以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
<構成>
図1に、本実施の形態に係る、リモートコントローラ(以下リモコン)30、リモコン30から指令信号を受信する外部機器である電気機器を含む、健康・リラクゼーションシステムのシステム構成図を示す。
この健康・リラクゼーションシステムは、同一室内に置かれ被験者が座るマッサージチェア110、照明機器50、エアコン70、音響機器90、アロマ芳香器130、及び冷蔵庫150の電気機器と、被験者の近傍に置かれたリモコン30とから構成される。これらの電気機器は、リモコン30から指令信号を受信することができる。照明機器50、エアコン70、音響機器90、及びアロマ芳香器130は、リモコン30から指令信号に従って運転モードを切替える機能を有する。冷蔵庫150は、液晶等の表示部164を備え、リモコン30からの指令信号に従って情報を表示する機能を有する。
この健康・リラクゼーションシステムでは、通信機構及び呼気測定機能を備えたリモコン30にユーザが呼気を吹き入れる。リモコン30は、複数種の特定ガス成分(例えば、エタン、ペンタン、一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、水素、アンモニア、アセトン、メチルメルカプタンの8種類)の濃度を測定する。リモコン30は、疲労状態又は緊張状態等のストレスに対応する特定ガスの濃度に基づいてストレスの有無を検出する。ストレスがあることが検出されると、リモコン30が、照明機器50、エアコン70、音響機器90、マッサージチェア110、及びアロマ芳香器130に運転モード指令信号を送信する。さらに、リモコン30が、8種類の特定ガスの濃度に応じて疑いのある疾患(被疑疾患)を判定して、その疾患に対応する料理を冷蔵庫150の表示部164に表示するように指令信号を送信する。
なお、リモコン30は、通信機構と呼気測定機能を有する機器であればよい。さらに、電気機器はこれらに限定されないで、冷蔵庫150に代えて又は加えて表示機能を備えた電子レンジ等の調理器具等でも構わない。
図2に、リモコン30の制御ブロック図を示す。図2に示すように、このリモコン30は、CPU(Central Processing Unit)等を備えリモコン30を制御する制御部32と、液晶等の表示部34と、被験者が操作するボタン等から構成される操作部36と、電気機器と無線通信する通信部38と、制御部32で実行されるプログラム及び各種データを記憶する記憶部40と、呼気に含まれる特定のガス成分の濃度を測定する呼気センサ部42と、呼気センサ部42の再生のための呼気センサを加熱するセンサ部ヒータをオンオフ制御するセンサ部ヒータスイッチ等のセンサ部再生ユニット44とを含む。呼気センサ部42の詳細については後述する。
図3に、照明機器50の制御ブロック図を示す。図3に示すように、この照明機器50は、演算ユニット等を備え照明機器50を制御する制御部52と、制御部52からの信号に基づいて光源56から照射される光の色温度及び照度を変更する光源駆動部54と、光源駆動部54により制御され光を照射する光源56と、ユーザが操作するボタン等から構成される操作部62と、リモコン30と無線通信する通信部58と、制御部52で実行されるプログラム及び各種データを記憶するメモリ60とを含む。
制御部52及び光源駆動部54は、光の色合いに関係のある色温度という尺度を用いて設定された光になるように光源56を制御する。色温度が低いと赤っぽいオレンジがかった温かみのある色になり、色温度が高くなるにつれて白っぽい光になる。さらに、色温度が高くなると青味がかった色になる。人を活動的にする環境にする場合には色温度の高い青い色を使い、心身をリラックスさせて安らぎを与える環境にする場合には色温度の低い赤い色を使うように、制御部52及び光源駆動部54が光源56を制御する。
さらに、光源56からの光は、照明の下にいる被験者に、色温度が高くても(青味がかっていても)照度が低い場合には不快感(陰気、寒々しい)を与え、色温度が低くても(赤味がかっていても)照度が高い場合には不快感(暑苦しさ)を与える。また、光源56からの光は、照明の下にいる被験者に、色温度が高く(青味がかっていて)照度も高い場合にはさわやか感(涼しげな感じ)を与え、色温度が低く(赤味がかっていて)照度が低い場合には穏やか(温かな感じ)を与える。
このようなことを考慮して、この照明機器50は、通常モードとリラックスモードとを制御部52が切替えることが可能に構成されている。通常モードからリラックスモードに切替えるように制御部52が光源駆動部54に指令信号を出力すると、光源駆動部54は色温度及び照度が低下するように光源56を制御する。逆に、リラックスモードから通常モードに切替えるように制御部52が光源駆動部54に指令信号を出力すると、光源駆動部54は色温度及び照度が上昇するように光源56を制御する。
図4にエアコン70の制御ブロック図を示す。図4に示すように、このエアコン70は、演算ユニット等を備えエアコン70を制御する制御部72と、制御部72からの信号に基づいて温度及び湿度を設定する温度・湿度設定部74と、コンプレッサー、送風ファン及び熱交換器等から構成される駆動部76と、ユーザが操作するボタン等から構成される操作部82と、リモコン30と無線通信する通信部78と、制御部72で実行されるプログラム及び各種データを記憶するメモリ80と、室内の温度及び湿度を検出する温度・湿度センサ84とを含む。制御部72は、温度・湿度設定部74で設定された温度及び湿度と、温度・湿度センサ84により検出された温度及び湿度との偏差がなくなるように、駆動部76を制御する
このエアコン70も、通常モードとリラックスモードとを制御部72が切替可能に構成されている。
図5に音響機器90の制御ブロック図を示す。図5に示すように、この音響機器90は、演算ユニット等を備え音響機器90を制御する制御部92と、制御部92からの信号に基づいて音楽を選定する音楽選定部94と、CD(Compact Disc)等の音楽メディアを再生する再生ユニット、アンプユニット及びスピーカユニットから構成される出力部96と、ユーザが操作するボタン等から構成される操作部102と、リモコン30と無線通信する通信部98と、制御部92で実行されるプログラム及び各種データを記憶するメモリ100とを含む。
