JP5076355B2 - 画像表示装置、画像表示方法 - Google Patents
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Description
ホールド式では、所定本数の水平ラインについて、1フィールド期間ごとに垂直走査を行いながら、映像信号に応じて垂直ラインを駆動することで、走査された水平ラインごとに画像(ライン画像)を表示させる。そして、このようにして行われた水平ラインごとにおけるライン画像の表示を、次にその水平ラインが走査されるまでの1フィールド相当の期間継続(ホールド)させるようにするものである。
黒画像挿入は、ホールド式による表示駆動を前提として、単位時間(例えば1フレーム期間)あたりの表示期間について、通常の画像を表示する画像表示期間と、黒色に相当する表示を行う黒表示期間とに分けるようにするものである。つまり、ホールド式による画像表示を基本とした上で、通常画像を表示させずに黒色を表示する期間を挿入するものである。
上記のようにして画像表示時において黒色を表示させる期間を挿入することで、単位時間あたりにおいて通常の画像が表示される期間は連続せずに断続したものとなり、これにより、人間の視覚では動きぼけが知覚されにくくなる。つまり、動きぼけが改善される。
このための対策として、1つには、黒画像挿入によって低減した輝度を補償するようにして、本来の表示画像の自体の輝度を、黒画像挿入を行わない場合よりも高く設定することが行われている。例えば、液晶表示装置の場合であれば、バックライトの明るさを強くすればよい。
ちなみに、この消費電力増加に関する問題は、特に静止画像、あるいは静止画に近い画動きの状態の画像を表示させる場合に顕著になるということがいえる。つまり、静止画像あるいはそれに近い画像に限れば、黒画像挿入は必要がない。それにも関わらず、上記した輝度低下補償の構成では、例えば、定常的にバックライトの明るさを強くするなどしているわけであり、静止画像あるいはそれに近い画像を表示させているときも、この状態に変わりはないからである。
そこで本発明は、「動きぼけ」を改善するために黒画像挿入の手法は採用することとしたうえで、画面の明るさの維持と、消費電力の抑制とが有効に両立されるようにすることを目的とする。
つまり、画素が水平ライン方向及び垂直ライン方向に沿ってマトリクス状に配列されて形成される表示パネル部を画像表示のために駆動するもので、フレーム周期で水平ラインを順次走査していくようにされるとともに、1水平ラインの走査期間ごとにおいて、その走査されている水平ラインを成す画素を画像信号に基づいて駆動することで1水平ライン分の画像を表示させ、この表示された1水平ライン分の画像部分を、次にその水平ラインを成す画素が駆動されるまで継続して表示させるようにして駆動可能とされる画像表示駆動手段と、1水平ラインごとに、フレーム周期に基づいた所定の単位時間内における所要の時間長により、黒色に相当する画像である黒画像が表示されるように、上記画像表示駆動手段を制御する黒画像表示制御手段と、上記画像表示駆動手段により表示させるべき画像の元となる上記画像信号を入力して、この入力された画像信号を表示出力させたとする場合における画像の動きについて検出するものであり、上記画像信号のフレーム画像を形成するものとされる画素のうちで、少なくとも一部の画素ごとについての動き量を求める動き検出手段と、この動き検出手段により検出された上記画素ごとについての動き量に基づいて、その動き量の値に応じた画素数の分布を示す分布情報をヒストグラムとして得るようにされるとともに、該分布情報としてのヒストグラムが示す分布状態である、上記動き量に対する上記画素数の値に対して、閾値が設定され、該閾値は上記動き量が大きくなるのに応じて小さくなるように設定されており、上記画素数が閾値を超えないとき上記黒画像表示制御手段により上記黒画像を表示させる時間長を零とし、上記画素数が閾値を超えたときは超えた画素数の数に応じて、上記黒画像表示制御手段により上記黒画像を表示させる時間長を設定する黒画像表示時間設定手段とを備えて構成することとした。
そのうえで、本願発明にあっては、画像信号に基づいて表示パネル部に表示させるべき画像の動きに応じて、上記した黒画像を表示させるべき時間長を可変するように構成される。
このようにして画像の動きに応じて黒画像の表示時間長を可変するということによっては、例えば、動きぼけが目立つような動きの大きい画像内容の状態となるのに応じて黒画像を表示させるべき時間長を長くし、逆に動きぼけの目立たないような動きの小さな画像内容の状態となるのに応じて黒画像を表示させるべき時間長を短くしていくようにする、ということが可能になる。黒画像を表示させるべき時間長の変化は、画像を視る者が知覚する表示画像の輝度の変化として現れるものであり、その時間長が短いほど、知覚される画像の輝度は高くなる。
