JP5073906B2 - 結合性組成物及び結合複合品 - Google Patents
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- BZXRSPKYBWCTFB-QINHGIQPSA-N CC/C=C\C=C/C(C)(C)/C=C\C[NH+]([NH-])NC=[IH]=C Chemical compound CC/C=C\C=C/C(C)(C)/C=C\C[NH+]([NH-])NC=[IH]=C BZXRSPKYBWCTFB-QINHGIQPSA-N 0.000 description 1
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- C09J—ADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
- C09J4/00—Adhesives based on organic non-macromolecular compounds having at least one polymerisable carbon-to-carbon unsaturated bond ; adhesives, based on monomers of macromolecular compounds of groups C09J183/00 - C09J183/16
Description
背景
ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレン(たとえば、TEFLONTM)のような低表面エネルギー基材を接着結合するための効率的かつ効果的な手段が長期にわたり探索されてきた。これらの物質を接着結合する難しさは周知である。たとえば、Progress in Rubber and Plastic Technology,volume 1,page 1(1985)に記載のD.M.Brewis著「ポリマー表面の接着問題」を参照されたい。
【0002】
従来の方法では、多くの場合、火炎処理、コロナ放電、プラズマ処理、オゾンまたは酸化性酸による酸化処理、およびスパッターエッチングのような複雑で高価な基材表面形成技術が使用される。このほか、高表面エネルギー物質で被覆することにより基材表面に下塗りを施すことも可能である。しかしながら、プライマーの適切な接着性を達成するために、上記の表面形成技術を最初に使用することが必要になる場合もある。Treatis on Adhesion and Adhesives(J.D.Minford,editor,Marcel Dekker,1991,New York,volume 7,pages 333−435)に報告されているように、これらの技術はすべて周知である。公知の方法は、特定の基材で使用するためにカスタマイズされることが多い。そのため、それらの方法は、一般的には、低表面エネルギー基材を結合するのに有用ではないと思われる。
【0003】
さらに、現在公知の方法は、複雑さおよびコストが原因で、最終消費者(たとえば、住宅を修理する人、日曜大工をする人など)が使用したり少量で使用したりするのに特に適しているわけではない。厄介な問題の1つは、屑かご、洗濯かご、および玩具のようにポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレンで作製されている多くの低価格の普通の家庭用品の修復である。
【0004】
Zharovらに付与された一連の特許(米国特許第5,539,070号、同第5,690,780号、および同第5,691,065号)には、少なくとも1種のアクリルモノマーと、有効量の特定のオルガノボランアミン錯体と、アクリルモノマーの重合を開始するのに有効な量の酸とを含んでなる重合性アクリル系結合性組成物が報告されている。アクリル組成物は、低表面エネルギーポリマーを結合するためのアクリル系接着剤として特に有用である。
【0005】
Pociusらに付与された他の一連の特許(米国特許第5,616,796号、同第5,684,102号、および同第5,795,657号)には、アクリルモノマーと、オルガノボランポリアミン錯体と、アミンとの反応性をもつ物質と、を含んでなる重合性アクリル系結合性組成物が報告されている。低表面エネルギーポリマーを結合するための接着剤として有用な重合性アクリルモノマー組成物を調製することができる。ポリアミンは、ジ第一級アミン末端物質と、第一級アミンとの反応性をもつ少なくとも2個の基を有する物質との反応生成物である。
【0006】
エンドユーザーからの要求がますます厳しくなるにつれて、結合性組成物の製造業者は、結合性組成物の適用性能(たとえば、可使時間、強度増加速度、および硬化時間)と物理的特性性能(たとえば、T型剥離強度)の両方を改良することに絶えず取り組むようになってきている。結合性組成物の1つの特性を向上させる配合変更が結合性組成物の他の特性に有害な影響を及ぼすということが非常に頻繁に起こる。それゆえ、製造業者は、競合する特性間の望ましいバランスを満たさない状況を受け入れなければならないこともある。このため、接着剤の製造業者は、結合性組成物でより有利な全体的特性バランスを提供する新素材を絶えず探索している。
【0007】
結合性組成物の多くの工業用途および消費者用途では、長い可使時間は非常に望ましい特徴である。可使時間とは、結合性組成物の硬化開始後、結合性組成物を結合対象の基材(単数または複数)と接触させるのに(すなわち、結合を形成するのに)利用可能な最大時間を意味する。可使時間が過ぎた後で基材を結合性組成物と接触させた場合、基材間で形成される結合の極限強度が低下する可能性がある。
【0008】
結合性組成物の可使時間を増加させるためのいくつかの技術が報告されている。1つの公知技術では、結合性組成物の硬化速度を遅くすることにより、たとえば、結合性組成物中の重合開始剤の量および/または開始剤の化学反応性を減少させることにより、可使時間を増加させる。しかしながら、この技術では、典型的には、全体的硬化時間が長くなる可能性があり、しかも結合性組成物の強度増加速度が遅くなる可能性がある。結合性組成物に特定の重合性モノマーを添加して可使時間を増加させるという報告もなされている。米国特許第5,859,160号(Righettiniら)には、2液型の接着剤として有用な遊離基硬化性組成物が報告されている。この組成物には、遊離基硬化性化合物と、遊離基硬化性化合物とは化学的に異なるビニル芳香族化合物とが含まれている。ビニル芳香族化合物は、報告によると、硬化の完了度および硬化後の硬化性組成物の特性に悪影響を及ぼすことなく遊離基組成物の硬化速度を減速させるのに十分な量で存在する。一般的には、ビニル芳香族化合物の量は、遊離基硬化性成分を含む組成物部分の全重量を基準にして、5重量パーセント未満、好ましくは2重量パーセント未満である。上記の報告された技術を使用して結合性組成物の可使時間を増加させることも可能であるが、強度増加速度、硬化時間、およびT型剥離強度のような結合性組成物の他の特性が可使時間の増加の結果として損なわれる可能性がある。
【0009】
以上に加えて、2液型の結合性組成物を配合する際、たとえば1:1、1:4、1:10などの便利な混合比で互いに混合できるように各部分を配合することが望ましい場合が非常に多い。この目的のために、混合比を変更すべく結合性組成物の1つ以上の部分に添加しうる物質が望まれる。ただし、物質を添加しても、得られる結合性組成物の性能特性および保存安定性は有害な影響を受けないことを前提とする。
【0010】
概要
一実施形態では、本発明は、2液型の硬化性結合性組成物、特に、硬化(重合)してアクリル系接着剤になる2液型の硬化性結合性組成物、さらに特に、硬化して低表面エネルギー基材を結合しうるアクリル系接着剤になる2液型の硬化性結合性組成物を提供するのに特に有用な重合開始剤系を提供する。本発明の重合開始剤系は、便利な整数混合比を有する2液型の結合性組成物を配合するために便利に使用しうる。さらに、本発明の重合開始剤系を用いると、強度増加速度、硬化時間、およびT型剥離強度のような他の重要な特性に実質的に影響を及ぼすことなく長い可使時間を有する結合性組成物を配合することが可能になる。好ましい実施形態では、結合性組成物の可使時間が長くなるとともに、硬化された結合性組成物のT型剥離強度が増加する。概括的に、重合開始剤系は、オルガノボランと、一般式(1)または一般式(2)で表される少なくとも1種のビニル芳香族化合物とを含む。
【0011】
【化17】
【0012】
式(1)中、nは、1以上、好ましくは2以上の値を有する整数を表す。式(1)および式(2)中、Arは、置換アリール基を表す。Arとしては、たとえば、置換ベンゼン基または置換ナフタレン基が挙げられる。最も好ましくは、Arは、置換ベンゼン基である。
【0013】
式(1)および式(2)中、1以上の値を有する整数を表す下付き文字xは、ビニル芳香族化合物中の各Ar基に結合した不飽和基の数を表す。
【0014】
式(1)および式(2)中、R31、R32、およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、およびハロゲンからなる群より選択される。好ましくは、R31は、水素およびメチルからなる群より選択され、R32およびR33は、水素である。
【0015】
式(1)および式(2)中、R34は、アリール基(Ar)に結合した非水素置換基を表す。下付き文字yは、アリール基Arに結合した個々の置換基の数を表す0以上の値を有する整数である。yが1に等しいかまたはそれ以上である場合、各置換基R34は、独立して、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリールオキシ、アロイル、アロイルオキシ、およびハロゲンからなる群より選択することが可能である。好ましくは、式(1)中、yは0に等しい。
【0016】
式(1)中、Xは、2価の有機連結基または共有結合のいずれかを表す。好ましい実施形態では、Xは、ウレタンまたはウレア官能基を含む2価有機連結基である。
【0017】
式(1)中、R30は、有機基、好ましくはオリゴマーまたはポリマーの有機基を表す。(R30−Xn)基の分子量は、約100以上、より好ましくは約200以上、最も好ましくは約500以上である。ポリマーの有機基の代表例としては、炭化水素ポリマー(たとえば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、およびポリメチルペンテン)、炭素鎖ポリマー(たとえば、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、およびポリアクリロニトリル)、ヘテロ鎖ポリマー(たとえば、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルフィド、ポリスルホン、およびポリイミド)が挙げられる。
【0018】
オルガノボランは、次の一般式で表しうる。
【0019】
【化18】
【0020】
式中、R1は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基である。R2およびR3は、同一であっても異なっていてもよく、独立して、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基およびフェニル含有基から選択される。好ましいオルガノボラン開始剤は、錯化剤で錯化されており、次の一般式で表しうる。
【0021】
【化19】
【0022】
式中、R1、R2、およびR3は、上述したとおりであり、Cxは錯化剤であり、vは、錯化剤とホウ素原子との比を表す。有用な錯化剤(Cx)としては、たとえば、アミン、アミジン、ヒドロキシド、および/またはアルコキシドが挙げられる。
【0023】
