最近のLED素子の高効率化に伴って、LED素子を照明用途に利用する研究開発が盛んになっている。LED素子を照明用途に利用するためには、LED素子を用いた照明機器の配光特性,器具効率および色度均一性等の光学特性が非常に重要である。なかでも、配光特性は、スポットライトやダウンライト等の照明機器の用途に応じて制御する必要があるため、特に重要な光学特性の一つとなっている。
上記LED素子を用いた照明機器に関する配光特性の制御方法としては、特開平11‐195317号公報(特許文献1)および特開平11‐195307号公報(特許文献2)に開示された「反射型LED照明装置」が提案されている。図13および図14は、上記特許文献1および特許文献2に開示された反射型LED照明装置に関する配光特性制御について説明するための図である。
図13において、反射型LEDユニット1は、図13(a)に示すように、LED素子2と凹型反射面を有するリフレクタ3とが対を成して配置されており、LED素子2からリフレクタ3に向けて放射された光をリフレクタ3によって反射させ、反射光4によって物体を照射するようになっている。この反射型LEDユニット1の単体での配光特性は、図13(b)に示すように、リフレクタ3によって非常に狭い放射角になるように光が絞り込まれている。
上記反射型LEDユニット1を用いた照明機器の配光特性を制御する場合には、複数配置された反射型LEDユニット1の照射角度と、各反射型LEDユニット1のLED素子2に供給される電流の値と、を制御することによって行う。これにより、各反射型LEDユニット1の配光特性を合成した際に、照明機器の目的に合わせた配光特性が実現されるのである。
すなわち、図14(a)に示すように、複数の反射型LEDユニット1を外側に傾けて配置すると、各反射型LEDユニット1の配光特性は傾けた角度分だけずれて重なることになり、図14(b)に示すようになる。この場合、照明機器としての配光特性は、各反射型LEDユニット1の配光特性を合成したものとなる。したがって、反射型LEDユニット1を互いに異なる角度だけ傾けると共に、各反射型LEDユニット1の配光特性を合成することによって、照明機器の配光特性を任意に調整することができる。
また、上記各LED素子2に供給する電流の値を制御することによって、各反射型LEDユニット1における配光特性の強度を制御することも可能である。例えば、図14(b)において、高角度で傾けられた反射型LEDユニット1のLED素子2に供給される電流の値を、低角度で傾けられた反射型LEDユニット1のLED素子2よりも小さく設定することによって、図14(c)に示すような合成配光特性を実現することもできる。
以上説明したように、上記特許文献1および特許文献2に開示された反射型LED照明装置においては、LED素子2にリフレクタ3を設けた反射型LEDユニット1を複数配置し、各反射型LEDユニット1夫々の照射角度と各反射型LEDユニット1夫々のLED素子2に供給される電流の値とを制御することによって、配光特性の制御を行うのである。
また、特開2007‐52994号公報(特許文献3)に開示された「白色LEDを用いた照明器具」、および、特開2002‐9347号公報(特許文献4)に開示された「LED光源」には、複数のLED素子で構成された面光源モジュールに一つのリフレクタを配置して構成されている。このような照明器具およびLED光源においては、LED素子を高密度に複数並べることができるため高輝度化が可能である。さらに、リフレクタが一つであるため、低コストで生産が可能であるという特徴を有している。但し、配光特性の制御に関しては、複数のLED素子で構成される面光源モジュールから放射される光を一つのリフレクタのみで反射させてその配光特性を制御することになる。
その他、特開平11‐162234号公報(特許文献5)に開示された「発光ダイオードを用いた光源」においては、リフレクタ等を用いずに、複数個のLED素子を配置範囲の各領域で配列密度に変化が生じるように正弦的規則に従って配列することによって、直射水平面照度を制御するようにしている。
しかしながら、上記従来のLEDを用いた照明装置の配光特性の制御においては、以下のような問題がある。
すなわち、上記特許文献1と上記特許文献2とに開示された「反射型LED照明装置」においては、各LED素子2に対して対を成すようにリフレクタ3を取り付けなければならない。このことは、コストが高くなるだけでなく、LED素子2を高密度に配置することができなくなり、照明機器として大型になってしまうという問題がある。また、個々の反射型LEDユニット1を異なる角度で傾けて配置する必要があるため実装基板に凹凸を設けなければならず、さらにコストが高くなるという問題がある。
一方、上記特許文献3に開示された「白色LEDを用いた照明器具」および上記特許文献4に開示された「LED光源」においては、複数のLED素子からなる面光源モジュールを用いており、且つ、一つのリフレクタのみで配光特性の制御を行うようにしている。したがって、上記特許文献1および上記特許文献2のような問題はない。しかしながら、上記特許文献3および上記特許文献4においては、面光源モジュールに対して一つのリフレクタのみで配光特性の制御を行う必要があるため、その制御が非常に困難となるという問題が生ずる。
図15は、一つのリフレクタのみで面光源モジュールの配光特性の制御を行う場合の問題点を説明するための図である。図15に示すように、LED照明機器5は、均一に発光している面光源モジュール6の周辺部にリフレクタ7が配置されている。図15に示すような場合においては、面光源モジュール6における特定の点から放射される光の反射方向のみをリフレクタ7で制御することになる。したがって、それ以外の点から放射される光の反射方向は、上記特定の点から放射される光に対して設計されたリフレクタ7の形状によって自動的に設定されることになる。そのため、面光源モジュール6全体から放射される総ての光の反射方向を互いに独立して制御することは不可能であり、得られる配光特性に制限が生じ、最適な配光特性を有する照明機器を実現することが困難である。
