以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
図に示されるように、プリンタの本体、すなわち、装置本体の下部に媒体としての用紙Pを収容する媒体収容部としての給紙カセット11が配設され、該給紙カセット11の前端に隣接させて、用紙Pを給紙する給紙機構が配設され、該給紙機構は、図示されない搬送用モータに接続された給紙ローラ12a、12bを備える。前記給紙カセット11内において、用紙Pは、シートレシーブ11aによって支持され、該シートレシーブ11aは図示されない付勢部材としてのスプリングによって押し上げられ、用紙Pの前端が前記給紙ローラ12a、12bに押し付けられる。
前記搬送用モータを駆動し、給紙ローラ12a、12bを回転させることによって一枚ずつ繰り出されて給紙された用紙Pは、上部に配設された第1の媒体搬送部としての搬送ユニット201に送られ、該搬送ユニット201によって搬送される。搬送ユニット201は、搬送ローラ部14、及び用紙Pの搬送方向における搬送ローラ部14より下流側に配設された搬送ローラ部15を備え、各搬送ローラ部14、15は、第1のローラとしてのレジストローラ14a、15a、及びレジストローラ14a、15aに押し付けられ、連れ回りで回転させられ、レジストローラ14a、15aに搬送力を付与するための第2のローラとしてのプレッシャローラ14b、15bを備える。
そして、用紙Pは、搬送部材としての、かつ、第1の転写部材としての転写ベルト17が、ベルト搬送用の駆動部としての図示されない搬送ベルトモータによって走行させられるのに伴って、前記転写ベルト17によって搬送され、用紙Pの搬送路に沿って複数配設された画像形成ユニット(IDユニット)22Bk、22Y、22M、22Cと転写ユニットu1との間を通過させられる。各画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22C及び転写ユニットu1によって、第2の媒体搬送部が構成される。また、各画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22C及び転写ユニットu1によって、画像形成部が構成され、該画像形成部によって、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像の形成が行われる。
そのために、各画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cは、像担持体としての感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C、該各感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cの表面を一様に帯電させる帯電装置としての図示されない帯電ローラ、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cの表面に形成された潜像としての静電潜像を現像し、各色の現像剤像としてのトナー像を形成する現像剤担持体としての図示されない現像ローラ、図示されないクリーニング装置等を有する。前記各感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cは、画像形成用の駆動部としての一つのIDモータ(ドラムモータ)を駆動することによって回転させられる。
また、前記各感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cの表面を露光して静電潜像を形成するために露光装置としての各LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cが、各画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cと対向させて配設される。
各画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cは、装置本体に対して着脱自在に配設され、そのために、装置本体の上部に上部カバー23が開閉自在に配設され、前記各LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cが上部カバー23によって保持される。
前記転写ユニットu1は、前記搬送ベルトモータに接続され、駆動ローラ27、アイドルローラ28、前記駆動ローラ27とアイドルローラ28とによって張設された前記転写ベルト17、及び転写ベルト17を挟んで前記各感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cと対向させて配設された第2の転写部材としての転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cを備える。なお、前記アイドルローラ28は、駆動ローラ27に対して連れ回りで回転させられ、転写ベルト17が弛まないように張力を与える。
前記各転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cは、各画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cにおいて感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cによって形成された各色のトナー像を、前記用紙Pに転写し、カラーのトナー像を形成する。なお、前記各画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cと転写ユニットu1との間、すなわち、前記各感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cと各転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cとの間に、各色の転写部が形成される。
続いて、用紙Pは、第3の媒体搬送部としての、かつ、定着装置(定着ユニット)としての定着器18に送られ、該定着器18においてカラーのトナー像が用紙Pに定着させられ、カラーの画像が形成される。そして、定着器18から送られた用紙Pは、搬送ローラ部19によって搬送された後、排出ローラ部20によって装置本体外に排出される。前記搬送ローラ部19及び排出ローラ部20は、いずれも、第1のローラとしての搬送ローラ19a、20a、及び搬送ローラ19a、20aに押し付けられ、連れ回りで回転させられ、搬送ローラ19a、20aに搬送力を付与するための第2のローラとしての排出コロ19b、20bを備える。なお、31は、定着器18から送られた用紙Pを搬送し、上部カバー23に排出し、積載させるための排出ユニットである。なお、該排出ユニット31によって第4の媒体搬送部が構成される。この場合、第1の媒体搬送部は第2の媒体搬送部より、第2の媒体搬送部は第3の媒体搬送部より、第3の媒体搬送部は第4の媒体搬送部より上流側に配設され、第4の媒体搬送部は第3の媒体搬送部より、第3の媒体搬送部は第2の媒体搬送部より、第2の媒体搬送部は第1の媒体搬送部より下流側に配設される。
前記定着器18には、定着用の駆動部としての図示されない定着モータによって回転させられる定着部材としての定着ローラ25、及び該定着ローラ25に押し付けられ、連れ回りで回転させられるとともに、定着ローラ25に搬送力を付与するための加圧部材としての加圧ローラ26が配設され、前記定着ローラ25内に配設された加熱体としてのヒータ25aからの熱によって現像剤としてのトナーは用紙P上で溶融させられる。
また、定着ローラ25は、鉄、アルミニウム等の芯金に、例えば、厚さが1.5〔mm〕のシリコーンゴム等の弾性体を被覆することによって形成され、該弾性体の表面にフッ素系樹脂から成るチューブが被覆されることによってトナーの付着が防止される。そして、加圧ローラ26は、鉄、アルミニウム等の芯金にシリコーンゴム等の弾性体を被覆することによって形成され、該弾性体の表面にフッ素系樹脂が被覆されることによって、用紙Pの搬送中に用紙詰りが発生した場合に、定着されなかったトナー像のトナーがオフセットして前記定着ローラ25に付着するのが防止される。前記定着ローラ25及び加圧ローラ26は、弾性体を備えるので、熱容量を大きくすることができるだけでなく、ニップ幅(押圧幅)を十分に確保することができる。
なお、前記搬送ローラ部14、15、19、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C、定着ローラ25、加圧ローラ26、排出ローラ部20等は、用紙Pを搬送するための回転体から成る搬送要素として機能し、前記転写ベルト17は用紙Pを搬送するための移動体から成る搬送要素として機能する。
また、装置本体の正面には、操作・表示部が形成され、該操作・表示部に、プリンタを操作するための操作部102、及びプリンタの状態を表示する表示部101が配設される。
次に、前記表示部101及び操作部102について説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態における表示部及び操作部を示す図である。
図に示されるように、表示部101は、プリンタの状態、設定の内容等を表示するための表示部材としての液晶ディスプレイ(LCD)m1を備え、操作部102は、プリンタの状態を表示するための表示要素としてのLEDm2、m3、及びプリンタに操作者からの指示を与えるための操作要素としてのキーk1〜k6を備える。本実施の形態において、表示部101及び操作部102は互いに独立させて配設されるようになっているが、表示部を操作部としても機能させるようにすることができる。その場合、表示部はタッチパネルによって形成される。
次に、プリンタの制御装置について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示す第1のブロック図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示す第2のブロック図である。なお、図4及び5に示される制御ブロック図は、一つの印刷制御装置を分割して示したものである。
