JP5080004B2 - ポリウレタン発泡体 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば寝具類、吸音材、緩衝材、シートカバー等として用いられ、変色の少ないポリウレタン発泡体に関するものである。
従来、見掛け密度25kg/m以下の軟質ポリウレタン発泡体を製造する際に、発泡剤を水のみとした場合、水の添加量を増加させる必要があることから発泡及び硬化時における発熱温度が170℃以上に達する。このため、ポリウレタンの酸化劣化(スコーチ)に基づく自己発火の可能性があるとともに、スコーチにより、得られる軟質ポリウレタン発泡体に着色が発生する。そのような事態を回避するために、従来の水の添加量のままで発泡助剤として塩化メチレンや液化炭酸ガスを添加することが知られている。
しかし、塩化メチレンは環境等に悪影響を与える物質の一つであって、使用が規制されている。一方、液化炭酸ガスによる発泡は、液化炭酸ガスを高圧で供給する専用の設備が必要であり、発泡を円滑に行うためには製造条件が限定されるうえに、製造コストも上昇する。そこで、吸熱を目的として、ポリエチレンパウダー等のポリオレフィンパウダーを添加する技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
特表2002−532596号公報(第2頁) 特開平6−199973号公報(第2頁及び第3頁)
ところが、前記従来のポリオレフィンパウダーを添加する技術においては、反応及び発泡時における発熱温度の低下に対して効果は認められるが、発熱量を効果的に抑制するためにはポリオレフィンパウダーを増量させることが必要である。その場合、増量されたポリオレフィンパウダーにより、得られる軟質ポリウレタン発泡体の見掛け密度が高くなり過ぎるとともに、圧縮残留歪等の物性が低下する。このような物性の低下を防ぐためには、ポリオレフィンパウダーの配合量を抑える必要があることから、反応及び発泡時における発熱温度を効果的に低下させることができず、その結果スコーチによる変色を抑制することができないという問題があった。
そこで、ポリウレタン発泡体の原料に無機化合物の水和物を配合し、発泡時における温度上昇で無機化合物の水和物を分解させて水を生成し、その水の蒸発で発熱温度を低下させることが考えられる。しかし、その場合、ポリウレタン発泡体の原料に難燃剤を配合すると、難燃剤が加熱状態で水蒸気に晒されて分解するものと考えられ、それによって発泡体が変色するという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、難燃剤が配合されている場合における変色を抑制することができるポリウレタン発泡体を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤及び触媒を含有するポリウレタン発泡体の原料を反応させ、発泡及び硬化させて得られるポリウレタン発泡体であって、前記ポリウレタン発泡体の原料には、難燃剤としてオキシジ−2,1−エタンジイルテトラキス(2−クロロ−1−メチルエチル)ホスフェート、リン酸エステル、ポリ塩化ビニルと三酸化アンチモンと酸化亜鉛とを含むフィラー混合物から選ばれる少なくとも一種と、吸熱剤として二水石膏又は二水石膏及び硫酸マグネシウム7水和物の混合物と、ベンゾチアゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物及びスルフェンアミド系化合物から選ばれる少なくとも一種の有機化合物とを配合することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明のポリウレタン発泡体は、請求項1に記載の発明において、前記有機化合物の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明のポリウレタン発泡体は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記ポリウレタン発泡体の原料には、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤を配合することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明のポリウレタン発泡体は、請求項3に係る発明において、前記酸化防止剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明のポリウレタン発泡体は、請求項3又は請求項4に係る発明において、前記有機化合物と酸化防止剤との配合比は、質量基準で1:0.5〜1:2.0であることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明のポリウレタン発泡体は、請求項1から請求項のいずれかに係る発明において、前記ポリオール類は、鎖延長剤としてプロピレンオキシドを用いたポリオキシアルキレンポリオールであることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明のポリウレタン発泡体においては、ポリウレタン発泡体の原料に、難燃剤としてオキシジ−2,1−エタンジイルテトラキス(2−クロロ−1−メチルエチル)ホスフェート、リン酸エステル、ポリ塩化ビニルと三酸化アンチモンと酸化亜鉛とを含むフィラー混合物から選ばれる少なくとも一種と、吸熱剤として二水石膏又は二水石膏及び硫酸マグネシウム7水和物の混合物と、ベンゾチアゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物及びスルフェンアミド系化合物から選ばれる少なくとも一種の有機化合物とが配合される。このため、反応及び発泡時において、前記吸熱剤として二水石膏又は二水石膏及び硫酸マグネシウム7水和物の混合物が加熱により分解して水を生成し、その水の蒸発によって蒸発潜熱が奪われ、温度上昇が抑制される。また、前記有機化合物は、前記難燃剤が分解して生成した発色化合物を加水分解して発色が失われるように作用するものと考えられる。従って、難燃剤が配合されている場合におけるポリウレタン発泡体の変色を抑制することができる。
