JP5075782B2 - 自動車内装用表皮 - Google Patents

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本発明は、自動車内装用表皮に関し、さらに詳細には、触れた際の触感や風合いに優れ、かつ耐候性および耐熱性にも優れる自動車内装用表皮である。
一般に、自動車に用いられるステアリング、シート、ドア、インパネ、アシストグリップおよびグリップ類などの表皮には、触感、風合いが良好なポリウレタンが使用されている。特許文献1には、風合いが良好な合成皮革として、特定の基を含有する主剤と架橋剤とを反応させて得られるポリエステル系ポリウレタンまたはポリカーボネート系ポリウレタンを接着層として用いることが開示されている。そして、特許文献1には、上記接着層の上部に形成され、かつ高分子ジオールと有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤とを反応させて得られるポリエステル系ポリウレタンまたはポリカーボネート系ポリウレタンを含む表皮材を備える合成皮革が開示されている。
特開平2−33382号公報
しかしながら、特許文献1に記載の合成皮革は、表皮材としてポリエステル系ポリウレタンを用いた場合、風合いは良いものの、耐候性および耐熱性が不十分であるという問題がある。また、表皮材としてポリカーボネート系ポリウレタンを用いた場合、耐候性、耐熱性は確保されるが、材料が硬い為、触感が低下するという問題がある。したがって、特許文献1に記載の合成皮革は、自動車内装用表皮材として求められる性能を満たしていないという問題があった。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は触感、風合いに優れ、かつ耐候性および耐熱性にも優れる自動車内装用表皮を提供することである。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を積み重ねた。その結果、ポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方を含むポリウレタン湿式層と、ポリカーボネート系ポリウレタンを含む表皮層とを含む表皮が上記課題を解決しうることを見出した。そして、前記ポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量および数平均分子量を特定の範囲とし、さらに表皮層の最表面の表面粗さを特定の範囲とすることにより、触感、風合いに優れ、かつ耐候性および耐熱性にも優れる自動車内装用表皮が得られることを本発明者らは見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方を含む少なくとも1層のポリウレタン湿式層と、前記ポリウレタン湿式層の上部に形成され、ポリカーボネート系ポリウレタンを含む少なくとも1層の表皮層と、を含み、前記ポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量が1700〜50000であり、かつ数平均分子量が1500〜18500であり、前記表皮層の最表面の表面粗さがRaで20μm以下であり、かつSで500μm未満であることを特徴とする、自動車内装用表皮である。
本発明によれば、触感、風合いに優れ、かつ耐候性および耐熱性にも優れる自動車内装用表皮が提供されうる。
本発明は、ポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方を含む少なくとも1層のポリウレタン湿式層と、前記ポリウレタン湿式層の上部に形成され、ポリカーボネート系ポリウレタンを含む少なくとも1層の表皮層と、を含み、前記ポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量が1700〜50000であり、かつ数平均分子量が1500〜18500であり、前記表皮層の最表面の表面粗さがRaで20μm以下であり、かつSで500μm未満であることを特徴とする、自動車内装用表皮である。
図1は、本発明の自動車内装用表皮の一実施形態を示す断面図である。図1に示す形態の自動車内装用表皮10は、基布11の上部にポリウレタン湿式層12、前記ポリウレタン湿式層12の上部に形成される接着層13、および前記接着層13の上部に形成される表皮層(14、15)を有する。そして、前記ポリウレタン湿式層12はポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方を含み、前記表皮層(14、15)はポリカーボネート系ポリウレタンを含む。かような形態によれば、触れた際の触感や風合いが向上し、かつ耐候性、耐熱性にも優れる自動車内装用表皮となる。
以下、本発明の自動車内装用表皮を構成する層および材料について詳細に説明する。
[ポリウレタン湿式層]
本発明の自動車内装用表皮、少なくとも1層のポリウレタン湿式層を含み、前記ポリウレタン湿式層は、ポリエステル系ポリウレタンおよびポリエーテル系ポリウレタンの少なくとも一方を含む。かような構成とすることにより、触感および風合いに優れた表皮を得ることができる。
