JP5080050B2 - 光学活性なピペラジン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
[2]還元が水素化金属化合物を用いて行われる、上記[1]に記載の製造方法。
[3]水素化金属化合物が水素化アルミニウムリチウムである、上記[2]に記載の製造方法。
[4]光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンおよび光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンが共にS体である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
で表される光学活性な化合物またはその塩(以下、これらをまとめて化合物(4)ともいう)を環化させることを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの製造方法。
[6]環化が、加熱、減圧、塩基処理および酸処理から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる、上記[5]に記載の製造方法。
で表される光学活性な化合物(以下、化合物(3)ともいう)の保護基Z1を除去することを特徴とする、光学活性な化合物(4)の製造方法。
で表されるサルコシン化合物またはその塩(以下、これらをまとめてサルコシン化合物(1)ともいう)と、式(2):
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩(以下、これらをまとめてフェニルグリシン化合物(2)ともいう)を反応させることを特徴とする、光学活性な化合物(3)の製造方法。
(工程1)サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を反応させて、光学活性な化合物(3)を製造する工程;
(工程2)光学活性な化合物(3)の保護基Z1を除去して、光学活性な化合物(4)を製造する工程;
(工程3)光学活性な化合物(4)を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;および
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
[10]化合物がすべてS体である、上記[5]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
で表される光学活性な化合物またはその塩(以下、これらをまとめて化合物(8)ともいう)を環化させることを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの製造方法。
[12]環化が、加熱、減圧、塩基処理および酸処理から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる、上記[11]に記載の製造方法。
で表される光学活性な化合物(以下、化合物(7)ともいう)の保護基Z2を除去することを特徴とする、光学活性な化合物(8)の製造方法。
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩(以下、これらをまとめてフェニルグリシン化合物(5)ともいう)と、式(6):
で表されるサルコシン化合物またはその塩(以下、これらをまとめてサルコシン化合物(6)ともいう)を反応させることを特徴とする、光学活性な化合物(7)の製造方法。
(工程5)光学活性なフェニルグリシン化合物(5)とサルコシン化合物(6)を反応させて、光学活性な化合物(7)を製造する工程;
(工程6)光学活性な化合物(7)の保護基Z2を除去して、光学活性な化合物(8)を製造する工程;
(工程7)光学活性な化合物(8)を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;および
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
[16]化合物がすべてS体である、上記[11]〜[15]のいずれかに記載の製造方法。
[18](S)−1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩。
[19]1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン。
[20](S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン。
[21]化合物(3)。
[22]S体である、化合物(3)。
[23]化合物(4)。
[24]S体である、化合物(4)。
[25]化合物(7)。
[26]S体である、化合物(7)。
[27]化合物(8)。
[28]S体である、化合物(8)。
[29]光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元することを特徴とする、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
[30]還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである、上記[29]に記載の製造方法。
[31]光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元することを特徴とする、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩の製造方法。
[32]還元剤が水素化ジイソブチルアルミニウムである、上記[31]に記載の製造方法。
[33]光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合することを特徴とする、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
[34]以下の工程11〜工程13を包含することを特徴とする、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;および
(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。
[35]以下の工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;
(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
[36]化合物がすべてS体である、上記[29]〜[35]のいずれかに記載の製造方法。
[37]光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩。
[38](S)−1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩。
[39]光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩。
[40](S)−2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩。
