JP5075080B2 - 赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材 - Google Patents

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Description

この発明は、ポリウレタン樹脂製の赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材およびその製造方法に関する。
一般に、眼鏡用レンズ基材は、注型重合により製造され、その片側の表面に凸レンズ面が形成されていると共に、裏面は凹面状や平面状などに形成されており、眼鏡レンズとして所要のレンズ度数に調整するためには、表面は研削せずに裏面を研削し、必要に応じて機能性向上のためにコーティングが施される。
偏光眼鏡用レンズ基材は、上記のような眼鏡用レンズ基材に偏光膜(フィルム)を有する偏光素子を重ねた状態に一体化したものであり、偏光膜は、樹脂フィルムを一軸延伸すると共に偏光染料としてヨウ素等を含浸して調整されたものである。
注型重合法で偏光眼鏡用レンズ基材を製造するには、予め所要径のレンズ基材に合うリング状のガスケットの内周面に沿って所定の曲面状に予備成形された偏光フィルムを保持しておき、この偏光フィルムの上下に一対のモールドを配置してガスケットの内周に液密に嵌め入れ、モールド間の空隙(キャビティー)にモノマーを注入し、これを重合反応させて偏光素子と一体化させて成形している(特許文献1)。
ところで、眼鏡は視力の矯正ばかりでなく、有害な光線から眼の細胞を保護する上でも有用であり、多くのサングラスや遮光眼鏡などの保護具には紫外線の透過を阻止する紫外線吸収剤を含む紫外線吸収性眼鏡レンズが採用されている。
また、眼鏡用レンズにおける防除対象の有害な光線の種類としては、紫外線領域ばかりでなく赤外線領域も必要である。
因みに、赤外線のうち、眼に見えない波長780〜1300nmの電磁波を近赤外線といい、同じく眼に見えない1300nm〜2000nmの電磁波は、中赤外線と呼ばれている。それら波長域の浸透力は、皮膚下30mmにもおよび、特に近赤外線は角膜を透過してほとんど網膜まで達し、眼底を損傷させる可能性がある。
赤外線による熱傷の傾向としては、瞬間的に強い光を浴びる場合ばかりでなく、長時間をかけて少しずつ障害が蓄積される場合があり、例えば網膜障害を起こし、水晶体の白濁(白内障)を起こすなどの例がある。
赤外線の透過を阻止するための一般的な赤外線吸収色素、すなわち赤外線領域に吸収性のある色素(赤外線吸収剤とも称される)としては、アゾ系、アミニウム系、アンスラキノン系、シアニン系、ポリメチン系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、キノン系、ジイモニウム系、ジチオール金属錯体系、スクアリリウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系などが知られている。
このような赤外線吸収剤を、必要に応じて単独又は併用してバインダーとなる樹脂に分散させた樹脂組成物でもってコート層を形成するように溶剤含有コーティング液とし、これを塗布し乾燥させて赤外線吸収層を形成した赤外線吸収フィルターが知られている(特許文献2)。
前記したような赤外線吸収剤のうちの一部のものをポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの眼鏡用光学特性に優れた合成樹脂基材に対して0.001〜0.05重量%程度配合し、これを眼鏡用レンズとして形成されることが知られている(特許文献3)。
特開2001−311804号公報 特開2005− 43921号公報 特開2003−107412号公報(請求項2〜4、段落0013、0020、0022、0023)
しかし、上記した従来の眼鏡用レンズの技術では、赤外線吸収剤をレンズの表面にコーティングするには、本来の眼鏡用レンズの光学的特性を低下させないように、コーティングの層の厚さをできるだけ薄く形成しなければならず、そのようにすると所望の赤外線吸収性能を充分に確保できない。
また、汎用性のあるレンズに所望の赤外線吸収性能をもたせるための他の手段としては、赤外線吸収剤を熱可塑性樹脂材料に分散させ、この熱可塑性樹脂を熱溶融してレンズを成形することも可能ではあるが、レンズに光学的な歪が生じる場合があり、また樹脂中から異物を充分にろ過する事ができないので、高品位の眼鏡レンズに適した製法ではなかった。
眼鏡用の熱可塑性樹脂としては、透明性に優れるMMA(メチルメタアクリレート樹脂)やPC(ポリカーボネート樹脂)が選択的に採用されることが多いが、MMAは耐衝撃性の点で充分ではない。また、PCは所定分子量のものを採用すると耐衝撃性が高まるが、成形温度としては250℃以上が必要になり、その温度では赤外線吸収剤が劣化・分解してしまい、赤外線吸収性能と共に耐衝撃性を併有するレンズは得られない。
また、プラスチック製の眼鏡レンズ用の注型タイプの硬化型樹脂の代表的な樹脂であるCR−39や中屈折率樹脂(例えば、日本油脂製:コーポレックス、屈折率1.56)は、その成分としてアリルジグリコールカーボネートが含まれており、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(以下、IPPと略記する)を触媒として硬化する嫌気性熱硬化型樹脂であるが、使用する触媒のIPPは過酸化物であり、赤外線吸収剤は、そのような過酸化物と反応して劣化・分解し、所望の赤外線吸収性能を得ることは困難である。
