JP5082317B2 - ポリエステル樹脂分散物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂分散物の製造方法に関し、更には架橋ポリエステル樹脂分散物の製造方法に関する。
従来、重縮合法によるポリエステル樹脂の水分散体(乳化剤により安定化された分散体を含み、本発明において「エマルション」又は「乳化物」ともいう。)の製造方法においては、前もって塊状重合または溶液重合を行ったポリエステル樹脂を機械的シェアを用いて乳化する溶融乳化または有機溶剤を使用した転相乳化法などにより行われている。さらにこのエマルションを乾燥して得られる、ポリエステルフィルムやポリエステル微粒子が工業的に利用されている。この場合、最終製品の機械的強度や熱特性を制御する目的で、しばしば架橋剤による架橋構造の導入が行われるが、上記エマルション型の樹脂の場合、最初の塊状重合または溶液重合の段階で架橋構造を導入すると、樹脂の溶融性や溶解性を低下させ、その結果乳化、分散性を著しく損なうため安定なエマルションが得ることが困難となる課題を有している。そのため通常このような乳化樹脂又は分散樹脂に架橋構造を導入する場合においては、樹脂の乳化又は分散の工程後に、架橋剤を導入し、乾燥工程中に架橋を行う手法が一般に用いられいる。しかしながら、これらの架橋剤のエマルション中への添加においても、エマルションの安定性を損ない、しばしばその保存安定性(ポットライフ)や作業性に影響を及ぼし問題となっていた。
水系ポリエステル樹脂分散体の架橋構造導入例として、具体的には予め重合した不飽和ポリエステル樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液を水中に分散し、過酸化物を用いて架橋する手法(特許文献1参照)、ポリエステル乳化物中に多価アミンまたはイソシアネートを配合し乾燥架橋を行う手法(特許文献2参照)があるが、いずれもエマルション化後の架橋反応に伴うエマルションの不安定化問題を避けることはできない。
ポリエステル樹脂の特殊な例として、一塩基脂肪酸により変性されたポリエステルであるアルキド樹脂がある(高分子大辞典、平成6年、丸善刊参照)。
このアルキド樹脂は、溶剤ベースのコーティング材料として最も汎用的に利用されている。近年、その溶剤による大気汚染、労働安全、衛生上の問題から有機溶剤系塗料から水系塗料化への転換が求められている。この場合アルキド樹脂の水系化としては水溶解型、水分散または乳化型のアルキド樹脂が検討されている。しかし、水系化のためには多くの遊離カルボン酸や水酸基、スルフォン酸等の親水性成分の導入が必要であり塗膜の乾燥性、耐水性の観点で課題が多い。
一方、水分散または乳化型においては、高分子量のアルキド樹脂を水中に安定に乳化することは、通常高温、高圧での多大なエネルギーを伴う強力な機械的シェアを必要とし、その強力な機械的シェアに対する分散、乳化物の機械的安定性を付与するために、前記同様に樹脂骨格中にカルボン酸、水酸基などの親水性骨格を多量に導入するか、多量の界面活性剤の使用が必要となり、同様にして、乾燥性、耐水性の劣化を引き起こす(特許文献3、4参照)。またこれらの塗膜特性を改善するために、樹脂に導入するイオン性極性基または界面活性剤量を低減すると乳化分散物の安定性が十分でなくその保管性において大きな問題となる。
特開平5−155714号公報 特開平6−93005号公報 特開昭61−36372号公報 特開平5−98192号公報
本発明の一つの目的は、多大なエネルギーを必要とせず、ポリエステル樹脂分散物、特に架橋ポリエステル樹脂分散物の製造方法を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、多大なエネルギーを必要とせず、耐水性、乾燥性を損なう事なく良好な塗膜を形成し、また良好な保管性を有するアルキド樹脂水系エマルションの製造方法を提供することである。
上記の課題は、以下に示す1)により達成できた。好ましい実施態様と共に列挙する。
1)多価カルボン酸又はその酸無水物、モノカルボン酸のトリグリセリド及び多価アルコールよりなるポリエステル形成組成物をブレンステッド酸触媒の存在下に重縮合して得られたポリエステル前駆体を水系媒体中に分散する工程、及び、水系媒体中に分散された該ポリエステル前駆体を更に重縮合する工程を含み、前記ポリエステル形成組成物及び/又は前記ポリエステル前駆体を、ブチルセロソルブ、トルエン又はキシレンとの混合物にして、水中に分散する工程を含み、ブレンステッド酸触媒の存在下に、該ポリエステル形成組成物を予備重縮合する、及び/又は、該ポリエステル前駆体を重縮合する、ことを特徴とするポリエステル樹脂分散物の製造方法、
