JP6005494B2 - 香りの選択方法 - Google Patents

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本発明は、香りの選択方法に関する。
従来、香りによって人の感情が変化することが知られている(非特許文献1参照)。香りによって喚起される感情は、複雑で多様なものでもある。香りによって、単に快いだけではなく、爽快感を感じさせたり、ゆったりした平穏な気持ちを感じさせたりなど、気持ちの変化を与えたりすることができる。
そこで、香りの特性を評価するために、特許文献1においては、複数の感覚評定用語、感情評定用語を設定し、香りを評価する方法が開示されている。
一方で、香りによる刺激が人間の生体反応に影響を及ぼすことも知られている。
たとえば、特許文献2には、香り刺激により、呼吸パターンの乱れを緩和させる点が開示されている。また、非特許文献2には、特定の香りを嗅いだ際に、被験者は記憶を喚起するとともに、被験者の呼吸のリズムは、大きくゆっくりとしたものに変化することが開示されている。
特開2001−174450号公報 特開2006−325756号公報
鈴木武史・引地 聰・鈴木直人、2003、香りにより喚起される気分の評価尺度、Aroma Research、4(3)、233−238 Masaoka et al. (2012) Slow breathing and emotions associated with odor-induced autobiographical memories. Chemical Senses, 37, 379-388.
ここで、香りが人の心理に与える効果を利用することで、製品の魅力を高めることができる可能性がある。
香りが人の心理に与える感情として、快感情があるが、この快感情には、「すっきり」「さわやか」といった爽快感、「落ち着いた」「ゆったりとした」とした平穏、「うっとりした」「ロマンチックな」といった感動、「やる気にあふれた」「元気である」といった活気等の種々の気分因子が含まれる。
本発明者らは、製品に付して製品の魅力を高めるためには、上述した快感情のうち、特定の気分因子を喚起するための香りを客観的に信頼性のある方法で選択することが非常に重要となると考えた。
ここで、非特許文献1や、特許文献1のように、アンケートにより回答を得る方法によれば、特定の気分因子を喚起する香りを特定することはできるが、アンケート以外の手段で客観的に特定の気分因子を喚起する香りを特定する方法はこれまで知られていなかった。
また、非特許文献2、特許文献2では、生理的測定という客観的指標を利用し、香りにより、呼吸のリズムが変化することは開示されているものの、どのような香りがどのような気分因子と結びついているかまでは検討されていない。
本発明者らは、詳細で特定の気分を喚起する香りを、被験者の主観的判断のみに頼らず、客観的で信頼性のある手段によって選択する方法が必要であると考え、検討を行った。そして、香りを嗅いでいる際の呼息時間の変化を測定することによって、快感情のうちの一つの気分因子である「感動」を与える香りを選択できることがわかった。
本発明はこのような知見に基づいて発案されたものである。
すなわち、本発明によれば、
複数の異なる香りを用意する工程と、
1名以上の被験者で構成される被験者グループが前記香りを嗅ぎ、香りを嗅いだ状態における前記被験者グループの呼吸1回あたりの呼息時間データを、香りごとに取得する第一取得工程と、
以下の(A)または(B)のいずれかの方法で、前記複数の異なる香りのなかから香りを選択する第一の選択工程とを含む香りの選択方法を提供できる。
(A)前記香りを嗅いだ際の呼息時間データから各香りについて香りの呼息時間値を算出し、前記香りの呼息時間値が基準値を超える香りを選択する。
(B)前記被験者が複数であり、
各香りについて、前記香りを嗅いだ際の呼息時間データから被験者ごとの香りの呼息時間値を算出し、
各香りについて基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値を選択し、選択した被験者ごとの香りの呼息時間値の数に対応する被験者数を算出し、被験者数が一定値以上となる香りを選択する。
本発明によれば、感動を喚起する香りを選択できる香りの選択方法が提供される。
本発明の一実施形態にかかる香りの選択手順を示す図である。 分時換気量、呼息時間等を説明する図である。 実施例1における香りの嗜好性の評価結果を示す図である。 実施例1における分時換気量値、呼息時間値を示す図である。 各香りと、各気分因子との関係を示す図である。 測定状態を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
はじめに、本実施形態の香りの選択方法の概要について説明する。
図1に示すように、本実施形態の香りの選択方法は、
複数の異なる香りを用意する工程(処理S1)と、
1名以上の被験者で構成される被験者グループが前記香りを嗅いだ状態における被験者グループの呼吸1回あたりの呼息時間データを、香りごとに取得する取得工程(処理S2)と、
前記複数の異なる香りのなかから、以下の(A)または(B)のいずれかの方法で、香りを選択する選択工程(処理S5)とを含む。
(A)前記呼息時間データから各香りについて呼息時間値を算出し、前記香りの呼息時間値が基準値を超える香りを選択する。
(B)前記被験者が複数であり、
各香りについて、前記呼息時間データから被験者ごとの香りの呼息時間値を算出し、
各香りについて基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値を選択し、選択した被験者ごとの香りの呼息時間値の数に対応する被験者数を算出し、被験者数が一定値以上となる香りを選択する。
このような選択方法によれば、「うっとりした」あるいは「ロマンチックな」といった感動の気分を喚起することができる香りを選択することができる。また、測定した呼息時間値を指標として香りを選択しているため、被験者の主観的判断による影響を排除して香りを選択でき、信頼性が高い選択方法を提供することができる。
次に、本実施形態の香りの選択方法について、詳細に説明する。
(処理S1)
この工程では、複数の異なる香りを用意する。
はじめに、複数の異なる香りを含む香りの候補群を用意する。香りの候補群は、前記複数の香りよりも多い数の異なる香りで構成されていることが好ましい。
そして、この香りの候補群を、被験者に提示し、被験者から、各候補について嗜好性についての回答を得る。得られた回答を集計して、前記香りの候補群のなかから、嗜好性の高い香りを選択して、これを前記複数の異なる香りとする。
香りの候補群の各香りは、1つの香料成分からなるものであってもよく、複数の香料成分を含有する調合香料や天然香料であっても良い。
香りの候補群に含まれる各香り、たとえば、10〜20種類の香りについて、被験者の嗜好性を評価する。
