JP5084525B2 - 基板処理装置、及び基板処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板処理装置、及び基板処理方法に関する。
半導体装置の製造工程では、所望のデバイス特性を得るために、各種の表面処理工程が実施される。例えば、コンタクトプラグを形成する前工程では、コンタクト抵抗の低抵抗化を図るために、シリコンウェハの表面に形成される自然酸化膜が表面処理によって化学的に除去される。
自然酸化膜の除去方法としては、フッ素系の反応ガスを自然酸化膜の表面に吸着させて自然酸化膜を化学的にエッチングする方法が知られている。特許文献1は、三フッ化窒素(NF3 )等の反応ガスと水素ラジカルとを用い、水素ラジカルで反応ガスを還元することにより、シリコン基板表面に中間生成物であるエッチャント(例えば、NHXFY :x、yは任意の整数)を生成する。中間生成物であるエッチャントは、シリコン酸化膜と反応することにより反応生成物(例えば、アンモニア錯体)を生成する。反応生成物は、ウェハの加熱によって熱分解されて、珪フッ化アンモニウム((NH4)2SiF6 )ガスとして排気され
る。
エッチングを行うとエッチャントは処理室の内壁にも付着する。従って、エッチングを複数回繰り返すと、処理室の内壁に付着するエッチャントが厚くなり、それが処理室内壁から外れることでパーティクルを発生させてしまう。そこで、特許文献1は、ウェハを加熱して反応生成物を熱分解するときに、処理空間にパージガスを導入して、反応生成物や熱分解ガスをパージガスの流れに乗せて排気する。これによれば、反応生成物や熱分解ガスと処理被膜との反応が抑制されて、パーティクルの数量を低減させることができる。
自然酸化膜を除去する装置には、半導体装置の生産性を向上するために、バッチ式の縦型基板処理装置が広く利用される。特許文献2は、エッチングを実行するための表面処理室、反応生成物を排気するための昇華室、及びCVD膜を形成するためのCVD室を、それぞれ共通する気密室の上に連通可能に搭載する。各処理室と連結する気密室は、ウェハの装填されたボートを内部に有してウェハの周辺を窒素ガスでパージするとともに、ボートを搬送することにより各室内に対して順次ウェハを搬入搬出する。これによって、特許文献2は、表面処理室と昇華室とで表面処理の施されるウェハを、その処理の直後にCVD室へ搬入させることができ、CVD膜に対する自然酸化膜の影響を確実に軽減することができる。
特開2005−203409号公報 特開2002−100574号公報
特許文献2の基板処理装置は、ウェハに表面処理を施すとき、まず気密室を開放してボートにウェハを装填し、次いで表面処理室、昇華室、CVD室の順序でボートを搬送して、装填したウェハの各室への搬入搬出を繰り返す。そして、基板処理装置は、再度、気密室を開放することにより表面処理後のウェハをボートから脱装する。
上記表面処理を実行する間、基板処理装置は、気密室に連結された3つの処理室を用いて、3つの処理工程を直列に処理(シリアル処理)し続ける。このため、一つの処理室は、他の処理室の処理動作が全て終了するまで待機しなければならない。例えば、CVD室
は、気密室、表面処理室、及び昇華室の処理動作が全て終了するまで待機しなければならない。この結果、上記基板処理装置では、各処理室の待機時間が重畳して長くなり、単位時間当たりのウェハの処理枚数、すなわちスループットが大幅に損なわれてしまう。
特許文献2では、スループットを向上させるため、表面処理室に昇華室を兼用させて、ボートの移送時間を短縮することを提案する。しかし、ボートの移送に要する時間は、一般的に数十秒であって、数分単位の時間を要する自然酸化膜のエッチング時間やウェハの加熱時間、さらにはCVD膜の成膜時間に比べて十分に短い時間である。すなわち、ボートの移送時間は、基板処理装置のスループットを到底律速するものではなく、その時間を短縮するだけでは、基板処理装置のスループットを十分に向上させ難い。
本願発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、スループットを向上した基板処理装置、及び基板処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の基板処理装置は、複数の基板からなる基板群に表面処理を施す基板処理装置であって、所定間隔で配列した複数のボートと、前記各ボートの一方向に配置されて相互に並行に処理を進める複数の処理室と、相互に異なる処理室に対し相互に異なるボートを同じタイミングで搬入及び搬出する搬送部とを有し、前記複数の処理室は、ボートに基板群を装填する装填室と、ボートにある基板群を反応ガスに曝す反応室と、ボートにある基板群を加熱する加熱室と、を備えることを要旨とする。
請求項1に記載の基板処理装置によれば、一つ基板群が一つの処理室に搬入されるとき
、他の一つの基板群が他の一つの処理室に搬送される。例えば、一つ基板群が装填室に搬入されるとき、他の一つの基板群が反応室に搬送されて、また、他の異なる一つの基板群が加熱室に搬送される。したがって、本基板処理装置は、一つの基板群装填されるタイミングで、他の一つの基板群を反応ガスに曝すことができ、また、他の異なる一つの基板群に加熱処理を施すことができる。この結果、本基板処理装置は、反応室における処理と、加熱室における処理と、装填室のおける処理とを、それぞれ異なるボート間で並列に処理(パラレル処理)することができる。そのため、本基板処理装置は、基板群の移載に要する時間や装填に要する時間を、反応処理時間あるいは加熱処理時間により相殺することができ、基板処理のスループットを向上することができる。
請求項2に記載の基板処理装置は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記複数の処理室は、ボートにある基板群を冷却する冷却室をさらに備えることを要旨とする。
請求項2に記載の基板処理装置によれば、一つの基板群が一つの処理室に搬送されるとき、他の一つの基板群が冷却室に搬送される。したがって、この基板処理装置は、基板群の移載に要する時間や装填に要する時間を、他の基板群の反応処理時間、加熱処理時間、冷却処理時間のいずれか一つにより相殺することができる。よって、この基板処理装置は、冷却室を有する分だけ、同じタイミングで実行する処理工程の数量を増加することができ、基板処理のスループットを、さらに向上することができる。しかも、この基板処理装置は、加熱処理後の冷却処理を他の加熱処理と並行して冷却室で単独に実行するため、加熱温度や加熱速度の変更に関わらず、加熱条件に応じた冷却を、スループットを損なうことなく実行できる。