また、チオウレタン樹脂は、イソシアネートとポリチオールを化合させた周知の高屈折率樹脂(例えば、三井化学社製:チオウレタン系樹脂MR−7、屈折率1.67)であるが、これに赤外線吸収剤を配合すると、イオウ系成分や触媒と反応して劣化・分解し、充分な赤外線防除効果が得られなかった。
また、赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材は、その構造上にも種々の問題点を有している。
例えば、図7に示すように、レンズ基材Bを構成する樹脂組成物の全体に赤外線吸収剤などの高価な機能性付与剤を添加して眼鏡レンズ基材を調製すると、所要のレンズ度数を得るために、レンズ基材は例えば図中に一点鎖線で示す表側部分bを残して、裏面の大部分b´が研削により除去される。これでは、せっかく添加した高価な機能性付与剤の殆どが研削屑として廃棄されることになり、機能性付与剤の利用効率が悪いという問題点がある。
また、レンズ度数に応じて厚さが径方向に異なる度付きレンズは、レンズ基材に当初から添加されている赤外線吸収剤などの機能性付与剤の単位面積当たりの量がレンズの厚みに応じて異なり、これでは所期した赤外線吸収性などの機能をレンズの位置に拘わらずに安定して発揮させることができないという問題点がある。また、赤外線吸収剤には、通常、色調があるため、一枚のレンズでも部分的な厚みに応じて色調の濃さに差が生じることにもなって、一定規格のレンズを安定的に製作するという高品質性を得る観点からも好ましくない。
通常の偏光レンズの製造方法によって、赤外線吸収剤などの機能性付与剤を含有する樹脂を偏光フィルムの両面に一度に注型成形すると、片面にレンズ度数調整の研削に用いる眼鏡用レンズ基材を形成する厚みの大きい層が形成され、他の片面には薄層を形成することになり、偏光フィルムの表裏それぞれの面について樹脂材料の注型成形時の流動速度の違いが生じ、偏光フィルムが捩れてガスケットから外れたり、反転したりし、また脈理と呼ばれる樹脂の密度の不均一な部分が生じて、レンズが均質でなく屈折率も不均一にとなり、透過光が揺らいでしまうような現象も起こるという問題点がある。
そこで、この発明の第一の課題は、上記した問題点を解決して、成形した赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材が、所要のレンズ度数を得るためにレンズ基材を切削加工する際に高価な赤外線吸収剤を研削屑として多量に無駄にすることなく、また赤外線吸収剤は成形時の熱で劣化や分解を起こすことなく、赤外線吸収性能を充分に示し、しかも赤外線吸収機能やレンズの色調は部分的にバラつくことなく安定した赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材とすることである。
また、上記のような優れた赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材を効率よく製造し、特に注型成形時に偏光フィルムがガスケットから外れたり、反転したり、不具合に移動したりせず、脈理と呼ばれる樹脂の密度の不均一が起こり難い製造方法とすることもこの発明の第2の課題である。
上記の第一の課題を解決するために、この発明においては、赤外線吸収剤を含有するポリウレタン樹脂で偏光フィルムの両面を被覆して形成される偏光素子と、赤外線吸収剤の含まれていないポリウレタン樹脂で形成されてレンズ度数調整の研削に用いる眼鏡用レンズ基材とを、ポリウレタン樹脂材料の重合反応を伴うインサート成形により前記眼鏡用レンズ基材の片面に前記偏光素子を重ねたように一体化してなる赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材としたのである。
上記したように構成されるこの発明に係る赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材は、偏光素子が赤外線吸収剤を含有するポリウレタン樹脂で偏光フィルムの両面を被覆して形成されているが、レンズ度数調整の研削に用いる眼鏡用レンズ基材には赤外線吸収剤が含まれていないため、レンズ度数を調整するために、眼鏡用レンズ基材の裏面を研削しても、眼鏡用レンズ基材の表側に重ねて設けられている偏光素子の赤外線吸収剤は無駄に研削除去されることなく、赤外線吸収剤の添加量に応じて効率よく機能を利用できる。
また、この発明の赤外線吸収性眼鏡用レンズは、ポリウレタン樹脂材料の重合反応を伴うインサート成形により前記眼鏡用レンズ基材の片面に前記偏光素子を重ねたように一体化したものであるが、赤外線吸収剤とポリウレタン樹脂組成物を組み合わせて採用したことにより、過酸化物などの添加剤(過酸化ベンゾイルなどの重合触媒、重合開始剤など)による赤外線吸収剤の機能劣化や可視光の透過率低下傾向が回避される。しかも比較的低温での成形が可能であり、従来技術のように250℃を超えるような高温で成形する必要もないので、加熱による赤外線吸収剤の機能劣化も回避される。
すなわち、ポリウレタン樹脂材料は、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物を反応させたプレポリマーを主要成分とし、硬化剤として芳香族ポリアミンを含有するポリウレタン樹脂材料である。