前記ポリエステル系ポリウレタンの重量平均分子量は、好ましくは120,000〜200,000である。また、前記ポリエーテル系ポリウレタンの重量平均分子量は、好ましくは120,000〜200,000である。なお、本発明において、前記重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)により測定した値を採用するものとする。
前記ポリエステル系ポリウレタンおよび前記ポリエーテル系ポリウレタンは、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
前記ポリウレタン湿式層の厚さは、好ましくは0.01〜3mmであり、より好ましくは0.1〜2.0mmである。該厚さが0.01mm未満では良好な触感が得られない場合があり、3.0mmを越えると、本発明の自動車内装用表皮の耐摩耗性が低下してしまう場合がある。
前記ポリウレタン湿式層は、その機能を損なわない範囲内において、他の成分を含んでもよい。前記他の成分の例としては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン、有機フィラー、無機フィラー、シリコーンオイル、顔料などが挙げられる。特に、該ポリウレタン湿式層がポリカーボネート系ポリウレタンを含むことにより、本発明の自動車内装用表皮の耐候性および耐熱性がより向上しうる。
[表皮層]
本発明の自動車内装用表皮は、少なくとも1層の表皮層を含み、前記表皮層は、ポリカーボネート系ポリウレタンを含む。かような構成とすることにより、耐候性および耐熱性に優れた自動車内装用表皮を得ることができる。
本表皮層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)は、1500〜50000であり、かつ数平均分子量(Mn)は、1700〜18500である。該重量平均分子量が1700未満であり、かつ該数平均分子量が1500未満である場合、耐候性および耐熱性が低下することにより、長時間経過後表皮の光沢が上がり外観が損なわれる。一方、該重量平均分子量が50000を超え、かつ該数平均分子量が18500を超える場合、濡れ性が悪くなり、均一な厚みで塗布できなくなり、その結果、良好な触感が得られなくなる。前記ポリカーボネート系ポリウレタンは、重量平均分子量が1500〜30000であり、かつ数平均分子量が1700〜12000であることが好ましい。
ポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量および数平均分子量が上記の範囲内にあれば、分子量分布の値(Mw/Mn)は、特に制限されない。なお、本発明において、前記数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)により測定した値を採用するものとする。
前記ポリカーボネート系ポリウレタンは、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
さらに、本表皮層の最表面の表面粗さは、Raで20μm以下であり、かつSで500μm未満である。表面粗さのRaおよびSをかような範囲とすることにより、触感および風合いが良好な表皮を得ることができる。該表面粗さは、Raが3〜20μmでありかつSが200〜500μmであることが好ましく、Raが5〜15μmでありかつSが200〜400μmであることがより好ましい。なお、本発明において、前記表面粗さのRaおよびSは、JIS B0601−1994の方法により測定した値を採用するものとする。
前記表面粗さのRaおよびSは、例えば、離型紙の種類を適宜選択することにより、前記の範囲に制御することができる。
前記表皮層は、その機能を損なわない範囲内において、他の成分を含んでもよい。前記他の成分の例としては、例えば、有機フィラー、無機フィラー、顔料、架橋剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
[基布]
本発明の自動車内装用表皮は、基布を含むことが好ましい。基布の具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール等の合成繊維;綿、麻等の天然繊維;レーヨン、スフ、アセテート等の再生繊維等の単独またはこれらの混紡繊維、あるいは少なくとも一成分を溶解除去したり、二成分繊維を分割したりすることにより極細繊維に変性された多成分繊維等からなる、織布、編布、不織布、三次元織物、または編物などである。基布は、片面または両面が起毛されていてもよい。用いられる基布の厚さは、特に制限されない。
[接着層]
前記ポリウレタン湿式層と前記表皮層とは、接着剤を介さずに直接積層してもよいし、無黄変型ポリカーボネート系ポリウレタンなどを含む接着層を介して積層してもよい。接着層を設けることにより、前記ポリウレタン湿式層と前記表皮層との接着力が増大する。接着層を設ける場合、該接着層の厚さは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは50〜200μmである。
