JP5082095B2 - 正極活物質およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、正極活物質およびその利用に関するものであり、詳細にはリチウムイオン2次電池の材料として用いた場合に、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができ、LiCoOなどのコバルト含有化合物の代替材料として用いることができる正極活物質およびその利用に関するものである。
近年、携帯電話、ノート型パソコンおよびデジタルカメラなどの消費電力の高い製品に対し、高エネルギー密度、高電圧、充電容量・放電容量およびサイクル特性に優れた2次電池が必要とされている。2次電池としては、ニッケル−水素電池、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池などが用いられてきたが、充電容量および放電容量に優れる2次電池として、リチウムイオン2次電池が注目されている。
リチウムイオン2次電池の正極の材料としては、コバルトを含有しているLiCoO、LiMnOなどが主に用いられ、リチウムイオン2次電池の負極の材料としては、例えば、炭素材料が用いられたリチウムイオン2次電池が使用されている。これらコバルト含有化合物を用いたリチウムイオン2次電池は、他の2次電池に比較して、エネルギー密度、充電容量・放電容量およびサイクル特性に優れるため、非常に有用である。
しかしながら、上記リチウムイオン2次電池は、優れた性能を示すものの、正極の材料であるCo、Mnなどが豊富に採取可能ではなく、高コストであるため、材料枯渇および高コストの問題から代替材料が求められている。また、Coには人体に有害であるという問題点があり、代替材料の要求が強く求められている。
そこで、FeとO及び/又はOHとからなる8面体のc軸方向の積層数が3〜50である2L型フェリハイドライト(2-line ferrihydrite)からなることを特徴とする正極活物質が開発され、特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載の正極活物質は、コバルト含有化合物を含まずFeとO及び/又はOHを主要成分とするため、LiCoO、LiMnOなどのコバルト含有化合物の代替材料として用いられることが可能である。
ところで、発明者らは鉄細菌を用いた鉄バクテリア浄水法(バイオ浄水法)によって生じた凝集沈殿物などから、鞘状酸化鉄粒子(中空繊維状鞘構造の酸化鉄粒子)を製造する方法を特許文献2に開示している。なお、発明者らは、鉄細菌酸化鉄の同定方法についても特許文献3に開示している。
特開2005−79029号公報(平成17年3月24日公開) 特開2005−272251号公報(平成17年10月6日公開) H.Hashimoto, S. Yokoyama, H. Asaoka, Y. Kusano, Y. Ikeda, M. Seno, J. Takada, T. Fujii, M. Nakanishi, R. Murakami, Journal of Magnetism and Magnetic Materials 2006, 10, 793-795
しかしながら、上記従来の特許文献1に記載の正極活物質を用いたリチウムイオン2次電池は、充電容量および放電容量が不十分であるという問題を有している。
具体的には、特許文献1に記載の正極活物質を用いたリチウムイオン2次電池は、コバルトを含まず、LiCoO、LiMnOなどの代替材料として用いられることが可能であるが、近年における携帯電話などの製品においては、さらなる充電容量および放電容量が求められている。この点において、特許文献1に記載の正極活物質を用いたリチウムイオン2次電池は、十分な充電容量および放電容量を有しておらず、十分な電池特性、特にサイクル特性を有していない。
したがって、正極活物質として、LiCoO、LiMnOなどのコバルト含有化合物の代替材料として用いることができるだけでなく、リチウムイオン2次電池の材料として用いた場合に、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池を提供できることが必要とされている。
本発明は上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、リチウムイオン2次電池の材料として用いた場合に、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができ、LiCoOなどのコバルト含有化合物の代替材料として用いることが可能な正極活物質およびその利用を提供することにある。
本発明の正極活物質は、上記課題を解決するために、鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄を含むことを特徴としている。
鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄には、合成された酸化鉄よりも非晶質性が高く、リチウムイオンが侵入するための隙間が多く形成されていると考えられる。したがって、上記の構成によれば、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池の材料となる正極活物質を提供することができる。また、上記鉄細菌酸化鉄は、鉄および酸素を主要成分とするものであり、従来の正極活物質のようにLiCoO、LiMnOなどのコバルト含有化合物を主要成分とするものではない。そのため、これまでリチウムイオン2次電池の材料として用いられていたコバルト含有化合物に対する代替材料として用いられることが可能である。
上記鉄細菌酸化鉄は、従来埋め立てによって廃棄物処理するしかなかったものであり、正極活物質の用途に用いることは、当業者であっても予想することができないものである。また、上記廃棄物処理のためには高い処理費用が必要であったが、本願発明の正極活物質は、このような廃棄処理されていた鉄細菌酸化鉄を有効に利用するものであり、環境面においても貢献することができるものである。
また、本発明の正極活物質では、上記鉄細菌酸化鉄は、鉄バクテリア浄水法によって生じた凝集沈殿物から分離されたものであることが好ましい。
上記鉄バクテリア浄水法によれば、鉄細菌によって生成された凝集沈殿物から鉄細菌酸化鉄を得ることができるので、容易に鉄細菌酸化鉄を製造することが可能である。
また、本発明の正極活物質では、上記鉄細菌が、レプトシリックス属細菌(Leptothrix sp. )であることが好ましい。