請求項3に記載の基板処理装置は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記複数の処理室は、1つの方向である回動方向に沿って並ぶ4つの処理室であり、前記複数のボートは、前記回動方向に沿って並ぶ4つのボートであり、前記搬送部は、前記4つのボートを一つの面に搭載し前記回動方向に沿って回動するステージを有し、前記面の法線方向への前記ステージの搬送と前記ステージの回動とが交互に繰り返されることにより、相互に異なる処理室に対し相互に異なるボートを同じタイミングで搬入及び搬出ることを要旨とする。
請求項3に記載の基板処理装置によれば異なる基板群を並列に処理(パラレル処理)することができる。よって、この基板処理装置は、基板処理のスループットを、さらに向上することができる。
請求項4に記載の基板処理装置は、請求項3記載の基板処理装置であって、前記複数の処理室の各々と連結して前記ステージを収容する搬送室と、前記ステージに設けられて前記搬送室の内部空間を前記ボートごとに区画して前記ステージとともに回動する隔壁と、を有することを要旨とする。
請求項4に記載の基板処理装置によれば、処理室間における気体の流入及び流出(クロスコンタミネーション)が、隔壁によって抑制される。したがって、この基板処理装置は、処理室間のクロストークを抑制する分だけ、他の処理室から流入する気体を排気してパージするための時間、他の処理室に流出する気体を補うための時間等を短縮することができる。よって、この基板処理装置は、各処理室における処理時間をそれぞれ短縮することができ、ひいては基板処理のスループットを、さらに向上することができる。
請求項5に記載の基板処理装置は、請求項4に記載の基板処理装置であって、前記搬送室が、前記装填室よりも前記反応室に近い位置であって、かつ、前記装填室よりも前記加熱室に近い位置に、前記内部空間を排気する排気系を有することを要旨とする。
請求項5に記載の基板処理装置によれば、ウェハ反応室又は加熱室から流出する気体が、装填室から遠ざかる方向に向けて排気される。したがって、この基板処理装置は、基板処理後の基板群、及び基板処理前の基板群に対して、基板処理に伴う気体の汚染を抑制することができる。よって、この基板処理は、基板処理後の基板群を洗浄するためのパージ時間や基板処理前の基板群を洗浄するためのパージ時間を短縮することができ、ひいては基板処理のスループットを、さらに向上することができる。
請求項6に記載の基板処理装置は、請求項5に記載の基板処理装置であって、前記搬送室が、前記隔壁により区画される空間をそれぞれパージするパージ機構を有することを要旨とする。
請求項6に記載の基板処理装置によれば、反応室又は加熱室から流出する気体が、装填室から遠ざかる方向に向けて、パージガスの流れに乗って排気される。したがって、この基板処理装置は、基板処理後の基板群、及び基板処理前の基板群に対して、基板処理に伴う基板の汚染を、さらに抑制することができる。
請求項7に記載の基板処理装置は、請求項4〜6のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記搬送室が、前記加熱室の前記回動方向に設けられて前記隔壁に気体を噴きつけて前記隔壁を冷却する冷却機構を有することを要旨とする。
請求項7に記載の基板処理装置によれば、冷却機構が隔壁を冷却するため、隔壁の変形や変質が抑制される。したがって、この基板処理装置は、処理室間のクロストークを、より確実に抑制することができ、ひいては基板処理のスループットを、より確実に向上することができる。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の基板処理方法は、複数のボートの各々に複数の基板からなる基板群を装填して前記各基板群に表面処理を施す基板処理方法であって、前記ボートを装填室に搬入して前記装填室でボートに基板群を装填する工程と、ボートを反応室に搬入して前記反応室で基板群を反応ガスに曝す工程と、ボートを加熱室に搬入して前記加熱室で基板群を加熱する工程と、ボートを冷却室に搬入して前記冷却室で基板群を冷却する工程とを有し、前記各工程は、相互に並行に進められ、相互に異なる処理室に対し相互に異なるボートが同じタイミングで搬入及び搬出されることを要旨とする。
請求項8に記載の基板処理方法によれば、一つ基板群が一つの処理室に搬入されるとき、他の一つの基板群が他の一つの処理室に搬送される。例えば、一つ基板群が装填室に搬入されるとき、他の一つの基板群が反応室に搬送されて、また、他の異なる一つの基板群が加熱室に搬送される。したがって、本基板処理方法は、一つの基板群を移載又は装填するタイミングで、他の一つの基板群を反応ガスに曝すことができ、また、他の異なる一つの基板群に加熱処理を施すことができ、他の異なる一つの基板群に冷却処理を施すことができる。この結果、本基板処理方法は、基板群を移載又は装填する処理、基板群を反応ガスに曝す処理、基板群を加熱する処理、及び基板群を冷却する処理を、それぞれ異なるボート間で並列に処理(パラレル処理)することができる。そのため、本基板処理方法は、基板群の移載に要する時間や装填に要する時間を、反応処理時間、加熱処理時間、あるいは冷却処理時間により相殺することができ、基板処理のスループットを向上することができる。
上記したように、本発明によれば、スループットを向上した基板処理方法、及び基板処理装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1は、基板処理装置10を示す斜視図である。
(基板処理装置)
図1において、基板処理装置10は、箱体状に形成される搬送部11に4つの異なる処理室を搭載する。4つの異なる処理室は、装填室としてのロードロック部(以下単に、LL部12という。)、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15からなり、これらLL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15が、搬送部11の共通する一つの面(以下単に、上面11sという。)に連結される。LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15は、それぞれ鉛直方向に延びる有蓋円筒状に形成されるチャンバであって、搬送部11の内部と連通する内部空間を有する。