この音響機器90も、通常モードとリラックスモードとを制御部92が切替可能に構成されている。例えば、リラックスモードが選択されると、心身をリラックスさせるような音楽が選定されて出力される。
図6にマッサージチェア110の制御ブロック図を示す。図6に示すように、このマッサージチェア110は、演算ユニット等を備えマッサージチェア110を制御する制御部112と、制御部112からの信号に基づいて複数のモータ116を制御するモータ駆動部114と、複数のモミ玉を作動させる複数のモータ116と、ユーザが操作するボタン等から構成される操作部122と、リモコン30と無線通信する通信部118と、制御部112で実行されるプログラム及び各種データを記憶するメモリ120とを含む。
このマッサージチェア110も、通常モードとリラックスモードとを制御部112が切替可能に構成されている。例えば、リラックスモードが選択されると、身体をリラックスさせるモード(例えば「こり」を積極的に揉み解すモードではないモード)によりマッサージチェア110のモータ116が制御される。
図7にアロマ芳香器130の制御ブロック図を示す。図7に示すように、このアロマ芳香器130は、演算ユニット等を備えアロマ芳香器130を制御する制御部132と、制御部132からの信号に基づいてアロマポットを加熱するヒータをオンオフ制御するヒータスイッチ134と、ユーザが操作するボタン等から構成される操作部142と、リモコン30と無線通信する通信部138と、制御部132で実行されるプログラム及び各種データを記憶するメモリ140とを含む。
このアロマ芳香器130も、通常モードとリラックスモードとを制御部132が切替可能に構成されている。例えば、リラックスモードが選択されると、身体をリラックスさせる香り(例えば心身を活発化させる香りではない香り)をアロマ芳香器130が放出するように制御される。
図8に冷蔵庫150の制御ブロック図を示す。図8に示すように、この冷蔵庫150は、演算ユニット及びタイマ等を備え冷蔵庫150を制御する制御部152と、液晶等の表示部164と、被験者が操作するボタン等から構成される操作部166と、電気機器と無線通信する通信部158と、制御部152で実行されるプログラム及び各種データを記憶するメモリ160と、外部のデータベースとの通信を実行するDBアクセス部162とを含む。
DBアクセス部162は、通信部158を介してリモコン30から受信した被疑疾患に関する情報に基づいて、その被疑疾患に対して効能があるという理由で推奨される料理を、データベースに問合せて表示部164に表示する。
図9にリモコン30の正面図を、図10にリモコン30の裏面図を、図11にリモコン30の左側面図を、それぞれ示す。
図9−図11を参照して、このリモコン30は、液晶等の表示部34と、複数の操作ボタンが配置された操作部36と、呼気センサ部42とを含む。呼気センサ部42は、リモコン30の本体下側に設けられている。この呼気センサ部42は、呼気中の特定ガス成分の濃度を測定する。被験者が、図9の紙面右側の吹込み孔から吹込んだ呼気は、このリモコン30の内部の呼気センサ部42を通り、図9の紙面左側の排気孔から排出される。
図12は、図9の矢示12−矢示12の断面図である。呼気センサ部42には、呼気に含まれる8種類の特定ガスの濃度を検出する第1の呼気センサ部190〜第8の呼気センサ部206の8個の呼気センサ部が設けられている。8個の呼気センサ部は、リモコン30の表側に4個、裏側に4個、並べて配置されている。この表側の4個の呼気センサ部と、これらの呼気センサ部に対向して設けられた裏側の4個の呼気センサ部との間に、呼気管路172が設けられている。
この呼気管路172は、リモコン30の一方の側面の吹込み孔170とリモコン30の逆側の側面の排出孔180とに接続されている。被験者は呼気を吹込み孔170から吹込む。呼気管路172には、流量センサ174、外部への測定ガスの流出を調節し、外部からの空気の逆流を遮断する2個の逆止弁178、反射板176が設けられている。流路断面積は固定であるので、流量センサではなく流速センサであっても構わない。さらに、呼気管路172に、呼気中の水蒸気を吸着するシリカゲル等が装着されることも好ましい。
反射板176は、吹込まれた呼気を呼気センサ部の方向に反射させて呼気を効率的に呼気センサ部に到達させる。第1の呼気センサ部190〜第4の呼気センサ部196を通った呼気は、リモコン30の裏面に設けられた4個の排出孔からリモコン30の外部に排出される。また、第5の呼気センサ部200〜第8の呼気センサ部206を通った呼気は、リモコン30の表面に設けられた4個の排出孔からリモコン30の外部に排出される。
これらの第1の呼気センサ部190〜第8の呼気センサ部206は、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた呼気センサをそれぞれ備え、測定対象の呼気に含まれる特定ガスの濃度に従ってその電気的な抵抗値が変化することを利用して、特定ガスの濃度を検出するものである。
図13に、これらのうち、第1の呼気センサ部190の拡大図を示す。なお、この第1の呼気センサ部190以外の第2の呼気センサ部192〜第8の呼気センサ部206も図13と同じ構造を有するため、これらについての詳細な説明は繰返さない。
第1の呼気センサ部190では、導入孔212を備えた隔室210の中に呼気に含まれる特定ガスの濃度を検出する呼気センサ216が設けられている。導入孔212には選択透過膜214が設けられる。選択透過膜214は、第1の呼気センサ部190で検出したいターゲット分子(例えばメチルメルカプタン)のみを透過させ、水蒸気及び他のターゲット分子を透過させない機能膜である。なお、呼気センサが、選択透過膜による前処理を必要としない場合には、選択透過膜は不要となる。
呼気センサ216は、保持基板220により保持されている。呼気センサ216に接触するように、呼気センサ216からのガスの脱離処理時に通電されるセンサ部ヒータ218が設けられる。