上記レプトシリックス属細菌は、鉄バクテリア浄水法の濾過層における優勢菌であり、特に該鉄細菌が生成する中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄は、内径約1.0μm、外径約1.2μmの中空を有し、ほぼ均一なものであること、その構成粒子が直径約30nmのナノ粒子から構成されていること等、優れた特性を有する中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄を生産することができる鉄細菌である。それゆえ、上記レプトシリックス属細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄を用いることによって、優れた特性を有し、かつ広範な用途に利用可能な中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄を生産することができ、上記中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄を含む正極活物質を効率良く製造することができる。
また、本発明の正極活物質では、上記鉄細菌酸化鉄が、300℃以上、800℃以下で加熱されてなる被加熱材であることが好ましい。
上記温度範囲で加熱されてなる被加熱材は、加熱されていない鉄細菌酸化物と比べ構造が変化する。上記被加熱材を含む正極活物質をリチウムイオン2次電池の正極の材料として用いた場合、さらにサイクル特性に非常に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができる。上述したように鉄細菌酸化物は従来廃棄物処理されていたものであり、その処理方法は埋め立てによる方法であった。すなわち、上記鉄細菌酸化鉄は、これまで焼却処理によって廃棄物処理は行われておらず、いかに当業者であっても埋め立て処理されるしかない鉄細菌酸化鉄を加熱し、しかも、正極活物質に用いることなど全く予想できるものではない。
また、本発明の被加熱材は、上記課題を解決するために、鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄が、300℃以上、800℃以下で加熱されてなるものである。
鉄細菌酸化鉄が上記温度範囲で加熱されてなる被加熱材は、上述のように、加熱されていない鉄細菌酸化物と比べ構造が変化し、これをリチウムイオン2次電池の正極の材料として用いた場合、サイクル特性に非常に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができ、リチウムイオン2次電池の正極の材料として好ましく用いることができる。
また、本発明のリチウムイオン2次電池の正極は、上記正極活物質の何れかを主要成分として含むことを特徴としている。
これにより、リチウムイオン2次電池の材料として用いた場合、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができ、LiCoOなどのコバルト含有化合物の代替材料として用いることが可能な、リチウムイオン2次電池の正極を提供することができる。
また、本発明のリチウムイオン2次電池は、上記リチウムイオン2次電池の正極を含むことを特徴としている。
これにより、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができ、正極活物質として、コバルトを含有するLiCoOなどを必要としない。
本発明の正極活物質は、以上のように、鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄を含むものである。
それゆえ、本発明の正極活物質をリチウムイオン2次電池の材料として用いた場合に、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができ、コバルト含有化合物であるLiCoOなどの代替材料として用いることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態の正極活物質は、鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄を含む正極活物質である。
<鉄細菌酸化鉄>
本発明を構成する鉄細菌酸化鉄は、鉄細菌によって生成されたものである。本明細書において、「酸化鉄」とはα−Fe、β−Fe、γ−Fe、Feなどに例示される狭義の酸化鉄、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOHなどに例示されるオキシ水酸化鉄、Ferrihydrite に代表される非晶質に近い構造の水酸化鉄を含む、鉄と酸素とを主成分とする化合物の総称である。
また、本明細書において「鉄細菌酸化鉄」とは、以下に示す鉄細菌(もしくは鉄酸化細菌)により生成された、上記酸化鉄を含む鉄と酸素とを主成分とする化合物およびそれらから種々の処理により変換された全ての化合物を含む化合物の総称である。
上記鉄細菌としては、Fe、α−FeOOH、γ−FeOOHなどを含む酸化鉄を形成するものであればよく、特に限定されるものではない。上記鉄細菌酸化鉄を生成する鉄細菌としては、たとえば、トキソシリックス属細菌( Toxothrix sp. )・レプトシリックス属細菌( Leptothrix sp. )・クレノシリックス属細菌( Crenothrix sp. )・クロノシリックス属細菌( Clonothrix sp. )・ガリオネラ属細菌( Gallionella sp. )・シデロカプサ属細菌( Siderocapsa sp. )・シデロコッカス属細菌( Siderococcus sp. )・シデロモナス属細菌( Sideromonas sp. )・プランクトミセス属細菌( Planktomyces sp. )などを挙げることができる。
上記レプトシリックス属細菌( Leptothrix sp. )であるLeptothrix ochracea は中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄を生成することが可能である。また、ガリオネラ属細菌( Gallionella sp. )であるGallionella ferruginea は螺旋状の鉄細菌酸化鉄を生成することが可能である。
