JP5080050B2 - 光学活性なピペラジン化合物の製造方法 - Google Patents

光学活性なピペラジン化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5080050B2
JP5080050B2 JP2006259194A JP2006259194A JP5080050B2 JP 5080050 B2 JP5080050 B2 JP 5080050B2 JP 2006259194 A JP2006259194 A JP 2006259194A JP 2006259194 A JP2006259194 A JP 2006259194A JP 5080050 B2 JP5080050 B2 JP 5080050B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optically active
methyl
formula
salt
phenylpiperazine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006259194A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007284416A (ja
Inventor
ひろし 前田
浩三 松井
信重 板谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2006259194A priority Critical patent/JP5080050B2/ja
Publication of JP2007284416A publication Critical patent/JP2007284416A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5080050B2 publication Critical patent/JP5080050B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、光学活性なミルタザピン等の医薬品の製造に有用な、新規な光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンおよびその塩、その製造方法およびその中間体、並びに、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンおよびその塩の製造方法およびその中間体に関する。
ミルタザピンは抗鬱薬として有用な薬物である。最近、光学活性なミルタザピンが不眠症等の治療薬として開発が進められており、(S)−1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンからの製造方法が特許文献1に開示されている。
特許文献1には、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンは、不斉合成法、ラセミ体のキラル酸による光学分割法等の方法により製造できることが開示されているが、その具体的な製造に関しては何ら開示されていない。
ところで、ラセミ体の1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンは、ラセミ体の1−メチル−3−フェニルピペラジンから、ラセミ体の2−(4−メチル−2−フェニルピペラジニル)−3−ピリジンカルボン酸を経由して、製造することが知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
なお、ラセミ体の1−メチル−3−フェニルピペラジンは、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−α−ヒドロキシ−β−フェネチルアミンから製造することが知られている(例えば、特許文献4参照)。
また、ラセミ体の1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンは、ラセミ体の1−メチル−3−フェニルピペラジンから、ラセミ体の2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドを経由して、製造することも知られている(例えば、特許文献5参照)。
国際公開第2005/005410号パンフレット 米国特許4062848号明細書 米国特許6852855号明細書 米国特許6495685号明細書 特開2001−122874号公報
本発明者らは、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンを用いれば、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンを有利に合成することができるのではないかと考えた。しかし、上記文献には、ラセミ体の1−メチル−3−フェニルピペラジンの開示があるものの、その光学活性体に関してはいずれの文献にも何ら開示されていない。その光学活性体は、ラセミ体を光学分割して得ることがまず考えられる。しかし、この方法では望まない鏡像体が半分できるため、経済的に不利であり、さらにラセミ化回収という手段がとられる場合もあるが、工程数が増加する等、やはり経済的に不利である。
従って、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンを簡便でかつ経済的に有利に製造することができれば、光学活性なミルタザピン等の医薬品の製造には経済的に非常に有利になると考えられる。
また、本発明者らは、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンを用いて光学活性なミルタザピンを製造するにあたり、特許文献2、3の記載の方法(ラセミ体における方法)と同様の方法により、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンから新規な光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンの製造を行ったところ、その立体配置が保持されず異性化してしまうという知見を得た。
従って、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンから、立体配置を保持できるような方法で光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンを製造することができれば、光学活性なミルタザピン等の医薬品の製造には非常に有利になると考えられる。
本発明は、光学活性なミルタザピン等の医薬品の製造に有用な、新規な光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンおよびその塩、その製造方法およびその中間体、並びに、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンおよびその塩の製造方法およびその中間体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、光学活性なフェニルグリシン化合物を出発原料とすれば、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンおよびその塩を簡便でかつ経済的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンから光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンの製造を、新規な光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドを経由する方法により行えば、立体配置を保持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
[2]還元が水素化金属化合物を用いて行われる、上記[1]に記載の製造方法。
[3]水素化金属化合物が水素化アルミニウムリチウムである、上記[2]に記載の製造方法。
[4]光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンおよび光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンが共にS体である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]式(4):
(式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性な化合物またはその塩(以下、これらをまとめて化合物(4)ともいう)を環化させることを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの製造方法。
[6]環化が、加熱、減圧、塩基処理および酸処理から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる、上記[5]に記載の製造方法。
[7]式(3):
(式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性な化合物(以下、化合物(3)ともいう)の保護基Zを除去することを特徴とする、光学活性な化合物(4)の製造方法。
[8]式(1):
(式中、Zは、アミノ基の保護基を示す)
で表されるサルコシン化合物またはその塩(以下、これらをまとめてサルコシン化合物(1)ともいう)と、式(2):
(式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩(以下、これらをまとめてフェニルグリシン化合物(2)ともいう)を反応させることを特徴とする、光学活性な化合物(3)の製造方法。
[9]以下の工程1〜工程4を包含することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
(工程1)サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を反応させて、光学活性な化合物(3)を製造する工程;
(工程2)光学活性な化合物(3)の保護基Zを除去して、光学活性な化合物(4)を製造する工程;
(工程3)光学活性な化合物(4)を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;および
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
[10]化合物がすべてS体である、上記[5]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]式(8):
(式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性な化合物またはその塩(以下、これらをまとめて化合物(8)ともいう)を環化させることを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの製造方法。
[12]環化が、加熱、減圧、塩基処理および酸処理から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる、上記[11]に記載の製造方法。
[13]式(7):
(式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性な化合物(以下、化合物(7)ともいう)の保護基Zを除去することを特徴とする、光学活性な化合物(8)の製造方法。
[14]式(5):
(式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩(以下、これらをまとめてフェニルグリシン化合物(5)ともいう)と、式(6):
(式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す)
で表されるサルコシン化合物またはその塩(以下、これらをまとめてサルコシン化合物(6)ともいう)を反応させることを特徴とする、光学活性な化合物(7)の製造方法。
[15]以下の工程5〜工程7および工程4を包含することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
(工程5)光学活性なフェニルグリシン化合物(5)とサルコシン化合物(6)を反応させて、光学活性な化合物(7)を製造する工程;
(工程6)光学活性な化合物(7)の保護基Zを除去して、光学活性な化合物(8)を製造する工程;
(工程7)光学活性な化合物(8)を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;および
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
[16]化合物がすべてS体である、上記[11]〜[15]のいずれかに記載の製造方法。
[17]光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩。
[18](S)−1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩。
[19]1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン。
[20](S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン。
[21]化合物(3)。
[22]S体である、化合物(3)。
[23]化合物(4)。
[24]S体である、化合物(4)。
[25]化合物(7)。
[26]S体である、化合物(7)。
[27]化合物(8)。
[28]S体である、化合物(8)。
[29]光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元することを特徴とする、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
[30]還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである、上記[29]に記載の製造方法。
[31]光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元することを特徴とする、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩の製造方法。
[32]還元剤が水素化ジイソブチルアルミニウムである、上記[31]に記載の製造方法。