請求項2に記載の発明のポリウレタン発泡体においては、有機化合物の配合量がポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部であることから、請求項1に係る発明の効果を十分に発揮することができる。
請求項3に記載の発明のポリウレタン発泡体においては、ポリウレタン発泡体の原料にはリン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤が配合されることから、その酸化防止剤が前記有機化合物の作用を高めるものと考えられ、請求項1又は請求項2に係る発明の効果を向上させることができる。
請求項4に記載の発明のポリウレタン発泡体においては、酸化防止剤の配合量がポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部に設定されていることから、請求項3に係る発明の効果を十分に発揮させることができる。
請求項5に記載の発明のポリウレタン発泡体においては、有機化合物と酸化防止剤との配合比は、質量基準で1:0.5〜1:2.0に設定されていることから、請求項3又は請求項4に係る発明の効果に加え、有機化合物と酸化防止剤との相乗効果を有効に発揮させることができる。
求項に記載の発明のポリウレタン発泡体においては、請求項1から請求項のいずれかに係る発明の効果に加え、難燃性を一層向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態におけるポリウレタン発泡体(以下、単に発泡体ともいう)は以下のようにして得られるものである。すなわち、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤及び触媒を含有するポリウレタン発泡体の原料を反応させ、発泡及び硬化させて得られる。その際、ポリウレタン発泡体の原料には、難燃剤と、吸熱剤として無機化合物の水和物又は融点が100〜160℃の熱可塑性樹脂と、ベンゾチアゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物及びスルフェンアミド系化合物から選ばれる少なくとも一種の有機化合物とが配合される。そして、無機化合物の水和物はポリウレタン発泡体の原料が反応及び発泡する過程で分解して水を生成し、その水が蒸発潜熱を奪うことで反応温度を抑える機能を発現する。熱可塑性樹脂は融解潜熱を奪うことで、反応温度を抑制する機能を発現する。また、有機化合物は、難燃剤が分解して生成した発色化合物を加水分解して発色が失われるような機能を発現するものと考えられる。
次に、前記ポリウレタン発泡体の原料について説明する。
ポリオール類としては、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられる。これらのうち、ポリイソシアネート類との反応性に優れているという点と、ポリエステルポリオールのように加水分解をしないという点から、ポリエーテルポリオール又はポリエーテルエステルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、多価アルコールにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオール、それらの変性体等が用いられる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして具体的には、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させ、さらにエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加重合させ、さらにエチレンオキシドを付加重合させたジオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオール中のポリエチレンオキシド単位は10〜30モル%程度である。ポリエチレンオキシド単位の含有量が多い場合には、その含有量が少ない場合に比べて親水性が高くなり、極性の高い分子、ポリイソシアネート類等との混合性が良くなる。その結果、反応性が高くなる。
ポリエーテルエステルポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールに、ポリカルボン酸無水物と環状エーテル基を有する化合物とを反応させて得られる化合物である。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。ポリカルボン酸無水物としては、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、トリメリット酸等の無水物が挙げられる。環状エーテル基を有する化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。これら3成分を反応させる順序については特に限定されない。例えば、3成分を同時に反応させる方法、ポリオキシアルキレンポリオールとポリカルボン酸無水物に環状エーテル基を有する化合物を吹き込んで反応させる方法、ポリオキシアルキレンポリオールとポリカルボン酸無水物の一部を反応させ、それに環状エーテル基を有する化合物とポリカルボン酸無水物の残部を反応させる方法等がある。
ポリオール類としては難燃性の観点から、鎖延長剤にプロピレンオキシドを用いたポリオキシアルキレンポリオールを使用することが好ましい。この場合、鎖延長剤としてエチレンオキシドのみを含むポリオキシアルキレンポリオールに比べて、酸素含有量が少ないため燃焼が抑えられ、難燃性をより高めることができる。従って、鎖延長剤としてエチレンオキシドのみを含むポリオキシアルキレンポリオールよりもエチレンオキシドとプロピレンオキシドを含むポリオキシアルキレンポリオール又は鎖延長剤としてプロピレンオキシドのみを含むポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが用いられる。このポリオール類は、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の官能基数や水酸基価を変えることができる。
前記ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数個有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらの変性物等が用いられる。ポリイソシアネート類のイソシアネート指数(イソシアネートインデックス)は100以下又は100を越えてもよいが、通常90〜130程度の範囲であり、105〜115程度の範囲が好ましい。ここで、イソシアネート指数は、ポリオール類、発泡剤としての水等の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。従って、イソシアネート指数が100を越えるということは、ポリイソシアネート類がポリオール類等より過剰であることを意味する。
発泡剤はポリウレタン樹脂を発泡させてポリウレタン発泡体とするためのもので、例えば水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。発泡剤としては、泡化反応の反応性が高く、取扱いの容易な水が好ましい。発泡剤が水の場合には、ポリウレタン発泡体の見掛け密度を15〜25kg/mにするため、その配合量をポリオール類100質量部に対して3.5〜9.0質量部とすることが好ましい。水の配合量が3.5質量部未満では発泡量が少なく、ポリウレタン発泡体の見掛け密度が25kg/mを越える傾向となり、9.0質量部を越えると反応及び発泡時に温度が上昇しやすくなり、その温度を低下させることが難しくなる。
触媒はポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応を促進するためのものであり、具体的にはトリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン等の第3級アミン、オクチル酸スズ(スズオクトエート)等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が用いられる。
次に、難燃剤はポリウレタン発泡体に難燃性(低燃焼性)を付与するものであり、一般に知られているリン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等が常法に従って配合される。この難燃剤が配合されることにより、ポリウレタン発泡体の原料が反応及び発泡する過程において特に水の存在下で分解し、発色化合物が生成してポリウレタン発泡体が変色するものと考えられる。難燃剤として具体的には、オキシジ−2,1−エタンジイルテトラキス(2−クロロ−1−メチルエチル)ホスフェート(含ハロゲン難燃剤)、リン酸エステル(ノンハロゲン難燃剤)等のリン系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン系難燃剤等が用いられる。難燃剤の配合量は目的に応じて設定されるが、ポリオール類100質量部当たり、10〜30質量部程度である。
前記ハロゲン系難燃剤としては、ハロゲン化合物と酸化アンチモンとを含む難燃剤、具体的にはポリ塩化ビニル、酸化アンチモン及び酸化亜鉛よりなる難燃剤が難燃性が高いため好ましい。ハロゲン化合物としては、ポリ塩化ビニルのほか、塩素化パラフィンのように塩素の含有量が40〜70%と高いものが難燃性に優れている点から好ましい。酸化アンチモンとしては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどがあるが、三酸化アンチモンが安価で汎用性が高い点から好ましい。ポリ塩化ビニル、酸化アンチモン及び酸化亜鉛よりなるハロゲン系難燃剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり10〜50質量部であることが好ましい。その場合、ハロゲン系難燃剤中のポリ塩化ビニルは5〜40質量部、酸化アンチモンは1〜15質量部及び酸化亜鉛は1〜10質量部である。また、ハロゲン化合物と酸化アンチモンとの質量比は、1:1〜4:1であることが好ましい。
