JP5084089B2 - 医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、医薬組成物に関する。
【0001】
【従来の技術】
薬理活性物質の吸収促進を向上させる目的で、薬理活性物質を含有する医薬に薬物吸収促進剤を配合することが、通常行われている(例えば、Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst., S.Muranishi, 7, p1-33(1990) 等参照)。
【0002】
しかしながら、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬は、小腸、大腸、直腸等の腸管粘膜に損傷を与えるという副作用を有している(例えば、Pharm. Res., E.S.Swenson, W.B.Milisen, W.Curatolo, 11(8), p1132-1142(1994) 等参照)。この副作用は、薬物吸収促進剤による。
【0003】
上記副作用の発現を抑制するために、薬物吸収促進剤の配合量を少なくする必要がある。しかし、薬物吸収促進剤の配合量を少なくすると、薬理活性物質の吸収促進効果が低下するという不都合が生ずる。
【0004】
このような問題点を改善するために、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物にアルギニン等のアミノ酸を配合する試みがなされている(Biol. Pharm. Bull., Y.Kinouchi, N.Yata, 19(3), p375-378(1996) 参照)。
【0005】
しかしながら、アミノ酸を配合することにより、腸管粘膜の損傷がある程度抑制できるものの、その効果は不十分である。そして、腸管粘膜の損傷をより一層抑制できる医薬組成物の開発が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、腸管粘膜に殆ど損傷を与えない医薬組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物にタウリン化合物を配合することにより、本発明の上記課題を達成できることを見い出した。即ち、本発明者は、タウリン化合物が、薬物吸収促進剤の副作用による腸管粘膜の損傷を抑制又は防止できる作用を有していることを見い出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
1.本発明は、薬理活性物質、薬物吸収促進剤及びタウリン化合物を含有する医薬組成物を提供する。
2.本発明は、薬理活性物質が、テオフィリン、シロスタゾール、グレパフロキサシン、カルテオロール、プロカテロール、レバミピド、アリピプラゾール、5−フルオロウラシル、ジクロフェナック、シクロスポリン、ニフェジピン、フェノールレッド、トルパブタン、インターフェロンα、インターフェロンβ、ベスナリノン、ナジフロキサシン、トボノン、プラニジピン、セファゾリン、ブプレノルフィン、プロブコール、γ−オリザノール、1−[3−[4−(3−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]プロピル]−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン モノメタンスルホネート、4−(N−メチル−2−フェニルエチルアミノ)−1−(3,5−ジメチル−4−プロピオニルアミノベンゾイル)ピペリジン ハイドロクロライド モノハイドレート、(±)−5−ジメチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン ハイドロクロライド、6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸、メバロチン、ロキソニン、プロブレス、ベイスン、タケプロン、パンスポリン、セルタ、カルスロットノルバスク、リピトール、カルデナリン、バイアグラ、クラビット、バナルジン、ガスター、ハルナール、ペルジピン、セルベックス、グラケー、アリセプト、リポバス、ニューロタン、レニベース、フロモックス、フルマリン、ケフラー、サジテン、ラシミール、エポジン、セフゾン、インタール及びニバジールからなる群より選ばれた少なくとも1種である上記1に記載の医薬組成物を提供する。
3.本発明は、薬物吸収促進剤が、胆汁酸のアルカリ金属塩及びC6-20脂肪酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれた少なくとも1種である上記1に記載の医薬組成物を提供する。
4.本発明は、薬物吸収促進剤が、胆汁酸のアルカリ金属塩及びC6-13脂肪酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれた少なくとも1種である上記3に記載の医薬組成物を提供する。
5.本発明は、薬物吸収促進剤が、タウロコール酸のアルカリ金属塩及びラウリン酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれた少なくとも1種である上記4に記載の医薬組成物を提供する。
6.本発明は、タウリン化合物がタウリンである上記1に記載の医薬組成物を提供する。
7.本発明は、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物と併用される腸管粘膜保護剤であって、タウリン化合物を含有することを特徴とする腸管粘膜保護剤を提供する。
8.本発明は、タウリン化合物がタウリンである上記7に記載の腸管粘膜保護剤を提供する。