被験者の人数は、特に限定されないが、複数であることが好ましい。また、被験者は後述する処理S2以降の工程で香りを提示される被験者と同一であってもよいし、別であっても良いが、別の被験者である方が好ましい。
各被験者が全ての香りの嗜好性を評価してもよく、また、一部の被験者が一部の香りの嗜好性を評価し、他の一部の被験者が他の一部の香りの嗜好性を評価してもよい。
嗜好性の評価は、たとえば、その香りがどのくらい好きかを数値で評価する。「0:非常に嫌い」「1:嫌い」「2:やや嫌い」「3:どちらでもない」「4:やや好き」「5:好き」「6:非常に好き」までの7段階の評価項目から1項目を選択する。
そして、被験者の嗜好性の評価結果の平均値が中程度の数値、たとえば、評価スコアの中央値以上、すなわち上述の7段階評価であれば3以上である香りを前記複数の異なる香りとして選択することができる。また、嗜好性の平均値が高い順に、香りの候補群のなかから複数の異なる香りを選択してもよい。
また、例えば、嗜好性を上述の7段階で評価した場合、評価スコアの中央値よりも大きい段階4である「やや好き」以上の評価結果を嗜好性の評価結果が高いとし、それ以外を低いとする。そして、嗜好性の評価結果の高い被験者の人数が多い順に、香りの候補群から香りを選択して、前記複数の異なる香りとしてもよい。
以上のようにして、複数の異なる香りを用意する。
ここで、用意される複数の異なる香りは、いずれも嗜好性の高い香りであるため、被験者が各香りを嗅いだ際に、各香りにおける呼吸1回あたりの換気量値(香りの1回換気量値)に有意差が生じないものとなる。各香りの1回換気量値の差の有無は以下の手法によって判断することができる。
1名以上の被験者で構成される被験者グループが各香りを嗅いだ際の呼吸1回あたりの換気量データから、香りごとに香りの1回換気量値VT(香り)を取得する。
各香りの1回換気量値VT(香り)は、各香りの1回換気量データの平均値、中央値あるいは最頻値のいずれであってもよい。平均値、中央値あるいは最頻値の算出方法は、後述する各香りの呼息時間値TE(香り)と同様である。
そして、各香りの1回換気量値VT(香り)を比較する。たとえば、分散分析を行い、有意確率Pを算出する。分散分析は平均値の差を検定する有意差検定として一般に知られた手法であるので、任意の統計解析ソフトを用いて、有意確率Pを算出することができる。算出した有意確率Pが、あらかじめ設定された基準である有意確率5%より大きい場合には、有意差が無いと判断し、いずれも同等の嗜好性であると判断する。
(処理S2)
次に、1名以上の被験者で構成される被験者グループに、用意した前記複数の異なる香りを提示する。この被験者グループは、前記処理S1に示した香りの嗜好性を評価して嗜好性の高い複数の異なる香りを準備する工程に参加した被験者グループでもよく、異なる被験者グループでもよい。
被験者は、複数名であることが好ましく、一部の被験者が一部の香りを嗅ぎ、他の一部の被験者が他の一部の香りを嗅いでもよく、また、全ての被験者が、全ての香りを嗅いでもよい。本実施形態では、全ての被験者が全ての香りを嗅ぐ。
そして、各香りを嗅いだ際の被験者の呼吸活動を計測して、呼吸データを取得する。
ここで、各香りを嗅いだ際の被験者の呼吸活動の計測手順の一例について説明する。ここでは、複数の異なる香りはたとえば4種類の香りとする。
はじめに、被験者に対して前記複数の異なる香りのうち、第一の香りを嗅いでもらうと同時に、呼吸活動を計測して、呼吸データを取得する(処理S2−1)。
測定装置としては、たとえば、図6に示すように、被験者の鼻に装着するマスク13と、このマスク13にチューブ(図示せず)を介して接続された呼吸測定用トランスデューサ12と、この呼吸測定用トランスデューサ12に接続された分析装置(呼気分析装置)10とを備える装置を使用できる。前述したマスク13には、他のチューブ14が接続されて、このチューブ14の吸入口に香りを提示することで、マスク13内に香りが導入されて、被験者が香りを嗅ぐこととなる。
チューブ14の吸入口に、所定時間、たとえば、30秒間、第一の香りを提示しつづけ、被験者に所定時間(30秒間)香りを嗅いでもらう。
その間に、分析装置10により、被験者の呼吸データを取得する。計測する呼吸データとしては、呼息時間データが含まれていればよいが、分時換気量データも含むことが好ましい。
ここで、呼息時間とは、図2に示すように、呼吸1回において、息を吐く時間(秒)のことをいい、分時換気量とは、1分あたりの換気量(l/min)をいう。
次に、チューブ14の吸入口に香りを提示せずに、香りの付されていない無臭空気を、被験者に嗅いでもらう。被験者が無臭空気を嗅いでいる間においても、前述した装置を使用して呼吸データを取得しておく(処理S2−2)。
ここでも、取得する呼吸データとしては、呼息時間データが含まれていればよいが、分時換気量データも含むことが好ましい。
呼吸データを計測する装置としては、呼息時間データが計測できる装置であれば、前述した構成の装置でなくても良い。好ましくは、呼息時間データに加えて、1分あたりの換気量である分時換気量データが測定できる装置であればよい。
次に、第二の香りについても、上述した処理S2−1と同様の作業を行なう。
第二の香りを被験者に提示して、第二の香りを嗅いでもらうと同時に、呼吸データを取得する(処理S2−3)。香りの種類が異なる点以外は、上述した処理S2−1と同様の作業を行なう。
その後、第二の香りを提示せずに、上述した処理S2−2と同様、香りの付されていない無臭の空気を被験者に嗅いでもらい、呼吸データを計測する(処理S2−4)。
以上のように、第三の香り、第四の香りについても処理S2−1,2−2の作業を第一の香りと同様に、実施する。
具体的には、第三の香りを被験者に提示して、第三の香りを嗅いでもらうと同時に、呼吸データを取得する(処理S2−5)。香りの種類が異なる点以外は、上述した処理S2−1と同様の作業を行なう。
その後、第三の香りを提示せずに、上述した処理S2−2と同様、香りの付されていない無臭の空気を被験者に嗅いでもらい、呼吸データを取得する(処理S2−6)。
さらに、第四の香りを被験者に提示して、第四の香りを嗅いでもらうと同時に、呼吸データを計測する(処理S2−7)。香りの種類が異なる点以外は、上述した処理S2−1と同様の作業を行なう。
その後、第四の香りを提示せずに、上述した処理S2−2と同様、香りの付されていない無臭の空気を被験者に嗅いでもらい、呼吸データを取得する(処理S2−8)。
ここで、データの信頼性を高めるために、上記処理S2−1〜処理S2−8の一連の作業を複数回繰り返すことが好ましい。各香りについての測定はそれぞれ1回でも良いが、呼吸データの信頼性を向上させるために、5回以上測定することが好ましい(処理S3)。
そして、本実施形態では、以上の作業を、被験者グループの各被験者に対して実施する。