[41]以下の工程1〜工程4および工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程1)サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を反応させて、光学活性な化合物(3)を製造する工程;
(工程2)光学活性な化合物(3)の保護基Z1を除去して、光学活性な化合物(4)を製造する工程;
(工程3)光学活性な化合物(4)を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
[42]以下の工程5〜工程7、工程4および工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程5)光学活性なフェニルグリシン化合物(5)とサルコシン化合物(6)を反応させて、光学活性な化合物(7)を製造する工程;
(工程6)光学活性な化合物(7)の保護基Z2を除去して、光学活性な化合物(8)を製造する工程;
(工程7)光学活性な化合物(8)を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。
[43]化合物がすべてS体である、上記[41]または[42]に記載の製造方法。
また、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンから光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンの製造を、その立体配置を保持して製造することができる。
本発明で用いられている各記号の定義は以下のとおりである。
R1またはR2は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す。
「アミノ基の保護基」としては、一般的にペプチド合成に使用される従来公知のアミノ基の保護基が挙げられるが、除去が容易に行え、除去の際にラセミ化がされにくい保護基が好ましい。そのような保護基としては、例えば、置換基を有してもよいベンジルオキシカルボニル基(置換基としては、例えば、メチル基、メトキシ基等が挙げられる)、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でも、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
本発明においては、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩は、以下の方法1により製造することができる。
方法1
以下、各工程について説明する。
サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を反応させることにより、光学活性な化合物(3)を製造することができる。
ここで、フェニルグリシン化合物(2)は光学活性であり、その鏡像体過剰率は0%eeより大きいが、100%eeまで任意の値である。但し、目的とする光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を光学純度よく得るためには、上記の光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の鏡像体過剰率は、好ましくは95%ee以上、より好ましくは99%ee以上、特に好ましくは100%eeである。
この方法では、サルコシン化合物(1)のカルボキシル基における反応性誘導体と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を塩基の存在下で反応させる。
サルコシン化合物(1)のカルボキシル基における反応性誘導体としては、従来公知のものが使用でき、例えば、酸ハライド、酸無水物(対称酸無水物、混合酸無水物)、活性エステル、活性アミド等が挙げられる。
混合酸無水物としては、ジアルキル燐酸(例えば、ジC1−6アルキル−燐酸)またはジフェニル燐酸混合酸無水物、ジアルキル亜燐酸(例えば、ジC1−6アルキル−亜燐酸)混合酸無水物、アルキル炭酸(例えば、C1−6アルキル−炭酸)混合酸無水物、脂肪族カルボン酸(例えば、ピバル酸、トリクロロ酢酸等)混合酸無水物、スルホン酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)混合酸無水物等が挙げられる。
活性エステルとしては、p−ニトロフェニルエステルや、N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等とのエステル等が挙げられる。
活性アミドとしては、イミダゾール、ジメチルイミダゾール、トリアゾール等とのアミド等が挙げられる。これらは、例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)等と反応させることにより調製される。
アルキル炭酸混合酸無水物は、サルコシン化合物(1)とクロルギ酸アルキルとを塩基の存在下で反応させることにより調製される。サルコシン化合物(1)が既に好適な塩(例えば、トリエチルアミンの塩)の状態である場合は、特に塩基を加えることなく反応させることができる。サルコシン化合物(1)、クロルギ酸アルキルおよび塩基の添加順序は特に限定はされないが、通常は、特開2002−53543号公報に記載のように、サルコシン化合物(1)と塩基の混合物をクロルギ酸アルキルに添加することにより行われる。
クロルギ酸アルキルの使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.05モルである。クロルギ酸アルキルの使用量が0.9モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、1.1モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
塩基の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常0.9〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.05モルである。塩基の使用量が0.9モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、1.1モルを超えると、不純物を生じる、加えた塩基に見合う収率向上がない等、経済的でない。
溶媒の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常1.0〜5.0L、好ましくは1.5〜3.0Lである。溶媒の使用量が1.0L未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、5.0Lを超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
上記のアルキル炭酸混合酸無水物および光学活性なフェニルグリシン化合物(2)の添加順序は特に限定はされず、上記のアルキル炭酸混合酸無水物に光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を添加してもいいし、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)に上記のアルキル炭酸混合酸無水物を添加してもよい。