例えば、図15に示すように、面光源モジュール6中央のA点から放射される光(図15においては実線で示されている)に対して、リフレクタ7の開口面の法線方向に光を反射させるように設計したリフレクタ7を考える。その場合、面光源モジュール6端部のB点,B'点から放射される光(図15において点線および一点鎖線で示されている)は、リフレクタ7に入射する光の入射角度が面光源モジュール6中央のA点から放射される光とは異なるため、リフレクタ7の開口面の法線方向と異なる角度に反射される。そして、照明機器としての配光特性は、面光源モジュール6の中央部A点および端部B点,B'点から放射された光の反射光8Aおよび反射光8B,8B'を合成したものになる。
したがって、上記面光源モジュール6の中央を基点として、リフレクタ7の開口面の法線方向に光を反射するようにリフレクタ7の形状を設定したとしても、面光源モジュール6の端部から放射される光は開口面の法線方向に対して角度を持って反射されるため、得られる配光特性の放射角度は大きくなってしまうのである。
上述したように、上記面光源モジュール6の端部から放射された光の反射方向は、面光源モジュール6の中央部を基点にして設計されたリフレクタ形状で自動的に決定されてしまい、互いに独立して制御することはできない。したがって、照明機器の配光特性を制御する場合は、この上記端部から放射される光と上記中央部から放射される光との配光特性の差を考慮する必要がある。しかしながら、リフレクタ7の形状だけで面光源モジュール6を用いた照明機器の配光特性を制御するのは非常に困難であり、最適な配光特性を有する照明機器を実現する際の課題となっている。
尚、上述のことは、上記面光源モジュール6端部のB点,B'点から放射される光に対してリフレクタ7の形状を設計する場合にも、同様に生ずることは明らかである。
また、上記特許文献5に開示された「発光ダイオードを用いた光源」においては、室内照明等の高い位置で発光させる場合や比較的広い範囲を照射する場合に、均一な照度を得るには機器が非常に大型化するという問題がある。これは、上記特許文献5においては、複数個のLED素子を配列密度に変化を持たせて配列して直射水平面照度を制御しているのみであり、照明機器の配光特性を制御しているものではない。LED素子の配置のみで直射水平面照度を制御していることから機器が大型化するという問題が生ずるのである。
特開平11‐195317号公報
特開平11‐195307号公報
特開2007‐52994号公報
特開2002‐9347号公報
特開平11‐162234号公報
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。尚、同一の部材には同一の番号を付して、その部材に関する後の詳細な説明は省略する。
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態の照明機器における概略構成を示す図である。図1において、本実施の形態における照明機器11は、リフレクタ12と面光源モジュール13とで構成されている。面光源モジュール13は、複数のLED素子14を並べることによって構成されており、面光源として機能するモジュールである。また、面光源モジュール13には、複数配列したLED素子14を蛍光体で覆ったものもある。これは、LED素子14から放射される光が青色系の光である場合に、黄色系の光を放射する粒子状の黄色蛍光体で青色系のLED素子を覆うことによって、上記黄色蛍光体によって黄色系の光を励起させ、夫々の光を合成することによって白色の光を得るためである。尚、本実施の形態においては、LED素子14を複数並べた面光源モジュール13を例に挙げて説明するが、蛍光体で覆われたLED素子を複数並べた面光源モジュールを用いても差し支えない。
その際に、上記LED素子14としては、青,赤,緑等の単色光のみならず、これらの色(波長)のLED素子を混在させても差し支えない。また、本実施の形態においては、面光源モジュール13を、複数のLED素子14を並べることによって構成しているが、EL(Electro‐Luminescence)素子,LD(Laser‐Diode)素子等の他の発光素子を用いて構成すると共に、以下に記載する輝度分布を持たせることによって同様の効果を得ることが可能である。
また、以下の説明においては、面光源モジュール13について、LED素子14を面光源モジュール13の中心から放射状に等間隔に配置した構成を用いて説明している。しかしながら、面光源モジュール13におけるLED素子14の配置は、この配置によらず、他の配置によって構成しても一向に構わない。例えば、生産性を考慮した配置の一例として、LED素子14を直線状に配置して配線し、それを複数平行に配列して面光源モジュール13を構成することも可能である。この場合、面光源モジュール13の形状が略矩形であれば、その矩形に内接あるいは外接する円を擬似的な面光源として考えて、本実施の形態における面光源モジュール13としてもよい。
上記LED素子14を面光源モジュール13の中心から放射状に等間隔に配置した場合には、面光源モジュール13における最外周の領域に多くのLED素子14が配置されている。このことから、例えば、最外周の領域の光線に対応したリフレクタ12の形状を優先的に決定すればよいし、あるいは、LED素子14の輝度制御を行う場合には、同心円状に配置された領域毎に光線の強度を測定し、リフレクタ12の形状を、例えば最大の強度を有する領域からの光線を任意の方向に反射するように決定してもよい。
図2は、本実施の形態における面光源モジュール13aを示す。さらに、本実施の形態においては、面光源モジュール13aの発光面に輝度分布を持たせる手段(図示せず)を有している。図2に示すように、面光源モジュール13aは、LED素子14を中央から等間隔に配置して構成されている。
具体的には、直径10mmの面光源モジュール13aには、61個のLED素子14が配置されている。その際に、LED素子14は、面光源モジュール13aの中央から1mmの等間で6角格子状に配置されている。尚、面光源モジュール13aの大きさとLED素子14の配置および間隔とについては上記値に限定されるものではなく、照明の用途や大きさによって適時変更可能である。