この場合、表示画像の元となる画像信号(映像信号)は、例えばデジタル信号の形式により、入力端子10から第1画像処理部11に対して入力される。第1画像処理部11では、入力された画像信号について、例えば実際の表示パネル(液晶パネル部)に対する表示に適合した信号フォーマットの変換処理、また、表示パネルの水平/垂直画素数に適応させた解像度変換処理などをはじめ、各種画質調整などのための信号処理を実行し、第2画像処理部12に対して出力する。
液晶パネル部15は、周知のようにして液晶層をガラスなどに封入していると共に、例えば半導体基板などにより所定解像度に応じた画素セル(画素セル駆動回路)がマトリクス状に配置されて形成される。つまり、この場合の液晶パネル部15はアクティブマトリクス方式に対応した構造とされている。
バックライト部16は、この場合には、光源としての所定数の放電灯(例えば冷陰極管)を所定の配置パターンにより配置して構成される。そして、これらの放電灯が点灯して得られる白色光を、例えば拡散させたうえで、液晶パネル部15の背面側から前面側に向けて照射するようにされる。
また、上記バックライト部16に備えられる放電灯は、例えばバックライト駆動部20が出力する駆動電力により点灯駆動されるようになっている。
この図に示されている液晶パネル部15の基本構造としては、半導体基板上に対して、少なくとも、例えばマトリクス状に配列される画素セル駆動回路をはじめとする所要の回路を形成する。そして、この半導体基板に対して、共通電極を形成した対向基板を対向させ、これら半導体基板と対向基板との間に液晶を封入するようにした構造を有している。また、この図には液晶パネル部15とともに、スキャンドライバ13及びソースドライバ14が示されている。
1つの画素セル駆動回路2は、図のように、画素スイッチS11、画素容量C11、画素電極P11を備える。
画素スイッチS11は、例えばFET(電界効果トランジスタ)としての構造を有している。画素スイッチS11のゲートは、ゲート線G1に対して接続され、ドレインは、データ線D1と接続される。なお、各ゲート線及びデータ線も、半導体基板に対して形成されるものである。
また、画素スイッチS11のソースは、画素容量C11の一端と接続される。画素容量C11の他端は、共通電極に対して接続される。また、画素スイッチのソースと画素容量C11の接続点は、画素電極P11に対して接続される。そして、このようにして形成される画素セル駆動回路10が、図示するようにして行方向と桁方向に沿って、マトリクス状に配列されるものである。また、このようにして画素セル駆動回路2が形成される半導体基板としては、各画素セル駆動回路2の画素電極Pがマトリクス状に配列されて表出している状態となる。
なお、1本のゲート線の走査タイミングごとに応じてソースドライバ14が実行するデータ線へのデータ印加は、例えばデータ線D1〜Dmに対して順次的に走査するようにして行う方式と、同時的に行う方式とが知られている。本実施の形態としては、どちらの方式が採用されてもよいのであるが、ここでは、後者の同時にデータを印加する方式を採用することとしている。
表示時におけるスキャンドライバ13及びソースドライバ14の動作として、スキャンドライバ13は、シフトレジスタの動作によって、図3に示すようにして、水平走査期間Thごとのタイミングで出力をシフトしていくことで、順次、1行目のゲート線G1から最終行までのゲート線Gmまでを走査していく。
これにより、例えばゲート線G1を走査する水平走査期間Thにおいては、ゲート線G1に接続される行の画素スイッチS11、S12、S13・・・S1hにゲート電圧が印加されてオンとなり、続く水平走査期間Thにおいて、上記画素スイッチS11、S12、S13・・・S1hが、オン状態とされた上で、次のゲート線G2に接続される行の画素スイッチS21、S22、S23・・・S2hがオンとされる。以降、同様にして残るゲート線に対する走査が行われる。