2)ポリエステル形成組成物が3価以上の多価カルボン酸又はその酸無水物び3価以上の多価アルコールを含有する1)に記載のポリエステル樹脂分散物の製造方法、
3)1)又は2)に記載の製造方法により得られた樹脂分散物を基材上に塗布乾燥して得られる塗膜
本発明によれば、少ないエネルギーによりポリエステル樹脂分散物、特に架橋ポリエステル樹脂分散物を製造することができた。
本発明によりアルキド樹脂分散物を製造した場合には、耐水性、乾燥性を損なうことなく、良好な塗膜を形成することができ、また、良好な保管性を得ることができた。
本発明のポリエステル樹脂分散物の製造方法は、多価カルボン酸又はその酸無水物、モノカルボン酸のトリグリセリド及び多価アルコールよりなるポリエステル形成組成物をブレンステッド酸の存在下に予備重縮合して得られたポリエステル前駆体を水系媒体中に分散する工程、及び、水系媒体中に分散された該ポリエステル前駆体を更に重縮合する工程を含み、前記ポリエステル形成組成物及び/又は前記ポリエステル前駆体を、ブチルセロソルブ、トルエン又はキシレンとの混合物にして、水中に分散する工程を含み、ブレンステッド酸触媒の存在下に、該ポリエステル形成組成物を予備重縮合する、及び/又は、該ポリエステル前駆体を重縮合する、ことを特徴とする。
以下に詳細に説明する。

水系媒体とは、水の他に、水と水混和性有機溶媒との混合物をも許容する意味であり、好ましくは水である。
本発明の製造方法において、ポリエステルは多価カルボン酸(誘導体)、モノカルボン酸及び多価アルコール(誘導体)よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造される。
モノカルボン酸としては、炭素数が5以上、好ましくは5〜20の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を有するカルボン酸が好ましい。ただし、多価アルコールのモノカルボン酸エステルを使用する場合には、モノカルボン酸を原料として別個に使用しなくてもよい。
重縮合を促進するための重縮合触媒としてブレンステッド酸を使用することが必要であり、ブレンステッド酸触媒は、該ポリエステル形成組成物を予備重縮合する段階、及び/又は、該ポリエステル前駆体を重縮合する段階、において使用される。該ポリエステル形成組成物を予備重縮合する段階にブレンステッド酸を使用することが好ましい。
ブレンステッド酸としては、ベンゼン環に直鎖脂肪鎖又は分岐脂肪鎖を有するベンゼンスルフォン酸が好ましく、ベンゼン環に塩素原子などが置換していてもよい。本発明に好ましく使用されるブレンステッド酸として、ドデシルベンセンスルフォン酸が例示できる。
また、ポリエステルよりなる樹脂分散物を水系媒体等の分散媒中で安定に分散するための乳化剤又は(高分子)安定剤を併用することが好ましい。
本発明の製造方法において使用する多価カルボン酸(誘導体)は、2価以上のカルボン酸又はその誘導体である。誘導体には1価アルコールのエステルや酸無水物が含まれる。
本発明に用いる多価カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、安息香酸などの脂肪族又は芳香族の2塩基酸以上の各種カルボン酸を使用することができる。
多価アルコール(誘導体)は、2価以上のアルコール又はその誘導体である。誘導体には1価カルボン酸(モノカルボン酸)のエステルが含まれ、脂肪酸トリグリセリドが例示できる。脂肪酸トリグリセリドを使用する場合には、モノカルボン酸を含まないポリエステル形成組成物を使用することができる。
多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、水添ビスフェーノールA等、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジメタノールなどの2価以上のアルコールが典型的である。この他に、ひまし油、ココナッツ油、亜麻仁油、オリーブ油、やし油、パーム核油、ピーナッツ油、サフラワーオイル、大豆油、ひまわり油、トール油、桐油などのモノカルボン酸のトリグリセリドも必要に応じて用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂分散物の製造方法において、ポリエステル形成組成物が3価以上の多価カルボン酸(誘導体)及び/又は3価以上の多価アルコール(誘導体)を含有することが好ましい。
