JP5076141B2 - 組織再生用組成物及びそれを用いたスキャフォールド - Google Patents
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Description
(1)キトサン及びセリシンを含有する、組織再生用組成物。
(2)キトサンとセリシンとの含有割合が重量比で90〜60:10〜40である、上記(1)記載の組織再生用組成物。
(3)上記(1)又は(2)記載の組織再生用組成物からなる、スキャフォールド。
(4)上記(1)又は(2)記載の組織再生用組成物からなる、創傷治癒剤。
(5)上記(3)記載のスキャフォールドを細胞に接触させて再生された組織構造体。
(6)キトサンと、セリシンと、溶媒とを含有する混合溶液を凍結乾燥又は凍結ゲル化に供する、組織再生用組成物の製造方法。
(7)混合溶液が酸成分を含む、上記(6)記載の組織再生用組成物の製造方法。
(8)凍結乾燥又は凍結ゲル化に供する前に混合溶液を予備凍結する、上記(6)又は(7)記載の組織再生用組成物の製造方法。
(9)凍結乾燥に供した後に凍結乾燥物を中和する、上記(7)又は(8)記載の組織再生用組成物の製造方法。
したがって、皮膚、血管、神経、骨、軟骨、食道、弁、その他臓器等の再生のために直接使用することが可能であり、また、in vitro又はin vivoにおける、組織培養におけるスキャフォールドとして使用することができる。
(組織再生用組成物)
本発明の組織再生用組成物は、キトサン及びセリシンを含有することを特徴とする。以下、構成材料について説明する。
キトサンは、主にカニやエビ等の甲殻類をはじめ、昆虫、貝、キノコ等から得られるキチンを脱アセチル化して得られる多糖類であり、通常、脱アセチル化度が60%以上のものをいうが、本発明においては、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上のものが使用される。キチンには分子結晶構造の違いによってα型、β型、γ型の3種類存在するが、いずれのキチンから得られたキトサンを使用することができる。中でも、細胞増殖性や細胞分化能に優れる点でβ型が好適である。なお、脱アセチル化度における「%」は、脱アセチル化によりキチン分子中のアセトアミド基がアミノ基に変換され、結果としてキチン分子の繰返し単位(N-アセチルグルコサミン残基)100個あたりに存在するアミノ基の割合を示す。
キトサンは、製造方法によって、例えば、30,000〜1,000,000以上の重量平均分子量(Mw)のものが存在するが、本発明においては、ひび割れが防止の観点から、概ね1,000,000前後(好ましくは500,000〜1,000,000、より好ましくは700,000〜1,000,000)のものが好適に使用される。このようなキトサンは、商業的に入手可能である。
セリシンには、Mwが20,000〜500,000以上のものが存在するが、本発明においては、好ましくは20,000〜50,000、より好ましくは20,000〜40,000のものが使用される。このようなセリシンも、キトサンと同様に商業的に入手することができる。
また、本発明の組織再生用組成物は、膜状又はシート状に成形して創傷治癒剤として利用することが可能であり、これを必要に応じて粘着シートに積層して使用してもよい。
本発明のスキャフォールドは、上記した組織再生用組成物により構成されるものである。そのため、上記した組織再生用組成物と同様の性状を有する。また、スキャフォールドの形態は特に限定されず、損傷・欠損した生体組織の部位に対応した形状・構造(例えば、膜状、シート状、棒状、チューブ状、バルク状等)に成形され、皮膚、血管、神経、骨、軟骨、食道、弁、その他臓器等の再生のために直接使用し、また、in vitro又はin vivoにおける、組織培養に使用することができる。そして、スキャフォールドを細胞に接触させることで、再生された組織構造体を得ることができる。
次に、本発明の組織再生用組成物の製造方法を説明する。