図において、61は、図示されないマイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等を備えた制御部としての印刷制御部であり、該印刷制御部61は、図示されない上位装置、例えば、ホストコンピュータからインタフェース制御部62を介して受信された印刷データ及び制御コマンドに基づいて、プリンタの全体の印刷動作の制御を行い、カラー画像を形成し、印刷を行う。なお、前記インタフェース制御部62は、前記ホストコンピュータにプリンタの状態を表す情報を送信するとともに、ホストコンピュータから受信された制御コマンドを解析し、受信された印刷データを色ごとに受信メモリ63に記録する。そして、前記インタフェース制御部62を介してホストコンピュータから入力された印刷データは、印刷制御部61によって編集され、前記LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cに送られる各色の画像データとして画像データ編集メモリ64に記録される。
そして、101は表示部、102は操作部、66は、用紙Pの搬送位置を検出する複数のセンサ、プリンタ内の各部の温度及び湿度を検出するセンサ、及びカラー画像の濃度を検出するセンサから成るセンサ部であり、該センサ部66の各センサのセンサ出力が前記印刷制御部61に送られる。
該印刷制御部61には、帯電電圧制御部67、ヘッド制御部69、現像電圧制御部71、転写電圧制御部73、IDモータ制御部75、搬送モータ制御部77、搬送ベルトモータ制御部79及び定着制御部81が接続される。
前記帯電電圧制御部67は、印刷制御部61からの指示を受け、各帯電ローラ40Bk、40Y、40M、40Cに電圧を印加し、前記感光体ドラム52Bk(図1)、52Y、52M、52Cの表面を帯電させるための制御を行う。なお、前記帯電電圧制御部67は、各色ごとに制御を行うための帯電電圧制御部68Bk、68Y、68M、68Cを備え、各帯電ローラ40Bk、40Y、40M、40Cに印加される帯電電圧を制御する。
そして、前記ヘッド制御部69は、印刷制御部61からの指示を受け、画像データ編集メモリ64に記録された各色の画像データを受信し、前記各色の画像データを各LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cに送り、図示されないLEDアレイのLED素子を選択的に発光させ、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cの表面に光を照射して露光させるための制御を行い、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C上に静電潜像を形成する。なお、前記ヘッド制御部69は、各色ごとに制御を行うためのヘッド制御部70Bk、70Y、70M、70Cを備え、各LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cにイメージデータを所定のタイミングで送信するための制御を行う。
また、前記現像電圧制御部71は、印刷制御部61からの指示を受け、各現像ローラ41Bk、41Y、41M、41Cに現像電圧を印加し、各感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C上に形成された静電潜像に、トナーを付着させ、トナー像を形成するための制御を行う。なお、前記現像電圧制御部71は、各色ごとに制御を行うための現像電圧制御部72Bk、72Y、72M、72Cを備え、各現像ローラ41Bk、41Y、41M、41Cに印加される現像電圧を制御する。
そして、前記転写電圧制御部73は、印刷制御部61からの指示を受け、各転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cに転写電圧を印加し、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C上に形成されたトナー像を用紙Pに転写するための制御を行う。なお、前記転写電圧制御部73は、各色ごとの制御を行うための、かつ、各色のトナー像を順次用紙Pに転写するための、転写電圧制御部74Bk、74Y、74M、74Cを備え、各51Bk、51Y、51M、51Cに印加される転写電圧を制御する。
また、前記IDモータ制御部75は、印刷制御部61からの指示を受け、各感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C、帯電ローラ40Bk、40Y、40M、40C及び各現像ローラ41Bk、41Y、41M、41Cを回転させるための画像形成用の、かつ、搬送用の駆動部としてのIDモータ76を駆動する。
さらに、前記搬送モータ制御部77は、用紙Pを給紙し、画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cに搬送するための搬送用の駆動部としての搬送モータ78を駆動することによって、前記レジストローラ14a、15aを回転させ、前記搬送ベルトモータ制御部79は、画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cにおいて用紙Pを定着器18に搬送するための搬送用の駆動部としての搬送ベルトモータ80を駆動することによって、転写ベルト17を走行させる。
また、前記定着制御部81は、印刷制御部61からの指示を受け、定着器18の前記ヒータ25aに定着電圧を印加し、用紙Pに転写されたトナー像を定着するための制御を行う。なお、前記定着制御部81は、定着サーミスタ30による検出温度に基づいて、ヒータ制御部81bによって、ヒータ25aをオン・オフ制御するとともに、定着器18が所定の設定温度になったときに、モータ制御部81aによって、定着用の駆動部としての定着モータ82を駆動して前記定着ローラ25及び加圧ローラ26を回転させる。
そして、印刷制御部61は、インタフェース制御部62を介して上位装置から送信された印刷データ及び制御コマンドを受信する。続いて、上位装置から印刷指示を受けると、まず、受信した印刷情報に基づいて画像形成部における用紙Pの搬送速度Vb、及び定着器18における用紙Pの搬送速度を表す定着速度Vfを決定する。該定着速度Vfは、用紙P上のトナーが十分に溶融させられ、トナー像が十分に定着させられるための条件に対応した速度にされるが、そのために、画像形成ユニット22Cと定着器18との間で用紙Pに弛みが形成されるように、印刷情報に含まれる用紙Pのサイズ、厚さ、種類等に応じて前記搬送速度Vb及び定着速度Vfが設定され、定着温度Tfと共に前記印刷制御部61の記憶部61aに記録される。
そして、本実施の形態においては、長尺の用紙Pに対して良好な印刷を行うことができるように、前記記憶部61aにカスタムメディアの項目が設定され、項目カスタム1の中に、長尺の用紙Pについて搬送速度Vb、定着速度Vf及び定着温度Tfが設定され、記録される。例えば、A4判長尺といわれる幅が210〔mm〕であり、長さが1200〔mm〕であり、秤量が128〔g/m2 〕である用紙Pを使用する場合に、搬送速度Vbが120〔mm/sec〕にされ、定着速度Vfが搬送速度Vbに対して0.25〔%〕低い119.7〔mm/sec〕にされ、定着温度Tfが170〔℃〕にされる。なお、操作部102を操作することによって定着速度Vfを自由に変更することにより調整し、カスタム設定することができるようになっている。なお、61bは印刷制御部61の演算部である。
次に、定着速度Vfをカスタム設定する方法について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態における定着速度をカスタム設定する場合の表示部及び操作部を示す図である。
定着速度Vfを変更する場合、まず、キーk1〜k6を操作して定着速度Vfを変更する項目を表示部101に表示させる。この場合、後述されるようにキーk3、k4を押下することによって定着速度Vfをあらかじめ設定された幅で1刻みずつ変更することができる。なお、本実施の形態において、定着速度Vfの変更幅は+30にされ、1刻みの幅は0.1〔%〕にされる。
すなわち、液晶ディスプレイm1における定着速度Vfの変更量(刻み数)を表す補正値をγとし、変更後の定着速度をVf’とすると、定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×γ)×Vf
になる。
前述されたように、本実施の形態において、定着速度Vfは、搬送速度Vbに対して0.25〔%〕低くされ、
Vf=0.9975×Vb
であるので、定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×γ)×(0.9975×Vb)
になる。また、補正値γの初期値は零(0)にされる。
ところで、本実施の形態においては、所定の調整パターンを印刷し、印刷結果に基づいて、定着温度Vfを調整することができるようになっている。なお、102は操作部、m2、m3はLEDである。
次に、前記調整パターンについて説明する。
図7は本発明の第1の実施の形態における調整パターンの例を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における調整パターンの後半部の詳細図、図9は本発明の第1の実施の形態における調整パターンの要部を示す図である。
図に示されるように、調整パターンは、用紙P上において、用紙Pの左右の縁部間を結び、長さ方向における所定の範囲、本実施の形態においては、用紙Pの後端から前端にかけて、所定の間隔で、本実施の形態においては、等間隔で、かつ、平行に形成された複数の罫線によって構成される。前記調整パターンは、用紙Pの幅方向において複数の、本実施の形態においては、5個の領域、すなわち、罫線パターンPL1、PL2、PC、PR2、PR1に分けられる。そして、前記各罫線の間隔ΔLaは、10〔mm〕にされるが、必要に応じて変更することができる。
また、罫線パターンPL1、PR1には、用紙Pの後端から前端にかけて、定着速度Vfを調整するための指標となる目盛りが1刻みずつ付与される。そして、操作者が目視しやすいように、+1の目盛りの数値、及び+5の倍数の目盛りの数値が枠frで包囲され、その他の数値は包囲されることなく、副尺とされる。なお、前記各罫線及び目盛りの印刷には、ブラックのトナーが使用される。
ところで、前述されたように、画像形成ユニット22C(図1)と定着器18との間において用紙Pに弛みが形成されるようになっているが、弛みが大きくなると、用紙Pは、感光体ドラム52C及び転写ローラ51Cによる拘束から外れたときに、後端が跳ね上がり、画像形成ユニット22Cの底面の部位a(図2参照。)に接触し、用紙Pの後端の近傍において未定着のトナー像が前記部位aによって擦られ、画像に擦れが形成される。そして、弛みが更に大きくなると、弛みが上側に移動し、画像形成ユニット22Cの底面の部位b1、搬送路のガイドb2等に接触してしまう。その結果、未定着のトナー像が部位b1、ガイドb2等によって擦られ、画像に擦れが形成され、しかも、弛みが大きくなるほど、用紙Pの前端側に擦れが形成される。なお、画像の擦れによって画像に乱れが生じる。そこで、調整パターンにおける前記目盛りの数値は、用紙Pの後端において最も小さく、前方になるほど大きくされる。