この方法では、サルコシン化合物(1)と光学活性なフェニルグリシン化合物(2)を縮合剤の存在下で反応させる。サルコシン化合物(1)、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)および縮合剤の添加順序は特に限定はされないが、通常は、サルコシン化合物(1)、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)、縮合剤の順に添加することにより行われる。
縮合剤の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常0.8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.3モルである。縮合剤の使用量が0.8モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、1.5モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
溶媒の使用量は、サルコシン化合物(1)1モルに対して、通常1〜5.0L、好ましくは1.5〜3.0Lである。溶媒の使用量が1L未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、5.0Lを超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
また、光学活性なフェニルグリシン化合物(2)は、市販品を使用してもよいし、光学活性なフェニルグリシンとR1OH(例えば、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール等)との反応により、従来公知の方法にて製造することができる。
この工程では、光学活性な化合物(3)の保護基Z1を除去することにより、光学活性な化合物(4)を製造することができる。
保護基Z1の除去方法は、保護基により適宜選択され、従来公知の方法が採用される。例えば、(i)保護基Z1が置換基を有していてもよいベンジルオキシカルボニル基等である場合、接触還元により除去することが好ましい。また、(ii)保護基Z1がtert−ブトキシカルボニル基等である場合、酸処理により除去することが好ましい。
還元触媒の使用量はメタル換算量として、光学活性な化合物(3)1モルに対して、通常2〜30g、好ましくは5〜15gである。還元触媒の使用量が2g未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、30gを超えると、それに見合う経済的効果がない。
溶媒の使用量は、光学活性な化合物(3)1モルに対して、通常2〜8L、好ましくは3〜5Lであるが、特に限定されない。
酸の使用量は、光学活性な化合物(3)1モルに対して、通常5〜50モル、好ましくは10〜30モルである。酸の使用量が5モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、50モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
溶媒の使用量は、光学活性な化合物(3)1モルに対して、通常1〜5L、好ましくは1.5〜3Lであるが、特に限定されない。
この工程では、光学活性な化合物(4)を環化させることにより、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造することができる。
環化方法としては、(i)加熱により環化させる方法、(ii)減圧により環化させる方法、(iii)塩基処理により環化させる方法、(iv)酸処理により環化させる方法、あるいはこれらの組み合わせ等が挙げられる。
この方法では、上記の塩基を溶媒として兼用してもよく、あるいは別途溶媒を使用してよい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、光学活性な化合物(4)1モルに対して、通常0.5〜5L、好ましくは1〜3Lであるが、特に限定されない。
酸の使用量は、光学活性な化合物(4)1モルに対して、通常0.1〜1.0モル、好ましくは0.2〜0.5モルである。酸の使用量が0.1モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、1.0モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
この方法では、上記の酸を溶媒として兼用してもよく、あるいは別途溶媒を使用してよい。溶媒としては、例えば、酢酸等の酸溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は、光学活性な化合物(4)1モルに対して、通常2〜20L、好ましくは4〜8Lであるが、特に限定されない。
この工程では、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元することにより、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造することができる。
還元は、還元剤を用いて行われることが好ましい。光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンおよび還元剤の添加順序としては、特に限定されないが、通常は、還元剤の懸濁液に光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンが添加される。
還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体等が挙げられる。
還元剤中の活性水素量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンまたはその塩1モルに対して、通常5〜50当量、好ましくは10〜25当量である。還元剤の活性水素量が5当量未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、50当量を超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
溶媒の使用量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンまたはその塩1モルに対して、通常1〜10L、好ましくは2〜7Lである。溶媒の使用量が1L未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、10Lを超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
方法2
以下、各工程について説明する。
この工程では、光学活性なフェニルグリシン化合物(5)とサルコシン化合物(6)を反応させることにより、光学活性な化合物(7)を製造することができる。
