JP5077973B2 - ウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系誘導体の製造方法、電離放射線感応型塗料組成物及びそれを用いた積層体 - Google Patents

ウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系誘導体の製造方法、電離放射線感応型塗料組成物及びそれを用いた積層体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレア結合含有アクリレート系誘導体の製造方法、電離放射線感応型塗料組成物及びそれを用いた積層体に関する。さらに詳しくは、本発明は、(メタ)アクリレート化合物に対する一級アミン化合物によるマイケル付加反応を制御し、得られた中間体の二級アミン化合物からウレア結合含有アクリレート系誘導体を効率よく製造する方法、この方法により得られたウレア結合及び光重合性不飽和結合を含有するアクリレート系誘導体を含み、優れた物性の硬化塗膜を与える電離放射線感応型塗料組成物、及び基材上に、前記塗料組成物の硬化塗膜層を有し、化粧シートなどの建装材や、各種用途に用いられるハードコートフィルムなどとして好適な積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、(メタ)アクリレート化合物の炭素−炭素二重結合に、一級アミン化合物をマイケル付加反応させて、分子内に三級アミノ基を有するアクリレート系誘導体を製造する方法が知られている。この方法は、通常反応式(I)
【化1】
Figure 0005077973
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びAは有機基を示す。)
で表すことができる。
すなわち、まず、(メタ)アクリレート化合物(1)に一級アミン化合物(2)が付加して、中間体の二級アミン化合物(3)が生成する(a工程)。次いで、この中間体(3)が(メタ)アクリレート化合物(1)に付加して、分子内に三級アミノ基を有するアクリレート系誘導体(4)が生成する(b工程)。この反応において、一級アミン化合物として、通常のアミン類、例えば直鎖状アミンなどを用いた場合、(b)工程の反応速度が速く、中間体(3)の段階で反応を止めることが困難であることが知られている。前期b工程の反応速度を遅くし、中間体(3)に、その二級アミノ基の活性水素を利用する他の反応を施すことができれば、種々の用途に有用なアクリレート系誘導体を得ることができる。
ところで多官能性の光重合性オリゴマーを主成分とする光照射により開始される重合を利用した架橋・硬化反応は、従来の溶剤を含む乾燥方法や加熱による架橋・硬化反応と比較して、省資源、省エネルギー、環境保全、省スペース、生産性などの面から、優れた方法であり、現在、多くの分野において採用されている。
特に、塗料、接着剤などの分野においては、環境対策の面から、無溶剤型や水性エマルジョン型の光硬化性材料が重要視されている。
光硬化反応には、エネルギー線として、紫外線などの活性光線や電子線(電子線は光ではないが、広義の光硬化反応におけるエネルギー線の中に入れることができる)などの電離放射線が用いられ、そして光硬化性材料としては、一般にポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系などの光重合性オリゴマー、単官能性アクリレート系や多官能性アクリレート系などの光重合性モノマー(反応性希釈剤)、及び所望により用いられる光重合開始剤(電子線の場合は用いる必要がない)、光重合促進剤、重合禁止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などの各種添加剤を含むものが用いられる。
このような光硬化性材料の中で、ウレア結合を有するウレタンアクリレート系オリゴマーを用いた光硬化性材料は、該ウレア結合を有するウレタンアクリレート系オリゴマーを構成する成分を適宜選択することにより、機械的性質、溶剤に対する化学的耐久性、耐候性、柔軟性、紫外線硬化特性などを付与することができ、多くの分野において、幅広く用いられている。このようなウレア結合を有するウレタン系オリゴマーを用いた光硬化性材料としては、例えば特許文献1及び特許文献2などに開示されている。
前記光硬化性材料が塗料用途に用いられる場合、粉末状又は粒状のフィラーが用いられることが多い。このフィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレイ、タルク、ケイソウ土、アルミナ、硫酸カルシウム、粉末ワックス、さらには各種の熱可塑性樹脂粒子や熱硬化性樹脂粒子などが挙げられる。
しかしながら、前記光硬化性材料を用いた無溶剤型塗料の場合、粘度が極めて高く、前記フィラーを塗料中に均質に分散させることは非常に困難であることから、これまで、特殊な分散装置を用いて分散させるか、あるいはフィラー分散時の粘度を下げるために、光重合性モノマー(反応性希釈剤)を多量に用いる方法などが行われていた。しかし、特殊の分散装置を用いる方法は、該装置が高価である上、分散に時間がかかり、作業性及び経済性などの面から、好ましい方法とはいえない。また、光重合性モノマーを多量に用いる方法においては、得られる硬化塗膜性能が低下する問題や、該モノマーによる皮膚刺激の問題などがあった。
一方、家具や台所製品のキャビネットなどの表面化粧板としては、一般に木質系材料、無機系材料、合成樹脂系材料、鋼板などの金属系材料などに、例えば木目調柄などを印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせた構造のものが用いられている。
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、ラミネート加工、ラッピング加工、Vカット加工などの二次加工のための適度の柔軟性、切削性、耐破断性などの加工適性、使用状態における耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性など、種々の特性が要求される。
このような要求特性を満たすために、前記化粧シートの基材としては、各種の物理的、化学的物性のバランスなどの点から、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂が使用されている。
一方、建装材には、従来木材が主に用いられてきたが、木材は森林保護などのために使用が制限されるのを免れないため、近年、木材の代替としてポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられている。
前記の化粧シートや建装材に使用される熱可塑性樹脂としては、近年、市場の要求などから、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などの非ハロゲン系熱可塑性樹脂、中でも、各種物性面において、ポリ塩化ビニル系樹脂に近似している上、安価であることから、ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂を基材とした化粧シートや建装材の需要が増加している。