9.本発明は、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物にタウリン化合物を配合して、薬物吸収促進剤による腸管粘膜の損傷を抑制又は防止する方法を提供する。
10.本発明は、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物とタウリン化合物を含有する腸管粘膜保護剤とを併用して、薬物吸収促進剤による腸管粘膜の損傷を抑制又は防止する方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書において、薬物吸収促進剤とは、薬理活性物質の吸収を促進する化合物である。
【0009】
タウリン化合物含有医薬組成物
タウリン化合物を含有する医薬組成物について、以下に説明する。
【0010】
本発明の医薬組成物は、薬理活性物質、薬物吸収促進剤及びタウリン化合物を含有する。
【0011】
薬理活性物質としては、腸管粘膜から吸収される薬理活性物質である限り特に限定がなく、公知のものを広く使用できる。このような薬理活性物質としては、例えば、呼吸器官用製剤、消化器官用製剤、循環器官用製剤、中枢神経用製剤、末梢神経用製剤、抗生物質製剤、化学療法剤、抗腫瘍剤、血小板凝集抑制剤、抗アレルギー剤、ビタミン剤、診断薬等の各種製剤に配合される通常の薬理活性物質を挙げることができる。
【0012】
このような薬理活性物質の具体例としては、例えば、テオフィリン、シロスタゾール、グレパフロキサシン、カルテオロール、プロカテロール、レバミピド、アリピプラゾール、5−フルオロウラシル、ジクロフェナック、シクロスポリン、ニフェジピン、フェノールレッド、トルパブタン、インターフェロンα、インターフェロンβ、ベスナリノン、ナジフロキサシン、トボノン、プラニジピン、セファゾリン、ブプレノルフィン、プロブコール、γ−オリザノール、1−[3−[4−(3−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]プロピル]−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン モノメタンスルホネート、4−(N−メチル−2−フェニルエチルアミノ)−1−(3,5−ジメチル−4−プロピオニルアミノベンゾイル)ピペリジン ハイドロクロライド モノハイドレート、(±)−5−ジメチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン ハイドロクロライド、6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸、メバロチン、ロキソニン、プロブレス、ベイスン、タケプロン、パンスポリン、セルタ、カルスロットノルバスク、リピトール、カルデナリン、バイアグラ、クラビット、バナルジン、ガスター、ハルナール、ペルジピン、セルベックス、グラケー、アリセプト、リポバス、ニューロタン、レニベース、フロモックス、フルマリン、ケフラー、サジテン、ラシミール、エポジン、セフゾン、インタール、ニバジール等が挙げられる。
【0013】
好ましい薬理活性物質は、例えば、テオフィリン、シロスタゾール、グレパフロキサシン、カルテオロール、プロカテロール、レバミピド、アリピプラゾール、5−フルオロウラシル、ジクロフェナック、シクロスポリン、ニフェジピン、フェノールレッド、トルパブタン、インターフェロンα、インターフェロンβ、ベスナリノン、ナジフロキサシン、トボノン、プラニジピン、セファゾリン、ブプレノルフィン、プロブコール、γ−オリザノール、1−[3−[4−(3−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]プロピル]−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン モノメタンスルホネート、4−(N−メチル−2−フェニルエチルアミノ)−1−(3,5−ジメチル−4−プロピオニルアミノベンゾイル)ピペリジン ハイドロクロライド モノハイドレート、(±)−5−ジメチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン ハイドロクロライド、6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸等である。
【0014】
より好ましい薬理活性物質の具体例としては、例えば、テオフィリン、シロスタゾール、グレパフロキサシン、カルテオロール、プロカテロール、レバミピド、アリピプラゾール、5−フルオロウラシル、ジクロフェナック、シクロスポリン、ニフェジピン、フェノールレッド等が挙げられる。
【0015】
これら薬理活性物質は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0016】
薬物吸収促進剤としては、上記薬理活性物質の吸収を促進する化合物であって、特に限定がなく、公知のものを広く使用できる。薬物吸収促進剤としては、例えば、胆汁酸塩、中鎖脂肪酸塩、長鎖脂肪酸塩、界面活性剤、シクロデキストリン、アルキルサッカライド、キレート化剤、アルキルカルバメート、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0017】
胆汁酸塩としては、例えばコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸等の胆汁酸のアルカリ金属塩が挙げられ、具体的にはコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム等が包含される。
【0018】