これにより、各香りについての呼吸1回あたりの呼吸データが個人内、個人間ともに複数得られる。
香りを嗅ぐ工程と、香りが付されていない無臭空気を嗅ぐ工程とを交互に実施することで、一つ目の香りと、二つ目の香りとが混ざり合ってしまうことを防止でき、呼吸データの信頼性を向上させることができる。また、香りを続けて嗅ぐことによる嗅覚疲労を防止できる。
また、被験者が香りに順応する可能性を低減する点から、無臭空気をはさんで同じ香りを続けて提示しない方が好ましい。すなわち、無臭空気を挟んで異なる香りを提示することが好ましい。更に被験者の意図的な反応の影響や、香りの提示順による印象の影響を低減する観点から、提示の順番は完全にランダムである方が好ましい。
さらに、呼吸データの1回の測定時間(各香りを嗅ぐ時間)は、20秒〜1分が好ましく、20秒〜40秒が最も好ましい。一定の測定時間では複数の呼吸数が含まれていることがほとんどである。1回換気量や呼息時間といった、呼吸1回あたりの個人の呼吸データの算出に、複数の呼吸数の平均値を利用でき、データを安定させることができる。また逆に、一定時間以上同じ香りを継続して嗅いでいると、被験者が香りに順応して香りを感知できなくなる。そのため、被験者が各香りを嗅ぐ時間は、香りへの順応が生じない程度の時間、すなわち、20秒〜1分が好ましい。
(処理S4)
次に、以上のようにして、各香りにおいて得られた複数の呼息時間データで構成される呼息時間情報から、各香りを嗅いだ際の呼息時間値TE(香り)を算出する。以下、香りを嗅いだ際の呼息時間値TE(香り)を、香りの呼息時間値TE(香り)という。香りそれぞれについて、香りの呼息時間値TE(香り)を算出する。
香りの呼息時間値TE(香り)としては、香りを嗅いだ際の呼息時間データから算出される、平均値、中央値あるいは最頻値があげられる。
各香りの呼息時間値TE(香り)の算出方法としては、例えば以下のいずれかが挙げられる。
(1)各香りについて呼息時間データの平均値(あるいは中央値または最頻値)を算出し、この値を各香りにおける香りの呼息時間値TE(香り)とする。
(2)被験者ごとに、最初に測定した呼息時間データと、最後に測定した呼息時間データを除外する。その後、除外した呼息時間データ以外の呼息時間データに基づいて、各香りについて、呼息時間データの平均値(あるいは中央値または最頻値)を算出する。そして、算出した値を各香りにおける香りの呼息時間値TE(香り)とする。
(3)各香りの呼息時間データを数値順に並べて、各香りにおいて、呼息時間データの最小値と最大値を除外する。そして、各香りにおいて、残りの呼息時間データから、平均値(あるいは中央値または最頻値)を算出し、この値を各香りにおける香りの呼息時間値TE(香り)とする。
次に、各香りについての複数の分時換気量データで構成される分時換気量情報から、各香りを嗅いだ際の分時換気量値をV(香り)を算出する。以下、香りを嗅いだ際の分時換気量値V(香り)を香りの分時換気量値V(香り)という。香りそれぞれについて、香りの分時換気量値V(香り)を算出する。
香りの分時換気量値V(香り)としては、香りを嗅いだ際の分時換気量データから算出される、平均値、中央値あるいは最頻値があげられる。香りの分時換気量値V(香り)の算出方法は、香りの呼息時間値TE(香り)の算出方法と同様である。
また、被験者が香りを提示されていない状態で無臭空気を嗅いだ際の複数の呼息時間データで構成される呼吸時間情報から、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)を算出する。
無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)としては、無臭時の呼吸時間データから算出される平均値、中央値あるいは最頻値があげられるが、前述した香りの呼息時間値TE(香り)と比較するため、香りの呼息時間値TE(香り)と同種の値を算出するのが好ましい。無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)の算出方法は、前述した香りの呼息時間値TE(香り)の算出方法と同様である。具体的には、以下のいずれかの方法で算出することができる。
(1)無臭空気を嗅いだ際の呼息時間データの平均値(あるいは中央値または最頻値)を算出し、この値を無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)とする。
(2)被験者ごとに、最初に測定した呼息時間データと、最後に測定した呼息時間データを除外する。その後、除外した呼息時間データ以外の呼息時間データに基づいて、無臭時の呼息時間データの平均値(あるいは中央値または最頻値)を算出し、この値を無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)とする。
(3)呼息時間データを数値順に並べて、呼息時間データの最小値と最大値を除外する。残りの呼息時間データから、平均値(あるいは中央値または最頻値)を算出し、この値を無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)とする。
また、被験者が香りを提示されていない状態で無臭空気を嗅いだ際の複数の分時換気量データ(分時換気量情報)から、無臭時の分時換気量値V(無臭空気)を算出する。無臭時の分時換気量値V(無臭空気)としては、無臭時の分時換気量情報から算出される、平均値、中央値あるいは最頻値があげられるが、前述した各香りについての香りの分時換気量値V(香り)と比較するため、香りの分時換気量値V(香り)と同種の値を算出する方が好ましい。無臭時の分時換気量値V(無臭空気)の算出方法は、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)の算出方法と同様である。
(処理S5)
この工程では、複数の異なる香りのなかから、香りを選択する。
詳しくは後述するが処理S5−2、5−3では、以下の(A)または(B)のいずれかの方法で、前記複数の異なる香りのなかから香りを選択する。
(A)香りを嗅いだ際の呼息時間データから算出される香りの呼息時間値TE(香り)が基準値を超える香りを選択する。
(B)被験者が複数であり、各香りについて、被験者ごとに前記香りを嗅いだ際の呼息時間データから、被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を算出する。そして、各香りについて、基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を選択し、選択した前記被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)の数に対応する被験者数が、一定値以上となる香りを選択する。