しかしながら、ポリ塩化ビニル系樹脂は、可塑剤などの添加剤の配合を変更することによって、任意の所望物性を有する樹脂を比較的容易に得ることができるのに対し、前記の非ハロゲン系熱可塑性樹脂の場合には、添加剤の配合の変更や樹脂の改質などによる物性の調節の幅が比較的に狭く、例えば二次加工適性上要求される柔軟性と、使用上要求される耐擦傷性や耐摩耗性とを同時に十分に満足する樹脂は、得られていないのが実状である。
そこで、基材として、加工適性上要求される柔軟性を十分に満足させる樹脂を用い、一方、使用上要求される耐擦傷性や耐摩耗性などについては、該基材の表面に耐擦傷性や耐摩耗性などに優れる硬質の樹脂からなる表面保護層を用いることで、対処することが試みられている。例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との組合わせからなる塗工液を塗工し、架橋硬化させてなる二液熱硬化型ウレタン樹脂系のトップコート層を施す方法が、一般的に用いられている。
しかしながら、従来の化粧シートにおける基材として、一般的に用いられる、いわゆる半硬質ポリ塩化ビニル樹脂は、鉛筆硬度2BないしHB程度の表面硬度を有しているのに対し、例えばポリ塩化ビニル系樹脂と同等の柔軟性を得るべく改質されたポリオレフィン系樹脂の場合、一般に鉛筆硬度6Bないし2B程度の表面硬度であり、このような低い表面硬度の樹脂からなる基材の表面に、前記熱硬化型ウレタン樹脂系のトップコート層を施しても、得られる化粧シートの表面硬度は自ずと限界があり、該化粧シートを耐擦傷性が要求される手摺り、天板、床板、階段踏板などの用途には、使用しにくいという問題が生じる。
したがって、このような問題を解決するために、近年、熱可塑性樹脂層上に、電離放射線感応型塗料組成物の硬化物からなる表面保護層を有する化粧シートが用いられるようになってきた。この化粧シートにおいては、該表面保護層の特性として、例えば耐侯性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性などを満たすためには、電離放射線感応型塗料組成物の選択が重要となる。
一方、様々な目的のために、窓ガラスや窓用プラスチックボード貼付用として、プラスチックフィルムが用いられている。
例えば、窓ガラスから室内に入り込む太陽光には、可視光線以外に、紫外線や赤外線なども含まれている。太陽光に含まれる紫外線は日焼けの原因となり、人体に対する悪影響が最近指摘されており、また紫外線による包装材の劣化が原因で内容物の変質が生じることもよく知られていることである。一方、太陽に含まれる赤外線についても、直射日光による室内の温度上昇を引き起こし、夏場の冷房効果を低下させるなどの問題がある。したがって、このような好ましくない事態を避けるために、紫外線遮蔽フィルムや赤外線遮蔽フィルムが窓ガラスや窓用プラスチックボード貼付用として用いられている。
また、外部から室内が見えにくくする目的で、内部防視フィルムを窓ガラスや窓用プラスチックボードに貼付することもよく行われている。さらに地震などの災害で窓ガラスが破損した場合に、ガラス破片が飛散するのを防止するために、破片飛散防止フィルムが窓ガラス貼付用として用いられている。なお、前記の紫外線遮蔽フィルム、赤外線遮蔽フィルム、内部防視フィルムは、このような破片飛散防止効果も有している。
これらの窓ガラスや、窓用プラスチックボード貼付フィルムは、その表面に通常、耐擦傷性などを付与するために、電離放射線感応型塗料組成物を塗工し、硬化してなるハードコート層が設けられている。このようなハードコートフィルムには、耐擦傷性、耐候性、耐久性、耐溶剤性及び防汚性などに優れることが要求され、電離放射線感応型塗料組成物の選択が重要となる。
【特許文献1】
特許第3148861号
【特許文献2】
特公平7−80988号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、(メタ)アクリレート化合物に対する一級アミン化合物によるマイケル付加反応を制御し、得られた中間体の二級アミン化合物から、ウレア結合含有アクリレート系誘導体を効率よく製造する方法、各種フィラーや添加剤の溶解又は分散が容易で、無溶剤型にすることができると共に、優れた物性を有する硬化塗膜を与える電離放射線感応型塗料組成物、及び基材上に、前記塗料組成物の硬化塗膜層を有し、化粧シートなどの建装材や、各種用途に用いられるハードコートフィルムなどとして好適な積層体を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリレート化合物に対する一級アミン化合物によるマイケル付加反応において、該一級アミン化合物として、特定の構造を有する化合物を用いることにより、反応速度を容易に制御することができ、中間体の二級アミン化合物にイソシアネート化合物を反応させることにより、ウレア結合含有アクリレート誘導体が効率よく得られることを見出した。
また、前記方法で得られたウレア結合及び光重合性不飽和結合を含有するアクリレート系誘導体を用いることにより、各種フィラーや添加剤の溶解又は分散が容易で無溶剤型にすることができ、かつ優れた物性を有する硬化塗膜を与える電離放射線感応型塗料組成物が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)単官能性又は多官能性(メタ)アクリレート化合物に、α位の炭素原子が第二級又は第三級炭素原子である一級アミン化合物をマイケル付加反応させて二級アミン化合物(3)を得たのち、該二級アミン化合物(3)にポリイソシアネート又は分子内にラジカル重合性不飽和結合1個以上とイソシアネート基1個を有するイソシアネート化合物を反応させることを特徴とするウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系誘導体の製造方法、
(2)一級アミン化合物のα位の炭素原子が第三級炭素原子である第1項記載のウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系誘導体の製造方法、
(3)イソシアネート化合物が分子内にラジカル重合性不飽和結合1個以上とイソシアネート基1個を有するイソシアネート化合物である第1項又は第2項記載のウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系誘導体の製造方法、
)第1〜3項のいずれか記載の方法で得られたウレア結合及び光重合性不飽和結合を含有するアクリレート系誘導体を含むことを特徴とする電離放射線感応型塗料組成物、及び
)基材上に、第項記載の電離放射線感応型塗料組成物の硬化塗膜層を有することを特徴とする積層体、
を提供するものである。
また、本発明の好ましい態様は、
(6)α位の炭素原子が第三級炭素原子である一級アミン化合物が、2−アミノ−2−メチルプロパノールである第2項記載のウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系化合物の製造方法、
である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のウレア結合含有アクリレート系誘導体の製造方法においては、まず、(メタ)アクリレート化合物に、α位の炭素原子が第二級又は第三級炭素原子である一級アミン化合物を付加させ、二級アミン化合物を生成させる。次いで、これにイソシアネート化合物を反応させることにより、目的のウレア結合含有アクリレート系誘導体を製造する。