上記のような構成を有する本発明の自動車内装用表皮の、200g荷重を与えた時のたわみ量は、好ましくは3.0mm以上であり、より好ましくは3.0〜5.0mmであり、さらに好ましくは3.0〜4.0mmである。たわみ量が3.0mm未満であると、表皮自体が硬くなり、触感、風合いが損なわれる場合がある。なお、本発明において、前記たわみ量は、後述の実施例に記載の方法により測定した値を採用するものとする。
また、上記のような構成を有する本発明の自動車内装用表皮の厚さは、好ましくは0.5〜3.5mmである。該厚さが上記範囲内にあれば、触れた際の触感・風合いが良好であり、かつ耐侯性・耐熱性にも優れた自動車内装用表皮が得られうる。
(製造方法)
本発明の自動車内装用表皮の製造方法は、特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。以下、本発明の自動車内装用表皮の製造方法の一例を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみに制限されるものではない。
まず、基布を準備する。基布の具体的な形態については上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
続いて、ポリウレタン湿式層を形成するための溶液を調製する。具体的には、ポリウレタン湿式層に含まれうる成分を所定量準備し、適量の有機溶媒に添加し、撹拌することにより溶液が調製される。すなわち、溶液には、ポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方、および必要に応じてポリカーボネート系ポリウレタン、無機フィラーなどが含まれうる。これら成分の具体的な形態については上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。溶媒の具体的な種類について特に制限はないが、具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒が挙げられる。また、本ポリウレタン湿式層がポリカーボネート系ポリウレタンを含む場合であって、かつポリカーボネート系ポリウレタンが溶液状の場合、ポリカーボネート系ポリウレタンの溶液に対して必要な成分を添加した溶液を用いてもよい。すなわち、ポリカーボネート系ポリウレタン溶液に対して、ポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方、およびその他必要な成分を添加して、所望の濃度となるように溶液を調製する。
溶液中のポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方の含有量は、5質量%以上であることが好ましい。
ポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方を含む溶液を調製した後、当該溶液を上記で準備した基布の表面に塗布する。この際、塗布方法は特に制限されず、例えば、スプレーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、フレキソコート法、スクリーンコート法、スピンコート法、フローコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロースコート法、コンマコート法、リップコート法、ダイコート法、ディップコート法、フローコート法、静電塗装法、浸漬法、はけ塗りなど従来公知の方法が適宜採用されうる。
塗布後は、水浴中で凝固および脱溶媒し、その後乾燥させ、ポリウレタン湿式層が形成される。前記の凝固および脱溶媒は、従来公知の湿式凝固法を適宜採用すればよい。例えば、凝固温度は20℃であることが好ましく、脱溶媒の温度は50℃であることが好ましい。乾燥に関しても、ヒーターロールなど従来公知の乾燥機を用いて乾燥すればよい。例えば、乾燥温度は90〜100℃が好ましく、乾燥時間は10〜15分が好ましい。
次いで、表皮層を形成するための溶液を調製する。具体的には、表皮層に含まれうる成分を所定量準備し、適量の溶媒に添加し、撹拌することにより溶液が調製される。すなわち、溶液には、重量平均分子量が1700〜50000であり、かつ数平均分子量が1500〜18500であるポリカーボネート系ポリウレタン、および必要に応じて無機フィラーなどが含まれうる。これら成分の具体的な形態については上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。溶媒の具体的な種類について特に制限はないが、具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、酢酸エチル、キシレンなどの溶媒が挙げられる。ポリカーボネート系ポリウレタンが溶液状である場合、ポリカーボネート系ポリウレタンの溶液に対して他の必要な成分を添加した溶液を用いてもよい。表皮層形成用の溶液中のポリカーボネート系ポリウレタンの含有量は、10〜40質量%であることが好ましい。