鉄細菌酸化鉄を得る方法としては、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。たとえば、バイオ浄水法(鉄バクテリア浄水法)や浄水場などに存在している鉄細菌によって生成された凝集沈殿物から得る方法(特許文献2を参照)、および特開平10−338526に開示されたパイプ状微粒子酸化鉄の製造方法などを、鉄細菌酸化鉄を得る方法として用いることができ、その説明は当該文献を適宜援用することができる。
ここで上記「鉄バクテリア浄水法」とは、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などの凝集剤の凝集効果のみを利用して原水中の不純物を除去する急速濾過浄水法とは対照的に、微生物の浄化作用によって不純物を除去させる方法である。ここで微生物の浄化作用によって不純物を除去させる方法としては、例えば鉄細菌等の微生物が有する凝集作用を利用して原水中の不純物を凝集沈殿させ除去する方法が挙げられる。また微生物を用いて浄水を行なうこと以外は特に限定されるものではなく、既述の砂層の表面に微生物膜形成させ、砂層で原水を濾過するだけの所謂「緩速濾過浄水法(自然濾過法)」であっても、濾過層の閉塞を防ぎ濾過速度を維持するために濾過層の洗浄を行なう、所謂「中速濾過浄水法」であってもよい。
本発明において上記鉄細菌酸化鉄は、鉄バクテリア浄水法によって生じた凝集沈殿物から分離されたものであることが好ましい。
上記鉄バクテリア浄水法に含まれる鉄細菌のうち、特にレプトシリックス属細菌は、鉄バクテリア浄水法の濾過層における優勢菌であり、中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄を主に生成する。本発明者らは、レプトシリックス属細菌が生産する中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄が内径約1.0μm、外径約1.2μmの中空を有し、ほぼ均一な粒子であるという優れた特性を有していることを確認している。
なお、本実施の形態において「鉄バクテリア浄水法」は、上述と同じ作用によって原水中の鉄イオン等を凝集させて除去する現象自体を含む意味であり、真に浄水を目的とした実用規模での浄水の実施のみを含むものではなく、実験室レベルの小規模実施をも含む意味である。
本発明で用いられ得る鉄細菌酸化鉄としては、鉄バクテリア浄水法によって生じた凝集沈殿物から、そこに含まれる鉄細菌酸化鉄を分離したものが好適に利用され得る。鉄細菌酸化鉄の分離方法は、凝集沈殿物から鉄細菌酸化鉄を分離し得る方法であれば特に限定されるものではなく、簡単には上記凝集沈殿物の懸濁液を、鉄細菌酸化鉄を通さず、不純物のみを通すポアサイズ(メッシュサイズ)を持った篩、メッシュ、フィルター、紙漉きで用いられる簀子状ネット等に、当該懸濁液を通じればよい。
上記凝集沈殿物は、既述の鉄バクテリア浄水法において原水中の鉄イオン等が鉄細菌の凝集作用によって凝集し、塊状となって沈殿したものである。ただし、本発明でいう凝集沈殿物は、鉄細菌の凝集作用によって、原水中の不純物が凝集していれば足り、特に沈降(沈殿)していない凝集物をも含む意味である。すなわち本発明でいう凝集沈殿物は、水等において浮遊状態であっても、また洗浄等によって沈殿物が再懸濁された懸濁液状態であってもよい。さらには水分を蒸発させた乾燥状態であってもよい。
また凝集沈殿物の取得方法は、特に限定されるものではなく、浄水施設における濾過層上に堆積した沈殿物を掻きとってもよいし、緩速(中速)濾過浄水法における逆洗水(洗浄水)であってもよい。また別途濾過装置で濾別した濾過残渣であってもよいし、遠心分離機で取得した沈殿であってもよい。さらには自然沈降により沈降した凝集沈殿物を、デカンテーションにより得た沈殿物であってもよい。
また上記凝集沈殿物から効率良く鉄細菌酸化鉄を回収するためには、凝集沈殿物に分散剤を作用させることが好ましい。上記分散剤は、鉄バクテリア浄水法において生じる凝集沈殿物中に含まれる中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄の塊化(バルキング)を解消することができるものであれば特に限定されるものではなく、天然物であっても合成物であってよい。
本発明者らは、鉄細菌酸化鉄が繊維状であること、粒子同士が絡み合って塊化(バルキング)する等、紙原料の植物繊維と類似する性質を有することに着目して検討を行なった。
その結果、和紙の製造に用いられる「ネリ」と呼ばれる粘剤を用いることによって、中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄の塊化(バルキング)を解消できることを発見した。したがって本発明に用いられる分散剤には、製紙業に一般的に用いられている、抄紙用粘剤が好適に用いることが可能である。
抄紙用粘剤としては、例えば和紙の紙漉きに使用されるノリウツギ(糊空木;Hydrangea paniculata)抽出液・トロロアオイ(黄蜀葵;Abelmoschus manihot ( Hibiscus manihot ))抽出液等の植物由来抄紙用粘剤(「ネリ」)や、微生物が生産する多糖類を有効成分とする抄紙用粘剤(例えば、特開平8−325986号公報参照)や、ノニオン性抄紙用粘剤等の合成抄紙用粘剤(例えば、特開2003−253587号公報、及び特開2000−290892号公報参照)等が挙げられる。このうちノリウツギ抽出液・トロロアオイ抽出液等の植物由来抄紙用粘剤は、分散能力が高いこと、及び環境リスク等の安全性が高い等の観点から、特に好ましい分散剤であるといえる。その他、本発明において利用可能な分散剤としては、多糖類、ポリウロニド、アルギン酸ナトリウム、セルロース誘導体、ポリメタリン酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が利用可能である。
鉄細菌酸化鉄(特に中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄)同士の間で生じるバルキング解消の原理は、上述のとおり和紙の製造(紙漉き)原理に基づいている。以下、和紙の製造(紙漉き)原理を例にして、本発明における凝集沈殿物と分散剤との作用を説明する。
紙漉きの手法、特に「流し漉き」は日本独特の技術で、この手法に欠かせないものが「ネリ」と呼ばれる粘剤である。ネリは、紙原料の繊維が不規則に絡み合って塊状になるのを防ぎ、分散・浮遊させる効果があり、これにより繊維が均等に絡み合い、均質で丈夫な和紙が出来上がる。ネリは植物性粘液で原料としては、既述のノリウツギ・トロロアオイ等がある。かかるネリの作用は、化学的には次のように解明されている。ネリは、複雑な構造の多糖類分子が多くの水分子を吸着した親水コロイド溶液である。その高分子は、概して長く水中に伸びて相互に網目状に絡み合って広がっている。かかるネリと紙原料の植物繊維とを作用させると、植物繊維表面に存在する水和したセルロースやヘミセルロースにネリの長い高分子が吸着し、植物繊維を覆う状態となる。このため、繊維全体が一つの大きな水和層に包まれ、繊維の同士の直接接触による凝集が防がれ、分散状態となる。