中鎖脂肪酸塩としては、例えば炭素数6〜13の脂肪酸の塩(特にアルカリ金属塩)が挙げられ、具体的にはカプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸等のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)等が包含される。
【0019】
長鎖脂肪酸塩としては、例えば炭素数14〜20の脂肪酸の塩(特にアルカリ金属塩)等が挙げられ、具体的にはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)等が包含される。
【0020】
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリド、トリカプリン酸グリセリド、トリラウリン酸グリセリド、モノウンデシレン酸グリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル等の中鎖脂肪酸グリセリドの他、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が挙げられる。
【0021】
シクロデキストリンとしては、例えばジメチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン等が挙げられる。
【0022】
アルキルサッカライドとしては、例えばカルボキシフルオレセイン、ラウリルマルトシド等が挙げられる。
【0023】
キレート化剤としては、例えばEDTA等のポリアミノカルボン酸類、クエン酸等のオキシカルボン酸類、ジメチルグリオキシム等のオキシム類等が挙げられる。
【0024】
アルキルカルバメートとしては、例えば、C1−C4アルキルカーバメート、具体的には、メチルカルバメート、エチルカルバメート、ブチルカルバメート等が挙げられる。
【0025】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えばモノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0026】
好ましい薬物吸収促進剤は、例えば、胆汁酸塩、中鎖脂肪酸塩、長鎖脂肪酸塩等である。
【0027】
より好ましい薬物吸収促進剤は、例えば、胆汁酸塩、中鎖脂肪酸塩等である。
【0028】
これら薬物吸収促進剤は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0029】
本発明においては、上記薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する組成物において、タウリン化合物を配合することを必須とする。タウリン化合物は、腸管粘膜保護作用を有する。
【0030】
本発明において、タウリン化合物は、タウリンの他、タウリンのN−アシル化物(例えば、タウリンのN−C2-24アシル化物等)、N−アルキル化物(例えば、N−C2-24アルキル化物等)、タウリンの塩(例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等)等を包含する。
【0031】
好ましいタウリン化合物は、タウリン等である。
【0032】
これらタウリン化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0033】
タウリン化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、腸管粘膜保護効果、経済性等を考慮すると、薬物吸収促進剤1重量部に対して、通常0.001〜100重量部、好ましくは0.05〜100重量部、より好ましくは0.05〜50重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0034】
組成物中における薬理活性物質及び薬物吸収促進剤の含有量は、特に制限がなく、通常の含有量でよい。
【0035】
薬物吸収促進剤の含有量は、特に限定されるものではないが、薬物吸収改善効果等を考慮すると、薬理活性物質1重量部に対して、通常0.01〜1000重量部、好ましくは0.05〜100重量部、より好ましくは0.1〜50重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部とするのがよい。
【0036】
本発明の医薬組成物は、通常、上記薬理活性物質、薬物吸収促進剤及びタウリン化合物と共に、賦形剤、結合剤、崩壊剤等の各種担体と配合し、製剤とされる。
【0037】
賦形剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の各種の糖類、バレイショデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン等の各種デンプン類、結晶セルロース等の各種セルロース類、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の各種無機塩類等が挙げられる。
【0038】
結合剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、結晶セルロース、プルラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。
【0039】
崩壊剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0040】