前記(メタ)アクリレート化合物としては、単官能性(メタ)アクリレート及び多官能性(メタ)アクリレートのいずれも用いることができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また芳香族性の単官能や多官能(メタ)アクリレートも用いることができる。
【0006】
本発明においては、これらの(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、得られるウレア結合含有アクリレート系誘導体の用途に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、前記(メタ)アクリレート化合物に、必要に応じて、分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する反応型の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤及び帯電防止剤などの中から選ばれる少なくとも1種を加えることができる。
分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する反応型紫外線吸収剤のタイプとしては特に制限はなく、従来公知のタイプ、例えばベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系など、いずれのタイプのものであってもよい。
この分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する反応型紫外線吸収剤としては、例えば下記の式(5)で表される2−[2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールや、式(6)で表される2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)ベンゾフェノンなどを挙げることができる。
【化2】
Figure 0005077973
これらの中で、特に式(5)で表される化合物が好ましく、このものは、市販品、例えば「RUVA93」[大塚化学(株)製、商品名]として入手することができる。
分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する光安定剤のタイプとしては特に制限はないがヒンダードアミン系のものが好ましい。分子内に(メタ)アクリロイル基などを有するヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば下記の式(7)、(8)で表される化合物を挙げることができる。
【化3】
Figure 0005077973
これらの化合物の中で、式(7)の化合物は、市販品「アデカスタブLA−82」[旭電化工業(株)製、商品名]として、式(8)の化合物は、市販品「アデカスタブLA−87」[旭電化工業(株)製、商品名]として入手することができる。
【0007】
分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する酸化防止剤のタイプとしては特に制限はないがフェノール系のものが好ましい。分子内に(メタ)アクリロイル基などを有するフェノール系酸化防止剤としては、例えば下記の式(9)、(10)、(11)で表される化合物を挙げることができる。
【化4】
Figure 0005077973
化合物(9)は「スミライザーGM」[住友化学工業(株)製]として、また化合物(10)は「スミライザーGS」[住友化学工業(株)製]として上市されている。
分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する帯電防止剤のタイプとしては特に制限はないが、四級アンモニウム塩型のものが好ましい。分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する四級アンモニウム塩型の帯電防止剤としては、例えば一般式(12)
【化5】
Figure 0005077973
(Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される化合物などを挙げることができる。
このような反応型の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤を用いることにより、得られるウレア結合含有アクリレート系誘導体を用いた電離放射線感応型塗料組成物からなる塗工層を、電離放射線で硬化させる場合、形成されるポリマー鎖に、それぞれ紫外線吸収剤成分、光安定剤成分、酸化防止剤成分、帯電防止剤成分が結合する。したがって、経時による硬化塗膜からの各成分の逸散が抑制され、その結果、該硬化塗膜は、長期間にわたって、それぞれの機能が保持される。
前記反応型の紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤の使用量は、前記(メタ)アクリレート化合物100重量部に対し、通常それぞれ0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の範囲で選ばれる。
また、反応型帯電防止剤の使用量は、得られる硬化塗膜の所望帯電防止能に応じて適宜選定すればよい。
【0008】
一方、α位の炭素原子が第二級又は第三級炭素原子である一級アミン化合物としては、α位の炭素原子が第二級又は第三級炭素原子であるものであればよく、特に制限はないが、得られるウレア結合含有アクリレート系誘導体が低粘度化しやすい点から、α位の炭素原子が第三級炭素原子である一級アミン化合物を好ましく用いることができる。このα位の炭素原子が第三級炭素原子である一級アミン化合物としては、炭素数4〜10のものが好ましく、また、分子内に1個以上の水酸基を有していてもよい。このような一級アミン化合物としては、例えばtert−ブチルアミン、2−アミノ−2−メチルブタン、2−アミノ−2−メチルペンタン、2−アミノ−2−メチルヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン、2−アミノ−2,5−ジメチルヘキサン、α,α−ジメチルベンジルアミン、α,α−(ジメチル)シクロヘキシルメチルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルブタノール、2−アミノ−2−メチルペンタノール、2−アミノ−2−メチルヘキサノール、2−アミノ−2,5−ジメチルヘキサノール、4−ヒドロキシ−α,α−ジメチルベンジルアミン、4−ヒドロキシ−α,α−(ジメチル)シクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。これらの中で、特に反応速度の制御性、得られるウレア結合含有アクリレート系誘導体の性能、入手の容易さなどの点から、2−アミノ−2−メチルプロパノールが好適である。
α位の炭素原子が第一級炭素原子である一級アミン化合物を用いた場合、前記反応式(I)において、b工程の反応速度を遅くすることができないため、所望のウレア結合含有アクリレート系誘導体を効率よく製造することが困難であり、本発明の目的が達せられない。