本実施の形態においては、上記面光源モジュール13aの発光面に輝度分布を持たせるために、配列されたLED素子14の輝度を夫々変化させるようにしている。図示してはいないが、LED素子14の夫々には、LED素子14を発光させるための電流供給源が接続されており、各LED素子14の輝度を調節できるようになっている。
具体的には、上記面光源モジュール13aを、面光源モジュール13aの中央に位置する1個のLED素子14でなるLED素子群14a、LED素子群14aを取り囲んで六角形に配置された6個のLED素子14でなるLED素子群14b、LED素子群14bを取り囲んで六角形に配置された12個のLED素子14でなるLED素子群14c、LED素子群14cを取り囲んで六角形に配置された18個のLED素子14でなるLED素子群14d、LED素子群14dを取り囲んで六角形に配置された24個のLED素子14でなるLED素子群14eに分割し、各LED素子群14a〜14eの電流値を制御するのである。こうして、面光源モジュール13aの発光面に輝度分布を持たせるのである。
本実施の形態の照明機器11においては、上述したように、面光源モジュール13aの発光面に輝度分布を持たせることによって配光特性を制御するのであるが、以下、図1および図2に示す照明機器11における配光特性の制御方法について述べる。
従来の面光源モジュールにおいては、LED素子群14a〜14eに対して同じ値の電流を供給しており、LED素子群14a〜14eは同じ輝度で発光することになる。その場合には、各々のLED素子14から放射される光束は等しく、面光源モジュール13の発光面は輝度分布を持たない。
例えば、各LED素子群14a〜14eに等しい電流を供給して、各LED素子群14a〜14eの各LED素子14から100lmの光束がでるように発光させる。その場合、面光源モジュール13aは61個のLED素子14で構成されているため、面光源モジュール13a全体から放射される全光束は6100lmとなる。このとき、LED素子群14aから放射される光を、リフレクタ開口部の法線方向に反射させるようにリフレクタ12の形状を設定すると、各LED素子群14a〜14eの配光特性は、図3(a)において、14A〜14Eで示すようになる。LED素子群14a〜14eの配光特性が異なるのは、先に述べたように、面光源モジュール13aにおいてLED素子群14a〜14eから放射される光におけるリフレクタ12への入射角度が夫々異なり、リフレクタ12の開口面の法線方向と異なる角度に反射される光が含まれることによる。
ここで、上記照明機器11の配光特性は、面光源モジュール13aを構成するLED素子群14a〜14e夫々の配光特性を合成したものになり、次式のようにして計算することができる。
f(θ)=nA・fA(θ)+nB・fB(θ)+nC・fC(θ)
+nD・fD(θ)+nE・fE(θ) …(1)
但し、 f(θ):照明機器11の配光特性
nA・fA(θ)〜nE・fE(θ):LED素子群14a〜14eの配光特性
nA〜nE:LED素子群14a〜14eの各LED素子14から 放射される光束
である。
図3(b)に、上記照明機器11の配光特性f(θ)、つまり面光源モジュール13aのLED素子群14a〜14eの配光特性を合成した配光特性を示す。図3(b)に示すように、LED素子群14aからの光をリフレクタ12の開口面の法線方向に反射するようにリフレクタ12の形状を設定したとしても、LED素子群14b〜14eから放射される光はリフレクタ12の開口面の法線方向に対して角度を持って反射されるため、得られる照明機器11の配光特性の放射角度が大きくなってしまうことが分かる。
スポットライトのようにある特定の箇所を照らす場合には、照明の光を絞ることが重要となり、配光特性において放射角が大きくなることは問題となる。そこで、上記スポットライトのように光を絞り込みたい場合には、LED素子群14a〜14eにおいて、外部に配置されているLED素子群の電流値を小さくするように設定するのである。
このように各LED素子14の電流値を制御することによって、図2に示す面光源モジュール13aにおけるLED素子群14a〜14eの各LED素子14から放射される光束を制御するのである。
ここで、例えば、上記LED素子群14a〜14eの各LED素子14から放射される光束を、LED素子群14aのLED素子14を「460」lm、LED素子群14bのLED素子14を「400」lm、LED素子群14cのLED素子14を「130」lm、LED素子群14dのLED素子14を「80」lm、LED素子群14eのLED素子14を「10」lmになるように各LED素子14を発光させると、上記面光源モジュール13aの輝度分布は、中央部に行くに従って大きなものとなる。この場合、面光源モジュール13aとしての全光束は「6100」lmであり、LED素子群14a〜14eに対して同じ値の電流を供給した場合と変わらない。この場合における照明機器11の配光特性は、LED素子群14a〜14eの配光特性を合成したものになり、上記式(1)によって計算することができる。
図4(a)および図4(b)に、上記輝度分布を有する面光源モジュール13aを用いた照明機器11の配光特性を実線で示す。また、図4(a)および図4(b)には、図3(a)および図3(b)で示したように面光源モジュールを構成する総てのLED素子に同じ値の電流を供給して輝度分布を一定とした面光源モジュールを用いた照明機器の配光特性についても、比較のために点線で示している。但し、図4(a)は直交座標を用いて配光特性を表しており、図4(b)は極座標を用いて配光特性を表している。
図4に示すように、本実施の形態における面光源モジュール13aを用いた配光特性(図4の実線)は、従来の輝度分布が一定な面光源モジュールを用いた配光特性(図4の点線)よりも、光の絞り込みに優れた配光特性を実現することができる。さらに、リフレクタ12の開口面における法線方向(放射角が0deg)の光度も、輝度分布が一定な場合よりも大きくなっていることが分かる。