まず、LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15について以下に説明する。図2及び図3は、それぞれ基板処理装置10を示す平面図及び側面図である。
図2において、上面11sに描かれる仮想円C(図2の一点鎖線)の上には、LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15の中心軸が、それぞれ周方向に等配される。本実施形態では、LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15
の中心軸上の点を、それぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、及び冷却位置15Pという。また、上下方向に延びる鉛直線の中で仮想円Cの中心を含むものを、中心軸線Aという。
図1において、LL部12は、一方向に開口を有する有蓋筒状のロードロック室(以下単に、LL室12Aという。)と、LL室12Aの開口を開閉するゲートバルブ12Bと、LL室12Aに連結した図示しないパージガス供給系とを有する。
図2及び図3において、LL室12Aは、真空ポンプPや圧力調整バルブ等の排気系に連結される真空槽である。LL部12は、LL室12AとFOUPオープナ16との間で基板Sの装填処理や移載処理を実行するとき、LL室12Aの内部圧力を大気圧に調整し、ゲートバルブ12Bを開けることにより、LL室12AとFOUPオープナ16とを連通させて、基板Sの装填処理や移載処理を可能にする。LL部12は、LL室12Aと搬送部11との間で基板Sを搬入及び搬出するとき、ゲートバルブ12Bを閉じることにより、LL室12Aの内部圧力を所定の搬送圧力に調整して基板Sの搬送処理を可能にする。
なお、FOUPオープナ16は、公知のFOUP16Fと搬送ロボット16Rとを有し、外部(例えば、基板ストッカ)から移送されるFOUP16Fを開放して、表面処理前の基板Sを基板処理装置10へ移載する。また、FOUPオープナ16は、基板処理装置10から移載する表面処理後の基板SをFOUP16Fに収容して外部へ移送する。
基板Sとしては、例えばシリコン基板、ガラス基板、セラミック基板を用いることができ、基板Sを昇温して該基板Sの表面に化学的な処理(以下単に、表面処理という。)を加えられる基板であれば良い。
パージガス供給系は、図示しないパージガスラインに接続され、パージ処理を実行するとき、パージガスラインから供給されるパージガスを所定流量に調整してLL室12Aの内部に供給する。パージガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノンを用いることができ、これらの中から2種類以上を選択して混合しても良い。
図1において、エッチング部13は、有蓋筒状のエッチング室13Aと、エッチング室13Aに連結した図示しない反応ガス供給系と、エッチング室13Aに連結した図示しないラジカル供給系と、ラジカル供給系に連結した図示しないマイクロ波源とを有する。
図2及び図3において、エッチング室13Aは、真空ポンプPや圧力調整バルブ等の排気系に連結される真空槽である。エッチング部13は、エッチング室13Aと搬送部11との間で基板Sを搬入及び搬出するとき、エッチング室13Aの内部圧力を所定の搬送圧力に調整して基板Sの搬送処理を可能にする。また、エッチング部13は、基板Sのエッチング処理を実行するとき、エッチング室13Aの内部圧力を所定のエッチング圧力に調整してエッチング処理を可能にする。
反応ガス供給系は、図示しない反応ガスラインに接続され、基板Sのエッチング処理を実行するとき、反応ガスラインから供給される反応ガスを所定流量に調整してエッチング室13Aの内部に供給する。また、反応ガス供給系は、図示しないパージガスラインに接続され、パージ処理を実行するとき、パージガスラインから供給されるパージガスを所定流量に調整してエッチング室13Aの内部に供給する。
表面処理として自然酸化膜(シリコン酸化膜)をエッチングする場合、反応ガスとしては、フッ化物ガスを用いることができる。フッ化物ガスとしては、炭素と酸素を有しない
ものを用いることが好ましく、例えば三フッ化窒素(NF3 )を用いることができる。また、反応ガスは、1種類を単独で用いても良く、2種類以上の反応ガスを混合して用いても良い。また、反応ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスと混合してエッチング室13Aに導入されても良い。
ラジカル供給系は、図示しないラジカル生成ガスラインに接続され、基板Sのエッチング処理を実行するとき、ラジカル生成ガスラインから供給されるラジカル生成ガスを所定流量に調整してエッチング室13Aの内部に供給する。また、ラジカル供給系は、図示しないキャリアガスラインに接続され、基板Sのエッチング処理を実行するとき、キャリアガスラインから供給されるキャリアガスを所定流量に調整してラジカル生成ガスとともにエッチング室13Aに供給し、これによりラジカル生成ガスの供給状態を安定させる。
表面処理として自然酸化膜をエッチングする場合、ラジカル生成ガスとしては、励起されることにより水素ラジカルを生成するガスであれば良く、例えばアンモニア、水素を用いることができる。また、ラジカル生成ガスは、1種類を単独で用いても良く、2種類以上のガスを混合して用いても良い。キャリアガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等、表面処理の反応系において化学的に安定なガスを用いることができる。また、キャリアガスは、1種類を単独で用いても良く、2種類以上のガスを混合して用いても良い。
マイクロ波源は、図示しない導波管を介してラジカル供給系に接続され、基板Sのエッチング処理を実行するとき、所定出力のマイクロ波を導波管に沿って進行させて、ラジカル供給系の一部にマイクロ波を照射する。ラジカル供給系がラジカル生成ガスを供給するとき、ラジカル生成ガスは、マイクロ波源からのマイクロ波を受けることによって励起し、反応活性種(ラジカル状態のガス:例えば、水素ラジカル)を生成する。ラジカル供給系で生成されるラジカル状態のガスは、ラジカル生成ガス、キャリアガス、励起時の副生成物等と共にエッチング室13Aに供給される。
図1において、加熱部14は、有蓋筒状の加熱室14Aと、加熱室14Aの外壁に近接する図示しないヒータとを有する。