しかしながら、本発明は、本発明の重合開始剤系を用いて調製される結合性組成物に制限されるものではない。もっと正確に言えば、本発明は、広くは、結合性組成物を形成するためにビニル芳香族化合物をオルガノボラン、重合性モノマー、またはその両方と組み合わせるかどうかにかかわらず、オルガノボラン開始剤と、重合性モノマーと、ビニル芳香族化合物とを含んでなる結合性組成物を提供する。したがって、本発明の他の実施形態は、オルガノボランと、少なくとも1種の重合性モノマーと、一般式(1)もしくは(2)で表される少なくとも1種のビニル芳香族化合物またはそれらの混合物と、を含んでなる結合性組成物を提供する。本発明の結合性組成物は、多種多様な基材を結合するために使用しうるが、低表面エネルギープラスチック基材(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなど)に対して極めて良好な接着性を提供する。好適な重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート、たとえば、1価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルおよび多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、酸アミド、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0024】
本発明の結合性組成物は、典型的かつ好適には、開始剤成分が重合性モノマー成分から隔離した状態で保存される2液型の形態で提供される。2つの部分は、基材に結合性組成物を塗布する前に組み合わされる。したがって、他の実施形態では、本発明は、(a)オルガノボランを含む第1の部分と、および(b)重合性モノマーを含む第2の部分とを含んでなる2液型の硬化性結合性組成物を提供する。第1の部分または第2の部分のうち少なくとも一方は、一般式(1)または一般式(2)で表されるビニル芳香族化合物をさらに含む。好ましい実施形態では、本発明の重合開始剤系を提供するために、ビニル芳香族化合物をオルガノボランと混合する。
【0025】
本明細書中で使用する場合、以下の用語は以下の意味を有する。
【0026】
「低表面エネルギー基材」という用語は、45mJ/m2未満、より典型的には40mJ/m2未満または35mJ/m2未満の表面エネルギーを有する基材を指す。低表面エネルギー基材の代表例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
【0027】
「1価有機基」および「多価有機基」という用語は、有機部分を意味する。1価有機基は、利用可能な原子価1を有し、多価有機基は、利用可能な原子価1超を有する。
【0028】
「有機基」という用語は、脂肪族基または環状基でありうる。本発明に関連して、「脂肪族基」という用語は、飽和もしくは不飽和で線状もしくは分枝状の炭化水素を意味する。この用語は、たとえば、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、およびアルキニレン基を包含するように使用される。
【0029】
「アルキル」という用語は、1価で飽和で線状もしくは分枝状の炭化水素基(たとえば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヘプチル基、ドデシル基、オクタデシル基、アミル基、または2−エチルヘキシル基など)を意味する。「アルキレン」という用語は、多価で飽和で線状もしくは分枝状の炭化水素基を意味する。
【0030】
「アルケニル」という用語は、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する1価で線状もしくは分枝状の炭化水素基(たとえば、ビニル基)を意味する。
【0031】
「アルケニレン」という用語は、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する多価で線状もしくは分枝状の炭化水素基を意味する。
【0032】
「アルキニル」という用語は、1個以上の炭素−炭素三重結合を有する1価で線状もしくは分枝状の炭化水素基を意味する。
【0033】
「アルキニレン」という用語は、1個以上の炭素−炭素三重結合を有する多価で線状もしくは分枝状の炭化水素基を意味する。
【0034】
「環状基」という用語は、脂環式基、芳香族基、または複素環式基として分類される閉環炭化水素基を意味する。
【0035】
「脂環式基」という用語は、脂肪族基と類似した性質を有する環状炭化水素基を意味する。
【0036】
「芳香族基」または「アリール基」という用語は、単核芳香族炭化水素基または多核芳香族炭化水素基を意味する。
【0037】
「有機基」または「有機連結基」という用語は、炭素および水素に加えて、たとえば、エーテル、エステル、アミド、アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、またはカルボニルのような有機官能基の形態で存在する酸素、窒素、または硫黄の原子を含有しうる。
【0038】
「アルコキシ」という用語は、酸素原子に結合したアルキル基(すなわち、アルキルエーテル)を意味する。
【0039】
「アルカノイル」という用語は、カルボニル基に結合したアルキル基(すなわち、アルキルケトン)を意味する。
【0040】
「アルカノイルオキシ」という用語は、それ自体酸素原子に結合されているカルボニル基に結合したアルキル基(すなわち、アルキルエステル)を意味する。
【0041】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子に結合したアリール基(すなわち、アリールエーテル)を意味する。
【0042】
「アロイル」という用語は、カルボニル基に結合したアリール基(すなわち、アリールケトン)を意味する。
【0043】
「アロイルオキシ」という用語は、それ自体酸素原子に結合されているカルボニル基に結合したアリール基(すなわち、アリールエステル)を意味する。
【0044】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、2液型の硬化性結合性組成物、特に、硬化(すなわち、重合)してアクリル系接着剤になる2液型の硬化性結合性組成物を提供するのにとりわけ有用な重合開始剤系を提供する。
【0045】
本発明の1態様において、重合開始剤系は、オルガノボランと少なくとも1種のビニル芳香族化合物とを含む。ビニル芳香族化合物は、有利には、オルガノボラン開始剤用のキャリヤー(エクステンダー)であると同時に、結合性組成物の他の成分(たとえば、重合性モノマー)との反応性を有する。オルガノボラン開始剤がたとえばアミンで錯化されている場合、結合性組成物の硬化時まで好ましくはオルガノボラン開始剤から隔離した状態で保存される脱錯化剤もまた必要である。
【0046】
重合開始剤系は、便利で商業上有用な整数混合比1:10以下で2液型の結合性組成物用の重合性モノマーと直接組み合わせることができる。さらに、かつきわめて有利には、ビニル芳香族化合物は、重合性モノマーとの反応性を有し、それと共重合することができる。したがって、オルガノボラン用のキャリヤーまたはエクステンダーを提供するだけでなく、ビニル芳香族化合物は、重合された結合性組成物に組み入れられるようになる。
【0047】
本発明の開始剤系および結合性組成物の個々の成分について、以下で詳細に説明する。
【0048】
オルガノボラン:
オルガノボランは、重合性モノマーおよびビニル芳香族化合物の遊離基共重合を開始して、アクリル系接着剤などの結合性組成物として有用でありうるポリマーを形成する。オルガノボラン開始剤は、次の一般式で表しうる。
【0049】
【化20】
【0050】
式中、R1は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基である。R2およびR3は、同一であっても異なっていてもよく、独立して、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基およびフェニル含有基から選択される。好ましくは、R1、R2、およびR3は、独立して、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。したがって、R1、R2、およびR3はすべて異なっていてもよいし、R1、R2、およびR3のうち2つ以上が同じであってもよい。R1、R2、およびR3はいずれも、それらが結合したホウ素原子(B)と一緒になって、開始剤を形成する。特定のオルガノボラン開始剤としては、たとえば、トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリ−n−プロピルボラン、トリイソプロピルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリイソブチルボラン、およびトリ−sec−ブチルボランが挙げられる。
【0051】
好ましいオルガノボラン開始剤は、錯化剤で錯化されており、次の一般式で表しうる。
【0052】
【化21】
【0053】
式中、R1、R2、およびR3は、先に述べたとおりであり、Cxは錯化剤である。
【0054】
錯化剤:
有用な錯化剤(Cx)としては、たとえば、アミン、アミジン、ヒドロキシド、および/またはアルコキシドが挙げられる。錯体中の錯化剤(Cx)とホウ素原子との比は、「v」で表され、好ましくは、錯化剤とホウ素原子との有効比を提供するように選択される。錯体中の錯化剤とホウ素原子との比は、好ましくは約1:1である。錯化剤とホウ素原子との比が1:1未満であると、発火傾向をもつ物質である遊離オルガノボランが残留する可能性がある。
【0055】
アミン錯化剤:
アミン錯化剤(Cx)は、異なるアミンのブレンドを含めて、少なくとも1個のアミン基を有する多種多様な物質によって提供されうる。アミン錯化剤はまた、ポリアミン(すなわち、2個以上のアミン基、たとえば、2〜4個のアミン基を有する物質)であってもよい。
【0056】
1実施形態では、アミン錯化剤は、下記構造で表されるような第一級もしくは第二級モノアミンであってもよい。
【0057】
【化22】
【0058】
式中、R4およびR5は、独立して、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アミン基がアリール構造に直接結合していないアルキルアリール基、およびポリオキシアルキレン基からなる群より選択される。これらのアミンの特定例としては、アンモニア、エチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ベンジルアミン、およびポリオキシアルキレンモノアミン(たとえば、M715およびM2005のようなHuntsman Chemical Company製のJEFFAMINE)が挙げられる。
【0059】
他の実施形態では、アミンは、下記構造で表されるようなポリアミンであってもよい。
R5HN−R6−NHR5
式中、R5は、先に定義したとおりであり、R6は、アルキル、アリール、またはアルキルアリール基で構成される2価有機基である。これらの物質のうち好ましいのは、分枝状であっても線状であってもよい下記一般構造を有するアルカンジアミンである。
【0060】
【化23】
【0061】
式中、xは、1以上、より好ましくは約2〜12の整数であり、R7は、水素またはアルキル基である。アルカンジアミンの特に好ましい例としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、およびこれらの物質の異性体が挙げられる。アルカンジアミンが好ましいが、トリエチレンテトラアミンおよびジエチレントリアミンのような他のアルキルポリアミンを使用してもよい。
【0062】
有用なポリアミンはまた、ポリオキシアルキレンポリアミンによって提供されうる。本発明用の錯体を作製するのに好適なポリオキシアルキレンポリアミンは、次の構造から選択しうる。
H2NR8(R9O)w−(R10O)x−(R9O)y−R8NH2
(すなわち、ポリオキシアルキレンジアミン)、または
[H2NR8−(R9O)w]z−R11.