ここで、例えばゲート線G1を走査している水平走査期間Th内における所定タイミングでもって、データ線D1〜Dmの駆動が同時に行われたとする。このときには、ゲート線G1にゲートが接続される画素スイッチS11、S12、S13・・・S1hがオンとなっているわけであるが、データ線D1〜Dmが駆動されることで、このゲート線G1との交点にある画素スイッチS11、S12、S13・・・S1hに接続される画素容量C11、C12、C13・・・C1hに対して、データ線D1、D2、D3・・・Dmに印加された電圧値(データ)に応じた電荷、画素スイッチS11、S12、S13・・・S1hのドレインからソースを介して蓄積される。この蓄積された電荷量に応じた電位が画素容量C11、C12、C13・・・C1hの両端に発生する。つまり、画素容量C11、C12、C13・・・C1hに対してデータの書き込みが行われたことになる。そして、このデータ書き込みによって画素容量C11、C12、C13・・・C1hに生じた電位は、同じ画素スイッチS11、S12、S13・・・S1hのソースに接続された画素電極P11、P12、P13・・・P1hにも生じることになる。
そして、上記のようにして、画素電極P11、P12、P13・・・、P1hにおいてデータに対応する電位が発生すると、この画素電極P11、P12、P13・・・、P1hの電位と、電位Vcomとの電位差に応じて、その間に介在する液晶層3の液晶が反応して励起されることになる。つまり、画素セルの駆動が行われるものである。
このような動作が、全水平ラインごとに行われることで、1画面のデータの書き込みが完了することになる。この動作が、例えばフレーム周期で繰り返されることで、画像表示が行われる。
そのうえで、1水平ラインごとに応じて書き込まれたデータは、その水平ラインに対する次フレームに対応したデータの書き込みが行われるまで保持(ホールド)されるようになっている。つまり、1水平ライン分の画像(ライン画像)が、1フレーム期間の時間長にわたって保持される、いわゆるホールド式といわれる表示駆動の動作となっている。
つまり、ホールド式では、1フレーム分の画像(フレーム画像)は、上記したデータ書き込みにより画素ごとにおいて表現される画要素の集合から成るものとしてみることができるが、ホールド式では、各画素において、1回のデータ書き込み応じて得られる画要素が、フレーム期間中にわたり継続して維持される。このために、動きのある画像部分については、前のフレームの残像が知覚されやすくなり、画像の輪郭が不明瞭に見えることになる。これが「動きぼけ」といわれる。
このような「動きぼけ」は、画質劣化要因となるために、できるだけ抑制されることが好ましい。
ここで、図4に示されている、ゲート線G1〜Gmを走査して、有効画像に対応する画素データを印加するタイミング、つまり、水平走査期間Thとして示されているタイミングについては、図3と同様となっている。つまり、図4としては、先ず、有効画像を表示させるための駆動タイミングについては、図3と同様となるものである。
例えばゲート線G1に対応する水平ラインの駆動タイミングを例にとると、先ずは、1フレーム期間が開始されるタイミングで、水平走査期間Thが現れている。つまり、図3により説明したように、この水平走査期間Thによりスキャンドライバ13によりゲート線G1に対する走査が行われるとともに、同じ水平走査期間Th内において、ソースドライバ14によりデータ線D1〜Dnに対して、画像信号に応じたデータの印加が行われる。これにより、水平走査期間Thにおいてデータ線駆動が行われて以降は、有効画像が表示される有効画像表示期間T1が開始されることになる。
これに対して、図4の場合では、1フレーム期間内において、有効画像表示期間T1を所定時間経過したタイミングで、黒データ印加期間Tblが現れている。この黒データ印加期間Tblにおいては、これまでの有効画像表示期間T1により表示されていた有効画像のライン画像が、黒画像として表示されるようにして画素の駆動を行うようにされる。このためには、例えば、黒データ印加期間Tblのタイミングで、ソースドライバ14から、黒色を表示させるための画素データに応じた電圧値を印加するようにされる。これにより、これまでの有効画像に応じた書き込みデータ(電荷)はリセットされ、黒画像に応じたデータ書き込みが行われる。そして、このようにして、表示される黒画像を、次のフレームの開始タイミング、つまり、次の水平走査期間Thまで継続させるものである。
つまり、1つのゲート線についてみた場合には、1フレーム期間を、有効画像に応じたライン画像を表示させる所定時間長の有効画像表示期間T1と、これに続けて、黒色のライン画像を表示させる所定時間長の黒挿入期間T2とに分割するようにされる。そして、このような1水平ライン分の駆動を、図4にも示されるようにして、水平ラインごとに行っていくようにされる。この場合において、スキャンドライバ13がゲート線を順次走査していることに応じて、水平ラインごとの水平走査期間Thのタイミングは順次シフトしていくことになるのであるが、各水平ラインにおいて設定される1フレーム期間内の有効画像表示期間T1と黒挿入期間T2の時間比率(時間長)は同じとなっている。また、この図4の説明にあっては、有効画像表示期間T1と黒挿入期間T2の時間長は、固定であるものとする。