このことは、上記LED素子群14a〜14eに供給する電流の値を制御することによって面光源モジュール13aの発光面に輝度分布を持たせ、各LED素子14から放射される光束をLED素子群14a側からLED素子群14e側に向かって小さくなるように設定しているためである。すなわち、上記式(1)において、nA>nB>nC>nD>nEとなり、照明機器11の配光特性に与える放射角の大きなLED素子群の影響が抑制されるためである。
したがって、上記リフレクタ12の形状の変更だけでなく、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布を制御することによっても、配光特性の制御が可能になる。
以上のように、本実施の形態における面光源モジュール13aおよびそれを用いた照明機器11においては、LED素子14に供給される電流の値を面光源モジュール13aの中央部から外周部に向かうに従って小さなるように設定している。これにより、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布を外周部から中央部に向かうに従って大きくなるように設定できる。したがって、このような輝度分布を有する面光源モジュール13aに、例えば上記面光源モジュール13aの中央に位置するLED素子14から放射される光を開口部の法線方向に反射するように形状が設定されたリフレクタ12を配置した場合には、面光源モジュールの発光面における輝度が均一である場合に比して集光性に優れた配光特性を実現することができるのである。
このように、上記リフレクタ12の形状だけでなく、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布をも制御することによって配光特性の制御を行う場合には、発光面における輝度が均一である従来の照明機器に比して所望の配光特性を得ることが容易になるばかりでなく、実現できる配光特性の制限も無くなる。したがって、配光特性に優れた照明機器を実現することが可能になるのである。
ここまでは、上記リフレクタ12の形状に対応するように面光源モジュール13aの発光面における輝度分布を制御して、配光特性の制御を行う場合について説明している。しかしながら、逆に、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布に対応するようにリフレクタ12の形状を設定することによっても配光特性の制御を行うことができる。すなわち、リフレクタ12の形状と輝度分布との2つを自在に組み合わせることによって、更に配光特性の制御を容易にすることが可能になるのである。
また、照明機器の明るさが更に必要な場合には、図5に示すように、図1に示す照明機器11を複数用いることが有効である。図5に示す照明機器21においては、円形の台座22に、図1に示す照明機器11を6個円形に埋め込んで配置している。このように、本実施の形態の照明機器11を複数並べて照明機器21を構成することによって、照明機器21の照射面における照度を、照明機器11の個数だけ大きくすることが可能になる。その場合、照明機器21の大きさに比べて照射面までの距離が大きい場合には、照明機器21を構成する複数の照明機器11の夫々は点光源として見なすことが可能になる。したがって、照明機器21の配光特性は、照明機器21を構成する複数の照明機器11の配光特性を合成したものとなり、個々の照明機器11の発光面における輝度分布を照明機器21の配光特性が目的に応じて最適になるように制御することによって、配光特性が優れた明るい照明機器21を実現することが可能になるのである。
尚、本実施の形態においては、上記LED素子14の配置やLED素子14から放射される光束等について具体例を示しながら説明した。しかしながら、LED素子14の配置や光束は、照明機器11の用途に応じて適時変更することが可能であり、その組み合わせによって様々な配光特性を得ることができるのである。
・第2実施の形態
本実施の形態においては、上記第1実施の形態の場合と同様の手法を用いることによって、面光源モジュールの発光面に輝度分布を持たせて、照明機器直下の照度分布を一定にすることができる照明機器に関するものである。照明機器直下の照度分布が一定である場合には物体に光を均一に照射することができ、眼に優しい照明機器を実現することができるので好ましい。
尚、本実施の形態の場合にも、図1に示す上記第1実施の形態の場合と同様に、照明機器11は、リフレクタ12と面光源モジュール13とから構成されている。
また、本実施の形態における面光源モジュール13は、上記第1実施の形態の場合と同様に、その発光面の輝度に分布を持たせる手段(電流供給源)を有しており、その面光源モジュール13の構成は上記第1実施の形態において図2に示す面光源モジュール13aと同様であり、上記発光面に輝度分布を持たせる方法も上記第1実施の形態と同様である。
以下、上記面光源モジュール13aの発光面に輝度分布を持たせることによって、照明機器直下の照度分布を一定にする方法について、図1および図2を用いて説明する。
上記第1実施の形態において説明したように、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布を一定した場合の配光特性は、図3(b)に示したように、放射角が0°から離れるに従って次第に光度が小さくなっている。照明機器直下の領域を一定の照度で照らすためには、放射角0°の付近における光度の減少を抑制する必要がある。すなわち、面光源モジュール13aの配光特性を、放射角0°付近の光度が略一定になるような配光特性にする必要がある。
そして、上述のように放射角0°付近の光度が略一定になるような配光特性を実現するためには、図2に示す面光源モジュール13aのLED素子群14a〜14eにおいて、外周部に配置されているLED素子群の電流値を、中央部に配置されているLED素子群の電流値よりも大きく設定すればよい。