このような材料からなるポリウレタン樹脂組成物は、付加しやすいイソシアネート基を有する原子団が二官能化合物に付加して高分子が形成されるものであり、過酸化物系統の重合触媒や重合開始剤などが必要ではなく、また眼鏡レンズの注型成形およびその後の硬化には赤外線吸収剤の機能劣化がない。
赤外線吸収色素をポリウレタン樹脂組成物に添加するには、赤外線吸収色素が、波長780〜2500nmの範囲での赤外線の透過率の平均が80%以下、好ましくは30%以下に抑制できるように配合されている眼鏡用レンズとすることが好ましい。
また、これらの赤外線吸収性眼鏡用レンズの発明において、透明性に優れ、耐衝撃性に優れた眼鏡用レンズであるためには、ポリイソシアネートが、4,4´−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)またはイソホロンジイソシアネートである赤外線吸収性眼鏡用レンズとすることが好ましく、ポリヒドロキシ化合物が、平均分子量700〜1200のポリエーテルジオールもしくはポリエステルジオールまたはこれらの混合物であることが好ましく、さらに芳香族ポリアミンが、4,4´−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)であることが好ましい。
さらに優れた耐衝撃・赤外線吸収性眼鏡用レンズとするためには、ポリイソシアネートおよびポリヒドロキシ化合物の反応モル比(NCO/OH)が、2.5〜4.0でありかつ生成するポリウレタンプレポリマーのNCO含量が7.0〜14.0%となるようにポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物とを配合した上記の赤外線吸収性眼鏡用レンズとすることが好ましい。
偏光素子は、ポリウレタン樹脂材料で偏光フィルムの両面を同じ層厚に被覆形成された偏光素子であることが均質性を高めた注型成形のために好ましいが、レンズの設計上の都合により各層厚を個々に設定する場合があるのは勿論である。
赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材を製造し、前記した第二の課題を解決するには、赤外線吸収色素を含有しないポリウレタン樹脂でレンズ度数調整のための研削に用いる眼鏡用レンズ基材を成形した後、眼鏡レンズ成形型内に前記成形された眼鏡用レンズ基材をインサートすると共に、前記眼鏡用レンズ基材のレンズ面と眼鏡レンズ成形型内面とが対向するキャビティーに偏光フィルムをその表裏両面に層状の間隙が形成されるようにインサートし、次いで赤外線吸収色素を含有するポリウレタン樹脂材料を前記層状の間隙を埋めるように眼鏡レンズ成形型内に注型成形し、この注型成型によって偏光素子を形成すると共にポリウレタン樹脂材料の重合反応により前記偏光素子と前記眼鏡用レンズ基材とを重ねたように一体化させる。
または、偏光フィルムの表裏両面が赤外線吸収色素を含有するポリウレタン樹脂材料で被覆された偏光素子を成形した後、この偏光素子を眼鏡レンズ成形型内にインサートして前記偏光素子とレンズ成形型との間隙に赤外線吸収剤の含まれていないポリウレタン樹脂材料を注型成型し、この注型成型によってレンズ度数調整のための研削に用いる眼鏡用レンズ基材をポリウレタン樹脂材料の重合反応により前記偏光素子に重ねたように一体化させることからなる赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材の製造方法を採用することもできる。
この発明は、赤外線吸収剤を含有するポリウレタン樹脂で偏光フィルムを被覆して形成される偏光素子と、赤外線吸収剤の含まれていないポリウレタン樹脂で形成された眼鏡用レンズ基材とを、ポリウレタン樹脂材料の重合反応を伴うインサート成形により前記眼鏡用レンズ基材の片面に前記偏光素子を重ねたように一体化したので、成形した赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材に、所要のレンズ度数調整のために、レンズ基材を切削しても高価な赤外線吸収剤を研削屑として無駄に消費する量が少なく、また赤外線吸収剤の劣化や分解を起こすことなく優れた赤外線吸収性能を示すものとなる。
しかも、このものは添加された赤外線吸収機能がレンズの部位ごとの厚さによってバラつくことなく安定して作用し、また赤外線吸収による色調の濃さがレンズの厚さによって差が生じることのないものであるから、高品質の赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材となる利点もある。
また、赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材の製造方法に係る発明では、上記した利点のある赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材を製造できる利点があると共に、所定のキャビティーに偏光フィルムをその表裏両面に層状の間隙が形成されるようにインサートして、赤外線吸収色素を含有するポリウレタン樹脂材料を層状の間隙を埋めるように眼鏡レンズ成形型内に注型成形するので、偏光フィルムの表裏両面にほぼ同程度の厚さの樹脂層が形成されやすく、そのために注型成形時に偏光フィルムの表裏両面にウレタン樹脂材料の流動速度が一定になり、偏光フィルムがガスケットから外れ難く、反転し難く、または不具合に移動せず、また脈理と呼ばれる樹脂の密度の不均一も起こり難い製造方法となる利点がある。