[33]光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合することを特徴とする、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
[34]以下の工程11〜工程13を包含することを特徴とする、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;および
(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
[35]以下の工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;
(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
[36]化合物がすべてS体である、上記[29]〜[35]のいずれかに記載の製造方法。
[37]光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩。
[38](S)−1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩。
[39]光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩。
[40](S)−2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩。
[41]以下の工程1〜工程4および工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程1)サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を反応させて、光学活性な化合物(3)を製造する工程;
(工程2)光学活性な化合物(3)の保護基Zを除去して、光学活性な化合物(4)を製造する工程;
(工程3)光学活性な化合物(4)を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
[42]以下の工程5〜工程7、工程4および工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程5)光学活性なフェニルグリシン化合物(5)とサルコシン化合物(6)を反応させて、光学活性な化合物(7)を製造する工程;
(工程6)光学活性な化合物(7)の保護基Zを除去して、光学活性な化合物(8)を製造する工程;
(工程7)光学活性な化合物(8)を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
[43]化合物がすべてS体である、上記[41]または[42]に記載の製造方法。
本発明によれば、光学活性なミルタザピン等の医薬品の製造に有用な、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を簡便でかつ経済的に有利に製造することができる。
また、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンから光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンの製造を、その立体配置を保持して製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられている各記号の定義は以下のとおりである。
またはRは、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す。
「置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基」における「炭素数1〜6のアルキル基」は、直鎖または分枝鎖であってもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。当該アルキル基は、置換可能な位置に置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、C1−3アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等)等が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、1〜3個が好ましく、当該置換基はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基」における「炭素数3〜7のシクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。当該シクロアルキル基は、置換可能な位置に置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、C1−4アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等)、C1−4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等)、C6−10アリール基(例、フェニル、ナフチル等)等が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、1〜3個が好ましく、当該置換基はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基」における「炭素数7〜12のアラルキル基」は、上記で定義された「炭素数1〜6のアルキル基」の任意の位置にフェニル基またはナフチル基が置換した総炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル、1−または2−フェニルエチル、1−、2−または3−フェニルプロピル、1−、2−、3−または4−フェニルブチル、1−、2−、3−、4−または5−フェニルペンチル、1−、2−、3−、4−、5−または6−フェニルへキシル、1−または2−ナフチルメチル、1−または2−(1−ナフチル)エチル、1−または2−(2−ナフチル)エチル等が挙げられる。当該アラルキル基は、置換可能な位置に置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、上記アルキル基が有していてもよい置換基と同様の基等が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、1〜3個が好ましく、当該置換基はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
およびRとしては、それぞれメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ベンジル等が好ましい。但し、後述するように、アミノ基の保護基であるZまたはZを接触還元にて除去する場合、RまたはRが除去されないようにするには、ベンジルは好ましくない。
またはZは、それぞれアミノ基の保護基を示す。
「アミノ基の保護基」としては、一般的にペプチド合成に使用される従来公知のアミノ基の保護基が挙げられるが、除去が容易に行え、除去の際にラセミ化がされにくい保護基が好ましい。そのような保護基としては、例えば、置換基を有してもよいベンジルオキシカルボニル基(置換基としては、例えば、メチル基、メトキシ基等が挙げられる)、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でも、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
*は、それで示した炭素原子が不斉炭素原子であることを示し、当該不斉炭素原子上の置換基がR配置であるものとS配置であるものの割合が、0:100〜100:0まで任意の割合を意味する。但し、化合物が「光学活性な化合物」である場合は、50:50は除かれる。
以下、本発明の製造方法について説明する。
本発明においては、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩は、以下の方法1により製造することができる。
方法1
(式中の各記号は前記と同義である)。
以下、各工程について説明する。
(工程1)
サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を反応させることにより、光学活性な化合物(3)を製造することができる。
ここで、フェニルグリシン化合物(2)は光学活性であり、その鏡像体過剰率は0%eeより大きいが、100%eeまで任意の値である。但し、目的とする光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を光学純度よく得るためには、上記の光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の鏡像体過剰率は、好ましくは95%ee以上、より好ましくは99%ee以上、特に好ましくは100%eeである。
上記の反応は、(i)サルコシン化合物(1)のカルボキシル基における反応性誘導体と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を反応させる、(ii)サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を縮合剤の存在下で反応させる、等の方法により行うことができる。以下、それぞれ説明する。
(i)の方法
この方法では、サルコシン化合物(1)のカルボキシル基における反応性誘導体と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を塩基の存在下で反応させる。
サルコシン化合物(1)のカルボキシル基における反応性誘導体としては、従来公知のものが使用でき、例えば、酸ハライド、酸無水物(対称酸無水物、混合酸無水物)、活性エステル、活性アミド等が挙げられる。
酸ハライドとしては、酸クロライド、酸ブロマイド等が挙げられる。これらは、SOCl、オキサリルクロリド、SOCl、PCl、PCl、POCl、PBr等のハロゲン化剤で処理することにより調製される。
混合酸無水物としては、ジアルキル燐酸(例えば、ジC1−6アルキル−燐酸)またはジフェニル燐酸混合酸無水物、ジアルキル亜燐酸(例えば、ジC1−6アルキル−亜燐酸)混合酸無水物、アルキル炭酸(例えば、C1−6アルキル−炭酸)混合酸無水物、脂肪族カルボン酸(例えば、ピバル酸、トリクロロ酢酸等)混合酸無水物、スルホン酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)混合酸無水物等が挙げられる。
活性エステルとしては、p−ニトロフェニルエステルや、N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等とのエステル等が挙げられる。
活性アミドとしては、イミダゾール、ジメチルイミダゾール、トリアゾール等とのアミド等が挙げられる。これらは、例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)等と反応させることにより調製される。
以下、サルコシン化合物(1)のカルボキシル基における反応性誘導体がアルキル炭酸混合酸無水物の場合を例に挙げて説明する。
アルキル炭酸混合酸無水物は、サルコシン化合物(1)とクロルギ酸アルキルとを塩基の存在下で反応させることにより調製される。サルコシン化合物(1)が既に好適な塩(例えば、トリエチルアミンの塩)の状態である場合は、特に塩基を加えることなく反応させることができる。サルコシン化合物(1)、クロルギ酸アルキルおよび塩基の添加順序は特に限定はされないが、通常は、特開2002−53543号公報に記載のように、サルコシン化合物(1)と塩基の混合物をクロルギ酸アルキルに添加することにより行われる。
クロルギ酸アルキルとしては、例えば、クロルギ酸メチル、クロルギ酸エチル、クロルギ酸ブチル、クロルギ酸イソブチル等の炭素数2〜7のクロルギ酸アルキルが挙げられる。
クロルギ酸アルキルの使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.05モルである。クロルギ酸アルキルの使用量が0.9モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、1.1モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
塩基としては、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン等)、N−アルキルモルホリン(例えば、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等)等の有機塩基等が挙げられる。
塩基の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.05モルである。塩基の使用量が0.9モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、1.1モルを超えると、不純物を生じる、加えた塩基に見合う収率向上がない等、経済的でない。
この調製は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常1.0〜5.0L、好ましくは1.5〜3.0Lである。溶媒の使用量が1.0L未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、5.0Lを超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
反応温度は、通常−30〜25℃、好ましくは−20〜10℃である。反応温度が−30℃未満であると、工業的に実施が難しくなるのに加え、反応速度が遅くなり、逆に25℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。反応時間は、反応温度、各原料の使用量等にもよるが、通常5分間〜2時間、好ましくは10分間〜1時間である。
なお、サルコシン化合物(1)を塩の形態で使用する場合、もしその塩が反応に好ましくないなら、酸を加えて予め遊離化しておくのがよい。
このようにアルキル炭酸混合酸無水物を予め調製した後、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)と反応させることにより、光学活性な化合物(3)を製造することができる。通常は、上記のアルキル炭酸混合酸無水物の調製と、これに続く光学活性なフェニルグリシン化合物(2)との反応は、ワンポットで行われる。
