JP5074067B2 - 不審物監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、監視空間内の不審物を監視する不審物監視装置に関する。
近年、銀行等に設置された自動取引装置に小型カメラを不正に設置して暗証番号入力操作を盗撮したり、スキミング装置を不正に設置してカード情報を盗み取ったりする犯罪が問題となっている。このため、このような犯罪による被害を防ぐために自動取引装置に設置された不審物を検出して通報することが求められている。
特許文献1には、画像処理により放置物等を検出すると共に、放置物等が検出された画像を表示することによって、警備員による迅速な対応を可能とする技術が開示されている。
特開平10−285586号公報
ところで、小型カメラやスキミング装置等の不審物は自動取引装置と似た色で偽装されることが多いため、これらを撮像した画像において自動取引装置の部分と不審物の部分との輝度差は小さい場合が多い。自動取引装置の筐体自体のコントラストが強かったり、自動取引装置の一部に光が当たってコントラストが強められたりした場合、監視空間を撮像するカメラの輝度のダイナミックレンジが不足して自動取引装置の部分と不審物の部分との輝度差はより小さくなる。
しかしながら、従来技術においては、不審物のこのような特徴に着目し、画像内での輝度差が小さくなる状況を考慮した処理は考えられておらず、偽装された不審物を検出したり、また、不審物が撮像された画像から監視員が不審物を確認したりすることが困難であった。そのため、不審物を検出し損ねたり、不審物への対応が遅れたりするおそれがあった。
また、露光量の異なる複数の画像を撮像し、これらの画像を合成した合成画像を生成することにより輝度のダイナミックレンジを広げた画像を得る技術も知られている。
しかしながら、不審物が検出された際に、異なる露光量で撮像した複数の画像を表示したとしても、監視員が複数の画像の中から不審物を写し出した領域を迅速かつ確実に確認することは難しく、不審物への対応の遅れや不審物の見落としを引き起こすおそれがあった。
また、露光量の異なる複数の画像を合成画像とすることにより輝度の分解能は低下する。例えば、それぞれが256階調で表現された複数の画像から256階調で表現された合成画像を生成した場合、合成前の画像において256階調で表現されていた情報は合成画像において256階調未満で表現される。そのため、合成画像を不審物の検出や表示に用いたとしても、不審物を検出し損ねたり、不審物への対応が遅れたりするおそれがあった。
本発明は、上記課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであって、監視空間内の不審物をより確実に監視することを可能とする不審物監視装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの態様は、監視空間に設置された不審物を監視する不審物監視装置であって、複数の露光条件において前記監視空間の画像を順次撮像する撮像手段と、前記撮像手段において前記複数の露光条件で撮像された画像から時間的な変化を変化領域としてそれぞれ抽出する画像変化抽出手段と、前記画像変化抽出手段において前記複数の露光条件で撮像された画像毎に抽出された変化領域の画像内での位置に基づき、前記複数の露光条件で撮像された画像の変化領域をグルーピングし、前記グルーピングされた変化領域を統合した画像領域が所定の面積以上である場合に不審物によるものとする不審物検出手段と、不審物によるものとされた前記グルーピングされた変化領域を統合した画像領域内の変化領域の寄与度を前記複数の露光条件で撮像された画像毎に求め、前記複数の露光条件で撮像された画像のうち前記寄与度が最も大きい露光条件にて撮像された画像を選択する画像選択手段と、前記画像選択手段において選択された画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記画像選択手段は、不審物によるものとされた前記グルーピングされた変化領域に含まれる前記複数の露光条件で撮像された画像毎の変化領域の面積の割合を前記寄与度として求めることが好適である。