前記の(メタ)アクリレート化合物と前記一級アミン化合物の使用割合は、(メタ)アクリレート化合物中の不飽和結合基/一級アミン化合物中のNH2基のモル比が、通常0.01〜30.0、好ましくは0.1〜5.0になるように選定することが望ましい。また、反応は、一般に0〜40℃程度、好ましくは15〜30℃の範囲の温度において、0.5〜48時間程度、好ましくは1〜5時間行われる。このようにして、中間体の二級アミン化合物が生成する。
次いで、この二級アミン化合物にイソシアネート化合物を反応させる。このイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物、又は分子内にラジカル重合性不飽和結合1個以上とイソシアネート基1個を有する化合物が好ましく用いられる。
【0009】
ここで、ポリイソシアネート化合物としては、例えば脂肪族及び脂環式のジイソシアネート化合物が好ましく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などが挙げられる。一方、分子内にラジカル重合性不飽和結合1個以上とイソシアネート基1個を有する化合物としては、例えば前記ジイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られたものなどを挙げることができる。分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、末端に水酸基を有するポリオール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
前記中間体の二級アミン化合物と前記イソシアネート化合物との反応は非常に速く、反応系に水分が存在していても、あるいは水酸基含有化合物が存在していても、二級アミノ基とイソシアネート基が反応し、ウレア結合を形成する。該二級アミン化合物とイソシアネート化合物の使用割合は、二級アミン化合物中のNH基と、イソシアネート化合物中のNCO基が、実質上化学量論的割合になるように選定することが好ましい。
この反応は、通常0〜70℃程度、好ましくは20〜40℃の範囲の温度において、1〜120分間程度、好ましくは10〜60分間行われる。このようにして、目的のウレア結合含有アクリレート系誘導体が得られる。
中間体の二級アミン化合物(3)とポリイソシアネート化合物(13)との反応は、以下の反応式(II)、
【化6】
Figure 0005077973
(式中、R3は二価の有機基、R1、R2及びAは前記と同じである。)
で表すことができる。この場合、架橋体のウレア結合含有アクリレート系誘導体(14)が生成する。
また、中間体の二級アミン化合物(3)と、分子内にラジカル重合性不飽和結合2個以上及びイソシアネート基1個を有する化合物(15)との反応は、以下の反応式(III)
【化7】
Figure 0005077973
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は二価の有機基を示し、R1、R2及びAは前記と同じである。)
で表すことができる。
この場合、新しくラジカル重合性不飽和結合が導入されたウレア結合含有アクリレート系誘導体(16)が生成する。
【0010】
出発原料として、単官能性(メタ)アクリレートを用いた場合、中間体の二級アミン化合物(3)には、ラジカル重合性不飽和結合が存在せず、かつ分子内の二級アミノ基は1個であるので、反応式(II)で示されるように、ジイソシアネート化合物を反応させると、分子内にラジカル重合性不飽和結合をもたない二量体のウレア結合含有アクリレート系誘導体が得られる。
また、該中間体の二級アミン化合物に、反応式(III)で示されるように、ラジカル重合性不飽和結合をもつイソシアネート化合物を反応させると、分子内にラジカル重合性不飽和結合をもつウレア結合含有アクリレート系誘導体が得られる。このものは、電離放射線感応型塗料組成物において、光重合性モノマーとして用いることができる。この場合、高硬度の硬化塗膜が得られやすい。
これに対し、出発原料として、多官能性(メタ)アクリレートを用いた場合、中間体の二級アミン化合物(3)には、ラジカル重合性結合を存在させることができ、また、分子内に二級アミノ基を2個以上導入することができるので、これにポリイソシアネート化合物を反応させると、分子内にラジカル重合性不飽和結合をもつオリゴマーを生成させることができる。このものは、電離放射線感応型塗料組成物において、光重合性オリゴマーとして用いることができる。この場合、柔軟性の高い硬化塗膜が得られやすい。
また、該中間体の二級アミン化合物に、ラジカル重合性不飽和結合をもつイソシアネート化合物を反応させると、分子内にラジカル重合性不飽和結合を複数個もつウレア結合含有アクリレート系誘導体が得られる。このものは、電離放射線感応型塗料組成物において、多官能性光重合性モノマーとして用いることができる。この場合、出発原料として単官能性(メタ)アクリレートを用いた場合と同様に、高硬度の硬化塗膜が得られやすい。
【0011】
本発明のウレア結合含有アクリレート系誘導体の製造方法は、以下に示す効果を奏する。
(1)穏和な条件で、一級アミン化合物による(メタ)アクリレートへの付加反応及び中間体の二級アミン化合物とイソシアネート化合物との反応が進行する。したがって、加温が不要で、短時間で目的化合物を製造することができ、かつ特別な装置を必要としない。
(2)反応時の粘度が低く、反応溶媒を使用する必要がない。また、反応系に水や水酸基含有化合物が存在していても、中間体の二級アミン化合物とイソシアネート化合物の反応が優先的に進行する。したがって、目的化合物への水酸基の導入が可能である。
(3)出発原料の(メタ)アクリレートの種類やイソシアネート化合物の種類を選択することにより、目的化合物のウレア結合含有アクリレート系誘導体を、光重合性のモノマー又はオリゴマーとして、電離放射線感応型塗料組成物に使用することができると共に、硬化塗膜の物性を制御することができる。
(4)出発原料の(メタ)アクリレートの種類やイソシアネート化合物の種類を選択することにより、目的化合物のウレア結合含有アクリレート系誘導体を、低粘度の光重合性成分として、電離放射線感応型塗料組成物に用いることができるので、該塗料組成物の調製が容易となる。
(5)目的化合物は、分子内に三級アミノ基を有しているので、増感性が高く、光硬化性に優れており、電離放射線感応型塗料組成物の光重合性成分として好適である。
本発明の電離放射線感応型塗料組成物は、前述の本発明の方法で得られた、ウレア結合及び光重合性不飽和結合を含有するアクリレート系誘導体を、光重合性成分として含む組成物である。なお、電離放射線感応型塗料組成物とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することにより、架橋、硬化する塗料組成物を指す。
本発明の塗料組成物においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ、その他の光重合性成分、例えば光重合性(メタ)アクリレート系プレポリマーや光重合性(メタ)アクリレート系モノマー、さらには光重合開始剤、増感剤及びその他添加剤を含有することができる。
【0012】
ここで、光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。これらの光重合性プレポリマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