上記ネリ(粘剤)は本実施の形態でいう分散剤にあたり、上記植物繊維が本実施の形態でいう鉄細菌酸化鉄(中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄)にあたる。発明者らの解析によると、中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄は、その表面に水酸基を有する。それゆえ中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄同士は、水酸基による水素結合によりバルキングを起こしているものと考えられる。上記のネリと同様の作用によって、鉄細菌酸化鉄同士の水素結合を阻害することができれば、バルキングを解消することができるということになる。バルキングを解消することができれば、塊化した中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄に保持されている泥、砂等の不純物を容易に分離することができる。
次に凝集沈殿物と分散剤との作用方法について説明する。作用方法は、凝集沈殿物と分散剤とが水等の適当な溶媒中で接触し、分散剤の分散効果が得られる条件であれば特に限定されるものではない。簡単には、凝集沈殿物と分散剤とを適当な割合で水に懸濁し、所定時間、静置または振とうしながら作用させればよい。なお凝集沈殿物と分散剤とが接触する頻度が高く、分散効果がより顕著に得られるという点で振とうしながら作用させることが好ましい。また作用温度についても特に限定されるものではないが、0℃以上25℃以下で行なうことが好ましく、5℃以上15℃以下がさらに好ましい。また作用時間の好ましい条件については、凝集沈殿の状態、分散剤の分散能力、分散剤の濃度、凝集沈殿物と分散剤との混合割合等によって異なるため、適宜好ましい条件を検討して適用すればよい。一般的には30分間以上7日間(168時間)以内が好ましく、2時間以上1日間(24時間)以下がさらに好ましい。作用時間が短すぎると十分な分散効果が得られず、逆に長すぎると作業効率が落ちるからである。また、凝集沈殿物と分散剤の混合割合の好ましい条件についても、凝集沈殿の状態、分散剤の分散能力、分散剤の濃度等によって異なるため、適宜好ましい条件を検討して適用すればよい。
次に上記凝集沈殿物と分散剤の作用後の溶液(以下、「分散液」と称する)から鉄細菌酸化鉄を回収する方法について説明する。回収方法は、鉄細菌酸化鉄と泥・砂等の不純物とを分離することができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、鉄細菌酸化鉄を通さず、不純物のみを通すポアサイズ(メッシュサイズ)を持ったメッシュ、フィルター、紙漉きで用いられる簀子状ネット等に、上記分散液を通じればよい。ここで、回収に用いられるメッシュ等のポアサイズ(メッシュサイズ)の好ましい条件であるが、鉄細菌酸化鉄の状態、不純物の種類等によって異なるため、適宜好ましい条件を検討して適用すればよい。なおポアサイズ(メッシュサイズ)を大きくすれば、回収時間を短縮することができるが、回収率は下がる。逆にポアサイズ(メッシュサイズ)を小さくすれば回収率は上がるが、回収時間は長くなる。本発明者等の検討によれば、中速濾過浄水法で得られた凝集沈殿物とノリウツギ抽出液との分散液から、中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄の回収を行なう場合、ポアサイズ(メッシュサイズ)は、約1mm×1mm以下が好ましいということがわかった。
次に、浄水場などに存在している鉄細菌によって生成された凝集沈殿物から鉄細菌酸化鉄を得る方法を以下に説明する。まず、自然濾過法などを用いている浄水場に存在している鉄細菌、たとえば、レプトシリックス属細菌( Leptothrix sp. )であるLeptothrix ochracea (以下適宜「L. ochracea 」と記す)が形成する沈殿物を採取する。この L. ochracea が沈殿物を形成する鉄細菌酸化鉄の構成元素比、構造などは、上記鉄細菌が生存する環境の温度、水質などにより変化するが、L. ochracea が沈殿物を生成することができる条件であれば、特に限定されるものではなく、中空繊維状鞘構造の構造を主とする鉄細菌酸化鉄を得ることができる。
その後、上記沈殿物を洗浄する。洗浄に用いる液としては、特に限定されるものではないが、蒸留水を用いることが好ましい。さらに、篩を用いて、洗浄した汚泥から砂などの不純物を除去することにより鉄細菌酸化鉄を得ることができる。また、必要であれば、得られた鉄細菌酸化鉄に対し遠心分離機を用いて比重ごとに選別してもよい。
なお、特開平10−338526に開示されたパイプ状微粒子酸化鉄の製造方法を用いることによって、パイプ状の酸化鉄を得ることも可能である。
上記鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄の構造は、生成に用いる鉄細菌や、生成時の条件によって異なるが、中空繊維状鞘構造、螺旋状、粒状および糸状の何れかの形状が含まれているものである。たとえば、汚泥を採取する浄水場によって、中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄が主に含まれる場合があり、また、粒状の鉄細菌酸化鉄が主に含まれる場合がある。
しかし、上記鉄細菌によって生成された酸化鉄であれば、上記何れかの形状、または上記何れかの形状を複数含んでいるにかかわらず、本実施の形態に係る正極活物質に用いることができる。
上記鉄細菌酸化鉄の構成元素としては、鉄および酸素を主要成分とし、ケイ素、リンなどをさらに含んだ組成である。この組成は、鉄細菌が存在している環境などによって適宜変化するものである。一例としては、鉄細菌酸化鉄のICP定量分析結果から、鉄、ケイ素、リンの比率がそれぞれ、86、11、3である組成を挙げることができる。上記リンは、鉄細菌の代謝過程で含まれると考えられる。したがって、2-line ferrihydrite などの合成された酸化鉄には、その組成においてリンおよびケイ素が含まれていない点で異なっている。さらに、SEMによるサンプル測定結果から、鉄細菌酸化鉄において各構成元素は、均一に分布していることが明らかとなっている。