また、前記画像選択手段は、前記不審物検出手段において不審物によるものとされた前記グルーピングされた変化領域を統合した画像領域が複数検出された場合、当該画像領域毎に前記画像毎の前記寄与度を求め、前記画像領域毎に前記画像のうち前記寄与度が最も大きい露光条件にて撮像された画像を選択するものとしてもよい。
また、前記グルーピングされた変化領域を示す図形を求める図形抽出手段をさらに備え、前記表示手段は、前記画像選択手段において選択された画像に前記図形抽出手段において求めた図形を重ね合わせて表示することが好適である。
また、前記監視空間に人が存在するか否かを検出する人体検出手段をさらに備え、前記人体検出手段において人が検出された後に人が検出されなくなった場合のみに、前記画像変化抽出手段、前記不審物検出手段、前記画像選択手段及び前記表示手段における処理を実行することが好適である。
本発明によれば、監視空間内の不審物をより確実に監視することができる。
本発明の実施の形態における不審物監視システム1は、図1に示すように、不審物監視装置2、コントローラ4、センタ装置6及び表示部7を含んで構成される。コントローラ4は、少なくとも1つの不審物監視装置2とLAN等の情報伝達手段3によって情報伝達可能に接続される。また、コントローラ4とセンタ装置6とは電話回線やインターネット等の情報伝達手段5によって情報伝達可能に接続される。
不審物監視装置2は、監視空間を撮像し、その監視画像を画像処理して不審物を検知する。また、不審物監視装置2は、例えば、不審物が検知された場合に監視画像を含む通報情報をコントローラ4へ出力する。不審物監視装置2は、自動取引装置を含む監視空間を望む天井等に設置する。例えば、自動取引装置の操作面を撮像できる位置に取り付けることが好ましい。不審物監視装置2の詳しい構成は後述する。
コントローラ4は、不審物監視装置2とセンタ装置6とを中継する装置である。コントローラ4は、不審物監視装置2が設置された施設内に設置される。コントローラ4は、不審物監視装置2が送出した通報情報を受信し、その通報情報をセンタ装置6へ転送する通信部、現在の時刻を計時する計時部、センタ装置6の電話番号やネットワークアドレス及びコントローラ4自体を識別する識別子等を予め記憶した記憶部、及び、これら各部を統合的に制御する制御部を含んで構成される。コントローラ4は、不審物監視装置2から通報情報を受信すると、その通報情報に現在の時刻やコントローラ4自体の識別子を付加し、センタ装置6の電話番号やネットワークアドレスを用いてセンタ装置6との通信を確立して通報情報を転送する。
センタ装置6は、警備会社等に設置されるホストコンピュータである。センタ装置6は、コントローラ4からの通報情報を受信する通信部、通報情報から監視画像等の情報を抽出して表示部7へ出力させる等の制御を行う制御部を含んで構成される。
表示部7は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等で構成される。表示部7は、センタ装置6から監視画像等の情報を受けて、これらの情報を監視員が確認できる態様で表示する。
以下、不審物監視装置2の構成について、図2の機能ブロック図を参照しつつ説明する。
露光制御部20は、高速度・標準速度・低速度の3種類のシャッター速度にて撮像する指示を示す制御信号を予め設定された周期で撮像部21へ出力する。なお、露光制御部20は、後述する信号処理部22に含めてもよい。
撮像部21は、CCD素子やC−MOS素子等の撮像素子、光学系部品、アナログ/デジタル変換器等を含んで構成される所謂監視カメラである。撮像部21は、露光制御部20から予め設定された周期で入力される制御信号に応じて、高速度・標準速度・低速度の3種類のシャッター速度にて監視空間の画像を撮像し、その監視画像を信号処理部22へ出力する。このようにして、ほぼ同時に同一の監視空間を異なる露光量で撮像した3種類の監視画像が所定時間おきに信号処理部22に入力される。
以下、高速度・標準速度・低速度の3種類のシャッター速度にて撮像された監視画像をそれぞれ低露光画像、標準露光画像及び高露光画像と称する。低露光画像は高輝度の領域において高露光画像及び標準露光画像よりも高い輝度分解能を有し、高露光画像は低輝度の領域において低露光画像及び標準露光画像よりも高い輝度分解能を有する。本実施の形態は、これら複数の露光条件で撮像された監視画像を用いて不審物の検出処理を行うことによって、盗撮カメラやスキミング装置等の自動取引装置とのコントラストが低い不審物を確実に検出しようとするものである。