図2及び図3において、加熱室14Aは、真空ポンプPや圧力調整バルブ等の排気系に連結される真空槽である。加熱部14は、加熱室14Aと搬送部11との間で基板Sを搬入及び搬出するとき、加熱室14Aの内部圧力を所定の搬送圧力に調整して基板Sの搬送処理を可能にする。加熱部14は、基板Sの加熱処理を実行するとき、加熱室14Aの内部圧力を所定の加熱圧力に調整する。ヒータは、加熱室14Aの内部を加熱するヒータであって、基板Sの加熱処理を実行するとき、加熱室14Aの内部空間を加熱して基板Sを昇温する。
図1において、冷却部15は、有蓋筒状の冷却室15Aと、冷却室15Aに連結した図示しない冷却水供給系と、冷却室15Aに連結した図示しない冷却ガス供給系とを有する。
図2及び図3において、冷却室15Aは、真空ポンプPや圧力調整バルブ等の排気系に連結される真空槽である。冷却部15は、冷却室15Aと搬送部11との間で基板Sを搬入及び搬出するとき、冷却室15Aの内部圧力を所定の搬送圧力に調整して基板Sの搬送処理を可能にする。冷却部15は、基板Sの冷却処理を実行するとき、冷却室15Aの内部圧力を所定の冷却圧力に調整する。
冷却水供給系は、冷却水を循環させるための冷却ラインと冷却水を所定温度に冷却するための熱交換器等とを有する冷却系であって、基板Sの冷却処理を実行するとき、冷却室15Aの内壁に設けられた図示しない冷却管に冷却水を循環させて冷却室15Aの内壁温
度を所定温度に冷却する。
冷却ガス供給系は、図示しない冷却ガスラインに接続されて、基板Sの冷却処理を実行するとき、冷却ガスラインから供給される冷却ガスを所定流量に調整して冷却室15Aの内部に供給する。冷却ガス供給系からの冷却ガスは、冷却室15Aの内壁と基板Sとの間で熱交換を行い、これにより基板Sを所定温度に降温させる。
次に、搬送部11について以下に説明する。図4及び図5は、それぞれ搬送部11の内部を示す斜視図及び平面図である。
図4及び図5において、搬送部11は、箱体状に形成された搬送室11Aを有し、搬送室11Aには、真空ポンプPや圧力調整バルブ等からなる搬送排気系21が連結されている。搬送排気系21は、搬送室11Aの一つの面であって、LL位置12Pよりもエッチング位置13Pに近い面であって、かつ、LL位置12Pよりも加熱位置14Pに近い面に排気ポート21aを有し、搬送室11Aの内部にある気体を排気ポート21aから排気する。これにより、搬送部11は、LL位置12Pからエッチング位置13Pに向かう気体の流れと、LL位置12Pから加熱位置14Pに向かう気体の流れとを、それぞれ搬送室11Aの内部に形成する。
搬送部11は、LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15と搬送部11との間で基板Sを搬入及び搬出するとき、搬送室11Aの内部圧力を所定の搬送圧力に調整して基板Sの搬送処理を可能にする。
搬送室11Aの内部には、搬送ステージ22と、搬送ステージ22に固設される隔壁としての遮蔽板23と、搬送ステージ22に着脱可能に搭載される4つのボート24とが配設されている。また、搬送室11Aの内部には、中心軸線Aの近傍に図示しないパージ機構としてのパージポートが配設され、また、上面11sの近傍には、冷却機構としての図示しない一対の冷却ポートが配設されている。
搬送室11Aの低部には、図5の破線で示す回動モータMR、図示しない昇降モータ、及び図示しないボートモータが固設されている。回動モータMRは、中心軸線A上に配設されて、中心軸線Aに沿って延びる駆動軸を有する。ボートモータは、それぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pの直下に配設されている。
搬送ステージ22は、回動モータMRの駆動軸に連結され、回動モータMRの駆動力を受けることにより中心軸線Aを中心にして回動する。搬送ステージ22は、昇降モータの駆動軸に連結され、昇降モータの駆動力を受けることにより鉛直方向に昇降する。
搬送ステージ22の上面(以下単に、搭載面22sという。)には、鉛直方向から見て十字状に形成される遮蔽板23が形成されている。搭載面22sと、搬送室11Aの内側面と、遮蔽板23とによって囲まれる空間を、それぞれボート空間BSという。本実施形態の遮蔽板23は、搬送室11Aの内部空間に、4つのボート空間BSを形成する。
搬送ステージ22は、中心軸線Aを中心にして回動するとき、4つのボート空間BSを、それぞれ搬送ステージ22(仮想円C)の周方向に沿って回動する。これにより、搬送ステージ22は、各ボート空間BSを、それぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pの直下に順に搬送する。
4つのボート24は、それぞれ各ボート空間BSの搭載面22sに配置される。4つのボート24は、それぞれ搬送ステージ22が回動するとき、4つのボート空間BSととも
に搬送ステージ22の周方向に沿って回動して、LL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pの直下に順に移動する。
4つのボート24は、それぞれ鉛直方向に延びる支持棒24aを有し、支持棒24aには、水平方向に延びる複数のガイド溝が所定間隔を空けて鉛直方向に沿って配列されている。4つのボート24は、それぞれ複数の基板Sを各スロットに装填するとき、各基板Sの主面を水平に配置して、隣接する基板Sを鉛直方向に所定間隔だけ離間させる。4つのボート24は、それぞれ複数の基板Sを各スロットに装填するとき、各基板Sの中心を仮想円Cの直下に配置する。本実施形態においては、1つのボート24に装填される一群の基板Sを、基板群という。
4つのボート24は、搬送ステージ22が回動するとき、それぞれ基板群の中心を仮想円Cに沿って回動して、該基板群の中心を、LL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pの直下に順に搬送する。また、4つのボート24は、搬送ステージ22が回動するとき、4つの基板群の各中心を、それぞれ同じタイミングの下で、LL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pの直下に配置する。
4つの基板群の各中心がそれぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pの直下に位置するとき、搬送ステージ22は、昇降モータの駆動力を受けて、4つのボート24を鉛直方向に昇降する。これにより、搬送ステージ22は、4つのボート24をそれぞれLL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15の内部に同じタイミングで搬入及び搬出し、4つの基板群をそれぞれLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、及び冷却室15Aの内部に搬入及び搬出する。この際、最上位置にある搬送ステージ22は、LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15の各底部にボート24の各底部を押し当て、搬送部11とLL部12との間、搬送部11とエッチング部13との間、搬送部11と加熱部14との間、及び搬送部11と冷却部15との間を遮断する。