ポリエステル形成組成物に、3価以上のカルボン酸を含有させる場合、その具体例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの誘導体が使用でき、誘導体としては低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい
ポリエステル形成組成物に、3価以上のアルコールを含有させる場合、その具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。3価以上のアルコールは誘導体であってもよく、誘導体としては脂肪酸トリグリセリドなどのモノカルボン酸エステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステル樹脂分散物の製造方法において、ポリエステル形成組成物及び/又はポリエステル前駆体を、疎水性パラメータ(Log(P))が0.5以上である疎水性物質との混合物にして、水中に分散することが好ましい。
本発明においては、上記予め予備重合して得られるポリエステル前駆体を乳化した後、更に重合を行うことができる。ここで、「ポリエステル前駆体」とは、最終的に得られるポリエステルの分子量よりも低い分子量を有するポリエステルをいい、この場合、前駆体樹脂の乳化分散前に有機溶剤などを混合溶解することができ、乳化後の前駆体樹脂の更なる重縮合反応により十分高い分子量をえるためには、用いる溶剤の疎水性パラメータ Log(P)が0.5以上の疎水性物質であることが好ましく、0.7〜3.5であることがより好ましい。
ここで、疎水性パラメータ(Log(P))は、値が高いほどより疎水性であることを意味し、一般に下記式(1−オクタノール/水への疎水性物質の分配係数の対数値)で表されるものである。
式:Log(P)=Log(C0/Cw
(式中、C0は、測定温度における1−オクタノール中の疎水性物質の濃度を示し、Cwは、測定温度における水中の疎水性物質の濃度を示す。
なお、上記疎水性パラメータ(Log(P))は、計算化学的な原子団寄与法で算出する事が可能であり、本発明においてはGhose−Pritchett−Crippenらの方法「Atom Typing Scheme(Journal of Computational Chemistry,Vol.9,No.1,80−90, 1988)」により算出した。また、これら疎水性物質は2種類以上の混合系であっても良く、その場合は混合後の疎水性物質の重量平均の疎水性パラメータLog(P)が0.5以上であれば良い。即ち単独使用でのLog(P)が0.5より小さい場合においても、0.5以上のLog(P)を持つ疎水性物質と混合し、その重量平均でのLog(P)が0.5以上となればその使用が可能となる。本疎水性物質の例示としては、トルエン(Log(P):2.52)、キシレン(Log(P):3.01)、ミネラルスピリット(Log(P):2.5〜3.42)、ブチルセロソルブ(Log(P):0.79)があり、また場合によりスチレン(Log(P):2.67)などのビニルモノマーを反応性を有する疎水性物質として用いることもできる。
本発明におけるポリエステル前駆体を水中に分散する工程は、乳化剤を使用しない微粒子分散でもよいが、又、乳化剤及び/又は高分子安定剤を使用した乳化分散とする方が好ましい。乳化分散においては、通常高分子樹脂の水中への乳化分散に用いられる乳化手法を用いることができる。その乳化装置例としては、ホモジナザー、ホモミミキサー、コロイドミル、スタイックミキサー、マイクロフルダイザーなどを例示することができるが、高温下での過剰な機械的シェアは樹脂の良好な乳化分散性を低下させるため、乳化温度は不活性ガス(窒素、アルゴン等)雰囲気下で行うことが好ましく、乳化温度は好ましくは130℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下、室温(25℃)以上であることが望ましい。
また、ポリエステル前駆体の乳化分散に際しては、水中またはポリエステル前駆体に予め一般的な乳化剤や高分子コロイド安定剤を添加することができる。