以上のように、鉄細菌酸化鉄について説明したが、さらに、本実施の形態に係る被加熱材について説明する。上記被加熱材は、鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄が、300℃以上、800℃以下で加熱されてなるものである。本発明者らは、上記被加熱材をリチウムイオン2次電池の正極の材料として用いることによって、さらにサイクル特性に優れるリチウムイオン2次電池を提供できることを見出した。
上記被加熱材を製造するためには、上記鉄細菌酸化鉄を300℃以上、800℃以下で加熱すればよく、加熱手段は特に限定されるものではない。加熱方法としては、公知の電気炉、抵抗加熱炉、赤外加熱炉、マイクロ波加熱炉などの加熱装置を用いる方法を挙げることができる。また、鉄細菌酸化鉄に水分が含まれている場合、上記温度で加熱する前段階として水分を除去することが好ましい。これによって、電気炉などにより高温で鉄細菌酸化鉄を加熱する際に、水分が急激に気化することを防止でき、安全性を確保することができる。
被加熱材を得るための温度範囲としては、300℃以上、800℃以下であればよいが、好ましくは300℃以上、750℃以下であり、特に好ましくは500℃以上660℃以下である。これにより、上記被加熱材をリチウムイオン2次電池の正極の材料として用いたリチウムイオン2次電池のサイクル特性をさらに向上することができる。サイクル特性の具体的な結果については後述する。
上記被加熱材は、加熱されていない鉄細菌酸化鉄に比べ、その構造が変化していると考えられる。その根拠としては、X線回折法(XRD)、透過型電子顕微鏡法(TEM)、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)、熱分析法(TG−DTA)およびメスバウアー分光法などによる測定結果を示すことができる。減圧乾燥によって水分を除去した鉄細菌酸化鉄と、上記被加熱材とを上記測定方法にて測定した場合、測定結果の顕著な相違が観測される。
具体的には、被加熱材を以下の測定方法にて測定した場合、鉄細菌酸化鉄を測定した場合と比較して以下の相違点が観測される。たとえば、XRDにおける回折ピークがシフトすること、TEMにおける電子回折図(ED)では、薄いリングが2つ観測され、結晶性であること、FTIRにおけるSi−O−FeのSiO伸縮を示すピークが1023cm−1以上1100cm−1以下に表れること(熱処理によってSi−O−Feの割合が低下することを示す)が挙げられる。
<リチウムイオン2次電池の正極>
本実施の形態におけるリチウムイオン2次電池の正極は、上記鉄細菌酸化鉄の何れかを主要成分として含むものである。「主要成分として含む」とは、リチウムイオン2次電池の正極に上記鉄細菌酸化鉄が50重量%以上含まれることを示す。
上記鉄細菌酸化鉄は、単に水分を乾燥除去し、特に加熱を行っていなくてもよいが、上述した被加熱材を用いることが好ましい。被加熱材をリチウムイオン2次電池の正極の材料として用いることで、さらにサイクル特性に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができるからである。
上記リチウムイオン2次電池の正極は、アセチレンブラックなどの導電物質、テフロン(登録商標)や、界面活剤などの混合物であるバインダーを含んでいてもよい。上記リチウムイオン2次電池の正極に対する導電物質、導電物質および界面活剤の含有率は、特に限定されるものではないが、たとえば、それぞれ70%、20%、10%とすることができる。上記の範囲にてリチウムイオン2次電池の正極を作製することによって、これを用いたリチウムイオン2次電池の放電容量および充電容量などの物性をより好ましい値にすることができる。
また、上記リチウムイオン2次電池の正極の形状としては、特に限定されるものではないが、シート状であることが好ましい。シート状であれば、上記リチウムイオン2次電池の正極のサイズを小さく抑えることができるからである。
上記鉄細菌酸化鉄、導電物質およびバインダーを混合した後、この混合物を乾燥させることによって、本実施の形態に係るリチウムイオン2次電池の正極を得ることができる。上記混合物を乾燥する方法としては、形成するリチウムイオン2次電池の正極のサイズなどによって適宜変更すればよく、たとえば、減圧乾燥を行ってもよい。
<リチウムイオン2次電池>
本実施の形態におけるリチウムイオン2次電池は、上記リチウムイオン2次電池の正極を含むものである。以下にリチウムイオン2次電池の一例について説明するが、本実施の形態はもちろんこれに限定されるものではない。
図1は、本実施の形態に係るリチウムイオン2次電池10の分解図である。図1に示すように、本実施の形態に係るリチウムイオン2次電池10は、リチウムイオン2次電池の正極1を含んでいる。また、リチウムイオン2次電池の正極1からSUS板負極6側には、スペーサー2、リチウム負極3、SUS板4、バネ5、SUS板負極6を備えており、リチウムイオン2次電池の正極1からSUS板負極6と逆側には、テフロンスペーサー7、SUS板4、テフロンスペーサー7、セル基板8を備えている。
スペーサー2およびテフロンスペーサー7は、間隙を設けるためのものであり、スペーサー2としては、たとえば、セルガード#2500など、テフロンスペーサー7としてはテフロン(登録商標)を材料として用いることができる。また、スペーサー2およびテフロンスペーサー7の厚みは、特に限定されるものではなく適宜設定すればよい。
リチウム負極3とSUS板負極6とは、ともにリチウムイオン2次電池10における負極を構成するものである。また、リチウム負極3を構成する材料としては、公知の材料を用いることができ、たとえば、圧延リチウム箔を用いることができる。また、SUS板負極6としては、好ましくは、耐腐食性を有することが好ましいため、クロムおよびニッケルを含むステンレス鋼であるSUS304などを用いることが好ましい。
SUS板4としては、導電性を有するものでものであれば特に限定されるものではない。また、耐腐食性を有することが好ましいため、クロムおよびニッケルを含むステンレス鋼であるSUS304などを用いることが好ましい。
セル基板8としては、SUSを用いることができる。また、セル基板8は、耐腐食性を有することが好ましいため、クロムおよびニッケルを含むステンレス鋼であるSUS304などを用いることが好ましい。