R8、R9、およびR10は、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、R8は、エチレン、n−プロピレン、イソ−プロピレン、n−ブチレン、またはイソ−ブチレンのような2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基である。好ましくは、R9およびR10は、エチレン、n−プロピレン、またはイソ−プロピレンのような2または3個の炭素原子を有するアルキレン基である。R11は、ポリオキシアルキレンポリアミンを調製するために使用されるポリオールの残基(すなわち、ヒドロキシル基が除去されたときに残存する有機構造)である。R11は、分枝状であっても線状であってもよく、置換であっても無置換であってもよい(ただし、置換基はオキシアルキル化反応を妨害するものであってはならない)。
【0063】
wの値は、≧1、より好ましくは約1〜150、最も好ましくは約1〜20である。wが2、3、または4である構造もまた有用である。xおよびyの値はいずれも、≧0である。zの値は、>2、より好ましくは3または4(それぞれ、ポリオキシアルキレントリアミンおよびテトラアミンが提供される)である。得られる錯体が室温(「室温」とは、本明細書では約20〜22℃の温度を意味する)で液体であるようにw、x、y、およびzの値を選択することが好ましい。なぜなら、それにより、その取扱いおよび混合が単純になるからである。通常、ポリオキシアルキレンポリアミンはそれ自体液体である。ポリオキシアルキレンポリアミンの場合、約5,000未満の分子量を使用しうるが、約1,000以下の分子量がより好ましく、約140〜1,000の分子量が最も好ましい。
【0064】
特に好ましいポリオキシアルキレンポリアミンとしては、たとえば、ポリエチレンオキシドジアミン、ポリプロピレンオキシドジアミン、ポリプロピレンオキシドトリアミン、ジエチレングリコールジプロピルアミン、トリエチレングリコールジプロピルアミン、ポリテトラメチレンオキシドジアミン、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)ジアミン、およびポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)トリアミンが挙げられる。
【0065】
好適な市販のポリオキシアルキレンポリアミンとしては、たとえば、D、ED、およびEDRシリーズのジアミン(D−400、D−2000、D−5000、ED−600、ED−900、ED−2001、EDR−148など)ならびにTシリーズのトリアミン(たとえば、T−403)のようなHuntsman Chemical Company製の種々のJEFFAMINE、さらにはDixie Chemical Company製のDCA−221が挙げられる。
【0066】
米国特許第5,616,796号(Pociusら)に報告されているように、ポリアミンはまた、ジ第一級アミン末端物質(すなわち、2個の末端基が第一級アミンである物質)と、第一級アミンとの反応性をもつ少なくとも2個の基を含有する1種以上の物質との縮合反応生成物を含んでいてもよい。該特許の開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0067】
ヒドロキシド/アルコキシド錯化剤:
ヒドロキシドおよび/またはアルコキシド錯化剤(Cx)は、1999年11月4日出願の同時係属中の米国特許出願第09/433,476号(Moren)に報告されている。その開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。好ましいヒドロキシドおよび/またはアルコキシド錯化剤は、次式で表しうる。
【0068】
((-)O−R15)nM(m+)
式中、
R15は、独立して、水素または有機基(たとえば、アルキル基またはアルキレン基)から選択され、
M(m+)は、対カチオン(たとえば、ナトリウム、カリウム、テトラアルキルアンモニウム、またはそれらの組み合わせ)を表し、
nは、0より大きい整数であり、かつ
mは、0より大きい整数である。
【0069】
アミジン錯化剤:
アミジン錯化剤は、次式で表しうる。
【0070】
【化24】
【0071】
式中、
R16は、水素または有機基、好ましくは水素またはアルキルもしくはアルキレン基であり、
R17およびR18は、独立して、1価有機基または環状構造の一部分であり、
w、x、およびyは、整数を構成し、好ましくはwは1でありかつxは約3以下である。
【0072】
特に好ましいアミジン錯化剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、および4−(N,N−ジメチルアミノ)−ピリジンからなる群より選択された錯化剤が挙げられる。
【0073】
オルガノボラン錯体は、公知の技術を用いて容易に調製しうる。典型的には、低速で攪拌しながら不活性雰囲気(たとえば、窒素でフラッシュして100ppm未満の酸素を有する環境にしたグローブボックス)中で錯化剤をオルガノボランと組み合わせる。カップリング剤があらかじめ秤量されて入っているフラスコに均圧滴下漏斗からオルガノボランを添加することができる。発熱が観測されることが多いので、混合物を冷却することが推奨される。発熱を制御するために、オルガノボランの添加を加減してもよい。成分が高い蒸気圧を有する場合、約70〜80℃未満の反応温度を保持することが望ましい。物質が良好に混合されたならば、錯体を室温まで冷却してもよい。特別な保存条件を必要とするものではないが、蓋付き容器中に錯体を入れて冷暗所で保存することが好ましい。錯体を液化して、窒素でフラッシュすることのできる保存バイアルへの移し替えを容易にするために、油浴を用いて窒素環境外で錯体の結晶塊を加熱することができる(たとえば、約55℃まで)。
【0074】
オルガノボランは、有効量で利用される。有効量とは、所望の最終用途に応じた十分に高い分子量のアクリルポリマーが得られるようにアクリルモノマーの重合を容易に引き起こしうる十分に多い量を指す。オルガノボランの量が少なすぎると、重合が不完全になるおそれがあり、接着剤の場合、得られる組成物が貧弱な接着力を有する可能性がある。一方、オルガノボランの量が多すぎると、重合があまりにも急速に進行して、得られる組成物の効果的な混合および使用が行えなくなる可能性がある。
【0075】
多量のオルガノボランを用いると、本発明の結合性組成物により形成される結合が弱くなる可能性がある。有用な重合速度は、部分的には、基材に組成物を塗布する方法に依存するであろう。この場合、ハンドアプリケーターで組成物を塗布したり手動で組成物を混合したりするのではなく高速自動工業用接着剤アプリケーターを使用することによって、より速い重合速度が利用可能になる。
【0076】
これらのパラメーターの範囲内で、オルガノボランの有効量は、好ましくは約0.003〜1.5重量%のホウ素、より好ましくは約0.008〜0.5重量%のホウ素、最も好ましくは約0.01〜0.3重量%のホウ素を与える量である。組成物中のホウ素の重量%は、充填剤、非反応性希釈剤、および他の非反応性物質を除いた組成物の全重量を基準にしたものである。したがって、重合性モノマー、ビニル芳香族化合物、および存在する場合には有機増粘剤(たとえば、ポリ(メチルメタクリレート)またはコア−シェルポリマー)は含めるが、引抜き可能な水素原子または不飽和をもたない成分は含めない。組成物中のホウ素の重量%は、次式により計算しうる。
【0077】
【数1】
【0078】
きわめて有利には、オルガノボランは、ビニル芳香族化合物または2種以上の異なるビニル芳香族化合物のブレンドによって保持される(たとえば、それに溶解されるかまたはそれで希釈される)。ビニル芳香族化合物は、錯化剤に対して反応性であってはならず、オルガノボラン用のエクステンダーとして機能する。
【0079】
ビニル芳香族化合物は、結合性組成物に含まれるアクリルモノマーに可溶でなければならない。「可溶」とは、室温で全体的相分離を示す証拠が肉眼で観察されないことを意味する。同様に、オルガノボランは、ビニル芳香族化合物に可溶でなければならないが、オルガノボランとビニル芳香族化合物との混合物をわずかに加温することが、室温で両者の溶液を形成するのに有用な場合もある。好ましくは、ビニル芳香族化合物は、室温またはそれに近い温度(すなわち、20〜22℃±約10℃以内)で液体であるかまたは室温またはそれに近い温度でオルガノボランと共に液体溶液を形成する。より高粘度のビニル芳香族化合物が有用なこともある。22℃で約1,000,000cpまでのブルックフィールド粘度を有する化合物は、うまく利用できる可能性があるが、約100,000cp以下の粘度を有する物質がより好ましい。
【0080】
本発明におけるキャリヤーまたはエクステンダーとしてのビニル芳香族化合物の有用性は、室温でほとんどまたはまったく揮発性を示さない物質を利用することにより向上する(室温で6ヶ月間保存した後、識別しうるまたは容易に測定しうる体積変化がみられない)。そのような物質は、一般的には約160℃超、より好ましくは約190℃超、最も好ましくは約210℃超の沸点を有する。
【0081】
ビニル芳香族化合物は、それから調製された開始系および重合性組成物に優れた保存安定性および延長された保存寿命を付与する。すなわち、開始剤系および重合性組成物は、長期間にわたり室温で安定な状態を保持する。したがって、生成物の保存寿命を実質的に犠牲にすることなく、冷凍のような特別な保存条件を回避することができる。
【0082】
きわめて有利には、実質量(たとえば、50重量%まで)のオルガノボランをビニル芳香族化合物に溶解させることが可能である。これにより、商業上有用な混合比で組み合わせることのできる2液型の接着剤の提供が容易になる。ビニル芳香族化合物はまた、反応性エクステンダーとしても機能する。なぜなら、この物質は、エチレン性不飽和によってアクリルモノマーと遊離基共重合することができるからである。有利には、これにより、完全に(すなわち、100%)反応性の系が形成される。この系は、本明細書中において固形分100%の系とも記される。望ましくは、これにより、重合性組成物中の低分子量移行性成分のレベルを減少させることができる。この低分子量移行性成分は、接着剤の場合、結合境界面にブルームして、接着結合の強度を低下させる可能性がある。
【0083】
脱錯化剤:
錯化されたオルガノボラン開始剤を本発明の結合性組成物中でオルガノボラン開始剤として使用する場合、結合性組成物には脱錯化剤がさらに含まれる。本明細書中で使用する「脱錯化剤」という用語は、開始剤(たとえば、オルガノボラン)をその錯化剤から遊離させることにより結合性組成物中の重合性モノマーの反応を開始させることができる化合物を意味する。脱錯化剤は、「活性化剤」または「遊離剤」と呼ぶことも可能であり、これらの用語は、本明細書中において同義的に使用しうる。
【0084】
オルガノボランをアミンで錯化する場合、好適な脱錯化剤は、アミン反応性化合物である。アミン反応性化合物は、アミンとの反応によりオルガノボランを遊離させることによって、アミンとの化学結合からオルガノボランを取り出す。アミン反応性化合物を提供するために、さまざまな物質の組み合わせを含めて多種多様な物質を使用することが可能である。望ましいアミン反応性化合物は、周囲条件下での使用および硬化を容易に行いうる接着剤などの組成物を提供するように室温(約20〜22℃)またはそれ以下の温度で容易にアミンとの反応生成物を形成することができる物質である。有用なアミン反応性化合物の一般的なクラスとしては、酸、無水物、およびアルデヒドが挙げられる。イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、およびメタクリロイルクロリドのようなイソシアネート、酸クロリド、スルホニルクロリドなどを使用してもよい。