呼気センサ216は、カーボンナノチューブ(CNT)を用いたセンサであって、測定対象の呼気に含まれる特定ガスの濃度に従ってその電気的な抵抗値が変化することを利用して、特定ガスの濃度を検出するものである。選択透過膜214を透過する特定のガス分子と、呼気センサ216で検出できる特定のガス分子とは同じ種類になるように構成されている。
脱離処理とは、呼気センサ216が吸着したターゲット分子を呼気センサ216から引き離して、呼気センサ216を測定前の初期状態に戻す処理である。この脱離処理時にセンサ部ヒータ218が通電されて、呼気センサ216を活性化させて脱離処理に必要な時間を短くする。制御部32からセンサ部ヒータスイッチ44へ指令信号(オン指令信号又はオフ指令信号)が出力されて、センサ部ヒータスイッチ44は、オン指令信号に基づいてセンサ部ヒータ218への通電を開始し、オフ指令信号に基づいてセンサ部ヒータ218への通電を停止する。
排出孔222には、外部からの空気の逆流を遮断する逆止弁224が設けられる。
なお、第1の呼気センサ部190は、測定用の電気回路を備えている。センサの取付ステー及び呼気センサ216の電気配線は図示していない。
このような構造を有する8個の呼気センサ部がそれぞれ検出する特定ガスについて説明する。なお、以下に示す疾病及びしきい値は一例であって、本発明がこれらに限定されるものではない。
第1の呼気センサ部190は、呼気中のメチルメルカプタンの濃度D(1)を検出する。従って、第1の呼気センサ部190に設けられた選択透過膜は、呼気中のメチルメルカプタンのみを透過させる機能膜である。
この濃度D(1)に対するしきい値TH(1)として50ppbが記憶部40に記憶される。このメチルメルカプタンは生理的口臭の原因物質と言われる。生理的口臭は、健康状態、年齢及び性別に関係なく発生するものであって、生活リズム、習慣及び精神状態に応じて発生する。この生理的口臭は、唾液分泌量が低下するために発生するもので、起床時、食後、空腹時、疲労時、緊張時に特に多く発生する。このため、疲労時、緊張時に生理的口臭が発生していると考える。第1の呼気センサ部190により検出された呼気中のメチルメルカプタンの濃度D(1)がしきい値TH(1)を越えると被験者が疲労又は緊張している(ストレスを感じている)と判定することができる。
第2の呼気センサ部192は、呼気中のエタンの濃度D(2)を検出する。従って、第2の呼気センサ部192に設けられた選択透過膜は、呼気中のエタンのみを透過させる機能膜である。この濃度D(2)に対するしきい値TH(2)として1ppbが記憶部40に記憶される。このエタンは、脂質酸化並びに喘息及び気管支炎等の呼吸器系疾患の呼気マーカ(疾患判定)として用いられる。
第3の呼気センサ部194は、呼気中のペンタンの濃度D(3)を検出する。従って、第3の呼気センサ部194に設けられた選択透過膜は、呼気中のペンタンのみを透過させる機能膜である。この濃度D(3)に対するしきい値TH(3)として100ppbが記憶部40に記憶される。このペンタンは、脂質酸化並びに喘息及び気管支炎等の呼吸器系疾患の呼気マーカ(疾患判定)として用いられる。
第4の呼気センサ部196は、呼気中の一酸化窒素(NO)の濃度D(4)を検出する。従って、第4の呼気センサ部196に設けられた選択透過膜は、呼気中のNOのみを透過させる機能膜である。この濃度D(4)に対するしきい値TH(4)として10ppbが記憶部40に記憶される。この一酸化窒素(NO)は、喘息及び慢性閉塞性肺炎等の肺疾患の呼気マーカ(疾患判定)として用いられる。
第5の呼気センサ部200は、呼気中の一酸化炭素(CO)の濃度D(5)を検出する。従って、第5の呼気センサ部200に設けられた選択透過膜は、呼気中のCOのみを透過させる機能膜である。この濃度D(5)に対するしきい値TH(5)として1ppmが記憶部40に記憶される。この一酸化炭素(CO)は、喘息及び慢性閉塞性肺炎等の肺疾患の呼気マーカ(疾患判定)として用いられる。
第6の呼気センサ部202は、呼気中の水素の濃度D(6)を検出する。従って、第6の呼気センサ部202に設けられた選択透過膜は、呼気中の水素のみを透過させる機能膜である。この濃度D(6)に対するしきい値TH(6)として20ppmが記憶部40に記憶される。この水素は、消化不良、胃炎及び十二指腸潰瘍等の胃腸疾患の呼気マーカ(疾患判定)として用いられる。
第7の呼気センサ部204は、呼気中のアンモニアの濃度D(7)を検出する。従って、第7の呼気センサ部204に設けられた選択透過膜は、呼気中のアンモニアのみを透過させる機能膜である。この濃度D(7)に対するしきい値TH(7)として2ppmが記憶部40に記憶される。このアンモニアは、糸状体腎炎等の腎臓疾患の呼気マーカ(疾患判定)として用いられる。
第8の呼気センサ部206は、呼気中のアセトンの濃度D(8)を検出する。従って、第8の呼気センサ部206に設けられた選択透過膜は、呼気中のアセトンのみを透過させる機能膜である。この濃度D(8)に対するしきい値TH(8)として500ppmが記憶部40に記憶される。このアセトンは、糖尿病等の代謝異常疾患の呼気マーカ(疾患判定)として用いられる。
なお、メチルメルカプタンについては、しきい値を160ppbに設定して、歯周病等の口腔疾患の呼気マーカ(疾患判定)として用いることも可能である。
図14に、第8の呼気センサ部206の呼気センサ216を構成するガスセンサ素子240の概略構成を示す。なお、この第8の呼気センサ部206以外の第1の呼気センサ部190〜第7の呼気センサ部204に含まれる呼気センサも、表面修飾する物質を除いて同じであるため、これらについての詳細な説明は繰返さない。
図14を参照して、ガスセンサ素子240は、一般的に、特定の分子により表面修飾されたカーボンナノ構造体からなるセンシング部242と、センシング部242の両端に配置された電極244及び電極246とを含む。
図15に示すように、センシング部242は、CNT構造体248と、CNT構造体248表面に固定された、検出対象ガスに対応する特定の物質の分子254とを含む(ここでは分子254として金属フタロシアニンの分子構造を図示しているが、分子254は金属フタロシアニンに限定されない。)。