本発明医薬組成物の製剤形態は、特に限定がなく、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の各種製剤形態を挙げることができる。タウリン化合物は、薬物吸収促進剤による腸管粘膜損傷を抑制又は防止する作用を有していることから、本発明の医薬製剤を、小腸、大腸、直腸等の腸管崩壊性製剤とするのがよい。
【0041】
タウリン化合物の投与量は、1日、体重1kg当たり、通常0.2〜1000mg、好ましくは0.2〜100mg、より好ましくは2〜50mgとするのがよい。
【0042】
本発明は、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物にタウリン化合物を配合して、薬物吸収促進剤による腸管粘膜の損傷を抑制又は防止する方法を提供する。
【0043】
タウリン化合物含有腸管粘膜保護剤
タウリン化合物は、前記のように腸管粘膜保護作用を有する。従って、本発明は、タウリン化合物を含有する腸管粘膜保護剤を提供する。
【0044】
本発明において、タウリン化合物は、タウリンの他、タウリンのN−アシル化物(例えば、タウリンのN−C2-24アシル化物等)、N−アルキル化物(例えば、N−C2-24アルキル化物等)、タウリンの塩(例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等)等を包含する。
【0045】
本発明の腸管粘膜保護剤中のタウリン化合物含有量は、特に限定されるものではなく、広い範囲内から適宜選択すればよい。
【0046】
これらタウリン化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0047】
タウリン化合物の含有量は、特に限定されるものではなく、広い範囲内から適宜選択される。例えば、タウリン化合物が、製剤中に、通常0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは1〜20重量%の割合で含まれているのがよい。
【0048】
腸管粘膜保護剤は、タウリン化合物と共に、前記薬物吸収促進剤を含んでいてもよい。腸管粘膜保護剤中の薬物吸収促進剤含有量を多くすると、それに応じて、腸管粘膜保護剤と併用される薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物中の薬物吸収促進剤含有量を少なくすればよい。
【0049】
本発明の腸管粘膜保護剤は、通常、タウリン化合物等と共に、賦形剤、結合剤、崩壊剤等の各種担体と配合し、製剤とされる。
【0050】
賦形剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の各種の糖類、バレイショデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン等の各種デンプン類、結晶セルロース等の各種セルロース類、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の各種無機塩類等が挙げられる。
【0051】
結合剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、結晶セルロース、プルラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。
【0052】
崩壊剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0053】
本発明腸管粘膜保護剤の製剤形態は、特に限定がなく、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の各種製剤形態を挙げることができる。タウリン化合物は、薬物吸収促進剤による腸管粘膜損傷を抑制又は防止する作用を有していることから、本発明の医薬製剤を、小腸、大腸、直腸等の腸管崩壊性製剤とするのがよい。
【0054】
本発明の腸管粘膜保護剤の使用に当たっては、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物と併用する。
【0055】
腸管粘膜保護剤と該医薬組成物とを併用するに当たっては、両者を同時に投与することができる。或いは、時間をあけて腸管粘膜保護剤、次に該医薬組成物の順序で、又は該医薬組成物、次に腸管粘膜保護剤の順序で投与することができる。
【0056】
タウリン化合物の投与量は、1日、体重1kg当たり、通常0.2〜1000mg、好ましくは0.2〜100mg、より好ましくは2〜50mgとするのがよい。
【0057】
本発明は、薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物とタウリン化合物を含有する腸管粘膜保護剤とを併用して、薬物吸収促進剤による腸管粘膜の損傷を抑制又は防止する方法を提供する。
【0058】
【発明の効果】
本発明のタウリン化合物を含有する医薬組成物は、薬物の吸収促進効果を維持したまま、腸管粘膜に殆ど損傷を与えない優れた性能を備えている。
【0059】
薬理活性物質及び薬物吸収促進剤を含有する医薬組成物とタウリン化合物を含有する腸管粘膜保護剤とを併用することにより、薬物吸収促進剤による腸管粘膜の損傷を抑制又は防止することができる。
【0060】
【実施例】
以下に製剤例及び試験例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。以下に示す製剤例は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
製剤例1