ここで用いる乳化剤としては、アニオン系、カチオン系又は非イオン系の界面活性剤が使用できる。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホン−N,N−ジフェニル尿素、4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
また高分子コロイド安定剤としては、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、無機分散剤としては、炭酸カルシウムなどを例示することができる。
さらに本発明においてポリエステル前駆体(樹脂)を水中に乳化分散させる場合において、必要に応じて樹脂中のカルボン酸などのイオン解離性官能基をアルカリなどの中和剤により中和させることができる。中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミンなど通常使用される塩基性物質を1種単独で使用するかまたは複数併用して用いることができる。一つの実施形態としては、pHを8〜10に調節した水分散媒の利用が例示できる。
本発明の製造方法において、ブレンステッド酸触媒の存在下に、ポリエステル形成組成物を予備重縮合する、又は、該ポリエステル前駆体を重縮合することが好ましい。
ポリエステル前駆体を乳化分散後にさらに重縮合を行い、ポリエステル前駆体を所望のより高い分子量まで重合する。重合中は樹脂の酸化によるゲル化を防止するために窒素等の不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。また本重縮合においては、通常用いる公知のアルキド樹脂の重合方法を使用することができる。水中での重縮合においてより高分子量のポリエステルを得るためには、触媒としてブレンステッド酸型触媒を用いると、比較的低い温度で重縮合が可能であり、重縮合時間は5〜50時間である。例えば120℃以下の重縮合、より好ましくは100℃以下の重縮合が可能である。この場合ブレンステッド酸型重合触媒としては、無機酸、有機酸、希土類元素触媒が挙げられる。
本発明の一つの実施態様では、ポリエステル前駆体の分子量は、1,000〜10,000未満であり、最終的に得られるポリエステルの分子量は、10,000〜500,000である。
無機酸の触媒としては、硫酸、塩酸、臭酸などが挙げられる。これらの中でも、スルフォン酸基を有する無機酸が好適である。有機酸としては、硫黄酸が好ましく、ドデシルベンゼンスルフォン酸、ポリスチレンスルフォン酸およびそのスチレン共重合体などが挙げられる。
希土類元素触媒としては、その構成元素として特にY、Sc、Yb、Smから選ばれた少なくとも1種類の元素を含むことが好ましく、その好ましい触媒形態としてはそれら元素のトリフラート形態、トリスドデシル硫酸型形態などを例示することができる。具体的には、例えば、トリスドデシル硫酸スカンジウムが挙げられる。
本発明において、アルキド樹脂とは多塩基酸及び多価アルコールから得られるポリエステルがモノカルボン酸で変性されたポリエステル樹脂であって、さらにアクリル変性、シリコン変性、メラミン変性、フェノール変性、ウレタン変性される全てのアルキド樹脂を含む。
本発明の製造法において、アルキド樹脂の製造に用いられる(ポリエステル)前駆体とは、少なくとも多塩基酸、脂肪酸(モノカルボン酸)及び多価アルコールを同時にエステル化する脂肪酸法により製造してもよく、グリセリンエステルと多価アルコールを予め反応させてグリセリンモノエステルとした後(アルコリシス法)、多塩基酸を反応させて製造しても良い。多価アルコール、多塩基酸及びグリセリンエステルを反応させることも可能である。
アルキド樹脂分散物を製造する場合の(ポリエステル)前駆体は、塊状重合、溶液重合など通常の重縮合反応により、その重量分子量が10,000未満になるように重縮合したものであることが好ましく、特にその原料の種類や製造方法が制限されるものではない。前駆体の分子量が10,000未満であると、その乳化分散により十分な安定したエマルションを得ることができる。
アルキド樹脂の製造において、上記モノカルボン酸成分は前駆体重合時に添加してもよく、前駆体重合後乳化分散前に前駆体を含む組成物系に添加してもよい。また本前駆体重合前または重合後の樹脂の乳化分散前に有機溶剤などを混合することも可能であるが、乳化後の樹脂の重縮合反応により十分な分子量をえるためには、用いる溶剤の疎水性パラメータ Log(P)が0.5以上の疎水性物質であることが好ましい。
疎水性パラメータ(Log(P))及びこのパラメータが0.5以上の疎水性溶媒については既に説明した通りである。