例えば、マンガンフタロシアニン(以下、MnPcと記載する)でカーボンナノ構造体の表面を修飾すると、呼気中のアセトンがこれらMnPcに吸着される。その結果、上述したようにカーボンナノ構造体の電気抵抗が変化する。この変化量は、カーボンナノ構造体表面に吸着したアセトン分子の量に応じて変わる。したがって、センシング部242に電流を通したときの抵抗値の変化を見ることにより、呼気中のアセトンの濃度を検出することができる。
なお、本実施の形態では、呼気センサのセンシング部242として、上述のようにアセトンを選択的に吸着するMnPcにより表面修飾されたもの(第8の呼気センサ部206)の他に、例えば、ペンタンを選択的に吸着するように表面修飾されたもの(第3の呼気センサ部194に適用)、NOを選択的に吸着するコバルトフタロシアニン(以下、CoPcと記載する)により表面修飾されたもの(第4の呼気センサ部196に適用)等、を選択的に用い、上述した8種類の特定ガスを検出している。
図16は、呼気センサ216に設けられた、ガスセンサ素子240の抵抗変化を測定するための測定回路250の構成を示す。図16を参照して、測定回路250は、定電圧源260と、定電圧源260の両端の間に直列に接続されたガスセンサ素子240及び負荷抵抗264と、ガスセンサ素子240及び負荷抵抗264の接点に接続された入力を持ち、この接点の電位変化を増幅するための増幅器266とを含む。図14に示すガスセンサ素子240の電極244は、定電圧源260のプラス端子へ、電極246は負荷抵抗264及び増幅器266へ接続される。負荷抵抗264の抵抗値は既知である。ガスセンサ素子240及び負荷抵抗264の接続点の電位を測定することにより、ガスセンサ素子240の電気抵抗の変化を知ることができ、したがって、ガスセンサ素子240に吸着した特定ガス成分の濃度を知ることができる。
図17−図19を参照して、リモコン30の制御部32で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)300で、制御部32は、リモコン30の呼気センサ部42の呼気センサを再生する要求(脱離処理する要求)があるか否かを判定する。このとき、制御部32は、操作部36の再生ボタンからの入力信号(オン信号又はオフ信号)に基づいて判定する。呼気センサを再生する要求があると判定されると(S300でYES)、制御はS302へ移される。もしそうでないと(S300でNO)、この処理は終了する。
S302で、制御部32は、センサ部ヒータスイッチ44へオン指令信号を出力する。センサ部ヒータスイッチ44は、このオン指令信号に基づいて8個のセンサ部ヒータへの通電を開始する。S304で、制御部32は、表示部34へ表示指令信号(「センサ部再生中」を表示する指令信号)を出力する。
S306で、制御部32は、呼気センサ部42の呼気センサの再生が終了したか否かを判定する。このとき、例えば、制御部32は、S302の処理から予め定められた時間(再生に必要な十分に長い時間)が経過していると8個の呼気センサの再生が終了したと判定する。呼気センサの再生が終了したと判定されると(S306でYES)、制御はS308へ移される。もしそうでないと(S306でNO)、制御はS302へ戻される。
S308で、制御部32は、センサ部ヒータスイッチ44へオフ指令信号を出力する。センサ部ヒータスイッチ44は、このオフ指令信号に基づいて8個のセンサ部ヒータへの通電を遮断する。S310で、制御部32は、表示部34へ表示指令信号(表示クリア指令信号)を出力する。
S312で、制御部32は、呼気中の特定ガス成分を測定する要求があるか否かを判定する。このとき、制御部32は、操作部36の測定開始ボタンからの入力信号(オン信号又はオフ信号)に基づいて判定する。呼気中の特定ガス成分を測定する要求があると判定されると(S312でYES)、制御はS314へ移される。もしそうでないと(S312でNO)、この処理は終了する。
S314で、制御部32は、表示部34へ表示指令信号(「測定中」を表示する指令信号)を出力する。S316で、制御部32は、呼気センサから呼気中の特定ガスの濃度を示す信号を取込む。S318で、制御部32は、呼気センサからの信号があるか否かを判定する。この判定は、呼気センサからの信号である、ガスセンサ素子240及び負荷抵抗264の接続点の電位を示す信号のレベルに基づいて行なわれる。呼気センサからの信号があると判定されると(S318でYES)、制御はS320へ移される。もしそうでないと(S318でNO)、制御はS322へ移される。なお、適当な流量センサを使う等して、適正に呼気が吹き込まれたうえでマーカ濃度が検出限界以下ならS322へ、適正に呼気が吹き込まれなかった場合は再測定要求というステップを経て、S302へ移行するようにしてもよい。
S320で、制御部32は、記憶部40に記憶された変換テーブルを用いて、呼気センサからの出力を特定ガス成分の濃度に変換する。S324で、制御部32は、記憶部40に変換された特定ガス成分の濃度を記憶する。その後、制御はS326へ移される。
S322で、制御部32は、記憶部40に検出対象のガスの濃度が検出下限以下であることを記憶する。
これらのS314〜S324の処理は、呼気センサが8個あるので、1つずつ8回実行される。その結果、記憶部40には、濃度D(1)〜濃度D(8)が記憶される(ただし、本実施の形態では、検出下限以下という濃度は0又はマイナス値として記憶される)。
S326で、制御部32は、表示部34へ表示をクリアすることを指示する表示指令信号を出力する。
S328で、制御部32は、記憶部40に記憶された濃度D(1)〜濃度D(8)及び各濃度に対するしきい値TH(1)〜しきい値TH(8)を読出す。S330で、制御部32は、呼気中のメチルメルカプタンの濃度D(1)がしきい値TH(1)(=50ppb)よりも高いか否かを判定する。呼気中のメチルメルカプタンの濃度D(1)がしきい値TH(1)よりも高いと(S330でYES)、制御はS332へ移される。もしそうでないと(S330でNO)、制御はS334へ移される。