記憶部23は、ROMやRAM等のメモリ装置で構成される。記憶部23は、信号処理部22からアクセス可能に接続される。記憶部23は、各種プログラムや各種設定を予め記憶する。これら各種プログラムや各種設定は、信号処理部22より読み出されて使用される。また、記憶部23は、信号処理部22における画像処理にて生成される画像情報や各種情報を適宜格納する。これら画像情報等も信号処理部22により読み出されて使用される。
信号処理部22は、CPU、DSP、MCU、IC等の演算回路を含んで構成される。信号処理部22は、撮像部21、記憶部23及び出力部24と情報伝達可能に接続される。信号処理部22は、人体検出手段220、基準画像生成手段221等の信号処理部22に含まれる各手段における処理を記述したプログラムを記憶部23から読み出して実行することにより信号処理手段として機能する。信号処理部22は、撮像部21から入力される低露光画像、標準露光画像及び高露光画像を画像処理して監視空間における異常を検出する。信号処理部22は、異常が検出されると異常検知信号を出力部24へ出力すると共に、異常が検出された監視画像及びその監視画像における異常な領域の視認性を高める情報を出力部24へ出力する。
出力部24は、コンピュータをネットワークや電話回線に接続するためのインターフェースを含んで構成される。出力部24は、コントローラ4を介して、信号処理部22から出力される異常検知信号や監視画像等の情報をセンタ装置6へ送信し、センタ装置6から指示等を受信するために用いられる。
以下、不審物監視装置2における処理について、図2の機能ブロック図及び図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
不審物監視装置2に電源が投入されると、撮像部21は監視空間の撮像及び出力を開始する。また、信号処理部22は記憶部23から各種プログラム及び各種設定を読み出して図3のフローチャートに示す処理を開始する。
監視画像による基準画像の初期化が終わると、信号処理部22は、撮像部21から所定時間おきに監視画像が入力されるのに応じて、フローチャートに示す画像処理を繰り返し行う。この繰り返しをサイクルと称する。
ステップS300では、信号処理部22は、撮像部21から低露光画像、標準露光画像及び高露光画像の3つの露光条件で撮像された監視画像を取得し、これらの監視画像を記憶部23に格納する。記憶部23は、これらの監視画像を少なくとも2サイクルの間保持するように循環的な記憶を行う。
ステップ305では、人体検出手段220において監視空間における人の存在を検出する処理を行う。人体検出処理では、低露光画像、標準露光画像及び高露光画像の少なくとも1つの時間的な変化を検出し、その変化領域の特徴に基づいて人が写し込まれているか否かを判定する。例えば、低露光画像、標準露光画像及び高露光画像の少なくとも1つの時間的な変化領域の大きさが所定の面積よりも大きい場合に人が写し込まれていると判断する。
本実施の形態では、現サイクルの標準露光画像の各画素の輝度値と1サイクル前の標準露光画像の対応する画素の輝度値との差分値(差の絶対値)を算出し、その差分値が予め設定された閾値以上の画素数を求める。その画素数が予め設定された基準画素数以上である場合に「人体あり」とし、そうでない場合に「人体なし」と判定する。
ステップS310では、人の検出結果に基づいて処理を分岐させる。信号処理部22は、1サイクル前の検出結果が「人体なし」であり、かつ、現サイクルの検出結果が「人体なし」の場合にはステップS315に処理を移行させ、1サイクル前の検出結果が「人体あり」であり、かつ、現サイクルの検出結果が「人体なし」の場合にはステップS320に処理を移行させ、現サイクルの検出結果が「人体あり」の場合には現サイクルの処理を終了させる。
また、信号処理部22は、ステップS305の人体検出結果を記憶部23に記憶させる。判定結果は、少なくとも1サイクル以上の間、記憶部23に記憶される。
このように、本実施の形態では、「人体あり」から「人体なし」へ変化したときのみ不審物検出処理を実行する。これは、監視空間には人により不審物が持ち込まれるので、人がいなくなった後に不審物の検出処理を行うことが好ましいからである。