4つの基板群の各中心がそれぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pの直下に位置するとき、4つのボート24は、それぞれボートモータの駆動軸に連結される。4つのボート24は、それぞれボートモータの駆動力を受けることにより、基板Sの中心を中心点にして基板群を回転する。これにより、4つのボート24は、それぞれLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、及び冷却室15Aの内部で、各基板群の環境を基板Sの周方向にわたり均一にする。
基板処理装置10は、4つの基板群をそれぞれLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、及び冷却室15Aの内部に搬入するとき、LL部12を駆動して基板Sの移載処理を実行する。また、基板処理装置10は、エッチング部13を駆動して基板Sのエッチング処理を実行し、同時に、加熱部14を駆動して基板Sの加熱処理を実行し、さらに、冷却部15を駆動して基板Sの冷却処理を実行する。すなわち、基板処理装置10は、4つの基板群をそれぞれ同じタイミングでLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、及び冷却室15Aの内部に搬入し、LL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、及び冷却室15Aを同じタイミングで駆動して、基板Sの各処理工程を各基板群の間で並行に処理する。
図示しない4つのパージポートは、各ボート空間BSにおける中心軸線Aの近傍に配置され、それぞれ中心軸線Aの近傍から各ボート24に向けてパージガスを供給する。また、図示しない冷却ポートは、搬送室11Aの上側に固設されるガスポートであって、搬送ステージ22が回動するとき、下方に向けて冷却ガス(例えば、窒素)を供給し、加熱位
置14Pの直下を通過した遮蔽板23に向けて冷却ガスを噴きつける。これにより、冷却ポートは、加熱処理後の基板群によって加熱される遮蔽板23を冷却ガスにより冷却する。
(基板処理方法)
次に、上記基板処理装置10を用いる基板処理方法について以下に説明する。なお、本実施形態においては、基板処理の一例として、基板Sに形成された自然酸化膜(シリコン酸化膜)を除去するための表面処理について説明する。図6は、表面処理の各工程を示すフローチャートであり、図7は、それぞれ各ボート24に装填される基板群の各処理工程に関わるタイムチャートである。
図6において、基板処理装置10は、まず、複数の基板SをFOUPオープナ16からLL部12(ボート24)に装填するための装填工程を実行する(ステップS1)。すなわち、基板処理装置10は、搬送ステージ22を回動して、4つのボート24をそれぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pに配置する。次いで、基板処理装置10は、搬送ステージ22を上動して、4つのボート24をそれぞれLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、冷却室15Aに搬入する。そして、基板処理装置10は、ゲートバルブ12Bを開けてLL部12を開放し、LL室12Aの内部にあるボート24(第1ボート)に対して基板群を装填する。
本実施形態においては、第1ボートがLL室12Aにあるときに、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pにあるボートを、それぞれ第2ボート、第3ボート、第4ボートという。
基板処理装置10は、装填工程を終了すると、LL室12Aにあるボート24をエッチング室13Aに搬送するための第1搬送工程を実行する(ステップS2)。すなわち、基板処理装置10は、搬送ステージ22を下動して回動し、第1ボートがエッチング位置13Pに位置するように、4つのボート24をそれぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pに配置する。次いで、基板処理装置10は、搬送ステージ22を上動して、4つのボートをそれぞれLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、冷却室15Aに搬入する。本実施形態では、この第1搬送工程に要する時間を、搬送時間Tr(図7参照)という。
基板処理装置10は、第1搬送工程を終了すると、基板群に対してエッチングを施すためのエッチング工程を実行する(ステップS3)。すなわち、基板処理装置10は、反応ガス供給系からの反応ガスを第1ボートの基板群に供給して各基板Sの表面に反応ガスを吸着させる。基板処理装置10は、所定の吸着時間の間、ボートモータを駆動して基板群を回転させることより、各基板Sの表面の全体にわたり均一に反応ガスを吸着させる。
所定の吸着時間が経過すると、基板処理装置10は、ラジカル供給系及びマイクロ波源を駆動し、ラジカル状態のガスを第1ボートの基板群に供給する。ラジカル状態のガスは、基板Sの表面に吸着している反応ガスと反応することにより中間生成物を生成し、基板Sの表面上の中間生成物は、自然酸化膜と反応して反応生成物を生成する。基板処理装置10は、所定の反応時間の間、ボートモータを駆動して基板群を回転させることにより、各基板Sの表面の全体にわたり均一にエッチング反応を進行させる。
所定の反応時間が経過すると、基板処理装置10は、ラジカル供給系及びマイクロ波源を停止し、反応ガス及びラジカル状態のガスの導入を停止する。基板処理装置10は、各ガスの導入を停止した状態で真空排気を続けることにより、エッチング室13Aの内部から反応ガス、ラジカル状態のガス、反応生成物等を排気する。
このエッチング工程に要する工程時間は、各種の試験等に基づいて設定される時間であって、本実施形態においては、プロセス時間Tp(図7参照)という。プロセス時間Tpとは、表面処理を構成する各処理工程(エッチング工程、加熱工程、冷却工程等)の工程時間の中で最も長いものである。例えば、表面処理を構成する各処理工程の工程時間の中で、エッチング工程の工程時間が最も長い場合には、プロセス時間Tpとしてエッチング工程の工程時間が選択される。