また、光重合性モノマーとしては、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどの単官能性アクリレート類、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの光重合性モノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、光重合開始剤としては、特に制限はなく、従来公知のもの、例えばアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルアセタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類などのアリールケトン系光重合開始剤、スルフィド類、チオキサントン類などの含硫黄系光重合開始剤、アシルジアリールホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド類、アントラキノン類、その他光重合開始剤の中から、任意のものを、1種又は2種以上適宜選択して使用することができる。
【0014】
このような光重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α−メチルベンゾイン、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンゾフェノンメチルエーテル、メチルベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ジフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。これらの中で、紫外線吸収剤の存在下に光重合する場合には、比較的長波長領域まで高い吸光度を有するアシルホスフィンオキシド類の光重合開始剤を用いるか、このものと他の光重合開始剤とを併用するのが有利である。
この光重合開始剤の使用量は、全光重合性成分100重量部に対し、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは1〜6重量部の範囲で選ばれる。なお、電子線硬化型の場合には、これらの光重合開始剤は用いなくてもよい。
光増感剤としては、例えばp−ジメチルアミノ安息香酸エステル、第三級アミン類、さらにはチオール系増感剤などを用いることができる。該チオール系増感剤を使用することにより、紫外線吸収剤の存在下に光重合を行っても、良好な光硬化性が得られ、硬化速度が速く、硬度の高い硬化塗膜を形成することができる。
【0015】
チオール系増感剤としては特に制限はなく、従来公知のものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このチオール系増感剤の具体例としては、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,4,6−トリオキソ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリイルトリエチルトリス(3−メルカプトプロピオネート)などが挙げられる。これらの中で効果の点から、特にペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)及びペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレートが好適である。なお、電子線硬化型の場合は、この光増感剤は用いなくてもよい。
前記光増感剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その使用量は、全光重合性成分100重量部に対し、通常0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは3〜10重量部の範囲で選定される。
一方、その他添加剤としては、例えば各種フィラー、有機系赤外線遮蔽剤、重合禁止剤、架橋剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤など、さらには前述の反応型以外の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤を挙げることができる。
ここで、フィラーとは、本発明においては、塗料組成物に実質的に不溶の粉状体又は粒状体を指し、具体的には体質顔料、有機顔料、無機顔料、ワックス粒子、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子、導電剤、紫外線散乱剤及び無機系赤外線遮蔽剤などを挙げることができる。
ここで、体質顔料としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレイ、マイカ、タルク、ケイソウ土、ケイ砂、アルミナ、シラスバルーン、硫酸カルシウムなどが挙げられる。有機顔料としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、スレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系などが、無機顔料としては、例えばカーボンブラックや黒鉛などの黒色顔料;黄鉛、カドミウム黄、亜鉛黄などの黄色顔料;朱、カドミウム赤などの赤色顔料;紺青、群青、コバルト青などの青色顔料;酸化クロム緑、クロム緑、亜鉛緑などの緑色顔料;酸化鉄顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉末顔料などが挙げられる。
【0016】
熱可塑性樹脂粒子としては、例えばポリスチレン樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリル系ゴム−スチレン共重合体)粒子、AES樹脂(アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体)粒子、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)粒子、ウレタン系樹脂粒子、塩化ビニル系樹脂粒子などが、熱硬化性樹脂粒子としては、例えばベンゾグアナミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子などが挙げられる。
なお、本発明の塗料組成物を化粧シートに適用する場合、該塗料組成物中に艶消し剤を含むことを要求される場合がある。この艶消し剤は、化粧シートに艶消し効果及びブロッキング防止効果を付与するためのものであり、このようなものとしては、光を散乱する性質のあるタイプの粒子、あるいは、自身は塗膜中では、透明だが、塗膜表面に凹凸を形成して、表面の光の反射率を変えるタイプの粒子が用いられる。後者のタイプの方が、透明性が維持される上、光の入射角度や観測角度を変えても、光の反射の変化が少ないので、表面が擦れて変形した際にもその部分の艶の変化が少なく、擦れた跡が残りにくいという利点がある。具体的な艶消し剤としては、前記体質顔料の中のマイカ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーンなどの無機質中空体粒子や、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子の合成樹脂粒子が挙げられる。これらの中で光透過性及び外観性が良好なシリカ及び合成樹脂粒子が好ましい。