ポリカーボネート系ポリウレタンを含む溶液を調製した後、上記で形成したポリウレタン湿式層の上部に塗布し、乾燥させ、表皮層が形成される。この際の塗布方法および乾燥方法も特に制限されず、上記のポリウレタン湿式層の形成において例示されている従来公知の塗布方法および乾燥方法が適宜採用されうる。
ポリウレタン湿式層と表皮層との間に接着層を設ける場合は、ポリウレタン湿式層を形成後ポリウレタン湿式層の上部に接着層を形成するか、またはポリウレタン湿式層とは別途に用意した表皮層の上部に接着層を形成する。その後、形成された接着層とポリウレタン湿式層または表皮層とを、熱圧着などにより貼り合わせることによって、ポリウレタン湿式層と表皮層との間に接着層が備えられた形態の表皮が製造されうる。前記接着層は、例えばポリカーボネート系ポリウレタンを含む溶液を、スプレーコートなどの方法により塗布した後乾燥させることにより形成されうる。
本発明の自動車内装用表皮は、例えば、ステアリング、シート、ドア、インパネ、アシストグリップ、またはグリップ類などに好適に用いることができる。また、本発明の自動車内装用表皮は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の比較的強度および硬度の大きい熱可塑性樹脂から形成される成形品(インストパッド、ドアパネル、ピラー、コンソールボックスなど)の表皮としても用いることができる。本発明の自動車内装用表皮を有する成形品は、柔らかい風合いを有しうる。必要であれば、上記成形品と表皮との間に接着層を介在させて、成形品と表皮との接着力をより向上させてもよい。この際、例えば、樹脂成形品に適当なプライマー(たとえばクロロプレン系)を塗布、乾燥した後、接着剤を塗布すると樹脂成形品と表皮との接着力が向上し、より好ましい。
本発明の効果を、下記の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が、下記の実施例のみに制限されるわけではない。なお、ポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量および数平均分子量は、GPCを用い、下記表1に示す測定条件にて測定した。
ポリカーボネート系ポリウレタンをガラスの上に滴下後、オーブンを用いて80℃にて3分間、乾燥した。このポリウレタン8mgをTHF4mlに入れ、40℃で1時間加熱し溶解させ、0.2質量%THF溶液とした。この0.2質量%THF溶液を、200μlをカラムへ注入し、上記分析装置および検量線を用いて分子量を測定した。
(実施例1)
(1)ポリウレタン湿式層の形成
ポリエステルトリコット上に、ポリオール成分としてポリカーボネートとポリエステルとを含有した(100%モジュラス:5.5MPa)のポリウレタン(樹脂固形分:30質量%)のDMF溶液(樹脂固形分:15質量%)を、コンマコーターを用いて塗布した。その後、水中で凝固(凝固温度:20℃)し、脱溶媒(脱溶媒温度:50℃)を行った後、恒温槽(タバイ社製、STH−120)を用いて乾燥させ(乾燥温度:100℃、乾燥時間:5分)、厚さ200μmのポリウレタン湿式層を形成した。
(2)第1の表皮層および接着層の形成
絞付き離型紙(旭ロール株式会社製、品番:AR121DM、125M)上に、重量平均分子量が1780であり、かつ数平均分子量が1560であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:20質量%、100%モジュラス:5.5MPa)を、乾燥後の厚みが20μmとなるようにコンマコーターを用いて塗布した。その後、オーブンを用いて乾燥し(乾燥温度:100℃、乾燥時間:2分)、ポリカーボネート系ポリウレタンを含む表皮層を形成した。次に、形成した表皮層上に、重量平均分子量が1820であり、かつ数平均分子量が1640であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:70質量%)を、乾燥後の厚みが30μmとなるようにコンマコーターを用いて塗布した。その後、オーブンを用いて乾燥させ(乾燥温度:80℃、乾燥時間:1分)、接着層を形成した。
(3)乾式ラミネート
上記(1)で得られたポリウレタン湿式層と、上記(2)で得られたポリカーボネート系ポリウレタンを含む表皮層とを、(2)で形成した接着層を介して、120℃で196.1kPaの条件で熱圧着した。これを、40℃で48時間熟成して接着剤を固化させた後、離型紙を剥離した。
(4)第2の表皮層
さらに、グラビアコートにより重量平均分子量が1820であり、かつ数平均分子量が1640であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:14質量%)を、125メッシュのグラビアロールを用いて塗布した。その後、オーブンを用いて乾燥させ(乾燥温度:100℃、乾燥時間:2分)、第2の表皮層を形成し、評価用表皮を完成させた。
(実施例2)