これに対して、用紙Pに弛みが形成されず、定着器18によって用紙Pが引っ張られると、各画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cによって形成された各色のトナー像が用紙Pに転写される位置がずれ、画ずれが形成される。なお、前記画ずれによって画像に乱れが生じる。
そこで、前記罫線パターンPL2、PR2は、ブラックのトナーによって形成された、矩形の形状を有する枠帯状のパターンKp、及び該パターンKpに周縁を重ねて、シアンのトナーによって形成された、矩形の形状を有する帯状のパターンCpから成る。前記パターンKp内には、矩形の形状を有し、用紙Pの素地(白抜き)から成るパターンNpが形成される。
そして、パターンKpとパターンCpとが四辺においてオーバラップする量ΔLbは、いずれも、
ΔLb=200〔μm〕
にされる。
前記パターンKpとパターンCpとがいずれかの方向に、例えば、200〔μm〕より大きくずれて印刷されると、パターンNpが白抜きとなって罫線パターンPL2、PR2上に現れる。なお、必要に応じて量ΔLbを変更することができる。
この場合、パターンCpは、シアンのトナーだけで形成される。これは、定着速度Vfを変化させたときに、画像形成ユニット22Cは、画像形成ユニット22Bkに対して用紙Pの搬送方向において最も遠い位置に配設されているので、パターンCpにおいて画ずれが最も顕著に表れるからである。
したがって、各色のトナー像を正確な位置に転写することができず、画ずれが形成された場合に、操作者は、前記罫線パターンPL2、PR2を目視することによって画ずれを容易に確認することができる。
なお、本実施の形態においては、パターンKpを画像形成ユニット22Bkによって、パターンCpを画像形成ユニット22Cによって形成するようになっているが、画ずれが形成されていることを確認することができる場合、画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cのうちの任意の二つの画像形成ユニットによって二つのパターンを形成することができる。
そして、本実施の形態においては、用紙Pの搬送方向において、上流側から下流側にかけて画像形成ユニット22Bk、22Y、22M、22Cの順に配設されるようになっているが、画ずれが形成された場合にそれを十分に検出することができるかぎりにおいては、各画像形成ユニットを任意の順に配設することができる。
また、罫線パターンPCにおいては、用紙Pの搬送に伴って画像に擦れが形成された場合にそれを目視で確認することができるように、各罫線間の領域の全体が、ブラックのトナーによって印刷され、罫線パターンPCの面積の、用紙Pの面積に対して占める割合は10〔%〕にされる。
次に、用紙Pに対して調整パターンを印刷し、印刷結果に基づいて定着速度Vfを変更する方法、及び印刷制御部61(図4及び5)の動作について説明する。
図10は本発明の第1の実施の形態における印刷制御部の動作を示すフローチャート、図11は本発明の第1の実施の形態における調整パターンの印刷方法を示す第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態における調整パターンの印刷方法を示す第2の図、図13は本発明の第1の実施の形態における調整パターンの印刷方法を示す第3の図、図14は本発明の第1の実施の形態における調整パターンの印刷方法を示す第4の図、図15は本発明の第1の実施の形態における調整パターンの印刷方法を示す第5の図、図16は本発明の本発明の第1の実施の形態における調整パターンの印刷方法を示す第6の図、図17は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの調整パターンの印刷結果を示す図、図18は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第1の図、図19は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第2の図、図20は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第3の図、図21は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第4の図、図22は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第5の図、図23は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第6の図、図24は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第7の図、図25は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第8の図、図26は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第9の図、図27は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第10の図、図28は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第11の図、図29は本発明の第1の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第12の図、図30は本発明の第1の実施の形態における画ずれを検出したときの調整パターンの印刷結果を示す図、図31は本発明の第1の実施の形態における画ずれを検出したときの調整パターンの印刷結果を示す詳細図、図32は本発明の第1の実施の形態における画ずれを検出したときの定着速度の調整方法を示す第1の図、図33は本発明の第1の実施の形態における画ずれを検出したときの定着速度の調整方法を示す第2の図、図34は本発明の第1の実施の形態における画ずれを検出したときの定着速度の調整方法を示す第3の図である。
まず、オンラインの状態でカスタム設定を行うために、操作者は、例えば、A4判の用紙Pのように、サイズ、厚さ、種類等が一般的である場合の印刷条件を前記カスタムメディアの項目カスタム1に設定する。また、操作者は、定着速度Vfを設定するとともに、前記補正値γの初期値を零に設定する。
次に、用紙Pに対して印刷を行う。そして、画像に擦れ又は画ずれが形成されていない場合は、印刷結果に問題がなく、前記項目カスタム1の設定を変更する必要がないので、印刷を終了する。
一方、画像に擦れ又は画ずれが形成されている場合は、定着速度Vfを調整するための調整パターンを印刷する。まず、図11に示されるように、表示部101の液晶ディスプレイm1に「オンライン」が表示されている状態でキーk5を押下すると、図12に示されるように、液晶ディスプレイm1に「オフライン」が表示される。ここで、キーk1を押下すると、図13に示されるように、液晶ディスプレイm1に、各種の設定を行うためのメニュー画面が形成され、メニュー項目の設定が可能であることを表す「メニューコウモク」が表示される。
続いて、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図14に示されるように、液晶ディスプレイm1に、調整パターンを印刷するための選択項目である「カラーメニュー」が表示される。
次に、キーk1を押下すると、図15に示されるように、液晶ディスプレイm1に、調整パターンを印刷するための「カラーメニュー」内の一つ下の階層の選択項目である「カラーメニュー ノウドホセイ」が表示される。この場合、「カラーメニュー ノウドホセイ」には、擦れ及び画ずれのほかに濃度の調整等の画質に関わる設定が含まれる。
続いて、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図16に示されるように、液晶ディスプレイm1に、調整パターンを印刷するための「カラーメニュー ノウドホセイ」内の一つ下の階層の選択項目である「カラーメニュー チョウセイp」が表示される。この場合、「カラーメニュー チョウセイp」は、調整パターンの印刷を実行するための表示である。
ここで、キーk1を押下すると、印刷制御部61(図4及び5)の演算部61bの図示されない調整パターン印刷処理手段は、調整パターン印刷処理を行い、用紙Pに調整パターンを印刷する。
このとき、調整パターンに擦れ又は画ずれが形成されているかどうかを目視によって判断することができる。
例えば、図17に示される印刷結果においては、調整パターンの後半部に擦れSが斜めに形成されている。なお、該擦れSの形状は、用紙Pの左右の弛み具合の均衡、擦れる位置等によって変化する。また、用紙Pの搬送力が左右で等しく、中央部における押えが弱い場合、直線状の擦れが形成されるが、一般的に用紙Pの搬送力を左右で等しくするのは困難であるので、擦れは、引張力の強い方に曲がり、S字状になることが多い。
この場合、擦れSは、前記目盛りの「+5」の位置から用紙Pの後端にかけて斜めに形成されているので、擦れSが形成された位置、すなわち、擦れ位置αは、
α=+5
になり、定着速度Vfを変更するための前記補正値γを+5にするのが好ましいことが分かる。
次に、定着速度Vfの調整方法について説明する。
まず、図18に示されるように、液晶ディスプレイm1に「オンライン」が表示されている状態でキーk5を押下すると、図19に示されるように、液晶ディスプレイm1に「オフライン」が表示される。ここで、キーk1を押下すると、図20に示されるように、液晶ディスプレイm1に、メニュー画面が形成され、メニュー項目の設定が可能であることを表す「メニューコウモク」が表示される。
続いて、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図21に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための選択項目である「チョウセイメニュー」が表示される。
次に、キーk1を押下すると、図22に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「チョウセイメニュー」内の一つ下の階層の選択項目である「チョウセイメニュー ベルトソクド」が表示される。この場合、「チョウセイメニュー ベルトソクド」には、印刷速度に関わる設定が含まれる。
