JP5084879B2 - レンズ系及びそれを有する撮像装置 - Google Patents
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Description
本発明は、レンズ系及びそれを有する撮像装置に関し、例えばビデオカメラ、デジタルカメラ、画像入力装置、携帯電話、携帯端末等の撮影系に好適なものである。
近年、固体撮像素子を有するビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話や携帯端末等の撮像装置が種々開発されている。特に、携帯電話や携帯端末において使用される撮像ユニットには、その携帯性の観点から小型・軽量の撮影レンズが強く望まれている。
小型の撮影レンズのレンズタイプとしては、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズと負の屈折力の第2レンズの2枚レンズ構成のレンズ系が知られている(例えば特許文献1、2)。
小型化とともに結像性能の向上を図った撮影レンズとして、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ、負の屈折力の第2レンズ、正の屈折力の第3レンズからなる所謂トリプレット構成の撮影レンズが知られている(例えば特許文献3〜8)。
トリプレット構成のレンズ系は、前玉径の縮小化及び射出瞳の距離を長くするのが比較的容易なレンズ構成である。トリプレット構成のレンズ系のうち最も物体側に開口絞りを配置した所謂前絞りタイプの撮影レンズも知られている(例えば特許文献9〜17)。
また前絞りタイプのトリプレット構成のレンズ系の発展レンズ系として4枚のレンズにて構成された撮影レンズも知られている(例えば特許文献18〜20)。
特開2002−258155号公報では2枚レンズ構成の負の屈折力の第2レンズを像側に比較的強い屈折力の凹面を向けた形状より構成している為、射出瞳が短くなりやすくなり、固体撮像素子を用いた場合にシェーディングが発生しやすくなる傾向がある。
米国特許第5329403号では2枚レンズ構成の正の屈折力のレンズと負の屈折力の第2レンズの間隔が大きくレンズ系全体が大型化する傾向がある。
一方、正、負、正の屈折力のレンズより成る3枚レンズ構成の場合、前玉径を縮小し小型化を図るとともに、像側のテレセントリック特性を良好にする為には、レンズ系として開口絞りを撮像素子から最も離した位置に置く前絞りタイプが有利である。
特開2001−83409号公報は、開口絞りをレンズ系中に配置した中絞りタイプのため射出瞳を遠ざけるには前絞りタイプと比べバックフォーカスを長くとる必要があり、レンズ全長の短縮化が難しい。このことは特開2002−221659号公報、特開2002−244030号公報のレンズ系についても同様である。
また製作コストを考慮した場合、ガラス材より成るレンズよりもプラスチック材より成るレンズを用いるのが有効である。特開平1−144007号公報、特開平4−153612号公報、特開平5−188284号公報等のレンズ系は、構成レンズ枚数は3枚と少ないが、すべてガラス材より成る為、製作コストが高くなる傾向がある。
なお、プラスチック材より成るレンズはガラス材より成るレンズに比べ温度・湿度変化による形状変化が起こりやすく、環境変化によるピント変動、収差変動が課題となりやすい。これは特にレンズの屈折力を強めた場合に顕著となる。
特許第2742581号公報、特開2001−75006号公報では3枚レンズ構成のすべてのレンズをプラスチック材より構成し、製作を容易にしているが屈折力の強いレンズを一部に使用している為、環境変化におけるピント変動、収差変動が生ずる傾向がある。
特開2002−228922号公報においてはガラス材より成る2枚のレンズと、プラスチック材より成る2枚のレンズを用いたレンズ系を開示しているが、レンズ枚数が4枚と多くレンズ全長の短縮化が難しい。特開2002−365529号公報、特開2002−365531号公報についても同様である。