本発明の組織再生用組成物の製造方法は特に限定されないが、キトサンと、セリシンと、溶媒を含有する混合溶液を調製し、これを凍結乾燥又は凍結ゲル化に供することを特徴とする。なお、混合溶液には酸成分を含有することが好ましい。これにより、キトサンの溶解性を高めることができる。以下、酸成分を含む好適な製造方法に即して説明する。
本発明においては、凍結乾燥又は凍結ゲル化に供する前に混合溶液を凍結処理(予備凍結)してもよい。また、凍結乾燥又は凍結ゲル化に供した後に、後処理として、凍結乾燥物を中和・水洗又は凍結ゲル化物を水洗し、これを2次乾燥することが好ましい。これにより、多孔性の組織再生用組成物を得ることができる。
先ず、キトサン及びセリシンの各溶液を調製する。キトサン及びセリシンを溶解すべき溶媒としては、キトサン及びセリシンをそれぞれ溶解できるものであれば特に限定なく使用できるが、例えば、キトサンの場合には酸性水溶液が好適に使用され、セリシンの場合には蒸留水が好適に使用される。
キトサンを溶解すべき酸性水溶液の酸成分としては、人体に影響がなく、かつpHが2〜6(好ましくは3〜5)程度の弱酸であれば、有機酸及び無機酸のいずれをも使用することができる。中でも、有機酸が好適に使用される。このような有機酸としては、蟻酸、酢酸、酪酸、乳酸,コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、等が挙げられ、中でも酢酸、クエン酸、リンゴ酸が好適である。酸の使用量は、キトサン100重量部に対して、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは40〜70重量部である。
キトサン溶液及びセリシン溶液の各濃度は、溶液の全重量基準で、例えば、1〜2重量%(好ましくは1.2〜1.5重量%)である。そして、上記濃度に調製されたキトサン溶液及びセリシン溶液を所望の割合で混合する。キトサン及びセリシンの配合割合は特に限定されるものではないが、キトサンが過剰であることが好ましく、重量比で、より好ましくは90〜60:10〜40、更に好ましくは90〜70:10〜30である。キトサン及びセリシンは、上記したMwのものが好適に使用される。
混合溶液を容器に入れ、これを所定温度に冷却し凍結処理物を得る工程である。予備凍結には、例えば、市販の冷蔵庫や凍結乾燥機を用いることができる。容器としては、金属製及びプラスチック製のいずれの材質のものであってもよい。
凍結温度は溶媒の凝固点よりも低い温度に設定すればよいが、例えば、混合溶液の溶媒として水を含む場合、好ましくは−80〜−10℃、より好ましくは−40〜−20℃である。また、凍結時間は、混合溶液の濃度や凍結温度により一様ではないが、好ましくは12〜36時間、より好ましくは20〜30時間である。予備凍結は、凍結乾燥の成否を左右する重要な前処理工程であるため、十分に行なうことが好ましい。
凍結処理物を、減圧状態で一次乾燥する工程である。凍結乾燥には、例えば、市販の凍結乾燥機を用いることができる。この工程では、例えば、混合溶液の溶媒として水を含む場合、凍結処理物中の水分が氷のまま融解することなく昇華除去される。すなわち、凍結乾燥においては、凍結処理物の表面から水分の昇華が始まるが、徐々に乾燥部分と未乾燥部分とに分かれて、その境目で昇華が起こるようになる。そして、昇華面が次第に凍結処理物の表面から奥へと延びていき、通路が形成される。その結果、凍結処理物に多孔性を付与することが可能になる。
処理温度は、混合溶液の溶媒の種類により一様ではないが、例えば、混合溶液の溶媒として水を含む場合、好ましくは−50〜−10℃、より好ましくは−40〜−20℃である。また、減圧度は、好ましくは0.15〜1.5Pa(1〜11×10-3mmHg)、より好ましくは0.3〜1.0Pa(2〜7×10-3mmHg)である。処理時間は、処理温度や減圧度により一様ではないが、好ましくは12〜72時間、より好ましくは20〜40時間である。
凍結乾燥は、凍結機内で予備凍結した凍結処理物を凍結乾燥機に移して行なってもよいが、予備凍結を凍結乾燥機内で行なった後、凍結乾燥をそのまま凍結乾燥機内で凍結温度や減圧度を設定し直して行なってもよい。