続いて、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図23に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「チョウセイメニュー テイチャクソクド」が表示される。この場合、「チョウセイメニュー テイチャクソクド」は、定着速度Vfの変更を実行するための表示である。
そこで、キーk1を押下すると、図24に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するに当たり、普通紙、厚紙等の各用紙Pの種類を設定するための「テイチャクソクド フツウシ」が表示される。
次に、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図25に示されるように、液晶ディスプレイm1に、項目カスタム1の定着速度Vfを変更するための「テイチャクソクド カスタム1」が表示される。
続いて、キーk1を押下すると、図26に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための初期値を表す「テイチャクソクド 0」が表示される。なお、液晶ディスプレイm1には、初期状態において定着速度Vfが「0」に設定されていることを表す「*」が「0」の左に、項目カスタム1の定着速度Vfを変更することを表す「カ1」が「0」の右に表示される。
次に、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図27に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための選択項目である「テイチャクソクド +5」が表示される。ここで、キーk1を長押下すると、定着速度Vfの変更が決定され、図28に示されるように、変更が決定されたことを示す「*」が「+5」の左に表示される。
このようにして、補正値γが+5に設定され、決定されると、前記演算部61bの搬送速度調整処理手段としての図示されない定着速度調整処理手段は、搬送速度調整処理としての定着速度調整処理を行い、前記補正値γに基づいて定着速度Vfを変更する。この場合、変更後の定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×5)×Vf
=1.005×Vf
=1.005×0.9975×Vb
≒1.0025×Vb
になる。
そして、前記演算部61bの図示されない記録処理手段は、記録処理を行い、記憶部61aに変更後の定着速度Vf’及び補正値γを記録する。
次に、キーk2を押下すると、図29に示されるように、液晶ディスプレイm1に、「テイチャクソクド カスタム1」が表示されるとともに、変更が決定されたことを示す「*」が「カスタム1」の左に表示される。このようにして、操作者は、定着速度Vfが変更されたことを知ることができる。
続いて、キーk2を長押下し、図11に示されるように、液晶ディスプレイm1に「オンライン」を表示させ、その後、図12〜16に示される手順で再び調整パターンの印刷を行い、該調整パターンに擦れSが形成されているかどうかを目視によって判断する。
このように、調整パターンに擦れSが形成されたときに、定着速度Vfを変更し、変更後の定着速度Vf’と搬送速度Vbとの差を小さくしたり、定着速度Vf’を搬送速度Vb以上にしたりすることによって、大きい弛みが発生するのを抑制することができるので、画像に擦れが形成されるのを防止することができる。
ところで、擦れSが「+5」の位置で形成されている場合に、補正値γを少なくとも+5以上に設定すれば、用紙Pの弛みを小さくすることができる。したがって、用紙Pの搬送力が変化しても、擦れSをその分形成されなくすることができ、擦れSにおいては、補正値γのマージンを大きくすることができる。
ところが、補正値γを過剰に大きくすると、変更後の定着速度Vf’がその分高くなり、画像形成ユニット22C(図1)においてシアンのトナー像が転写されているときに、定着器18によって用紙Pが引っ張られてしまうことがある。
その結果、調整パターンを印刷すると、調整パターン上には擦れSは形成されないが、画像形成ユニット22Bk、22Y、22Mで転写されたトナー像と画像形成ユニット22Cで転写されたトナー像との間に画ずれが形成されてしまう。
例えば、前記補正値γを+13にすると、定着速度Vf’が、
Vf’=(1+0.001×13)×Vf
=1.013×Vf
=1.013×0.9975×Vb
≒1.0105×Vb
になり、画像形成ユニット22Cにおいてシアンのトナー像が転写されているときに、定着器18によって用紙Pが引っ張られてしまう。その結果、例えば、図30に示される印刷結果においては、前記罫線パターンPL2、PR2に画ずれZが形成され、図31に示されるように、パターンNpが長さΔLbt分、白抜きとなって現れる。これは、画像形成ユニット22BkにおいてパターンKpのトナー像が転写されるときの搬送速度Vbに対して、画像形成ユニット22CにおいてパターンCpのトナー像が転写されるときの搬送速度Vbが高くなったので、画像形成ユニット22Cにおけるトナー像の転写のタイミングが見かけ上遅くなったからである。
そこで、本実施の形態においては、定着速度Vfを変更することによって、画ずれZが発生するのを防止するようにしている。
この場合、該画ずれZは、調整パターンにおける前記目盛りの「+2」の位置から調整パターンの後端にかけて形成されているので、画ずれZが形成された位置、すなわち、画ずれ位置βは、
β=+2
になるり、前記補正値γを+2だけ減算するのが好ましいことが分かる。
そこで、図32に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「チョウセイメニュー テイチャクソクド」が表示された状態で、キーk1を押下し、続いて、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図33に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための項目カスタム1の「テイチャクソクド +13」が表示される。そこで、キーk1を押下すると、定着速度Vfの変更が決定され、変更が決定されたことを示す「*」が「+13」の左に表示される。
次に、キーk3を2回押下すると、図34に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「テイチャクソクド +11」が表示される。
そして、キーk1を長押下すると、補正値γが+11に設定され、決定される。続いて、前記定着速度調整処理手段は、前記補正値γに基づいて定着速度Vfを変更する。この場合、変更後の前記定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×11)×Vf
=1.011×Vf
=1.011×0.9975×Vb
≒1.0085×Vb
になる。
そして、前記記録処理手段は、記憶部61aに変更後の定着速度Vf’及び補正値γを記録する。
続いて、キーk2を長押下し、図11に示されるように、液晶ディスプレイm1に「オンライン」を表示させ、その後、図12〜16に示される手順で再び調整パターンの印刷を行い、該調整パターンに画ずれZが形成されているかどうかを目視によって判断する。一方、調整パターンに画ずれZが形成されていない場合は、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、調整パターンに擦れSが形成されたときに、擦れ位置αに対応する補正値γで定着速度Vfを補正し、高くするようになっているので、用紙Pの弛みを小さくすることができる。したがって、画像に擦れSが形成されるのを防止することができるので、画像品位が低下するのを防止することができる。
また、調整パターンに画ずれZが形成されたときに、画ずれ位置βに対応する補正値γで定着速度Vfを補正し、低くするようになっているので、用紙Pの弛みを大きくすることができる。したがって、画像に画ずれZが形成されるのを防止することができるので、画像品位が低下するのを防止することができる。
そして、操作者は、調整パターンにおいて擦れS及び画ずれZが形成されているかどうかを判断し、擦れS及び画ずれZが形成されている場合、擦れ位置α及び画ずれ位置βを調べるだけで定着速度Vfを容易に変更し、調整することができる。また、繰り返し印刷を行う必要がないので、トナー、用紙P等を無用に消費することがない。そして、弛みセンサを配設する必要がないので、プリンタのコストを低くすることができる。
しかも、調整パターンにおいて擦れS及び画ずれZが形成されているかどうかを同時に判断することができるので、定着速度Vfを変更する作業を簡素化することができる。
さらに、擦れSが形成されない補正値γ以上に定着速度Vfを高く設定することによって、画ずれZが形成されない定着速度Vfのマージンを確認することができるので、例えば、定着速度Vfの補正値γを+8に設定した場合、擦れS及び画ずれZに対して、それぞれ補正値γで±3のマージンを設定することができる。すなわち、定着速度Vfで±0.3〔%〕のマージンを設定することができるので、プリンタの周辺の環境の変化、搬送用のローラ等の経時変化があっても、擦れS及び画ずれZが形成されるのを防止することができる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 補正値γを零にする。
ステップS2 印刷を行う。
ステップS3 擦れS又は画ずれZが形成されているかどうかを判断する。擦れS又は画ずれZが形成されている場合はステップS4に進み、形成されていない場合は処理を終了する。
ステップS4 調整パターンを印刷する。
ステップS5 擦れSが形成されているかどうかを判断する。擦れSが形成されている場合はステップS6に、形成されていない場合はステップS8に進む。
ステップS6 擦れ位置αを確認する。
ステップS7 補正値γに値αを加算する。
ステップS8 画ずれZが形成されているかどうかを判断する。画ずれZが形成されている場合はステップS9に進み、形成されていない場合は処理を終了する。
ステップS9 画ずれ位置βを確認する。
ステップS10 補正値γから値βを減算する。
ステップS11 定着速度Vfを変更する。
ステップS12 変更後の定着速度Vf’及び補正値γを記録し、ステップS4に戻る。
