JP5086025B2 - アルミニウム又はアルミニウム合金のポートホール押出材の製造方法 - Google Patents
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Description
この種構造部材は設計上複雑な構造を有するので、金属中空材をハイドロフォーミング(冷間で行われる液圧ないし静水圧バルジ成形)又は熱間バルジ成形により、拡管ないし変形させることにより所定の設計形態に加工される。
その反面、マンドレル押出法では金属材料の押出し時にマンドレルが振れ易いため、肉厚が不均一となったり偏肉を生じ易く、しかも、多段階の引抜き及び焼鈍工程が必要であるなど、製造コストが嵩む。
そして、押出時における雌型のチャンバー内での金属材料は、押出方向に沿いかつ周方向から押出間隙に向かって押出中心方向へ直進的に流れるため、図2で示すように押出材1aの各溶着部界面bは、押出材aの中心線から放射方向にほぼ沿った状態に形成される。また、各溶着部界面bの両側部では、金属組織が均一でなくなる。
したがって、バルジ成形時に図2の矢印のように押出材aにおける中空部中心から周方向に向けて流体圧力(内圧)が加わると、その圧力の作用方向が溶着部界面bとほぼ沿っているため、溶着部界面bの部分で裂け目が生じ易く、拡管率等が相対的に小さいという問題があった。
しかし、本発明者らの実験によれば、溶着部と母材部の結晶粒径に差がない場合でも、バルジ成形時に溶着部が優先的に変形し、溶着部に割れが生じることが確認された。すなわち、溶着部の平均結晶粒径を前記のように規定するだけでは、ポートホール押出材のバルジ成形時の限界拡管率(拡管成形性)を向上させることは不可能である。
本発明の目的は、溶着部の脆弱性をカバーし、バルジ加工時の限界拡管率を向上させることができるアルミ合金等のポートホール押出材を提供することにある。
したがって、バルジ成形時の限界拡管率が向上する。
各母材部10相互間の溶着部界面11は、中空部の中心線12からの当該溶着部位における放射方向に対して一定方向へ所定の交差角度θをなすように形成されている。
より具体的には、各溶着部界面11と、当該溶着部界面11の中空部内周面に表れた内周線11aと当該中空部の中心線12とを結ぶ放射面13とが、所定の交差角度θを形成している。
しかし、押出材1が角パイプその他の断面形状である場合は、肉厚又は半径方向は基準とはならない。
ポートホール押出時に前記のようなメタルフローを形成する最も簡便な手段は、ポートホールダイスにおける雄型のポートホール(ポート孔)形状を工夫すること、及び、さらに好ましくは前記ポートホール形状とマッチングするように雌型のチャンバー形状を工夫することである。
図3及び図4は図1のポートホール押出材1を製造するためのポートホールダイスの一形態であり、図3はその雄型の雌型との対向面図、図4はその雌型の雄型との対向面図である。
マンドレル部20へ隣接した周囲には、前記各ブリッジ21により区分された四個のポートホール22が形成されている。各ポートホール22の外周縁は全体として円形形態を呈するように形成するのが好ましい。
各ポートホール22間のブリッジ21には、押出方向に沿って先上がり傾斜する各急傾斜面23が形成され、各急傾斜面23と当該部分のポートホール22の押出方向後方端部との間には押出方向に沿って先上がり傾斜するガイド用の緩傾斜面24が形成されている。
そしてこのチャンバー31の四箇所には、前記雄型2における四つの緩傾斜面24と対応して両型2,3を組み合わせたときに同方向へ傾斜するガイド用の傾斜面32が形成されている。
したがって、雌型3のダイス部30と雄型2のマンドレル部20との隙間から金属材料が押し出され、図1のように各母材部10相互が溶着一体化するとき、各溶着部界面11は、中空部の中心線12からの当該溶着部位における放射方向に対して一定方向へ所定の交差角度θをなすように形成される。