ステップS315では、基準画像生成手段221において基準画像の更新処理が行われる。基準画像が前回更新されてから所定の時間以上(例えば5分以上)経過していれば、撮像部21から新たに取得した監視画像により記憶部23に記憶されている基準画像を更新する。このとき、低露光画像を低露光基準画像とし、標準露光画像を標準露光基準画像とし、高露光画像を高露光基準画像として記憶部23に記憶させる。ステップS310の判断により、これらの基準画像は人体も不審物も写し出していない画像となっている。基準画像の更新処理後、現サイクルの処理を終了させる。
ステップS320では、低露光画像変化抽出手段222において低露光画像から変化領域の抽出が行われる。まず、現サイクルの低露光画像の各画素の輝度値と、記憶部23に格納されている低露光基準画像の対応する画素の輝度値との差分値(差の絶対値)を算出し、その差分値が所定の変化閾値以上の画素の画素値を1、そうでない画素の画素値を0とした2値画像を生成する。
変化閾値は、検出対象である不審物による画像変化を検出し損ねることがない程度の値とする。例えば、事前の実験等により変化閾値を設定することが好適である。
次に、求められた2値画像に対してフィルタリング処理等を施し、他の画素と孤立している画素値が1の画素をノイズとして除去する。このノイズ除去後の2値画像を低露光差分画像とする。生成された低露光差分画像は記憶部23に記憶される。
ステップS325では、標準露光画像変化抽出手段223において標準露光画像から変化領域の抽出を行い、標準露光差分画像を生成する。ここでの処理は、低露光画像に代えて標準露光画像を用い、低露光標準画像に代えて標準露光基準画像を用いる他はステップS320の処理と同様に行うことができる。
ステップS330では、高露光画像変化抽出手段224において高露光画像から変化領域の抽出を行い、高露光差分画像を生成する。ここでの処理は、低露光画像に代えて高露光画像を用い、低露光標準画像に代えて高露光基準画像を用いる他はステップS320の処理と同様に行うことができる。
ステップS320からS330にて生成された差分画像は、各露光条件で撮像された監視画像において各基準画像に対する有意な輝度変化があった位置の情報を画素値が1の画素として含んでいる。
一般的に、低露光差分画像に含まれる画像変化の情報は高輝度な輝度範囲において他の差分画像より高感度であり、高露光差分画像に含まれる画像変化の情報は低輝度な輝度範囲において他の差分画像より高感度であり、標準露光差分画像に含まれる画像変化の情報は中程度の輝度範囲において他の差分画像より高感度である。
ステップS335では、統合判定手段225において、低露光差分画像、標準露光差分画像、高露光差分画像の画像変化の情報を統合して、監視空間に異常が発生しているか否かを判定すると共に、異常が発生している画像領域を特定する。また、異常が発生している場合、異常発生を示す情報と異常が発生している画像領域の情報を含む信号を生成する。
まず、低露光差分画像、標準露光差分画像、高露光差分画像において互いに対応する画素同士の論理和を演算して合成画像を生成する。合成画像は、低露光差分画像、標準露光差分画像、高露光差分画像における画像変化の情報の論理和であるので、高輝度な輝度範囲から低輝度な輝度範囲までの全輝度範囲において高感度な画像変化の情報を含む。
次に、合成画像において画素値が1の画素のうち隣接する画素の画素値も1である画素同士をまとめて1つの変化領域としてグルーピングする。さらに、得られた各変化領域のうち面積(画素数)が予め設定された閾値以上である変化領域に各々を識別するラベル(識別番号等)を割り当てる。閾値は検出しようとする最小の大きさの不審物の面積(例えば1cm四方)に相当する値として設定しておく。
また、ラベル付けされた各変化領域の外形を表す図形を求める。本実施の形態では、各変化領域の外形を表す図形として各変化領域に外接する矩形を求める。例えば、変化領域に含まれる画素のうち画像の横方向(X方向)に一番小さい座標に位置する画素から一番大きい座標に位置する画素までの横幅を有し、各変化領域に含まれる画素のうち画像の縦方向(Y方向)に一番小さい座標に位置する画素から一番大きい座標に位置する画素までの高さを有する矩形を変化領域毎に求める。求められた外接矩形のデータ(例えば、矩形の対角にあたる2つの頂点の座標)は対応する変化領域に関連付けられて記憶部23に保存される。