ところで、前記第1の実施の形態においては、同じ用紙Pに対して印刷を行う場合においても、用紙Pに転写されるトナー像のトナーの量が多くなると、用紙Pの摩擦係数がその分小さくなり、用紙Pを搬送する際にトナー像による微小スリップが発生しやすくなり、用紙Pの搬送力が小さくなるが、トナーの量が少なくなると、用紙Pの摩擦係数がその分大きくなり、用紙Pの搬送力が大きくなる。
したがって、前記調整パターンの濃度が、実際に印刷をしようとする画像の濃度(ドットが形成される面積の、用紙Pの面積に対して占める割合)より高い場合には、前記調整パターンを印刷する際の用紙Pの搬送力が小さくなるので、仮に、補正値γを、擦れSが形成される範囲と形成されない範囲との境界に近い値に設定すると、擦れSが形成されてしまう。また、逆に、前記調整パターンの濃度が、実際に印刷をしようとする画像の濃度より低い場合には、前記調整パターンを印刷する際の用紙Pの搬送力が大きくなるので、仮に、補正値γを画ずれZが形成される範囲と形成されない範囲との境界に近い値に設定すると、画ずれZが形成されてしまう。
そこで、用紙Pに転写されたトナー像のトナーの量の多寡に関係なく、擦れS及び画ずれZが形成されるのを防止することができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本発明の第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。また、本実施の形態におけるプリンタ及び制御装置の構造については、前記第1の実施の形態におけるプリンタ及び制御装置の構造と同様であるので、図1、4及び5を援用して説明する。
図35は本発明の第2の実施の形態における擦れ検出用の調整パターンの例を示す図、図36は本発明の第2の実施の形態における擦れ検出用の調整パターンの詳細図である。
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、幅が210〔mm〕であり、長さが1200〔mm〕であり、秤量が128〔g/m2 〕であるA4判長尺の媒体としての用紙Pを使用する場合、搬送速度Vbが120〔mm/sec〕にされ、定着速度Vfが搬送速度Vbに対して0.25〔%〕低い119.7〔mm/sec〕にされ、定着温度Tfが170〔℃〕にされる。
また、定着速度Vfはあらかじめ設定された幅で1刻みずつ変更することができ、本実施の形態において、定着速度Vfの変更幅は+30にされ、1刻みの幅は0.1〔%〕にされる。
そして、定着速度Vfの変更量(刻み数)を表す補正値をγとすると、変更後の定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×γ)×Vf
になる。本実施の形態において、定着速度Vfは、搬送速度Vbに対して0.25〔%〕低くされ、
Vf=0.9975×Vb
であるので、定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×γ)×(0.9975×Vb)
になる。また、補正値γの初期値は零にされる。
次に、定着温度Vfを調整するための調整パターンについて説明する。
図35及び36に示されるように、擦れ検出用の調整パターンは用紙P上において、用紙Pの左右の縁部間を結び、長さ方向における所定の範囲、本実施の形態においては、用紙Pの後端から前端にかけて、所定の間隔で、本実施の形態においては、等間隔で、かつ、平行に印刷された複数の罫線によって構成される。前記擦れ検出用の調整パターンは、用紙Pの幅方向において複数の、本実施の形態においては、7個の領域、すなわち、罫線パターンPL1、PLK、PCM、PCC、PCY、PRK、PR1に分けられる。なお、罫線パターンPLK、PCM、PCC、PCY、PRKによって罫線パターンPCが構成される。そして、前記各罫線の間隔ΔLgは、10〔mm〕にされるが、必要に応じて変更することができる。
また、罫線パターンPL1、PR1においては、用紙Pの後端から前端にかけて、定着速度Vfを調整するための指標となる目盛りが1刻みずつ付与される。そして、操作者が目視しやすいように、+1の目盛りの数値、及び+5の倍数の目盛りの数値が枠frで包囲され、その他の数値は包囲されることなく、副尺とされる。なお、各罫線及び目盛りの印刷には、ブラックのトナーが使用される。
また、罫線パターンPCにおいては、罫線パターンPL1から罫線パターンPR1に向けて、ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色のトナーによって、前記罫線パターンPLK、PCM、PCC、PCY、PRKが形成される。そして、用紙Pの搬送に伴って画像に擦れが形成されているかどうかを目視で検出することができるように、罫線パターンPCにおいては、各罫線間の領域の全体が、各色のトナーによってべた印刷され、罫線パターンPCの面積の、用紙Pの面積に対して占める割合は60〔%〕にされる。
次に、画ずれ検出用の調整パターンについて説明する。
図37は本発明の第2の実施の形態における画ずれ検出用の調整パターンを示す図、図38は本発明の第2の実施の形態における画ずれ検出用の調整パターンの後半部の詳細図、図39は本発明の第2の実施の形態における画ずれ検出用の調整パターンの要部を示す図である。
図に示されるように、画ずれ検出用の調整パターンは用紙P上において、用紙Pの左右の縁部間を結び、長さ方向における所定の範囲、本実施の形態においては、用紙Pの後端から前端にかけて、所定の間隔で、本実施の形態においては、等間隔で、かつ、平行に印刷された複数の罫線によって構成される。前記画ずれ検出用の調整パターンは、用紙Pの幅方向において複数の、本実施の形態においては、5個の領域、すなわち、罫線パターンPL1、PL2、PC、PR2、PR1に分けられる。そして、前記各罫線の間隔ΔLdは、10〔mm〕にされるが、必要に応じて変更することができる。
また、罫線パターンPL1、PR1には、用紙Pの後端から前端にかけて、定着速度Vfを調整するための指標となる目盛りが1刻みずつ付与される。そして、操作者が目視しやすいように、−1の目盛りの数値、及び−5の倍数の目盛りの数値が枠frで包囲され、その他の数値は包囲されることなく、副尺とされる。なお、各罫線及び目盛りの印刷には、ブラックのトナーが使用される。
また、罫線パターンPL2、PR2は、シアンのトナーによって形成された、矩形の形状を有するパターンCp’、及び該パターンCp’内にブラックのトナーによって形成された、矩形の形状を有する枠線状のパターンKp’から成る。
前記パターンCp’は、パターンKp’に対して四辺において外方に広がる量(オーバラップの量)ΔLfを有して形成され、該量ΔLfは、いずれも、
ΔLf=200〔μm〕
にされる。
前記パターンKp’とパターンCp’とがいずれかの方向に、例えば、200〔μm〕より大きくずれて印刷されると、パターンKp’とパターンCp’との間(パターンCp’の外周縁とパターンKp’の枠線との間)に用紙Pの素地から成るパターンNp’が白抜きとなって罫線パターンPL2、PR2上に現れる。なお、必要に応じて量ΔLfを変更することができる。
この場合、パターンCp’は、シアンのトナーだけで形成される。これは、画像形成ユニット22C(図1)は、画像形成ユニット22Bkに対して用紙Pの搬送方向において最も遠い位置に配設されているので、定着速度Vfを変化させたときに、パターンCp’において、画ずれが最も顕著に表れるからである。
したがって、各色のトナー像を正確な位置に転写することができない場合に、操作者は、前記罫線パターンPL2、PR2を目視することによって、画ずれが形成されていることを容易に確認することができる。
なお、罫線パターンPL2、PR2の面積の、用紙Pの面積に対して占める割合は5〔%〕にされる。
次に、用紙Pに対して調整パターンを印刷し、印刷結果に基づいて定着速度Vfを変更する方法、及び制御部としての印刷制御部61(図4及び5)の動作について説明する。
図40は本発明の第2の実施の形態における印刷制御部の動作を示すフローチャート、図41は本発明の第2の実施の形態における擦れを検出したときの擦れ検出用の調整パターンの印刷結果を示す図、図42は本発明の第2の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第1の図、図43は本発明の第2の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第2の図、図44は本発明の第2の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第3の図、図45は本発明の第2の実施の形態における画ずれを検出したときの画ずれ検出用の調整パターンの印刷結果を示す図、図46は本発明の第2の実施の形態における画ずれを検出したときの画ずれ検出用の調整パターンの印刷結果を示す詳細図、図47は本発明の第2の実施の形態における画ずれを検出したときの定着速度の調整方法を示す第1の図、図48は本発明の第2の実施の形態における画ずれを検出したときの定着速度の調整方法を示す第2の図、図49は本発明の第2の実施の形態における画ずれを検出したときの定着速度の調整方法を示す第3の図である。
まず、オンラインの状態でカスタム設定を行うために、操作者は、例えば、A4判等の用紙Pのように、サイズ、厚さ、種類等が一般的である場合の印刷条件を前記カスタムメディアの項目カスタム1に設定する。また、操作者は、定着速度Vfを設定するとともに、補正値γの初期値を零にする。
次に、用紙Pに対して印刷を行う。そして、画像に擦れ又は画ずれが形成されていない場合は、印刷結果に問題がなく、前記項目カスタム1の設定を変更する必要がないので、印刷を終了する。
一方、画像に擦れ又は画ずれが形成されている場合は、定着速度Vfを調整するための、擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンを、第1の実施の形態と同様に印刷する。すなわち、図16に示されるように、液晶ディスプレイm1に、調整パターンを印刷させるための「カラーメニュー チョウセイp」が表示された状態で、キーk1を押下すると、前記調整パターン印刷処理手段は、2枚の用紙Pに擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンをそれぞれ印刷する。
このとき、擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンに擦れ又は画ずれが形成されているかどうかを目視によって判断することができる。
例えば、図41に示される印刷結果においては、調整パターンの後半部に擦れS’が斜めに形成されている。