また、偏光素子を眼鏡レンズ成形型内にインサートして前記偏光素子とレンズ成形型との間隙に赤外線吸収剤の含まれていないポリウレタン樹脂材料を注型成型する方法では、上記したような利点のある赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材を効率よく製造できる利点があり、さらに予めフィルムの表裏両面が赤外線吸収色素を含有するポリウレタン樹脂材料で同じ厚さの層で被覆された偏光素子を成形することが容易にできるため、偏光フィルムがモールドやガスケットから外れ難く、反転し難く、または不具合に移動せず、また脈理と呼ばれる樹脂の密度の不均一が起こり難い製造方法となる利点もある。
この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
図1〜3に示すように、赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材Aに係る発明の実施形態は、赤外線吸収剤を含有するポリウレタン樹脂で偏光フィルム2の両面を被覆して形成される偏光素子3と、赤外線吸収剤の含まれていないポリウレタン樹脂で形成されて凹レンズ面1b側が度数調整の研削に用いる眼鏡用レンズ基材1とを、ポリウレタン樹脂材料の重合反応を伴うインサート成形により眼鏡用レンズ基材1の片面の凸レンズ面1aに偏光素子3を重ねたように一体化してなるものである。
偏光フィルム2は、周知製法に従って得られるが、例えばポリビニルアルコール製フィルムにヨウ素もしくはヨウ素化合物または染料を含浸等によって含ませ、一軸延伸したものを採用することが好ましい。
偏光フィルム2の両面をポリウレタン樹脂組成物で被覆する際には、偏光フィルム2をカーブ付き成形型内に予め挿入してインサート成形を行なうか、または偏光フィルム2の両面にシート状のポリウレタン樹脂組成物をラミネートしてもよく、必要に応じて接着剤を介在させても良い。
偏光素子3の構成材料となるポリウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物を反応させて得られるプレポリマーと、硬化剤である芳香族ポリアミンとが付加重合反応したポリウレタン樹脂を主要成分とし、赤外線吸収剤を含有する組成物を採用できる。
赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材Aを製造するには、まず、図2、3に示すように、レンズ度数調整のための研削に用いる眼鏡用レンズ基材1を赤外線吸収色素の含有されていないポリウレタン樹脂組成物で成形する。
このような眼鏡用レンズ基材1または偏光素子3をポリウレタン樹脂で成形するには、 キャスト法を採用することができる。この方法の大略を説明すると、レンズを成形するために凹型と凸型の対のモールドを、ガスケットを介して液密に嵌め合わせ、前記対のモールドの間に形成されるキャビティーにプレポリマーと硬化剤である芳香族ポリアミンの混合物を注入し、重合および硬化させる。
なお、リング状のガスケットを介して凹型と凸型のモールドを嵌め合わせる際に、前記ガスケット内に偏光フィルムを予めインサートしておく。そして、モールドまたはガスケットに形成した注入孔から樹脂原料のモノマーを、偏光フィルムの両面に沿って流れるように注入して樹脂で覆い、それを重合および硬化させる。
詳細に説明すると、ポリウレタン樹脂材料は、例えばポリイソシアネートおよびポリヒドロキシ化合物をこれらの反応モル比(NCO/OH)が2.5〜4.0となるように配合して得られたNCO含量7.0〜14.0%のポリウレタンプレポリマーと芳香族ポリアミンとを反応モル比(NCO/NH2)が1.10〜0.90となるように配合したポリウレタン樹脂組成物を調製することが好ましい。
赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材の製造方法の発明に係る第1実施形態では、先ず赤外線吸収色素を含有しないポリウレタン樹脂でレンズ度数調整のための研削に用いる眼鏡用レンズ基材1を成形した後、偏光眼鏡レンズ成形型内に前記成形された眼鏡用レンズ基材1をインサートする。
眼鏡用レンズ基材1は、ポリウレタン樹脂組成物を、図2の断面形状に示されるメニスカス状凹部4が形成された円盤状の下部成形型5と、凸レンズの上面を形成する上部成形型6とを組み合わせて構成される金型におけるメニスカス状レンズ基材形成用のキャビティー内に注型成形する。
次に、図3に示すように成型後に取り出された眼鏡用レンズ基材1は、次に図4、5に示すインサート成形用のガスケット7および上部モールド9を具備する型に挿入する。その際には、眼鏡用レンズ基材1を下部用のモールドとして代用することが可能である(下部用のモールドを別途備えても良い)。そして、レンズ面1aと眼鏡レンズ成形型である上部モールド9の内面9bとが対向する層状のキャビティーに偏光フィルム2をその表裏両面に層状の間隙が形成されるように挿入する。
すなわち、図4、5に示すように、インサート成形用の型は、リング状のガスケット7の内周下部に予め製造した眼鏡用レンズ基材1を隙間なく整合させて嵌め入れ、眼鏡用レンズ基材1の上方に例えば約1mmの間隔を開けて偏光フィルム2をインサートする。この際、眼鏡用レンズ基材1の上面に沿うように予備成形された偏光フィルム2は、リング状のガスケット7の内周面中央部に周方向へ延びる環状突部7aに保持させている。
なお、眼鏡用レンズ基材1は、その周囲に段差状の切り込みを切削形成し、ガスケット7の内周下部に整合させている。
さらに、その偏光フィルム2の上方には、例えば約1mmの間隔を開けて球冠面を内側にした円盤状の上部モールド9をガスケット7の内周上部に液密に嵌め合せて保持している。