上記のアルキル炭酸混合酸無水物および光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の添加順序は特に限定はされず、上記のアルキル炭酸混合酸無水物に光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を添加してもいいし、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)に上記のアルキル炭酸混合酸無水物を添加してもよい。
光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.05モルである。光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の使用量がこの範囲外であると、一方の試剤を過剰に用いることになり、経済的に不利になるおそれがある。
この反応は、通常、溶媒の存在下で行われ、通常は、上記のアルキル炭酸混合酸無水物の調製で使用した溶媒と同じ溶媒が使用される。また、水の存在下で行うことも可能である。
反応温度は、通常−30〜25℃、好ましくは−20〜10℃である。反応温度が−30℃未満であると、工業的に実施が難しくなるのに加え、反応速度が遅くなり、逆に25℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。反応時間は、反応温度、各原料の使用量等にもよるが、通常5分間〜2時間、好ましくは10分間〜1時間である。
なお、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を塩の形態で使用する場合は、その塩が反応に好ましくないなら、塩基を加えて予め遊離化しておくのがよい。
(ii)の方法
この方法では、サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を縮合剤の存在下で反応させる。サルコシン化合物(1)、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)および縮合剤の添加順序は特に限定はされないが、通常は、サルコシン化合物(1)、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)、縮合剤の順に添加することにより行われる。
縮合剤としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド等が挙げられる。
縮合剤の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常0.8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.3モルである。縮合剤の使用量が0.8モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、1.5モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.05モルである。光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の使用量がこの範囲外であると、一方の試剤を過剰に用いることになり、経済的に不利になるおそれがある。
この反応は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常1〜5.0L、好ましくは1.5〜3.0Lである。溶媒の使用量が1L未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、5.0Lを超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
反応温度は、通常−30〜25℃、好ましくは−20〜0℃である。反応温度が−30℃未満であると、工業的に実施が難しくなるのに加え、反応速度が遅くなり、逆に25℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。反応時間は、反応温度、各原料の使用量等にもよるが、通常5分間〜2時間、好ましくは10分間〜1時間である。
なお、サルコシン化合物(1)や光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を塩の形態で使用する場合は、その塩が反応に好ましくない場合は、酸または塩基を加えて予め遊離化しておくのがよい。
なお、出発原料として使用したサルコシン化合物(1)は、市販品を使用してもよいし、サルコシンと保護基Zを導入する試薬を用いて、従来公知の方法にて製造することができる。
また、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)は、市販品を使用してもよいし、光学活性なフェニルグリシンとROH(例えば、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール等)との反応により、従来公知の方法にて製造することができる。
このように製造された光学活性な化合物(3)の単離は、反応液を常法による後処理(例えば、中和、抽出、水洗、結晶化等)に付すことにより行うことができる。またその精製は、光学活性な化合物(3)を再結晶、抽出精製、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマト法により精製することができるが、特に精製を行わず、例えば、抽出溶液そのものを、または溶媒留去後の残渣を特に精製を行わず、次工程に付してもよい。
(工程2)
この工程では、光学活性な化合物(3)の保護基Zを除去することにより、光学活性な化合物(4)を製造することができる。
保護基Zの除去方法は、保護基により適宜選択され、従来公知の方法が採用される。例えば、(i)保護基Zが置換基を有していてもよいベンジルオキシカルボニル基等である場合、接触還元により除去することが好ましい。また、(ii)保護基Zがtert−ブトキシカルボニル基等である場合、酸処理により除去することが好ましい。
(i)の接触還元は、通常、還元触媒の存在下で水素を吹き込むか、あるいは、オートクレーブ中で水素圧をかけて行われる。還元触媒としては、パラジウム炭素、水酸化パラジウム炭素、塩化パラジウム、パラジウム黒等が挙げられ、経済性、試剤の安全性の観点から、パラジウム炭素が好ましい。
還元触媒の使用量はメタル換算量として、光学活性な化合物(3)1モルに対して、通常2〜30g、好ましくは5〜15gである。還元触媒の使用量が2g未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、30gを超えると、それに見合う経済的効果がない。
接触還元は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、例えば、酢酸、ギ酸等の酸溶媒;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、光学活性な化合物(3)1モルに対して、通常2〜8L、好ましくは3〜5Lであるが、特に限定されない。
接触還元の温度は、通常16〜50℃、好ましくは20〜35℃である。還元温度が16℃未満であると、工業的に実施が難しくなるのに加え、還元速度が遅くなり、逆に50℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。還元時間は、還元温度、触媒の使用量等にもよるが、通常0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
なお、接触還元により保護基Zを除去する場合、光学活性な化合物(3)中のRも同時に除去されると(例えば、ベンジルの場合)、次の工程3での環化が困難となるため、Rとして接触還元により除去されないような基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等)を選択することが好ましい。
(ii)の酸処理の場合、酸としては、トリフルオロ酢酸、臭化水素酸/酢酸、塩化水素/メタノール等が挙げられる。
酸の使用量は、光学活性な化合物(3)1モルに対して、通常5〜50モル、好ましくは10〜30モルである。酸の使用量が5モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、50モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
酸処理では、上記の酸を溶媒として兼用してもよく、あるいは別途溶媒を使用してよい。溶媒としては、例えば、酢酸等の酸溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、光学活性な化合物(3)1モルに対して、通常1〜5L、好ましくは1.5〜3Lであるが、特に限定されない。
酸処理の温度は、通常−20〜40℃、好ましくは0〜30℃である。処理温度が−20℃未満であると、工業的に実施が難しくなるのに加え、反応速度が遅くなり、逆に40℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。処理時間は、処理温度、酸の使用量等にもよるが、通常0.5〜5時間、好ましくは、1〜3時間である。
このように製造された光学活性な化合物(4)の単離は、反応液を常法による後処理(例えば、中和、抽出、水洗、結晶化、無機酸または有機酸による造塩等)に付すことにより行うことができる。またその精製は、光学活性な化合物(4)を再結晶、抽出精製、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマト法により精製することができるが、特に精製を行わず、例えば、抽出溶液そのものを、または溶媒留去後の残渣を特に精製を行わず、次工程に付してもよい。
(工程3)
この工程では、光学活性な化合物(4)を環化させることにより、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造することができる。
環化方法としては、(i)加熱により環化させる方法、(ii)減圧により環化させる方法、(iii)塩基処理により環化させる方法、(iv)酸処理により環化させる方法、あるいはこれらの組み合わせ等が挙げられる。
(i)の加熱による方法では、通常20〜100℃、好ましくは25〜80℃で行われる。この温度が20℃未満であると、反応速度が遅くなり、逆に100℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。反応時間は、反応温度等にもよるが、通常1時間〜4日間、好ましくは2時間〜1日間である。この方法は、無溶媒で行うことができる。
(ii)の減圧による方法では、通常0.13〜13.3kPa、好ましくは0.7〜6.7kPaで行われる。この減圧度が0.13kPa未満であると、工業的に実施が難しくなり、逆に13.3kPaを超えると、反応速度が遅くなり、好ましくない。反応時間は、減圧度にもよるが、通常1時間〜4日間、好ましくは2時間〜1日間である。この方法は、無溶媒で行うことができる。
(iii)の塩基処理による方法では、有機塩基(例えば、トリエチルアミン等)、重曹水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液等で処理が行われる。塩基の使用量は特に限定はないが、光学活性な化合物(4)を遊離させる量でよい。
この方法では、上記の塩基を溶媒として兼用してもよく、あるいは別途溶媒を使用してよい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、光学活性な化合物(4)1モルに対して、通常0.5〜5L、好ましくは1〜3Lであるが、特に限定されない。
反応温度は、通常20〜100℃、好ましくは25〜80℃である。反応温度が20℃未満であると、反応速度が遅くなり、逆に100℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。反応時間は、反応温度、塩基の使用量等にもよるが、通常1時間〜4日間、好ましくは2時間〜1日間である。
(iv)酸処理により環化させる方法では、ポリリン酸、硫酸、塩酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等で処理が行われ、中でも、反応の選択性の観点から、ポリリン酸、硫酸、リン酸、塩化亜鉛等が好適に使用される。
酸の使用量は、光学活性な化合物(4)1モルに対して、通常0.1〜1.0モル、好ましくは0.2〜0.5モルである。酸の使用量が0.1モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、1.0モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
この方法では、上記の酸を溶媒として兼用してもよく、あるいは別途溶媒を使用してよい。溶媒としては、例えば、酢酸等の酸溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、光学活性な化合物(4)1モルに対して、通常2〜20L、好ましくは4〜8Lであるが、特に限定されない。
反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃である。反応温度が0℃未満であると、反応速度が遅くなり、逆に50℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。反応時間は、反応温度、酸の使用量等にもよるが、通常0.5時間〜5時間、好ましくは1時間〜2時間である。
なお、光学活性な化合物(4)の種類や、上記の工程2の反応条件、後処理条件等によっては、工程2に引き続いてこの工程3の反応が進行する場合がある。
このように製造された光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの単離は、反応液を常法による後処理(例えば、中和、抽出、水洗、結晶化等)に付すことにより行うことができる。またその精製は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを再結晶、抽出精製、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマト法により精製することができるが、特に精製を行わず、例えば、抽出溶液そのものを、または溶媒留去後の残渣を特に精製を行わず、次工程に付してもよい。