ポリウレタン湿式層を、ポリオール成分としてポリカーボネート、ポリエステル、およびポリエーテルを含有するポリウレタン(樹脂固形分:26質量%、100%モジュラス:3.5MPa)を用いて形成し、かつ第2の表皮層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして評価用表皮を作製した。
(実施例3)
第2の表皮層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価用表皮を作製した。
(実施例4)
ポリウレタン湿式層を、ポリエステル系ポリウレタン(樹脂固形分:30質量%、100%モジュラス:2.0MPa)を用いて形成し、かつ第2の表皮層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価用表皮を作製した。
(実施例5)
ポリウレタン湿式層を、ポリエーテル系ポリウレタン(樹脂固形分:30質量%)を用いて形成し、かつ第2の表皮層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価用表皮を作製した。
(比較例1)
重量平均分子量が1600であり、かつ数平均分子量が1410であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:20質量%)、溶液に対して0.5質量%の量である光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Tinuvin(登録商標)292)、および溶液に対してそれぞれ0.5質量%の量である2種類の紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Tinuvin(登録商標)777およびTinuvin(登録商標)400)の混合物を用いて、第1の表皮層を形成した(厚み:20μm)。さらに、第2の表皮層を、重量平均分子量が1780であり、かつ数平均分子量が1410であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:18質量%)および溶液に対して0.5質量%の量である光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Tinuvin(登録商標)292)の混合物を用いて形成した(厚み:20μm)。これ以外は、実施例1と同様にして評価用表皮を作製した。
(比較例2)
重量平均分子量が1600であり、かつ数平均分子量が1410であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:20質量%)を用いて、第1の表皮層を形成した(厚み:20μm)。さらに、第2の表皮層を、重量平均分子量が1600であり、かつ数平均分子量が1410であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:18質量%)を用い、125メッシュのグラビアロールを用いて塗布した。これ以外は、実施例1と同様にして評価用表皮を作製した。
(比較例3)
ポリウレタン湿式層を、ポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:30質量%、100%モジュラス:3.5MPa)を用いて形成した。続いて、第1の表皮層を、重量平均分子量が1600であり、かつ数平均分子量が1410であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:20質量%)と、溶液に対して2質量%の量である光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Tinuvin(登録商標)292)との混合物を用いて形成した。さらに、第2の表皮層を、重量平均分子量が1780であり、かつ数平均分子量が1410であるポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:18質量%)を用いて形成した。これ以外は、実施例1と同様にして評価用表皮を作製した。
(比較例4)
ポリウレタン湿式層を、ポリカーボネート系ポリウレタン(樹脂固形分:30質量%、100%モジュラス:3.5MPa)を用いて形成した。これ以外は、実施例1と同様にして評価用表皮を作製した。
(比較例5)
絞付き離型紙としてAR157DM(旭ロール株式会社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、評価用表皮を作製した。
(触感の評価)
上記で作製した評価用表皮21、ウレタンPAD22、発泡スチロール23、ダンボール板24、およびステンレス板25をスプレーのりで貼りつけたものを木枠26にはめ込み、留め金27で留め、触感評価用サンプル20とした(図2および図3参照)。
触感は5名のパネラーにて基準サンプルを用いて、好き(10点)−嫌い(0点)とし官能評価で点数付けをした。基準サンプルは、日本、中国、米、ドイツ、イタリア、フランス6カ国で各60名、計360名にて好き−嫌いの官能評価を実施した20サンプルを用いた。
(定荷重を与えたときのたわみ量の評価)
評価用サンプル、評価装置、測定条件等は下記表2の通りとした。