【0085】
アミン基と塩を形成することによりオルガノボランを遊離させることのできる任意の酸を使用することが可能である。有用な酸としては、ルイス酸(たとえば、SnCl4、TiCl4など)およびブレンステッド酸(たとえば、カルボン酸、HCl、H2SO4、H3PO4、ホスホン酸、ホスフィン酸、ケイ酸など)が挙げられる。有用なカルボン酸としては、一般式R20−COOH〔式中、R20は、水素、1〜8個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、または6〜10個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリール基である。〕を有するカルボン酸が挙げられる。アルキル基は、直鎖を構成してもよいし、分枝状であってもよい。それらは飽和であっても不飽和であってもよい。アリール基は、アルキル、アルコキシ、またはハロゲン部分のような置換基を含有していてもよい。このタイプの例示的な酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、安息香酸、およびp−メトキシ安息香酸が挙げられる。
【0086】
より少ない臭気を有する重合性組成物を提供することが望まれる場合、多数の炭素原子を有するアルケニル基が推奨される。この場合、R20は、少なくとも9個の炭素原子、より好ましくは少なくとも約11個の炭素原子、最も好ましくは少なくとも約15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖で飽和もしくは不飽和のアルケニル基であってよい。
【0087】
アミン反応性化合物として有用な他のカルボン酸としては、ジカルボン酸およびカルボン酸エステルが挙げられる。そのような化合物は、次の一般構造式で表しうる。
【0088】
【化25】
【0089】
式中、R21は、水素、1価有機基(好ましくは約18個以下の原子、より好ましくは8個以下の原子を有する)、または多価有機基(好ましくは約30個以下の原子、より好ましくは約10個以下の原子を有する)である。R22は、多価有機基(好ましくは約8個以下の原子、より好ましくは約4個の原子を有する)である。R23は、水素または1価有機基(好ましくは約18個以下の原子、より好ましくは約8個の原子を有する)である。「m」の整数値は、0、1、または2であり、「n」の整数値は、1以上、好ましくは1〜4、より好ましくは1または2である。
【0090】
より好ましくは、次の一般構造で表されるカルボン酸を生成すべく、mは0である。
【0091】
【化26】
【0092】
式中、R21、R22、およびnは、先に定義したとおりである。
【0093】
R21、R22、およびR23に関連して記載した「有機基」は、脂肪族基(飽和もしくは不飽和であってもよいし線状もしくは分枝状であってもよい)、脂環式基、芳香族基、または酸素含有、窒素含有、もしくは硫黄含有複素環式基であってもよい。R21が水素であり、mが0であり、かつnが1である場合、得られる化合物はジカルボン酸である。その有用な例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸が挙げられる。R21が脂肪族基であり、nが1であり、かつmが0である場合、得られる化合物はカルボン酸エステルである。その有用な例としては、1,2−エチレンビスマレエート、1,2−プロピレンビスマレエート、2,2’−ジエチレングリコールビスマレエート、2,2’−ジプロピレングリコールビスマレエート、およびトリメチロールプロパントリスマレエートが挙げられる。
【0094】
同様にアミン反応性化合物として好ましいのは、少なくとも1個の無水物基を有する物質である。そのような物質は、好ましくは次の構造式のうちの1つを有する。
【0095】
【化27】
【0096】
R24およびR25は、独立して、脂肪族(飽和もしくは不飽和であってもよい直鎖もしくは分枝鎖配列を含む)、脂環式、または芳香族であってもよい有機基である。好ましい脂肪族基は、1〜17個の炭素原子、より好ましくは2〜9個の炭素原子を含む。好ましい芳香族基は、1〜4個の炭素原子脂肪族基で置換されていてもよいベンゼンを含む。
【0097】
R26は、無水物基と一緒になって環状構造を完成し、たとえば5もしくは6員環を形成する2価有機基である。R26は、脂肪族基、脂環式基、または芳香族基、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含む脂肪族基で置換されていてもよい。R26はまた、酸素または窒素のようなヘテロ原子を含有していてもよいが、ただし、ヘテロ原子はいずれも無水物官能基に隣接してはならない。R26はまた、脂肪族基で場合により置換されていてもよい脂環式または芳香族の縮合環構造の一部分であってもよい。無水物官能性アミン反応性化合物中に遊離基重合性基を存在させて、遊離基重合性基をアクリルモノマーと重合できるようにしてもよい。
【0098】
アミン反応性化合物として有用なアルデヒドは、次式を有する。
【0099】
R27−(CHO)x
式中、R27は、1価有機基であり、たとえば、1〜10個(好ましくは1〜4個)の炭素原子を有するアルキル基または6〜10個(好ましくは6〜8個)の炭素原子を有するアリール基であり、そしてxは1または2(好ましくは1)である。式中、アルキル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、およびアルコキシのような置換基を含有していてもよい。アリール基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、およびニトロのような置換基を含有していてもよい。好ましいR27基はアリールである。このタイプの化合物の具体例としては、ベンズアルデヒド、o−、m−、およびp−ニトロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、p−トリルアルデヒド、ならびに3−メトキシ−4ヒドロキシベンズアルデヒドが挙げられる。アセタールのようなブロック化アルデヒドを本発明で使用してもよい。
【0100】
脱錯化剤は、有効量(すなわち、最終的に重合された組成物の所望の性質に実質的に悪影響を及ぼすことなく開始剤をその錯化剤から遊離させることにより重合を促進するのに有効な量)で使用される。当業者であればわかるように、脱錯化剤の量が多すぎると、重合が急速に進行しすぎるおそれがあり、接着剤の場合、得られる物質は、低エネルギー表面に対して不適当な接着性を示す可能性がある。しかしながら、脱錯化剤の使用量が少なすぎると、重合速度が遅すぎるおそれがあり、得られるポリマーは、特定の用途に適した分子量をもたない可能性があるがある。重合速度が速すぎる場合、脱錯化剤の量を減少させることが重合速度を遅くするのに有用な場合もある。したがって、これらのパラメーターの範囲内で、脱錯化剤(1種もしくは複数種)中のアミン反応性基、アミジン反応性基、ヒドロキシド反応性基、またはアルコキシド反応性基と、錯化剤(1種もしくは複数種)中のアミン基、アミジン基、ヒドロキシド基、またはアルコキシド基との比が、0.5:1.0〜3.0:1.0の範囲にある量で、脱錯化剤は典型的には提供される。より良好な性能を得るために、脱錯化剤(1種もしくは複数種)中のアミン反応性基、アミジン反応性基、ヒドロキシド反応性基、またはアルコキシド反応性基と、錯化剤(1種もしくは複数種)中のアミン基、アミジン基、ヒドロキシド基、またはアルコキシド基との比は、0.5:1.0〜1.0:1.0の範囲、好ましくは約1.0:1.0である。
【0101】
ビニル芳香族化合物:
「ビニル芳香族化合物」とは、一般式(1)または一般式(2)で表される有機化合物またはそれらの混合物を意味する。
【0102】
【化28】
【0103】
式(1)中、nは、1以上、好ましくは2以上の値を有する整数を表す。式(1)および式(2)中、Arは、置換アリール基、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する置換アリール基を表す。Arとしては、たとえば、式(1)に対して式C6H5-x-yまたは式(2)に対してC6H6-x-yを有する置換ベンゼン基、あるいは式(1)に対して式C10H7-x-yまたは式(2)に対してC10H8-x-yを有する置換ナフタレン基が挙げられる。最も好ましくは、Arは置換ベンゼン基である。
【0104】
式(1)および式(2)のビニル芳香族化合物において、−CR31=CR32R33基は、結合性組成物の重合性モノマーとの反応性をもつ不飽和(すなわち、二重結合)の部位を提供する。すなわち、ビニル芳香族化合物は、重合性モノマーと共重合して、重合性モノマーに化学結合された状態になる。式(1)および式(2)中、1以上の値を有する整数を表す下付き文字xは、ビニル芳香族化合物中の各Ar基に結合した不飽和部分の数を表す。式(1)の好ましい実施形態では、xは1である。
【0105】
式(1)および式(2)中、R31、R32、およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、およびハロゲンからなる群より選択される。好ましくは、R31は、水素およびメチルからなる群より選択され、R32およびR33は水素である。ゲル化を回避するために、本発明の2液型の結合性組成物において、R31=Hである式(1)および式(2)のビニル芳香族化合物はオルガノボランから隔離した状態で(たとえば、B部分だけに含まれるように)パッケージ化することが一般に好ましい。
【0106】
式(1)および式(2)中、R34は、アリール基Arに結合した非水素置換基を表す。下付き文字yは、アリール基Arに結合した個々の置換基の数を表す0以上の値を有する整数である。yが1に等しいかまたはそれ以上である場合、各置換基R34は、独立して、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリールオキシ、アロイル、アロイルオキシ、およびハロゲンからなる群より選択することが可能である。好ましくは、式(1)中、yは0に等しい。
【0107】
式(1)中、Xは、2価有機連結基または共有結合のいずれかを表す。好ましい実施形態では、Xは、ウレタン官能基またはウレア官能基を含む2価有機連結基である。より好ましい実施形態では、Xは次のとおりである。
【0108】
【化29】
【0109】
式中、R35およびR36は、1〜10個の炭素原子を有する2価有機連結基である。存在する場合、R35およびR36は、式(1)中のアリール基(Ar)に結合される。
【0110】
式(1)中、R30は、有機基、好ましくはオリゴマーまたはポリマーの有機基を表す。R30−Xnの分子量は、100以上、より好ましくは200以上、最も好ましくは500以上である。ポリマー有機基の代表例としては、炭化水素ポリマー(たとえば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、およびポリメチルペンテン)、炭素鎖ポリマー(たとえば、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、およびポリアクリロニトリル)、ヘテロ鎖ポリマー(たとえば、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルフィド、ポリスルホン、およびポリイミド)が挙げられる。好適なポリマー有機基は、単独重合体または共重合体、たとえば、コポリマーやターポリマーであってもよいし、交互型、ランダム型、ブロック型、またはグラフト型の構造であってもよい。好ましい有機基R30としては、約300〜1000(グラム/モル)の範囲の分子量を有するポリエステル(たとえば、ポリカプロラクトン)および約500〜3000(グラム/モル)の範囲の分子量を有するポリエーテルが挙げられる。