基準値としては、たとえば、香りを嗅いだ際の全ての呼息時間データあるいは香りを嗅いだ際の全ての香りの呼息時間値TE(香り)の平均値、中央値および最頻値のうちのいずれかであってもよく、また、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)を算出し、この無臭時の呼息時間値を基準値としてもよい。
本実施形態では、香りを嗅いだ際の呼息時間データの平均値、中央値および最頻値のうちのいずれかを基準値として使用する工程(処理S5−2)、無臭時の呼息時間値を算出し、この無臭時の呼息時間値を超えた値を基準値として使用する工程(処理S5−3)について説明する。
なお、本実施形態では、被験者が意図的に行なった呼吸変化による影響を防止し、信頼性の高い評価を行なう観点から、処理S5−1を、処理S5−2および処理S5−3に先立ち実施するのが好ましい。そして、本実施形態では、処理S5―1で選択された香りについて、処理S5−2および処理S5−3を実施する。ただし、処理S5−1〜処理S5−3を行なう順番は特に限定されない。たとえば、処理S5−1〜処理S5−3を並行して行ない、全ての工程で選択された香りを選ばれた香りとしてもよい。
以下、各処理工程を詳細に説明する。
(処理S5−1)
各香りの分時換気量値V(香り)(1分間あたりの換気量)と、香りが付されていない無臭時の分時換気量値V(無臭空気)とを比較し、これらの値に統計的有意差がないことを確認する。香りの分時換気量値V(香り)と無臭時の分時換気量値V(無臭空気)との差がないと言える場合には、その香りを選択する。一方で、香りの分時換気量値V(香り)と無臭時の分時換気量値V(無臭空気)との差があると言える場合には、その香りを選択しない。
たとえば、香りが付されていない無臭空気を嗅いだ際の無臭時の分時換気量値V(無臭空気)と、各香りについての香りの分時換気量値V(香り)について、平均値同士を比較する統計解析を行う。基準となる有意確率を5%と設定して、所定の手順に従って算出した有意確率Pが、5%より大きい(有意差がない)ことで、香りの分時換気量値V(香り)と、香りが付されていない無臭時の分時換気量値V(無臭空気)との間に差がないことを確認する。
ここで有意確率を算出する方法としては、通常の統計解析で用いている方法であればどのようなものでも良く、例えば無臭時の分時換気量値V(無臭空気)と、いずれかの香りの分時換気量値V(香り)の2つの平均値を比較する場合にはt検定または分散分析を用いて有意確率Pを算出することができる。また、複数のデータを同時に比較する場合には分散分析と多重比較を用いて有意確率Pを算出し、無臭時の分時換気量値V(無臭空気)と香りの分時換気量値V(香り)との間に有意差がないかを判断できる。
有意確率Pの算出には一般の統計ソフトやMicrosoft Excel、SPSS Statisticsなどを用いることができる。
被験者が意図的に呼吸を変化させている場合には、分時換気量が変動する可能性が大きい。香りの分時換気量値Vと無臭時の分時換気量値V(無臭空気)との値の間に有意差がないことは、香りを嗅いでいる際、無臭空気を嗅いでいる際のいずれの状態においても、被験者が意図的に呼吸を変化させていないことを意味する。これにより、香りの選択方法の信頼性を高めることができる。
(処理S5−2)
ここでは、以下の(1)または(2)のいずれかの方法で香りを選択する。
(1)香りを嗅いだ際の呼息時間データから算出される香りの呼息時間値TE(香り)が基準値を超える香りを選択し、基準値を超えない香りは選択しない。
たとえば、以下の(1−1)および(1−2)のうちのいずれかの方法で算出することができる。
(1−1)全ての香りを嗅いだ際の呼息時間データの平均値、中央値および最頻値のうちのいずれか、あるいは、全ての呼息時間値TE(香り)の平均値、中央値および最頻値のうちのいずれかを基準値Aとし、処理S5−1で選択された香りのなかから、香りの呼息時間値TE(香り)がこの基準値Aを超える香りを選択する。基準値A以下となる香りは選択しない。
また、より精密な選択をする観点から、香りの呼息時間値TE(香り)が、基準値Aに対して有意に長いもの、たとえば、基準となる有意確率を5%と設定して、基準値Aに対して有意差(統計的有意差)があるものを選択してもよい。有意差がないものは選択しない。
ここで、有意確率を算出する方法としては、通常の統計解析で用いている方法であればどのようなものでも良い。例えば、基準値A(平均値)といずれかの香りの呼息時間値TE(香り)(平均値)という2つの平均値を比較する場合にはt検定又は分散分析を用いて有意確率Pを算出することができる。また、基準値A(平均値)と2以上の香りの呼息時間値TE(平均値)とを含む3以上の値を比較する場合には分散分析と多重比較を用いて、どの組み合わせの比較の間に有意な差があるかを検討し、有意確率Pを算出することができる。
算出した有意確率が5%以下である場合、有意差があると判断できる。
有意確率Pの算出に用いる一般的な統計ソフトは処理S5−1で述べたとおりである。
(1−2)各香りの呼息時間値TE(香り)を比較して、香りの呼息時間値TE(香り)が大きい方から順に、複数の異なる香りのうち、一部の香りを選択してもよい。この場合には、選択されなかった香りの呼息時間値が基準値Bとなり、基準値Bを超える香りの呼息時間値TE(香り)を有する香りを選択することとなる。
(2)各香りについて被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を算出する。被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)の算出方法は、前述した香りの呼息時間値TE(香り)の算出方法と同様である。各香りについて、被験者ごとに、呼息時間データの平均値(あるいは中央値または最頻値)を算出すればよい。
そして、香りごとに前述した基準値Aを超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を選択する。そして、選択した前記被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)の数に対応する被験者数が、一定値以上となる香りを選択する。一定値未満である香りは、選択しない。
香りごとに前述した基準値Aを超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を選択する際には、基準値Aに対して有意に長いもの、たとえば、基準となる有意確率を5%と設定して、基準値Aに対して有意差(統計的有意差)があるものを選択してもよい。
たとえば、以下の方法いずれかで選択することができる。
(2−1)被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)が前述した基準値Aを超える被験者の人数を算出し、算出した人数が最も多い香りを選択してもよい。
