JP5086133B2 - フィルタ回路 - Google Patents
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Description
また、LPFのカットオフ周波数を所望範囲で可変したい場合、多重帰還形LPFでは通過域のゲインを一定に保ち、周波数特性に生じるピークを小さく抑えるという制約下での回路定数の設定が難しい。このため、一般には電圧ソース形または状態変数形LPFにおいて2連のボリュウムを用いて行なうようにしているが(特許文献2参照)、LPFのカットオフ周波数の可変に連動してHPFのカットオフ周波数も可変させたい場合、4連のボリュウムが必要になり、構成が複雑化する問題がある。左右2チャンネルの別にチャンネルデバイダを用意する場合、4連のボリュウムが2個必要となってしまう。
また、カットオフ周波数の可変を少ない回路素子数で可能とするフィルタ回路を提供することを、その目的とする。
本発明のフィルタ回路の他の1つは、非反転入力が接地され、出力側が第1の出力端子と接続されるとともに帰還コンデンサを介して反転入力と接続された第1の演算増幅器と、非反転入力が接地され、出力側が第2の出力端子と接続されるとともに帰還抵抗を介して反転入力と接続された第2の演算増幅器と、入力端子と第1の演算増幅器の反転入力との間に直列に設けられた第1、第2、第3の抵抗部と、第1、第2の抵抗部間の接続点と第1の演算増幅器の出力側との間に設けられた第4の抵抗部と、第2、第3の抵抗部間の接続点と第2の演算増幅器の反転入力との間に設けられたコンデンサと、を備えたことを特徴としている。第3の抵抗部の抵抗値を可変としても良く、この場合、第3の抵抗部は固定抵抗と可変抵抗を直列接続した構成としても良い。また、第1、第2の抵抗部間の接続点と第2の演算増幅器の反転入力との間に第2のコンデンサを設けたり、第2、第3の抵抗部間の接続点と第1の演算増幅器の出力側との間に第5の抵抗部を設けても良い。
本発明のフィルタ回路の更に他の1つは、非反転入力が接地され、出力側が第1の出力端子と接続されるとともに帰還コンデンサを介して反転入力と接続された第1の演算増幅器と、非反転入力が接地され、出力側が第2の出力端子と接続されるとともに帰還抵抗を介して反転入力と接続された第2の演算増幅器と、入力端子と第1の演算増幅器の反転入力の間に直列に設けられた第1乃至第5の抵抗部と、第1と第2の抵抗部間と第1の演算増幅器の出力側との間、および、第3と第4の抵抗部間と第1の演算増幅器の出力側との間に設けられた第6、第7の抵抗部と、第2と第3の抵抗部間と第2の演算増幅器の反転入力との間、および、第4と第5の抵抗部間と第2の演算増幅器の反転入力との間に設けられた第1、第2のコンデンサと、を備えたことを特徴としている。第5の抵抗部の抵抗値は可変としても良く、この場合、第5の抵抗部は固定抵抗と可変抵抗を直列接続した構成としても良い。
また、カットオフ周波数の可変を少ない可変抵抗素子で可能となり、カットオフ周波数を可変したときに周波数特性にピークが生じないようにすることも簡単な構成で可能となる。
図2において、10は入力端子、11はLPF部であり、この内、12は非反転入力が接地され、出力側が第1の出力端子13と帰還コンデンサCfを介して反転入力と接続された第1の演算増幅器、R1〜R3は固定抵抗であり、入力端子10と第1の演算増幅器12の出力側との間に固定抵抗R1とR2が直列に接続され、固定抵抗R1とR2の接続点Pと第1の演算増幅器12の反転入力との間に固定抵抗R3が接続されている。接続点PにはコンデンサCが接続されている。20は電流/電圧変換部であり、この内、21は非反転入力が接地され、出力側が第2の出力端子22と帰還抵抗Rfを介して反転入力と接続された第2の演算増幅器である。コンデンサCの他端は第2の演算増幅器21の反転入力と接続されている。第2の演算増幅器21の反転入力は仮想接地されており、コンデンサCが接地されているのと等価なのでLPF部11は図3に示す多重帰還形2次LPFを構成する。
I1=I2+I3+IA
V1−V3=R1I1
V3−V2=R2I2
V3−0 =R3I3
V3−0 =Z1IA
0−V2=Z2I3