基板処理装置10は、エッチング工程を終了すると、エッチング室13Aにあるボート24を加熱室14Aに搬送するための第2搬送工程を実行する(ステップS4)。すなわち、基板処理装置10は、搬送ステージ22を下動して回動し、第1ボートが加熱位置14Pに位置するように、4つのボート24をそれぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pに配置する。次いで、基板処理装置10は、搬送ステージ22を上動して、4つのボートをそれぞれLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、冷却室15Aに搬入する。この第2搬送工程では、第1搬送工程と同じく、搬送時間Trを要する。
この際、基板Sの周辺に残留する反応ガスやラジカル生成ガスは、基板群の下動とともに、搬送室11Aの内部に侵入する。搬送室11Aの内部に侵入する反応ガスやラジカル生成ガスは、パージポートと排気ポート21aとが形成する気体の流れに従って円滑に排気される。これにより、LL位置12Pの近傍は、反応ガスやラジカル生成ガスによる汚染を回避することができる。
基板処理装置10は、第2搬送工程を終了すると、基板群を加熱するための加熱工程を実行する(ステップS5)。すなわち、基板処理装置10は、図示しないヒータを駆動し、加熱室14Aにある基板群を所定の加熱温度(例えば、130℃)に昇温する。加熱温度の基板表面では、エッチング工程で生成される反応生成物が熱分解されて、基板表面から珪フッ化アンモニウム((NH4)2SiF6 )ガスとして放出される。
基板Sの表面から放出される熱分解ガスは、スロット間の間隔が狭いために、各基板Sの間の空間に停滞したり、基板Sの表面に再吸着したりする。基板処理装置10は、加熱工程の間に、エッチング室13Aの内部にパージガスを導入して、各基板Sの表面の全体にわたりパージガスを噴きつける。各基板Sの周辺に残留する反応生成物と熱分解ガスは、パージガスによって押し流されてパージガスと共に排気される。基板処理装置10は、パージガスを導入する間、ボートモータを駆動することにより、基板表面におけるパージ効果を均一にさせる。
この加熱工程に要する工程時間は、上記エッチング工程と同じく、プロセス時間Tpに設定される。例えば、表面処理を構成する各処理工程の工程時間の中で、エッチング工程の工程時間が最も長い場合には、プロセス時間Tpとしてエッチング工程の工程時間が選択され、加熱工程では、エッチング工程の工程時間に応じた加熱時間や加熱速度が設定される。
基板処理装置10は、加熱工程を終了すると、加熱室14Aにある第1ボートを冷却室15Aに搬送するための第3搬送工程を実行する(ステップS6)。すなわち、基板処理装置10は、搬送ステージ22を下動して回動し、第1ボートが冷却位置15Pに位置するように、4つのボート24をそれぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pに配置する。次いで、基板処理装置10は、搬送ステージ22を上動して、4つのボートをそれぞれLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、冷却室15Aに搬入する。この第3搬送工程では、各搬送工程と同じく、搬送時間Tr
を要する。
この際、基板Sの周辺に残留し続ける反応生成物や熱分解ガスは、基板群の下動とともに、搬送室11Aの内部に侵入する。搬送室11Aの内部に侵入する反応生成物や熱分解ガスは、パージポートと排気ポート21aとが形成する気体の流れに従って円滑に排気される。これにより、LL位置12Pの近傍は、反応生成物や熱分解ガスによる汚染を回避することができる。
基板処理装置10は、第3搬送工程を終了すると、基板群を冷却するための冷却工程を実行する(ステップS7)。すなわち、基板処理装置10は、冷却水供給系と冷却ガス供給系とを駆動し、冷却室15Aにある基板群を所定の温度(例えば、25℃)に降温する。基板処理装置10は、冷却ガスを導入する間、ボートモータを駆動することにより、基板面内における冷却速度を均一にさせる。
この冷却工程に要する工程時間は、上記エッチング工程と同じく、プロセス時間Tpに設定される。例えば、表面処理を構成する各処理工程の工程時間の中で、エッチング工程の工程時間が最も長い場合には、プロセス時間Tpとしてエッチング工程の工程時間が選択され、冷却工程では、エッチング工程の工程時間に応じた冷却時間や冷却速度が設定される。
基板処理装置10は、冷却工程を終了すると、冷却室15Aにある第1ボートをLL室12Aに搬送するための第4搬送工程を実行する(ステップS8)。すなわち、基板処理装置10は、搬送ステージ22を下動して回動し、第1ボートがLL位置12Pに位置するように、4つのボート24をそれぞれLL位置12P、エッチング位置13P、加熱位置14P、冷却位置15Pに配置する。次いで、基板処理装置10は、搬送ステージ22を上動して、4つのボートをそれぞれLL室12A、エッチング室13A、加熱室14A、冷却室15Aに搬入する。この第4搬送工程では、各搬送工程と同じく、搬送時間Trを要する。
基板処理装置10は、第4搬送工程を終了すると、LL室12Aの基板群をFOUPオープナ16に移載するための移載工程を実行する(ステップS9)。すなわち、基板処理装置10は、ゲートバルブ12Bを開けてLL部12を開放することにより、LL室12Aにある基板群をFOUPオープナ16に移載する。この際、基板処理装置10は、パージガス供給系からのパージガスをLL室12Aの内部に導入し続ける。パージガスと接触する基板Sの表面、基板Sの裏面、LL室12Aの内壁等の各部は、反応生成物や熱分解ガス等の残留を確実に抑えて、表面処理後の基板群の汚染を確実に回避させる。
上記装填工程及び移載工程に要する工程時間は、上記エッチング工程、加熱工程、冷却工程と同じく、プロセス時間Tpに設定される。例えば、表面処理を構成する各処理工程の工程時間の中で、エッチング工程の工程時間が最も長い場合には、プロセス時間Tpとしてエッチング工程の工程時間が設定され、装填及び移載工程では、エッチング工程の工程時間に応じた装填時間や装填速度、又は移載時間や移載速度が設定される。本実施形態においては、上記表面処理(ステップS1〜ステップS9)に要する時間を、処理周期Tという。