続いて、合成画像にラベル付けされた変化領域が存在していれば「不審物あり」、すなわち異常発生と判断し、そうでなければ「不審物なし」、すなわち正常と判断する。
ステップS340では、異常発生と判断されたか否かに基づいて処理の分岐を行う。ステップS340において異常発生と判断された場合にはステップS345へ処理を移行させ、そうでない場合には現サイクルの処理を終了する。
ステップS345では、低露光画像寄与度算出手段226において、各変化領域に対する低露光差分画像の寄与の割合を示す低露光画像寄与度を算出する。すなわち、低露光画像寄与度算出手段226では、統合判定手段225により異常が検出された各変化領域に対する低露光画像変化抽出手段222で抽出された画像変化の寄与の割合を低露光画像寄与度として算出する。
本実施の形態では、統合判定手段225により異常が検出された各変化領域において低露光画像変化抽出手段222で抽出された画像変化が占める領域の割合を低露光画像が異常の判定に寄与した度合いを示す低露光画像寄与度として算出する。具体的には、統合判定手段225において生成された合成画像における各画素と、低露光画像変化抽出手段222において生成された低露光差分画像の対応する画素と、の画素値の論理積を算出し、統合判定手段225で生成された合成画像に含まれるグルーピングされた変化領域毎に論理積画像において画素値が1である画素数を計数し、その計数値を各変化領域に対する低露光画像寄与度とする。
変化領域毎に求められた低露光画像寄与度は、変化領域に割り当てられたラベルに対応付けられて出力画像選択手段229へ出力される。
ステップS350では、標準露光画像寄与度算出手段227において、各変化領域に対する標準露光差分画像の寄与の割合を示す標準露光画像寄与度を算出する。すなわち、ステップS345における低露光画像の寄与度の代わりに標準露光画像の寄与度を求める。標準露光画像寄与度算出手段227では、統合判定手段225により異常が検出された各変化領域に対する標準露光画像変化抽出手段223で抽出された画像変化の寄与の割合を標準露光画像寄与度として算出する。
本実施の形態では、統合判定手段225により異常が検出された各変化領域において標準露光画像変化抽出手段223で抽出された画像変化が占める領域の割合を標準露光画像が異常の判定に寄与した度合いを示す標準露光画像寄与度として算出する。具体的な算出処理は、低露光差分画像の代わりに標準露光差分画像を用いる他はステップS350における処理と同様である。変化領域毎に求められた標準露光画像寄与度は、変化領域に割り当てられたラベルに対応付けられて出力画像選択手段229へ出力される。
ステップS355では、高露光画像寄与度算出手段228において、各変化領域に対する高露光差分画像の寄与の割合を示す高露光画像寄与度を算出する。すなわち、ステップS345における低露光画像の寄与度の代わりに高露光画像の寄与度を求める。高露光画像寄与度算出手段228では、統合判定手段225により異常が検出された各変化領域に対する高露光画像変化抽出手段224で抽出された画像変化の寄与の割合を高露光画像寄与度として算出する。
本実施の形態では、統合判定手段225により異常が検出された各変化領域において高露光画像変化抽出手段224で抽出された画像変化が占める領域の割合を高露光画像が異常の判定に寄与した度合いを示す高露光画像寄与度として算出する。具体的な算出処理は、低露光差分画像の代わりに高露光差分画像を用いる他はステップS350における処理と同様である。変化領域毎に求められた高露光画像寄与度は、各変化領域に割り当てられたラベルに対応付けられて出力画像選択手段229へ出力される。
ステップS360では、出力画像選択手段229において、低露光画像寄与度、標準露光画像寄与度及び高露光画像寄与度に基づいて異常検出に最も寄与した監視画像を選択する。出力画像選択手段229では、ステップS335において統合判定手段225で求めた変化領域毎に、低露光画像寄与度、標準露光画像寄与度及び高露光画像寄与度のうち最も高い寄与度である監視画像を選択する。