の関係が成立する。これらを連立させて各電流とV3を消去し、入力端子10から第1の出力端子13までの伝達関数T1を求めると、s=jωとして、
T1=V2/V1
=−b0/(b1s2 +b2s+b3)
但し、
b0=R2
b1=R1R2R3CfC
b2=(R1R2+R1R3+R2R3)Cf
b3=R1 ・・(1)
となり、2次のLPFの形である。
IA/V1=(V2/V1)(IA/V2)
=a0s2 /(c1s2 +c2s+c3)
a0=R2R3CfC
c1=R1R2R3CfC
c2=(R1R2+R1R3+R2R3)Cf
c3=R1
となる。
VA=−IA・Rf
となる。
入力端子10から第2の出力端子22までの伝達関数TAを求めると、
TA=VA/V1=−Rf(IA/V1)
=−c0s2 /(c1s2 +c2s+c3)
c0=R2R3RfCfC
c1=R1R2R3CfC
c2=(R1R2+R1R3+R2R3)Cf
c3=R1 ・・(2)
となり、2次のHPFの形となっている。
この結果、第1の出力端子13からは入力端子10の入力信号の低域成分が出力され、第2の出力端子22からは入力信号の高域成分が出力されることになる。
f0=(1/2π)√(1/R2R3CfC) ・・(3)
Q=((R1/(R1R2+R1R3+R2R3))・√(R2R3C/Cf) ・・(4)
また、LPF特性とHPF特性の通過域のゲインGLPFとGHPFは、
GLPF=−R2/R1 ・・(5)
GHPF=−RA/R1 ・・(6)
となる。
R1=R2=10kΩ、R3=53.3kΩ、Cf=0.039μF、C=0.51μFとしたときのLPF特性とHPF特性のシミュレーション結果を図4のG1とG2に示す。
ただし、この場合は周波数f0可変と共にQも変化していくことになる。
多くの場合、フィルタの通過域のゲインは1に設定される。式(5)よりLPFのゲインを1にするには R1=R2 とする。また、R3の可変のみで周波数f0の変化幅をある程度確保するには、式(3)よりR3は大きく変化させるしかない。つまり、R1=R2=Rとして、R3<<R から R3>>R まで変化させることになり、式(4)に上記条件を入れると、Qの変化は避けられない。具体的には、R3が小さい時、つまり周波数f0が高い時は、逆の場合に対して、Qが必ず大きくなってしまう。
R1=R2=10kΩ、R30=3.3〜53.3kΩ、Cf=0.039μF、C=0.51μFとし、可変抵抗R3’の抵抗値を53.3〜3.3kΩに可変すると、f0を約48Hz〜約196Hzの範囲で可変することができる。可変抵抗R3の抵抗値を3.3、14.75、53.3kΩにしたときのLPF特性のシミュレーション結果を図5のG3、G4、G5に示す。f0の可変に連動してQも0.72〜1.25の範囲で大きく変動し、LPF特性にピークM1、M2が生じている。Qの変動幅を小さくするためには、R1、R2も合せて可変する必要があるが、回路が複雑となり、また、通過域のゲインを一定に保つことが難しい。
図2ではR3を置き換えた可変抵抗R3’を可変したときQが大きく変化し、ピークを生じたが、図6の第2実施例は、Qの変動幅を改善してピークを小さくしたものである。
図6において、10は入力端子、11AはLPF部であり、この内、12は非反転入力が接地され、出力側が第1の出力端子13と帰還コンデンサCfを介して反転入力と接続された第1の演算増幅器、R1、R2、R31、R4は固定抵抗であり、R32は可変抵抗である。入力端子10と第1の演算増幅器12の出力側との間に固定抵抗R1とR2が直列に接続され、固定抵抗R1とR2の接続点P1と第1の演算増幅器12の反転入力との間に固定抵抗R4、R31、可変抵抗R32が直列接続されている。固定抵抗R4とR31の接続点P2にはコンデンサCが接続されている。20は電流/電圧変換部であり、この内、21は非反転入力が接地され、出力側が第2の出力端子22と帰還抵抗Rfを介して反転入力と接続された第2の演算増幅器である。コンデンサCの他端が第2の演算増幅器21の反転入力と接続されている。コンデンサCが接地されているのと等価なのでLPF部11Aは図7の多重帰還形2次LPFを構成する。