次いで、吸熱剤として用いられる無機化合物の水和物は、加熱によって分解し、分解により水を生成する材料である。無機化合物の水和物として具体的には、硫酸カルシウム・2水和物(CaSO・2HO、二水石膏、比重2.32、分解温度128〜163℃)、硫酸マグネシウムの1水和物から7水和物(MgSO・HOからMgSO・7HO、比重2.57〜1.68、分解温度150℃)、硫酸鉄の1水和物から5水和物(FeSO・HOからFeSO・5HO、比重2.97、分解温度100〜130℃)又はそれらの混合物、その他酸化アルミニウムの1水和物から3水和物(Al・HOからAl・3HO、比重2.4〜3.4、分解温度150〜360℃)、硫酸銅の5水和物(CuSO・5HO、比重2.29)等が用いられる。無機化合物の水和物に含まれる水和水は、固体結晶として常温で安定に存在するものであり、結晶水である。無機化合物の水和物としては、硫酸カルシウムの水和物、硫酸マグネシウムの水和物、硫酸鉄の水和物等の硫酸塩の水和物が好ましい。硫酸塩の水和物は、ポリウレタン発泡体の原料の発泡過程に沿って例えば100℃以上で硫酸塩の水和物が次第に分解されて水を生成し、吸熱作用を発現できるからである。
なお、無機化合物の水和物の比重は1.5〜4.0であることが好ましい。この比重が1.5未満では、無機化合物の水和物(粉体)を体積として大量にポリウレタン原料、例えばポリオールに添加しなければ所定の質量を添加できず、粉体とポリオールとの混合撹拌を十分に行うことができない。しかも、ポリウレタン発泡体中に占める無機化合物の水和物の体積が大きくなって、ポリウレタン発泡体としての物性が低下する。一方、その比重が4.0を越えると、ポリウレタン発泡体の原料特にポリオール中において長期保管すると沈降しやすく反応混合液中への分散性が悪くなって、発熱温度を低下させるという無機化合物の水和物の機能が低下する。無機化合物の水和物の分解温度は、100〜170℃であることが好ましい。分解温度が100℃未満の場合には、ポリウレタン原料による発泡及び硬化の初期の段階で、すなわち発熱温度の低い段階で分解による水が生成するため、発泡及び硬化に悪影響を与えたり、生成した水が発泡剤として機能したりするおそれがある。ちなみに、硫酸カルシウム2水和物(二水石膏)は、128℃で分子中の2モルの水のうちの1.5モルの水が分解して遊離の水となり、硫酸カルシウム0.5水和物(半水石膏)となる。また、硫酸マグネシウム7水和物は、150℃で分子中の7モルの水のうちの6モルの水が分解して遊離の水となり、硫酸マグネシウム1水和物となる。
無機化合物の水和物の配合量は、ポリオール類100質量部当たり3.0〜30.0質量部であることが好ましい。この配合量が3.0質量部未満の場合には、分解して生成する水の量が少なく、反応及び発泡に基づく発熱温度の上昇を十分に抑制することができなくなる。一方、配合量が30.0質量部を越える場合には、発泡体の引張強度、伸び等の物性低下を起こすおそれがある。
また、吸熱剤として融点が100〜160℃の熱可塑性樹脂を用いることもできる。融点が100〜160℃であることにより、ポリウレタン発泡体の原料が反応する際の温度上昇に対応して熱可塑性樹脂が溶融し、その際の融解潜熱に基づいて吸熱作用が発現される。融点が100℃未満の場合には、ポリウレタン発泡体の原料が十分に反応して発熱する前に熱可塑性樹脂が溶融して吸収作用が発現され、ウレタン化反応の進行が妨げられるおそれがある。一方、融点が160℃を越える場合には、ポリウレタン発泡体の原料の反応による発熱を抑制することができなくなる。係る熱可塑性樹脂として具体的には、ポリエチレン(融点100〜140℃)、ポリプロピレン(融点130〜160℃)等のオレフィン系重合体のほか、ポリスチレン(数平均分子量1500〜3000のもので融点100〜125℃)等が用いられる。
次に、前述の有機化合物は、難燃剤が分解して生成した発色化合物を分解させて発色が失われるような機能を発現できる材料である。係る有機化合物としては、ベンゾチアゾール系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物及びスルフェンアミド系化合物から選ばれる少なくとも一種の有機化合物が用いられる。ベンゾチアゾール系化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール(日本ゴム協会標準規格の略号はMBT)、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(同じくMBTS)等が挙げられる。ジチオカルバミン酸塩系化合物としては、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(同じくZnEDC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(同じくZnMDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(同じくZnBDC)、ジメチルジチオカルバミン酸銅(同じくCuMDC)、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄(同じくFeMDC)等が挙げられる。スルフェンアミド系化合物としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(同じくCBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(同じくOBS)等が挙げられる。