例えば、ラベル1で特定される変化領域について低露光画像寄与度、標準露光画像寄与度及び高露光画像寄与度のうち低露光画像寄与度が最も高かった場合にはその変化領域については低露光画像が選択される。同様に、他のラベルで特定される変化領域についても、低露光画像寄与度、標準露光画像寄与度及び高露光画像寄与度のうち低露光画像寄与度が最も高かった場合にはその変化領域については低露光画像を選択し、標準露光画像寄与度が最も高かった場合にはその変化領域については標準露光画像を選択し、高露光画像寄与度が最も高かった場合にはその変化領域については高露光画像を選択する。変化領域毎に選択された画像は、各変化領域に割り当てられたラベルに対応付けて記憶部23に格納する。
ステップS365では、ステップS360で変化領域毎に選択された画像がセンタ装置6へ送信される。信号処理部22は、各変化領域のラベルに対応付けられた監視画像及び外接矩形のデータを記憶部23から読み出し、低露光画像、標準露光画像及び高露光画像についてそれぞれ選択された画像としてラベルに関連付けられた変化領域があればその変化領域に対して外接矩形を描画した画像を生成する。
例えば、ラベル1及び2で特定される変化領域に対して低露光画像が選択されている場合、低露光画像におけるラベル1及び2で特定される変化領域にラベル1及び2に対応付けられている外接矩形を重ね合わせた画像を生成する。これにより、ラベル1及び2で特定される2つの変化領域が外接矩形で囲まれるように強調された低露光画像が生成される。同様に、ラベル3〜5で特定される変化領域に対して標準露光画像が選択されている場合、標準露光画像におけるラベル3〜5で特定される変化領域にラベル3〜5に対応付けられている外接矩形を重ね合わせた画像を生成する。これにより、ラベル3〜5で特定される変化領域が外接矩形で囲まれるように強調された標準露光画像が生成される。ラベル6で特定される変化領域に対して高露光画像が選択されている場合、高露光画像におけるラベル6で特定される変化領域にラベル6に対応付けられている外接矩形を重ね合わせた画像を生成する。これにより、ラベル6で特定される変化領域が外接矩形で囲まれるように強調された高露光画像が生成される。
このように、低露光画像、標準露光画像、高露光画像のそれぞれについて、寄与度が最も高いものとして関連づけられている総ての変化領域が外接矩形によって1つの画像に強調表示されるように画像を生成する。もちろん、どの変化領域にも対応付けられていない監視画像については外接矩形を重畳させる処理を行う必要はない。
続いて、信号処理部22は、異常発生の旨を示す情報、外接矩形を描写した監視画像、各監視画像が低露光画像、標準露光画像、高露光画像のいずれであるかを示す識別子を含む通報情報を生成する。外接矩形を描画した監視画像が複数生成されていた場合には、通報情報にこれら複数の監視画像を含める。このとき、各監視画像と対応付けられた変化領域の面積(合成画像において当該変化領域としてグルーピングされた画素の数)の合計値を算出し、合計値の大きい監視画像ほど通報情報内でのデータの並び順を前にする。信号処理部22は、生成した通報情報を出力部24へ出力する。出力部24は、通報情報をコントローラ4へ送出する。
コントローラ4は、出力部24から通報情報を受信すると、通報情報を所定のプロトコルに適合させる処理を施し、インターネットや電話回線を介してセンタ装置6へ転送する。より具体的には、コントローラ4は、不審物監視装置2から通報情報を受信すると、その通報情報に現在の時刻やコントローラ4自体の識別子を付加し、センタ装置6の電話番号やネットワークアドレスを用いてセンタ装置6との通信を確立して通報情報を転送する。
ステップS370では、センタ装置6側にて表示部7に異常があったときの監視画像を表示する。センタ装置6は、コントローラ4から送信された通報情報を受信すると、その通信情報から異常発生の旨を示す情報、監視画像、監視画像の種別を表す識別子を抽出し、これらの情報を表示部7に表示させる。通報情報に複数の監視画像を含まれている場合、センタ装置6は、まず、データの並び順が1番前の監視画像を表示部7に表示させ、その後、表示切替指示に応じてデータの並び順に従い表示部7に表示させる監視画像を切り替える。