導電剤としては、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化カドミウム、ITO(錫ドープ酸化インジウム)などの金属酸化物系導電剤、金、白金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅などの金属系導電剤などが挙げられる。
紫外線散乱剤としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどが、無機系赤外線遮蔽剤としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、硫化亜鉛、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ITOなどが挙げられる。
【0017】
これらのフィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、フィラーの機能に応じて適宜選定される。
有機系赤外線遮蔽剤としては、例えばシアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、さらにはN,N,N',N'−テトラキス(p−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミニウムの過塩素酸塩、フェニレンジアミニウムの塩素塩、フェニレンジアミニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩、フェニレンジアミニウムのフッ化ホウ素酸塩、フェニレンジアミニウムのフッ素塩、フェニレンジアミニウムの過塩素酸塩などのアミノ化合物などが挙げられる。これらの中で、中心金属が希土類金属であるフタロシアニン系化合物が好適である。該希土類金属としては、例えばSc、Y及びランタノイド、具体的にはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。これらの希土類金属は1種含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。なお、反応性希釈剤以外の溶剤は、用途によっては用いることができるが、用いない方が好ましい。
【0018】
次に、本発明の積層体は、基材上に、前述した電離放射線感応型塗料組成物の硬化塗膜層を有するものである。
この際用いる基材としては特に制限はないが、シート状のものが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む非晶性または完全非晶性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロンなどのポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、セルロースアセートなどのプラスチックフィルム又はシート、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙などを好ましく挙げることができる。
シート状基材の厚さは、得られる積層体の用途に応じて異なり、例えばハードコートフィルムの場合、あるいは化粧シートとして、表面化粧の目的で各種材料に貼り合わせる用途に用いる場合には、通常20〜2000μm程度、好ましくは30〜1000μmの範囲で選定され、一方、それ自体床材や化粧パネルなどとして用いる場合には、通常1〜10mm程度、好ましくは2〜6mmの範囲で選定される。
本発明においては、このシート状基材は、透明、不透明、着色、無着色のいずれであってもよいし、また発泡シート、蒸着シート、2層以上の積層シートのいずれであってもよい。さらに、シート状基材として、プラスチックフィルムやシートを用いる場合には、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により、該プラスチックフィルムやシートの少なくとも片面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が、効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施すこともできる。
前記プライマーとしては、基材を構成する熱可塑性樹脂と電離放射線感応型樹脂の硬化物とに対して良好な接着性を示すものが用いられる。このようなプライマーとしては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂などを含むものが挙げられるが、これらの中で、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂を含むものが好ましく、特に活性水素を有する官能基とイソシアネート基とを含有するウレタン系樹脂組成物が好適である。このプライマー層の厚さとしては特に制限はないが、通常0.1〜10μmの範囲である。
【0019】
本発明の積層体においては、まず前記シート状基材上に、前述の電離放射線感応型塗料組成物層が設けられる。この塗料組成物層を設けるには、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用い、該塗料組成物を基材上に塗工し、乾燥処理すればよい。この場合の塗工層の厚さは、得られる積層体の用途により異なるが、通常乾燥厚さとして、1〜300μm、好ましくは3〜100μm、より好ましくは3〜50μmの範囲である。
本発明の積層体においては、所望により、当該電離放射線感応型塗料組成物層上に、ポリオレフィン系フィルムやポリエステル系フィルムなどの透明保護フィルムを設けることができる。この透明保護フィルムは、電離放射線を照射して当該電離放射線感応型塗料組成物層を硬化させる場合、そのままの状態で電離放射線を照射し、硬化後剥離してもよいし、剥離したのち、電離放射線を照射してもよい。該透明保護フィルムの厚さは、通常10〜100μm程度である。
前記電離放射線としては、通常紫外線又は電子線が用いられる。紫外線としては、例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。一方、電子線源としては、例えばコックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速機を用いることができる。
このようにして、基材上に、耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤(耐薬品)性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性などに優れる硬化塗膜層を有する積層体が得られる。
【0020】
本発明の積層体を、化粧シートとして用いる場合には、意匠性を付与する目的で、所望により絵柄層を設けることができる。この絵柄層を設ける方法及び設ける個所については特に制限はなく、例えば、基材が透明又は不透明である場合、該基材の硬化塗膜層側の表面に、必要に応じ隠蔽層を介して、絵柄層を印刷などにより設けてもよいし、絵柄層を有する熱可塑性樹脂フィルムを該表面に積層してもよい。また、基材が透明である場合、基材の裏面(硬化塗膜層とは反対側の面)に、直接絵柄層を印刷などにより設け、さらに必要に応じ隠蔽層を設けてもよいし、絵柄層を有する着色熱可塑性樹脂フィルムを積層してもよく、さらにその裏面に下地層として、熱可塑性樹脂フィルムを積層してもよい。