(工程4)
この工程では、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元することにより、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造することができる。
還元は、還元剤を用いて行われることが好ましい。光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンおよび還元剤の添加順序としては、特に限定されないが、通常は、還元剤の懸濁液に光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンが添加される。
還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体等が挙げられる。
還元剤中の活性水素量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンまたはその塩1モルに対して、通常5〜50当量、好ましくは10〜25当量である。還元剤の活性水素量が5当量未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、50当量を超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
還元は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンまたはその塩1モルに対して、通常1〜10L、好ましくは2〜7Lである。溶媒の使用量が1L未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、10Lを超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
還元温度は、通常0〜100℃、好ましくは25〜70℃である。還元温度が0℃未満であると、還元速度が遅くなり、逆に100℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。還元時間は、還元温度、還元剤の活性水素量等にもよるが、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
このようにして製造された光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンの単離は、反応液を常法による後処理(例えば、ろ過、中和、抽出、水洗、結晶化、蒸留等)に付すことにより行うことができる。またその精製は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンを再結晶、抽出精製、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマト法により精製することができる。また、塩として結晶化して精製することができる。
上記の工程1〜工程4の反応においては、光学活性な化合物の立体配置はほぼ保持される。即ち、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)としてS体(L体)を使用すれば、(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジンを製造することができ、R体(D体)を使用すれば、(R)−1−メチル−3−フェニルピペラジンを製造することができ、鏡像体過剰率が、好ましくは95%ee以上、より好ましくは99%ee以上のものを製造することができる。
また、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩は、以下の方法2により製造することもできる。
方法2
(式中の各記号は前記と同義である)。
以下、各工程について説明する。
(工程5)
この工程では、光学活性なフェニルグリシン化合物(5)とサルコシン化合物(6)を反応させることにより、光学活性な化合物(7)を製造することができる。
ここで、フェニルグリシン化合物(5)は光学活性であり、その鏡像体過剰率は0%eeより大きいが、100%eeまで任意の値である。但し、目的とする光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を光学純度よく得るためには、上記の光学活性なフェニルグリシン化合物(5)の鏡像体過剰率は、好ましくは95%ee以上、より好ましくは99%ee以上、特に好ましくは100%eeである。
上記の反応は、(i)光学活性なフェニルグリシン化合物(5)のカルボキシル基における反応性誘導体とサルコシン化合物(6)を反応させる、(ii)光学活性なフェニルグリシン化合物(5)とサルコシン化合物(6)とを縮合剤の存在下で反応させる、等の方法により行うことができる。この工程は、上記した方法1における工程1において、サルコシン化合物(1)の代わりに光学活性なフェニルグリシン化合物(5)を使用し、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の代わりにサルコシン化合物(6)を使用し、当該工程1と同様の方法により行うことができる。
(工程6)
この工程では、光学活性な化合物(7)の保護基Zを除去することにより、光学活性な化合物(8)を製造することができる。この工程は、上記した方法1における工程2と同様の方法により行うことができる。
(工程7)
この工程では、光学活性な化合物(8)を環化させることにより、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造することができる。この工程は、上記した方法1における工程3と同様の方法により行うことができる。
(工程4)
この工程は、上記した方法1における工程4と同じ工程である。
上記の工程5〜工程7および工程4の反応においては、光学活性な化合物の立体配置はほぼ保持される。即ち、光学活性なフェニルグリシン化合物(5)としてS体(L体)を使用すれば、(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジンを製造することができ、R体(D体)を使用すれば、(R)−1−メチル−3−フェニルピペラジンを製造することができ、鏡像体過剰率が、好ましくは95%ee以上、より好ましくは99%ee以上のものを製造することができる。
本発明者らは、このようにして製造された光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩から、特許文献2、3の記載の方法(ラセミ体における方法)と同様の方法により、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造し、さらに、特許文献1の記載の方法と同様の方法により、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造することを試みた。以下にそのルートを示す。
(式中、Halは、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、臭素原子)を示す)。
ところが、上記のルートでは、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩(11)(以下、これらをまとめて1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)ともいう)から、その立体配置を保持して光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩(12)(以下、これらをまとめて1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)ともいう)が得られるものの、次の工程ではその立体配置が保持されず、得られた2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルボン酸またはその塩(13a)は異性化してしまうという問題があることが判明した。
そこで、本発明者らは、この2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルボン酸またはその塩(13a)を経由しないルートについて検討したところ、2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩(13)(以下、これらをまとめて2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)ともいう)を経由するルートであれば、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)から、その立体配置を保持して光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩(14)(以下、これらをまとめて1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(14)ともいう)を製造でき(工程11〜工程13)、さらに、その立体配置を保持して光学活性なミルタザピンまたはその塩(15)(以下、これらをまとめてミルタザピン(15)ともいう)を製造する(工程14)ことができることを見出した。
方法3
なお、上記の方法の工程11は、特許文献2、3では、ラセミ体については開示されているものの、光学活性体については何ら開示されていない。また、上記の方法の工程12および工程13の方法も、特許文献5では、ラセミ体については開示されているものの、光学活性体については何ら開示されていない。
以下、各工程について説明する。
工程11
この工程では、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合することにより、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)を製造することができる。
2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとしては、2−クロロ−3−シアノピリジン、2−ブロモ−3−シアノピリジンが好ましい。
2−ハロゲノ−3−シアノピリジンの使用量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)1モルに対して、通常1.0〜2.0モル、好ましくは1.3〜1.6モルである。2−ハロゲノ−3−シアノピリジンの使用量が1.0モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、2.0モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
塩基としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
塩基の使用量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)1モルに対して、通常1.0〜2.0モル、好ましくは1.2〜1.6モルである。塩基の使用量が1.0モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、2.0モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
反応は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル‐2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、これらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、反応時間および経済性の観点から、DMFが好ましい。
溶媒の使用量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)1モルに対して、通常0.1〜2L、好ましくは0.2〜1Lである。溶媒の使用量が0.1L未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、2Lを超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
反応温度は、通常100〜150℃、好ましくは120〜140℃である。反応温度が100℃未満であると、反応速度が遅くなり、逆に150℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。反応時間は、反応温度、各原料の使用量等にもよるが、通常5〜50時間、好ましくは8〜20時間である。
なお、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)を塩の形態で使用する場合は、その塩が反応に好ましくないなら、塩基を加えて予め遊離化しておくのがよい。
このようにして製造された光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)の単離は、反応液を常法による後処理(例えば、ろ過、中和、抽出、水洗、結晶化、蒸留等)に付すことにより行うことができる。またその精製は、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)を再結晶、抽出精製、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマト法により精製することができる。また、蓚酸のような酸との塩にして得ることもできるが、特に精製を行わず、例えば、抽出溶液そのものを、または溶媒留去後の残渣を特に精製を行わず、次工程に付してもよい。
工程12
この工程では、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)を還元剤で還元することにより、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)を製造することができる。
光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)および還元剤の添加順序としては、特に限定されないが、通常は、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)の溶液に還元剤が添加される。