ガスケット7対して眼鏡用レンズ基材1および上部モールド9を固定するには、図中鎖線で示すクリップを用いて上下から挟んで弾性的に加圧しておくことが好ましく、適宜に保護素材を介在させて部品を保護しておくことも好ましい。
このように構成されたインサート成形用の型を用いて、眼鏡用レンズ基材1の上方に形成された層状の空間内にプレポリマーと硬化剤の混合物をゲート7bから注入する。このようにして、ポリウレタン樹脂材料の重合反応を伴うインサート成形により偏光フィルム2の表面をポリウレタン樹脂組成物で被覆すると共に、眼鏡用レンズ基材1上に例えば1〜2mmの間隙を開けて配置した偏光フィルムに接する間隙をポリウレタン樹脂組成物で埋め、偏光素子3を眼鏡用レンズ基材1と一体化させて、図1に示される赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材を製造する。
このようにして得られた赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材は、レンズ基材1に赤外線吸収剤等を含有しないので、レンズ基材1がレンズ度数の調整のために研削されたとしても赤外線吸収剤は無駄に研削屑として削られることがなく、また赤外線吸収機能はレンズの厚みが中央部分と周囲部分とで異なっても影響されることなく均等に発揮される。そのため、添加された赤外線吸収剤の機能が安定して添加効率よく発揮される眼鏡用レンズ基材となる。
図6に示すように、赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材の製造方法に係る発明の第2実施形態としては、偏光フィルム2の表裏両面が赤外線吸収色素を含有するポリウレタン樹脂材料で被覆された偏光素子3を成形した後、この偏光素子3をガスケット7および下部モールド8を備えた眼鏡レンズ成形型内にインサートして上部モールドの代用とし、偏光素子3と下部モールド8との間隙に赤外線吸収剤の含まれていないポリウレタン樹脂材料を注型成型し、この注型成型によってレンズ度数調整のための研削に用いる眼鏡用レンズ基材1をポリウレタン樹脂材料の重合反応により前記偏光素子に重ねたように一体化させる製法を採用したものである。
偏光素子3の成形を前述した図5を利用して説明する。予め準備した下部モールドをガスケット7に装着する。次に上方と下方に例えば1mmの間隔を開けて偏光フィルム2をインサートする。次に、上部モールド9をガスケット7に装着する。偏光フィルム2は、ガスケット内周方向に延びる環状凸部7aに保持される。
次いで、プレポリマーと芳香族ポリアミンとの混合物をゲート7bから注入する。このようにして、ポリウレタン樹脂材料の重合反応を伴うインサート成形により偏光フィルム2の表裏両面を同じ厚さのポリウレタン樹脂組成物層で被覆し、偏光素子3を形成する。
次に、図6に示すように、偏光素子3をガスケット7および下部モールド8を備えた眼鏡レンズ成形型内にインサートする。この際、偏光素子3は上部モールドの代用となり、図外のクリップを用い、適宜に保護素材を介して偏光素子3と下部モールド8を上下から挟んで弾性的に加圧固定する。
その後、偏光素子3と下部モールド8との間に形成されるキャビティーに赤外線吸収剤の含まれていないポリウレタン樹脂材料をゲート7bから注型成型し、この注型成型によってレンズ度数調整のための研削に用いる眼鏡用レンズ基材1を偏光素子3に重ねたように一体化させ、図1に示される赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材を製造する。
上記した実施形態に用いた赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材の製造に用いる材料について、以下に詳細に説明する。
ポリウレタン樹脂材料に用いるポリイソシアネートは、脂環式ジイソシアネートである4,4′−メチレンビス(シクロへキシルイソシアネート)又はイソホロンジイソシアネートが好ましい。
ポリイソシアネートとして、上記以外のものとして、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、水添XDl、ノルボルナンジイソシアネート等があるが、これらを使用すると、得られるウレタン樹脂のポットライフが充分に長くならない。
この発明に使用するポリヒドロキシ化合物は、平均分子量700〜1200のポリエーテルジオール又はポリエステルジオール及びその混合物である。
ポリエーテルジオールとしては、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリオキシテトラメチレングリコールや他のポリエーテルジオールが使用できる。またポリエステルジオールとしては、公知の各種ポリエステルが使用できるが、1,4−ブタンジオール
アジペート、1,6−へキサンジオールアジペートが好ましい。
ジイソシアネートと反応して得られるプレポリマーの粘度は、ポリエーテルジオールからのプレポリマーの方が低く注型作業に有利である。従ってこの発明に使用するポリヒドロキシ化合物としては、ポリエーテルジオールが特に好ましい。
また、硬度や耐薬品性を向上させるために分子量300以下の脂肪族ポリオールを併用してもよい。脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類を挙げることができる。