図7において、基板処理装置10は、第1ボートの基板群に対してエッチング工程(ステップS3)を実施するとき、LL室12Aにある第2ポートに対して装填工程(ステップS1)を実施して、第2ポートの基板群に対する表面処理を開始する。
また、基板処理装置10は、第1ボートの基板群に対して加熱工程(ステップS5)を
実施するとき、LL室12Aにある第3ポートに対して装填工程を実施して、第3ポートの基板群に対する表面処理を開始する。また、基板処理装置10は、第1ボートの基板群に対して冷却工程(ステップS7)を実施するとき、LL室12Aにある第4ポートに対して装填工程を実施して、第4ポートの基板群に対する表面処理を開始する。
装填工程と移載工程の積算時間、エッチング工程の工程時間、加熱工程の工程時間、及び冷却工程の工程時間は、それぞれ共通するプロセス時間Tpに設定される。そのため、第1ポート〜第4ポートの基板群は、それぞれ待機時間を要することなく、後続する搬送工程を同期させることができる。よって、基板処理装置10は、装填工程、エッチング工程、加熱工程、冷却工程、及び移載工程を、それぞれ異なるボート24間で並列に処理することができる。
また、基板処理装置10は、装填工程、エッチング工程、加熱工程、冷却工程、及び移載工程を仮想円Cの上で実行し、かつ、装填工程と移載工程の積算時間をプロセス時間Tpにする。そのため、基板処理装置10は、1つのボート24の移載工程を終了するとき、他のボート24が他の処理工程の途中であるため、該1つのボート24に関わる装填工程を引き続き実行することができる。
すなわち、図7に示すように、1つのボート24、例えば第1ボートにおいては、第1周期の移載工程(ステップS9)と、第2周期の装填工程(ステップS1)とが、同じタイミングで実行される。そして、一つのボートに対する第n周期(nは1以上の整数)の移載工程と、第n+1周期の装填工程とが、同じタイミングで実行される。そのため、基板処理装置10は、一つのボート24によって処理する異なる基板群の間において、移載処理と装填処理とを並列に処理することができる。
上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)上記実施形態において、基板処理装置10は、4つのボート24を搬送ステージ22の周方向に沿って等配し、各ボート24の上方に、LL室12A、エッチング室13A、及び冷却室15Aを有する。そして、基板処理装置10は、搬送ステージ22の上動と回動とを繰り返すことにより、全てのボート24にある基板群を同じタイミングで直上の処理室に搬入及び搬出し、かつ、各ボート24にある基板群をそれぞれLL室12A、エッチング室13A、冷却室15Aの順に搬送する。
したがって、基板処理装置10は、第1ポートの基板群が一つの処理室に搬入されるとき、第2ボート、第3ボート、第4ボートの基板群がそれぞれ他の異なる処理室に搬送される。よって、基板処理装置10は、先行する第1ボートの基板群を移載及び装填するタイミングで、後続する第2ボートの基板群を冷却することができ、また、第3ボートの基板群に加表面処理を施すことができ、第4ボートの基板群をエッチングすることができる。この結果、基板処理装置10は、表面処理の各処理工程、すなわち基板群の移載及び装填工程、エッチング工程と、加熱工程と、及び冷却工程を、それぞれ異なるボート24の間で並列に処理することができる。そのため、基板処理装置は、基板群の移載に要する時間や装填に要する時間を、エッチング時間、加熱時間、冷却時間により相殺することができ、基板処理のスループットを向上することができる。
(2)また、基板処理装置10は、加熱室14Aの後段に冷却室15Aを配設し、加熱処理の後に連続する冷却処理を、加熱処理と並行して冷却室15Aで単独に実行する。そのため、基板処理装置10は、基板Sの加熱温度や加熱速度の変更に関わらず、加熱条件に応じた冷却を、スループットを損なうことなく実行できる。
(3)上記実施形態において、基板処理装置10は、各処理室を処理工程の順序に従っ
て仮想円C上に配列する。したがって、基板処理装置10は、搬送ステージ22を1回回転するだけで、一つの基板群に対する全ての処理工程を実行することができる。また、LL室12Aにあるボート24に対して、先行する基板群への最終工程、すなわち移載処理と、後続する基板群への最初の工程、すなわち装填工程とを、同じタイミングで実行することができる。よって、基板処理装置10は、一つのボート24を用いて処理する異なる基板群の間において、移載処理と装填処理とを並列に処理することができる。そのため、基板処理装置10は、基板処理のスループットを、さらに向上することができる。
(4)上記実施形態において、基板処理装置10は、搬送ステージ22に遮蔽板23を設け、搬送室11Aの内部空間を、ボート24ごとのボート空間BSに区画する。したがって、基板処理装置10では、ボート空間BSの間のクロストーク、すなわち基板群間のクロストークが遮蔽板23によって抑制される。よって、基板処理装置10は、基板群間のクロストークを抑制する分だけ、クロストークによる汚染を解消するためのパージ時間を短縮することができる。そのため、基板処理装置10は、表面処理のスループットを、さらに向上することができる。
(5)上記実施形態において、基板処理装置10は、搬送室11Aに排気ポート21aを設け、LL位置12Pからエッチング位置13Pに向かう気体の流れと、LL位置12Pから加熱位置14Pに向かう気体の流れとを、それぞれ搬送室11Aの内部に形成する。したがって、基板処理装置10は、エッチング室13A又は加熱室14Aから流出する気体が、LL室から遠ざかる方向に向けて排気される。よって、基板処理装置10は、表面処理後の基板群、及び表面処理前の基板群に対して、表面処理に伴う気体の汚染を抑制することができる。そのため、基板処理装置10は、表面処理後の基板群を洗浄するためのパージ時間や表面処理前の基板群を洗浄するためのパージ時間を短縮することができ、ひいてはスループットを、さらに向上することができる。
(6)上記実施形態において、基板処理装置10は、ボート空間BSごとのパージポートを搬送ステージ22に設け、搬送ステージ22のパージガスの流れをボート空間BSごとに形成する。したがって、基板処理装置は、エッチング室13A又は加熱室14Aから流出する気体が、LL室12Aから遠ざかる方向に向けて排気される。よって、基板処理装置10は、表面処理後の基板群、及び表面処理前の基板群に対して、表面処理に伴う基板の汚染を、さらに抑制することができる。
