、
    この設定された一酸化炭素発生目標値に応じた吸入空気目標量を算出して、この算出された吸入空気目標量に吸入空気量がなるように、前記一酸化炭素増加手段を制御することを特徴とする排気ガス浄化システム。
  4. 前記制御装置が、EGRバルブ、吸気絞り弁、排気絞り弁、排気ブレーキ弁の少なくとも一つと、吸入空気量センサを用いて、前記吸入空気量を制御することを特徴とする請求項3記載の排気ガス浄化システム。
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