【0111】
式(1)の好ましい単官能性ビニル芳香族化合物は、以下の一般式(1A)で表される。ここでは、式(1)を参照すると、Arはベンゼン環であり、yは0であり、R31はメチルであり、R32およびR33は水素であり、xは1であり、かつnは1である。ベンゼン環への結合構造は、一般的に示されており、オルト、メタ、またはパラであってよい。
【0112】
【化30】
【0113】
式(1A)の単官能性ビニル芳香族化合物の代表例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0114】
【化31】
【0115】
式中、
mは、典型的には約0〜50の範囲であり、かつ
nは、典型的には約0〜48の範囲である。
ある実施形態では、たとえば、mは6に等しく、nは38に等しい。
【0116】
式(1)の好ましい2官能性ビニル芳香族化合物は、以下の一般式(1B)で表される。ここでは、式(1)を参照すると、Arはベンゼン環であり、yは0であり、R31はメチルであり、R32およびR33は水素であり、xは1であり、かつnは2である。ベンゼン環への結合構造は、一般的に示されており、各環に対して独立して、オルト、メタ、またはパラであってよい。
【0117】
【化32】
【0118】
式(1B)の2官能性ビニル芳香族化合物の代表例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0119】
【化33】
【0120】
式中、
mは、典型的には約0〜50の範囲であり、かつ
nは、典型的には約0〜50の範囲である。
【0121】
【化34】
【0122】
式中、
nは、典型的には約0〜140の範囲であり、かつ
R37は、メチルまたは水素である。
【0123】
式(1)の好ましい3官能性ビニル芳香族化合物は、以下の一般式(1C)で表される。ここでは、式(1)を参照すると、Arはベンゼン環であり、yは0であり、R31はメチルであり、R32およびR33は水素であり、xは1であり、かつnは3である。ベンゼン環への結合構造は、一般的に示されており、各環に対して独立して、オルト、メタ、またはパラであってよい。
【0124】
【化35】
【0125】
式(1C)の3官能性ビニル芳香族化合物の代表例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0126】
【化36】
【0127】
式中、(n+m)は、典型的には約5〜85の範囲である。
【0128】
【化37】
【0129】
式中、(n+m)は、典型的には約2〜18の範囲である。
【0130】
一般式(1)の有用なビニル芳香族化合物は、たとえば、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(Cytec Industries,West Peterson,NJから商品名「TMI」として市販されている)を、単官能性または多官能性の反応性水素化合物、好ましくは、単官能性または多官能性のアミン、アルコール、またはそれらの組み合わせと反応させることにより、調製することが可能である。特に好ましい単官能性または多官能性のアミンとしては、(Huntsman Chemical Co.,Houston,TXから)商品名「JEFFAMINE」として市販されているアミン末端ポリエーテル、たとえば、「JEFFAMINE ED600」(報告分子量600を有するジアミン末端ポリエーテル)、「JEFFAMINE D400」(報告分子量400を有するジアミン末端ポリエーテル)、「JEFFAMINE D2000」(報告分子量2000を有するジアミン末端ポリエーテル)、「JEFFAMINE T3000」(報告分子量3000を有するトリアミン末端ポリエーテル)、および「JEFFAMINE M2005」(報告分子量2000を有するモノアミン末端ポリエーテル)が挙げられる。好適なアルコール含有化合物としては、たとえば、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ジエチレングリコールが挙げられる。
【0131】
アルコールとイソシアネートとの反応生成物としてビニル芳香族化合物を合成する場合、イソシアネートとアルコールとの反応を促進するために触媒を使用することが望ましい場合もある。好適な触媒は当技術分野で周知であり、たとえば、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから市販されている)が挙げられる。イソシアネート触媒作用に関連するさらなる詳細事項については、Polyurethanes:Chemistry and Technology,Saunders and Frisch,Interscience Publishers(New York,1963(Part I)and 1964(Part II))に見いだしうる。
【0132】
式(2)のビニル芳香族化合物の代表例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0133】
【化38】
【0134】
いくつかの場合には、式(1)または式(2)のビニル芳香族化合物、特に、R31が水素であるビニル芳香族化合物に、遊離基安定化剤を添加することが望ましいことがある。遊離基安定化剤は、ビニル芳香族化合物の早期遊離基重合を防止するように機能する。そのような遊離基安定化剤の1つは、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから市販されている)である。遊離基安定化剤を使用する場合、典型的には、約10〜5000ppmの範囲の量で添加される。
【0135】
本発明の結合性組成物は、可使時間と、強度増加速度と、硬化された結合性組成物の物理的性質との所望のバランスを提供するように、一般式(1)または(2)のビニル芳香族化合物あるいはそれらの混合物を有効量で含有する。ビニル芳香族化合物は、使用目的に応じて、重合された組成物の最終的性質(たとえば、接着性)に実質的に悪影響を及ぼさない有効量で使用される。一般的には、式(1)のビニル芳香族化合物の場合、この量は、結合性組成物の全重量を基準にして、約1重量%以上、好ましくは約5重量%以上、より好ましくは約5〜25重量%の量である。R31が水素でない(たとえば、メチル基である)式(2)のビニル芳香族化合物の場合、この量は、約1重量%以下、より好ましくは約0.5重量%以下の量である。R31が水素である式(2)のビニル芳香族化合物の場合、この量は、約1重量%以上、好ましくは約3重量%、最も好ましくは約5〜15重量%以上の量である。好ましい結合性組成物は、10分間のオープンタイムで、少なくとも90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上の重ね剪断強度を保持する(重ね剪断強度試験方法を参照されたい)。
【0136】
重合性モノマー:
本発明の結合性組成物は、少なくとも1種の重合性モノマーを含む。広義に言えば、本発明の結合性組成物中の重合性モノマーは、遊離基重合しうる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを含む。エチレン性不飽和を含有している多数の化合物を結合性組成物中で使用することができる。好ましくは、本組成物は、少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマー、最も好ましくは少なくとも1種のメタクリルモノマーを含む。特に好ましいのは、エステルおよび/または酸アミドを含むような(メタ)アクリル酸誘導体である。好適なものとしては、たとえば、1価アルコール、特に、1〜12個の炭素原子を有するアルカノールの(メタ)アクリル酸エステル、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘテロ原子をさらに含む1価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、具体的には、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートおよび2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコール、およびポリプロピレングリコール、エトキシル化またはプロポキシル化ジフェニロールプロパンおよびヒドロキシ末端ポリウレタンのような多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルは、以下においてはオリゴメリック(メタ)アクリレートと記す。
【0137】
このほかに基本的に好適なのは、ビニルアセテート、ビニルハリド、たとえば、ビニルクロリド、ビニルフルオリド、およびビニルブロミドのような重合性モノマーである。しかしながら、これらの化合物は、一般的には、重合性組成物中で副次量で使用されるにすぎない。
【0138】
さらなる好適な重合性モノマーは、アクリルアミドのような酸アミド、たとえば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−((メタ)アクリロイル)モルホリン、N−((メタ)アクリロイル)ピペリジン、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−1,1,3,3−テトラメチルブチル(メタ)アクリルアミド、メチレン−ビス−(メタ)アクリルアミド、テトラメチレン−ビス−(メタ)アクリルアミド、トリメチルヘキサメチレン−ビス−(メタ)アクリルアミド、トリ(メタ)アクリロイルジエチレントリアミンなどである。好ましい酸アミドとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−((メタ)アクリロイル)モルホリン、およびN−((メタ)アクリロイル)ピペリジンが挙げられる。
【0139】
一般的には、分子中に1個または2個のオレフィン性二重結合、好ましくは1個のオレフィン性二重結合を有するモノマーが主な対象となる。より高不飽和の成分を追加的に使用することを除外するものではないが、それらが存在すると可使時間および/または物理的性能が悪影響を受けるおそれがあることに留意しなければならない。
【0140】
モノマーの好ましいブレンドは、モノマーブレンドの全重量を基準にして、10〜90重量%のM1、25〜70重量%のM2、および0〜65重量%のM3を含む。ここで、
M1は、テトラヒドロフルフリルメタクリレートであり、
M2は、2−エトキシエチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、およびイソボルニルアクリレートからなる群より選択される1種以上のモノマーであり、そして
M3は、イソボルニルメタクリレートおよびイソデシルメタクリレートからなる群より選択される1種以上のモノマーである。
【0141】
一般式(2)で表されるビニル芳香族化合物を本発明の結合性組成物で使用する場合、重合性モノマーブレンドは、好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ジフェニロールプロパン、プロポキシル化ジフェニロールプロパン、およびヒドロキシ末端ポリウレタンからなる群より選択された多価アルコールから調製されたオリゴメリック(メタ)アクリレートモノマーをさらに含む。
【0142】
添加剤:
本発明の結合性組成物は、任意の添加剤をさらに含んでいてもよい。特に有用な添加剤の1つは、重合性モノマーの全重量を基準にして一般的には約50重量%までの量で添加しうる中程度(すなわち、約40,000)の分子量のポリブチルメタクリレートのような増粘剤である。増粘剤は、得られる結合性組成物の粘度を増加させてより容易に塗布しうる粘稠なシロップ状コンシステンシーを得るために利用することが可能である。