平均粒子径約2μmのシロスタゾールジェットミル粉砕原末800g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース800g、D−マンニトール224g及びラウリル硫酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)60g及びタウリン(東京化成工業社製)60gを混合し、精製水900gを添加しながら湿式造粒し、乾燥し、整粒した。次いでこの整粒物にステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)16gを添加混合し、直径6.5mmの杵臼を用い、1錠が98mgとなるように打錠して、シロスタゾールとして40mg/錠を含有する錠剤を得た。
【0062】
得られた錠剤を1カプセル当たり5個となるようにカプセルに充填して、シロスタゾールとして200mg/カプセルを含有するマルチプルユニット型カプセル剤を得た。
【0063】
製剤例2
ポリビニルアルコール3.3g、マンニトール10g、ラウリル硫酸ナトリウム2g及びタウリン(東京化成工業社製)3gを水106gに溶解した。この溶液に平均粒子径約3μmのシロスタゾールジェットミル粉砕原末20gを分散し、溶解した後、得られる溶液を噴霧乾燥して、シロスタゾール粉末製剤を得た。
【0064】
製剤例3(錠剤)
レバミピド20g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g、タウリン(東京化成工業社製)50g、コーンスターチ(日本食品化工社製)100g及び結晶セルロース(旭化成社製)100gを混合し、更にステアリン酸マグネシウム(太平化学社製)0.5gを添加した。この混合物を直径8.5mmの臼で打錠し、重量290.5mgの錠剤を得た。
【0065】
製剤例4(錠剤)
レバミピド20g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g、タウリン(東京化成工業社製)100g、コーンスターチ(日本食品化工社製)100g及び結晶セルロース(旭化成社製)100gを混合し、更にステアリン酸マグネシウム(太平化学社製)0.5gを添加した。この混合物を直径9.0mmの臼で打錠し、重量340.5mgの錠剤を得た。
【0066】
製剤例5(顆粒)
レバミピド20g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g、タウリン(東京化成工業社製)50g、コーンスターチ(日本食品化工社製)100g及び結晶セルロース(旭化成社製)100gを、ニーダー(岡田精工社製、商品名:NSK-150)に投入して混合後、水200gを加えて練合物を得た。この練合物を、0.8 mm穴のドームダイを装着した押し出し造粒機(不二パウダル社製、商品名:ドームグランDG-L1)を用いて押し出し造粒し、その後、造粒物を球形整粒機(不二パウダル社製、商品名:マルメライザーQJ-400)により球形に整粒した。得られた整粒物を乾燥し、顆粒を得た。
【0067】
製剤例6(顆粒)
製剤例5で得られた顆粒に、6%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、2%ポリエチレングリコール、1%タルク及び1%酸化チタンを含むコーティング液を噴霧して、コーティング顆粒を得た。
【0068】
製剤例7(液剤)
レバミピド20g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g、タウリン(東京化成工業社製)50g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製)100g、水100g及び2N−水酸化ナトリウム水溶液0.5mlの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して液剤を得た。
【0069】
製剤例8(液剤)
レバミピド20g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g、タウリン(東京化成工業社製)100g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製)100g、水100g及び2N−水酸化ナトリウム水溶液0.5mlの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して液剤を得た。
【0070】
製剤例9(坐剤)
レバミピド20g、ウィテップゾルW−35(SASOL Germany GmbH 社製)150g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g及びタウリン(東京化成工業社製)50gの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して、溶液を得た。この溶液を鋳型に流し込み、坐剤を得た。
【0071】
製剤例10(坐剤)
レバミピド20g、ウィテップゾルH−15(SASOL Germany GmbH 社製)150g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g及びタウリン(東京化成工業社製)50gの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して、溶液を得た。この溶液を鋳型に流し込み、坐剤を得た。
【0072】
製剤例11(坐剤)
レバミピド20g、ポリエチレングリコール1000(シグマ・アルドリッチ社製)150g、ポリエチレングリコール4000(シグマ・アルドリッチ社製)200g、水100g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g及びタウリン(東京化成工業社製)50gの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して、溶液を得た。この溶液を鋳型に流し込み、坐剤を得た。