一般に撮影用のレンズ系において、良好な光学性能を得るには開口絞りに対して各レンズがコンセントリックな形状で配置されるのが好ましい。従来例の多くのレンズ系では各レンズの形状が、開口絞りに対してコンセントリックな形状となっていないか、若しくはコンセントリックとはなっているものの、形状的に必ずしも最適な形状であるとは言いがたかった。
本発明は、十分なテレセントリック特性を確保しつつ、製作が容易で、小型で光学性能の良好なレンズ系及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
本発明のレンズ系は、物体側から像側へ順に、開口絞り、正の屈折力の第1レンズ、負の屈折力の第2レンズ、正の屈折力の第3レンズより構成されたレンズ系であって、該第3レンズを構成する材料はプラスチックであり、該第2レンズの像側のレンズ面と該第3レンズの物体側のレンズ面で構成される空気レンズの像側主点から像側焦点までの実距離をfa、全系の焦点距離をf、該第3レンズの材料の屈折率をN3、アッベ数をν3、該第3レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR31、像側のレンズ面の曲率半径をR32、該第3レンズの焦点距離をf3とするとき、
0.5<fa/f<0.9
−0.013ν3+2.05<N3<−0.013ν3+2.30
N3<1.65
0<(R32+R31)/(R32−R31)≦3.196
1.219≦f3/f<3.0
なる条件を満足することを特徴としている。
0.5<fa/f<0.9
−0.013ν3+2.05<N3<−0.013ν3+2.30
N3<1.65
0<(R32+R31)/(R32−R31)≦3.196
1.219≦f3/f<3.0
なる条件を満足することを特徴としている。
本発明の撮像装置は、本発明のレンズ系と、該レンズ系によって形成された像を光電変換する為の固体撮像素子を有することを特徴としている。
本発明によれば、十分なテレセントリック特性を確保しつつ、小型で光学性能の良好でかつローコストなレンズ系およびそれを有する撮像装置を達成することができる。
以下、本発明のレンズ系及びそれを有する撮像装置の実施例について説明する。本実施例で説明するレンズ系は、デジタルスチルカメラ等の撮影光学系として用いられる対物レンズである。
図1、図2は実施例1の対物レンズのレンズ断面図と収差図である。
図3、図4は実施例2の対物レンズのレンズ断面図と収差図である。
図5、図6は実施例3の対物レンズのレンズ断面図と収差図である。
図7、図8は実施例4の対物レンズのレンズ断面図と収差図である。
図9、図10は実施例5の対物レンズのレンズ断面図と収差図である。
図11は光学材料の屈折率とアッベ数との関係を示す説明図である。
図12は実施例1〜4いずれかの対物レンズを有するデジタルスチルカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
レンズ断面図において、左方が被写体側(前方)で、右方が像側(後方)である。レンズ断面図において、OBは対物レンズであり、正の屈折力(光学的パワー=焦点距離の逆数)の第1レンズL1、負の屈折力の第2レンズL2、正の屈折力の第3レンズL3から成っている。SPは開口絞りであり、第1レンズL1の物体側に位置している。Rijは各レンズのレンズ面である。
Gは光学フィルター(水晶ローパスフィルター、赤外カットフィルター等)、フェースプレート等に相当する光学ブロックである。IMは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮影レンズ系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が置かれる。また銀塩フィルム用カメラの撮影レンズとして使用する際にはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
収差図において、d、gは各々g線及びd線、ΔM、ΔSはメリジオナル像面、サジタル像面、倍率色収差はg線によって表わしている。
無限遠物体から近距離物体へのフォーカスは、開口絞りSP及びレンズ系全体を物体側へ繰り出すことによって行っている。