【0143】
他の特に有用な添加剤は、エラストマー物質である。この物質は、それから調製される結合性組成物の破壊靭性を改良することができる。このことは、たとえば、剛性高降伏強度物質(たとえば、可撓性ポリマー基材のような他の物質ほど容易に機械的にエネルギーを吸収しない金属基材)を結合する場合に有益である可能性がある。そのような添加剤は、一般的には、結合性組成物の全重量を基準にして約50重量%までの量で組み込むことができる。
【0144】
結合性組成物の展着性および流動性を改良するために、コア−シェルポリマーを添加することもできる。これらの強化された性質は、結合性組成物をシリンジ型アプリケーターから送出するときに望ましくない「スジ」を残したり垂直表面に塗布した後で垂下または落下したりする傾向が低減されるという形となって現れうる。したがって、改良された耐垂下−落下性を得るために、結合性組成物の全重量を基準にして約20重量%超のコア−シェルポリマー添加剤を使用することが望ましい場合もある。コア−シェルポリマーはまた、それから調製される結合性組成物の破壊靭性を改良することもできる。このことは、たとえば、剛性高降伏強度物質(たとえば、可撓性ポリマー基材のような他の物質ほど容易に機械的にエネルギーを吸収しない金属基材)を結合する場合に有益である可能性がある。
【0145】
反応性希釈剤を本発明の結合性組成物に添加してもよい。好適な反応性希釈剤としては、米国特許出願第09/272,152号(Moren)に報告されているような1,4−ジオキソ−2−ブテン官能性化合物および米国特許第5,935,711号(Pociusら)に報告されているようなアジリジン官能性化合物が挙げられる。それらの開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0146】
ヒドロキノンモノメチルエーテルのような抑制剤を、たとえば、保存時の重合性モノマーの分解を防止または軽減するために、重合性組成物中で少量使用してもよい。抑制剤は、重合の速度またはそれから調製されるポリマーの最終的性質に実質的に影響を及ぼさない量で添加しうる。したがって、抑制剤は、一般的には、重合性組成物中の重合性モノマーの全重量を基準にして約100〜10,000ppmの量で用いるのが有用である。
【0147】
他の利用可能な添加剤としては、非反応性着色剤、充填剤(たとえば、カーボンブラック、中空ガラス/セラミックビーズ、シリカ、二酸化チタン、中実ガラス/セラミックス小球体、導電性および/または伝熱性粒子、帯電防止化合物、および白亜)などが挙げられる。さまざまな任意の添加剤が任意の量で利用されるが、一般的には、重合プロセスまたはそれから調製されるポリマーの所望の性質に有意に悪影響を及ぼさない量で利用される。
【0148】
下塗りなどの複雑な表面形成技術を使用せずに結合するのが歴史的に非常に困難であった低表面エネルギープラスチックまたはポリマー基材を接着結合するのに、本発明の結合性組成物は特に有用である。低表面エネルギー基材とは、45mJ/m2未満、より典型的には40mJ/m2未満または35mJ/m2未満の表面エネルギーを有する物質を意味する。そのような物質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、およびフッ素化ポリマー、たとえば、20mJ/m2未満の表面エネルギーを有するポリテトラフルオロエチレン(TEFLONTM)が挙げられる。(「表面エネルギー」という表現は、「臨界湿潤張力」と同義的に使用されることが多い。)本発明の組成物でうまく結合しうるいくらか高い表面エネルギーを有する他のポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、およびポリビニルクロリドが挙げられる。
【0149】
本発明の結合性組成物は、2液型の配合物として容易に提供することができる。アクリルモノマーは、そのような物質を用いて行われる通常の操作と同じようにしてブレンドされる。本発明の結合性組成物は、好ましくは、2液型の配合物の形態で供給され、基材に結合性組成物を塗布する前に各部分を混合する。このように、結合性組成物の硬化(すなわち、重合)が望まれるまで、重合性モノマーをオルガノボラン開始剤から隔離しておいてもよい。したがって、2液型の結合性組成物の第1の部分すなわち「A部分」は、オルガノボラン開始剤(好ましくは、錯化されたオルガノボラン開始剤)を含み、場合により、反応性希釈剤または可塑剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。2液型の結合性組成物の第2の部分すなわち「B部分」は、少なくとも1種の重合性モノマーを含み、A部分のオルガノボラン開始剤が錯化されている場合(たとえば、オルガノボランアミン錯体の場合)、脱錯化剤をさらに含む。B部分は、微小球体またはコア−シェルポリマーなどの任意の添加剤をさらに含んでいてもよい。本発明の結合性組成物では、ビニル芳香族化合物は、A部分、B部分、またはA部分とB部分の両方に含まれる。
【0150】
本発明の結合性組成物のような2液型の結合性組成物を商業的および工業的環境で最も容易に使用するために、2つの部分を組み合わせる比を便利な整数にすべきである。これにより、従来の市販のディスペンサーによる接着剤の塗布が容易になる。そのようなディスペンサーは、米国特許第4,538,920号および同第5,082,147号に示されており、ConProTec,Inc.(Salem NH)から商品名「MIXPAC」として入手可能である。これは2重シリンジ型アプリケーターと呼ばれることもある。
【0151】
典型的には、これらのディスペンサーは、並置された1対の管状容器を使用し、それぞれの管は接着剤の2つの部分のうちの一方を収容するように意図されている。それぞれの管に1つずつ備えられた2つのプランジャーを同時に前進させて(たとえば、手動でまたは手作動ラチェット機構によって)、2つの部分のブレンディングを促進するためのスタティックミキサが配置されていてもよい共通の中空で細長いミキシングチャンバーに管の内容物を送出する。ブレンドされた結合性組成物は、ミキシングチャンバーから基材上に押し出される。管が空になったならば、新しい管と交換して塗布プロセスを継続することができる。
【0152】
結合性組成物の2つの部分を組み合わせる比は、管の直径によって制御される。(一定の直径の管内に収容されるようにそれぞれのプランジャーのサイズを設定し、プランジャーを管に通して同一速度で前進させる。)さまざまな異なる2液型の結合性組成物で単一ディスペンサーが使用されることも多く、プランジャーは、便利な混合比で結合性組成物の2つの部分を送出するのに適したサイズに設定される。いくつかの共通した混合比は、1:1、1:2、1:4、および1:10である。
【0153】
結合性組成物の2つの部分を端数のある混合比(たとえば、3.5:100)で組み合わせる場合、最終利用者はおそらく手作業で接着剤の2つの部分を秤量することになろう。したがって、最良の状態で商業的および工業的に利用できるように、また現在利用可能なディスペンシング装置を容易に使用できるように、結合性組成物の2つの部分は、1:10以下、より好ましくは1:4、1:3、1:2、または1:1のような共通の整数混合比で組み合せることができるようにすべきである。
【0154】
本発明の結合性組成物は、2液型の接着剤用の従来の市販のディスペンシング装置で使用するのに適している。商業上最も重要な整数値(たとえば、1:10、1:4、1:3、1:2、または1:1)に適合するように接着剤組成物の2つの部分の混合比を変更するうえで、ビニル芳香族化合物へのオルガノボランの溶解性が有利に使用できる。
【0155】
2つの部分を組み合わせた後、好ましくは、結合性組成物の可使時間以下の期間内で結合性組成物を使用しなければならない。一方または両方の基材に結合性組成物を塗布し、次に、ボンドラインから過剰の組成物を押し出すように圧力を加えて基材を接合する。これはまた、空気に暴露されて硬化が進みすぎた可能性のある結合性組成物を除去するのに有利である。一般的には、組成物を基材に塗布した直後、好ましくは、結合性組成物の可使時間以下の期間内で、結合を行うべきである。典型的なボンドライン厚さは約0.1〜0.3mmであるが、ギャップ充填が必要な場合、1.0mmを超えてもよい。結合プロセスは、室温で容易に行なうことができる。また、重合度を改良するために、約40℃未満、好ましくは30℃未満、最も好ましくは25℃未満の温度を保持することが望ましい。周囲条件下において約24時間で十分な強度に達するであろう。所望により、高温での後硬化を利用してもよい。
【0156】
以下の実施例を参照することにより本発明はより完全に理解されるであろう。ただし、これらの実施例に限定されるものではない。これらの実施例において、英単位の寸法は公称値であり、メートル法単位への変換値は近似値である。
【0157】
以下の実施例で使用される種々の商品名および略語を次の表で定義する。
【0158】
実施例
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
重ね剪断強度試験方法:
実施例に対して以下に記載されているように試験を行い、形成された接着結合の重ね剪断強度に関する評価を行った。
【0162】
より詳細には、使用した試験片は、公称寸法1インチ×4インチ×0.125インチ厚さ(2.5cm×10.2cm×0.3cm厚さ)のパネルを用いて作製したこと以外はASTM D−1002に記載されているものと同様であった。
【0163】
結合性組成物を1枚の未処理のパネル上に直接塗布し、その直後、重なり面積が0.5インチ×1インチ(1.3cm×2.5cm)になるように、第2の未処理の試験パネルを結合性組成物に接触させて配置した。バインダークリップで結合を固定し、特に記載のない限り、室温(22℃)で少なくとも48時間かけて硬化させた。この時点でクリップを除去した。ボンドラインから押し出された少量の結合性組成物は、そのまま残存させた。
【0164】
重ね剪断試験は、2つのタイプのパネル、すなわち、Cadillac Plastics Co,Minneapolis,MNから入手可能な高密度ポリエチレン(HDPE)およびCadillac Plastics Co,Minneapolis,MNから入手可能なポリプロピレン(PP)を用いて行った。それぞれのタイプのパネルおよびそれぞれの結合性組成物を用いて3つの結合を作製した。
【0165】
硬化後、引張試験機を用いて、破壊または基材降伏に関して結合を試験した。クロスヘッド速度は、0.5インチ/分(1.27cm/分)であった。また、試験は室温で行った。最大重ね剪断力値をポンド単位で記録し、ポンド毎平方インチ(psi)およびメガパルカル(MPa)に変換した。
【0166】
可使時間試験方法:
直後に第2の未処理の試験パネルを結合性組成物に接触させて配置するのではなく、結合性組成物を有する第1のパネルをそれぞれの実施例に指定された時間にわたり空気中に放置したこと以外は、上記の重ね剪断強度試験方法で概説した方法に従った。経過時間(すなわち、オープンタイム)の終了時、重なり面積が確保されるように第2の未処理のパネルを結合性組成物に接触させて配置し、クリップを取り付け、そして特に記載のない限り、室温で少なくとも48時間かけて結合を硬化させた。試験パネルはHDPEであった。
【0167】
強度増加速度試験方法:
48時間未満で結合を硬化させたこと以外は、上記の重ね剪断強度試験方法で概説した方法に従った。実施例に指定された時間で結合を硬化させた。経過時間(すなわち、硬化時間)の終了時、クリップを除去し、上述したように結合を試験した。試験パネルはHDPEであった。
【0168】
T型剥離試験法:
Cadillac Plastics Co,Minneapolis,MNから市販されている未処理の厚さ0.03インチ(0.8mm)のHDPEフィルム上に結合性組成物を直接塗布した。第2の未処理のHDPEフィルムを結合性組成物に接触させて押圧し、重量2.7ポンド(1.2kg)のガラスプレートを用いて接触状態を保持した。最終的な結合面積が1インチ(2.5cm)×1.5インチ(3.8cm)になるように、十分な結合性組成物を第1のフィルムに塗布した。室温(22℃)で少なくとも24時間かけて結合を硬化させ、次に、幅1インチ(2.5cm)になるようにトリミングした。それぞれの結合性組成物を用いて1つの結合を作製した。
【0169】
硬化後、引張試験機を用いてT型剥離力モードで結合を試験した。クロスヘッド速度は、4インチ/分(10.2cm/分)であった。また、試験は室温で行った。結合の一方の自由端を引張試験機の上側ジョーで掴持し、残りの自由端を下側ジョーで掴持した。結合性組成物の少なくとも1線インチ(2.5cm)が露出するかまたはフィルム破壊が生じるまで、結合を試験した。幅1インチあたりの平均力をポンド毎インチ幅(piw)で記録し、ニュートン/センチメートル(N/cm)に変換した。
【0170】
α−メチルスチレン官能性オリゴマーの合成
ウレア結合を有する4種のα−メチルスチレン官能性オリゴマー(オリゴマーA、B、C、およびD)を、以下のように調製した。
【0171】
3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)およびアミン末端ポリエーテル(JeffamineTMシリーズ)を、室温で攪拌しながらガラス容器中で合し、室温で一晩放置した。赤外分光法(IR)で2265cm-1のイソシアネートバンドが消失したことから反応が完全に行われたことが示唆された。成分およびそれらの量を第1表に与える。
【0172】
【表3】
【0173】
ウレタン結合を有する5種のα−メチルスチレン官能性オリゴマー(オリゴマーE、F、G、H、およびI)も調製した。
【0174】
ガラス容器中において室温でTMI、アルコール、およびDBTDLを一緒に攪拌し、混合物を70℃まで加熱し、それを70℃で18時間保持することにより、オリゴマーE、F、G、およびHを調製した。
【0175】
ガラス容器中において室温でTMI、アルコール、DBTDL、および0.05グラムのBHTを一緒に攪拌し、混合物を70℃まで加熱し、それを70℃で3時間保持することにより、オリゴマーIを調製した。
【0176】
赤外分光法(IR)で2265cm-1のイソシアネートバンドが消失したことから反応が完全に行われたことが示唆された。成分およびそれらの量を第2表に与える。
【0177】
【表4】
【0178】
実施例1
開始剤成分(A部分)
8.01グラムのTEB*HMDAを14.89グラムのCX−100および27.10グラムのオリゴマーA中に攪拌しながら溶解させた。気泡が上昇して逃げるように、溶液を放置した。
【0179】
重合性成分(B部分)
172.50グラムのB360、405.00グラムのTHFMA、および135.00グラムのEHMAを含有するスラリーを70℃まで加熱し、70℃で3時間保持した。得られた不透明な分散液を室温まで冷却し、鋸歯ブレードを備えた実験室用分散機(Premier Mill Corporation,Reading,PAから入手可能)を用いて剪断した。次に、37.50グラムのW1600を温かい分散液に添加し、十分に混合してモノマーブレンドAを得た。
【0180】
44.70グラムのモノマーブレンドAを、室温で攪拌しながら、2.79グラムのオリゴマーA、2.13グラムのNKEster、および0.38グラムのSucAnhと合した。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0181】
結合性組成物(実施例1)
商品名Mixpac System 50,Kit No.MP−0 50−10−09としてConProTec,Salem,NHから市販されている2重シリンジアプリケーター中に体積比1:10でA部分およびB部分を充填した。大きいほうのシリンダーにB部分を充填した。
【0182】
パーツNo.MX 4 −0−17−5としてConProTec,Salem,NHから市販されている長さ4インチ(10cm)の17段スタティック混合ノズルを通して同時押出を行うことにより、A部分をB部分と合した。先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、強度増加速度、およびT型剥離強度に関して結合性組成物を試験した。試験結果を第3表に与える。
【0183】
【表5】
【0184】
実施例2〜23
これらの実施例では、さまざまな結合性組成物中のα−メチルスチレン官能性オリゴマーの有用性を実証する。
【0185】
開始剤成分(A部分)
第4表の成分および量を用いて実施例1の手順に従って、4種の開始剤成分(I−A、I−B、I−C、およびI−D)を調製した。
【0186】
【表6】
【0187】
重合性成分(B部分)
SucAnhの代わりにHPAnhを使用したということ以外は実施例1の手順に従って、22種の重合性成分を調製した。成分および量を第5表に与える。
【0188】
結合性組成物(実施例2〜23)
第5表に概説されているようにA部分およびB部分を用いて実施例1の手順に従って、22種の結合性組成物を調製した。
【0189】
【表7】
【0190】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、強度増加速度、およびT型剥離強度に関して結合性組成物を試験した。いずれの場合においても、可使時間試験方法でのオープンタイムは10分間であり、強度増加速度試験方法での硬化時間は2時間であった。試験結果を第6表に与える。
【0191】
【表8】
【0192】
比較例C1〜C6
これらの比較例では、ビニル芳香族官能性化合物を含有していない結合性組成物の性能を具体的に説明する。
【0193】
開始剤成分(A部分)
第7表の成分および量を用いて実施例1の手順に従って、3種の開始剤成分(I−E、I−FおよびI−G)を調製した。
【0194】
【表9】
【0195】
重合性成分(B部分)
SucAnhの代わりにHPAnhを使用したこと以外は実施例1の手順に従って6種の重合性成分を調製した。成分および量を第8表に与える。
【0196】
結合性組成物(比較例C1〜C6)
第8表に概説されるようにA部分およびB部分を用いて実施例1の手順に従って、6種の結合性組成物を調製した。
【0197】
【表10】
【0198】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、強度増加速度、およびT型剥離強度に関して結合性組成物を試験した。いずれの場合においても、可使時間試験方法でのオープンタイムは10分間であり、強度増加速度試験方法での硬化時間は2時間であった。試験結果を第9表に与える。
【0199】
【表11】
【0200】
実施例24
この実施例では、二塩基性カルボン酸ボラン脱錯化剤と組み合わせたときのα−メチルスチレン官能性オリゴマーの有用性を実証する。
【0201】
開始剤成分(A部分)
攪拌しながら2.00グラムのTEB*HMDAを8.00グラムのオリゴマーAに溶解させた。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0202】
重合性成分(B部分)
室温で攪拌しながら49.79グラムのモノマーブレンドAを0.21グラムのGluAcdと合した。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0203】
結合性組成物(実施例24)
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことにより、A部分をB部分と合した。
【0204】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、強度増加速度、およびT型剥離強度に関して結合性組成物を試験した。試験結果を第10表に与える。
【0205】
【表12】
【0206】
実施例25および比較例C7
これらの実施例では、α−メチルスチレン官能性オリゴマーを含む結合性組成物および含まない結合性組成物を対比する。
【0207】
開始剤成分(A部分)
第11表の成分および量を用いて実施例1の手順に従って2種の開始剤成分(I−aおよびI−b)を調製した。
【0208】
【表13】
【0209】
重合性成分(B部分)
474.50グラムのモノマーブレンドA、24.50グラムのNKEster、および1.00グラムのSucAnhから、実施例1の手順に従って重合性成分を調製した。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。このB部分を実施例25および比較例C7の両方で使用した。
【0210】
結合性組成物(実施例25および比較例C7)
実施例1の手順に従って結合性組成物を調製した。実施例25は、A部分に対して開始剤成分I−aを用いて調製した。比較例C7は、A部分に対して開始剤成分I−bを用いて調製した。
【0211】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、強度増加速度、およびT型剥離強度に関して結合性組成物を試験した。重ね剪断強度を測定するためにHDPEパネルを使用した。強度増加速度試験方法の試験条件では、硬化時間は1時間であった。
【0212】
【表14】
【0213】
実施例26
この実施例では、可使時間試験方法によって測定されるように本発明の結合性組成物が約50分の可使時間をもつことを具体的に説明する。
【0214】
開始剤成分(A部分)
攪拌しながら0.80グラムのTEB*HMDAを4.20グラムのオリゴマーAに溶解させた。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0215】
重合性成分(B部分)
室温で攪拌しながら48.27グラムのモノマーブレンドAを1.03グラムのTMIと合した。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0216】
結合性組成物(実施例26)
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことによりA部分をB部分と合した。
【0217】
先に本明細書で概説した試験方法に従って以下に記載の試験条件で、重ね剪断強度、可使時間、強度増加速度、およびT型剥離強度に関して結合性組成物を試験した。試験結果を第13表に与える。
【0218】
【表15】
【0219】
比較例C8
この例では、α−メチルスチレン官能性オリゴマーの代わりにポリエステル可塑剤を使用したときの結合性組成物の性能の差について具体的に説明する。
【0220】
開始剤成分(A部分)
攪拌しながら0.80グラムのTEB*HMDAを4.20グラムのG40に溶解させた。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0221】
重合性成分(B部分)
室温で攪拌しながら48.97グラムのモノマーブレンドAを1.03グラムのTMIと合した。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0222】
結合性組成物(比較例C8)
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことによりA部分をB部分と合した。
【0223】
先に本明細書で概説した試験方法に従って以下に記載の試験条件で、可使時間および強度増加速度に関して結合性組成物を試験した。試験結果を第14表に与える。
【0224】