【0073】
製剤例12(坐剤)
レバミピド20g、ポリエチレングリコール1000(シグマ・アルドリッチ社製)150g、ポリエチレングリコール8000(シグマ・アルドリッチ社製)200g、水100g、ラウリン酸ナトリウム(東京化成工業社製)20g及びタウリン(東京化成工業社製)50gの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して、溶液を得た。この溶液を鋳型に流し込み、坐剤を得た。
【0074】
製剤例13(錠剤)
タウリン(東京化成工業社製)50g、コーンスターチ(日本食品化工社製)100g及び結晶セルロース(旭化成社製)100gを混合し、更にステアリン酸マグネシウム(太平化学社製)0.5gを添加した。この混合物を直径8.5mmの臼で打錠し、重量250.5mgの錠剤を得た。
【0075】
製剤例14(顆粒)
タウリン(東京化成工業社製)50g、コーンスターチ(日本食品化工社製)100g及び結晶セルロース(旭化成社製)100gを、ニーダー(岡田精工社製、商品名:NSK-150)に投入して混合後、水200gを加えて練合物を得た。この練合物を、0.8 mm穴のドームダイを装着した押し出し造粒機(不二パウダル社製、商品名:ドームグランDG-L1)を用いて押し出し造粒し、その後、造粒物を球形整粒機(不二パウダル社製、商品名:マルメライザーQJ-400)により球形に整粒した。得られた整粒物を乾燥し、顆粒を得た。
【0076】
製剤例15(液剤)
タウリン(東京化成工業社製)50g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製)100g、水100g及び2N−水酸化ナトリウム水溶液0.5mlの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して液剤を得た。
【0077】
製剤例16(坐剤)
ウィテップゾルW−35(SASOL Germany GmbH 社製)150g及びタウリン(東京化成工業社製)50gの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して、溶液を得た。この溶液を鋳型に流し込み、坐剤を得た。
【0078】
製剤例17(坐剤)
ポリエチレングリコール1000(シグマ・アルドリッチ社製)150g、ポリエチレングリコール4000(シグマ・アルドリッチ社製)200g、水100g及びタウリン(東京化成工業社製)50gの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して、溶液を得た。この溶液を鋳型に流し込み、坐剤を得た。
【0079】
製剤例18(坐剤)
ポリエチレングリコール1000(シグマ・アルドリッチ社製)150g、ポリエチレングリコール8000(シグマ・アルドリッチ社製)200g、水100g及びタウリン(東京化成工業社製)50gの混合物を37℃に加温して均一になるまで混合して、溶液を得た。この溶液を鋳型に流し込み、坐剤を得た。
【0080】
試験例1
吸収に関するモデル化合物として、フェノールレッド(PR)を使用し、次の9種類の溶液を調製した。
溶液TA(コントロール1):
PRが250μMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPRを加えて、溶液TAを調製した。
溶液TB(コントロール2):
PRが250μM及びラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)が10mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPR及びラウリン酸ナトリウムを加えて、溶液TBを調製した。
溶液TC(比較例1):
PRが250μM、ラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)が10mM及びアルギニンが10mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPR、ラウリン酸ナトリウム及びアルギニンを加えて、溶液TCを調製した。
溶液TD(比較例2):
PRが250μM、ラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)が10mM及びロイシンが10mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPR、ラウリン酸ナトリウム及びロイシンを加えて、溶液TDを調製した。
溶液TE(比較例3):
PRが250μM、ラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)が10mM及びグリシンが10mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPR、ラウリン酸ナトリウム及びグリシンを加えて、溶液TEを調製した。
溶液TF(コントロール3):
PRが250μM及びタウロコール酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)が20mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPR及びタウロコール酸ナトリウムを加えて、溶液TFを調製した。
溶液TG(比較例4):