(2−2)また、被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)が基準値Aを超える被験者の人数が多い順に、複数の異なる香りのなかから、一部の香りを選択してもよい。
(2−3)被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)が基準値Aを超える被験者の人数が、各香りを嗅いだ全被験者数のたとえば、50%を上回る香り、好ましくは60%を上回る香りを複数選択してもよい。
(処理S5−3)
この工程では、香りを嗅いだ際の呼息時間が、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間よりも有意に長くなる香りを選択する。香りを嗅いだ際の呼息時間が、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間よりも有意に長くなっていない香りは選択しない。
ここでは、以下の(1)または(2)いずれかの方法を採用することができる。
(1)各香りを嗅いだ際の呼息時間データから算出される香りの呼息時間値TE(香り)が、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間データから算出される基準値Cを超える香りを選択する。基準値Cを超えない値は選択しない。
基準値Cとしては、前述した無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)、すなわち、無臭空気を嗅いだ際の呼息データから算出される平均値、中央値、最頻値のいずれかを使用する。
香りを嗅いだ際の香りの呼息時間値TE(香り)が、無臭空気を嗅いだ際の無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)よりも有意に長いと判断する際には処理S5-2と同様、有意確率が5%以下である事を確認するのが好ましい。
具体的には、各香りについて、香りの呼息時間値TE(香り)と、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)とを比較して、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)よりも、香りの呼息時間値TE(香り)が有意に大きくなる香りを選択する。たとえば、基準となる有意確率を5%と設定して、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)に対して有意差(統計的有意差)がある香りの呼息時間値TE(香り)となる香りを選択する。有意確率Pは処理S5−2と同様、常の統計解析で用いている方法であればどのようなものでも良い。例えば基準値Cを、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間データの平均値とする。この基準値Cおよびいずれかの香りの呼息時間値TE(香り)を比較する場合にはt検定又は分散分析を用いて有意確率Pを算出することができる。また、複数のデータを比較する場合には分散分析と多重比較を用いて、基準値Cとどの組み合わせの比較の間に有意な差があるかを検討し、有意確率Pを算出することができる。
(2)被験者ごとに、各香りについての呼息時間値TE(個人、香り)を算出する。
そして、香りごとに基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を選択し、選択した前記被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)の数に対応する被験者数が、一定値以上となる香りを選択する。一定値未満となる香りは選択しない。
香りごとに基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を選択する際には、基準値に対して有意に長いもの、たとえば、基準となる有意確率を5%と設定して、基準値に対して有意差(統計的有意差)があるものを選択してもよい。
たとえば、下記のいずれかの方法を採用することができる。
(2−1)各香りについて、被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を算出する。
一方で、被験者ごとに、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間値TE(個人、無臭空気)を算出する。被験者ごとの無臭時の呼息時間値TE(個人、無臭空気)の算出方法は、前述した無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)と同様である。ここでは、被験者ごとの無臭時の呼息時間値TE(個人、無臭空気)が基準値となる。
そして、同一被験者において、被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)と、被験者ごとの無臭時の呼息時間値TE(個人、無臭空気)とを比較する。被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)が被験者ごとの無臭時の呼息時間値TE(個人、無臭空気)よりも大きくなっている被験者数がたとえば、各香りを嗅いだ全被験者数の50%以上、好ましくは60%以上となる場合には、香りを嗅いだ際の呼息時間が、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間よりも長くなっていると判定し、その香りを選択する。
なお、この(2−1)の方法を採用する場合には、処理S4において、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)を算出しなくてもよい。
(2−2)各香りについて、被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)を算出する。
香りごとに、被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)と、処理S4ですでに算出した無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)とを比較する。被験者ごとの香りの呼息時間値TE(個人、香り)が基準値C(すなわち、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気))よりも大きくなっている被験者数がたとえば、各香りを嗅いだ全被験者数の50%以上、好ましくは60%以上となる場合には、香りを嗅いだ際の呼息時間が、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間よりも長くなっていると判定し、その香りを選択する。