図4による表示駆動をフレーム周期で繰り返しているとすると、例えば図5(a)(b)に示されるようにして、表示画像全体において、黒画像表示領域AR2として示される、水平方向に沿って帯状とされた或る一定幅の黒色画像部分が定常的に表示され、表示画像全体における残る領域が、有効画像が表示されている有効画像表示領域AR1となる。そして、この黒画像表示領域AR2は、1フレーム周期で、ちょうど表示画像の上から下にかけて移動していくという動作が循環するようにして表示される。図5(a)(b)の間での変化は、上記のような黒画像表示領域AR2の位置の移動を示す。
なお、黒画像表示領域AR2の垂直方向における幅W2の、表示画像全体の垂直方向の幅W1に対する比率は、W2/W1により表されるが、この比率は、1フレーム期間(TFとする)に対する黒挿入期間T2の時間的な比率であるT2/TFと一致することになる。また、この比率に基づいて上記のようにして黒画像が表示されるということは、例えば1フレーム期間内において、T2/TF(W2/W1)により表される時間比率に応じた時間長だけ、有効画像に代わって黒画像表示が行われている、ということを意味する。
ただし、バックライトの発光輝度を高くしようとすれば、その分、消費電力が増加してしまうことになる。特に、静止画(あるいは静止画に近い内容の画像)を表示しているときには、本来であれば、黒画像挿入の必要性は無い(あるいは短時間でもよい)のにも関わらず、黒画像挿入が行われているために、バックライトの輝度を増加させていることになってしまう。つまり、バックライトの発光輝度を高くしたことによる電力消費の増加分はほぼ無駄になるものであり、その不合理性が顕在化する。
この図6において、ゲート線G1〜Gmごとにおけるフレーム期間内の水平走査期間Thと、破線により示されている黒データ印加期間Tblβは、先に図4に示したゲート線G1〜Gmごとにおけるフレーム期間内の水平走査期間Thと、黒データ印加期間Tblと同じタイミングであるものとする。従って、図6における有効画像表示期間T1βと黒挿入期間T2βの時間長(1フレーム期間に対する黒挿入期間T2βの時間比率と同義である)も、図4の有効画像表示期間T1と黒挿入期間T2の時間長(1フレーム期間に対する黒挿入期間T2αの時間比率と同義である)と同じであることになる。
そして、図6において、この有効画像表示期間T1βと黒挿入期間T2βによる時間比率により黒画像挿入が行われている状態から、1フレーム期間内における黒挿入期間を、これよりも長く、つまり時間比率を大きくするように変更しようとするのであれば、例えば、同じ図6において実線で示される黒データ印加期間Tblαのようにして、ゲート線ごとに対応する1フレーム期間内において、黒画像に応じた画素データを印加するタイミングを、黒データ印加期間Tblβよりも早く設定するようにされる。
この黒データ印加期間Tblβの設定に応じて形成される有効画像表示期間T1βと黒挿入期間T2βの時間長(1フレーム期間に対する黒挿入期間T2βの時間比率)は、黒データ印加期間Tblαに応じた有効画像表示期間T1αと黒挿入期間T2αの時間長(1フレーム期間に対する黒挿入期間T2αの時間比率)と比較すると、黒挿入期間T2βのほうが黒挿入期間T2αよりも長くなっており、従って、1フレーム期間に対する黒挿入期間T2の時間比率としても、黒挿入期間T2βを設定した場合のほうが大きくなる。このことは、フレーム周期を基とする単位時間(ここでは、1フレーム期間として考えて良い)において黒画像が挿入される時間としては、黒データ印加期間Tblβ(黒挿入期間T2β)を設定した場合のほうが、黒データ印加期間Tblα(黒挿入期間T2α)を設定した場合よりも長くなっているということになる。
ここで、図5(c)(d)と、図5(a)(b)とを比較して分かるように、
図5(c)(d)に示される黒画像表示領域AR2の垂直方向の幅W3は、図5(a)(b)に示される黒画像表示領域AR2の幅W2よりも拡大している。換言すれば、図5(c)(d)の場合の黒画像表示領域AR2の垂直方向における幅W3の、表示画像全体の垂直方向の幅W1に対する比率(W3/W1)は、図5(a)(b)の場合(W2/W1)よりも大きなものとなる。先の図5(a)(b)についての説明からも理解されるように、1フレーム期間において黒画像が表示される時間は、上記の比率が大きくなるほど長くなる。つまり、この図5においても、黒データ印加期間Tblαが設定される場合よりも、黒データ印加期間Tblβが設定される場合のほうが、1フレーム期間内における黒画像表示の時間が長くなることが示されているものである。