還元剤としては、シアノ基をホルミル基に還元できるものであれば、特に限定されないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム等が挙げられる。中でも、入手容易である点から、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。また、還元剤は、予め有機溶媒(好ましくは、トルエン)に溶解させて使用することが好ましく、特に、水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液が好適に使用される。
還元剤の使用量は、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)1モルに対して、通常1.7〜3.0モル、好ましくは2.0〜2.5モルである。還元剤の使用量が1.7モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、3.0モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
還元は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、反応時間および経済性の観点から、トルエンが好ましい。
溶媒の使用量は、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)100重量部に対して、通常500〜2000重量部、好ましくは1000〜1500重量部である。溶媒の使用量が500重量部未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、2000重量部を超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
還元は、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
還元温度は、通常−70〜−10℃が好ましい。還元時間は、還元温度、還元剤の使用量等にもよるが、通常0.5〜12時間、好ましくは1〜3時間である。
なお、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)を塩の形態で使用する場合は、その塩が反応に好ましくないなら、塩基を加えて予め遊離化しておくのがよい。
光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)の還元は、その反応溶液に、例えば、低級アルコールを添加することによって停止させることができる。低級アルコールとしては、エタノール等の炭素数1〜4の1価アルコールを好適に使用することができる。低級アルコールの量は、通常、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)1モルに対して、2〜10モル程度であることが好ましい。
還元反応の終了後、還元剤を分解し、また生成したイミド体を加水分解してカルバルデヒド体とするために、得られた反応混合物と水とを混合することが好ましい。水の量は、通常、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)100重量部に対して、200〜1000重量部程度であることが好ましい。
その後、必要により、反応混合物中に残存している還元剤を溶解、除去させるために、アルカリ水溶液を該反応混合物に添加することができる。かかるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ金属水酸化物の水溶液等が挙げられる。
次に、反応混合物から水層を分離し、有機層に硫酸等の鉱酸を添加し、50℃位で30分〜1時間程度加熱した後、アルカリ水溶液を添加してアルカリ性とし、分液し、常法により、乾燥、有機溶媒を除去する。
このようにして製造された光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)の単離は、反応液を常法による後処理(例えば、ろ過、中和、抽出、水洗、結晶化、蒸留等)に付すことにより行うことができる。またその精製は、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)を再結晶、抽出精製、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマト法により精製することができるが、特に精製を行わず、例えば、抽出溶液そのものを、または溶媒留去後の残渣を特に精製を行わず、次工程に付してもよい。光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)の塩としては、例えば、蓚酸塩、塩酸塩、メタンスルホン酸塩等が挙げられる。
工程13
この工程では、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)を還元剤で還元することにより、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(14)を製造することができる。
光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)および還元剤の添加順序としては、特に限定されないが、通常は、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)の溶液に還元剤が添加(好ましくは分割添加)される。
還元剤としては、ホルミル基をヒドロキシメチル基に還元できるものであれば、特に限定されないが、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等が挙げられる。中でも、入手容易、経済性の観点から、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
還元剤の使用量は、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)1モルに対して、通常1.5〜3モル、好ましくは2〜2.5モルである。還元剤の使用量が1.5モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、3モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
還元は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール、これらの含水溶媒をはじめ、トルエン、酢酸エチル等の疎水性有機溶媒と水との2層系溶媒を用い、これに臭化テトラブチルアンモニウム等の相間移動触媒を存在させたもの等を使用することができる。中でも、メタノールが好ましい。
溶媒の使用量は、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)100重量部に対して、通常400〜2000重量部、好ましくは500〜1000重量部である。溶媒の使用量が400重量部未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、2000重量部を超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
還元温度は、通常−10〜50℃、好ましくは0〜10℃である。還元温度が−10℃未満であると、還元速度が遅くなり、逆に50℃を超えると、副生物が生成するおそれがあり、好ましくない。還元時間は、還元温度、還元剤の使用量等にもよるが、通常0.5〜5時間、好ましくは1〜2時間である。
なお、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)を塩の形態で使用する場合は、その塩が反応に好ましくないなら、塩基を加えて予め遊離化しておくのがよい。
このようにして製造された光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(14)の単離は、反応液を常法による後処理(例えば、ろ過、中和、抽出、水洗、結晶化、蒸留等)に付すことにより行うことができる。またその精製は、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(14)を再結晶、抽出精製、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマト法により精製することができるが、特に精製を行わず、例えば、抽出溶液そのものを、または溶媒留去後の残渣を特に精製を行わず、次工程に付してもよい。
工程14
この工程では、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(14)を環化させることより、光学活性なミルタザピン(15)を製造することができる。
環化は、例えば、特許文献1に記載の方法と同様に方法により行うことができ、例えば、ポリリン酸、リン酸、硫酸、塩化亜鉛等の酸により環化させる方法等が挙げられる。
上記の工程11〜工程14の反応においては、光学活性な化合物の立体配置はほぼ保持される。即ち、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)としてS体(L体)を使用すれば、(S)−ミルタザピン(15)を製造することができ、R体(D体)を使用すれば、(R)−ミルタザピン(15)を製造することができ、鏡像体過剰率が、好ましくは95%ee以上、より好ましくは99%ee以上のものを製造することができる。
なお、上記の方法1−3の各工程において、サルコシン化合物(1)、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)、化合物(4)、光学活性なフェニルグリシン化合物(5)、サルコシン化合物(6)、化合物(8)、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンおよび光学活性なミルタザピンは塩を形成してもよい。塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等);アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等);有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン等)等の塩基との塩や、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等);有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸等)等の酸付加塩が挙げられる。
なお、化合物(3)、化合物(4)、化合物(7)、化合物(8)、1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン、(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩、(R)−1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩、(S)−1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩、(R)−1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩、(S)−2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩、および(R)−2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩は新規化合物である。これらのうち、1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン、化合物(3)、化合物(4)、化合物(7)および化合物(8)については、それぞれ、そのラセミ体、その光学活性体、それらのどんな混合物も新規化合物であり、いずれも本発明に含まれるものとする。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、略号Sarはサルコシン、Phgは(S)−α−フェニルグリシン、Zはベンジルオキシカルボニル基をそれぞれ表す。また、以下において、(S)−α−フェニルグリシンは(S)−フェニルグリシンと省略する。
<(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジンの合成 実施例1〜4>
出発原料の調製
常法に従い、N−ベンジルオキシカルボニルサルコシンはサルコシンとベンジルオキシカルボニルクロリドから製造し、また、(S)−フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩は市販品を使用してもよいが、(S)−フェニルグリシンとメタノールおよび塩化チオニルから製造できる。
実施例1 (S)−N−[N−ベンジルオキシカルボニルサルコシル]フェニルグリシンメチルエステル(Z−Sar−Phg−OMe)
N−ベンジルオキシカルボニルサルコシン(2.23g、0.01mol)をテトラヒドロフラン(THF、10ml)に溶解させ、−10℃以下でトリエチルアミン(1.39ml、0.01mol)を加えた。クロロギ酸エチル(0.956ml、0.01mol)のTHF(10ml)溶液に、上記溶液を−10℃以下で加え、同温度で10分間攪拌し、懸濁物を得た。これとは別に、乳鉢ですりつぶした(S)−フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩(2.22g、0.011mol)をTHF(10ml)に懸濁させ、−10℃以下でトリエチルアミン(1.53ml、0.011mol)を加え、これに上記の懸濁物を−10℃以下で加えて15分間攪拌し、さらに0℃で30分間攪拌した。飽和重曹水(20ml)にこの反応混合物をあけて、一旦THFを減圧留去した。酢酸エチルで抽出(20ml×2)し、有機層を10%塩酸(15ml)と飽和重曹水(15ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=4:3)で精製して、表題化合物の結晶3.05g(収率82.4%)を得た。
m.p.118〜119℃。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 3.02 (s, 3H, NMe), 3.72 (s, 3H, CO2Me), 3.92 and 4.03 (2d,
2H, J=16.6Hz, CH2), 5.16 (brs, 2H, CH2), 5.56 (d, 1H, J=7.3 Hz, CH), 7.20-7.40 (m, 10H, aromatic).