(合成例1)前駆体樹脂(以下、「ポリエステル前駆体」とも言う)1の重縮合
大豆油 34重量部
イソフタル酸 25重量部
無水トリメリット酸 9重量部
トリメチロールプロパン 31重量部
ジブチルスズオキサイド 0.02重量部
上記組成物を、撹拌機、温度制御装置及び還流脱水装置を備えた反応容器に原料として仕込み、窒素気流下に撹拌し200℃にて加熱し重縮合反応を進め重量平均分子量4,500のポリエステル前駆体1を得た。
(合成例2)前駆体樹脂2の重縮合
上記ポリエステル前駆体1の調製において、ジブチルスズオキサイドの代わりにドデシルベンゼンスルフォン酸0.2重量部を用いて110℃で重合を行った以外は上記前駆体樹脂1と同様に反応を行い、重量平均分子量3,500のポリエステル前駆体2を得た。
(合成例3)前駆体樹脂3の重縮合
上記ポリエステル前駆体2の調製において重合温度を130℃に変更した以外は、前駆体樹脂2と同様に重縮合を行い重量平均分子量9,500のポリエステル前駆体3を得た。
(合成例4)前駆体樹脂4の重合
上記ポリエステル前駆体1の調製での重合温度を250℃とした以外は前駆体樹脂1と同様に重縮合を行い、重量平均分子量32,000となったところで反応を終了しポリエステル樹脂4を得た。
(実施例1)
(樹脂エマルション1の調製)
上記樹脂1(前駆体樹脂1)100重量部に対してブチルセロソルブ(Log(P):0.79)15重量部を混合し、冷却管及び撹拌機の備わったフラスコ中、窒素雰囲気下60℃にて十分混合しさらにドデシルベンゼンスルフォン酸を0.2重量部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム1.0重量部を混合した。さらにこの混合物に60℃に加熱したイオン交換水200重量部をゆっくり滴下し樹脂とイオン交換水を予備混合した後、超音波にてさらに予備分散を行った。さらに予備分散液のpHを1M−水酸化ナトリウム水溶液にてpHを8に調整した後に、吉田機械興業社製ナノマイザーを用いて80℃にて乳化分散を行い、体積平均粒子径0.20μmの樹脂エマルション1を得た。
得られた乳化物をさらに、撹拌機の備わった加圧リアクターに仕込んだ後、窒素で十分リアクター内を置換した後、窒素雰囲気下さらに100℃にて20時間加熱重縮合を行い重量平均分子量34,000の樹脂を得た。また反応終了後の乳化物の体積平均粒子径は0.31μmであり良好な粒子径分布を示した。また本エマルションを1ヶ月間室温保存した後の粒子径は0.31μmで変化なくまた沈殿物もなく良好な乳化状態を保持していた。
なお、本発明における粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
(樹脂エマルション1フィルムの耐水性評価)
上記で得られた樹脂エマルション1を深さ1cm、容量10mlのシャーレに3mlの容量で投入し室温にて1日乾燥後、さらに90℃の熱風循環オーブン中にてさらに3日間乾燥しアルキド樹脂フィルムを得た。その後、乾燥したシャーレ中のフィルムに再びイオン交換水をフィルムが完全に浸漬するまで投入し、40℃オーブン中で1週間保持した。その後取り出しシャーレ中のフィルムの白化度、ブリスターの有無を目視にて評価した結果、本サンプルはフィルムの白化はなく、またブリスター発生なく良好な耐水性を示した。
(実施例2)
(樹脂エマルション2の調製)
実施例1での前駆体樹脂1を前駆体樹脂2に、ドデシルベンゼンスルフォン酸を未添加にして、またブチルセロソルブをトルエン(Log(P):2.52)に変更した以外は実施例1と同様に乳化を行い、体積平均粒子径0.25μmの樹脂エマルション2の乳化物を得た。得られた乳化物を実施例1と同様に加熱重合を行い重量平均分子量33,000、体積平均粒子径0.28μmの良好な粒子径分布をもつエマルションを得た。また本エマルションの室温1ヶ月保存後の粒子径は0.28μmであり沈殿物もなく良好な保存安定性を示した。
(樹脂エマルション2フィルムの耐水性評価)
上記実施例1での樹脂エマルション1フィルムと同様の手法で樹脂エマルション2フィルムの耐水性評価を行った結果、フィルムの白化度、ブリスターなく良好な耐水性を示した。
(実施例3)
(樹脂エマルション3の調製)