PRが250μM、タウロコール酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)が20mM及びアルギニンが20mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPR、タウロコール酸ナトリウム及びアルギニンを加えて、溶液TGを調製した。
溶液TH(実施例1):
PRが250μM、ラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)が10mM及びタウリンが10mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPR、ラウリン酸ナトリウム及びタウリンを加えて、溶液THを調製した。
溶液TI(実施例2):
PRが250μM、タウロコール酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)が20mM及びタウリンが20mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にPR、タウロコール酸ナトリウム及びタウリンを加えて、溶液TIを調製した。
【0081】
(1)薬物吸収促進剤としてラウリン酸ナトリウムを用いた試験
試験動物としてウィスター系雄性ラット(体重約250g)を用いた。ラットの大腸上部に10cmのループを作製し、そのループ内へ上記で調製した溶液TA〜TE又はTHを1ml投与した。投与から1.5時間後に、ループ内に残存している上記溶液を回収した。
【0082】
回収した溶液中のPRの残存量を求め、ラット大腸から吸収されたPRの吸収率(%)を求めた。
【0083】
また、ラット大腸の損傷目安となるリン脂質(PL)及び乳酸脱水素酵素(LDH)の量を、回収した溶液を用いて測定した。
【0084】
リン脂質(PL)及び乳酸脱水素酵素(LDH)が腸管粘膜障害の指標となることは、例えば、Pharm. Res., E.S.Swenson, W.B.Milisen, W.Curatolo, 11(8), p1132-1142(1994)、Pharm. Res., U. Werner, T.Kissel, and M.Reers, 13(8), p1219-1227(1996)、J. Control. Rel., S.Choksakulnimitr, S.Masuda, H.Tokuda, Y.Takakura, M.Hashida, 34, p233-241(1995)等に記載されている。
【0085】
結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
Figure 0005084089
【0087】
表1から、次のことがわかる。
【0088】
ラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)を含有する溶液TB(コントロール2)は、ラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)を含有しない溶液TA(コントロール1)に比し、PRの吸収率が向上しているが、PL溶出量及びLDH溶出量が著しく増加し、ラット大腸に損傷を与えた。
【0089】
ラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)と共にアミノ酸を含有する溶液TC〜TE(比較例1〜3)は、PL溶出量についてはある程度抑制しているが、LDH溶出量については抑制しておらず、ラットの大腸の損傷を軽減できなかった。
【0090】
ラウリン酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)と共にタウリンを含有する溶液TH(実施例1)は、PRの吸収率を低下させないで、PL溶出量及びLDH溶出量を大幅に抑制しており、ラットの大腸の損傷を大幅に抑制した。
【0091】
(2)薬物吸収促進剤としてタウロコール酸ナトリウムを用いた試験
試験動物としてウィスター系雄性ラット(体重約250g)を用いた。ラットの大腸上部に10cmのループを作製し、そのループ内へ上記で調製した溶液(溶液TA、溶液TF、溶液TG又は溶液TI)を1ml投与した。投与から1.5時間後に、ループ内に残存している上記溶液を回収した。
【0092】
回収した溶液中のPRの残存量を求め、ラット大腸から吸収されたPRの吸収率(%)を求めた。
【0093】
また、ラット大腸の損傷目安となるリン脂質(PL)及び乳酸脱水素酵素(LDH)の量を、回収した溶液を用いて測定した。
【0094】
結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
Figure 0005084089
【0096】
表2から、次のことがわかる。
【0097】
タウロコール酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)を含有する溶液TF(コントロール3)は、タウロコール酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)を含有しない溶液TA(コントロール1)に比し、PRの吸収率が向上しているが、PL溶出量及びLDH溶出量が著しく増加し、ラット大腸に損傷を与えた。
【0098】
タウロコール酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)と共にアミノ酸(アルギニン)を含有する溶液TG(比較例4)は、PRの吸収率を低下させないものの、PL溶出量及びLDH溶出量を殆ど抑制しておらず、ラットの大腸の損傷を軽減できなかった。
【0099】