実施例2 (S)−N−サルコシル−フェニルグリシンメチルエステル(H−Sar−Phg−OMe)
(S)−N−[N−ベンジルオキシカルボニルサルコシル]フェニルグリシンメチルエステルの結晶(3.0g)を酢酸(30ml)に溶解し、5%Pd−C(50%ウエット品、0.3g)を加えて懸濁させ、水素圧5kg/cmにてオートクレーブ中で攪拌した。40分後、Pd−Cを濾過して除き、大部分の酢酸を減圧留去して、表題化合物のオイルを得た。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 2.52 (s, 3H, NMe), 3.48 (s, 2H, CH2), 3.73 (s, 3H, CO2Me),5.60 (d, 1H, J=7.7Hz, CH), 7.30-7.40 (m, 5H, aromatic).
実施例3 (S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン
実施例2で得られたオイルを室温(25℃)で4日間放置した後、析出した結晶を酢酸エチル(3ml)とtert−ブチルメチルエーテル(7ml)で懸濁後、濾過して、1.07g(収率65.0%)の表題化合物を得た。
m.p.185〜190℃(sintered)。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 2.96 (s, 3H, NMe), 3.93 and 4.12 (2d, 2H, J=17.6Hz, CH2), 5.10 (d, 1H, J=2.9Hz, CH), 6.67 (brs, 1H, NH), 7.30-7.43 (m, 5H, aromatic).
実施例4 (S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン
窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム(0.46g、12.1mmol)のTHF(15ml)懸濁液に(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン(0.5g、2.45mmol)を加えた後、1.5時間還流した。混合物を氷冷し、酢酸エチル(5ml)、メタノール(5ml)および水(10ml)を加え、一旦溶媒を減圧留去した。トルエン(20ml)および10%NaOH水溶液(10ml)を加え、セライト濾過して不溶物を除き、トルエン層を分離した。再度、水層をトルエン(20ml)で抽出した。トルエン層を合わせ、溶媒を減圧留去して、表題化合物のオイル(0.43g、定量的、キラルHPLC分析から(S):(R)=99.9:0.1)を得た。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 1.99 (t, 1H, J=10.5Hz, CH), 2.14 (dt, 1H, J= 10.5 and 3.0Hz, CH), 2.31 (s, 3H, NMe), 2.75-2.90 (m, 2H, CH2), 3.00-3.15 (m, 2H, CH2), 3.87 (dd, 1H, J= 10.5 and 3.0 Hz, CH), 7.20-7.42 (m, 5H, aromatic).
(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジンのキラルHPLC分析条件
カラム;CHIRALCEL OD−H(4.6×250mm、ダイセル化学製)
移動相;A液:イソプロパノール(0.1%ジエチルアミン含有)
B液:ヘキサン(0.1%ジエチルアミン含有)
溶出条件;A液:B液=5:95の一定組成
流速;0.5ml/min.
波長;254nm
保持時間;S体12.1分付近、R体13.7分付近
<(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジンの合成 実施例5〜7>
実施例5 N−[(S)−N−ベンジルオキシカルボニルフェニルグリシル]サルコシンエチルエステル(Z−Phg−Sar−OEt)
(S)−N−ベンジルオキシカルボニルフェニルグリシン(5.00g、0.0175mol)をジクロロメタン(20ml)に溶解させ、−10℃以下でトリエチルアミン(2.44ml、0.0175mol)を加えた。クロロギ酸エチル(1.67ml、0.0175mol)のジクロロメタン(15ml)溶液に、上記溶液を−10℃以下で加え、同温度で10分間攪拌し、懸濁物を得た。これとは別に、サルコシンエチルエステル塩酸塩(2.82g、0.0184mol)をジクロロメタン(20ml)に懸濁させ、−10℃以下でトリエチルアミン(2.56ml、0.0184mol)を加え、析出物を濾過し、ジクロロメタン(10ml)で洗浄し、その濾液を上記の懸濁物に−10℃以下で加えて15分間攪拌し、さらに0℃で30分間攪拌した。氷水(80ml)にこの反応混合物をあけて、一旦ジクロロメタンを減圧留去した。酢酸エチル(40ml)を加え、不溶物を濾過して除き、濾液を分液し、有機層を10%塩酸(15ml)と飽和重曹水(15ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して、3.87g(収率57.4%)の表題化合物のオイルを得た。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 1.24 (t, 3H, J=7.0Hz, CH3), 2.93 (s, 3H, NMe), 3.98 and 4.27 (2d, 2H, J= 17.2Hz, CH2), 4.19 (q, 2H, J= 7.0Hz, CH2), 5.04 and 5.01 (2d, 2H,J=12.0Hz, CH2), 5.66 (d, 1H, J=7.6Hz, CH), 6.25 (d, 1H, J=7.2 Hz, NH), 7.20-7.45
(m, 10H, aromatic).
実施例6 (S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン
N−[(S)−N−ベンジルオキシカルボニルフェニルグリシル]サルコシンエチルエステルのオイル(3.8g)を酢酸(30ml)に溶解し、5%Pd−C(50%ウエット品、0.3g)を加えて懸濁させ、水素圧5kg/cmにてオートクレーブ中で攪拌した。2時間後、Pd−Cを濾過して除き、大部分の酢酸を減圧留去した。得られたオイルを25℃で減圧下(0.7kPa)一晩放置した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:アセトン=1:1〜1:2)で精製し、溶媒留去後、析出した結晶をヘプタン−ジエチルエーテル(1:1、10ml)で懸濁後、濾過して、1.78g(収率88%)の表題化合物を得た。H−NMRは実施例3で得られたものと一致した。
実施例7 (S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン
窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム(0.74g、19.5mmol)のTHF(30ml)懸濁液に(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン(1.0g、4.9mmol)を加えた後、3.5時間還流した。混合物を氷冷し、酢酸エチル(5ml)、メタノール(5ml)および水(10ml)を加え、一旦溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(20ml)および10%NaOH水溶液(10ml)を加え、セライト濾過して不溶物を除き、酢酸エチル層を分離し、溶媒を減圧留去して、表題化合物のオイル(0.67g、77.6%)を得た。H−NMRは実施例4で得られたものと一致した。
実施例8 (S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン・シュウ酸塩
シュウ酸(0.102g、1.13mmol)のアセトン(3ml)溶液に、(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン(0.200g、1.14mmol)のアセトン(3ml)溶液を滴下した。析出した結晶を濾過し、アセトン(3ml)で洗浄し、乾燥して、0.275g(収率91.1%)の表題化合物の結晶を得た。
m.p.124〜127℃(sintered)。
1H-NMR(ppm, D2O):δ 2.85 (d, 3H, J=3.4Hz, NMe), 3.15-3.30 (m, 1H, CH), 3.32-3.52(m, 2H, CH2), 3.55-3.75 (m, 3H, CH+CH2), 4.48-4.58 (m, 1H, CH), 7.30-7.50 (m, 5H, aromatic).