ここで、フェニルグリシン化合物(5)は光学活性であり、その鏡像体過剰率は0%eeより大きいが、100%eeまで任意の値である。但し、目的とする光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を光学純度よく得るためには、上記の光学活性なフェニルグリシン化合物(5)の鏡像体過剰率は、好ましくは95%ee以上、より好ましくは99%ee以上、特に好ましくは100%eeである。
この工程では、光学活性な化合物(7)の保護基Z2を除去することにより、光学活性な化合物(8)を製造することができる。この工程は、上記した方法1における工程2と同様の方法により行うことができる。
この工程では、光学活性な化合物(8)を環化させることにより、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造することができる。この工程は、上記した方法1における工程3と同様の方法により行うことができる。
この工程は、上記した方法1における工程4と同じ工程である。
方法3
この工程では、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合することにより、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)を製造することができる。
2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとしては、2−クロロ−3−シアノピリジン、2−ブロモ−3−シアノピリジンが好ましい。
2−ハロゲノ−3−シアノピリジンの使用量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)1モルに対して、通常1.0〜2.0モル、好ましくは1.3〜1.6モルである。2−ハロゲノ−3−シアノピリジンの使用量が1.0モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、2.0モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
塩基としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
塩基の使用量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)1モルに対して、通常1.0〜2.0モル、好ましくは1.2〜1.6モルである。塩基の使用量が1.0モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、2.0モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
反応は、通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル‐2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、これらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、反応時間および経済性の観点から、DMFが好ましい。
溶媒の使用量は、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン(11)1モルに対して、通常0.1〜2L、好ましくは0.2〜1Lである。溶媒の使用量が0.1L未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、2Lを超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
この工程では、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)を還元剤で還元することにより、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)を製造することができる。
光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)および還元剤の添加順序としては、特に限定されないが、通常は、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)の溶液に還元剤が添加される。
還元剤としては、シアノ基をホルミル基に還元できるものであれば、特に限定されないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム等が挙げられる。中でも、入手容易である点から、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。また、還元剤は、予め有機溶媒(好ましくは、トルエン)に溶解させて使用することが好ましく、特に、水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液が好適に使用される。
還元剤の使用量は、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)1モルに対して、通常1.7〜3.0モル、好ましくは2.0〜2.5モルである。還元剤の使用量が1.7モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、3.0モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
溶媒の使用量は、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)100重量部に対して、通常500〜2000重量部、好ましくは1000〜1500重量部である。溶媒の使用量が500重量部未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、2000重量部を超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
還元は、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
還元反応の終了後、還元剤を分解し、また生成したイミド体を加水分解してカルバルデヒド体とするために、得られた反応混合物と水とを混合することが好ましい。水の量は、通常、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(12)100重量部に対して、200〜1000重量部程度であることが好ましい。
その後、必要により、反応混合物中に残存している還元剤を溶解、除去させるために、アルカリ水溶液を該反応混合物に添加することができる。かかるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ金属水酸化物の水溶液等が挙げられる。
次に、反応混合物から水層を分離し、有機層に硫酸等の鉱酸を添加し、50℃位で30分〜1時間程度加熱した後、アルカリ水溶液を添加してアルカリ性とし、分液し、常法により、乾燥、有機溶媒を除去する。
この工程では、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)を還元剤で還元することにより、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(14)を製造することができる。