この発明に用いることが好ましい芳香族ポリアミンの代表例としては、芳香族ジアミンがあり、特に成型上のポットライフが長くて好ましい点で4,4′−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)が挙げられるが、他の周知な芳香族ポリアミンも使用可能である。芳香族ポリアミンを用いてポットライフが短い場合には、速やかに成型作業を行なうなどの留意が必要である。
前記した周知な芳香族ジアミンの例としては、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエンなどの芳香族単環系ジアミン、または芳香族多環系ジアミンである4,4´メチレン-ビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4´メチレン-ビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4´メチレン-ビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、4,4´メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4´メチレン-ビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4´メチレン-ビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)などが挙げられる。
この発明においてポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物とを反応させて得られるプレポリマーを製造する場合、反応モル比(NCO/OH)は2.5〜4.0であることが好ましく、得られるプレポリマーのNCO含量は7.0〜14.0%とすることが好ましい。反応モル比とNCO含量がこの範囲より小さいと、プレポリマー粘度が高くなり過ぎて偏光素子の注型作業が困難となり、偏光眼鏡用レンズ基材の硬度も低くなって好ましくない。また、上記範囲より大きいと硬化物性が悪くなって好ましくない。
この発明のプレポリマーと芳香族ポリアミンとの混合モル比(NCO/NH2)は、1.10〜0.90であり、周知の硬化処理条件を採用できる。
赤外線吸収剤としては、波長780〜2500nmの範囲に渡って赤外線を吸収する赤外線吸収剤を選定すればよく、周知の赤外線吸収色素を採用できるが、例えば下記のようなものを使用することが好ましい。
(1) N,N,N´,N´−テトラキス(p-置換フェニル)-p−フェニレンジアミン類、ベンジジン類及びそれらのアルミニウム塩、ジイモニウム塩からなる赤外線吸収剤。
(2) N,N,N´,N´−テトラアリールキノンジイモニウム塩類。
(3) ビス−(p-ジアルキルアミノフェニル)〔N,N-ビス(p-ジアルキルアミノフェニル)p-アミノフェニル〕アミニウム塩。
また、必要に応じて使用できる紫外線吸収剤としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
(1) 2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
(2) 4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン
(3) 2−2´−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
これらの紫外線吸収剤を用いる際には、波長の長いUV−A(315〜400nm)と波長の短いUV−B(280〜315nm)とそれ以下のUV−C(100〜280nm)の全ての紫外線を吸収させることが好ましい。
たとえば溶接光の青色炎を消す為には、波長380〜450nmを吸収する必要があり、偏光フィルムと赤外線吸収剤を使用する場合は、染料を入れなくても吸収するが、偏光フィルムを使用しない場合には、樹脂に青色を吸収する黄色染料、橙染料、赤染料及びそれらの混合物を使用する。
そして、眼鏡用レンズをブラウン系の色調にするには、黄色染料、橙色染料、赤色染料等やこれらの混合物を使用する。
偏光フィルムに染色する場合には、水溶性の染料を選択し、ウレタン樹脂を染色する場合には油溶性の染料が適している。
染料の種類としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、硫化染料、分散染料、油溶染料などがあるが、堅牢性の優れた染料を使用する事が望ましい。
赤外線吸収剤の添加量は、レンズを構成する材料(耐衝撃性ウレタン)100重量部に対して、通常0.05〜10重量部、遮光保護具以外の用途に使用する場合には好ましくは0.1〜1.0重量部の範囲が適している。遮光保護具の場合には必要とする赤外線吸収性能に合わせて添加すればよい。
紫外線吸収剤の添加量は、レンズを構成する材料(耐衝撃性ウレタン)100重量部に対して、0.01〜4重量部、好ましくは0.1〜4.0重量部、より好ましくは0.2〜0.5重量部の範囲が適している。
この発明の眼鏡レンズは、少なくとも波長380〜780nmの範囲の可視光線を透過し、透過率は1%〜75%の範囲で、遮光保護具以外では10%〜40%の範囲が好ましい。
紫外線波長(100nm〜380nm)については、0.1%未満、好ましくは0.02未満で透過しない方が適している。また、紫外線吸収剤を添加することにより赤外線吸収剤の屋外使用での耐久性が向上する。