各実施例においては、開口絞りSPを対物レンズOBの物体側に配置する所謂前絞り構成として近年の固体撮像素子に適した長い射出瞳距離を得ている。そして対物レンズOBは物体側から像側へ順に、第1レンズL1は物体側の面に比べて像側の面の屈折力の絶対値が大きい像側の面が凸形状より成っている。
第2レンズL2は、像側の面に比べ物体側の面の屈折力の絶対値が大きい、物体側の面が凹形状より成っている。
開口絞りSPの像側に配置した第1レンズL1と、第1レンズL1の像側に配置した第2レンズL2のレンズ形状を前述の如く設定し、いずれの面も開口絞りSPに対し、コンセントリックな形状に近づけている。このようなレンズ構成により軸外光束における非点収差、コマ収差等の発生を抑え画面全域の結像性能を良好にしている。
なお、第1レンズL1の物体側のレンズ面は比較的曲率を緩くすることでコンセントリックな面ではないが収差の発生を極力低減している。また第2レンズL2の像側のレンズ面も同様に比較的緩い曲率としているが、像側の面を凸形状として若干コンセントリックな形状に近づけている。このように屈折力の強いレンズ面をコンセントリックにし、コンセントリックから外れるレンズ面は曲率を緩くすることで第1レンズL1、第2レンズL2の必要な屈折力を確保しながらレンズ系全体の小型化と良好なる収差補正を両立している。
また、第3レンズL3は像面IM近傍に配置することでフィールドレンズの役割を有しており、射出瞳を像面IMから遠ざける作用を有する。このような構成によりコンパクトとテレセントリック特性が良好に両立できるようにしている。
また、対物レンズOBは主に、第1レンズL1の像側のレンズ面と第2レンズL2の物体側のレンズ面にて正、負の屈折力のレンズ系となるテレフォトタイプの屈折力配置としている。このようなレンズ構成にて第1レンズL1、第2レンズL2の屈折力をある程度強めながら第1レンズL1と第2レンズL2の間隔を適切に設定することで光学全長を短縮してコンパクト化を図っている。
また、各実施例では、第1、第2レンズL1、L2の材料にガラスを用いている。第1レンズL1と第2レンズL2はある程度の屈折力を持たせることで正、負の屈折力のテレフォト型の屈折力配置を強めレンズ全長の短縮を図っているが、このような屈折力の強いレンズにおいては曲率、肉厚等の製造誤差に対する要求精度は厳しくなりがちである。一般にガラス材より成るレンズはプラスチック材より成るレンズに比べ加工精度が良く、加えて温度湿度等の環境変化による形状の変化、屈折率の変化が小さい。よって各実施例では第1、第2レンズL1、L2の材料にガラスを用いることで製造誤差、環境変化を考慮しても高い光学性能が得られるようにしている。
また各実施例では、第3レンズL3の材料にプラスチックを用いている。一般に射出成形等により製作されるプラスチック材より成るレンズは量産性に優れコスト面(製作面)ではガラス材より成るレンズよりも有利である。またローコスト(製作容易)ながら非球面化できるというメリットも有する。しかしながらガラス材より成るレンズと比べ面精度が劣る点、温度・湿度変化時の形状の変化、屈折率の変化が大きい点で課題を有している。各実施例における第3レンズL3は屈折力を緩く設定することでこれら課題を回避しつつローコスト化を図っている。
なお、第3レンズレンズL3の屈折力を緩くするとフィールドレンズとしての作用が弱まり、射出瞳が像面から十分に遠ざけられなくなってくる。そこで各実施例の対物レンズでは第2レンズL2の像側のレンズ面と第3レンズL3の物体側のレンズ面で構成される空気レンズの屈折力を強めることでこの課題を解決している。第2レンズL2の像側のレンズ面R22と第3レンズL3の物体側のレンズ面31で構成される空気レンズは正の屈折力を有しており、軸外主光束を屈曲させて像面への入射角度を小さくする作用を有している。
結果として射出瞳が像面IMから遠ざける作用となる。よって対物レンズOBにおけるフィールドレンズL3の役割は、レンズ面R22とレンズ面R23で構成される空気レンズと第3レンズL3の合成系により成し遂げられている。
このように構成することでプラスチック材より成る第3レンズL3の屈折力をあまり強くせずに射出瞳が像面より遠ざけられ、これによって、低コストとテレセントリック性の両立を図っている。さらに、プラスチック材より成る第3レンズL3の1以上の面を非球面とすることで像面彎曲の補正を容易とし、平坦な結像特性を得ている。