S332で、制御部32は、通信部38を用いて、通信相手である電気機器に、リラックスモードでの運転を実行する指令信号を送信する。その後、制御はS336へ移される。一方、S334では、制御部32は、通信部38を用いて、通信相手である電気機器に、通常モードでの運転を実行する指令信号を送信する。
S336で、制御部32は、変数Nに1を代入する。S338で、制御部32は、濃度D(N)がしきい値TH(N)よりも高いか否かを判定する。濃度D(N)がしきい値TH(N)よりも高いと(S338でYES)、制御はS340へ移される。もしそうでないと(S338でNO)、制御はS346へ移される。
S340で、制御部32は被疑疾患を決定する。S342で、制御部32は、表示部34へ被疑疾患名を表示することを指示する表示指令信号を出力する。表示指令信号により、表示すべき被疑疾患名が特定される。このとき、Nが2以上で、かつ、(N−M)(M=1,2,…,N−1)に対応する被疑疾患名を表示することを指示する指令信号が出力されている場合には、(N−1)までに対応する被疑疾患名に加えてNに対応する被疑疾患名を追加して表示する。S344で、制御部32は、通信部38を用いて、通信相手である冷蔵庫150に、被疑疾患に対応する推奨料理名を表示することを指示する指令信号を送信する。
S346で、制御部32は、変数Nに1を加算する。S348で、制御部32は、変数Nが9であるか否かを判定する。変数Nが9であると(S348でYES)、制御はS350へ移される。もしそうでないと(S348でNO)、制御はS338へ戻される。
S350で、制御部32は、表示部34へ表示クリアを指示する表示指令信号を出力する。
図20を参照して、冷蔵庫150以外の電気機器の制御部で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、ここでは、冷蔵庫150以外の電気機器を代表して照明機器50を例にして説明する。
S360で、照明機器50の制御部52は、通信部58を介してリモコン30から指令信号を受信したか否かを判定する。リモコン30から指令信号を受信したと判定されると(S360でYES)、制御はS362へ移される。もしそうでないと(S360でNO)、制御はS372へ移される。なお、このときに受信する指令信号は、通常モードでの運転指令信号及びリラックスモードでの運転指令信号のいずれかである。
S362で、照明機器50の制御部52は、現在の運転モードをメモリ60から読出す。メモリ60には現在の運転モード(通常モード及びリラックスモードのいずれか)が記憶されている。S364で、照明機器50の制御部52は、モード切替が必要か否かを判定する。現在の運転モードと指令された運転モードとが不一致であると、モード切替が必要と判定される。モード切替が必要と判定されると(S364でYES)、制御はS366へ移される。もしそうでないと(S364でNO)、制御はS360へ戻される。
S366で、照明機器50の制御部52は、現在が通常モードで指令がリラックスモードであるか否かを判定する。現在が通常モードで指令がリラックスモードであると判定されると(S366でYES)、制御はS368へ移される。もしそうでないと(S366でNO)、制御はS370へ移される。
S368で、照明機器50の制御部52は、運転モードを通常モードからリラックスモードに切替えて、メモリ60に現在のモードがリラックスモードであることを記憶する。なお、このとき、制御部52及び光源駆動部54は、色温度及び照度が低下するように光源56を制御する。その後、制御はS360へ戻される。
S370で、照明機器50の制御部52は、運転モードをリラックスモードから通常モードに切替えて、メモリ60に現在のモードが通常モードであることを記憶する。なお、このとき、制御部52及び光源駆動部54は、色温度及び照度が上昇するように光源56を制御する。その後、制御はS360へ戻される。
S372で、照明機器50の制御部52は、操作部62からの指示(ユーザによる操作指令)があるか否かを判定する。操作部62からの指示があると(S372でYES)、制御はS374へ移される。もしそうでないと(S372でNO)、制御はS360へ戻される。
S374で、照明機器50の制御部52は、操作部62から入力されたユーザの操作指令に従って処理する。例えば、操作部62から照度ダウンの操作が入力されると、光源56の照度が低下される。その後、制御はS360へ戻される。
図21を参照して、冷蔵庫150の制御部152で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
S380で、制御部152は、タイマを停止する。このタイマは制御部152に内蔵されており、タイマスタートからカウントを始めて設定時間になるとタイマ満了となる。S382で、制御部152は、通信部158を介してリモコン30から指令信号を受信したか否かを判定する。リモコン30から指令信号を受信したと判定されると(S382でYES)、制御はS384へ移される。もしそうでないと(S382でNO)、制御はS392へ移される。このときに、受信する指令信号は、通常モードでの運転指令信号、リラックスモードでの運転指令信号及び被疑疾患に対応する推奨料理名を表示する指令信号のいずれかである。
S384で、制御部152は、受信した信号が、被疑疾患に対応する推奨料理名を表示することを指示する指令信号であるか否かを判定する。受信した信号が、被疑疾患に対応する推奨料理名を表示することを指示する指令信号であると判定されると(S384でYES)、制御はS386へ移される。もしそうでないと(S384でNO)、制御はS382へ戻される。
S386で、制御部152は、タイマをリセットして、スタートさせる。S388で、制御部152は、DBアクセス部162を用いて、外部のデータベースへアクセスして、被疑疾患に対応する推奨料理名を取得する。S390で、制御部152は、表示部164へ料理名を追加して表示する指令信号を出力する。その後、制御はS382へ戻される。