この有機化合物の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部であることが好ましい。この配合量が0.5質量部未満の場合には、有機化合物の作用が十分に発揮されず、得られるポリウレタン発泡体が変色する傾向を示す。一方、配合量が3.0質量部を越える場合には、有機化合物による作用がそれ以上向上せず、ポリウレタン発泡体の物性がかえって低下するおそれがある。
続いて、酸化防止剤は、前記有機化合物の作用を高めるように機能する材料である。係る酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールジホスフェート、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤、及びビス{2−メチル−4−〔3−n−アルキル(C12又はC14)チオプロピオニルオキシ〕−5−t−ブチルフェニル}スルフィド等の硫黄系酸化防止剤が好適に用いられる。
酸化防止剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部であることが好ましい。この配合量が0.5質量部未満の場合には有機化合物の作用を十分に高めることができず、3.0質量部を越える場合には配合量に見合う十分な効果が得られなくなり、さらにポリウレタン発泡体の物性が低下するおそれがある。また、前記有機化合物と酸化防止剤との配合比は、質量基準で1:0.5〜1:2.0であることが、有機化合物と酸化防止剤との相乗効果を高めるために好ましい。配合比が1:0.5未満では酸化防止剤の相乗効果を発揮することが難しく、1:2.0を越えると酸化防止剤による相乗効果が飽和状態となり、それ以上の効果が望めず、かえってポリウレタン発泡体の物性低下を招くおそれがある。
ポリウレタン発泡体原料にはその他必要に応じて、整泡剤、架橋剤、充填剤、安定剤、着色剤、可塑剤等が配合される。整泡剤としては、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。
そして、ポリウレタン原料を反応させて発泡及び硬化させることによりポリウレタン発泡体を製造するが、その際の反応は複雑であり、基本的には次のような反応が主体となっている。すなわち、ポリオール類とポリイソシアネート類との付加重合反応(ウレタン化反応)、ポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化(発泡)反応及びこれらの反応生成物とポリイソシアネート類との架橋(硬化)反応である。ポリウレタン発泡体を製造する場合には、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させるワンショット法或はポリオール類とポリイソシアネート類とを事前に反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類を反応させるプレポリマー法のいずれも採用される。また、ポリウレタン発泡体は、常温大気圧下に発泡、硬化させて得られるスラブ発泡体及び成形型内にポリウレタン発泡体の原料(反応混合液)を注入、型締めして型内で発泡、硬化させて得られるモールド発泡体のいずれの方法により製造されるものであってもよい。この場合、スラブ発泡体の方が連続生産できる点から好ましい。
このようにして得られるポリウレタン発泡体は、JIS K 7222:1999に規定された見掛け密度が15〜25kg/mであり、JIS K 6400−4:2004に規定された圧縮残留歪が4〜8%である。このように、ポリウレタン発泡体は低密度のものであり、クッション性が良く、軽量な軟質ポリウレタン発泡体である。係る軟質ポリウレタン発泡体は、一般にセル(気泡)が連通構造を有し、復元性のあるものをいう。従って、このような物性をもつポリウレタン発泡体は、ベッド、マットレス、枕等の寝具類、吸音材、緩衝材等として好適に用いられる。特に、ポリウレタン発泡体と織布等の表皮材を火炎接着して積層されたシートカバーとして好適である。
さて、本実施形態の作用を説明すると、ポリウレタン発泡体の原料には、難燃剤と、吸熱剤として無機化合物の水和物又は融点が100〜160℃の熱可塑性樹脂と、前述の有機化合物とが配合される。そして、ポリウレタン発泡体の原料を混合して反応させ、発泡させて例えば100℃以上の温度に達すると、無機化合物の水和物が分解して水が遊離し、その水が蒸発して蒸発潜熱を奪うことで温度上昇が抑えられる。或いは、熱可塑性樹脂が溶融して融解潜熱を奪うことで温度上昇が抑制される。それと同時に、難燃剤は分解して発色化合物を生成するが、前記有機化合物が水の存在下で発色化合物を加水分解させるように作用するものと推測される。しかも、ポリウレタン発泡体の原料に酸化防止剤が配合されると、有機化合物の作用が促進される。その結果、難燃剤の分解生成物に基づくポリウレタン発泡体の変色が抑えられる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態におけるポリウレタン発泡体においては、ポリウレタン発泡体の原料に、難燃剤と、吸熱剤として無機化合物の水和物又は融点が100〜160℃の熱可塑性樹脂と、ベンゾチアゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物及びスルフェンアミド系化合物から選ばれる少なくとも一種の有機化合物とが配合される。このため、反応及び発泡時において、吸熱剤により蒸発潜熱又は融解潜熱が奪われ、温度上昇が抑制される。また、有機化合物は、難燃剤の分解による発色化合物を加水分解して発色が失われるように作用するものと考えられる。従って、難燃剤が配合されている場合におけるポリウレタン発泡体の変色を抑制することができる。