そして、本実施の形態としては、黒画像表示のためには、例えばソースドライバ14により黒画像に対応する画素データ(黒データ)を印加することにより実現することとしている。従って、上記のような黒データ印加期間Tblのタイミング(黒画像表示時間)の変更を実現するためには、ソースドライバ14により黒データを印加するタイミングが可変となるように構成すればよいことになる。
つまり、黒画像表示時間の可変に関する基本的な制御アルゴリズムの概念としては、表示パネル17に表示される画像(有効画像)の内容について、視認される動きぼけが目立ってくるような動きの状態となるのに応じて、黒画像表示時間を長く設定し、上記動きぼけが目立たない動きの状態となるのに応じて、黒画像表示時間を短く設定していくものである。
そして、制御部19は、このようして設定した黒画像表示時間に基づいて、さらに、1フレーム期間における黒データ印加期間Tblの実行タイミングを設定し、この設定した実行タイミングを、この場合には、第2画像処理部12に指示するようにされる。これに応じて、第2画像処理部12は、指示された実行タイミングにより黒データ印加期間Tblによる黒画像のデータの書き込みが実行されるようにして、ソースドライバ14に対してタイミング信号を出力するようにされる。
もちろん、ほぼ静止画とみて良い動きの画像状態においても、短時間ながら黒画像表示時間が存在するような表示駆動とされてもかまわない。黒画像表示時間が存在しても、或る範囲内の時間であれば、表示画質を損なわない程度の充分な輝度は得ることができる。
先ず、表示パネル17(液晶パネル部15)の画面に表示される画像の動きの状態についての検出は、先にも述べたように、動画像解析部18により行うようにされる。つまり、動画像解析部18としては、第1画像処理部11における所定の信号処理段階を経たとされるデジタルの画像信号を取り込み、フレーム相関などの手法を用いて、いわゆる動き検出といわれる、動画像の画像信号についての解析処理を実行するものとされる。なお、この動画像解析部18において実際に採用される動き検出の技術としては、例えばインタレース/プログレッシブ変換処理や、MPEG方式におけるエンコーディング技術などに基づいたものをはじめとする、これまでに知られた技術、あるいは、将来的に開発、実用化される技術を採用することとすればよい。
このようにして動画像解析部18にて得られた全画素ごとの動き量の情報は、制御部19により取り込まれることになる。そして、制御部19では、例えば以降説明するようにして、上記動き量の情報に基づいて、黒画像表示時間を設定するようにされる。
そして、本実施の形態としては、例えば図7(a)(b)(c)に示されるように、この動き量に対する画素数分布の情報に対照させた閾値THを設定する。この閾値THは、ヒストグラムにおける画素数に対して設定されるものであるが、動き量の値が大きくなるのに応じて、閾値THは小さくなるようにして設定するようにしている。
ここで、ヒストグラムにおいて閾値THを越えたとされる画素の総数が、例えば0となる場合(画素数分布を示す曲線について閾値THを越える部分が無い場合)には、例えば先に説明した略静止画状態であるとして、黒画像表示時間については可変範囲における最短(黒画像表示時間を設定しない可能性も含む)を設定する。そして、ヒストグラムにおいて閾値THを越えたとされる画素の総数が0より大きな値として得られた場合には、その値が増加していくのに応じて、所定規則に従って、黒画像表示時間についても長くなるようにして設定するものである。つまり、ヒストグラムにおいて閾値THを越えたとされる画素の総数が多いほど、動きぼけが目立って知覚される画像の状態であるものとして捉え、この動きぼけの程度が一定以下となるようにするために、黒画像表示時間を長くしていくという考え方である。
例えば、図7(b)のような動き量に対する画素数分布の状態は、動き量の大きな画像部分が存在するが、その画素数としてはさほど多くない状態であるといえる。このような状態は、例えば、画面全体においては相当に小さいが、その動きは相当に大きいようなものが表示されている状態である。より具体的には、テニスの試合の中継などで、テニスボールが動いているような状態がこれに相当する。このテニスボールのような画像部分の動きは、画面上での専有面積は小さいのにもかかわらず、周囲が比較的静止状態に近いこととの対比で、動きぼけが目立って知覚されることが知られている。従って、このような動きぼけに適応して適切とされる黒画像表示時間が設定されるようにするためには、分布域において動き量の値が大きくなるほど、画素数に対する閾値THは小さくなるようにして設定する必要があるということがいえる。