上記リチウムイオン2次電池10に使用する電解液としては、ポリカーボネート(PC)および1,2−ジメトキシエタン(DME)の混合溶液を用いることができる。
電解液に溶解させる塩としては、リチウムイオン2次電池に用いられる公知のリチウム塩を用いることができる。たとえば、LiClOを用いることができる。
上記リチウムイオン2次電池10によれば、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができ、正極活物質として、LiCoOなどのコバルト含有化合物を必要としない。
なお、本実施の形態においてはリチウムイオン2次電池10を用いて本実施の形態に係るリチウムイオン2次電池を説明したが、必ずしもこれに限定さるものではない。すなわち、本実施の形態に係るリチウムイオン2次電池は、上記リチウムイオン2次電池の正極を含んでいればよく、上記リチウムイオン2次電池の正極以外は、公知のリチウムイオン2次電池の構造を採用することももちろん可能である。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はもちろんこれらに限定されるものではない。まず、以下に各測定方法について説明する。
<X線回折法(XRD)>
X線回折は、測定機器としてRINT2500(Rigaku社製)を用い、ブラッグ・ブレンダーノ法に基づき測定を行った。ターゲットとしては、Cu(銅)を用い、グラファイト単結晶で単色化したCu−Kα線を線源として用いた。
<透過型電子顕微鏡法(TEM)>
透過型電子顕微鏡法は、測定機器としてJEM−4000EX(日本電子株式会社製、)を用い、加速電圧は400kVの条件にて測定を行った。
<フーリエ変換赤外分光分析(FTIR法)>
フーリエ変換赤外分光分析は、測定機器としてJASCO FT/IR−4100(ジャスコエンジニアリング株式会社製)を用い、KBr法によって測定を行った。
<熱分析法(TG−DTA)>
示差熱分析法は、測定機器としてTG8120(Rigaku社製)を用い、昇温速度20℃/min、温度保持0時間および空気中で測定を行った。
<メスバウアー分光法>
メスバウアー分光法は、測定機器としてMDF−200(株式会社東陽リサーチズ社(現在 株式会社トポロジック・システムズ社)製を用い、透過法に基づき線源は5mCiの条件にて測定を行った。
<放電容量・充電容量>
測定装置としてBTS−2400(ナガノ社製)を用い、30℃の恒温室で、定常電流が0.5mA/cm、電圧が4.2−1.0Vの条件にて測定を行った。
(製造例1)
〔鉄細菌酸化鉄の製造〕
京都府城陽市浄水場にて、L. ochracea が生成する鉄細菌酸化鉄が含まれる沈殿物(汚泥)を採取した。
まず、採取した沈殿物に含まれる大粒の砂(直径約0.5mm以上)を除去するため、上記沈殿物を攪拌(懸濁)した後に、大粒の砂が入らないよう、デカンテーションによって、鉄細菌酸化鉄を別の容器に移した。この操作を大粒の砂がなくまるまで繰り返した。
次に、沈殿物から大粒の砂を除いたサンプルを遠心分離することによって、小さな砂の層と、鉄細菌酸化鉄の層とに分離させた。このうち、鉄細菌酸化鉄の層のみを取り出し、同様の遠心分離操作を4回繰り返した。上記遠心分離操作によって、鉄細菌酸化鉄から小さな砂を除去でき、鉄細菌酸化鉄の水洗を行うことができる。このようにして鉄細菌酸化鉄(A)を得た。
最後に鉄細菌酸化鉄(A)の乾燥を行う。乾燥方法としては減圧下で行う方法と、加熱条件下で行う方法とをそれぞれ用いた。まず、鉄細菌酸化鉄(A)をダイアフラム型真空ポンプ(東京理化器械株式会社製:商品名 DIVAC1.2L)を用い、1.013bar(76cmHg)以下の減圧条件下で、目視により乾燥が確認できるまで減圧乾燥した。乾燥後、鉄細菌酸化鉄をアルミナ乳鉢によって粉末状にし、中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄(1)を得た。
次に、鉄細菌酸化鉄(A)を、乾燥炉を用い100℃の条件下にて目視で乾燥が確認できるまで加熱し、中空繊維状鞘構造の鉄細菌酸化鉄が含まれる鉄細菌酸化鉄(2)を得た。
(実施例1)
〔被加熱材の製造〕
まず、製造例1に従って得られた鉄細菌酸化鉄(2)を、電気炉であるチューブ炉(リンドバーグ株式会社製)を用い300℃の温度で2時間加熱することによって、被加熱材(1)を得た。また、上記加熱温度を500℃、700℃または1000℃に設定することによって、それぞれ、被加熱材(2)、被加熱材(3)、鉄細菌酸化鉄(3)を得た。得られた被加熱材(1)〜(3)、鉄細菌酸化鉄(3)および製造例1に従って製造した鉄細菌酸化鉄(1)、(2)についてXRD、TEM、FTIR、メスバウアー分光法およびTG−DTAによって適宜物性を測定した。結果を図2〜図8に示す。
図2は、鉄細菌酸化鉄(1)および(3)、被加熱材(1)〜(3)のXRDの測定結果を示している。図2に示すように、鉄細菌酸化鉄(1)、被加熱材(1)および(2)が示すピークにおいてほとんど変化は観測されないが、被加熱材(3)が示すピークのシフトが観測され、結晶化が進行していることがわかる。また、鉄細菌酸化鉄(3)が示すピークから、α−Feが生成したことがわかる。
図3は、鉄細菌酸化鉄(1)、被加熱材(2)および 2-line ferrihydrite と呼ばれる酸化鉄のTEMの測定結果を示している(2-line ferrihydrite の製造方法については比較例1にて後述する)。被加熱材(2)の電子線回折図は、薄いリングが2つ観測されており、結晶性である 2-line ferrihydrite の電子線回折図と同様である。したがって、2-line ferrihydrite の微小な粒子が被加熱材(2)の表面に分散および析出していることがわかる。また、鉄細菌酸化鉄(1)の電子線回折図から、鉄細菌酸化鉄(1)は非晶質構造であることが明らかであり、鉄細菌酸化鉄(1)と被加熱材(2)とは、全く異なる物質であることがわかる。
図4は、FTIRによる鉄細菌酸化鉄(1)、被加熱材(1)〜(3)の測定結果を示している。図4(a)は、鉄細菌酸化鉄(1)のFTIRにより測定された測定結果を示しており、各ピークには番号A〜Fが付されている。図4(b)は番号A〜Fが示すピークの波数(cm−1)および振動モードを示している。図4(b)に示すように、番号Aが示すピークは波数が1010cm−1であり、Si−O−Fe伸縮振動によるものである。また、番号Bが示すピークは波数が1389cm−1であり、Fe−OH変角振動によるものである。また、番号Cが示すピークは波数が1540cm−1であり、Fe−O変角振動によるものである。また、番号Dが示すピークは波数が1627cm−1であり、OH変角振動によるものである。また、番号Eが示すピークは波数が3400cm−1であり、OH伸縮振動によるものである。また、番号Fが示すピークは波数が3695cm−1であり、Si−OH伸縮振動によるものである。