評価は、圧子を表皮に0.5gf/cmで接触させた点をT0とし、圧子を表2の条件で表皮と200gf/cmで接触した点をTMとして計測し、T0−TMを算出した。
(表面粗さ)
表面粗さのRaおよびSは、下記表3に記載の測定方法で測定した。
JIS B0601−1994にて規定されている方法に準拠して、RaおよびSを測定した。
(耐候性試験)
耐候性試験は、下記表4に記載の方法で行った。
上記装置および条件下にサンプルを240hr放置後、サンプルを取り出し常温(23℃)にて24hr放置した。その後、サンプル表面のグロスおよびL値、a値、b値を計測した。初期品(耐候試験前)のグロス値およびL値、a値、b値についても計測し、耐候劣化後と初期品との差を算出した。グロス値およびL値、a値、b値の測定に用いた装置は下記表5の通りである。
(耐熱性試験)
オーブン槽内(雰囲気温度:110℃)にサンプルを240hr放置したサンプルを取り出し、常温(23℃)にて24hr放置後サンプル表面のグロスおよびL値、a値、b値を計測した。初期品(耐熱試験前)のグロス値およびL値、a値、b値についても計測し、熱劣化後と初期品との差を算出した。グロス値およびL値、a値、b値の測定に用いた装置は上記表5と同様である。
各実施例および比較例の評価用表皮を評価した結果を、下記表6に示す。
上記表6から明らかなように、本発明の自動車内装用表皮である実施例1〜5は、ポリウレタン湿式層にポリエステル系ポリウレタンおよびポリエーテル系ポリウレタンの少なくとも一方が含まれており、触感が官能評価で6.25以上の値を示した。これに対して、比較例4の表皮は、ポリエステル系ポリウレタンもポリエーテル系ポリウレタンも含まないため、触感が官能評価で5.65と悪い。さらに、実施例1〜5の表面粗さのRaはいずれも20.0μm以下であり、かつSは500μm未満となっており、触感が良い。比較例5は、表面粗さのRaが20.0μmを超えており、耐候性、耐熱性は良いが触感が官能評価で5.83と劣ることがわかる。
実施例1〜5は、表皮層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量が1700以上であり、かつ数平均分子量が1500以上である。さらに、実施例1〜5は、ポリウレタン湿式層にポリエステル系ポリウレタンおよびポリエーテル系ポリウレタンの少なくとも一方が含まれており、触感も良い。比較例1〜3は、触感は6.20以上で良いが、表皮層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタンの数平均分子量が1500未満であるため、耐候性、耐熱性ともに劣ることがわかる。比較例4はたわみ量(T0−TM)が3.0mm未満であり、耐候性、耐熱性は良いが、触感が5.65と劣ることがわかる。実施例1〜5の表皮の硬さ(T0−TM)は、いずれも3.0mm以上で触感が良い。
実施例2は、ポリウレタン湿式層にポリエステル系ポリウレタンおよびポリエーテル系ポリウレタンの両方が含まれており、たわみ量(T0−TM)が3.41と、実施例1、3と比較して大きい。また、実施例2は、表面粗さのSも実施例1、3、4、5と比較して小さく、表面粗さのRaも小さい。このため、触感が最も良いことがわかり、実施例2は、触感、風合いが良く、かつ耐候性および耐熱性に優れた本発明の最良の実施形態であることがわかる。
比較例1および3は、第1の表皮層に用いられるポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量および数平均分子量が、本発明の範囲から外れる例である。
本発明の自動車内装用表皮の一実施形態を示す断面概略図である。 自動車内装用表皮の触感の評価に用いるサンプルの構成を示す断面概略図である。 自動車内装用表皮の触感の評価に用いるサンプルを示す写真である。
符号の説明
10 自動車内装用表皮
11 基布
12 ポリウレタン湿式層、
13 接着層、
14 第1の表皮層、
15 第2の表皮層、
20 触感評価用サンプル
21 評価用表皮、
22 ウレタンPAD、
23 発泡スチロール、
24 ダンボール板、
25 ステンレス板、
26 木枠、
27 留め金。

Claims (2)

  1. ポリエーテル系ポリウレタンおよびポリエステル系ポリウレタンの少なくとも一方を含む少なくとも1層のポリウレタン湿式層と、
    前記ポリウレタン湿式層の上部に形成され、ポリカーボネート系ポリウレタンを含む少なくとも1層の表皮層と、
    を含み、
    前記ポリカーボネート系ポリウレタンの重量平均分子量が1700〜50000であり、かつ数平均分子量が1500〜18500であり、
    前記表皮層の最表面の表面粗さがRaで20μm以下であり、かつSで500μm未満であることを特徴とする、自動車内装用表皮。
  2. 200g荷重を与えた時のたわみ量が3.0mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装用表皮。
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