S392で、制御部152は、操作部166からの指示(ユーザによる操作指令)があるか否かを判定する。操作部166からの指示があると(S392でYES)、制御はS394へ移される。もしそうでないと(S392でNO)、制御はS398へ移される。
S394で、制御部152は、操作部166からの指示が表示クリア指示であるか否かを判定する。操作部166からの指示が表示クリア指示であると(S394でYES)、制御はS400へ移される。もしそうでないと(S394でNO)、制御はS396へ移される。
S396で、制御部152は、操作部166から入力されたユーザの操作指令に従って処理する。例えば、操作部166から冷蔵室温度変更の操作が入力されると、冷蔵庫150の冷蔵室の温度設定が変更される。その後、制御はS382へ戻される。
S398で、制御部152は、タイマが満了したか否かを判定する。タイマが満了していると判定されると(S398でYES)、制御はS400へ移される。もしそうでないと(S398でNO)、制御はS382へ戻される。
S400で、制御部152は、表示部164へ表示指令信号(表示クリア指令信号)を出力する。S402で、制御部152は、タイマを停止する。その後、制御はS382へ戻される。
<動作>
以上のような構造を有する健康・リラクゼーションシステムは以下のように動作する。
[リモコン30における呼気測定からモード指令出力までの動作]
例えば、マッサージチェア110に座っている被験者が、リモコン30の操作部36の再生ボタンを操作すると、再生要求を制御部32が検出する(S300でYES)。センサ部ヒータスイッチ44が制御されて、8個の第1の呼気センサ部190〜第8の呼気センサ部206のセンサ部ヒータに一定時間電流を流して加熱し、呼気センサのCNTに吸着したガス分子が脱離される(S302)。このとき、表示部34に「センサ部再生中」の文字が表示される(S304)。脱離したガス分子は、リモコン30の表面及び裏面に設けられた排出孔を通して、リモコン30の外部に排出される。
一定時間が経過すると再生が終了して(S306でYES)、センサ部ヒータへの通電が停止され、表示部34の表示がクリアされる(S308、S310)。
被験者がリモコン30の操作部36の測定開始ボタンを操作すると、測定要求を制御部32が検出する(S312でYES)、表示部34に「測定中」の文字が表示される(S316)。被験者がリモコン30の側面の吹込み孔170から呼気を吹込む。このようにして、呼気中の特定の8種類のガス成分の測定が開始される。
測定中は、図16に示す、定電圧源260により、ガスセンサ素子240と負荷抵抗264とを直列接続したものの両端に一定電圧をかけておく。例えば第8の呼気センサ部206の呼気センサ216においては、アセトン分子がCNTに吸着され、その結果、ガスセンサ素子240の電気抵抗が増加する。その変化を増幅器266でアナログ信号化し、さらにそれをA/D変換器によってデジタル化して制御部32に取込む。
呼気センサ216からの出力があると(S318でYES)、センサ出力値が濃度に変換される(S320)。変換された濃度が記憶部40に記憶される。このような処理が、8種類の特定ガスについて1回ずつ8回実行される。その結果、記憶部40には、メチルメルカプタンの濃度D(1)、エタンの濃度D(2)、ペンタンの濃度D(3)、NOの濃度D(4)、COの濃度D(5)、水素の濃度D(6)、アンモニアの濃度D(7)、及びアセトンの濃度D(8)が記憶される。ただし、呼気センサ216からの出力がなく検出下限以下の場合(S318でNO)、その特定ガスの濃度は0又はマイナス値として記憶部40に記憶される。
検出された8種類の特定ガスの濃度D(1)〜濃度D(8)が、検出下限を含めて測定されて記憶部40に記憶されると、呼気の測定が終了して、表示部34の表示がクリアされる(S326)。
記憶部40から呼気中の特定ガス成分の濃度D(1)〜濃度D(8)及び各濃度に対するしきい値TH(1)〜しきい値TH(8)が読出される(S328)。
疲労又は緊張に関係があるメチルメルカプタンの濃度D(1)がしきい値TH(1)(=50ppb)よりも高いと(S330でYES)、リモコン30から外部機器(ここでは、照明機器50、エアコン70、音響機器90、マッサージチェア110、アロマ芳香器130、及び冷蔵庫150)に、リラックスモード実行指令が出力される(S332)。ただし、冷蔵庫150においては、リラックスモード実行指令及び通常モード運転指令は、無視される。
[照明機器の動作]
リモコン30から指令を受信した外部機器の動作について説明する。なお、リモコン30から指令を受けた外部機器は、照明機器50、エアコン70、音響機器90、マッサージチェア110、アロマ芳香器130であるが、これらの中で照明機器50を例にとって以下に説明する。
リモコン30から指令を受信した照明機器50は(S360でYES)、現在の運転モードをメモリ60から読出す(S362)。現在の運転モードが通常モードであって、かつ、リモコン30から指令された運転モードがリラックスモードであると、モード切替が必要と判定され(S364でYES)、運転モードが通常モードからリラックスモードに切替えられる(S368)。
このとき、照明機器50は、色温度及び照度が低下するように制御されて、その照明機器50が設けられた部屋にいる被験者は、心身をリラックスさせることができる。その他の電気機器についてもリラックスモードで運転されるため、被験者は心身をリラックスさせることができる。
[照明機器が操作された場合の動作]
照明機器50がリモコン30から指令を受信していない状態において(S360でNO)、ユーザ(被験者を含む)により照明機器50の操作部62が操作された場合には、以下のように動作する。
例えば、ユーザにより操作部62に照度ダウンの要求が入力されると(S372でYES)、このユーザによる操作指令に従って、制御部52が処理を実行して、光源56の照度が低下される。