(7)上記実施形態において、基板処理装置10は、加熱室14Aの回動方向に冷却ポートを設けて遮蔽板23に冷却ガスを噴きつける。したがって、基板処理装置10は、加熱された基板群の放熱による遮蔽板23の変形や変質を抑制することができ、ボート空間BS間のクロストークを、より確実に抑制することができる。この結果、基板処理装置10は、スループットを、より確実に向上することができる。
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態において、基板処理装置10は、加熱した基板Sを冷却室15Aで冷却する。これに限らず、例えば、基板処理装置10は、加熱した基板Sを搬送室11AやLL室12Aで冷却し、冷却室15Aを搭載しない構成であっても良い。すなわち、本発明は、少なくともLL部12、エッチング部13、及び加熱部14が搬送部11に搭載される構成であれば良く、その他の処理室の数量に限定されるものではない。
・上記実施形態において、LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15は、それぞれ独立した排気系を有するが、これに限らず、所望の排気系を共通にする、あるいは搬送部11の排気系と共通にする構成であっても良い。すなわち、本発明は、各処理室の排気系の構成に限定されるものではない。
・上記実施形態において、基板処理装置10は、LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15を仮想円C上に配置して、4つのボート24を該仮想円Cに沿って回動する。これに限らず、基板処理装置10は、LL部12、エッチング部13、加熱部14、及び冷却部15を直線上に配置して、複数のボート24を該直線に沿って往復動する構成であっても良い。
・上記実施形態において、基板処理装置10は、基板Sの表面処理として自然酸化膜の除去処理を実行する。これに限らず、基板処理装置10は、基板Sの表面処理として各種の成膜処理を実行する構成であっても良い。すなわち、本発明の基板処理装置は、基板Sの表面処理として、基板Sを反応ガスに曝す工程と、基板Sを加熱する工程とを有する構成であれば良い。
基板処理装置を示す斜視図。 基板処理装置を示す平面図。 基板処理装置を示す側面図。 搬送室の内部を示す斜視図。 搬送室の内部を示す平面図。 表面処理方法の各工程を示すフローチャート。 表面処理方法の各工程を示すタイムチャート。
符号の説明
10…基板処理装置、11…搬送部、11A…処理室を構成する搬送室、12…LL部、12A…処理室を構成する装填室としてのLL室、13…エッチング部、13A…処理室を構成する反応室としてのエッチング室、14…加熱部、14A…処理室を構成する加熱室、15…冷却部、15A…処理室を構成する冷却室、22…搬送ステージ、23…隔壁としての遮蔽板、24…ボート、25…パージ機構としてのパージポート、26…冷却機構としての冷却ポート。

Claims (8)

  1. 複数の基板からなる基板群に表面処理を施す基板処理装置であって、
    所定間隔で配列した複数のボートと、
    前記各ボートの一方向に配置されて相互に並行に処理を進める複数の処理室と、
    相互に異なる処理室に対し相互に異なるボートを同じタイミングで搬入及び搬出する搬送部とを有し、
    前記複数の処理室は、
    ートに基板群を装填する装填室と、
    ートにある基板群を反応ガスに曝す反応室と、
    ートにある基板群を加熱する加熱室と、を備える
    ことを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記複数の処理室は、ボートにある基板群を冷却する冷却室をさらに備える
    ことを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項2に記載の基板処理装置であって、
    前記複数の処理室は、1つの方向である回動方向に沿って並ぶ4つの処理室であり、
    前記複数のボートは、前記回動方向に沿って並ぶ4つのボートであり、
    前記搬送部は、
    前記4つのボートを一つの面に搭載し前記回動方向に沿って回動するステージを有し、
    前記面の法線方向への前記ステージの搬送と前記ステージの回動とが交互に繰り返されることにより、相互に異なる処理室に対し相互に異なるボートを同じタイミングで搬入及び搬出する
    ことを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項3記載の基板処理装置であって、
    前記複数の処理室の各々と連結して前記ステージを収容する搬送室と、
    前記ステージに設けられて前記搬送室の内部空間を前記ボートごとに区画して前記ステージとともに回動する隔壁と、を有する
    ことを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項4に記載の基板処理装置であって、
    前記搬送室は、
    前記装填室よりも前記反応室に近い位置であって、かつ、前記装填室よりも前記加熱室に近い位置に、前記内部空間を排気する排気系を有することを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項5に記載の基板処理装置であって、
    前記搬送室は、
    前記隔壁により区画される空間をそれぞれパージするパージ機構を有することを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項4〜6のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
    前記搬送室は、
    前記加熱室の前記回動方向に設けられて前記隔壁に気体を噴きつけて前記隔壁を冷却する冷却機構を有することを特徴とする基板処理装置。
  8. 複数のボートの各々に複数の基板からなる基板群を装填して前記各基板群に表面処理を施す基板処理方法であって、
    ートを装填室に搬入して前記装填室でボートに基板群を装填する工程と、
    ートを反応室に搬入して前記反応室で基板群を反応ガスに曝す工程と、
    ートを加熱室に搬入して前記加熱室で基板群を加熱する工程と、
    ートを冷却室に搬入して前記冷却室で基板群を冷却する工程とを有し
    前記各工程は、相互に並行に進められ、
    相互に異なる処理室に対し相互に異なるボートが同じタイミングで搬入及び搬出される
    ことを特徴とする基板処理方法。
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