この場合、該擦れS’は、目盛りの「+6」の位置から用紙Pの後端にかけて斜めに形成されているので、前記擦れ位置αは、
α=+6
になり、前記補正値γを+6にするのが好ましいことが分かる。
次に、定着速度Vfの調整方法について説明する。
まず、前記第1の実施の形態と同様に、図25に示されるように、液晶ディスプレイm1に、項目カスタム1の定着速度Vfを変更するための「テイチャクソクド カスタム1」が表示された状態で、キーk1を押下すると、図42に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための初期値を表す「テイチャクソクド 0」が表示される。なお、液晶ディスプレイm1には、初期状態において定着速度Vfが「0」に設定されていることを表す「*」が「0」の左に、項目カスタム1の定着速度Vfを変更することを表す「カ1」が「0」の右に表示される。
次に、キーk3又はキーk4を数回押下した後にキーk1を長押下すると、図43に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「テイチャクソクド +6」が表示され、変更が決定されたことを示す「*」が「+6」の左に表示される。
このようにして、補正値γが+6に設定され、決定されると、前記定着速度調整処理手段は、補正値γに基づいて定着速度Vfを変更する。この場合、変更後の定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×6)×Vf
=1.006×Vf
=1.006×0.9975×Vb
≒1.0035×Vb
になる。
そして、前記記録処理手段は、記憶部61a(図5)に定着速度Vf’及び補正値γを記録する。
続いて、キーk2を押下すると、図44に示されるように、液晶ディスプレイm1に、「テイチャクソクド カスタム1」が表示されるとともに、変更が決定されたことを示す「*」が「テイチャクソクド カスタム1」の左に表示される。このようにして、操作者は、定着速度Vfが変更されたことを知ることができる。
そして、第1の実施の形態と同様に、再び擦れ検出用の調整パターンの印刷を行い、該擦れ検出用の調整パターンに擦れS’が形成されているかどうかを目視によって判断する。
ところで、擦れS’が「+6」の位置で形成されている場合に、補正値γを少なくとも+6以上に設定すれば、用紙Pの弛みを小さくすることができる。したがって、用紙Pの搬送力が変化しても、擦れS’をその分形成されなくすることができ、擦れS’においては、補正値γのマージンを大きくすることができる。
ところが、補正値γを過剰に大きくすると、変更後の定着速度Vf’がその分高くなり、画像形成ユニット22C(図1)においてシアンのトナー像が転写されているときに、定着装置(定着ユニット)としての定着器18によって用紙Pが引っ張られてしまうことがある。
その結果、擦れ検出用パターンを印刷すると、擦れ検出用パターンには擦れS’は発生しないが、画像形成ユニット22Bk、22Y、22Mで転写されたトナー像と画像形成ユニット22Cで転写されたトナー像との間に画ずれが形成されてしまう。
例えば、前記補正値γを+13にすると、定着速度Vf’が、
Vf’=(1+0.001×13)×Vf
=1.013×Vf
=1.013×0.9975×Vb
≒1.0105×Vb
になり、画像形成ユニット22Cにおいてシアンのトナー像が転写されているときに、定着器18によって用紙Pが引っ張られてしまう。その結果、例えば、図45に示される印刷結果においては、画ずれ検出用の調整パターンにおける後端部の四つの罫線パターンPL2、PR2に画ずれZ’が形成され、図46に示されるように、パターンNp’が量ΔLftの長さ分、白抜となって現れる。これは、画像形成ユニット22BkにおいてパターンKp’のトナー像が転写されるときの搬送速度Vbに対して、画像形成ユニット22CにおいてパターンCp’のトナー像が転写されるときの搬送速度Vbが高くなったので、画像形成ユニット22Cにおけるトナー像の転写のタイミングが見かけ上遅くなったからである。
そこで、本実施の形態においては、定着速度Vfを変更することによって、画ずれZ’が発生するのを防止するようにしている。
この場合、前記画ずれZ’は、図45に示されるように、目盛りの「−4」の位置から画ずれ検出用の調整パターンの後端にかけて形成されているので、画ずれ位置βは、
β=−4
になり、前記補正値γを−4だけ加算するのが好ましいことが分かる。
なお、本実施の形態においては、画ずれ検出用の調整パターンの目盛りに負の数値を使用しているので、画ずれ位置βは負の値を採るが、前記目盛りに正の数値を使用した場合、画ずれ位置βは正の値を採る。
そして、図47に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「チョウセイメニュー テイチャクソクド」が表示された状態で、キーk1を押下し、続いて、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図48に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための項目カスタム1の「テイチャクソクド +13」が表示される。そこで、キーk1を押下すると、定着速度Vfの変更が決定され、変更が決定されたことを示す「*」が「+13」の左に表示される。
次に、キーk3を4回押下すると、図49に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「テイチャクソクド +9」が表示される。
そして、キーk1を長押下すると、補正値γが+9に設定され、決定される。続いて、前記定着速度調整処理手段は、前記補正値γに基づいて定着速度Vfを変更する。この場合、変更後の定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×9)×Vf
=1.009×Vf
=1.009×0.9975×Vb
≒1.0065×Vb
になる。
そして、前記記録処理手段は、記憶部61aに定着速度Vf’及び補正値γを記録する。
その後、再び画ずれ検出用の調整パターンの印刷を行い、該調整パターンに画ずれZ’が形成されているかどうかを目視によって判断する。一方、調整パターンに画ずれZ’が形成されていない場合は、処理を終了する。
ところで、前述されたように、擦れ検出用の調整パターンにおいて、罫線パターンPCの面積の、用紙Pの面積に対して占める割合は60〔%〕にされ、これに対して、画ずれ検出用の調整パターンにおいて、罫線パターンPL2、PR2の面積の、用紙Pの面積に対して占める割合は5〔%〕にされる。
すなわち、本実施の形態においては、擦れ検出用の調整パターンの濃度を高く、画ずれ検出用の調整パターンの濃度を低くすることができる。したがって、前記擦れ検出用の調整パターンの濃度は実際に印刷をしようとする画像の濃度より低くならないので、前記調整パターンを印刷する際の用紙Pの搬送力が小さくなるのを防止することができる。その結果、仮に、補正値γを、擦れS’が形成される範囲と形成されない範囲との境界に近い値に設定しても、擦れS’が形成されるのを防止することができる。また、前記画ずれ検出用の調整パターンの濃度は実際に印刷をしようとする画像の濃度より高くならないので、前記調整パターンを印刷する際の用紙Pの搬送力が大きくなるのを防止することができる。その結果、仮に、補正値γを、画ずれZ’が形成される範囲と形成されない範囲との境界に近い値に設定しても、画ずれZ’が形成されるのを防止することができる。
このように、本実施の形態においては、擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンをそれぞれ独立して印刷することができるので、各調整パターンの印刷条件を異ならせることができる。したがって、実際に印刷をする場合に、用紙Pに転写されたトナー像のトナーの量の多寡に関係なく、擦れS’及び画ずれZ’が形成されるのを防止することができる
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 補正値γを零にする。
ステップS22 印刷を行う。
ステップS23 擦れS’又は画ずれZ’が形成されているかどうかを判断する。擦れS’又は画ずれがZ’形成されている場合はステップS24に進み、形成されていない場合は処理を終了する。
ステップS24 擦れ検出用及び画ずれ検出用の調整パターンを印刷する。
ステップS25 擦れS’が形成されているかどうかを判断する。擦れS’が形成されている場合はステップS26に、形成されていない場合はステップS28に進む。
ステップS26 擦れ位置αを確認する。
ステップS27 補正値γに値αを加算する。
ステップS28 画ずれZ’が形成されているかどうかを判断する。画ずれZ’が形成されている場合はステップS29に進み、形成されていない場合は処理を終了する。
ステップS29 画ずれ位置βを確認する。
ステップS30 補正値γに値βを加算する。
ステップS31 定着速度Vfを変更する。
ステップS32 変更後の定着速度Vf’及び補正値γを記録し、ステップS24に戻る。
本実施の形態においては、擦れS’及び画ずれZ’を検出するために、一度の操作で2枚の用紙Pに対して調整パターンの印刷を行うようになっているが、必ずしも一度の操作で2枚の用紙Pに対して調整パターンの印刷を行う必要はない。
ところで、第1、第2の実施の形態においては、印刷枚数が多くなると、搬送ローラ部14、15、19、像担持体としての感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C、第1の転写部材としての転写ベルト17、定着部材としての定着ローラ25、加圧部材としての加圧ローラ26、排出ローラ部20等の各搬送要素の表面、すなわち、搬送面に紙粉が付着したり、搬送面が劣化したり、搬送ローラ部14、15、19、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C、定着ローラ25、加圧ローラ26、排出ローラ部20等の摩耗によって外径が小さくなったりすると、搬送力が小さくなる。また、前記各搬送要素は、保守部品及び交換部品でもあるので、所定の枚数の用紙Pに対して印刷が行われると、寿命として交換される。したがって、交換された搬送要素だけ搬送力が大きくなる。
そこで、搬送要素が交換されるたびに、調整パターンの印刷を行い、例えば、定着速度Vfを調整するのが望ましいが、搬送要素が交換されるたびに調整パターンの印刷を行うと、トナーをその分消費してしまう。