このような画像の状態では、元来は動き量が小さいことで、動き量が大きいときと比較すれば、同じ画素数の条件では動きぼけは知覚されにくい。しかしながら、やはり、或る程度にまで画素数が増加してくると、動きぼけが無視できない程度に知覚されるようになる。そこで、分布域として動き量が小さ区成るのに応じては、閾値THを高めに設定していくようにすることが合理的であることになる。
このようなことを考慮して、本実施の形態としては、閾値THについて、動き量の値が小さい方から大きい方に変化していくのに応じて、高い方から低い方に変化するようにして設定しているものである。なお、より具体的な動き量の値と閾値THとの関係については、例えば実際における画像信号(つまり表示画像の内容である)の内容と、知覚される動きぼけの状態との関係を検討した上で決定されるべきものであり、ここで限定されるべきものではない。また、このことから、例えば閾値THと動き量の関係は、図7に示されているような比例的なものに限定されない。例えば動き量に対する閾値の対応が、曲線的なものとなってもよいし、段階的なものとなってもよい。
例えば先ず、ヒストグラムに対して設定されるべき閾値THについては、或る所定の画素数に応じた値を固定的に設定する、というより簡易な手法を採用することも考えられる。
また、図7に基づいた説明では、ヒストグラムの情報を生成するのにあたり、全ての画素ごとの動き量を求めることとしているが、例えば、表示画像全体における一部領域のみを形成する画素に限定し、これらの画素の動き量を求めるようにすることも考えられる。この場合の一例としては、表示画像全体においてほぼ中央となる部分領域の画素を対象として動き量を求めるという構成を挙げることができる。一般的に、表示画像において注目すべき対象物は、構図などを考慮して、画面中央にくる可能性が多いと考えられる。すると、動きぼけについても、例えば、上記しているような画面上において主体となる対象のみについて抑制できるようにすれば、相応に良好な画質が維持できるという考え方をとることができる。もちろん、本発明の下では、動き量を求めるべき画素から形成される、表示画像全体における一部領域としては、画面中央のみに限定されるべきではないし、さらに、上記一部領域が画面上で形成する形状なども限定されるべきものではない。
そして、このようにして、動き量を求めるための画素数を、表示画像全体における一部領域に限定することによっては、例えば動画像解析部18における解析処理、及び制御部19における動き量の情報についての処理などに関しての負担が軽減されることになる。これにより、例えば、画像の動きに応じた黒画像表示時間設定に関する処理の高速化、安定化などが図られることになる。また、動画像解析部18をハードウェアにより構成する場合には、その回路規模も小さくすることが可能になるので、例えばコスト的にも有利となる。
そこで、本実施の形態の液晶表示装置1としては、黒画像表示時間が変更されるのに応じて、有効画像として知覚される画像自体の輝度も可変させるように構成する。そして、本実施の形態では、有効画像として知覚される画像自体の輝度を変更するのにあたり、バックライト部16において発光される放電灯の輝度を可変制御するように構成される。このようにして放電灯の輝度を変更することとすれば、例えば、階調制御などにより表示画像の輝度を可変する場合よりも、より簡易な構成で実現することができて有利である。
つまり、制御部19は、例えば先の説明のようにして黒画像表示時間を設定するのであるが、その設定した黒画像表示時間に対応させて、例えば図8において模式的に示すようにして、標準輝度に対する輝度増加率を設定する。図8においては、輝度増加率設定のアルゴリズムとして、黒画像表示時間が0の場合には、輝度増加率は0とされて標準輝度を設定するものとされ、黒画像表示時間が0を越えて増加していくのに比例させるようにして、所定比率で輝度増加率を高くしていくようにした例が示されている。なお、この図8に示される黒画像表示時間と輝度増加率の関係はあくまでも一例であり、実際においては、例えば現実の黒画像表示時間と表示画像の輝度が低減する度合いなどの条件に応じて決定されるべきものである。
そして、制御部19は、このようにして設定した輝度増加率に対応して、実際にバックライト部16における発光輝度が変化するようにして、バックライト駆動部20の発光駆動動作を制御するようにされる。