・ 前記有機化合物の配合量をポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部に設定することで、有機化合物に基づく効果を十分に発揮することができる。
・ また、ポリウレタン発泡体の原料にさらに酸化防止剤を配合することにより、その酸化防止剤が有機化合物の作用を高めるものと推測され、上記の効果を向上させることができる。
・ 酸化防止剤の配合量をポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部に設定することで、酸化防止剤による効果を十分に発揮させることができる。
・ 有機化合物と酸化防止剤との配合比を、質量基準で1:0.5〜1:2.0の範囲に設定することにより、有機化合物と酸化防止剤との相乗効果を有効に発揮させることができる。
・ 難燃剤としてハロゲン化合物と酸化アンチモンとを含むハロゲン系難燃剤を用いることにより、ハロゲン化合物のもつ難燃作用とそれを補助する酸化アンチモンとの相乗的作用により、難燃性を高めることができる。
・ ポリオール類が、鎖延長剤としてプロピレンオキシドを用いたポリオキシアルキレンポリオールであることにより、エチレンオキシドのみを含む場合に比べて酸素含有量が少なくなり、難燃性を一層向上させることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜12及び比較例1〜3)
まず、各実施例及び比較例で用いたポリウレタン発泡体の原料を以下に示す。
ポリオール L-50: ポリエーテルエステルポリオール、水酸基価58(mgKOH/g)、三井武田ケミカル(株)製
ポリマーポリオール POP: 固形分40%、旭硝子(株)製、エクセノール941
ポリオール #3000(hetero): グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシド(8モル%)を付加重合させたポリエーテルポリオールで、分子量3000、水酸基の官能基数が3、水酸基価56(mgKOH/g)、三洋化成工業(株)製、ポリオール GP-3050F
ポリオール#3000(homo): グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させたポリエーテルポリオール、分子量3000、水酸基の官能基数が3、水酸基価56(mgKOH/g)、三洋化成工業(株)製、GP-3000NS
触媒R-51: N−エチルモルホリン、東ソー(株)製、TOYOCAT−NEM
金属触媒 MRH-110: 金属触媒としてのオクチル酸第1スズ、城北化学工業(株)製
整泡剤 F-650: シリコーン整泡剤、信越化学工業(株)製
ポリイソシアネート T-80: 日本ポリウレタン工業(株)製、トリレンジイソシアネート(2,4-トリレンジイソシアネート80質量%と2,6-トリレンジイソシアネート20質量%との混合物)
難燃剤CR-504: オキシジ−2,1−エタンジイルテトラキス(2−クロロ−1−メチルエチル)ホスフェート、大八化学工業(株)製
難燃剤 PNX-S: リン酸エステル(ノンハロゲン難燃剤)、アクゾノーベル社製
難燃剤フィラー混合物: ポリ塩化ビニル62質量%、三酸化アンチモン26質量%及び酸化亜鉛12質量%の混合物
二水石膏: 比重2.32、平均粒子径40μmの二水石膏、(株)ノリタケカンパニーリミテド製
硫酸マグネシウム7水和物: 比重1.68、平均粒子径50μmの硫酸マグネシウムの7水和物
ポリエチレン粉末:平均粒子径100μmのポリエチレン粉末、融点110〜140℃
有機化合物の粉体1: 2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、大内新興化学工業(株)製、ノクセラーM−P
有機化合物の粉体2: ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、大内新興化学工業(株)製、ノクセラーEZ
有機化合物の粉体3: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、大内新興化学工業(株)製、ノクセラーCZ
酸化防止剤 PEP-11C: ペンタエリスリトールジホスフェート系酸化防止剤、旭電化工業(株)製
酸化防止剤 AO-23: ビス{2−メチル−4−〔3−n−アルキル(C12又はC14)チオプロピオニルオキシ〕−5−t−ブチルフェニル}スルフィド、旭電化工業(株)製
そして、表1及び表2に示す配合割合でポリウレタン発泡体の原料を調製した。ここで、比較例1では難燃剤と無機化合物の水和物として二水石膏とを配合し、前記有機化合物の粉体と酸化防止剤とを配合しなかった例、比較例2及び3では難燃剤と二水石膏とを配合し、さらに酸化防止剤を配合し、有機化合物の粉体を配合しなかった例を示した。