また、例えば、運転モードが通常モードであるときに、ユーザにより操作部62にリラックスモードへの切替要求が入力されると(S372でYES)、このユーザによる操作指令に従って、制御部52が処理を実行して、照明機器50の運転モードがリラックスモードに切替えられる。なお、この後に、リモコン30からリラックスモードでの運転指令を受信しても、運転切替の必要はないため(S364でNO)、照明機器50はそのままの運転モードを維持する。
[リモコン30における推奨料理表示指令出力の動作]
記憶部40から読出された8種類の呼気中の特定ガス濃度D(1)〜D(8)及び各濃度に対するしきい値TH(1)〜TH(8)を用いて、濃度D(N)としきい値TH(N)とが比較される(N=1〜8)。濃度D(N)がしきい値TH(N)を越えていると(S338でYES)、その特定ガスの種類に基づいて被験者の被疑疾患が決定される(S340)。
ここでは、例えば、メチルメルカプタンの濃度D(1)がしきい値TH(1)を越えていると、被疑疾患は全身疲労等に決定される。エタンの濃度D(2)がしきい値TH(2)を越えている又はペンタンの濃度D(3)がしきい値TH(3)を越えていると、被疑疾患は脂質酸化並びに喘息及び気管支炎等の呼吸器系疾患に決定される。NOの濃度D(4)がしきい値TH(4)を越えている又はCOの濃度D(5)がしきい値TH(5)を越えていると、被疑疾患は喘息及び慢性閉塞性肺炎等の肺疾患に決定される。水素の濃度D(6)がしきい値TH(6)を越えていると、被疑疾患は消化不良、胃炎及び十二指腸潰瘍等の胃腸疾患に決定される。アンモニアの濃度D(7)がしきい値TH(7)を越えていると、被疑疾患は糸状体腎炎等の腎臓疾患に決定される。アセトンの濃度D(8)がしきい値TH(8)を越えていると、被疑疾患は糖尿病等の代謝異常疾患に決定される。
冷蔵庫150に、決定された被疑疾患に対応する推奨料理を表示部164に表示するように指令信号が送信される(S344)。このようにして、特定ガス濃度D(N)がしきい値TH(N)を越えていると、被疑疾患を決定し冷蔵庫150へ指令信号を出力する処理が、最大で、特定ガスの種類である8回繰返し実行される(S338〜S348)
[冷蔵庫の動作]
リモコン30から料理表示指令を受信した冷蔵庫150の動作について説明する。ここでは、水素の濃度D(6)がしきい値TH(6)を越え、かつ、アンモニアの濃度D(7)がしきい値TH(7)を越えており、その他のガス成分濃度はしきい値を越えていないと想定する。
リモコン30から、水素の濃度D(6)に対応する被疑疾患である、消化不良、胃炎及び十二指腸潰瘍等の胃腸疾患に対応する料理を表示する指令を受信した冷蔵庫150は(S382でYES、S384でYES)、タイマをリセットしてからタイマをスタートさせる(S386)。冷蔵庫150は、DBアクセス部162を用いて、外部のデータベースに被疑疾患(消化不良、胃炎及び十二指腸潰瘍等の胃腸疾患)に対応する料理データを取得することを要求して、そのデータベースからその被疑疾患に対応する料理データを取得する(S388)。外部のデータベースから取得した被疑疾患に対応する料理名が表示部164に表示される(S390)。
さらに、リモコン30から、アンモニアの濃度D(7)に対応する被疑疾患である、糸状体腎炎等の腎臓疾患に対応する料理を表示する指令を受信した冷蔵庫150は(S382でYES、S384でYES)、タイマをリセットしてからタイマをスタートさせる(S386)。冷蔵庫150は、DBアクセス部162を用いて、外部のデータベースに次の被疑疾患(糸状体腎炎等の腎臓疾患)に対応する料理データを取得することを要求して、そのデータベースから次の被疑疾患に対応する料理データを取得する(S388)。外部のデータベースから取得した次の被疑疾患に対応する料理名が表示部164に追加表示される(S390)。
料理名は、追加して表示されるので、先の被疑疾患(消化不良、胃炎及び十二指腸潰瘍等の胃腸疾患)に対応する料理名と、後の被疑疾患(糸状体腎炎等の腎臓疾患)に対応する料理名とが、表示部164に表示される。
この例では、呼気中の8種類の特定ガス成分による被疑疾患の決定が、8個の特定ガス成分の中の2つのガス成分(水素、アンモニア)に対して行なわれるので(他の6成分はしきい値を越えなかった)、タイマが作動した状態で、リモコン30から指令信号を受信しない状態になる(S382でNO)。この状態で冷蔵庫の操作部166が何ら操作されないと(S392でNO)、タイマが満了するまでは何も表示部164の表示は変更されず、先の被疑疾患(消化不良、胃炎及び十二指腸潰瘍等の胃腸疾患)に対応する料理名と、後の被疑疾患(糸状体腎炎等の腎臓疾患)に対応する料理名とが、表示部164に表示された状態が維持される。
この状態で(すなわち、リモコン30から新たな指令信号を受信することがない状態、かつ、冷蔵庫の操作部166が何ら操作されない状態)、タイマが作動を続けてタイマが満了すると(S398でYES)、表示部164の表示がクリアされる(S400)。このように、先の被疑疾患(消化不良、胃炎及び十二指腸潰瘍等の胃腸疾患)に対応する料理名と、後の被疑疾患(糸状体腎炎等の腎臓疾患)に対応する料理名とが、ユーザが認知できるために必要な十分の時間(タイマで設定した時間)、表示部164に表示される。
[冷蔵庫が操作された場合の動作]
冷蔵庫150がリモコン30から指令を受信していない状態で(S382でNO)、ユーザにより冷蔵庫150の操作部166が操作された場合(S392でYES)には、以下のように動作する。
例えば、ユーザにより操作部166に表示部クリア要求が入力されると(S394でYES)、このユーザによる操作指令に従って、タイマが満了していなくても、制御部152が処理を実行して、冷蔵庫150の表示部164の表示がクリアされる(S400)。
また、ユーザにより操作部166に表示部クリア要求以外の要求(例えば、冷蔵室温度変更要求)が入力されると(S394でNO)、このユーザによる操作指令に従って、表示部166の表示を維持したまま、制御部152が処理を実行して、冷蔵室の設定温度が変更される。