【表16】
【0225】
実施例27
この実施例では、本発明の結合性組成物における、より高分子量のオルガノボランアミン錯体の有用性を実証する。
【0226】
開始剤成分(A部分)
攪拌しながら1.02グラムのTEB*D400を3.98グラムのオリゴマーAに溶解させた。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0227】
重合性成分(B部分)
室温で攪拌しながら48.97グラムのモノマーブレンドAを1.03グラムのTMIと組み合わせた。減圧下で軽く攪拌することにより混合物から気泡を除去した。
【0228】
結合性組成物(実施例27)
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことによりA部分をB部分と合した。
【0229】
先に本明細書で概説した試験方法に従って以下に記載の試験条件で、重ね剪断強度、可使時間、および強度増加速度に関して結合性組成物を試験した。試験結果を第15表に与える。
【0230】
【表17】
【0231】
実施例28〜41
これらの実施例では、本発明の結合性組成物における、α−メチルスチレン官能性オリゴマーの有用性について具体的に説明する。さらに、実施例35では、開始剤成分(A部分)の代わりに重合性成分(B部分)でα−メチルスチレン官能性オリゴマーを使用できることを具体的に説明する。
【0232】
開始剤成分(A部分)
第16表の成分および量を用いて実施例1の手順に従って9種の開始剤成分(I−H、I−I、I−J、I−K、I−L、I−M、I−N、I−O、およびI−P)を調製した。
【0233】
【表18】
【0234】
重合性成分(B部分)
実施例28〜34でSucAnhの代わりにHPAnhを使用したこと以外は実施例1の手順に従って、実施例28〜41で使用した9種の重合性成分を調製した。実施例35の重合性成分には、0.09グラムのSucAnhをも含有させた。成分および量を第17表および第18表に与える。
【0235】
結合性組成物(実施例28〜41)
実施例1の手順に従って22種の結合性組成物を調製した。実施例28〜35は、以下の第17表に概説したようなA部分およびB部分を用いて調製した。実施例36〜41は、第18表のA部分およびB部分を用いて調製した。実施例36〜41のB部分は、188.6グラムのモノマーブレンドA、10.00グラムのSR399、および1.40グラムのSucAnhのマスターバッチとして調製した。
【0236】
【表19】
【0237】
【表20】
【0238】
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことによりA部分をB部分と合した。
【0239】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、および強度増加速度に関して結合性組成物を試験した。いずれの場合においても、可使時間試験方法でのオープンタイムは10分間であり、強度増加速度試験方法での硬化時間は2時間であった。試験結果を第19表に与える。
【0240】
【表21】
【0241】
実施例42〜44
これらの実施例では、α−メチルスチレン官能性オリゴマーの混合物を含有する結合性組成物の有用性を実証する。
【0242】
開始剤成分(A部分)
実施例28〜41の開始剤成分I−Hを実施例42〜44の開始剤成分として使用した。
【0243】
重合性成分(B部分)
SucAnhの代わりにHPAnhを使用したこと以外は実施例1の手順に従って3種の重合性成分を調製した。成分および量を第20表に与える。
【0244】
結合性組成物(実施例42〜44)
以下の第20表で概説するような成分AおよびBを用いて実施例1の手順に従って、3種の結合性組成物を調製した。
【0245】
【表22】
【0246】
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことによりA部分をB部分と合した。
【0247】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、および強度増加速度に関して結合性組成物を試験した。いずれの場合においても、可使時間試験方法でのオープンタイムは10分間であり、強度増加速度試験方法での硬化時間は2時間であった。試験結果を第21表に与える。
【0248】
【表23】
【0249】
実施例45〜49
これらの実施例では、α−メチルスチレン官能性オリゴマーの代わりに非オリゴマービニル芳香族化合物を含有する結合性組成物の有用性を実証する。
【0250】
開始剤成分(A部分)
比較例C7の開始剤成分I−bを実施例45〜49の開始剤成分として使用した。
【0251】
重合性成分(B部分)
実施例1の手順ならびに第22表に列挙した成分および量に従って、5種の重合性成分を調製した。実施例45〜47で使用した非オリゴマービニル芳香族化合物は1,3−DIBであり、実施例48〜49で使用したのはα−MeStyであった。
【0252】
結合性組成物(実施例45〜49)
以下の第22表で概説するようなA部分およびB部分を用いて実施例1の手順に従って、5種の結合性組成物を調製した。
【0253】
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことによりA部分をB部分と合した。
【0254】
【表24】
【0255】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、および強度増加速度に関して結合性組成物を試験した。いずれの場合においても、可使時間試験方法でのオープンタイムは10分間であり、強度増加速度試験方法での硬化時間は2時間であった。試験結果を第23表に与える。
【0256】
【表25】
【0257】
実施例50〜51
これらの実施例では、α−メチルスチレン官能性オリゴマーの代わりに非オリゴマービニル芳香族化合物(1,3−DIB)とオリゴメリックメタクリレート(SR252)を含有する結合性組成物の有用性を実証する。
【0258】
開始剤成分(A部分)
比較例C7の開始剤成分I−bを実施例50〜51の開始剤成分として使用した。
【0259】
重合性成分(B部分)
実施例1の手順ならびに第24表の成分および量に従って2種の重合性成分を調製した。
【0260】
結合性組成物(実施例50〜51)
以下の第24表で概説するようなA部分およびB部分を用いて実施例1の手順に従って、2種の結合性組成物を調製した。
【0261】
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことによりA部分をB部分と合した。
【0262】
【表26】
【0263】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、および強度増加速度に関して結合性組成物を試験した。いずれの場合においても、強度増加速度試験方法での硬化時間は2時間であった。試験結果を第25表に与える。
【0264】
【表27】
【0265】
実施例52〜54
これらの実施例では、α−メチルスチレン官能性オリゴマーの代わりに非オリゴマービニル芳香族官能性化合物(4−tBSty)とオリゴメリックアクリレート(SR344、SR9035、またはCN972)を含有する結合性組成物の有用性を実証する。
【0266】
開始剤成分(A部分)
比較例C7の開始剤成分I−bを実施例52〜54の開始剤成分として使用した。
【0267】
重合性成分(B部分)
195.00グラムのTHFMA、65.00グラムのEHMA、115.00グラムのB360、25.00グラムのW1600、25.00グラムの4−tBSty、21.25グラムのNKEster、および3.75グラムのHPAnhを用いて実施例1の手順に従ってモノマーブレンドBを調製した。
【0268】
第26表に与えられている成分および量を用いて実施例1の手順に従って3種の重合性成分を調製した。
【0269】
結合性組成物(実施例52〜54)
以下の第26表で概説するようなA部分およびB部分を用いて実施例1の手順に従って、3種の結合性組成物を調製した。
【0270】
実施例1のようにA部分およびB部分をパッケージ化した。実施例1のように同時押出を行うことによりA部分をB部分と合した。
【0271】
【表28】
【0272】
先に本明細書で概説した試験方法に従って、重ね剪断強度、可使時間、および強度増加速度に関して結合性組成物を試験した。いずれの場合においても、強度増加速度試験方法での硬化時間は2時間であった。試験結果を第27表に与える。
【0273】
【表29】
【0274】
本明細書中に開示されている特許および特許出願は、個別に組み入れられるように本明細書に援用される。以上の説明は例示を目的とするものであって限定を意図したものではないことが理解されなければならない。本発明の種々の修正態様および変更態様は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく以上の説明から当業者に自明なものとなるであろう。また、本発明は本明細書に記載の例示的実施形態に不当に限定されるべきものではないことが理解されなければならない。
Claims (4)
- (i)0.003〜1.5重量%のホウ素を与える量の、次の一般式で表されるオルガノボラン:
(ii)25〜95重量%の、遊離基重合しうる少なくとも1種のエチレン性不飽和重合性モノマーと、
(iii)5〜25重量%の、一般式(1)で表されるビニル芳香族化合物:
nは、1以上の値を有する整数であり、
xは、1以上の値を有する整数であり、
yは、0以上の値を有する整数であり、
Arは、置換アリール基であり、
R31、R32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、およびハロゲンからなる群より選択され、
R34は、有機基であり、R34は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリールオキシ、アロイル、アロイルオキシ、およびハロゲンからなる群より選択され、
Xは、2価有機基または共有結合であり、
R30は、有機基であり、
ここで、それぞれのXとR30とを合わせた合計分子量は、100以上である。〕と、
を含んでなる結合性組成物。 - (i)0.003〜1.5重量%のホウ素を与える量の、次の一般式で表されるオルガノボラン:
(ii)25〜95重量%の、遊離基重合しうる少なくとも1種のエチレン性不飽和重合性モノマーと、
(iii)5〜25重量%の、一般式(2)で表されるビニル芳香族化合物:
xは、1以上の値を有する整数であり、
yは、0以上の値を有する整数であり、
Arは、置換アリール基であり、
R31は、アルキル、アリール、およびハロゲンからなる群より選択され、
R32およびR33は、独立して、水素、アルキル、アリール、およびハロゲンからなる群より選択され、
R34は、独立して、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリールオキシ、アロイル、アロイルオキシ、およびハロゲンからなる群より選択される。〕と、
を含んでなる結合性組成物。 - 前記オルガノボランが、アミン、アミジン、ヒドロキシド、アルコキシド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択された錯化剤で錯化されている、請求項1又は2に記載の結合性組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の結合性組成物の硬化により形成された層により互いに接着結合されている第1の基材と第2の基材とを含んでなる結合複合品。
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