また、第2の実施の形態においては、擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンの各濃度を異ならせることによって、用紙Pに転写されたトナー像のトナーの量の多寡に関係なく、擦れS’及び画ずれZ’が形成されるのを防止するようにしているが、擦れ検出用の調整パターンの濃度が、実際に印刷をしようとする画像の濃度より更に高い場合、画ずれ検出用の調整パターンの濃度が、実際に印刷をしようとする画像の濃度より更に低い場合等には、擦れS’又は画ずれZ’が形成されてしまう。
そこで、印刷枚数が多い場合、擦れ検出用の調整パターンの濃度が、実際に印刷をしようとする画像の濃度より更に高い場合、画ずれ検出用の調整パターンの濃度が、実際に印刷をしようとする画像の濃度より更に低い場合等のいずれの場合においても、擦れS’及び画ずれZ’が形成されるのを防止することができるようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、前記第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。また、本実施の形態におけるプリンタ及び制御装置の構造については、前記本発明の第1の実施の形態におけるプリンタ及び制御装置の構造と同様であるので、図1、4及び5を援用して説明する。
図50は本発明の第3の実施の形態における擦れ検出用の調整パターンの例を示す図、図51は本発明の第3の実施の形態における擦れ検出用の調整パターンの詳細図である。
本実施の形態においても、第1、第2の実施の形態と同様に、幅が210〔mm〕であり、長さが1200〔mm〕であり、秤量が128〔g/m2 〕であるA4判長尺の媒体としての用紙Pを使用する場合、搬送速度Vbが120〔mm/sec〕にされ、定着速度Vfが搬送速度Vbに対して0.25〔%〕低い119.7〔mm/sec〕にされ、定着温度Tfが170〔℃〕にされる。
また、定着速度Vfはあらかじめ設定された幅で1刻みずつ変更することができ、本実施の形態において、定着速度Vfの変更幅は±30にされ、1刻の幅は0.1〔%〕にされる。
そして、定着速度Vfの変更量(刻み数)を表す補正値をγとすると、変更後の定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×γ)×Vf
になる。本実施の形態において、定着速度Vfは、搬送速度Vbに対して0.25〔%〕低くされ、
Vf=0.9975×Vb
であるので、定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×γ)×(0.9975×Vb)
になる。また、補正値γの初期値は零にされる。
次に、擦れ検出用の調整パターンについて説明する。
図50及び51に示されるように、擦れ検出用の調整パターンは用紙P上において、用紙Pの左右の縁部間を結び、長さ方向における所定の範囲、本実施の形態においては、用紙Pの後端から前端にかけて、所定の間隔で、本実施の形態においては、等間隔で、かつ、平行に印刷された複数の罫線によって構成される。前記擦れ検出用の調整パターンは、用紙Pの幅方向において複数の、本実施の形態においては、7個の領域、すなわち、罫線パターンPL1、PLK、PCM、PCC、PCY、PRK、PR1に分けられる。なお、罫線パターンPLK、PCM、PCC、PCY、PRKによって罫線パターンPCが構成される。そして、前記各罫線の間隔ΔLhは、10〔mm〕にされるが、必要に応じて変更することができる。
なお、本実施の形態において、擦れ検出用の調整パターンは、用紙Pの後端から前端にかけて印刷されるようになっているが、必ずしも、用紙Pの後端から前端にかけて印刷する必要はない。そして、本実施の形態においては、各罫線が等間隔に形成されるようになっているが、等間隔でなくてもよい。
また、罫線パターンPL1、PR1においては、用紙Pの後端から前端にかけて、定着温度Vfを調整するための指標となる目盛りが1刻みずつ付与される。そして、操作者が目視しやすいように、+1の目盛りの数値、及び+5の倍数の目盛りの数値が枠frで包囲され、その他の数値は包囲されることなく、副尺とされる。なお、前記各罫線及び目盛りの印刷には、ブラックのトナーが使用される。
また、罫線パターンPCにおいては、罫線パターンPL1から罫線パターンPR1に向けて、ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色のトナーによって、前記罫線パターンPLK、PCM、PCC、PCY、PRKが形成される。そして、用紙Pの搬送に伴って画像に擦れが形成されているかどうかを目視で検出することができるように、罫線パターンPCにおいては、各罫線間の領域の全体が、各色のトナーによってべた印刷され、罫線パターンPCの面積の、用紙Pの面積に対して占める割合は10〔%〕にされる。
次に、画ずれ検出用の調整パターンについて説明する。
図52は本発明の第3の実施の形態における画ずれ検出用の調整パターンを示す図である。この場合、第2の実施の形態と同じ調整パターン(図38及び39)を使用するので詳細な説明を省略する。
ところで、補正値γに基づいて定着速度Vfを変更しても、前述されたように、印刷枚数が多かったり、搬送要素が摩耗したり、搬送要素が交換されたり、擦れ検出用の調整パターンの濃度が、実際に印刷をしようとする画像の濃度より高かったり、画ずれ検出用の調整パターンの濃度が、実際に印刷をしようとする画像の濃度より低かったりして定着速度Vfが変動する要因があると、擦れ又は画ずれが形成されてしまう。
そこで、本実施の形態においては、擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンを印刷する際に、演算部61b(図5)の図示されない搬送速度修正処理手段は、搬送速度修正処理を行い、定着速度Vfが変動する要因を想定して定着速度Vfを修正し、修正された定着速度Vf、すなわち、修正定着速度Vx、Vyで用紙Pを搬送するようにしている。なお、修正定着速度Vx、Vyによって修正搬送速度が構成される。
ここで、一般的に、用紙Pに対して印刷を行う場合に、形成される画像の面積の、用紙Pの面積に対して占める割合の最大値は、各色とも80〔%〕とする。なお、本実施の形態における前記最大値は、一例であり、100〔%〕としてもよい。
そこで、用紙Pとして所定の用紙P(推奨紙)を使用し、罫線パターンPCの面積の、用紙Pの面積に対して占める割合を10〔%〕にして印刷を行ったときの擦れ位置をα1とし、形成される画像の面積の、用紙Pの面積に対して占める割合を80〔%〕にして印刷を行ったときの擦れ位置をα2とし、擦れ位置α1、α2の関係、すなわち、差分を実験的に求めた。そして、該差分に基づいて、擦れ検出用の調整パターンを印刷する際に、定着速度Vfを修正するための修正値を算出したところ、修正値は−0.3〔%〕になった。
また、同様に、罫線パターンPL1、PR1の面積の、用紙Pの面積に対して占める割合を、第2の実施の形態と同様に、5〔%〕にして印刷を行ったときの定着速度をVf1とし、用紙Pに対して画像を形成することなく印刷を行ったときの定着速度をVf2とし、定着速度Vf1、Vf2の差分を実験的に求めた。そして、該差分に基づいて、画ずれ検出用の調整パターンを印刷する際に、定着速度Vfを修正するための修正値を算出したところ、修正値は+0.1〔%〕になった。
そこで、本実施の形態においては、擦れ検出用の調整パターンを印刷するときの定着速度Vfを前記修正値−0.3〔%〕で修正し、修正定着速度Vx
Vx=(1−0.003)×Vf
=0.997×Vf
≒0.9945×Vb
を算出し、画ずれ検出用の調整パターンで印刷するときの定着速度Vfを前記修正値+0.1〔%〕で修正し、修正定着速度Vy
Vy=(1+0.001)×Vf’
=1.001×Vf’
≒0.9985×Vb
を算出した。
このように、擦れ検出用の調整パターンを印刷するときの定着速度Vfは、修正によって低くされ、画ずれ検出用の調整パターンで印刷するときの定着速度Vfは、修正によって高くされる。
次に、用紙Pに対して調整パターンを印刷し、印刷結果に基づいて定着速度Vfを変更する方法、及び印刷制御部61の動作について説明する。
図53は本発明の第3の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第1のフローチャート、図54は本発明の第3の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第2のフローチャート、図55は本発明の第3の実施の形態における擦れを検出したときの擦れ検出用の調整パターンの印刷結果を示す図、図56は本発明の第3の実施の形態における画ずれを検出したときの画ずれ検出用の調整パターンの印刷結果を示す図、図57は本発明の第3の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第1の図、図58は本発明の第3の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第2の図、図59は本発明の第3の実施の形態における擦れを検出したときの定着速度の調整方法を示す第3の図である。
まず、オンラインの状態でカスタム設定を行うために、操作者は、例えば、A4判の用紙Pのように、サイズ、厚さ、種類等が一般的である場合の印刷条件を項目カスタム1に設定する。また、操作者は、定着速度Vfを設定するとともに、補正値γの初期値を零に設定する。
次に、用紙Pに対して印刷を行う。そして、画像に擦れ又は画ずれが形成されていない場合は、印刷結果に問題がなく、前記項目カスタム1の設定を変更する必要がないので、印刷を終了する。
一方、画像に擦れ又は画ずれが形成されている場合は、定着速度Vfを調整するための擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンを、第1の実施の形態と同様の手順で印刷する。すなわち、図16に示されるように、液晶ディスプレイm1に、調整パターンを印刷させるための「カラーメニュー チョウセイp」が表示された状態で、キーk1を押下すると、前記調整パターン印刷処理手段は、擦れ検出用の調整パターンを印刷するために修正定着速度Vxを算出し、設定して、擦れ検出用の調整パターンを印刷する。続いて、前記調整パターン印刷処理手段は、画ずれ検出用の調整パターンを印刷するために修正定着速度Vyを算出し、設定して、画ずれ検出用の調整検出パターンを印刷する。
このとき、擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンに擦れ又は画ずれが形成されているかどうかを目視によって判断することができる。