なお、図7の多重帰還形2次LPFは本願発明者により発明された特許第3225260号の図1と同じ形であり、カットオフ周波数f0 を可変したときのQの変動幅を抑えてLPF特性に生じるピークを小さくするように改善したものである。
T1=V2/V1
=−d0/(d1s2 +d2s+d3)
但し、
d0=R2
d1=(R1R2+R1R4+R2R4)R3CfC
d2=(R1R2+R1R3+R2R3+R1R4+R2R4)Cf
d3=R1 ・・(7)
となり、2次のLPFの形である。
=−e0s2 /(e1s2 +e2s+e3)
但し、
e0=R2R3RfCfC
e1=(R1R2+R1R4+R2R4)R3CfC
e2=(R1R2+R1R3+R2R3+R1R4+R2R4)Cf
e3=R1 ・・(8)
となり、2次のHPFの形となっている。
この結果、第1実施例と同様に、第1の出力端子13からは入力端子10の入力信号の低域成分が出力され、第2の出力端子22からは入力信号の高域成分が出力される。
f0=(1/2π)√(R1/(R1R2+R1R4+R2R4)R3CfC) ・・(9)
Q=(1/(R1R2+R1R3+R2R3+R1R4+R2R4))√((R1R2+R1R4+R2R4)R1R3C/Cf)
・・(10)
また、LPF特性とHPF特性の通過域のゲインGLPFとGHPFは、
GLPF=−R2/R1 ・・(11)
GHPF=−R2Rf/(R1R2+R1R4+R2R4) ・・(12)
となる。
従って、例えばステレオ2チャンネルのオーディオ信号をチャンネル別に2つのチャンネルデバイダで周波数帯域分割したい場合でも、2連のボリュウム1つで対応することができる。
図6ではLPF部を多重帰還形2次LPFの構成としたが、図9の例では、周波数特性の阻止域の減衰率を上げるため多重帰還形3次LPFの構成としたものである。例えば低域再生用のサブウーファと中・高域再生用のフルレンジスピーカを使用する2ウェイスピーカシステムでは、サブウーファの再生帯域の高域側が1kHzまたはそれ以上に延びており、サブウーファからカットオフ周波数以上の成分が洩れて中・高域再生用のフルレンジスピーカの再生音と干渉して音質を劣化させる。これを防止するために、LPF特性の阻止域の減衰率を大きくすることが有効となる。
図9において、10は入力端子、11BはLPF部であり、この内、12は非反転入力が接地され、出力側が第1の出力端子13と帰還コンデンサCfを介して反転入力と接続された第1の演算増幅器、R1、R2、R31、R4、R5、R6、R7は固定抵抗であり、R32は可変抵抗である。入力端子10と第1の演算増幅器12の出力側との間に固定抵抗R1とR2が直列に接続され、固定抵抗R1とR2の接続点P1と第1の演算増幅器12の反転入力との間に固定抵抗R6、R5、R4、R31、可変抵抗R32が直列接続されている。固定抵抗R6とR5の接続点P2にはコンデンサC1が接続されており、固定抵抗R5とR4の接続点P3と第1の演算増幅器12の出力側との間には固定抵抗R7が接続されており、固定抵抗R4とR31の接続点P4にはコンデンサC2が接続されている。20は電流/電圧変換部であり、この内、21は非反転入力が接地され、出力側が第2の出力端子22と帰還抵抗Rfを介して反転入力と接続された第2の演算増幅器である。コンデンサC1とC2の他端が第2の演算増幅器21の反転入力と接続されている。コンデンサC1、C2が接地されているのと等価なのでLPF部11Bは図10の多重帰還形3次LPFを構成する。
なお、図10の多重帰還形3次LPFは本願発明者により発明された特許第3225260号の図3と同じ形であり、カットオフ周波数f0を可変したときのQの変動幅を抑えてLPF特性に大きなピークが生じないようにかつ、阻止域の減衰率を大きくしたものである。
T1=V2/V1
=−h0/(h1s3 +h2s2 +h3s+h4)
但し、
h0=R2R7
h1=R3(R1R2+R1R6+R2R6)(R4R5+R4R7+R5R7)CfC1C2
h2=(R1R2+R1R6+R2R6)(R3R5+R3R7+R4R5+R4R7+R5R7)CfC1
+R3{(R1R2(R4+R7)+(R1+R2)(R4R5+R4R7+R5R7+R4R6+R6R7))CfC2
h3=R5(R1R2+R1R6+R2R6)C1