また第1レンズL1と第2レンズL2の少なくとも1つの面を非球面にすると更に良好な光学性能が得られる。特に比較的曲率がきつい第1レンズL1の像側のレンズ面、第2レンズL2の物体側のレンズ面のいずれかもしくは両方を非球面とすると、球面収差、コマ収差を良好に補正できるため高画素の固体撮像素子を用いる場合に好適である。
またさらに第1レンズL1の物体側のレンズ面を非球面とすると球面収差の補正能力が高まり、Fナンバーを小さくして口径比を高める場合に特に有効となる。
また、第2レンズL2の像側のレンズ面を非球面とすると軸外光束に対しコマ収差補正能力が高まるため特に画角を大きくした場合に軸外性能を良好にすることができる。
各実施例においては、次の条件式のうち1以上の条件式を満足するようにしている。これによって、条件式に対応した効果を得ている。
第2レンズL2の像側のレンズ面と第3レンズL3の物体側のレンズ面で構成される空気レンズは正の屈折力を有している。そして該空気レンズの像側主点から像側焦点までの実距離をfaとする。全系の焦点距離をf、第iレンズの焦点距離をfi、第iレンズの材料の屈折率をNi、アッベ数をνiとする。第1レンズL1の物体側のレンズ面の曲率半径をR11、像側のレンズ面の曲率半径をR12とする。第2レンズL2の物体側のレンズ面の曲率半径をR21、像側のレンズ面の曲率半径をR22とする。第3レンズL3の物体側のレンズ面の曲率半径をR31、像側のレンズ面の曲率半径をR32とする。このとき、
0.5<fa/f<0.9 (1)
−0.013ν2+2.05<N2<−0.013ν2+2.30 (2)
N2>1.65 (3)
0.1<|f2/f|<0.8 (4)
−0.013ν3+2.05<N3<−0.013ν3+2.30 (5)
N3<1.65 (6)
0<(R32+R31)/(R32−R31)≦3.196 (7)
1.219≦f3/f<3.0 (8)
−0.013ν1+2.30<N1<−0.013ν1+2.55 (9)
−1.0<(R12+R11)/(R12−R11)<−0.1 (10)
1.0<(R22+R21)/(R22−R21)<3.0 (11)
次に前述の各実施例の技術的意味について説明する。
0.5<fa/f<0.9 (1)
−0.013ν2+2.05<N2<−0.013ν2+2.30 (2)
N2>1.65 (3)
0.1<|f2/f|<0.8 (4)
−0.013ν3+2.05<N3<−0.013ν3+2.30 (5)
N3<1.65 (6)
0<(R32+R31)/(R32−R31)≦3.196 (7)
1.219≦f3/f<3.0 (8)
−0.013ν1+2.30<N1<−0.013ν1+2.55 (9)
−1.0<(R12+R11)/(R12−R11)<−0.1 (10)
1.0<(R22+R21)/(R22−R21)<3.0 (11)
次に前述の各実施例の技術的意味について説明する。
条件式(1)は第2レンズL2と第3レンズL3との間に形成される空気レンズの像側主点から像側焦点までの実距離を規定する式である。上限を超えて空気レンズの像側主点か像側焦点までの実距離が長すぎると、すなわち空気レンズの屈折力が弱すぎると射出瞳を像面から遠ざける作用が弱まり、固体撮像素子を用いた際のシェーディングが課題となる。下限を超えて空気レンズの像側主点から像側焦点までの実距離が短すぎると、すなわち空気レンズの屈折力が強すぎるとペッツバール和が正の方向に大きくなりすぎ非球面を用いても像面彎曲を補正するのが困難となるためよくない。
条件式(2)と条件式(3)は第2レンズL2の材料の屈折率とアッベ数を規定する式である。図11はアッベ数νdと屈折率Ndの関係を示す図であり、各レンズ材料の範囲を説明するための図である。図11において、境界1、2、3を示す直線は
Nd=−0.013νd+K
で表わしており、
K=2.55のとき、境界1
K=2.3のとき、境界2
K=2.05のとき、境界3
を示している。
Nd=−0.013νd+K
で表わしており、
K=2.55のとき、境界1
K=2.3のとき、境界2