光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)および還元剤の添加順序としては、特に限定されないが、通常は、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)の溶液に還元剤が添加(好ましくは分割添加)される。
還元剤としては、ホルミル基をヒドロキシメチル基に還元できるものであれば、特に限定されないが、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等が挙げられる。中でも、入手容易、経済性の観点から、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
還元剤の使用量は、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)1モルに対して、通常1.5〜3モル、好ましくは2〜2.5モルである。還元剤の使用量が1.5モル未満であると、原料が未反応のまま残り、収率が低下するおそれがある。逆に、3モルを超えると、それに見合う収率向上がなく、経済的でない。
溶媒の使用量は、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒド(13)100重量部に対して、通常400〜2000重量部、好ましくは500〜1000重量部である。溶媒の使用量が400重量部未満であると、攪拌が十分できなくおそれがあり、逆に、2000重量部を超えると、反応が遅くなるおそれがあり、好ましくない。
この工程では、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジン(14)を環化させることより、光学活性なミルタザピン(15)を製造することができる。
環化は、例えば、特許文献1に記載の方法と同様に方法により行うことができ、例えば、ポリリン酸、リン酸、硫酸、塩化亜鉛等の酸により環化させる方法等が挙げられる。
出発原料の調製
常法に従い、N−ベンジルオキシカルボニルサルコシンはサルコシンとベンジルオキシカルボニルクロリドから製造し、また、(S)−フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩は市販品を使用してもよいが、(S)−フェニルグリシンとメタノールおよび塩化チオニルから製造できる。
N−ベンジルオキシカルボニルサルコシン(2.23g、0.01mol)をテトラヒドロフラン(THF、10ml)に溶解させ、−10℃以下でトリエチルアミン(1.39ml、0.01mol)を加えた。クロロギ酸エチル(0.956ml、0.01mol)のTHF(10ml)溶液に、上記溶液を−10℃以下で加え、同温度で10分間攪拌し、懸濁物を得た。これとは別に、乳鉢ですりつぶした(S)−フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩(2.22g、0.011mol)をTHF(10ml)に懸濁させ、−10℃以下でトリエチルアミン(1.53ml、0.011mol)を加え、これに上記の懸濁物を−10℃以下で加えて15分間攪拌し、さらに0℃で30分間攪拌した。飽和重曹水(20ml)にこの反応混合物をあけて、一旦THFを減圧留去した。酢酸エチルで抽出(20ml×2)し、有機層を10%塩酸(15ml)と飽和重曹水(15ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=4:3)で精製して、表題化合物の結晶3.05g(収率82.4%)を得た。
m.p.118〜119℃。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 3.02 (s, 3H, NMe), 3.72 (s, 3H, CO2Me), 3.92 and 4.03 (2d,
2H, J=16.6Hz, CH2), 5.16 (brs, 2H, CH2), 5.56 (d, 1H, J=7.3 Hz, CH), 7.20-7.40 (m, 10H, aromatic).
(S)−N−[N−ベンジルオキシカルボニルサルコシル]フェニルグリシンメチルエステルの結晶(3.0g)を酢酸(30ml)に溶解し、5%Pd−C(50%ウエット品、0.3g)を加えて懸濁させ、水素圧5kg/cm2にてオートクレーブ中で攪拌した。40分後、Pd−Cを濾過して除き、大部分の酢酸を減圧留去して、表題化合物のオイルを得た。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 2.52 (s, 3H, NMe), 3.48 (s, 2H, CH2), 3.73 (s, 3H, CO2Me),5.60 (d, 1H, J=7.7Hz, CH), 7.30-7.40 (m, 5H, aromatic).
実施例2で得られたオイルを室温(25℃)で4日間放置した後、析出した結晶を酢酸エチル(3ml)とtert−ブチルメチルエーテル(7ml)で懸濁後、濾過して、1.07g(収率65.0%)の表題化合物を得た。
m.p.185〜190℃(sintered)。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 2.96 (s, 3H, NMe), 3.93 and 4.12 (2d, 2H, J=17.6Hz, CH2), 5.10 (d, 1H, J=2.9Hz, CH), 6.67 (brs, 1H, NH), 7.30-7.43 (m, 5H, aromatic).
窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム(0.46g、12.1mmol)のTHF(15ml)懸濁液に(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン(0.5g、2.45mmol)を加えた後、1.5時間還流した。混合物を氷冷し、酢酸エチル(5ml)、メタノール(5ml)および水(10ml)を加え、一旦溶媒を減圧留去した。トルエン(20ml)および10%NaOH水溶液(10ml)を加え、セライト濾過して不溶物を除き、トルエン層を分離した。再度、水層をトルエン(20ml)で抽出した。トルエン層を合わせ、溶媒を減圧留去して、表題化合物のオイル(0.43g、定量的、キラルHPLC分析から(S):(R)=99.9:0.1)を得た。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 1.99 (t, 1H, J=10.5Hz, CH), 2.14 (dt, 1H, J= 10.5 and 3.0Hz, CH), 2.31 (s, 3H, NMe), 2.75-2.90 (m, 2H, CH2), 3.00-3.15 (m, 2H, CH2), 3.87 (dd, 1H, J= 10.5 and 3.0 Hz, CH), 7.20-7.42 (m, 5H, aromatic).
カラム;CHIRALCEL OD−H(4.6×250mm、ダイセル化学製)
移動相;A液:イソプロパノール(0.1%ジエチルアミン含有)
B液:ヘキサン(0.1%ジエチルアミン含有)
溶出条件;A液:B液=5:95の一定組成
流速;0.5ml/min.