以上のようにして、本実施の形態に係る健康・リラクゼーションシステムによると、リモコンで被験者の呼気中の8種類の特定ガス成分の濃度が検出される。その濃度を用いてリラックスが必要であると判定されると、各種の外部機器にリラックスモードでの運転指令が出力される。このため、客観的に被験者の心身状態を判定できるとともに、その客観的な判定に従って外部機器を運転させて、被験者の心身状態を向上させて健康を管理できる。さらに、特定ガス成分の濃度を用いて、その特定ガスに対応する被疑疾患が決定されて、その被疑疾患に対応する推奨料理名が調理器具に表示される。そのため、被疑疾患に対して推奨される料理を知ることができる。
なお、被疑疾患に対応する推奨料理を表示することに加えて、その被疑疾患をリモコンからマッサージチェアに送信することも好ましい。マッサージチェアを、リモコンから受信した被疑疾患に対応するツボを指圧するように制御させると、被験者が特別な操作をすることなく、被疑疾患に対応した被験者のツボを指圧することが可能になる。
さらに、被疑疾患の決定は、リモコンではなく冷蔵庫で行なってもよい。すなわち、リモコンから呼気に含まれる特定ガスの濃度を受信した冷蔵庫が、受信した濃度としきい値と比較して、被疑疾患を決定する。さらに、冷蔵庫が特定ガスの濃度を外部データベースに送信して、外部データベースにおいて被疑疾患を決定して、外部データベースから被疑疾患名を取得することもできる
さらに、冷蔵庫に食材名を入力すると推奨料理の中からその食材に対応した料理名を絞り込み表示するようにすることもできる。さらに、推奨料理に加えて栄養補助食品(サプリメント)を表示するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、外部機器の運転モード(リラックスモード、通常モード)の決定をリモコン30で行なっていたが、以下の態様であっても構わない。この態様は、図19のS330〜S334の処理を、外部機器である照明機器50、エアコン70、音響機器90、マッサージチェア110、アロマ芳香器130で行なう。すなわち、本発明は、呼気センサ搭載の端末(リモコン30)と、端末からの信号により動作する電気機器(外部機器)の組み合わせであって、電気機器が端末からのセンシング信号受信して、自己の運転モードを決定するものである。このような態様により、電気機器に呼気センサを取り外し可能な態様で付帯させて、又は、電気機器に内蔵させて、その電気機器のみで健康管理が可能となる。
さらに詳述すると、電気機器との組み合わせでリモコンが存在して、そのリモコンに呼気センサが内蔵されている。呼気センサが呼気をセンシングして計測データまたは濃度に変換したデータを信号として出力し、電気機器に送信する。電気機器は、信号を受信して、機器内で動作モードを決定し、機器制御を行なう。単純に、運転モードを決定する機能がリモコン(センサ)側でなく電気機器側にあり、上述した動作モードを決定するのがリモコン側という態様と異なるものである。なお、リモコンに関しては、例えば、電気機器と有線で接続されているもの(例えば、マッサージチェアのコントローラ等)であってもよい。センサが内蔵されている電気機器であれば、センサはただ単に電気機器の表面に埋め込まれているものであって(例えば、空気清浄機のにおいセンサ等)、その信号の送信先が電気機器の制御部となる。
さらに、測定終了時に再生処理を行なったことを記憶するようにして、このように記憶されている場合であって再生要求がない場合(S300でNO)には、処理をS312へ移すようにすることもできる。
さらに、以下のようにして、電気機器によるリラクゼーションの効果をフィードバックするようにしてもよい。電気機器は、指令信号に基づき電気機器を制御した後に、呼気に含まれる特定ガス成分の濃度を測定することをユーザに推奨する。ユーザが呼気に含まれる特定ガス成分を再度測定する。この再度測定された、ユーザの呼気に含まれる特定ガス成分に基づいて、電気機器が刺激の調整をどのように行なうべきかを判定する。この判定にしたがって、電気機器が制御される。例えば、ある程度の時間、リラックスモードで電気機器が作動された後に、ユーザに呼気測定を促して、その結果をユーザに表示したり、効果があるのであればタイマ等で停止したり、効果がないのであれば電気機器の作動時間を延長したりする。
上記実施の形態では、疲労又は緊張に関係があるメチルメルカプタンの濃度D(1)がしきい値TH(1)(=50ppb)よりも高いと(S330でYES)、リモコン30から外部機器に、リラックスモード実行指令が出力され、各電器機器がリラックスモードで動作する。つまり、メチルメルカプタンの濃度に応じてリラックスモードとするか、リラックスモードとしないか、という判定しかされていない。しかし、当業者であれば容易に分かるように、しきい値を2つ以上とり、メチルメルカプタンの濃度レベルに応じて、リラックスモードにバリエーションを持たせるようにしてもよい。
例えば、アロマテラピーの場合であれば、ストレスがかなりたまりメチルメルカプタンの濃度が高くなればなるほど、リラクゼーション効果の強い香りの成分を多くするようにしてもよい。この場合、一定時間後にメチルメルカプタンの濃度を再測定し、ストレスが軽減されつつあると判定された場合には、リラックスモードは継続するが、今度は癒しよりも活気を与える香りに徐々にシフトする、というような構成にすることもできる。さらに次の再測定でストレスがさらに減り、完全にリラックスしたと判定されたらリラックスモードを停止したり、運転を停止したり、癒し効果とは関係なく、ユーザの好きな香りを選ぶモードに移行したり、という構成をとることもできる。
上記実施の形態では、生体試料中の目的物質として呼気中の特定ガス成分の濃度を測定している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。生体試料としては、呼気、血液、涙、及び生体の分泌物等、種々のものが考えられる。目的物質としては、生体物質中に含まれる、ガス状又は液体状の、多くは疾患由来の代謝物質を使用することができる。しかし、これらの中でも呼気は、非侵襲でサンプリングが簡易に行なえる等、最も扱いやすいと考えられる。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上述した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。