これらのポリウレタン発泡体の原料を縦、横及び深さが各500mmの発泡容器内に注入し、常温、大気圧下で発泡させた後、加熱炉を通過させて硬化(架橋)させることにより軟質スラブ発泡体を得た。得られた軟質スラブ発泡体を切り出すことによってシート状のポリウレタン発泡体を製造した。このポリウレタン発泡体について、見掛け密度、圧縮残留歪、最高温度及びYI値を以下の測定方法に従って測定した。それらの結果を表1及び表2に示す。
(測定方法)
見掛け密度(kg/m): JIS K 7222:1999に準じて測定した。
圧縮残留歪(%): JIS K 6400−4:2004に準じて測定した。
最高温度(℃): 発泡容器の中央部に熱電対を差込み、反応及び発泡時において上昇した最も高い温度を示した。
ΔYI値: 反応及び発泡時における温度の高い発泡体の部位(中央部)と温度の低い部位(側面部)について、色差計〔スガ試験機(株)製、SMカラーコンピューター SM−4〕により黄変度(白色度)を測定し、それらの色差(ΔYI)で示した。
硬さ(N):JIS K 6400−2:2004に準拠して測定した。
反発弾性率(%):JIS K 6400−3:2004に準拠して測定した。
引張強さ(kPa)、伸び(%)及び引裂強さ(N/cm):JIS K 6400−5:2004に準拠して測定した。
通気量(L/min):ASTM D3574に準拠して測定した。
Figure 0005080004
Figure 0005080004
表1に示したように、実施例1〜3においては、前記有機化合物の粉体を配合したことから、発色化合物が減少し、ΔYI値を12〜15程度まで低下させることができ、変色を抑えることができた。実施例4では実施例1と同様の条件で、有機化合物の粉体にさらに酸化防止剤を配合した結果、ΔYI値を7.6まで低下させることができ、実施例1に比べて変色を一層抑えることができた。一方、比較例1では難燃剤と二水石膏とが配合されているだけであることから、難燃剤の分解による発色化合物が存在し、ΔYI値が48.7という高い値を示した。さらに、比較例2及び3では難燃剤と二水石膏とに加えて、前記有機化合物が配合されていないことから、ΔYI値は依然として40.2〜45.2という高い値を示した。
また、表2に示したように、実施例5〜12では発泡剤としての水、無機化合物の水和物、有機化合物の粉体及び酸化防止剤の種類及び配合量を調整した結果、ΔYI値を3.2〜7.8に抑えることができた。特に、発泡剤としての水の量、無機化合物の水和物の分解による水の量による影響が大きいことが示された。さらに、実施例1〜12において、見掛け密度を20〜25kg/m、圧縮残留歪を5.3〜7.8(%)及び最高温度を128〜155℃にすることができた。
(実施例13〜17及び比較例4〜7)
実施例13〜17では、難燃剤、有機化合物の粉体等の種類、配合量を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてポリウレタン発泡体を得た。一方、比較例4では、実施例13において有機化合物の粉体を配合しなかった例、比較例5及び6では、実施例13において主として有機化合物の粉体と吸熱剤を配合しなかった例及び比較例7では、実施例13において吸熱剤を配合しなかった例を示す。得られたポリウレタン発泡体について、実施例1と同様の物性及びそれ以外の物性として硬さ、反発弾性率、引張強さ、伸び、引裂強さ、通気量及び難燃性を測定した。難燃性については、FMVSSNo.302(米国自動車安全基準)、UL-94HF-1及びUL-94HF-2(米国UL規格)に準拠して測定した。また、変色性の評価は、ΔYI値に基づいて次の3段階で評価した。
○:発泡体に変色がなく、良好である。△:発泡体に変色(黄変)が明らかに認められ、好ましくない。×:発泡体の変色(黄変)が大きく不良である。
さらに、発熱温度の評価は、最高温度に基づいて次の2段階で評価した。それらの結果を表3に示す。
○:最高温度が160℃未満である。×:最高温度が160℃以上で、発泡体にスコーチ(酸化劣化)が生じている。
Figure 0005080004
表3に示した結果から、実施例13〜17ではΔYI値が18.0以下に抑えられるとともに、最高温度が155℃以下に抑制され、発泡体の変色性について良好であった。なお、実施例15ではポリオールを形成する鎖延長剤としてエチレンオキシドを8モル%含有するポリオキシアルキレンポリオールを用いたため、最も厳しい難燃性の評価(UL-94HF-1)で不合格であった。これに対し、実施例13、14、16及び17では鎖延長剤としてプロピレンオキシドのみを含有するポリオキシアルキレンポリオールを用いたため、難燃性の評価(UL-94HF-1)で合格する結果が得られた。また、実施例14では吸熱剤としてポリエチレン粉末を用いたが、変色性について良好な結果が得られた。
一方、比較例4〜7では有機化合物の粉体と吸熱剤のいずれか又は両者が配合されていないことから、ΔYI値が25.0〜39.0に達し、発泡体には強い変色が生じて不良であった。比較例5では、発泡剤としての水の含有量を減少させ、補助発泡剤としてメチレンクロライドを併用したため、発熱を抑制できたが、吸熱剤が含まれていないことから、ΔYI値が25.0に達して発泡体の変色が大きくなった。
(実施例18〜21)