実施例9 (S)−1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン・シュウ酸塩
(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン(S:R=97.5:2.5)2.4g(12.5mmol)、N,N−ジメチルホルムアルデヒド(4.5g)、2−クロロ−3−シアノピリジン2.7g(19.5mmol)、及びトリエチルアミン(1.9g、18.8mmol)を仕込み、窒素気流下、120〜125℃で17時間攪拌した。N,N−ジメチルホルムアルデヒドをバス温90℃、減圧下にて留去し、その後、70℃に冷却し、水3.6mlを流入した。さらに40℃まで冷却し、25%苛性ソーダ0.7mlでpH8.0とした後、酢酸エチル11mlで抽出した。水層を分液除去後、5%食塩水2.4mlで酢酸エチル層を洗浄後、メタノール3.6mlを流入し、40℃保温下、シュウ酸2水和物1.7gを分割添加した。晶析確認後1時間攪拌し、さらに30℃に冷却して1時間攪拌した。結晶を濾過し、濾上物を酢酸エチル−メタノール混液(75:25)7.7mlで洗浄し、得られた結晶をバス温40℃で減圧下乾燥して、3.2g(収率66.7%)の表題化合物を得た。
実施例10 (S)−2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド
トルエン5ml、水3.5ml、苛性カリ0.31g(5.5mmol)を仕込んで攪拌し、1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン・シュウ酸塩(S体:R体=96.53:3.47)1.0g(2.6mmol)を加え、外浴25〜30℃で1時間攪拌した。トルエン層を分取し、5%食塩水5mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウム0.3gでトルエン溶液を乾燥(室温下、1時間攪拌)した。その後、硫酸マグネシウムを濾過、トルエン5mlで洗浄し、1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンの遊離体のトルエン溶液を得た。これを100ml四つ口フラスコに仕込み、ドライアイス浴で−60℃まで冷却後、窒素気流下において水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H、和光純薬製:25%濃度トルエン溶液)4ml(6.1mmol)を7分(−67〜−52.4℃)かけて注射器にて滴下した。2時間(−64〜−44.1℃)攪拌熟成し、サンプリングを行ないHPLCよって反応がほぼ終了していることを確認した。
反応後、余剰の水素化ジイソブチルアルミニウムを分解するために、発泡に注意しながらエタノール2mlを滴下した。次に、苛性ソーダ水(苛性ソーダ0.85g/水5ml)を添加し30℃で1時間攪拌、トルエン層を分取後、このトルエン層に希硫酸(硫酸0.42g/水5ml)を加え、45〜50℃で1時間攪拌した。25℃に冷却後、苛性ソーダ水(苛性ソーダ0.85g/水5ml)を加え10分攪拌し、分液後、トルエン層を5mlの水で水洗し、無水硫酸マグネシウム0.6gで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾過除去後、バス温を40℃に設定しエバポレーターでトルエンを減圧留去し、真空ポンプを用いてさらに同温度で1時間掃引して、0.71gの表題化合物を得た(収率91.8%。S体:R体=96.2:3.8)。
なお、R体/S体比は、以下のHPLC分析条件で行った。
カラム :CHIRALCEL OD−H(0.46cmφ×25cm、ダイセル化学製
移動相 A液:0.1%ジエチルアミン含有2−プロパノール
B液:0.1%ジエチルアミン含有n−ヘキサン
流速 A液:0.025ml/min
B液:0.475ml/min(一定組成、一定流速)
カラム温度 :40℃
波長 :254nm
実施例11 (S)−1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン
実施例10で得られた(S)−2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド0.65g(2.2mmol)をMeOH5.3mlに溶解後、氷水浴で5℃以下に冷却した。NaBH(和光品)0.2g(5.3mmol)を、5℃以下を保ちつつ30分かけて分割添加し、反応チェック用のサンプリングを行い、30分攪拌した。反応をHPLCにて確認後、水3.5mlを滴下し、さらに35%塩酸1.7mlを10分かけて滴下(激しく発泡)した。さらに5分攪拌後、万能試験紙で酸性である事を確認した後、重曹で中和した(0.7g要した)。この後、ロータリーエバポレーターで減圧下、バス温40℃でメタノールを留去し、トルエン14mlと水7mlを加え40℃のバスで加温攪拌溶解した。トルエン層を分液し、水層はさらに14mlのトルエン抽出を2回行い、3つのトルエン層を合わせた。このトルエン層を3.5mlの水で洗浄、分液後、無水硫酸マグネシウム0.3gで乾燥(30分室温攪拌)させ、硫酸マグネシウムを濾過除去後、ロータリーエバポレーターで減圧下、バス温40℃でトルエンを留去して、0.48gの表題化合物を得た(収率73.3%、S体:R体=99.93:0.07(但し、R体はブロード)、HPLC分析条件は実施例10と同じ)。
実施例12 (S)−ミルタザピン
特許文献1の実施例1aに記載の方法に従って、(S)−1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンから表題化合物が得られる。
実施例13 (S)−N−サルコシル−フェニルグリシンメチルエステル
(S)−N−[N−ベンジルオキシカルボニルサルコシル]フェニルグリシンメチルエステルの結晶(16g、41.4mmol)をメタノール(320ml)に溶解させ、5%Pd−C(50%ウエット品、1.6g)を添加後、水素置換し、水素供給下23〜30℃で2時間攪拌した。触媒を濾過し、(S)−N−サルコシル−フェニルグリシンメチルエステルのメタノール溶液を得た。以下に示すHPLC分析の結果、(S)−N−サルコシル−フェニルグリシンメチルエステル77.18%、(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン22.54%であった。
HPLC分析条件
カラム :CHIRALPAX AD−H(0.46cmφ×25cm、ダイセル化学製)
移動相 A液:n−ヘキサン
B液:2−プロパノ−ル
流速 A液:0.8ml/min
B液:0.2ml/min
カラム温度 :40℃
波長 :210nm
実施例14 (S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン
実施例13で得られた(S)−N−サルコシル−フェニルグリシンメチルエステルのメタノール溶液に、リン酸2.5gを添加し、25〜28℃で2時間攪拌した。バス温40℃のエバポレーターでメタノールを減圧留去した。イソプロピルアルコール50mlを添加し、攪拌後、5℃以下に冷却し、結晶を濾過して、8.04gの表題化合物を得た((S)−N−[N−ベンジルオキシカルボニルサルコシル]フェニルグリシンメチルエステルからの収率:88.2%、S体:R体=99.94:0.06、HPLC分析条件は実施例13と同じ)。
本発明によれば、光学活性なミルタザピン等の医薬品の製造に有用な、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を簡便でかつ経済的に有利に製造することができる。
また、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンから光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンの製造を、その立体配置を保持して製造することができる。

Claims (39)

  1. 光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
  2. 還元が水素化金属化合物を用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 水素化金属化合物が水素化アルミニウムリチウムである、請求項2に記載の製造方法。
  4. 光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンおよび光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンが共にS体である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 式(4):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させることを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの製造方法。
  6. 環化が、加熱、減圧、塩基処理および酸処理から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる、請求項5に記載の製造方法。
  7. 式(3):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性な化合物の保護基Zを除去することを特徴とする、式(4):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物またはその塩の製造方法。
  8. 式(1):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示す)
    で表されるサルコシン化合物またはその塩と、式(2):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩を反応させることを特徴とする、式(3):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物の製造方法。
  9. 以下の工程1〜工程4を包含することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
    (工程1)式(1):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示す)
    で表されるサルコシン化合物またはその塩と、式(2):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩を反応させて、式(3):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物を製造する工程;
    (工程2)式(3)で表される光学活性な化合物の保護基Zを除去して、式(4):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物またはその塩を製造する工程;
    (工程3)式(4)で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;および
    (工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
  10. 化合物がすべてS体である、請求項5〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 式(8):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させることを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの製造方法。
  12. 環化が、加熱、減圧、塩基処理および酸処理から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる、請求項11に記載の製造方法。
  13. 式(7):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性な化合物の保護基Zを除去することを特徴とする、式(8):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物またはその塩の製造方法。
  14. 式(5):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩と、式(6):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す)
    で表されるサルコシン化合物またはその塩を反応させることを特徴とする、式(7):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物の製造方法。
  15. 以下の工程5〜工程7および工程4を包含することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
    (工程5)式(5):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩と、式(6):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す)
    で表されるサルコシン化合物またはその塩を反応させて、式(7):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物を製造する工程;
    (工程6)式(7)で表される光学活性な化合物の保護基Zを除去して、式(8):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物またはその塩を製造する工程;
    (工程7)式(8)で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;および
    (工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
  16. 化合物がすべてS体である、請求項11〜15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン。