先ず、ここでのバックライト駆動部20によるバックライト部16の放電灯に対する点灯駆動は、図9(a)に示されるようにして、所定の周期時間TCごとにおいて、放電期間Tdscとこれに続く非放電期間Trdsとを有するタイミングで行うようにされる。放電期間Tdscにおいては、例えば放電灯を放電状態とするための電圧印加をおこなうようにされ、放電状態となることにより放電灯は発光する。これに対して、非放電期間Trdsは、上記した放電のための電圧印加が停止される期間であり、従ってこの期間においては、放電灯の発光が停止される。つまり、この場合の放電灯の駆動は、一定の周期時間TCごとに、放電期間Tdscに応じた時間長による発光と、非放電期間Trdsに応じた時間長による非発光とを繰り返すようにして行うようにされている。
なお、例えば周期時間TCは、周波数としてみれば少なくとも数十Hz程度以上とされ、人によっては、周期時間TCに応じて点滅しているようには知覚されず、定常的に点灯しているようにして知覚されるものである。
これに応じて、バックライト駆動部20は、例えば図9(b)に示すようにして、周期時間TC内における放電期間Tdscの時間長を、上記輝度増加率に応じた分長くし、その分、非放電期間Trdsを短く設定する。つまり、周期時間TCにおける放電期間Tdscと非放電期間Trdsとの時間比率(デューティ)を変更する。これは、放電期間Tdscと非放電期間Trdsをそれぞれ、周期内のパルス幅として捉えれば、PWM(Pulse Width Modulation)制御を行っているものとしてみることができる。
このようにして、PWM制御が行われることで、単位時間あたりにおいて人が視覚的に受容する光の量が変化する。つまり、人が知覚する放電灯の発光輝度が変化することになる。図9(a)から図9(b)の遷移の場合には、1周期内における放電期間Tdscが長くなっていることで、その分、人が知覚する放電灯の発光輝度としては高くなる。そして、図8に基づけば、制御部19において設定される黒画像表示時間が長くなるほど、輝度増加率も高い値が指示されることになり、1周期内における放電期間Tdscの時間長も延長されることになる。
例えばこのようにして、黒画像表示時間に応じて、バックライト部16(放電灯)の発光輝度が可変されることで、黒画像表示時間の動的な変化に応じた表示画像の輝度の変化がキャンセルされ、例えば安定した輝度による画像表示が行われているようにして見えることになる。
また、このようにして発光輝度を可変する場合、黒画像表示時間が長くなることに応じて、発光輝度を高くすることになるので、例えば標準輝度で固定とする場合に比較すれば、その分、消費電力は増加することにはなる。しかしながら、例えば黒画像挿入を固定した時間長により行うのに応じて、一定の輝度増加率を固定的に維持させる場合と比較すれば、或る短期間における消費電力については、本実施の形態のようにして発光輝度を可変した場合のほうが、低減されることになるものであり、有利である。
例えば、ホールド式による表示駆動にあって黒画像を挿入するための基本的な駆動方式などは、例えば図4などに示したもの以外にも各種存在する。例えば、フレーム周期を基として、所定のタイミングで、全ての水平ラインを同時に黒画像表示させるものも知られている。また、1フレーム周期を通常の1/nの速度に高速化させるような技術も知られており、このような表示駆動にも適用できる。また、実施の形態では、黒画像を挿入する場合には、フレーム(フィールド)周期ごとに必ず、一定時間による黒画像の表示期間を設定することとしているが、例えば所定フレーム数ごとに1回の割合で黒画像の表示期間を設定するような駆動とすることも考えられる。つまり、黒画像の表示は、フレーム周期を基とした期間内において所定タイミングで実行されるものとして捉えればよい。
例えば、ホールド式による表示駆動が行われる液晶以外のディスプレイデバイスとして、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを挙げることができる。この有機ELディスプレイをホールド式により表示駆動する場合にも、本願発明に基づいた、動き検出結果に応じた黒画像表示時間の可変設定を行うことで、これまでに説明してきたことと同様の効果が得られる。ただし、有機ELは周知のようにして自発光であることから、黒画像表示時間の変化による有効画像の表示輝度の低下を補うために、本実施の形態のようにしてバックライトの発光輝度を可変制御することはできない。しかしながら、この場合においては、有効画像を表示させるための階調制御の段階で、黒画像表示時間に応じて、標準の階調に対する増加率を設定して表示駆動するなどの構成を採ればよい。