波長;254nm
保持時間;S体12.1分付近、R体13.7分付近
実施例5 N−[(S)−N−ベンジルオキシカルボニルフェニルグリシル]サルコシンエチルエステル(Z−Phg−Sar−OEt)
(S)−N−ベンジルオキシカルボニルフェニルグリシン(5.00g、0.0175mol)をジクロロメタン(20ml)に溶解させ、−10℃以下でトリエチルアミン(2.44ml、0.0175mol)を加えた。クロロギ酸エチル(1.67ml、0.0175mol)のジクロロメタン(15ml)溶液に、上記溶液を−10℃以下で加え、同温度で10分間攪拌し、懸濁物を得た。これとは別に、サルコシンエチルエステル塩酸塩(2.82g、0.0184mol)をジクロロメタン(20ml)に懸濁させ、−10℃以下でトリエチルアミン(2.56ml、0.0184mol)を加え、析出物を濾過し、ジクロロメタン(10ml)で洗浄し、その濾液を上記の懸濁物に−10℃以下で加えて15分間攪拌し、さらに0℃で30分間攪拌した。氷水(80ml)にこの反応混合物をあけて、一旦ジクロロメタンを減圧留去した。酢酸エチル(40ml)を加え、不溶物を濾過して除き、濾液を分液し、有機層を10%塩酸(15ml)と飽和重曹水(15ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して、3.87g(収率57.4%)の表題化合物のオイルを得た。
1H-NMR(ppm, CDCl3):δ 1.24 (t, 3H, J=7.0Hz, CH3), 2.93 (s, 3H, NMe), 3.98 and 4.27 (2d, 2H, J= 17.2Hz, CH2), 4.19 (q, 2H, J= 7.0Hz, CH2), 5.04 and 5.01 (2d, 2H,J=12.0Hz, CH2), 5.66 (d, 1H, J=7.6Hz, CH), 6.25 (d, 1H, J=7.2 Hz, NH), 7.20-7.45
(m, 10H, aromatic).
N−[(S)−N−ベンジルオキシカルボニルフェニルグリシル]サルコシンエチルエステルのオイル(3.8g)を酢酸(30ml)に溶解し、5%Pd−C(50%ウエット品、0.3g)を加えて懸濁させ、水素圧5kg/cm2にてオートクレーブ中で攪拌した。2時間後、Pd−Cを濾過して除き、大部分の酢酸を減圧留去した。得られたオイルを25℃で減圧下(0.7kPa)一晩放置した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:アセトン=1:1〜1:2)で精製し、溶媒留去後、析出した結晶をヘプタン−ジエチルエーテル(1:1、10ml)で懸濁後、濾過して、1.78g(収率88%)の表題化合物を得た。1H−NMRは実施例3で得られたものと一致した。
窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム(0.74g、19.5mmol)のTHF(30ml)懸濁液に(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン(1.0g、4.9mmol)を加えた後、3.5時間還流した。混合物を氷冷し、酢酸エチル(5ml)、メタノール(5ml)および水(10ml)を加え、一旦溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(20ml)および10%NaOH水溶液(10ml)を加え、セライト濾過して不溶物を除き、酢酸エチル層を分離し、溶媒を減圧留去して、表題化合物のオイル(0.67g、77.6%)を得た。1H−NMRは実施例4で得られたものと一致した。
シュウ酸(0.102g、1.13mmol)のアセトン(3ml)溶液に、(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン(0.200g、1.14mmol)のアセトン(3ml)溶液を滴下した。析出した結晶を濾過し、アセトン(3ml)で洗浄し、乾燥して、0.275g(収率91.1%)の表題化合物の結晶を得た。
m.p.124〜127℃(sintered)。
1H-NMR(ppm, D2O):δ 2.85 (d, 3H, J=3.4Hz, NMe), 3.15-3.30 (m, 1H, CH), 3.32-3.52(m, 2H, CH2), 3.55-3.75 (m, 3H, CH+CH2), 4.48-4.58 (m, 1H, CH), 7.30-7.50 (m, 5H, aromatic).