絵柄層を基材やフィルムに形成させる方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法、例えば木目、石目(大理石模様、みかげ石模様)、天然皮革の表面柄、布目、抽象柄などを表現する層をグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、転写印刷、フレキソ印刷などの一般的な印刷を施すことにより、絵柄層を形成させることができる。絵柄層の厚さは、通常0.5〜5μm程度である。
また、絵柄層を有するフィルムの厚さは、通常50〜200μm、好ましくは70〜150μmの範囲である。下地フィルムの厚さは、通常50〜1000μm、好ましくは、70〜500μmの範囲である。
さらに、隠蔽層は、従来公知の方法、例えば隠蔽性の印刷インキ又はコーティング剤を、各種印刷方式又はコーティング方式により、ベタ状に印刷又はコーティングすることによって設けることができる。
さらに、本発明の積層体においては、基材の裏面側の最外側面に、各種被着体に対し、接着させる目的で、所望により従来公知の接着剤層を形成することができる。この接着剤層を構成する接着剤としては、感熱接着剤及び感圧接着剤(粘着剤)のいずれも用いることができる。感熱接着剤としては、例えばアクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系などが挙げられ、一方感圧接着剤としては、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系などが挙げられる。なお、接着剤として、感圧接着剤を用いる場合には、表面に剥離処理が施された剥離シートを感圧接着剤層上に設けることが、通常行われる。この接着剤層の厚さは、通常10〜200μmの範囲である。
本発明の積層体は、例えばハードコートフィルムとして各種用途に好適に用いられる。具体的には紫外線遮蔽機能、赤外線遮蔽機能、内部防視機能、破片飛散防止機能などを有する建築用や車両用などのウインドフィルムとして好適である。
また、化粧シートとして好適に用いられる。具体的には、木質系、無機系、合成樹脂系、金属系材料などに貼り合わせることにより、建装材、家具、住設機器、家電製品などの表面化粧材として、あるいはそれ自体床材や化粧パネルなどの建装材として好適に用いられ、特に、耐擦傷性が要求される手摺り、天板、床板、階段踏板などの用途に好適である。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、硬化塗膜の物性は、以下に示す方法に従って評価した。
(1)硬度
#0000スチールウールで硬化塗膜表面を強く擦り、傷の有無を目視により観察し、下記の判定基準に従って硬度を評価した。
○:使用するのに問題がない良好な状態
△:○と比べて悪いが、用途によっては使用可能
×:悪い結果で使用不可能
(2)耐候黄変性
サンシャインウェザーメーター[スガ試験機社製]を用い、プラスチックパネル温度63℃、降雨12分、乾燥48分のサイクルで、100時間暴露処理後、外観変化(黄変)を目視観察し、耐候黄変性を下記の判定基準に従って評価した。
○:使用するのに問題がない良好な状態
△:○と比べて悪いが、用途によっては使用可能
×:悪い結果で使用不可能
(3)塗膜密着性
試験体の硬化塗膜にセロテープ(登録商標)[ニチバン社製粘着テープ 24mm巾]を密着させたのち、垂直方向に剥がし、塗膜の剥がれを目視観察した。
○:使用するのに問題がない良好な状態
△:○と比べて悪いが、用途によっては使用可能
×:悪い結果で使用不可能
(4)耐薬品性
フィルムの塗膜表面に、トルエン、エタノール、酢酸エチル、アセトン、10重量%塩酸水溶液及び10重量%水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ滴下し、1分経過したあとの塗膜を目視観察した。
○:異常なし
△:表面が僅かに白化
×:表面が白化
【0022】
実施例1
(1)中間体Aの製造
式(17)
【化8】
Figure 0005077973
で表される芳香族性単官能アクリレート「R−128」[日本化薬社製]222g(1.0モル)に、2−アミノ−2−メチルプロパノール[アンガス社製「AMP」]89g(1.0モル)を、20℃で2時間付加反応させ、式(18)
【化9】
Figure 0005077973
で表される二級アミンの中間体Aを生成させた。
(2)中間体Bの製造
2−ヒドロキシエチルアクリレート116g(1.0モル)にヘキサメチレンジイソシアネート168g(1.0モル)を反応させ、式(19)
【化10】
Figure 0005077973
で表される末端にイソシアネート基を有するウレタンアクリレートの中間体Bを得た。
(3)ウレア結合含有アクリレート誘導体の製造
上記(1)で得られた中間体Aと(2)で得られた中間体Bを、等モルの割合で用い、20℃にて1時間反応させ、式(20)
【化11】
Figure 0005077973
で表される単官能性モノマーであるウレア結合含有アクリレート誘導体を製造した。このアクリレート誘導体の温度20℃における粘度は10万mPa・s以上で、B型粘度計では測定できなかった。
【0023】
実施例2
(1)中間体Cの製造
式(21)
【化12】
Figure 0005077973
で表される脂肪族性3官能アクリレートであるグリセリンプロポキシトリアクリレート428g(1.0モル)に、2−アミノ−2−メチルプロパノール(AMP)89g(1.0モル)を、20℃で2時間付加反応させ、グリセリンプロポキシトリアクリレート1分子に、AMPが平均1分子付加してなる分子内に光重合性不飽和結合を平均で2個、二級アミノ基を平均で1個有する中間体の二級アミン化合物を生成させ、式(22)
【化13】
Figure 0005077973
で表される二級アミンの中間体Cを生成させた。
(2)中間体Dの製造
ペンタエリスリトールテトラアクリレート298g(1.0モル)にイソホロンジイソシアネート222g(1.0モル)を反応させ、式(23)
【化14】
Figure 0005077973
で表される末端にイソシアネート基を有するウレタンアクリレートの中間体Dを得た。
(3)ウレア結合含有アクリレート誘導体の製造
上記(1)で得られた中間体Cと、上記(2)で得られた中間体Dを、等モルの割合で用い、20℃にて1時間反応させ、式(24)
【化15】
Figure 0005077973
で表される脂肪族性5官能オリゴマーであるウレア結合含有アクリレート誘導体を製造した。
このオリゴマーのGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は1000であった。
【0024】
実施例3
(1)中間体Eの製造
前記式(21)で表される脂肪族性3官能アクリレートであるグリセリンプロポキシトリアクリレート428g(1.0モル)に、2−アミノ−1−ブタノール[アンガス社製「AB」]89g(1.0モル)を、20℃で2時間付加反応させ、グリセリンプロポキシトリアクリレート1分子に、「AB」が平均1分子付加してなる分子内に光重合性不飽和結合を平均で2個、二級アミノ基を平均で1個有する中間体の二級アミン化合物を生成させ、式(25)