ここで、例えば、図2に示す上記面光源モジュール13aにおけるLED素子群14a〜14eの各LED素子14から放射される光束を、LED素子群14aのLED素子14を「0」lm、LED素子群14bのLED素子14を「0」lm、LED素子群14cのLED素子14を「39」lm、LED素子群14dのLED素子14を「100」lm、LED素子群14eのLED素子14を「160」lmにするように各LED素子14を発光させると、面光源モジュール13aの輝度分布は、中央部に向かうに従って小さくなる。この場合、面光源モジュール13aとしての全光束は「6100」lmであり、上記第1実施の形態において、LED素子群14a〜14eに対して同じ値の電流を供給した場合と変わらない。この場合における照明機器11の配光特性は、LED素子群14a〜14eの配光特性を合成したものになり、上記式(1)によって計算することができる。
図6(a)および図6(b)に、上記輝度分布を有する面光源モジュール13aを用いた照明機器11の配光特性を実線で示す。また、図6(a)および図6(b)には、図3(a)および図3(b)で示したように面光源モジュールを構成する総てのLED素子に同じ値の電流を供給して輝度分布を一定とした面光源モジュールを用いた照明機器の配光特性についても、比較のために点線で示している。但し、図6(a)は直交座標を用いて配光特性を表しており、図6(b)は極座標を用いて配光特性を表している。
図6に示すように、本実施の形態における面光源モジュール13aを用いた配光特性(図6の実線)は、従来の輝度分布が一定な面光源モジュールを用いた配光特性(図6の点線)よりも、放射角0°付近(略−10°<放射角<略+10°)での光度が一定となっていることが分かる。
このことは、上記LED素子群14a〜14eに供給する電流の値を制御することによって面光源モジュール13aの発光面に輝度分布を持たせ、各LED素子14から放射される光束をLED素子群14a側からLED素子群14e側に向かって大きくなるように設定しているためである。すなわち、上記式(1)において、nA≦nB<nC<nD<nEとなり、放射角0°付近の光度が、比較的一定なLED素子群14eの配光特性の影響を大きく受けるようにしているためである。
このように、上記リフレクタ12の形状の変更だけでなく、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布を制御することによっても、配光特性の制御が可能になるのである。
図7に、本実施の形態の照明機器11における直射水平面照度を示す。ここで、水平面照度は、照明機器11と照射面との距離を2mとした場合の照度である。図7において、実線は、中央部に行くに従って小さくなる輝度分布を有する面光源モジュール13aを用いた照明機器11の直射水平面照度を示し、点線は、従来の輝度分布が一定の面光源モジュールを用いた照明機器の直射水平面照度を示す。
図7に示すように、本実施の形態における面光源モジュール13aを用いた場合の直射水平面照度(図7の実線)は、その絶対値が小さくなってはいるものの、従来の輝度分布が一定な面光源モジュールを用いた場合の直射水平面照度(図7の点線)と比較して、照明機器11直下(水平面距離0m)での照度からの照度の低下量が少なく、比較的一定の照度となっていることが分かる。したがって、本実施の形態における面光源モジュール13aを用いた場合には、照明機器11の直下においては物体を均一に照らすことが可能であり、眼に優しい優れた照明機器11であると言うことができる。
以上のように、本実施の形態における面光源モジュール13aおよびそれを用いた照明機器11においては、LED素子14に供給される電流の値を面光源モジュール13aの中央部から外周部に向かうに従って大きくなるように設定している。これにより、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布を、外周部から中央部に向かうに従って小さくなるように設定できる。したがって、このような輝度分布を有する面光源モジュール13aに、例えば面光源モジュール13aの中央に位置するLED素子14から放射される光を開口部の法線方向に反射するように形状が設定されたリフレクタ12を配置した場合には、面光源モジュールの発光面における輝度が均一である場合に比して、放射角0°付近の光度が一定である配光特性を得ることができるのである。こうして、照明機器11の直射水平面照度を均一にすることによって、眼に優しい優れた照明機器11を実現することが可能になる。
このように、上記リフレクタ12の形状だけでなく、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布をも制御することによって配光特性の制御を行う場合には、発光面における輝度が均一である従来の照明機器に比して所望の配光特性を得ることが容易になるばかりでなく、実現できる配光特性の制限も無くなる。したがって、配光特性に優れた照明機器を実現することが可能になるのである。
また、本実施の形態においては、上記第1実施の形態の場合と同じ面光源モジュール13aにおいて、発光面の輝度を電流値によって制御している。したがって、面光源モジュール13aを構成する各LED素子14に供給する電流の値を可変にすることによって、図4に示す上記第1実施の形態における配光特性と、図6に示す本実施の形態における配光特性とを、切り換えることが可能になる。また、各LED素子14に供給する電流の値を段階的に制御することによって、上記スポットライト様の配光特性および放射角0°付近の光度が一定である配光特性以外の配光特性を実現することもできる。すなわち、本実施の形態によれば、面光源モジュール13aを構成する各LED素子14に供給する電流の値を制御して配光特性を制御することによって、スポットライトやダウンライト等に適した配光特性を1つの照明機器11によって実現できるのである。
また、上記第1実施の形態の場合と同様に、面光源モジュール13aの発光面における輝度分布に対応するようにリフレクタ12の形状を設定することによっても配光特性の制御を行うことができる。したがって、リフレクタ12の形状と輝度分布との2つを自在に組み合わせることによって、更に配光特性の制御を容易にすることが可能になる。