反応後、余剰の水素化ジイソブチルアルミニウムを分解するために、発泡に注意しながらエタノール2mlを滴下した。次に、苛性ソーダ水(苛性ソーダ0.85g/水5ml)を添加し30℃で1時間攪拌、トルエン層を分取後、このトルエン層に希硫酸(硫酸0.42g/水5ml)を加え、45〜50℃で1時間攪拌した。25℃に冷却後、苛性ソーダ水(苛性ソーダ0.85g/水5ml)を加え10分攪拌し、分液後、トルエン層を5mlの水で水洗し、無水硫酸マグネシウム0.6gで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾過除去後、バス温を40℃に設定しエバポレーターでトルエンを減圧留去し、真空ポンプを用いてさらに同温度で1時間掃引して、0.71gの表題化合物を得た(収率91.8%。S体:R体=96.2:3.8)。
カラム :CHIRALCEL OD−H(0.46cmφ×25cm、ダイセル化学製
移動相 A液:0.1%ジエチルアミン含有2−プロパノール
B液:0.1%ジエチルアミン含有n−ヘキサン
流速 A液:0.025ml/min
B液:0.475ml/min(一定組成、一定流速)
カラム温度 :40℃
波長 :254nm
(S)−N−[N−ベンジルオキシカルボニルサルコシル]フェニルグリシンメチルエステルの結晶(16g、41.4mmol)をメタノール(320ml)に溶解させ、5%Pd−C(50%ウエット品、1.6g)を添加後、水素置換し、水素供給下23〜30℃で2時間攪拌した。触媒を濾過し、(S)−N−サルコシル−フェニルグリシンメチルエステルのメタノール溶液を得た。以下に示すHPLC分析の結果、(S)−N−サルコシル−フェニルグリシンメチルエステル77.18%、(S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン22.54%であった。
カラム :CHIRALPAX AD−H(0.46cmφ×25cm、ダイセル化学製)
移動相 A液:n−ヘキサン
B液:2−プロパノ−ル
流速 A液:0.8ml/min
B液:0.2ml/min
カラム温度 :40℃
波長 :210nm
実施例13で得られた(S)−N−サルコシル−フェニルグリシンメチルエステルのメタノール溶液に、リン酸2.5gを添加し、25〜28℃で2時間攪拌した。バス温40℃のエバポレーターでメタノールを減圧留去した。イソプロピルアルコール50mlを添加し、攪拌後、5℃以下に冷却し、結晶を濾過して、8.04gの表題化合物を得た((S)−N−[N−ベンジルオキシカルボニルサルコシル]フェニルグリシンメチルエステルからの収率:88.2%、S体:R体=99.94:0.06、HPLC分析条件は実施例13と同じ)。
また、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンから光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンの製造を、その立体配置を保持して製造することができる。
Claims (39)
- 光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
- 還元が水素化金属化合物を用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
- 水素化金属化合物が水素化アルミニウムリチウムである、請求項2に記載の製造方法。
- 光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンおよび光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンが共にS体である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 式(4):
(式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させることを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの製造方法。 - 環化が、加熱、減圧、塩基処理および酸処理から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる、請求項5に記載の製造方法。
- 式(3):
(式中、Z1は、アミノ基の保護基を示し、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性な化合物の保護基Z1を除去することを特徴とする、式(4):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物またはその塩の製造方法。 - 式(1):
(式中、Z1は、アミノ基の保護基を示す)
で表されるサルコシン化合物またはその塩と、式(2):
(式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩を反応させることを特徴とする、式(3):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物の製造方法。 - 以下の工程1〜工程4を包含することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
(工程1)式(1):
(式中、Z1は、アミノ基の保護基を示す)
で表されるサルコシン化合物またはその塩と、式(2):
(式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩を反応させて、式(3):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物を製造する工程;
(工程2)式(3)で表される光学活性な化合物の保護基Z1を除去して、式(4):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物またはその塩を製造する工程;
(工程3)式(4)で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;および
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。 - 化合物がすべてS体である、請求項5〜9のいずれかに記載の製造方法。
- 式(8):
(式中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させることを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンの製造方法。 - 環化が、加熱、減圧、塩基処理および酸処理から選ばれる少なくとも1つの方法により行われる、請求項11に記載の製造方法。
- 式(7):
(式中、Z2は、アミノ基の保護基を示し、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性な化合物の保護基Z2を除去することを特徴とする、式(8):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物またはその塩の製造方法。 - 式(5):
(式中、Z2は、アミノ基の保護基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩と、式(6):
(式中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す)
で表されるサルコシン化合物またはその塩を反応させることを特徴とする、式(7):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物の製造方法。 - 以下の工程5〜工程7および工程4を包含することを特徴とする、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
(工程5)式(5):
(式中、Z2は、アミノ基の保護基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩と、式(6):