【化16】
Figure 0005077973
で表される二級アミンの中間体Eを生成させた。
(2)ウレア結合含有アクリレート誘導体の製造
上記(1)で得られた中間体Eと、実施例2で得られた中間体Dを、等モルの割合で用い、20℃にて1時間反応させ、式(26)
【化17】
Figure 0005077973
で表される脂肪族性5官能オリゴマーであるウレア結合含有アクリレート誘導体を製造した。
このオリゴマーのGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は1200であった。
実施例4
(1)塗料組成物の調製
ペンタエリスリトールテトラアクリレート70重量部と実施例1で得られたウレア結合含有アクリレート誘導体30重量部とからなる混合物100重量部に、光重合開始剤「IR−1800」6.0重量部及び増感剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PETP)5重量部を混合し、塗料組成物を調製した。
なお、光重合開始剤「IR−1800」は、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルーペンチルホスフィンオキシド[チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名「BAP01」]と1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名「イルガキュアー184」]との重量比1:3の混合物である。
(2)硬化塗膜の形成
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[ダイアホイル社製透明PETフィルム、グレード「T600EW07」]上に、上記(1)で調製した塗料組成物を、No8バーコーターにより塗工し、乾燥厚み5μmの塗工層を設けた。
次に、80W/cm高圧水銀ランプ[ウシオ電機社製]の全反射集光ミラー1灯タイプを装着し、照射する物体までの距離が10.5cmの装置において、上記の塗工層が設けられたPETフィルムを、ベルトスピード14m/分のコンベアに載せて通過させ、紫外線を照射することにより、塗工層を硬化させ、硬化塗膜を形成させた。そして、硬度が上限に達した時点(パス回数を増やしても、傷付き性に差がなくなった時点)のベルトコンベア送り回数(パス回数)を求めた。このパス回数を、硬化塗膜物性の評価と共に、第1表に示す。なお、パス回数が少ないほど、硬化速度が速いことを示す。
実施例5
(1)塗料組成物の調製
実施例2で得られたアクリレートオリゴマー33重量部とグリセリンプロポキシトリアクリレート67重量部とからなる混合物100重量部に、光重合開始剤「IR−1800」6.0重量部及び増感剤としてPETP5重量部を混合し、塗料組成物を調製した。
(2)硬化塗膜の形成
上記(1)で得られた塗料組成物を用い、実施例4(2)と同様にして硬化塗膜を形成させた。パス回数及び硬化塗膜物性の評価を第1表に示す。
実施例6
(1)塗料組成物の調製
実施例3で得られたアクリレートオリゴマー33重量部とグリセリンプロポキシトリアクリレート67重量部とからなる混合物100重量部に、光重合開始剤「IR−1800」6.0重量部及び増感剤としてPETP5重量部を混合し、塗料組成物を調製した。
(2)硬化塗膜の形成
上記(1)で得られた塗料組成物を用い、実施例4(2)と同様にして硬化塗膜を形成させた。パス回数及び硬化塗膜物性の評価を第1表に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0005077973
【0026】
比較例1
(1)中間体Fの製造
前記式(21)で表される脂肪族性3官能アクリレートであるグリセリンプロポキシトリアクリレート428g(1.0モル)に、2−エタノールアミン61g(1.0モル)を、20℃で2時間付加反応させ、グリセリンプロポキシトリアクリレート1分子に、2−エタノールアミンが平均で1分子付加してなる分子内に光重合性不飽和結合を平均で2個、二級アミノ基を平均で1個有する中間体の二級アミン化合物を生成させた。
(2)ウレア結合含有アクリレート誘導体の製造
上記(1)で得られた中間体Fと実施例2で得られた中間体Dを、等モルの割合で用い、20℃にて1時間反応させ、式(27)
【化18】
Figure 0005077973
で表される脂肪族性5官能オリゴマーであるウレア結合含有アクリレート誘導体を製造したが、非常に高粘度で、混合などの通常作業は困難であった。このオリゴマーのGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量は2000であった。
2−エタノールアミンは、アミノ基に対するα位炭素が第一級炭素であるため、マイケル反応が2段階以降に進みやすく、高分子化して高粘度となる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、(メタ)アクリレート化合物に対する一級アミン化合物によるマイケル付加反応を制御し、得られた中間体の二級アミン化合物から、ウレア結合含有アクリレート系誘導体を効率よく製造することができる。
前記方法で得られたウレア結合含有アクリレート系誘導体を、光重合性成分として用いることにより、各種フィラーや添加剤の溶解又は分散が容易で無溶剤型にすることができると共に、優れた物性を有する硬化塗膜を与える電離放射線感応型塗料組成物を提供することができる。
また、基材上に、前記塗料組成物の硬化塗膜層を有し、化粧シートなどの建装材や、各種用途に用いられるハードコートフィルムなどとして好適な積層体を提供することができる。

Claims (5)

  1. 単官能性又は多官能性(メタ)アクリレート化合物に、α位の炭素原子が第二級又は第三級炭素原子である一級アミン化合物をマイケル付加反応させて二級アミン化合物(3)を得たのち、該二級アミン化合物(3)にポリイソシアネート又は分子内にラジカル重合性不飽和結合1個以上とイソシアネート基1個を有するイソシアネート化合物を反応させることを特徴とするウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系誘導体の製造方法。
  2. 一級アミン化合物のα位の炭素原子が第三級炭素原子である請求項1記載のウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系誘導体の製造方法。
  3. イソシアネート化合物が分子内にラジカル重合性不飽和結合1個以上とイソシアネート基1個を有するイソシアネート化合物である請求項1又は2記載のウレア結合及び光重合性不飽和結合含有アクリレート系誘導体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の方法で得られたウレア結合及び光重合性不飽和結合を含有するアクリレート系誘導体を含むことを特徴とする電離放射線感応型塗料組成物。
  5. 基材上に、請求項記載の電離放射線感応型塗料組成物の硬化塗膜層を有することを特徴とする積層体。
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