凍結処理物を凍結状態で強アルカリ溶液に浸漬してゲルを形成させる工程である。凍結ゲル化により酸成分が中和され、高分子鎖が凍結状態を維持したまま再生されることにより凍結ゲル化物に多孔性が付与される。同時に凍結水もゲル化液中に溶出する。
強アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物が挙げられ、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、等が例示される。中でも、水酸化ナトリウムが好適に使用される。また、溶媒としては、水、アルコール、等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール等が挙げられ、一価アルコールが好適に使用される、中でも、水及びアルコールの組み合わせが好ましく、水及び一価アルコール(特に、低級アルコール)の組み合わせがより好ましく、水及びエタノールの組み合わせが更に好ましい。なお、水及びアルコールの配合割合は、重量比で好ましくは30:70〜70:30であり、より好ましくは40:60〜60:40である。アルカリの濃度は、溶液の全重量基準で、好ましくは1〜7重量%、より好ましくは2〜4重量%である。
強アルカリ溶液への浸漬は冷却状態で行なわれるが、例えば、溶媒が水とアルコール混合液である場合、好ましくは−50〜−10℃、より好ましくは−30〜−20℃である。また、浸漬時間は、凍結処理物の組成や冷却温度により一様ではないが、好ましくは15〜40時間、より好ましくは20〜30時間である。
凍結乾燥物を中和する工程である。
凍結乾燥後においては、凍結乾燥物をアルカリに接触させて中和する。アルカリとしては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、中でもアンモニアが好ましく、アンモニアの飽和蒸気がより好ましい。アルカリ濃度は、好ましくは3〜10重量%、より好ましくは5〜8重量%である。また、処理時間は、使用するアルカリの種類により一様ではないが、例えば、アンモニアの飽和蒸気の場合、好ましくは2〜5日、より好ましくは3〜4日である。
なお、凍結ゲル化後においては、ゲル化時点で酸成分が中和されているため必ずしも中和工程を要しないが、生成した塩を除去するために凍結ゲル化物を水洗する。
中和処理物を乾燥する工程であるが、例えば、混合溶液の溶媒として水を含む場合、中和処理物に吸着している分子状態の水を除去して乾燥する工程である。2次乾燥工程においては、中和処理物を必要により加熱してよく、また室温程度(25℃程度)の温度で自然乾燥してもよい。乾燥時間は、乾燥温度により一様ではないが、好ましくは12〜36時間、より好ましくは20〜30時間である。これにより、凍結時の形状(例えば、多孔性)を保持した、スポンジのような感触の組織再生用組成物を得ることができる。
本発明のスキャフォールド及び創傷治癒剤は、組織再生用組成物と同様の方法により製造することが可能であるが、上記した混合溶液を所望形状の容器内で予備凍結、又は凍結乾燥若しくは凍結ゲル化に供するか、あるいは上記した製法により得られた組織再生用組成物を所望形状に加工することで製造することができる。
α−キトサン(α−CS):Mw1,000,000、DAC96%、カニ由来キトサン、片岡チッカリン(株)製
β−キトサン(β−CS):Mw960,000、DAC90%、イカ由来キトサン、Dong社製
セリシン(SER):Mw30,000、商品名;低分子量セリシン、セーレン(株)製
酢酸:特級、ナカライテスク(株)製
水酸化ナトリウム:特級、ナカライテスク(株)製
アンモニア水:濃度25%、メルク・ジャパン(株)製
α−CSをキトサン100重量部に対して50重量部の酢酸を含む水溶液に溶解して1.2%のα−CS溶液を調製した。他方、SERを蒸留水に溶解して1.2%のSER溶液を調製した。次いで、得られたα−CS溶液及びSER溶液を、CS/SER(重量比)が80/20になるように混合してα−CS/SER溶液を得た。