しかしながら、各溶着部界面11の交差角度θをより均一にかつ正確に形成するためには、雄型2と雌型3との相対面を前記のように構成することが好ましい。
図5はそのためのバルジ成形金型の一形態であり、当該バルジ成形金型4は、下金型40とそれと適合する上金型41とから構成され、両金型40,41を重ね合わせた状態で押出材1をセットするセット空間42と、それに連続して押出材1の一部を所定形状に拡管成形するための成形空間43とを有する。
成形空間43は長さ方向の各部断面形状や断面積が異なっていても差し支えない。
内圧の増大により、押出材1は成形空間43内で拡管ないし変形されてバルジ成形を完了する。
したがって、バルジ成形時の限界拡管率が向上する。
また、押出速度は従来の通常のポートホールダイスを用いた場合と変わらないので押出成形コストも変わらない。
前記交差角度θの上限は特に限定されないが、ポートホール押出の限界からもまた作用効果においても80度以上とする意義は乏しい。
前記交差角度θが30度未満では、当該交差角度θが零度である場合と比較してバルジ成形時の限界拡管率等の飛躍的な向上が期待できない。
前記交差角度θは50度以上であるのがさらに好適である。
熱間バルジ成形時の温度が300未満では十分な拡管率(変形率)が期待できず、550℃を超えると成形品に局部融解が生じるおそれがある。
前記実施形態では、円筒状のポートホール押出材のみを例示したが、その断面形状は円形に限らず、他の断面形状でも実施することができる。
また、押出材1をバルジ成形する場合の金型は図5の形態のものに限らず、押出材1を他の複雑な形状に拡管ないし変形させる金型を使用することができる。
各例の押出材を、図5のようなバルジ成形金型を用いてバルジ成形し、それぞれについて限界拡管率({拡管後の最大外径−拡管前の外径}/拡管前の外径×100を測定し、当該拡管率を超えた場合に成形品に長さ方向の割れの発生発生有無を調べた。
その結果を表1に併せて示した。
1 押出材
10 母材部
11 溶着部界面
11a 溶着部界面の内周線
12 中心線
13 放射面
2 雄型
20 マンドレル部
21 ブリッジ
22 ポートホール
23 急傾斜面
24 緩傾斜面
3 雌型
30 ダイス部
31 チャンバー
32 ガイド用の傾斜面
Claims (2)
- ブリッジにより分割された複数のポートホールをマンドレル部の周囲に有する雄型と、雄型と対向するチャンバーがダイス部の周囲に形成された雌型とを、組合わせてなるポートホールダイスを用い、孔からなるダイス部と、該ダイス部よりも小さい外径を有するマンドレル部との隙間から、パイプ状のアルミニウム製又はアルミニウム合金製のポートホール押出材を押出形成するアルミニウム又はアルミニウム合金のポートホール押出材の製造方法であって、上記押出方向に傾斜するガイド用の緩傾斜面がブリッジに形成されるとともに、金属材料をスクリュー状に押出すように構成されたチャンバーには、ブリッジの前記緩傾斜面に対応して同方向に傾斜する傾斜面が形成され、押出時にポートホールにより分割された金属材料は、チャンバー内でスクリュー状に流れ、ダイス部とマンドレル部の隙間からポートホール押出材を押出形成することにより、該ポートホール押出材の母材部相互間の溶着部界面を、中空部中心線からの当該溶着部位における放射方向に対して交差させ、前記溶着部界面と、当該溶着部界面の前記中空部内周面に表れた内周線と当該中空部中心線とを結ぶ放射面との交差角度を、30度以上に設定したアルミニウム又はアルミニウム合金のポートホール押出材の製造方法。
- 前記溶着部界面と、当該溶着部界面の前記中空部内周面に表れた内周線と当該中空部中心線とを結ぶ放射面との交差角度が50度以上且つ80度未満である、請求項1に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金のポートホール押出材の製造方法。
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