実施例1での前駆体樹脂1を前駆体樹脂3に、ドデシルベンゼンスルフォン酸を未添加にして、またブチルセロソルブをキシレン(Log(P):3.01)に変更した以外は実施例1と同様に乳化を行い体積平均粒子径0.35μmの乳化物を得た。得られた乳化物を実施例1と同様に加熱重合を行い重量平均分子量34,000、体積平均粒子径0.38μmの良好な粒子径分布をもつエマルションを得た。また本エマルションの室温1ヶ月保存後の粒子径は0.38μmであり沈殿物もなく良好な保存安定性を示した。
(樹脂エマルション3フィルムの耐水性評価)
上記実施例1での樹脂エマルション1フィルムと同様の手法で樹脂エマルション3フィルムの耐水性評価を行った結果、フィルムの白化度、ブリスターなく良好な耐水性を示した。
(比較例1)
(樹脂エマルション4の調製)
実施例1での前駆体樹脂1を既に高分子量化している樹脂4に変更して、ドデシルベンゼンスルフォン酸を未添加にした以外は実施例1と同様にブチルセロソルブを混合し乳化を行った。結果体積平均粒子径10.5μmの乳化物を得たが、乳化後室温にて1時間放置した後の乳化物を観察すると沈殿物を多数生じ安定な乳化物を得ることができなかった。
(樹脂エマルション4フィルムの耐水性評価)
得られた乳化物を実施例1と同様にシャーレに分取しフィルム化を行ったが均一なフィルムを形成することが出来ず一部ブリスターを生じた表面凹凸の激しいフィルムとなり実用上大きな問題を生じたため以後の耐水性試験は中止とした。
(比較例2)
(樹脂エマルション5の調製)
比較例1と同様に樹脂4を用い、さらに使用するドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムを4重量部に増量し乳化を行った。結果体積平均粒子径0.52μmの乳化物を得たが、乳化後室温にて1週間放置した後の乳化物を観察すると沈殿物を多数生じ安定な乳化物を得ることができなかった。
(樹脂エマルション5フィルムの耐水性評価)
得られた乳化物を実施例1と同様にシャーレに分取しフィルム化を行い樹脂エマルション5フィルムの耐水性評価を行った結果、フィルムの白化およびブリスターが多数観察され実用上大きな問題を生じた。

Claims (7)

  1. 多価カルボン酸又はその酸無水物、モノカルボン酸のトリグリセリド、及び多価アルコールよりなるポリエステル形成組成物を予備重縮合して得られたポリエステル前駆体を水系媒体中に分散する工程、及び
    水系媒体中に分散された該ポリエステル前駆体を更に重縮合する工程を含み、
    前記ポリエステル形成組成物及び/又は前記ポリエステル前駆体を、ブチルセロソルブ、トルエン又はキシレンとの混合物にして、水中に分散する工程を含み、
    ブレンステッド酸触媒の存在下に、該ポリエステル形成組成物を予備重縮合する、及び/又は、該ポリエステル前駆体を重縮合することを特徴とする
    ポリエステル樹脂分散物の製造方法。
  2. ポリエステル形成組成物が3価以上の多価カルボン酸はその酸無水物、及び、3価以上の多価アルコールを含有する、請求項1に記載のポリエステル樹脂分散物の製造方法。
  3. 3価以上の多価カルボン酸又はその酸無水物が、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、及びこれらの無水物よりなる群から選ばれた、請求項2に記載のポリエステル樹脂分散物の製造方法。
  4. 3価以上の多価アルコールが、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトールよりなる群から選ばれた、請求項2又は3に記載のポリエステル樹脂分散物の製造方法。
  5. 前記モノカルボン酸が、炭素数が5〜20の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を有するカルボン酸である、請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂分散物の製造方法。
  6. 前記モノカルボン酸のトリグリセリドが、ひまし油、ココナッツ油、亜麻仁油、オリーブ油、やし油、パーム核油、ピーナッツ油、サフラワーオイル、大豆油、ひまわり油、トール油、及び桐油よりなる群から選ばれた、請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂分散物の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1つに記載の製造方法により得られた樹脂分散物を基材上に塗布乾燥して得られる塗膜。
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