Claims (4)
- 画素が水平ライン方向及び垂直ライン方向に沿ってマトリクス状に配列されて形成される表示パネル部を画像表示のために駆動するもので、フレーム周期で水平ラインを順次走査していくようにされるとともに、1水平ラインの走査期間ごとにおいて、その走査されている水平ラインを成す画素を画像信号に基づいて駆動することで1水平ライン分の画像を表示させ、この表示された1水平ライン分の画像部分を、次にその水平ラインを成す画素が駆動されるまで継続して表示させるようにして駆動可能とされる画像表示駆動手段と、
1水平ラインごとに、上記フレーム周期に基づいた所定の単位時間内における所要の時間長により、黒色に相当する画像である黒画像が表示されるように、上記画像表示駆動手段を制御する黒画像表示制御手段と、
上記画像表示駆動手段により表示させるべき画像の元となる上記画像信号を入力して、この入力された画像信号を表示出力させたとする場合における画像の動きについて検出するものであり、上記画像信号のフレーム画像を形成するものとされる画素のうちで、少なくとも一部の画素ごとについての動き量を求める動き検出手段と、
上記動き検出手段により検出された上記画素ごとについての動き量に基づいて、その動き量の値に応じた画素数の分布を示す分布情報をヒストグラムとして得るようにされるとともに、該分布情報としてのヒストグラムが示す分布状態である、上記動き量に対する上記画素数の値に対して、閾値が設定され、該閾値は上記動き量が大きくなるのに応じて小さくなるように設定されており、上記画素数が閾値を超えないとき上記黒画像表示制御手段により上記黒画像を表示させる時間長を零とし、上記画素数が閾値を超えたときは超えた画素数の数に応じて、上記黒画像表示制御手段により上記黒画像を表示させる時間長を設定する黒画像表示時間設定手段と、
を備える画像表示装置。 - 上記黒画像表示時間設定手段により設定した上記黒画像を表示させる時間長に応じて、上記表示パネル部において表示される上記黒画像以外の有効画像自体についての輝度が可変されるようにする輝度制御手段と、
をさらに備える請求項1に記載の画像表示装置。 - 表示パネル部における画像表示に利用される光を照射するための光源と、
上記光源を点灯駆動する点灯駆動手段とをさらに備えるとともに、
上記輝度制御手段は、
上記黒画像表示時間設定手段により設定した上記黒画像を表示させる時間長に応じて、上記光源から照射される光の明るさが可変設定されるようにして上記点灯駆動手段を制御することで、上記有効画像自体についての輝度が可変されるように構成される請求項2 に記載の画像表示装置。 - 画素が水平ライン方向及び垂直ライン方向に沿ってマトリクス状に配列されて形成される表示パネル部を画像表示のために駆動するもので、フレーム周期で水平ラインを順次走査していくようにされるとともに、1水平ラインの走査期間ごとにおいて、その走査されている水平ラインを成す画素を画像信号に基づいて駆動することで1水平ライン分の画像を表示させ、この表示された1水平ライン分の画像部分を、次にその水平ラインを成す画素が駆動されるまで継続して表示させるようにして駆動する画像表示駆動手順と、
1水平ラインごとに、上記フレーム周期に基づいた所定の単位時間内における所要の時間長により、黒色に相当する画像である黒画像が表示されるように、上記画像表示駆動手順による駆動を制御する黒画像表示制御手順と、
上記画像表示駆動手順により表示させるべき画像の元となる上記画像信号を入力して、この入力された画像信号を表示出力させたとする場合における画像の動きについて検出するものであり、上記画像信号のフレーム画像を形成するものとされる画素のうちで、少なくとも一部の画素ごとについての動き量を求める動き検出手順と、
上記動き検出手順により検出された上記画素ごとについての動き量に基づいて、その動き量の値に応じた画素数の分布を示す分布情報をヒストグラムとして得るようにされるとともに、該分布情報としてのヒストグラムが示す分布状態である、上記動き量に対する上記画素数の値に対して、閾値が設定され、該閾値は上記動き量が大きくなるのに応じて小さくなるように設定され、上記画素数が閾値を超えないとき上記黒画像表示制御手順により上記黒画像を表示させる時間長を零とし、上記画素数が閾値を超えたときは超えた画素数の数に応じて、上記黒画像表示制御手順により上記黒画像を表示させる時間長を設定する黒画像表示時間設定手順と、
を実行する画像表示方法。
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