タウロコール酸ナトリウム(薬物吸収促進剤)と共にタウリンを含有する溶液TI(実施例2)は、PRの吸収率を低下させないで、PL溶出量及びLDH溶出量を大幅に抑制しており、ラットの大腸損傷を大幅に抑制した。
【0100】
試験例2
吸収に関するモデル化合物として、レバミピド(商品名:ムコスタ、大塚製薬(株)製)を使用し、次の3種類の溶液を調製した。
溶液TJ(コントロール4):
レバミピドが2.0mg/ml及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5E、信越化学(株)製)が1重量%となるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にレバミピド及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを加え、溶液状態になるように2N−NaOHを滴下して、溶液TJを調製した。
溶液TK(コントロール5):
レバミピドが2.0mg/ml、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが1重量%及びラウリン酸ナトリウム(溶解補助剤)が3.6mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にレバミピド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びラウリン酸ナトリウムを加え、溶液状態になるように2N−NaOHを滴下して、溶液TKを調製した。
溶液TL(実施例3):
レバミピドが2.0mg/ml、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが1重量%、ラウリン酸ナトリウム(溶解補助剤)が3.6mM及びタウリンが20mMとなるように、トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)にレバミピド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラウリン酸ナトリウム及びタウリンを加え、溶液状態になるように2N−NaOHを滴下して、溶液TLを調製した。
【0101】
試験動物としてSD系雄性ラット(体重約250g)を用いた。ラットの大腸上部に5cmのループを作製し、そのループ内へ上記で調製した各種溶液(溶液TJ、溶液TK及び溶液TL)を2.5ml投与した。投与から90分後に、ループ内に残存している溶液を回収した。
【0102】
回収した溶液中の、ラット大腸から漏出(溶出)した蛋白質量(mg)を測定した。この蛋白質漏出量が大腸損傷の目安になる。
【0103】
結果は、次の通りであった。
【0104】
ラウリン酸ナトリウム(溶解補助剤)を含有する溶液TK(コントロール5)は、ラウリン酸ナトリウム(溶解補助剤)を含有しない溶液TJ(コントロール4)に比し、蛋白質漏出量が著しく増加し、ラットの大腸に損傷を与えた。
【0105】
ラウリン酸ナトリウム(溶解補助剤)と共にタウリンを含有する溶液TL(実施例3)は、ラウリン酸ナトリウム(溶解補助剤)のみを含有する溶液TK(コントロール5)に比し、蛋白質漏出量の増加を約1/4に抑制しており、ラットの大腸に殆ど損傷を与えなかった。

Claims (3)

  1. 薬理活性物質、薬物吸収促進剤及びタウリンを含有する医薬組成物であって、
    前記薬物吸収促進剤が、胆汁酸のアルカリ金属塩及びC 6-20 脂肪酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれた少なくとも1種である、
    医薬組成物
  2. 薬理活性物質が、テオフィリン、シロスタゾール、グレパフロキサシン、カルテオロール、プロカテロール、レバミピド、アリピプラゾール、5−フルオロウラシル、ジクロフェナック、シクロスポリン、ニフェジピン、フェノールレッド、トルパブタン、インターフェロンα、インターフェロンβ、ベスナリノン、ナジフロキサシン、トボノン、プラニジピン、セファゾリン、ブプレノルフィン、プロブコール、γ−オリザノール、1−[3−[4−(3−クロロフェニル)−1−ピペラジニル]プロピル]−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン モノメタンスルホネート、4−(N−メチル−2−フェニルエチルアミノ)−1−(3,5−ジメチル−4−プロピオニルアミノベンゾイル)ピペリジン ハイドロクロライド モノハイドレート、(±)−5−ジメチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン ハイドロクロライド、6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸、メバロチン、ロキソニン、プロブレス、ベイスン、タケプロン、パンスポリン、セルタ、カルスロットノルバスク、リピトール、カルデナリン、バイアグラ、クラビット、バナルジン、ガスター、ハルナール、ペルジピン、セルベックス、グラケー、アリセプト、リポバス、ニューロタン、レニベース、フロモックス、フルマリン、ケフラー、サジテン、ラシミール、エポジン、セフゾン、インタール及びニバジールからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 薬物吸収促進剤が、タウロコール酸のアルカリ金属塩及びラウリン酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項に記載の医薬組成物。
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