処理S5−3の工程は、処理S5−2で選択した香りについてのみ行なってもよいが、処理S5−1で選択された香りについて、処理S5−2と平行して、処理S5−3を実施し、処理S5−2および処理S5−3の双方の工程で選択された香りを、最終的に選んだ香りとしてもよい。
また、本実施形態では、処理S5−2および処理S5−3を行なうとしているが、処理S5−2および処理S5−3のいずれかを実施するとしてもよい。
さらには、処理S5−1は実施しなくてもよい。
感動を与える香りを嗅いだ際の呼息時間は、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間より長くなる傾向にあるため、香りを嗅いだ際の呼息時間が、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間よりも長くなる香りを選択することで、感動を与える香りを確実に選択することができる。
また、香りを嗅いだ際の呼息時間が、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間よりも短くなる場合、その香りを嗅いだことによって不快な気分を感じている、その香りの嗜好性が低いことを示唆する。嗜好性の低い香りを排除するために、香りを嗅いだ際の呼息時間と無臭空気を嗅いだ際の呼息時間との比較が利用できる。
以上の処理S5−2あるいは処理S5−3で選択された香りは、「うっとりした」あるいは「ロマンチックな」といった感動の気分を喚起することができる香りである。なかでも、以上の処理S5−1〜S5−3のすべての工程で選択された香りは、「うっとりした」あるいは「ロマンチックな」といった感動の気分を特に喚起することができる香りであり、上述した選択方法によれば、感動を喚起する香りを選択することができる。
また、前記実施形態では、香りの候補群から、嗜好性の高い香りを選択する際に、被験者に香りの嗜好性について回答してもらい、この回答に基づいて、嗜好性の高い香りを前期複数の異なる香りとして、選択したが、複数の異なる香りを用意する方法は、これに限られるものではない。
たとえば、被験者が香りの候補を嗅いだ際の、生体反応を指標として、複数の異なる香りを選択してもよい。たとえば、被験者の呼吸1回あたりの換気量を計測し、この換気量を指標として、複数の異なる香りを選択してもよい。
具体的には、被験者が各香りの候補を嗅いだ際の呼吸1回あたりの換気量を計測して、換気量データを取得する。このとき、前記実施形態と同様に、香り候補を嗅いだ後、所定時間、香りが付されていない無臭空気を嗅ぎ、その後、異なる他の香り候補を嗅ぐという手順を繰り返すことが好ましい。
そして、被験者が、香りが付されていない無臭空気を嗅いだ際の呼吸1回あたりの換気量データも計測しておく。
各香りの候補の複数の換気量データから換気量値VT(香り候補)を算出する。また、無臭空気を嗅いだ際の換気量値VT(無臭)も算出しておく。換気量値VTの算出方法は、前述した処理S4の呼息時間値TE(香り)の算出方法と同様である。また、換気量VT(無臭)の算出方法も、前述した処理S4の呼息時間値TE(無臭)の算出方法と同様である。
そして、各香りの候補の換気量値VT(香り候補)と、換気量値VT(無臭)とを比較し、換気量値VT(無臭)よりも換気量値VT(香り候補)が大きい香りを複数選択し、これを前記複数の異なる香りとする。
嗜好性の高い香りは、呼吸1回の換気量が無臭空気を嗅いだ際の換気量よりも大きくなるため、このような方法においても、嗜好性の高い香りを前記複数の異なる香りとして用意することができる。
さらに、前記実施形態では、各香りの分時換気量値V(香り)と無臭時の分時換気量値V(無臭空気)とを比較して、有意差検定を行った上で、これらに有意な差がある場合には、その香りを選択しないとしたが、これに限られるものではない。
たとえば、各香りを嗅いだ際の酸素消費量データと、香りが付されていない無臭空気を嗅いだ際の酸素消費量データとを取得し、これらの値の間に、統計的有意差がないことを確認する。たとえば、香りが付されていない無臭空気を嗅いだ際の無臭時の酸素消費量値S(無臭空気)と、各香りについての酸素消費量値S(香り)について、平均値同士を比較する統計解析を行う。基準となる有意確率を5%と設定して、所定の手順に従って算出した有意確率Pが、5%より小さい(有意差がある)場合には、その香りを選択しないとしてもよい。被験者が意図的に呼吸活動をしている場合には、代謝が変化し、酸素消費量データにばらつきが生じる可能性があるため、このようにすることで、香りの選択方法の信頼性を高めることができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の方法を開示する。
<1>
複数の異なる香りを用意する工程と、
1名以上の被験者で構成される被験者グループが前記香りを嗅ぎ、香りを嗅いだ状態における前記被験者グループの呼吸1回あたりの呼息時間データを、香りごとに取得する第一取得工程と、
以下の(A)または(B)のいずれかの方法で、前記複数の異なる香りのなかから香りを選択する第一の選択工程とを含む香りの選択方法。
(A)前記香りを嗅いだ際の呼息時間データから各香りについて香りの呼息時間値を算出し、前記香りの呼息時間値が基準値を超える香りを選択する。
(B)前記被験者が複数であり、
各香りについて、前記香りを嗅いだ際の呼息時間データから被験者ごとの香りの呼息時間値を算出し、
各香りについて基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値を選択し、選択した被験者ごとの香りの呼息時間値の数に対応する被験者数を算出し、被験者数が一定値以上となる香りを選択する。
<2>
前記(A)において、前記香りの呼息時間値が基準値を超える香りを選択する際、あるいは、前記(B)において、前記基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値を選択する際に、
前記香りの呼息時間値又は被験者ごとの香りの呼息時間値が、統計処理の結果、前記基準値に対し有意に長いものを選択する<1>に記載の香りの選択方法。
<3>
前記基準値が、前記香りを嗅いだ状態における被験者グループの呼息時間データの平均値、中央値又は最頻値もしくは被験者グループが無臭空気を嗅いだ状態における呼息時間データの平均値、中央値又は最頻値である<1>または<2>に記載の香りの選択方法。
<4>
複数の異なる香りを用意する前記工程では、
前記複数の異なる香りを含む香りの候補群を用意し、
この香りの候補群を被験者に提示する工程と、
前記被験者から、各候補について嗜好性についての回答を得る工程と、
前記香りの候補群のなかから、被験者の嗜好性についての回答に基づき、嗜好性の高い香りを選択して、前記複数の異なる香りを用意する工程とを含<1>乃至<3>のいずれかに記載の香りの選択方法。
<5>