赤外線波長(780nm〜2500nm)については、平均透過率として80%以下、好ましくは30%以下が好ましく、ファッション性を重視するなどの需要者の要望に応じて平均透過率を高く調整することもできる。但し、溶接作業などにおいて使用される遮光保護具用については、規定される規格に基づくので、この限りではない。
遮光保護具以外に使用する場合は、ファッション性を考慮して色調を好みに合わすようにするが、波長380〜550nm領域の平均光線透過率(A%)と波長550〜780nm領域の平均光線透過率(B%)との比が、A/B≦0.3であるレンズの色調に赤外線吸収剤を添加して色調を調整するようにした方が好ましい。
また眼鏡用レンズの色調は、種々の好みに対応できるが、赤外線吸収剤は緑色を呈しているものが多いので、ある程度の制約があり、赤外線吸収性能とファッション性を考慮して選択すればよい。
眼鏡用レンズには、ハードコート処理することも可能である。シリコン系化合物などを含む溶液にレンズを浸漬する事により強化被膜を形成させて表面硬度を向上させる方法である。また、防曇処理、反射防止処理、耐薬品性処理、帯電防止処理、ミラー処理、撥水処理などを施して更に性能をアップさせてやる事も可能である。
このようにして製造される眼鏡用レンズは、赤外線、紫外線の有害な光線の透過を抑制するので、太陽光線の極めて強い場所での使用にも適し、目の弱い者が使用しても、有害光線による眼の損傷を防止できる。
また、溶接作業のように眼に対して有害な紫外線、強烈な可視光線、赤外線が生じる作業には遮光保護具の着用を義務付けられている。その作業状態によりJIS T 8141に使用基準が定められているが、赤外線吸収剤や色材の添加量を調節する事により利用可能な遮光レンズも作製可能である。
この発明における好ましい調整例による眼鏡用レンズとすれば、有害光線による眼の障害(以下の5種類)を確実に防止できる。
(1)紫外線UV−B,Cによる角膜、結膜への障害
(2)紫外線UV−Aによる水晶体への障害
(3)青色光による網膜への光化学的障害
(4)可視光線、近赤外線による角膜、水晶体への障害
(5)近・中赤外線による角膜、水晶体への障害
次に、上記のようにして得られる赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材について、赤外線吸収性の劣化がないかどうかを調べた。
以下の実施例および比較例において、全ての「部」及び「%」は特に断りのない限り、「重量部」及び「重量%」である。
[プレポリマーの製造]
温度計、攪拌機、窒素シール管を備えた500mlセパラブルフラスコに、平均分子量1014のポリオキシテトラメチレングリコール(保土谷化学工業製:PTG−1000N)200部をとり、窒素気流中で攪拌しながら加熱し、100〜110℃/3〜5mmHgの減圧下で1時間脱水した。脱水後4,4´−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)(住友バイエルウレタン製:デスモジュールW)170部を添加し、120〜130℃で2時間反応してプレポリマーを製造した。得られたプレポリマーは無色透明液体であり、NCO含量9.9%、粘度8600mPa・s/30℃,750mPa・s/60℃であった。
[眼鏡用レンズ基材の製造例]
得られたプレポリマーの100重量部を70℃に加熱してから、120℃で溶融した4,4´−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)31.4重量部と混合脱泡した。この混合物を100℃で予備加熱したモールドに注入し、100℃で24時間加熱硬化し、眼鏡用レンズ基材を製造した。この時の混合モル比(NCO/NH2)は1.0であった。
[偏光素子の製造例]
レッド系色調(コパー30)のポリビニルアルコール製の偏光フィルムを偏光素子用の成形型内に予め挿入し、次いで成型材料を注入するインサート成型を行なった。その際に、上記した眼鏡用レンズ基材用の成型材料(混合物)において、赤外線吸収剤のジイモニウム系化合物(日本化薬社製:IRG−022)を0.13重量部添加したこと以外は全く同様にして偏光素子を製造した。得られた偏光素子の(厚さ約2.0mm)の近赤外分光チャートを図8に示した。
図8の結果から波長780〜2500nmの範囲での赤外線の透過率の平均を算出すると3.93%(波長780〜1700nmの範囲での赤外線の透過率の平均を調べると2.27%)であり、赤外線吸収剤の劣化などがなく、所期した優れた赤外線吸収性能を有する偏光素子が得られたことがわかる。
[偏光素子の比較製造例1]
高屈折率樹脂(三井化学製:チオウレタン系樹脂MR−7、屈折率1.67)100重量部に対して、赤外線吸収剤のジイモニウム系化合物(日本化薬社製:IRG−022)を0.13重量部添加し、レッド系色調(コパ−15)のポリビニルアルコール製の偏光フィルムをサンドイッチして注型成形して偏光素子を製造した。得られた偏光素子(レンズ厚さ約2.4mm)の近赤外分光チャートを図9に示した。
図9の結果から波長780〜2500nmの範囲での赤外線の透過率の平均を調べると47.70%(波長780〜1700nmの範囲での赤外線の透過率の平均を調べると70.26%)であり、赤外線吸収剤がイオウ系成分と反応して劣化したため、所期した赤外線吸収性能が得られていないことがわかる。
[偏光素子の比較製造例2]