次いで、アクリル製容器(内法:長径40mm、短径20mm、深さ0.5mm)にα−CS/SER溶液を満たし、−26℃の冷蔵庫内で1日予備凍結した。次いで、以下の凍結乾燥法により凍結乾燥物を得た。すなわち、凍結処理物を凍結乾燥機(形式:NEO COOL、ヤマト科学(株)製)により、−26℃、0.3Pa(2×10-3mmHg)の条件で1日凍結乾燥して凍結乾燥物を得た。次いで、得られた凍結乾燥物をアクリル製容器から剥がし、それを密閉可能な容器内に入れ、5%NH3飽和蒸気中で4日間中和した。そして、中和処理物を取り出し、それを1日間自然乾燥することで膜厚0.15mm、平均孔径200μmの組織再生用組成物からなるスキャフォールドを得た。なお、孔径は、デジタル顕微鏡(キーエンス社製)観察及び走査電子顕微鏡(日立製作所S-2300)観察により得たものである。得られたスキャフォールドの写真を図1に示す。
実施例1と同様の方法により、α−CS/SER(重量比)が80/20の溶液を得、次いで得られた溶液を−26℃の冷蔵庫内で1日予備凍結した。次いで、以下の凍結ゲル化法により凍結ゲル化物を得た。すなわち、凍結処理物を−26℃で3%NaOHを含むエタノール/水(重量比1/1)溶液に1日浸漬して凍結ゲル化物を得た。そして、凍結ゲル化物を水洗した後、1日間自然乾燥することで、膜厚0.12mm、平均孔径100μmの組織再生用組成物からなるスキャフォールドを得た。
α−CSの代わりにβ−CSを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法に膜厚0.15mm、平均孔径200μmの組織再生用組成物からなるスキャフォールドを得た。
α−CSの代わりにβ−CSを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法により膜厚0.12mm、平均孔径100μmの組織再生用組成物からなるスキャフォールドを得た。
α−CSの代わりにβ−CSを用い、β−CS/SER(重量比)を90/10にしたこと以外は、実施例2と同様の方法により膜厚0.12mm、平均孔径100μmの組織再生用組成物からなるスキャフォールドを得た。
α−CSの代わりにβ−CSを用い、β−CS/SER(重量比)を70/30にしたこと以外は、実施例2と同様の方法により膜厚0.12mm、平均孔径100μmの組織再生用組成物からなるスキャフォールドを得た。
α−CS/SER(重量比)を100/0にしたこと以外は、実施例1と同様の方法により膜厚0.15mm、平均孔径200μmのスキャフォールドを得た。
α−CSの代わりにβ−CSを用い、β−CS/SER(重量比)を100/0にしたこと以外は、実施例1と同様の方法により膜厚0.15mm、平均孔径200μmのスキャフォールドを得た。
α−CS/SER(重量比)を100/0にしたこと以外は、実施例2と同様の方法により膜厚0.12mm、平均孔径100μmのスキャフォールドを得た。
α−CSの代わりにβ−CSを用い、β−CS/SER(重量比)を100/0にしたこと以外は、実施例2と同様の方法により膜厚0.12mm、平均孔径100μmのスキャフォールドを得た。
1.広角X線回折(WAXD)測定
実施例4で得たスキャフォールドを折り畳み、大きさ10×3(mm)、厚さ0.1mmの試料を得、これをデシケータ中で十分に乾燥した。
乾燥後の試料を用いて、赤道線(β=0°)上についてWAXD強度測定を行なった。測定結果を図2に示す。また、セリシン粉末について同様のWAXD強度測定を行なった結果を図3に示す。
(測定条件)
装置:RINT2100(理学電機製)
X線:CuKα(Niフィルターろ過)
管電圧:40kV
管電流:20mA
走査範囲:2θ 3〜40°
スキャンスピード:1°/min
乾燥後の試料を用いて、WAXD写真を撮影した。その結果を図4に示す。
(測定条件)
装置:XC−40H(東芝製)
X線:CuKα(Niフィルターろ過)
管電圧:40kV
管電流:20mA
照射時間:6時間
コリメータ:0.5mm径
カメラ長:32mm
実施例1〜6及び比較例1〜4で得た各スキャフォールドをデシケータ中で十分に乾燥した後、FT−IR測定を行なった。また、キトサン粉末及びセリシン粉末について同様のFT−IR測定を行なった。測定結果を図5〜9に示す。