また、照明機器の明るさが更に必要な場合には、上記第1実施の形態の場合と同様に、図5に示すごとく、図1に示す照明機器11を複数用いることによって、個々の照明機器11の発光面における輝度分布を照明機器21の配光特性が目的に応じて最適になるように制御することによって、配光特性が優れた明るい照明機器21を実現することが可能になるのである。
尚、本実施の形態においては、上記LED素子14の配置やLED素子14から放射される光束等について具体例を示しながら説明した。しかしながら、LED素子14の配置や光束は、照明機器11の用途に応じて適時変更することが可能であり、その組み合わせによって様々な配光特性を得ることができるのである。
ところで、上記第1実施の形態および第2の実施の形態においては、面光源モジュール13における発光面の輝度に分布を持たせる手段(電流供給源)を有している。以下、この発光面の輝度に分布を持たせる手段(電流供給源)の動作について説明する。
上記電流供給源から各LED素子14に供給される電流パルスの幅あるいは振幅を変えることによって、面光源モジュール13における発光面の輝度に分布を持たせることができる。上記電流パルスの幅を変える場合には、パルス幅が狭いとLED素子14の輝度が小さくなり、パルス幅が広いと輝度が大きくなる。また、上記電流パルスの振幅を変える場合には、振幅が大きいとLED素子14の輝度が大きくなり、振幅の小さいと輝度が小さくなる。また、上記電流パルスの幅の変化と振幅の変化とを適時組み合わせることによってもLED素子14の輝度を制御することが可能である。
尚、上記第1実施の形態および第2の実施の形態においては、面光源モジュール13における発光面の輝度に分布を持たせる手段として、上記電流供給源を用いているが、他の手段によることも可能である。
例えば、発光効率の異なるLED素子14の組み合わせを上記手段として用いるのである。具体的には、面光源モジュール13の中心部に発光効率の高いLED素子14を配置する一方、面光源モジュール13の周辺部に発光効率の低いLED素子14を配置した場合には、両LED素子14を同じ電流値(同じパルス幅あるいは同じパルス振幅の電流パルス)で駆動しても、面光源モジュール13における中心部の輝度は高くなり、周辺部の輝度は低くなる。また、逆に、面光源モジュール13の中心部に発光効率の低いLED素子14を配置する一方、面光源モジュール13の周辺部に発光効率の高いLED素子14を配置した場合には、面光源モジュール13における中心部の輝度は低くなり、周辺部の輝度は高くなる。この場合、LED素子14毎に電流値を制御する必要がないので、駆動回路構成を単純にすることができる。
ここで、上記発光効率の異なるLED素子14としては、発光効率が異なる複数種類のLED素子を作成して用いる方法、あるいは、同じ種類のLED素子であっても発光効率にばらつきがあるため、同じ種類の複数個のLED素子を発光効率でランク分けして使用する方法等がある。尚、発光効率でランク分けして使用する場合には、LED素子の仕様内に収まらずに使用できなかったLED素子をも使用することができるため、より低コストで面光源モジュール13を製造することが可能になる。
・第3実施の形態
本実施の形態においては、上記第1実施の形態の場合とは異なる手法を用いることによって、面光源モジュールの発光面に輝度分布を持たせて、照明機器の配光特性を制御できる照明機器に関するものである。
尚、本実施の形態の場合にも、図1に示す上記第1実施の形態の場合と同様に、照明機器11は、リフレクタ12と面光源モジュール13とから構成されている。
以下、本実施の形態において、上記面光源モジュール13の発光面に輝度分布を持たせる方法について説明する。
図8は、本実施の形態における面光源モジュール13bを示す。図8に示すように、面光源モジュール13bは、LED素子14を中央部には密に外周部には粗に配置して構成されている。
具体的には、直径10mmの面光源モジュール13bには、31個のLED素子14が配置されている。その際に、LED素子14は、面光源モジュール13bの中央から2mmの範囲に、19個のLED素子14が1mmの等間で6角格子状に配置されている(図8におけるLED素子群14f〜14hに対応)。さらに、面光源モジュール13bの中央から4mmの範囲に、12個のLED素子14が6角形に配置されている(図8におけるLED素子群14iに対応)。尚、面光源モジュール13bの大きさとLED素子14の配置および間隔とについては上記値に限定されるものではなく、照明の用途や大きさによって適時変更可能である。
ここで、上記面光源モジュール13bにおいては、LED素子14の配置間隔が配置場所毎に異なっている。したがって、総てのLED素子14に供給する電流の値が同じであって、総てのLED素子14から放射される光束が同じであっても、面光源モジュール13bの発光面に輝度分布を持たせることができるのである。このように、LED素子14の配置によって面光源モジュール13bの発光面に輝度分布を持たせる場合には、総てのLED素子14を同一の電流値で駆動するので駆動用の回路構成を単純にすることができるので好ましい。また、上記発光面の輝度分布は、LED素子14が密に配置されている面光源モジュール13bの中央付近が大きく、周辺部が小さくなる。
以下、上述のような輝度分布を有する面光源モジュール13bを用いて、配光特性を制御する方法について述べる。
上述したように、図8に示す面光源モジュール13bは、LED素子14の配置間隔が異なるため、発光面の輝度に分布を持つ。面光源モジュール13cの発光面における輝度分布は、中央部に向かうに従って大きくなる。この場合における照明機器11の配光特性は、LED素子群14f〜14iの配光特性を合成したものになり、上記式(1)によって計算することができる。
図9(a)および図9(b)に、上記輝度分布を有する面光源モジュール13bを、各LED素子14から出射される光束が「196.8」lmになるように発光させた場合における照明機器11の配光特性を実線で示す。また、図9(a)および図9(b)には、発光面における輝度分布が一定である面光源モジュールを用いた照明機器の配光特性についても、比較のために点線で示している。但し、図9(a)は直交座標を用いて配光特性を表しており、図9(b)は極座標を用いて配光特性を表している。但し、実線で示す本実施の形態における面光源モジュール13bの場合も、点線で示す輝度分布が一定である面光源モジュールの場合も、共に面光源モジュールから放射される全光束は同じ「6100」lmである。