K=2.05のとき、境界3
を示している。
図11において条件式(2)と(3)が両立するのは範囲Bである。条件式(2)の上限を超えると境界2より上側に位置する光学材料となるが、この位置に存在する材料は低分散であるため色収差が補正不足となる課題を有する。また条件式(2)の下限を超えると境界3より下側に位置する光学材料となる。この位置に存在する材料は高分散であるため色収差補正の点では好ましいが、ポリカーボネート等のプラスチック材料は存在するもの、ガラス材料については存在しない。よって屈折力を強めるためガラス材料を用いるという観点では条件式(2)の下限を超えないことが好ましい。また条件式(3)の下限を超えると屈折率が低くなるが、ペッツバール和を小さくするために第1レンズL1の材料の屈折率を有る程度高める必要がある。この際に第2レンズL2が条件式(3)の下限を超える位置にあると、第1レンズL1と第2レンズL2の材料のアッベ数の差を大きく設定することが難しくなり色収差が補正不足となる課題を有する。
条件式(4)は第2レンズL2の焦点距離すなわち屈折力に関する式である。上限を超えて第2レンズL2の屈折力が弱すぎるとペッツバール和が正の方向に大きくなりすぎアンダーの像面彎曲が発生するため好ましくない。また下限を超えて第2レンズL2の屈折力が強すぎると球面収差がオーバー側に補正過剰となり好ましくない。また製造誤差に起因する第2レンズL2の偏芯による中心コマ、片ボケ等の発生も課題となってくる。
条件式(5)と条件式(6)は第3レンズL3の材料の屈折率とアッベ数を規定する式である。図11において条件式(5)と条件式(6)が両立するのは範囲Cである。条件式(5)の上限を超えると境界2より上側に位置する光学材料となる。この位置に存在する光学材料は低分散材料であるため色収差低減の点では好ましいが、ガラス材料は存在するもの、プラスチック材料は存在しない。よってコスト低減のためにプラスチック材料を用いるという観点では条件式(5)の上限を超えないことが好ましい。また条件式(5)の下限を超えると境界3より下側に位置する光学材料となるが、この位置に存在する材料は高分散硝材であるため色収差の発生が課題となる。また条件式(6)の上限を超えて屈折率が高くなるとプラスチック材料が存在しないためコストの観点では上限を超えないことが好ましい。
条件式(7)は第3レンズL3のレンズ形状因子に関する式である。条件式(7)にて0となる場合は両レンズ面が凸形状であり、0より小さいと像側のレンズ面より物体側のレンズ面の方が正の屈折力が弱い形状となる。下限を超えて物体側のレンズ面の正の屈折力が弱まると第2レンズL2の像側のレンズ面とで形成する空気レンズの屈折力を強めることができなくなるという課題を有する。また上限を超えて像側に凹を向けたメニスカス形状の度合いが強まりすぎると、第3レンズL3の像側のレンズ面にて射出瞳を像面に近づける作用が生じる。この結果、第2レンズL2と第3レンズL3間の空気レンズの屈折力を強めて射出瞳を像面から遠ざける作用を相殺してしまうためよくない。
条件式(8)は第3レンズL3の焦点距離すなわち屈折力に関する式である。上限を超えて第3レンズL3の屈折力が弱すぎるとフィールドレンズとしての作用が弱まるのが課題となる。さらにこれを補うために第2レンズL2と第3レンズL3の間の空気レンズの正の屈折力をさらに強めると、ペッツバール和が大きくなりすぎ像面彎曲が発生する点で好ましくない。また下限を超えて第3レンズL3の屈折力が強すぎるとプラスチック材より成るレンズで構成したときの環境変化による形状変化、屈折率変化の影響が大きくなり収差変動、ピント変動が生じるため良くない。またフィルターを挿入するために必要なバックフォーカスが確保できなくなる課題も生じる。
条件式(9)は第1レンズL1の材料の屈折率、アッベ数を規定する式である。条件式(9)の上限を超えて境界1より上側にはガラス材料が存在しない。よって屈折力を強めるためガラス材料を用いるという観点では条件式(9)の上限を超えないことが好ましい。また条件式(9)の下限を超えて境界2より下側に位置する材料は高分散であり、第1レンズL1の屈折力を強める場合に色収差が過度に発生し第2レンズL2による補正が難しくなるという課題を有する。