図6中、(c)は実施例3で得たスキャフォールドのFT−IR曲線、(d)は実施例4で得たスキャフォールドのFT−IR曲線、(e)は実施例5で得たスキャフォールドのFT−IR曲線、(f)は実施例6で得たスキャフォールドのFT−IR曲線をそれぞれ示す。
図7中、(g)は比較例1で得たスキャフォールドのFT−IR曲線、(h)は比較例2で得たスキャフォールドのFT−IR曲線、(i)は比較例3で得たスキャフォールドのFT−IR曲線、(j)は比較例4で得たスキャフォールドのFT−IR曲線をそれぞれ示す。
図8中、(k)はα−CSのFT−IR曲線、(l)はβ−CSのFT−IR曲線をそれぞれ示す。図9は、SERのFT−IR曲線を示す。
実施例1〜2で得たスキャフォールドの表面又は断面をE−101型イオンスパッタで金属(Au)蒸着した後、SEM観察した。なお、スキャフォールドの断面は、スキャフォールドを液体窒素中に10分程度入れた後、すばやく取り出してカッターで切断して形成された切断面である。なお、試料は、SEM観察前にデシケータ中で十分に乾燥した。測定結果を図10及び11に示す。図10中、(a)は実施例1で得たスキャフォールドの表面のSEM像(×100)であり、(b)は実施例1で得たスキャフォールドの断面のSEM像(×150)である。また、図11中、(a)は実施例2で得たスキャフォールドの表面のSEM像(×100)であり、(b)は実施例2で得たスキャフォールドの断面のSEM像(×150)である。
装置:S−2300(日立製作所製)
加速電圧:25kV
ワーキングdistance:25mm
(1)試料の作製
実施例1〜6及び比較例1で得たスキャフォールドを10×20(mm)程度の大きさに裁断し、それぞれを絆創膏のガーゼを剥がした粘着部に貼付し、絆創膏の4隅を切り取ったものを試料とした(図12参照)。
マウスの表皮を剥がすために、脱毛剤を背中に塗り肌が赤くなる状態まで脱脂綿で背中を擦った。その後、表皮を剥がした部分にカミソリで真皮に達する傷を3本入れた。
創傷部にスキャフォールドが接触するように、試料をマウスの体に巻付けた(図13参照)。創傷処理直後、3、6及び10日目に試料を剥がし創傷部の治癒状態を観察し、下記基準で評価した。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:傷や瘡蓋が見られず、綺麗に治癒している。
○:傷跡は見られないが、表面が少し荒れている。
△:傷跡が見られる。
×:傷が残っている。
創傷処理後10日目のマウスから創傷領域の皮膚を切り取り、それをホルマリンで固定した。そして、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色し、顕微鏡を用いて観察した。図17及び18に切り取った皮膚の断面写真を示す。図17中、(a)は皮膚断面を示す図であり、(b)は表皮を剥がした状態の皮膚断面を示す図であり、図18中、(a)は実施例1で得たスキャフォールドを接触させた皮膚断面を示す図であり、(b)は実施例2で得たスキャフォールドを接触させた皮膚断面を示す図であり、(c)はコントロールの皮膚断面を示す図である。
Claims (9)
- キトサン及びセリシンを含有し、多孔性であり、かつ50〜300μmの平均孔径を有する、組織再生用組成物。
- キトサンとセリシンとの含有割合が重量比で90〜60:10〜40である、請求項1記載の組織再生用組成物。
- 請求項1又は2記載の組織再生用組成物からなる、スキャフォールド。
- 請求項1又は2記載の組織再生用組成物からなる、創傷治癒剤。
- β−キトサン及びセリシンを含有する、組織再生用組成物。
- キトサンと、セリシンと、溶媒とを含有する混合溶液を凍結乾燥又は凍結ゲル化に供する、組織再生用組成物の製造方法。
- 混合溶液が酸成分を含む、請求項6記載の組織再生用組成物の製造方法。
- 凍結乾燥又は凍結ゲル化に供する前に混合溶液を予備凍結する、請求項6又は7記載の組織再生用組成物の製造方法。
- 凍結乾燥に供した後に凍結乾燥物を中和する、請求項7又は8記載の組織再生用組成物の製造方法。
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