図4(c)は、鉄細菌酸化鉄(1)、被加熱材(1)〜(3)、および 2-line ferrihydrite のFTIRの測定結果を示している。図4(c)中、円で囲われた1000〜1100cm−1におけるSi−O−Fe伸縮振動によるピークは、鉄細菌酸化鉄の熱処理温度に依存してシフトしていることが分かる。すなわち、鉄細菌酸化鉄(1)のSi−O−Fe伸縮振動によるピークに比べ、被加熱材(3)のSi−O−Fe伸縮振動によるピークが、最もシフトしていることがわかる。
図5は、図4(c)のSi−O−Fe伸縮振動が示す波数(cm−1)と、測定サンプルの製造時における加熱温度との関係を示している。上記試料に含まれるSi−O−Feの割合は製造時に高温で加熱されるほど減少し、Si−O−Feの伸縮が示すピークはより高波数側にシフトする。したがって、図5から、加熱処理がなされるほど、測定サンプルにおけるSi−O−Feの割合は低下していくと考えられる。特に、鉄細菌酸化鉄(1)と被加熱材(3)とではSi−Oの伸縮が示すピークは大きくシフトしており、Si−O−Feの割合が大きく異なっていることがわかる。
図6は、鉄細菌酸化鉄(1)および(2)、被加熱材(1)〜(3)のメスバウアー分光法の測定結果を示している。図6(a)はメスバウアー分光法の測定結果図を、図6(b)は、各測定サンプルにおける、Isomer shift(IS)、四極子分裂(QS)、積分値である面積(Area)を示している。四極子分裂(QS)は、上記試料中におけるFeイオン周りの対称性の歪みを反映するものであり、QS(A,B)が大きいほど上記歪みは大きいことを示す。図6に示す測定結果から、鉄細菌酸化鉄(1)に比較して鉄細菌酸化鉄(2)は加熱されているため、水和水が脱離しているため、上記歪みが緩和されていることがわかる。
また、被加熱材(1)および(2)のQSの結果から、300℃、500℃と加熱されるにつれ、被加熱材(1)および(2)に含まれる構造水が脱離していくため、上記歪みが増加していくことがわかる。さらに、被加熱材(3)は、被加熱材(2)よりも上記歪みが緩和されているが、これは、2-line ferrihydrite 微粒子が成長し、Feイオン周りの構造はより対称性を増していることがわかる。上記試料のうち被加熱材(2)が最もFeイオン周りの対称性が低い構造を有していることがわかる。
図7は、鉄細菌酸化鉄(1)のTG−DTAの測定結果を示している。図7に示すように、鉄細菌酸化鉄(1)の重量(Weight)(%)は、加熱されるとともに減少していき、700℃でほぼ一定値となることがわかる。700℃における、鉄細菌酸化鉄(1)の減少重量は26.5%であった。また、図7のピーク1は脱水による吸熱反応が生じていることを、ピーク2はα−Feが生成することによって発熱反応が生じていることを、ピーク3は 2-line ferrihydrite 微粒子の分散析出による発熱反応が生じていることをそれぞれ示している。
図8は、鉄細菌酸化鉄(2)、被加熱材(1)〜(3)のTG−DTAの測定結果を示している。図8において、0〜200℃のピーク1、1’、1”は脱水による吸熱ピークを、800℃から現れるピーク2,2’はα−Feが生成することによって発熱反応が生じていることを示している。また、約300℃におけるピーク3,3’,3”は 2-line ferrihydrite 微粒子の析出および成長していることを示している。具体的には、ピーク3は、上記微粒子の析出開始温度であると考えられる(約300℃)。また、ピーク3’およびピーク3”は、上記微粒子の成長促進温度(250〜300℃)であると考えられる。また、被加熱材(3)では 2-line ferrihydrite 微粒子が十分析出および成長しているため、発熱ピークが現れていないと考えられる。
すなわち、300℃以上においては、2-line ferrihydrite 微粒子の析出および成長が促進され、800℃以上においては、被加熱材とは異なるα−Feが生成する。このことから、鉄細菌酸化鉄に 2-line ferrihydrite 微粒子の析出および成長を生じさせ、かつ、α−Feを生じさせないためには、300℃以上、800℃以下で鉄細菌酸化鉄を加熱することが必要であることがわかる。
図2〜8から明らかなように、鉄細菌酸化物と被加熱材とは種々の観点から相違点が観測され、鉄細菌酸化鉄を300℃以上で加熱することによって、鉄細菌酸化鉄の構造が変化し、異なる物質となることがわかる。
(実施例2)
まず、図1に示すリチウムイオン2次電池10を作製するために、製造例1に従って製造した鉄細菌酸化鉄(2)、アセチレンブラック(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、T−30J(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を7:2:1の割合で混合し、万力を用いて圧延した。その後150℃の温度下にて上記シート状のリチウムイオン2次電池の正極を作製した。
測定用の電解質としては、ポリカーボネートおよびジメトキシエタンを1:1で混合し、その混合液に対しLiClOを1mol/lの濃度になるよう加え、測定用の電解質を調製した。その後、リチウムイオン2次電池10と上記電解液を用いて、電流0.5mA、電圧1.0〜4.2Vの条件下で充電容量および放電容量を1サイクルから5サイクルまで5段階で測定した。得られた測定結果について、図9に示した。
図9は、測定した放電容量・充電容量のcapacity (容量)を示している。capacity (容量)が右上がりであるグラフは充電容量を、右下がりのグラフは放電容量を示している。1サイクルの放電容量・充電容量は560mAh/g・515mAh/g、2サイクルの放電容量・充電容量は466mAh/g・465mAh/g、3サイクルの放電容量・充電容量は387mAh/g・383mAh/g、4サイクルの放電容量・充電容量は334mAh/g・322mAh/g、5サイクルの放電容量・充電容量は289mAh/g・254mAh/gであった。特に1サイクルでの初期放電容量は、560mAh/gであり、非常に大きな初期放電容量を得ることができた。
(実施例3)
実施例1に従って製造した被加熱材(2)を用いてリチウムイオン2次電池の正極を作製した以外は、実施例2と同様の手順で、リチウムイオン2次電池の充電容量および放電容量を測定した。測定結果について、図10に示した。