図9に示すように、本実施の形態における面光源モジュール13bを用いた配光特性(図9の実線)は、従来の輝度分布が一定な面光源モジュールを用いた配光特性(図9の点線)よりも、光の絞り込みに優れた配光特性を実現することができる。さらに、リフレクタ12の開口面における法線方向(放射角が0deg)の光度も、輝度分布が一定な場合よりも大きくなっていることが分かる。
このことは、上記面光源モジュール13bにおけるLED素子14の配置により面光源モジュール13bの発光面に輝度分布を持たせることによって、上記式(1)における「nA」と「nE」との関係を、擬似的にnA>nEとしているためである。
したがって、上記照明機器11の配光特性に与える放射角の大きなLED素子群(本実施の形態の場合にはLED素子群14i)の影響を抑制することができる。その結果、リフレクタ12の形状の変更だけでなく、面光源モジュール13bの発光面における輝度分布を制御することによっても、配光特性の制御が可能になる。
以上のように、本実施の形態における面光源モジュール13bおよびそれを用いた照明機器11においては、LED素子14の配置を制御することによって、面光源モジュール13bの発光面に容易に輝度分布を持たせることができる。その際に、面光源モジュール13bの中央から外周部に向かうに従って実装密度が小さくなるようにLED素子14を配置することによって、面光源モジュール13bの発光面における輝度分布を、中央部に向かうに従って大きくすることができる。したがって、このような輝度分布を有する面光源モジュール13bに、例えば面光源モジュール13bの中央に位置するLED素子14から放射される光を開口部の法線方向に反射するように形状が設定されたリフレクタ12を配置した場合には、面光源モジュールの発光面における輝度が均一である場合に比して集光性に優れた配光特性を実現することができるのである。
このように、上記リフレクタ12の形状だけでなく、面光源モジュール13bの発光面における輝度分布をも制御することによって配光特性の制御を行う場合には、発光面における輝度が均一である従来の照明機器に比して所望の配光特性を得ることが容易になるばかりでなく、実現できる配光特性の制限も無くなる。したがって、配光特性に優れた照明機器を実現することが可能になるのである。
また、上記第1実施の形態の場合と同様に、上述とは逆に、面光源モジュール13bの発光面における輝度分布に対応するようにリフレクタ12の形状を設定することによっても配光特性の制御を行うことができる。すなわち、リフレクタ12の形状と輝度分布との2つを自在に組み合わせることによって、更に配光特性の制御を容易にすることが可能になるのである。
また、照明機器の明るさが更に必要な場合には、上記第1実施の形態の場合と同様に、図5に示すごとく、図1に示す照明機器11(面光源モジュール13b)を複数用いることによって、個々の照明機器11の発光面における輝度分布を照明機器21の配光特性が目的に応じて最適になるように制御することによって、配光特性が優れた明るい照明機器21を実現することが可能になるのである。
尚、本実施の形態においては、上記LED素子14の配置やLED素子14から放射される光束等について具体例を示しながら説明した。しかしながら、LED素子14の配置や光束は、照明機器11の用途に応じて適時変更することが可能であり、その組み合わせによって様々な配光特性を得ることができるのである。
・第4実施の形態
本実施の形態においては、上記第3実施の形態の場合と同様の手法を用いることによって面光源モジュールの発光面に輝度分布を持たせて、上記第2の実施の形態の場合と同様に、照明機器直下の照度分布を一定にすることができる照明機器に関するものである。照明機器直下の照度分布が一定である場合には、物体に光を均一に照射することができるため、眼に優しい照明機器を実現することができるため好ましい。
尚、本実施の形態の場合にも、図1に示す上記第1実施の形態の場合と同様に、照明機器11は、リフレクタ12と面光源モジュール13とから構成されている。
本実施の形態における面光源モジュール13は、上記第3実施の形態の場合と同様の手法によって、その発光面に輝度分布を持たせている。
図10は、本実施の形態における面光源モジュール13cの構成を示す。図10に示すように、面光源モジュール13cは、LED素子14を中央部には粗に外周部には密に配置して構成されており、上記第3実施の形態の場合と上記粗密が逆になっている。
具体的には、直径10mmの面光源モジュール13cには、48個のLED素子14が配置されている。その際に、面光源モジュール13cの中央から2mm以上の範囲に、48個総てのLED素子14が1mmの等間で6角格子状に配置されている(図10におけるLED素子群14j〜14lに対応)。尚、面光源モジュール13cの大きさとLED素子14の配置および間隔とについては上記値に限定されるものではなく、照明の用途や大きさによって適時変更可能である。
ここで、上記面光源モジュール13cにおいては、LED素子14の配置が中央部と外周部とで異なっている。したがって、総てのLED素子14に供給する電流の値が同じであって、総てのLED素子14から放射される光束が同じであっても、面光源モジュール13cの発光面に輝度分布を持たせることができるのである。このように、LED素子14の配置によって面光源モジュール13cの発光面に輝度分布を持たせる場合には、総てのLED素子14を同一の電流値で駆動するので駆動用の回路構成を単純にすることができるので好ましい。また、上記発光面の輝度分布は、LED素子14が密に配置されている面光源モジュール13bの外周付近が大きく、中央部が小さくなる。
以下、上述のような輝度分布を有する面光源モジュール13cを用いて、配光特性を制御する方法について述べる。