(式中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す)
で表されるサルコシン化合物またはその塩を反応させて、式(7):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物を製造する工程;
(工程6)式(7)で表される光学活性な化合物の保護基Z2を除去して、式(8):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物またはその塩を製造する工程;
(工程7)式(8)で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;および
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。 - 化合物がすべてS体である、請求項11〜15のいずれかに記載の製造方法。
- 1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン。
- (S)−1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオン。
- 式(3):
(式中、Z1は、アミノ基の保護基を示し、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される化合物。 - S体である、請求項19に記載の化合物。
- 式(4):
(式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される化合物またはその塩。 - S体である、請求項21に記載の化合物またはその塩。
- 式(7):
(式中、Z2は、アミノ基の保護基を示し、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される化合物。 - S体である、請求項23に記載の化合物。
- 式(8):
(式中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される化合物またはその塩。 - S体である、請求項25に記載の化合物。
- 光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元することを特徴とする、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
- 還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである、請求項27に記載の製造方法。
- 光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元することを特徴とする、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩の製造方法。
- 還元剤が水素化ジイソブチルアルミニウムである、請求項29に記載の製造方法。
- 光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合することを特徴とする、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法。
- 以下の工程11〜工程13を包含することを特徴とする、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩の製造方法:
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;および
(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程。 - 以下の工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。 - 化合物がすべてS体である、請求項27〜33のいずれかに記載の製造方法。
- 光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩。
- (S)−2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩。
- 以下の工程1〜工程4および工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程1)式(1):
(式中、Z1は、アミノ基の保護基を示す)
で表されるサルコシン化合物またはその塩と、式(2):
(式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩を反応させて、式(3):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物を製造する工程;
(工程2)式(3)で表される光学活性な化合物の保護基Z1を除去して、式(4):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物またはその塩を製造する工程;
(工程3)式(4)で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。 - 以下の工程5〜工程7、工程4および工程11〜工程14を包含することを特徴とする、光学活性なミルタザピンまたはその塩の製造方法:
(工程5)式(5):
(式中、Z2は、アミノ基の保護基を示し、*で示した炭素原子は、不斉炭素原子であることを示す)
で表される光学活性なフェニルグリシン化合物またはその塩と、式(6):
(式中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜7のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を示す)
で表されるサルコシン化合物またはその塩を反応させて、式(7):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物を製造する工程;
(工程6)式(7)で表される光学活性な化合物の保護基Z2を除去して、式(8):
(式中の各記号は前記と同義である)
で表される光学活性な化合物またはその塩を製造する工程;
(工程7)式(8)で表される光学活性な化合物またはその塩を環化させて、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを製造する工程;
(工程4)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジン−2,5−ジオンを還元して、光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程11)光学活性な1−メチル−3−フェニルピペラジンまたはその塩と2−ハロゲノ−3−シアノピリジンとを塩基の存在下で縮合して、光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;
(工程12)光学活性な1−(3−シアノ−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を製造する工程;(工程13)光学活性な2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)−3−ピリジンカルバルデヒドまたはその塩を還元剤で還元して、光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を製造する工程;および
(工程14)光学活性な1−(3−ヒドロキシメチル−2−ピリジル)−4−メチル−2−フェニルピペラジンまたはその塩を環化させて、光学活性なミルタザピンまたはその塩を製造する工程。 - 化合物がすべてS体である、請求項37または38に記載の製造方法。
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