図10は、測定した放電容量・充電容量のcapacity (容量)を示している。capacity (容量)が右上がりであるグラフは充電容量を、右下がりのグラフは放電容量を示している。図10に示すように、1サイクルの放電容量・充電容量は401mAh/g・384mAh/g、2サイクルの放電容量・充電容量は369mAh/g・366mAh/g、3サイクルの放電容量・充電容量は356mAh/g・351mAh/g、4サイクルの放電容量・充電容量は350mAh/g・342mAh/g、5サイクルの放電容量・充電容量は335mAh/g・317mAh/gであった。
実施例2での測定結果と比較して、放電容量・充電容量とも低下する傾向にあるものの、サイクルを経ることによる放電容量・充電容量の低下を抑制することができ、サイクル特性を向上させることが明らかとなった。リチウムイオン2次電池としては、サイクル特性は非常に重要であるので、本発明の被加熱材を用いることは、非常に有用であるといえる。
(比較例1)
実施例2において、鉄細菌酸化鉄の換わりに 2-line ferrihydrite と呼ばれる酸化鉄(以下、適宜「比較用酸化鉄」と記す)を用いたこと以外は、実施例2と同様の手順でリチウムイオン2次電池の充電容量および放電容量を測定した。
比較用酸化鉄の合成方法としては、まず、0.025MのFe(NOの500mlに対し、0.375MのNaOHを100ml少量ずつ滴下した後に、15分間放置した。次に、生成した沈殿物から遠心分離機で酸化鉄を分離した。得られた酸化鉄を、60℃に設定した乾燥炉内で12時間乾燥した後に、アルミナ乳鉢を用いて粉砕し、比較用酸化鉄を得た。
得られた比較用酸化鉄を用いて、実施例2と同様の手順で、リチウムイオン2次電池の充電容量および放電容量を測定した。得られた測定結果について図11に示した。
図11は、測定した放電容量・充電容量のcapacity (容量)を示している。capacity (容量)が右上がりであるグラフは充電容量を、右下がりのグラフは放電容量を示している。図11に示すように、1サイクルの放電容量・充電容量は205mAh/g・163mAh/g、2サイクルの放電容量・充電容量は108mAh/g・107mAh/g、3サイクルの放電容量・充電容量は96mAh/g・96mAh/g、4サイクルの放電容量・充電容量は96mAh/g・90mAh/g、5サイクルの放電容量・充電容量は90mAh/g・86mAh/gであった。
鉄細菌酸化鉄を用いた実施例2,3の結果と比較し、比較用酸化鉄を用いた場合には、大幅に、放電容量・充電容量、サイクル特性とも低い値を示すことが明らかとなった。すなわち、鉄細菌酸化鉄を用いた正極活物質がより優れることが明らかとなった。
上記の実施例2,3においては、鉄細菌酸化鉄を得るために浄水場から採取した沈殿物に含まれる鉄細菌酸化鉄を用いたが、これに限定されるものではなく、バイオ浄水法(鉄バクテリア浄水法)(特許文献2を参照)および特開平10−338526に開示された方法によって得られた鉄細菌酸化鉄を用いても本発明に係るリチウムイオン2次電池の正極およびリチウムイオン2次電池を得ることは可能である。
本発明によれば、リチウムイオン2次電池の材料として用いた場合に、放電容量および充電容量に優れるリチウムイオン2次電池を提供することができ、LiCoOなどのコバルト含有化合物の代替材料として用いることができる正極活物質およびその利用を提供することが可能である。そのため、本発明の正極活物質、リチウムイオン2次電池の正極活物質およびリチウムイオン2次電池は、携帯電話、ノート型パソコンおよびデジタルカメラなどの電子機器分野だけでなく、それらを部品として使用する種々の分野での応用することが可能である。
本実施の形態におけるリチウムイオン2次電池の実施の一形態を示す分解図である。 製造例1および実施例1における鉄細菌酸化鉄および被加熱材のXRDの測定結果を示すグラフである。 製造例1および実施例1における鉄細菌酸化鉄および被加熱材のTEMの測定結果を示す電子回折図である。 製造例1および実施例1における鉄細菌酸化鉄および被加熱材のFTIRの測定結果を示すグラフおよび表である。 製造例1および実施例1における鉄細菌酸化鉄および被加熱材のFTIRの測定結果を示すグラフである。 製造例1および実施例1における鉄細菌酸化鉄および被加熱材のメスバウアー分光法の測定結果を示すグラフである。 製造例1における鉄細菌酸化鉄(1)のTG−DTAの測定結果を示すグラフである。 製造例1および実施例1における鉄細菌酸化鉄および被加熱材のTG−DTAの測定結果を示すグラフである。 実施例2におけるリチウムイオン2次電池の放電容量および充電容量を測定した結果を示すグラフである。 実施例3におけるリチウムイオン2次電池の放電容量および充電容量を測定した結果を示すグラフである。 比較例1におけるリチウムイオン2次電池の放電容量および充電容量を測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
1 リチウムイオン2次電池の正極
10 リチウムイオン2次電池

Claims (7)

  1. 鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄を含むことを特徴とするリチウムイオン2次電池の材料である正極活物質。
  2. 上記鉄細菌酸化鉄は、鉄バクテリア浄水法によって生じた凝集沈殿物から分離されたものであることを特徴とする請求項1に記載の正極活物質。
  3. 上記鉄細菌が、レプトシリックス属細菌( Leptothrix sp. )であることを特徴とする請求項1に記載の正極活物質。
  4. 上記鉄細菌酸化鉄が、300℃以上、800℃以下で加熱されてなる被加熱材であることを特徴とする請求項1に記載の正極活物質。
  5. 鉄細菌によって生成された鉄細菌酸化鉄が、300℃以上、800℃以下で加熱されてなる、リチウムイオン2次電池の正極の材料である被加熱材。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載の正極活物質を主要成分として含むことを特徴とするリチウムイオン2次電池の正極。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン2次電池の正極を含むことを特徴とするリチウムイオン2次電池。
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