条件式(10)は第1レンズL1のレンズ形状因子に関する条件式である。条件式(10)にて−1となる場合はレンズ形状が平凸形状であり、−1から0までが両レンズ形状が凸形状にて像側のレンズ面の曲率が物体側のレンズ面の曲率よりきつい形状となる。
条件式(10)の上限を超えると第1レンズL1の像側のレンズ面の曲率が緩くなり開口絞りSPに対するコンセントリックな形状からずれを生じ非点収差、コマ収差等の発生により軸外性能が低下するため好ましくない。また下限を超えて物体側のレンズ面が凹面となると球面収差の発生が過度となり好ましくない。
条件式(11)は第2レンズL2のレンズ形状因子に関する条件式である。条件式(11)にて1となる場合はレンズ形状が凹平形状であり、1より大きい場合は物体側に凹面を向けたメニスカス形状となる。条件式(11)の下限を超えると像側のレンズ面が凹面となり屈折力が弱いながらもコンセントリックとして軸外収差の発生を低減する作用が弱まる。結果として軸外光束の入射角が大きくなるため像面彎曲、非点収差の発生が課題となる。また上限を超えてメニスカスの度合いが強まりすぎると第2レンズL2として必要な屈折力を設定できなくなり第1レンズL1に対して球面収差、色収差等の収差をキャンセルする作用が薄れるのが課題となってくる。
なお、更に好ましくは条件式(1)、(3)、(4)、(6)〜(8)、(10)、(11)の数値を次の如く設定するのが良い。
0.55<fa/f<0.85 (1a)
N2>1.67 (3a)
0.2<|f2/f|<0.7 (4a)
N3<1.60 (6a)
0.1<(R32+R31)/(R32−R31)<≦3.196 (7a)
1.219≦f3/f<2.5 (8a)
−0.9<(R12+R11)/(R12−R11)<−0.15 (10a)
1.3<(R22+R21)/(R22−R21)<2.5 (11a)
以下に、実施例1〜5の対物レンズに各々対応する数値実施例1〜5を示す。各数値実施例において、iは物体側からの面の順番を示し、Riは各面の曲率半径、Diは第i面と第(i+1)面との間の部材肉厚又は空気間隔、Ni、νiはそれぞれd線に対する屈折率、アッベ数を示す。また、最も像側の2つの面は水晶ローパスフィルター、赤外カットフィルター等に相当するガラスブロックGである。非球面形状は光軸からの高さHの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてXとするとき、
N2>1.67 (3a)
0.2<|f2/f|<0.7 (4a)
N3<1.60 (6a)
0.1<(R32+R31)/(R32−R31)<≦3.196 (7a)
1.219≦f3/f<2.5 (8a)
−0.9<(R12+R11)/(R12−R11)<−0.15 (10a)
1.3<(R22+R21)/(R22−R21)<2.5 (11a)
以下に、実施例1〜5の対物レンズに各々対応する数値実施例1〜5を示す。各数値実施例において、iは物体側からの面の順番を示し、Riは各面の曲率半径、Diは第i面と第(i+1)面との間の部材肉厚又は空気間隔、Ni、νiはそれぞれd線に対する屈折率、アッベ数を示す。また、最も像側の2つの面は水晶ローパスフィルター、赤外カットフィルター等に相当するガラスブロックGである。非球面形状は光軸からの高さHの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてXとするとき、
で表される。但しRは近軸曲率半径、Kは円錐定数、B、C、D、Eは非球面係数である。
又、[e−0X]は「×10−X」を意味している。fは焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角である。
又前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を表1に示す。
尚、以上の各実施例において、開口絞りSPの開口径が固定のときは開口絞りSPを別部材として設けず、第1レンズL1のレンズ保持枠を代用させても良い。
又、本発明のレンズ系においては、物体側又は/及び像面側に収差変動にあまり影響しない1以上のレンズを付加するようにしても良い。