母材の樹脂としてアリルジグリコールカーボネート(CR−39)100重量部に対して、赤外線吸収剤のジイモニウム系化合物(日本化薬社製:IRG−022)を0.13重量部添加し、レッド系色調(コパー30)のポリビニルアルコール製の偏光フィルムをサンドイッチして注型成形して偏光素子を製造した。得られた偏光素子(レンズ厚さ約2.0mm)の近赤外分光チャートを図10に示した。
図10の結果から波長780〜2500nmの範囲での赤外線の透過率の平均を調べると58.20%(波長780〜1700nmの範囲での赤外線の透過率の平均を調べると81.47%)であり、赤外線吸収剤が過酸化物触媒のIPPと反応し、劣化・分解して所期した赤外線吸収性能が得られていないことがわかる。
以上のようにポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物を反応させたプレポリマーと、芳香族ポリアミンとが付加重合反応したポリウレタン樹脂に赤外線吸収剤を添加して成形した偏光素子は、優れた赤外線吸収性能を示し、これをレンズ基材と一体化されるように複合成型した場合にも赤外線吸収剤の劣化や分解などは起こらないことがわかる。
実施例を示す赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材の断面図 眼鏡用レンズ基材の成形型を示す断面図 眼鏡用レンズ基材の断面図 赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材のガスケットを示す平面図 第一実施形態の製造法を示し、図4のV-V線断面のガスケットおよびモールドを示す断面図 第二実施形態の製造法を示し、ガスケットおよびモールドを示す断面図 従来例を示す赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材の断面図 偏光素子の製造例の近赤外分光チャート 偏光素子の比較製造例1の近赤外分光チャート 偏光素子の比較製造例2の近赤外分光チャート
符号の説明
1 眼鏡用レンズ基材
1a 凸レンズ面
1b 凹レンズ面
2 偏光フィルム
3 偏光素子
4 メニスカス状凹部
5 下部成形型
6 上部成形型
7 ガスケット
8 下部モールド
9 上部モールド
A 赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材
B 従来例の赤外線吸収性眼鏡用レンズ基材

Claims (6)

  1. 赤外線吸収色素を含有しないポリウレタン樹脂でレンズ度数調整のための研削に用いる眼鏡用レンズ基材を成形し、眼鏡レンズ成形型内に前記成形された眼鏡用レンズ基材をインサートすると共に、前記眼鏡用レンズ基材のレンズ面と眼鏡レンズ成形型内面とが対向するキャビティーに偏光フィルムをその表裏両面に層状の間隙が形成されるようにインサートし、赤外線吸収色素を含有するポリウレタン樹脂材料を前記層状の間隙を埋めるように眼鏡レンズ成形型内に注型成形し、この注型成型によって偏光素子を形成すると共にポリウレタン樹脂材料の重合反応により前記偏光素子と前記眼鏡用レンズ基材とを重ねたように一体化させてなる赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材。
  2. ポリウレタン樹脂材料が、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物を反応させたプレポリマーを主要成分とし、硬化剤として芳香族ポリアミンを含有するポリウレタン樹脂材料である請求項1に記載の赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材。
  3. ポリウレタン樹脂材料が、ポリイソシアネートおよびポリヒドロキシ化合物の反応モル比(NCO/OH)が、2.5〜4.0でありかつ生成するポリウレタンプレポリマーのNCO含量が7.0〜14.0%となるようにポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物とを配合したポリウレタン樹脂材料である請求項2に記載の赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材。
  4. 偏光フィルムが、ポリビニルアルコール樹脂製の延伸フィルムにヨウ素またはヨウ素化合物を含浸した偏光フィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材。
  5. 偏光素子が、ポリウレタン樹脂で偏光フィルムの両面を同じ層厚に被覆形成された偏光素子である請求項1〜4のいずれかに記載の赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材。
  6. 赤外線吸収色素を含有しないポリウレタン樹脂でレンズ度数調整のための研削に用いる眼鏡用レンズ基材を成形した後、眼鏡レンズ成形型内に前記成形された眼鏡用レンズ基材をインサートすると共に、前記眼鏡用レンズ基材のレンズ面と眼鏡レンズ成形型内面とが対向するキャビティーに偏光フィルムをその表裏両面に層状の間隙が形成されるようにインサートし、次いで赤外線吸収色素を含有するポリウレタン樹脂材料を前記層状の間隙を埋めるように眼鏡レンズ成形型内に注型成形し、この注型成型によって偏光素子を形成すると共にポリウレタン樹脂材料の重合反応により前記偏光素子と前記眼鏡用レンズ基材とを重ねたように一体化させることからなる赤外線吸収性偏光眼鏡用レンズ基材の製造方法。
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