例えば、図55に示される印刷結果においては、擦れ検出用の調整パターンの後半部に擦れS”が斜めに形成されている。
この場合、該擦れS”は、目盛りの「+6」の位置から用紙Pの後端にかけて斜めに形成されているので、前記擦れ位置αは、
α=+6
になり、前記補正値γを+6にするのが好ましいことが分かる。
次に、定着速度Vfの調整方法について説明する。
まず、前記第2の実施の形態と同様に、図42に示されるように、液晶ディスプレイm1に、「カスタム1」の定着速度Vfを変更するための初期値を表す「テイチャクソクド 0」が表示された状態で、キーk3又はキーk4を数回押下した後にキーk1を長押下すると、図43に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「テイチャクソクド +6」が表示され、変更が決定されたことを示す「*」が「+6」の左に表示される。
このようにして、補正値γが+6に設定され、決定されると、前記定着速度調整処理手段は、補正値γに基づいて定着速度Vfを変更する。この場合、変更後の定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×6)×Vf
=1.006×Vf
=1.006×0.9975×Vb
≒1.0035×Vb
になる。
そして、前記記録処理手段は、記憶部61a(図5)に定着速度Vf’及び補正値γを記録する。
続いて、キーk2を押下すると、図44に示されるように、液晶ディスプレイm1に、「テイチャクソクド カスタム1」が表示されるとともに、変更が決定されたことを示す「*」が「テイチャクソクド カスタム1」の左に表示される。このようにして、操作者は、定着速度Vfが変更されたことを知ることができる。
そして、第1の実施の形態と同様に、再び擦れ検出用の調整パターンの印刷を行い、該擦れ検出用の調整パターンにに擦れS”が形成されているかどうかを目視によって判断する。
ところで、擦れS”が「+6」の位置で形成されている場合に、補正値γを少なくとも+6以上に設定すれば、用紙Pの弛みを小さくすることができる。したがって、用紙Pの搬送力が変化しても、擦れS”をその分形成されなくすることができ、擦れS”においては、補正値γのマージンを大きくすることができる。
ところが、補正値γを過剰に大きくすると、変更後の定着速度Vf’がその分高くなり、画像形成ユニット22C(図1)においてシアンのトナー像が転写されているときに、定着装置(定着ユニット)としての定着器18によって用紙Pが引っ張られてしまうことがある。
その結果、擦れ検出用の調整パターンを印刷すると、該擦れ検出用の調整パターンには擦れS”は発生しないが、画像形成ユニット22Bk、22Y、22Mで転写されたトナー像と画像形成ユニット22Cで転写されたトナー像との間に画ずれが形成されてしまう。
例えば、前記補正値γを+13にすると、定着速度Vf’が、
Vf’=(1+0.001×13)×Vf
=1.013×Vf
=1.013×0.9975×Vb
≒1.0105×Vb
になり、画像形成ユニット22Cにおいてシアンのトナー像が転写されているときに、定着器18によって用紙Pが引っ張られてしまう。その結果、例えば、図56に示される印刷結果においては、画ずれ検出用の調整パターンにおける五つの罫線パターンPL2、PR2に画ずれZ”が形成される。
そこで、本実施の形態においては、定着速度Vfを変更することによって、画ずれZ”が発生するのを防止するようにしている。
この場合、該画ずれZ”は、目盛りの「−5」の位置から用紙Pの後端にかけて形成されているので、画ずれ位置βは、
β=−5
になり、前記補正値γを−5だけ加算するのが好ましいことが分かる。
なお、本実施の形態においては、画ずれ検出用の調整パターンの目盛りに負の数値を使用しているので、画ずれ位置βは負の値を採るが、前記目盛りに正の数値を使用した場合、画ずれ位置βは正の値を採る。
そして、図57に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「チョウセイメニュー テイチャクソクド」が表示された状態で、キーk1を押下し、続いて、キーk3又はキーk4を数回押下すると、図58に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための項目カスタム1の「テイチャクソクド +13」が表示される。そして、キーk1を押下すると、定着速度Vfの変更が決定され、変更が決定されたことを示す「*」が「+13」の左に表示される。
次に、キーk3を5回押下すると、図59に示されるように、液晶ディスプレイm1に、定着速度Vfを変更するための「テイチャクソクド +8」が表示される。
そして、キーk1を長押下すると、補正値γが+8に設定され、決定される。そして、前記定着速度調整理手段は、前記補正値γに基づいて定着速度Vfを変更する。この場合、変更後の定着速度Vf’は、
Vf’=(1+0.001×8)×Vf
=1.008×Vf
=1.008×0.9975×Vb
≒1.0055×Vb
になる。
そして、前記記録処理手段は、記憶部61aに定着速度Vf’及び補正値γを記録する。
その後、再び画ずれ検出用の調整パターンの印刷を行い、該画ずれ検出用の調整パターンに画ずれZ”が形成されているかどうかを目視によって判断する。一方、画ずれ検出用の調整パターンに画ずれZ”が形成されていない場合は、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、定着速度Vfが変動する要因を想定して定着速度Vfをあらかじめ修正し、前記修正定着速度Vx、Vyによって擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンを印刷するようになっているので、定着速度Vfが変動する要因があっても、画像に擦れS”又は画ずれZ”が形成されるのを防止することができる。しかも、定着速度Vfをあらかじめ修正するようにしているので、調整パターンの面積の、用紙Pの面積に対して占める割合を小さくすることができる。したがって、トナーの消費量を少なくすることができる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS41 補正値γを零にする。
ステップS42 印刷を行う。
ステップS43 擦れS”又は画ずれZ”が形成されているかどうかを判断する。擦れS”又は画ずれZ”が形成されている場合はステップS44に進み、形成されていない場合は処理を終了する。
ステップS44 修正定着速度Vx、Vyを算出する。
ステップS45 修正定着速度Vxで擦れ検出用の調整パターンを印刷する。
ステップS46 修正定着速度Vyで画ずれ検出用の調整パターンを印刷する。
ステップS47 擦れS”が形成されているかどうかを判断する。擦れS”が形成されている場合はステップS48に、形成されていない場合はステップS50に進む。
ステップS48 擦れ位置αを確認する。
ステップS49 補正値γに値αを加算する。
ステップS50 画ずれZ”が形成されているかどうかを判断する。画ずれZ”が形成されている場合はステップS51に進み、形成されていない場合は処理を終了する。
ステップS51 画ずれ位置βを確認する。
ステップS52 補正値γに値βを加算する。
ステップS53 定着速度Vfを変更する。
ステップS54 変更後の定着速度Vf’及び補正値γを記録し、ステップS44に戻る。
なお、本実施の形態においては、擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンを用紙P(推奨紙)に対して印刷することによって定着速度Vfを修正するための修正値を算出するようになっているが、用紙Pの厚さ、サイズ等にそれぞれ対応させた修正値を記憶部61aに記録しておき、各修正値を読み出すことによって定着速度Vfを修正することもできる。また、印刷枚数が多くなるに従って、各搬送要素の搬送面の劣化が進んだり、摩耗によって外径が次第に小さくなったりするので、印刷枚数に応じて修正値を変化させることができる。例えば、印刷枚数が多くなるほど修正定着速度Vxの修正値が小さくされ、修正定着速度Vyの修正値が大きくされる。
また、本実施の形態においては、擦れ検出用の調整パターン及び画ずれ検出用の調整パターンをそれぞれ印刷するようになっているが、一つの調整パターンによって、擦れ及び画ずれを検出することができる。
そして、前記各実施の形態において、調整パターンは用紙Pの後端から前端にかけて印刷されるようになっているが、必ずしも、用紙Pの後端から前端にかけて印刷する必要はない。また、各実施の形態においては、各罫線が等間隔に形成されるようになっているが、等間隔でなくてもよい。
さらに、前記各実施の形態においては、定着器18による搬送速度Vfを調整することによって擦れ及び画ずれが形成されるのを防止するようになっているが、カム機構等によって定着部材としての定着ローラ25と加圧部材としての加圧ローラ26とのニップ量又はニップ圧を変更することにより、擦れ及び画ずれが形成されるのを防止することもできる。
また、各実施の形態においては、定着器18の定着速度Vfを変更する場合について説明しているが、定着速度Vf以外の、第1の媒体搬送部としての搬送ユニット201における搬送速度、画像形成ユニット22Bk、22Y、22Mと転写ユニットu1との間における搬送速度Vb、及び排出ユニット31における搬送速度を前記補正値γに基づいて変更し、適正な弛みを形成することができる。
そして、各実施の形態においては、幅が210〔mm〕であり、長さが1200〔mm〕であり、秤量が128〔g/m2 〕であるA4判長尺の用紙Pを使用した場合について説明しているが、幅、長さ、秤量等が異なる用紙を使用することもできる。
また、各実施の形態においては、調整パターンの印刷命令、定着速度Vfの調整等をプリンタの操作部102を操作することによって行うようになっているが、プリンタと直接又はネットワークを介して接続されたホストコンピュータ、専用のリモートコントローラ等を用いて調整パターンの印刷命令、定着速度Vfの調整等を行うこともできる。
さらに、前記各実施の形態においては、タンデム式の電子写真式プリンタについて説明しているが、本発明を、単色の電子写真式のプリンタに適用したり、レーザ方式、中間転写方式等の電子写真プリンタに適用したり、プリンタ以外の複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に適用したりすることができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。