又、ワイドコンバーターレンズやテレコンバーターレンズ等を物体側又は像側に配置しても良い。
次に実施例1〜5の対物レンズを有する撮像装置としてデジタルスチルカメラに適用した実施例を図12を用いて説明する。
図12において、20はカメラ本体、21は各実施例の対物レンズによって構成された撮影光学系、22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光学変換素子)である。23は固体撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリ、24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。
このように本発明のレンズ系をデジタルスチルカメラの撮影光学系に使用すれば、小型で高性能な撮像装置が実現できる。
L1 第1レンズ L2 第2レンズ L3 第3レンズ
L4 第4レンズ SP 絞り IM 像面
G ガラスブロック d d線 g g線
ΔS サジタル像面 ΔM メリディオナル像面
L4 第4レンズ SP 絞り IM 像面
G ガラスブロック d d線 g g線
ΔS サジタル像面 ΔM メリディオナル像面
Claims (7)
- 物体側から像側へ順に、開口絞り、正の屈折力の第1レンズ、負の屈折力の第2レンズ、正の屈折力の第3レンズより構成されたレンズ系であって、該第3レンズを構成する材料はプラスチックであり、該第2レンズの像側のレンズ面と該第3レンズの物体側のレンズ面で構成される空気レンズの像側主点から像側焦点までの実距離をfa、全系の焦点距離をf、該第3レンズの材料の屈折率をN3、アッベ数をν3、該第3レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR31、像側のレンズ面の曲率半径をR32、該第3レンズの焦点距離をf3とするとき、
0.5<fa/f<0.9
−0.013ν3+2.05<N3<−0.013ν3+2.30
N3<1.65
0<(R32+R31)/(R32−R31)≦3.196
1.219≦f3/f<3.0
なる条件を満足することを特徴とするレンズ系。 - 前記第1レンズの材料はガラスより成り、該第1レンズの材料の屈折率をN1、アッベ数をν1とするとき、
−0.013ν1+2.30<N1<−0.013ν1+2.55
なる条件を満足することを特徴とする請求項1のレンズ系。 - 前記第1レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR11、像側のレンズ面の曲率半径をR12、前記第2レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR21、像側のレンズ面の曲率半径をR22とするとき、
−1.0<(R12+R11)/(R12−R11)<−0.1
1.0<(R22+R21)/(R22−R21)<3.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2のレンズ系。 - 前記第2レンズを構成する材料はガラスであり、該第2レンズの材料の屈折率をN2、アッベ数をν2とするとき、
−0.013ν2+2.05<N2<−0.013ν2+2.30
N2>1.65
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項のレンズ系。 - 前記第2レンズの焦点距離をf2とするとき、
0.1<|f2/f|<0.8
なる条件を満足することを特徴とする請求項4のレンズ系。 - 固体撮像素子に像を形成する為の光学系であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項のレンズ系。
- 請求項1から6のいずれか1項のレンズ系と、該レンズ系によって形成された像を光電変換する為の固体撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
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