表示される監視画像は、少なくとも不審物として検出された変化領域の少なくとも1つについて寄与度が最も高いと判定された画像であり、その画像の中に不審物らしい変化領域を囲む外接矩形が重ね合わせて描画されているので、監視員等が表示された監視画像から不審物の存在を視認し易いものとなっている。また、各監視画像がそれぞれ低露光画像、標準露光画像、高露光画像のいずれであるかを示す識別子も併せて表示されるので監視員は監視空間がどのような状況で撮像されたのかを把握することができ、それぞれの露光条件に応じて特に注意すべき箇所を把握し易い。さらに、通報情報に複数の監視画像が含まれている場合、変化領域の面積が大きい監視画像を優先して表示するので、監視員は大きな変化、すなわち、重大な異常をいち早く確認することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、複数の監視空間内の不審物をより確実に監視することができる。すなわち、複数の露光条件において撮像された監視空間の画像を用いることによって、高輝度範囲から低輝度範囲まで広範囲に亘って高い輝度分解能を維持したまま不審物を検出することができる。したがって、比較的コントラストが低く写し込まれる不審物であってもより確実に検出することができる。
なお、本実施の形態では、低露光画像、標準露光画像及び高露光画像の3つの露光条件で撮像された画像から不審物の検出を行ったがこれに限定されるものではなく、2つ以上の露光条件で撮像された画像を用いることによって効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、撮像部21のシャッター速度を制御することにより露光条件を変更し、露光量の異なる複数種類の監視画像を撮像するものとしたが、しぼり量又はシャッター速度としぼり量の両方を制御することにより露光条件を制御するものとしてもよい。
また、本実施の形態では、低露光画像変化抽出手段222、標準露光画像変化抽出手段223、高露光画像変化抽出手段224において、差分を算出することにより変化領域を抽出するものとしたがこれに限定されるものではなく、背景画像と監視画像との相関を演算することによっても変化領域を抽出することができる。
また、本実施の形態では、低露光画像寄与度算出手段226、標準露光画像寄与度算出手段227及び高露光画像寄与度算出手段228において、統合判定手段225により異常が検出された各変化領域において各露光条件における画像変化が占める領域の割合に基づいて寄与度を算出するものとしたがこれに限定されるものではない。
例えば、同時に複数の不審物が設置されることがなく、1つの監視画像に複数の変化領域が同時に出現し難い監視対象であれば、各露光条件における差分画像における総画素数に占める画素値が1の画素の数の割合を寄与度としてもよい。
また、低露光画像変化抽出手段222、標準露光画像変化抽出手段223及び高露光画像変化抽出224における2値化処理を行わず、低露光画像、標準露光画像及び高露光画像の多値画像を参照して、異常と判定された変化領域内の画素の画素値を足し合わせた累積画素値、又は、画素値の平均値を寄与度として処理を行ってもよい。また、異常検出の指標となる種々の画像の特性値に基づいて寄与度を算出してもよい。
また、本実施の形態では、静止物体である不審物を検出するための画像監視システムについて例示したが、侵入者等の移動物体を検出する画像監視システムにおいても同様に画像変化に基づいて異常を検出することができる。
また、ステップS365において信号処理部22は、低露光画像、標準露光画像及び高露光画像のそれぞれに寄与度が最も高いとして関連づけられた総ての変化領域の外接矩形を描画する処理を行ったが、これに限定されるものではない。
別の態様としては、変化領域の1つ1つについて別々の表示用画像を生成するものが挙げられる。すなわち、ラベル1で特定される変化領域に対して低露光画像が選択されている場合、低露光画像におけるラベル1で特定される変化領域に対応する領域にラベル1に対応付けられている外接矩形を重ね合わせた画像を生成する。また、ラベル2で特定される変化領域に対して低露光画像が選択されている場合、低露光画像におけるラベル2で特定される変化領域に対応する領域にラベル2に対応付けられている外接矩形を重ね合わせた画像を生成する。このように、変化領域毎に外接矩形により強調された表示用の画像を生成し、センタ装置6へ送信し、表示部7に表示させるものとしてもよい。