前記第一取得工程において、更に被験者グループが無臭空気を嗅いだ状態の分時換気量データ及び被験者グループが前記複数の異なる香りそれぞれを嗅いだ状態の分時換気量データを取得し、
被験者グループが香りを嗅いだ際の前記分時換気量データから得られる香りの分時換気量値が、無臭空気を嗅いだ際の分時換気量データから得られる分時換気量値に対して統計処理をした結果、有意な差が無い香りを選択する第二の選択工程を実施し、
前記第一の選択工程で選択され、かつ、第二の選択工程で選択された香りを選択する<1>乃至<4>のいずれかに記載の香りの選択方法。
<6>
前記第一取得工程において、被験者グループが香りを嗅いだ状態において呼息時間を含む呼吸活動を計測する工程と、被験者グループに香りを提示しない状態において呼息時間を含む呼吸活動を計測する工程とを交互に行なう<1>乃至<5>のいずれかに記載の香りの選択方法。
<7>
第一取得工程では、被験者グループに各香りを複数回提示するごとに、呼息時間を計測して呼息時間データを取得する<1>乃至<6>のいずれかに記載の香りの選択方法。
<8>
当該香りの選択方法では、感動を喚起する香りとして前記香りを選択する<1>乃至<7>のいずれかに記載の香りの選択方法。
<9>
第一取得工程において、前記被験者グループの1回あたりの呼息時間データの取得時間が20秒〜1分である<1>〜<8>のいずれかに記載の香りの選択方法。
<10>
複数の異なる香りを用意する工程において、該香りの候補群を提示され、各候補について嗜好性についての回答する被験者が、第一取得工程において呼息時間データを取得される被験者と異なる<1>〜<9>のいずれかに記載の香りの選択方法。
<11>
複数の異なる香りを用意する工程において、前記香りの候補群のなかから、嗜好性の高い香りを選択する際の選択方法が以下のいずれかである<1>〜<10>のいずれかに記載の香りの選択方法。
(1)被験者の嗜好性の評価結果の平均値が評価スコアの中央値以上である香りを選択する。
(2)嗜好性の評価結果である評価スコアの平均値が高い順に、香りの候補群のなかから複数の異なる香りを選択する。
(3)嗜好性の評価スコアの中央値よりも大きいスコア以上の評価をした被験者の人数が多い順に香りを選択する。
(実施例1)
次に、本発明の実施例について説明する。
(処理S1)
フルーツタイプ、シトラスタイプ、バニラタイプ、ミントタイプの4種類の香りをそれぞれ38名の被験者に嗅いでもらい、その嗜好性についての評価を行なった。
被験者に対して、香りの嗜好性について「0:非常に不快〜6:非常に快」の7段階で評価を求めた。そして、各香りについて、嗜好性評価の平均値を算出した。図3に示すように、いずれの香りの平均値も中程度の3を大きく上回り、嗜好性が高い香りであったため、4種とも採用した。
なお、これらの香りは、各香りの1回換気量値VT(香り)に有意差は生じないことがわかっている。
(処理S2、3)
処理S1で採用した4種類の香りを、処理S1の被験者とは別の被験者グループに嗅いでもらい、呼吸データの計測を行なった。
被験者は健康な成人26名であった(20代〜40代の男女)。
呼吸活動データを測定、記録するため、図6に示すように被験者Hには、鼻用マスク13(コンフォートジェルブルーネーザルマスク、Philips Respironics社製)を装着した。鼻用マスク13には、呼吸測定用トランスデューサ12をつけ、トランスデューサ12をガス分析装置10(CPX, アルコシステム)に接続した。またマスク13には、2方向弁(1410A、Hans Rudolph社製)を介して他のチューブ14が接続されて、この他のチューブ14の吸入口に香りを提示することで、マスク13内に香りが導入されて、被験者Hが香りを嗅ぐこととなる。
被験者は鼻用マスクを装着すると、リラックスチェアに着席した。被験者には、閉眼してリラックスした姿勢を取り、できるだけ動かないでいるよう教示した。
香りは、処理S1で選定した4種類の香りを適切な濃度に希釈し、細長く切ったろ紙の先端に少量付着させ、鼻用マスクに接続されたチューブの吸入口に提示した。香りは1回につき30秒間提示した。30秒間の提示が終わると、何も提示しない無臭の30秒間を挟み、次の香りを30秒間提示する、という試行を繰り返した。これは、前記実施形態と同様の方法であり、同じ香りが続けて提示されないよう調整した。最終的に、4種類の香りを8回ずつ提示した。
香りが提示され、被験者が香りを嗅いでいる間、および、香りが提示されずに、被験者が無臭空気を嗅いでいる間、継続して呼吸データの採取を続けた。ガス分析計(CPX, アルコシステム)から、呼吸データとして、分時換気量データ(呼吸1分間あたりの換気量)、呼吸1回あたりの呼息時間データ(息を吐いている時間)を取得した。
各香りにおいて、香りを嗅いだ際の呼息時間データの平均値を算出し、これを各香りにおいての香りの呼息時間値TE(香り)とした。また、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間データの平均値を算出し、これを無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)とした。
さらに、各香りそれぞれにおいて、香りを嗅いだ際の分時換気量データの平均値を算出し、これを各香りにおいての香りの分時換気量値V(香り)とした。
また、無臭空気を嗅いだ際の分時換気量データの平均値を算出し、これを無臭時の分時換気量値V(無臭空気)とした。
解析ソフトSPSS Statistics version18を用いて、一元配置分散分析を行った。香りの呼息時間値TE(香り)および香りが提示されていないときの無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)を、分散分析によって比較し、さらに香りの呼息時間値TE(香り)と、無臭時の呼息時間値TE(無臭空気)とのすべての組み合わせをそれぞれ比較する多重比較を行なった。多重比較には、全体の有意確率を5%としたボンフェローニ法を用いた。
同様に、香りの分時換気量値V(香り)および無臭時の分時換気量値V(無臭空気)を互いに比較し、さらに多重比較を行なった。多重比較には、全体の有意確率を5%としたボンフェローニ法を用いた。
図4(A)に示すように、分時換気量値については、無臭空気及び複数の異なる香りの間で統計的に有意な差は認められなかった。分時換気量値に差が生じないことから、被験者が意図的に呼吸のリズムや吸入量、呼息量を操作したものではないことが示唆された。
一方で、図4(B)に示すように、呼吸1回あたりの呼息時間値については、フルーツタイプの香りを嗅いだ際の呼息時間値のみが、無臭空気に比べて、統計的に有意に長くなり、また、フルーツタイプの香りを嗅いだ際の呼息時間値は他の香りを嗅いだ際の呼息時間値よりも長くなっていた。