+[R1R2(R3+R4+R7)+(R1+R2){R3(R5+R6+R7)+R4R5+R4R7+R5R7+R4R6+R6R7}]Cf
h4=R1R2+R1R5+R1R6+R1R7+R2R5+R2R6 ・・(13)
となり、3次のLPFの形である。
但し、
k0=R2R3Rf(R4R5+R4R7+R5R7)CfC1C2
k1=R2Rf(R3R5+R3R7+R4R5+R4R7+R5R7)CfC1+R2R3R7RfCfC2
k2=R2R5RfC1 ・・(14)
となり、変則的ではあるが3次のHPFの形となっている。
この結果、図6の第2実施例と同様に、第1の出力端子13からは入力端子10の入力信号の低域成分が出力され、第2の出力端子22からは入力信号の高域成分が出力される。この際、阻止域の減衰率は図8より大きくなる。
なお、回路定数を上記数値の組み合わせ以外としても良いのは勿論である。
図12の変形例によれば、簡単な構成で阻止域の減衰率の大きな3次LPF特性を有する出力とHPF特性を有する出力を得ることができる。また、1つの抵抗R32(またはR3)を可変するだけで、LPF特性とHPF特性のカットオフ周波数を連動して可変することができる。なお、図12の変形例でカットオフ周波数を固定したい場合は可変抵抗R32を省略すればよい。
11、11A、11B、11C LPF部
12 第1の演算増幅器
13 第1の出力端子
20 電流電圧変換回路
21 第2の演算増幅器
22 第2の出力端子
Claims (8)
- 非反転入力が接地され、出力側が第1の出力端子と接続されるとともに帰還コンデンサを介して反転入力と接続された第1の演算増幅器と、
非反転入力が接地され、出力側が第2の出力端子と接続されるとともに帰還抵抗を介して反転入力と接続された第2の演算増幅器と、
入力端子と第1の演算増幅器の反転入力との間に直列に設けられた第1、第2の抵抗部と、
第1、第2の抵抗部間の接続点と第1の演算増幅器の出力側との間に設けられた第3の抵抗部と、
第1、第2の抵抗部間の接続点と第2の演算増幅器の反転入力との間に設けられたコンデンサと、
を備えたことを特徴とするフィルタ回路。 - 第2の抵抗部の抵抗値を可変としたこと、
を特徴とする請求項1記載のフィルタ回路。 - 非反転入力が接地され、出力側が第1の出力端子と接続されるとともに帰還コンデンサを介して反転入力と接続された第1の演算増幅器と、
非反転入力が接地され、出力側が第2の出力端子と接続されるとともに帰還抵抗を介して反転入力と接続された第2の演算増幅器と、
入力端子と第1の演算増幅器の反転入力との間に直列に設けられた第1、第2、第3の抵抗部と、
第1、第2の抵抗部間の接続点と第1の演算増幅器の出力側との間に設けられた第4の抵抗部と、
第2、第3の抵抗部間の接続点と第2の演算増幅器の反転入力との間に設けられたコンデンサと、
を備えたことを特徴とするフィルタ回路。 - 第3の抵抗部の抵抗値を可変としたこと、
を特徴とする請求項3記載のフィルタ回路。 - 第1、第2の抵抗部間の接続点と第2の演算増幅器の反転入力との間に第2のコンデンサを設けたこと、
を特徴とする請求項3記載のフィルタ回路。 - 第2、第3の抵抗部間の接続点と第1の演算増幅器の出力側との間に第5の抵抗部を設けたこと、
を特徴とする請求項3記載のフィルタ回路。 - 非反転入力が接地され、出力側が第1の出力端子と接続されるとともに帰還コンデンサを介して反転入力と接続された第1の演算増幅器と、
非反転入力が接地され、出力側が第2の出力端子と接続されるとともに帰還抵抗を介して反転入力と接続された第2の演算増幅器と、
入力端子と第1の演算増幅器の反転入力の間に直列に設けられた第1乃至第5の抵抗部と、
第1と第2の抵抗部間と第1の演算増幅器の出力側との間、および、第3と第4の抵抗部間と第1の演算増幅器の出力側との間に設けられた第6、第7の抵抗部と、
第2と第3の抵抗部間と第2の演算増幅器の反転入力との間、および、第4と第5の抵抗部間と第2の演算増幅器の反転入力との間に設けられた第1、第2のコンデンサと、
を備えたことを特徴とするフィルタ回路。 - 第5の抵抗部の抵抗値を可変としたこと、
を特徴とする請求項7記載のフィルタ回路。
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