なお、本実施の形態では、不審物監視装置2、コントローラ4、センタ装置6及び表示部7を別々の装置として説明したが、これらは適宜組み合わせてもよい。すなわち、不審物監視装置2、コントローラ4、センタ装置6及び表示部7は、一般的なコンピュータをプログラムにより制御することによって実現できるものであり、これらの装置の各機能を適宜組み合わせて1つのコンピュータで処理させてもよいし、各機能をネットワーク等で接続された複数のコンピュータで分散処理させてもよい。
本発明の実施の形態における不審物監視システムの構成をブロック図である。 本発明の実施の形態における不審物監視装置の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の実施の形態における不審物監視システムにおける処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 不審物監視システム、2 不審物監視装置、3 情報伝達手段、4 コントローラ、6 センタ装置、7 表示部、20 露光制御部、21 撮像部、22 信号処理部、23 記憶部、24 出力部、220 人体検出手段、221 基準画像生成手段、222 低露光画像変化抽出手段、223 標準露光画像変化抽出手段、224 高露光画像変化抽出手段、225 統合判定手段、226 低露光画像寄与度算出手段、227 標準露光画像寄与度算出手段、228 高露光画像寄与度算出手段、229 出力画像選択手段。

Claims (5)

  1. 監視空間に設置された不審物を監視する不審物監視装置であって、
    複数の露光条件において前記監視空間の画像を順次撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段において前記複数の露光条件で撮像された画像から時間的な変化を変化領域としてそれぞれ抽出する画像変化抽出手段と、
    前記画像変化抽出手段において前記複数の露光条件で撮像された画像毎に抽出された変化領域の画像内での位置に基づき、前記複数の露光条件で撮像された画像の変化領域をグルーピングし、前記グルーピングされた変化領域を統合した画像領域が所定の面積以上である場合に不審物によるものとする不審物検出手段と、
    不審物によるものとされた前記グルーピングされた変化領域を統合した画像領域内の変化領域の寄与度を前記複数の露光条件で撮像された画像毎に求め、前記複数の露光条件で撮像された画像のうち前記寄与度が最も大きい露光条件にて撮像された画像を選択する画像選択手段と、
    前記画像選択手段において選択された画像を表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とする不審物監視装置。
  2. 請求項1に記載の不審物監視装置であって、
    前記画像選択手段は、不審物によるものとされた前記グルーピングされた変化領域に含まれる前記複数の露光条件で撮像された画像毎の変化領域の面積の割合を前記寄与度として求めることを特徴とする不審物監視装置。
  3. 請求項1又は2に記載の不審物監視装置であって、
    前記画像選択手段は、前記不審物検出手段において不審物によるものとされた前記グルーピングされた変化領域を統合した画像領域が複数検出された場合、当該画像領域毎に前記画像毎の前記寄与度を求め、前記画像領域毎に前記画像のうち前記寄与度が最も大きい露光条件にて撮像された画像を選択することを特徴とする不審物監視装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の不審物監視装置であって、
    前記グルーピングされた変化領域を示す図形を求める図形抽出手段をさらに備え、
    前記表示手段は、前記画像選択手段において選択された画像に前記図形抽出手段において求めた図形を重ね合わせて表示することを特徴とする不審物監視装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の不審物監視装置であって、
    前記監視空間に人が存在するか否かを検出する人体検出手段をさらに備え、
    前記人体検出手段において人が検出された後に人が検出されなくなった場合のみに、前記画像変化抽出手段、前記不審物検出手段、前記画像選択手段及び前記表示手段における処理を実行することを特徴とする不審者監視装置。
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