呼息時間値が他の香りに比べて大きく、また無臭空気の呼息時間よりも有意に大きく、分時換気量値が他の香りおよび無臭空気を嗅いだ際の分時換気量に比べて有意差のないフルーツタイプの香りを、感動を与える香りとして選択した。
(検証)
次に、フルーツタイプの香りが実際にもたらした効果について検証した。
上記実施例に参加した被験者26名に対し、呼吸データの測定開始前に、その時点での気分について、気分評価測定質問紙(非特許文献1を参照して作成)への回答を求めた。
これは、ポジティブまたはネガティブな気分変化の計8因子を代表する気分評価用語からなる質問紙であった(表1)。被験者はそれぞれの気分評価用語が、現時点での自分の気分にどの程度当てはまるかを、「0:まったく当てはまらない」「1:あまり当てはまらない」「2:やや当てはまる」「3:当てはまる」「4:非常にあてはまる」の5段階で評定した。
気分評価質問紙の評価用語と気分因子
Figure 0006005494
呼吸データの測定後には、改めて4種類の香りを嗅いでもらい、測定中にその香りを嗅いだ際の気分について、上記と同様の評価を求めた。
解析では、まず、それぞれの気分評価用語への当てはまり度が、「2:やや当てはまる」「3:当てはまる」「4:非常にあてはまる」であったデータ数を、8つの気分因子ごと、測定前および4種類の香りごとに集計した。
これらの多次元データを、多変量解析ソフトSPSS Statistics version16を用いたコレスポンデンス分析により解析し、多次元空間にマッピングして要素間の関係を示した。相対的に、類似度・関係性の強い要素同士は近くに、弱い要素同士は遠くに配置される。
結果を図5に示した。香りは菱形、気分因子は正方形で表している。フルーツタイプの香りが特に感動の気分因子と近く、一方でシトラスタイプの香りは活気、ミントタイプの香りは爽快感、バニラタイプの香りは平穏と近くにマッピングされた。それぞれの香りが異なるポジティブな気分の変化を喚起したこと、そしてフルーツタイプの香りが実際に感動の気分を喚起できたことがわかる。
以上により、実施例では、確かに感動の気分を喚起する香りを選択することができたことが確認できた。
また、実施例1の処理S1の嗜好性の評価結果を参照すると、最も嗜好性が高い香りはシトラスタイプであった。しかしながら、シトラスタイプの香りの呼息時間値は、フルーツタイプの呼息時間値よりも小さく、また、無臭空気を嗅いだ際の呼息時間値に対して顕著な差が生じていない。呼息時間値は、嗜好性とは異なる要素と関連しており、その要素が感動を喚起するというものであることがこの検証により確認された。
なお、特許文献2には、外的ストレスやネガティブな感情により上昇してしまう呼吸パターンを良い香りの刺激により、理想の呼吸パターンにすることが開示されているが、この特許文献2においては、呼息時間値が、感動を喚起するという快感情と関連していることは全く開示されていない。非特許文献2においても、同様であり、呼息時間値が、感動を喚起するという快感情と関連していることは全く開示されていない。
呼息時間値が、感動を喚起するという快感情と関連しているということは、本発明者らがはじめて見出した知見である。
H 被験者
13 鼻用マスク
14 チューブ
10 ガス分析装置
12 トランスデューサ

Claims (8)

  1. 複数の異なる香りを用意する工程と、
    1名以上の被験者で構成される被験者グループが前記香りを嗅ぎ、香りを嗅いだ状態における前記被験者グループの呼吸1回あたりの呼息時間データを、香りごとに取得する第一取得工程と、
    以下の(A)または(B)のいずれかの方法で、前記複数の異なる香りのなかから香りを選択する第一の選択工程とを含む香りの選択方法。
    (A)前記香りを嗅いだ際の呼息時間データから各香りについて香りの呼息時間値を算出し、前記香りの呼息時間値が基準値を超える香りを選択する。
    (B)前記被験者が複数であり、
    各香りについて、前記香りを嗅いだ際の呼息時間データから被験者ごとの香りの呼息時間値を算出し、
    各香りについて基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値を選択し、選択した被験者ごとの香りの呼息時間値の数に対応する被験者数を算出し、被験者数が一定値以上となる香りを選択する。
  2. 前記(A)において、前記香りの呼息時間値が基準値を超える香りを選択する際、あるいは、前記(B)において、前記基準値を超える前記被験者ごとの香りの呼息時間値を選択する際に、
    前記香りの呼息時間値又は被験者ごとの香りの呼息時間値が、統計処理の結果、前記基準値に対し有意に長いものを選択する請求項1に記載の香りの選択方法。
  3. 前記基準値が、前記香りを嗅いだ状態における被験者グループの呼息時間データの平均値、中央値又は最頻値もしくは被験者グループが無臭空気を嗅いだ状態における呼息時間データの平均値、中央値又は最頻値である請求項1または2に記載の香りの選択方法。
  4. 複数の異なる香りを用意する前記工程では、
    前記複数の異なる香りを含む香りの候補群を用意し、
    前記香りの候補群を被験者に提示する工程と、
    前記被験者から、提示した各候補について嗜好性についての回答を得る工程と、
    前記香りの候補群のなかから、被験者の嗜好性についての回答に基づき、嗜好性の高い香りを選択して、前記複数の異なる香りを用意する工程とを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の香りの選択方法。
  5. 前記第一取得工程において、更に被験者グループが無臭空気を嗅いだ状態の分時換気量データ及び被験者グループが前記複数の異なる香りそれぞれを嗅いだ状態の香りの分時換気量データを取得し、
    被験者グループが香りを嗅いだ際の前記分時換気量データから得られる香りの分時換気量値が、無臭空気を嗅いだ際の分時換気量データから得られる無臭時の分時換気量値に対して統計処理をした結果、有意な差が無い香りを選択する第二の選択工程を実施し、
    前記第一の選択工程で選択され、かつ、第二の選択工程で選択された香りを選択する請求項1乃至4のいずれかに記載の香りの選択方法。
  6. 前記第一取得工程において、被験者グループが香りを嗅いだ状態において呼息時間を含む呼吸活動を計測する工程と、被験者グループに香りを提示しない状態において呼息時間を含む呼吸活動を計測する工程とを交互に行なう請求項1乃至5のいずれかに記載の香りの選択方法。
  7. 第一取得工程では、被験者グループに各香りを複数回提示するごとに、呼息時間を計測して呼息時間データを取得する請求項1乃至6のいずれかに記載の香りの選択方法。
  8. 当該香りの選択方法では、感動を喚起する香りとして前記香りを選択する請求項1乃至7のいずれかに記載の香りの選択方法。
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