上述したように、図10に示す面光源モジュール13cは、LED素子14の配置間隔が異なるため、発光面の輝度に分布を持つ。面光源モジュール13cの発光面における輝度分布は、外周部に向かうに従って大きくなる。この場合における照明機器11の配光特性は、LED素子群14j〜14lの配光特性を合成したものになり、上記式(1)によって計算することができる。
図11(a)および図11(b)に、上記輝度分布を有する面光源モジュール13cを、各LED素子14から出射される光束が「127」lmになるように発光させた場合における照明機器11の配光特性を実線で示す。また、図11(a)および図11(b)には、発光面における輝度分布が一定である面光源モジュールを用いた照明機器の配光特性についても、比較のために点線で示している。但し、図11(a)は直交座標を用いて配光特性を表しており、図11(b)は極座標を用いて配光特性を表している。但し、実線で示す本実施の形態における面光源モジュール13cの場合も、点線で示す輝度分布が一定である面光源モジュールの場合も、共に面光源モジュールから放射される全光束は同じ「6100」lmである。
図11に示すように、本実施の形態における面光源モジュール13cを用いた配光特性(図11の実線)は、従来の輝度分布が一定な面光源モジュールを用いた配光特性(図11の点線)よりも、放射角0°付近(略−10°<放射角<略+10°)での光度が略一定となっていることが分かる。
このことは、上記面光源モジュール13cにおけるLED素子14の配置により面光源モジュール13cの発光面に輝度分布を持たせることによって、上記式(1)における「nA」と「nE」との関係を、擬似的にnA<nEとしているためである。
したがって、上記照明機器11の配光特性は、光度が比較的一定な放射角が0°付近のLED素子群(本実施の形態の場合にはLED素子群14l)の影響を受けることになる。その結果、リフレクタ12の形状の変更だけでなく、面光源モジュール13bの発光面における輝度分布を制御することによっても、配光特性の制御が可能になる。
図12に、本実施の形態の照明機器11における直射水平面照度を示す。図12において、実線は、中央部に行くに従って小さくなる輝度分布を有する面光源モジュール13cを用いた照明機器11の直射水平面照度を示し、点線は、従来の輝度分布が一定の面光源モジュールを用いた照明機器の直射水平面照度を示す。
図12に示すように、本実施の形態における面光源モジュール13cを用いた場合の直射水平面照度(図12の実線)は、その絶対値が小さくなってはいるものの、従来の輝度分布が一定な面光源モジュールを用いた場合の直射水平面照度(図12の点線)と比較して、照明機器11直下(水平面距離0m)での照度からの照度の低下量が少なく、比較的一定の照度となっていることが分かる。したがって、本実施の形態における面光源モジュール13cを用いた場合には、照明機器11の直下においては物体を均一に照らすことが可能であり、眼に優しい優れた照明機器11であると言うことができる。
以上のように、本実施の形態における面光源モジュール13cおよびそれを用いた照明機器11においては、LED素子14の配置を制御することによって、面光源モジュール13cの発光面に容易に輝度分布を持たせることができる。その際に、面光源モジュール13cの中央から外周部に向かうに従って実装密度が大きくなるようにLED素子14を配置することによって、面光源モジュール13cの発光面における輝度分布を、中央部に向かうに従って小さくすることができる。したがって、このような輝度分布を有する面光源モジュール13cに、例えば面光源モジュール13cの中央に位置するLED素子14から放射される光を開口部の法線方向に反射するように形状が設定されたリフレクタ12を配置した場合には、面光源モジュールの発光面における輝度が均一である場合に比して、放射角0°付近の光度が一定である配光特性を得ることができるのである。こうして、照明機器11の直射水平面照度を均一にすることによって、眼に優しい優れた照明機器11を実現することが可能になる。
このように、上記リフレクタ12の形状だけでなく、面光源モジュール13cの発光面における輝度分布をも制御することによって配光特性の制御を行う場合には、発光面における輝度が均一である従来の照明機器に比して所望の配光特性を得ることが容易になるばかりでなく、実現できる配光特性の制限も無くなる。したがって、配光特性に優れた照明機器を実現することが可能になるのである。
また、上記第1実施の形態の場合と同様に、上述とは逆に、面光源モジュール13cの発光面における輝度分布に対応するようにリフレクタ12の形状を設定することによっても配光特性の制御を行うことができる。すなわち、リフレクタ12の形状と輝度分布との2つを自在に組み合わせることによって、更に配光特性の制御を容易にすることが可能になるのである。
また、照明機器の明るさが更に必要な場合には、上記第1実施の形態の場合と同様に、図5に示すごとく、図1に示す照明機器11(面光源モジュール13c)を複数用いることによって、個々の照明機器11の発光面における輝度分布を照明機器21の配光特性が目的に応じて最適になるように制御することによって、配光特性が優れた明るい照明機器21を実現することが可能になるのである。
尚、本実施の形態においては、上記LED素子14の配置やLED素子14から放射される光束等について具体例を示しながら説明した。しかしながら、LED素子14の配置や光束は、照明機器11の用途に応じて適時変更することが可能であり、その組み合わせによって様々な配光特性を得ることができるのである。
尚、上記各実施の形態においては、上記複数のLED素子14をそのまま配列することによって、面光源モジュール13a,13b,13cを構成している。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、面光源モジュール13を、複数配列されたLED素子14を蛍光体で覆い、上記蛍光体がLED素子14から放射される光によって励起されて、LED素子14からの光とは異なる色の光を出射するように構成することも可能である。