実施例18では実施例13において、難燃剤フィラー混合物の配合量を減少させた。実施例19では実施例18において難燃剤フィラー混合物の配合量を増加させた。実施例20では実施例14において、難燃剤フィラー混合物の配合量を減少させた。実施例21では実施例20において難燃剤フィラー混合物の配合量を増加させた。そして、得られたポリウレタン発泡体について、実施例13と同様の物性を測定した。それらの結果を表4に示す。
Figure 0005080004
表4に示した結果から、実施例18〜21ではΔYI値を9.0〜11.5に抑えることができ、発泡体の変色性について問題を生じなかった。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 無機化合物の水和物としては、複数種類の水和物、例えば硫酸カルシウムの水和物と硫酸マグネシウムの水和物とを組合せて配合することもできる。その場合には、より広い温度範囲で無機化合物の水和物の機能を発揮させることができ、反応及び発泡時における発熱温度を効果的に低下させることができる。
・ また、前記有機化合物としては、ベンゾチアゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物及びスルフェンアミド系化合物を2種類以上組合せて配合することも可能である。
・ 前記有機化合物に加えて、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の加硫促進助剤を配合することもできる。
・ 酸化防止剤として、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤を用いることもできる。
・ 融点が100〜160℃の熱可塑性樹脂として、ポリメタクリル酸メチル(MMA)、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン等を用いることもできる。
・ 難燃剤として、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化合物と酸化アンチモンとよりなる混合物を使用することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する
・ 前記発泡剤は水であり、その配合量はポリオール類100質量部当たり3.5〜9.0質量部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体。請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、泡化反応を十分に進行させることができる。
・ ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤及び触媒を含有するポリウレタン発泡体の原料には、難燃剤と、無機化合物の水和物又は融点が100〜160℃の熱可塑性樹脂と、ベンゾチアゾール系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物及びスルフェンアミド系化合物から選ばれる少なくとも一種の有機化合物とを配合して反応させ、発泡及び硬化させることを特徴とするポリウレタン発泡体の製造方法。この製造方法によれば、難燃剤が配合されている場合における変色の少ないポリウレタン発泡体を容易に製造することができる。

Claims (6)

  1. ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤及び触媒を含有するポリウレタン発泡体の原料を反応させ、発泡及び硬化させて得られるポリウレタン発泡体であって、
    前記ポリウレタン発泡体の原料には、難燃剤としてオキシジ−2,1−エタンジイルテトラキス(2−クロロ−1−メチルエチル)ホスフェート、リン酸エステル、ポリ塩化ビニルと三酸化アンチモンと酸化亜鉛とを含むフィラー混合物から選ばれる少なくとも一種と、吸熱剤として二水石膏又は二水石膏及び硫酸マグネシウム7水和物の混合物と、ベンゾチアゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物及びスルフェンアミド系化合物から選ばれる少なくとも一種の有機化合物とを配合することを特徴とするポリウレタン発泡体。
  2. 前記有機化合物の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
  3. 前記ポリウレタン発泡体の原料には、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤を配合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリウレタン発泡体。
  4. 前記酸化防止剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部であることを特徴とする請求項3に記載のポリウレタン発泡体。
  5. 前記有機化合物と酸化防止剤との配合比は、質量基準で1:0.5〜1:2.0であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のポリウレタン発泡体。
  6. 前記ポリオール類は、鎖延長剤としてプロピレンオキシドを用いたポリオキシアルキレンポリオールであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体。
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