  18. (S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン。
  19. 式(3):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される化合物。
  20. S体である、請求項19に記載の化合物。
  21. 式(4):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される化合物またはその塩。
  22. S体である、請求項21に記載の化合物またはその塩。
  23. 式(7):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される化合物。
  24. S体である、請求項23に記載の化合物。
  25. 式(8):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される化合物またはその塩。
  26. S体である、請求項25に記載の化合物。
  27. 光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元することを特徴とする、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
  28. 還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである、請求項27に記載の製造方法。
  29. 光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元することを特徴とする、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩の製造方法。
  30. 還元剤が水素化ジイソブチルアルミニウムである、請求項29に記載の製造方法。
  31. 光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合することを特徴とする、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
  32. 以下の工程11〜工程13を包含することを特徴とする、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
    (工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
    (工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;および
    (工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
  33. 以下の工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
    (工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
    (工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
    (工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
  34. 化合物がすべてS体である、請求項2733のいずれかに記載の製造方法。
  35. 光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩。
  36. (S)−2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩。
  37. 以下の工程1〜工程4および工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
    (工程1)式(1):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示す)
    で表されるサルコシン化合物またはその塩と、式(2):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩を反応させて、式(3):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物を製造する工程;
    (工程2)式(3)で表される光学活性な化合物の保護基Zを除去して、式(4):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物またはその塩を製造する工程;
    (工程3)式(4)で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;
    (工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
    (工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
    (工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
    (工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
  38. 以下の工程5〜工程7、工程4および工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
    (工程5)式(5):

    (式中、Zは、アミノ基の保護基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
    で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩と、式(6):

    (式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す)
    で表されるサルコシン化合物またはその塩を反応させて、式(7):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物を製造する工程;
    (工程6)式(7)で表される光学活性な化合物の保護基Zを除去して、式(8):

    (式中の各記号は前記と同義である)
    で表される光学活性な化合物またはその塩を製造する工程;
    (工程7)式(8)で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;
    (工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
    (工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
    (工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
    (工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
  39. 化合物がすべてS体である、請求項37または38に記載の製造方法。
JP2006259194A 2005-09-26 2006-09-25 光学活性なピペラジン化合物の製造方法 Expired - Fee Related JP5080050B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006259194A JP5080050B2 (ja) 2005-09-26 2006-09-25 光学活性なピペラジン化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005278758 2005-09-26
JP2005278758 2005-09-26
JP2006079486 2006-03-22
JP2006079486 2006-03-22
JP2006259194A JP5080050B2 (ja) 2005-09-26 2006-09-25 光学活性なピペラジン化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007284416A JP2007284416A (ja) 2007-11-01
JP5080050B2 true JP5080050B2 (ja) 2012-11-21

Family

ID=38756523

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006259194A Expired - Fee Related JP5080050B2 (ja) 2005-09-26 2006-09-25 光学活性なピペラジン化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5080050B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU6476300A (en) * 1999-09-30 2001-05-10 Sumika Fine Chemicals Co., Ltd. Process for the preparation of a piperazine derivative
UA83666C2 (ru) * 2003-07-10 2008-08-11 Н.В. Органон Способ получения энантиомерно чистого миртазапина

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007284416A (ja) 2007-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9643927B1 (en) Process for the preparation of kinase inhibitors and intermediates thereof
US10550087B2 (en) Process for the preparation of kinase inhibitors and intermediates thereof
JP5863789B2 (ja) ピラゾール誘導体の製造方法
US9828340B2 (en) Asymmetric synthesis of a substituted pyrrolidine-2-carboxamide
WO2001025185A1 (fr) Procede de production de derive de piperazine
WO2011156355A1 (en) Production method of phenyl guanidine salts and their intermediates
JP4208463B2 (ja) キノロンカルボン酸誘導体の製造に関する中間体
US20190300484A1 (en) An improved process for the preparation of regorafenib
JP5080050B2 (ja) 光学活性なピペラジン化合物の製造方法
US20090275749A1 (en) Production method of optically active piperazine compound
RU2228929C2 (ru) Способ получения 3s-3-амино-3-пиридилпропионовой кислоты и ее производных и промежуточное вещество
JPWO2009142194A1 (ja) 光学活性アミノアルコール誘導体の製造方法
JP2007284358A (ja) 光学活性なピペラジン化合物の製造方法
KR101299720B1 (ko) 3-아미노-5-플루오로-4-디알콕시펜탄산 에스테르의 새로운제조방법
JP2006001889A (ja) 殺菌性ピリジン化合物
JP4418430B2 (ja) スルホンアミド含有インドール化合物の製造方法
WO2006137335A1 (ja) ピペラジン誘導体の製造方法
CA3214107A1 (en) New process for the synthesis of 5-{5-chloro-2-[(3s)-3- [(morpholin-4-yl)methyl]-3,4-dihydroisoquinoline-2(1h)- carbonyl]phenyl}-1,2-dimethyl-1h-pyrrole-3-carboxylic acid derivatives and its application for the production of pharmaceutical compounds
EP1634879A1 (en) Method of selectively introducing amino substituent
JP2009508961A (ja) アミノ酸誘導体の製法
JP2005104835A (ja) 新規5−置換ヒダントイン誘導体及びその製造方法
KR20090053058A (ko) 신규 광학 분할제 및 이를 이용하여 광학 이성질체를분리하는 방법
WO2012085935A2 (en) Compounds as inhibitors of renin
JP2003026656A (ja) ピロリジン誘導体の立体異性体の製造方法
JP2010208966A (ja) 5−アシル−6−アルキル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル類の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120626

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120821

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120830

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees